タイトル:【虐】 「巡」
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4129 レス数:0
初投稿日時:2011/04/11-00:41:08修正日時:2011/04/11-00:41:08
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「デスゥ………」

人気の無い路上に座り込んでいる緑色の生物。

「……これから……どうすればいいんデス……」

実装石は困っていた。
家を壊されてしまったから。

「……全部無くなってしまったデスゥ……」

実装石は困っていた。
食糧を家の中に置いてきてしまったから。

「子供たちにも痛い思いをいっぱいさせてしまったデスゥ……」

実装石は困っていた。
手塩にかけて育てた優秀な我が子を失ってしまったから。

「レチ……ママ、元気出してほしいレチィ」

実装石は困っていた。
唯一取り戻した親指実装を無事に育てきる自身が無かったから。

「ママ!ワタチにもオネエチャンたちみたいに色んなことを教えてほしいレチ!」
「……オマエは本当に良い子デス……ママはオマエだけは必ず守って見せるデス……」

実装石は困っていた。
住居・食糧の確保、親指実装の教育など、何から手をつければいいのか、決断できなかったから。

丑三つ時。 実装石はもちろん、人も動物も皆眠りにつく時間。
その親子は人気の無い街中をさまよう。








群青色の空が白み始め、星と月が徐々に見えなくなる。
夜が明けそうな時間になっても、まだ親子は路上を歩いていた。
元来、夜目が効かない実装石が、街灯すらほとんど無い路上を歩きまわるのは自殺行為である。
だがそれでも歩き続けたのにはもちろん理由があった。

「おなか空いたレチィ……」

空腹である。
じっとして消費を抑えるのは備蓄の無い状況では逆効果であるということが
親実装にはわかっていたのだろう。
激しさを増す空腹に耐えながら、彼女は必死で食糧を探しあるていた。

「デス……もう3日も何も食べて無いデスゥ……このままじゃ…………デ……?」

ふと親実装が何かに気付いた。
どうやら感じたのは匂いのようで、渇いた鼻を動かし匂いのする方向に歩いていく。
そして、匂いの元が見える距離まで親子はたどり着いた。 

「………デ………」
「レェェェェ………」

親実装は呆然と、親指実装は小さな悲鳴を上げた。
プリプリと小さな排泄音が聞こえ、パンツも緑色に染まっていく。

ペットボトルが一本、自動販売機の裏に置かれていた。
その中に匂いの元、小さな仔実装が「あった」。
放置されて数日たっているのだろう、干し柿のような肌と窪んだ眼窩に落ち込んだ眼球、
手足は栄養が行き渡っていなかったのか、先細りして歪な形状をしていた。
ペットボトルの内外には緑と赤の液体が渇いて付着している。

「デェェェ……」

中の仔実装と目が合った。
飛び出しそうなほど舌を突き出し、骨まで見えた手を伸ばして、壮絶な顔をして死んでいた。
餓死なのか、ショック死なのか、今となってはわからない。
だが、今の親実装にとって、そんなことはどうでもよかった。

「デ……親指ちゃん、ちょっとあの大きな箱の下に隠れるデス」
「レェェ……ママと離れるのコワイレチ……」
「大丈夫デスゥ、ママが怖いものみんなから守ってあげるデス、だから言うことを聞いてほしいデスゥ」
「……わかったレチ……!」

頼もしい母親の言葉を受けて、親指実装は遅い足取りで自動販売機の下へと走って行った。
親実装はその後ろ姿を少しだけ確認すると、ペットボトルを手に取り、逆さにして振った。
仔実装だった物は、ペットボトルの口に向けて落ちていき、

「デ…デ…デスゥ……!」

ビチャッ

地面にこぼれおちる。
外側はカサカサだったが、内側はまだ水分を含んでいたようだ。
内臓と血と糞が瑞々しい音をたてて広がっていく。
仕事を終えた親実装の眼下にあるのは、もう仔実装の形をしていなかった。
それはただの「おにく」。

「親指ちゃん!もういいデスゥ!ママがご飯を見つけたから一緒に食べるデス!」
「レ?! ごはん!ごはんレチ?!」
「そうデス、朝になる前に早く食べてしまうデス!」
「レッチィィィィィィ!」

最後まで言い切る前に、涎を撒き散らしながら親指実装は飛んできた。
目の前に広がる、今まで見たこと無いほどおいそうな食べ物を空きっ腹にかきこむ。
しばらくぶりに舌に感じる味、満たされていく食欲に、親指実装は思わず涙を流す。

「おいしいレチィ! ママ! おいしいレチィィィ!レェェェェェン!」
「デスゥ……いっぱい食べておくデス……次はおうちを見つけなきゃいけないデ———」



ゴッ



「デボァッ?!」

後頭部に突然の衝撃。
何事かと親実装が振り向く前に、同じ痛みが今度は背中を襲った。

「デゲッ……デグェェェッッ!」

顔面から地面に激突して悶絶する親実装。
なんとか体を仰向けにして、犯人の顔を見る。
と同時にその犯人に馬乗りにされてしまった

「デズェェ………!」
「デップップ……! 夜中に何か声がすると思ったら美味そうなエサを見つけたデズゥ♪」」

それは肥え太った一匹の実装石、小柄な親実装の2倍はあるだろうか。
2倍近くの重量が腹部を圧迫しているのだ。
肥満実装の漏らしている糞が親実装の腹部を濡らしていく。
親実装は声も出せずに口をパクパクと動かす。
殴られたときから恐怖に立ち竦んでいる親指実装に逃げろと言っているのだろうか。

「デ……親指ちゃ……逃げる……デグボェッ」
「デピャピャピャ!弱い奴を殴って殴って、美味しそうになったところでいただくのが最高デズゥ!」


ベシッ ガスッ ベシッ     ガブリ   ブチイッ


「デボッ!デベッ!デボェッ!デギャアァァァァァァ……」

何発も何発も、肥満実装は親実装を殴り続けた。
そして、おもむろに親実装の肩にかぶりつき、そのまま引きちぎる。
クッチャクッチャと肉がすり潰される嫌な音が肥満実装のにやけた口から響いた。

「ウ〜ン、あんまり身が無いデズゥ。ま、貧乏野良にしちゃいい味してるデズ」
「……デ……デ……デ……」
「レェェェェ……ママァ!ママァァァァァァァ!」
「デ?あっちの美味そうなチビもいただくデズゥ♪ 親指は小さいけど味はバッチリデゲェアッ?!」
「デスゥゥゥゥゥゥ!」

千切れた腕を眺めて、自分の死を悟った親実装だが、
親指実装の悲痛な叫びがあきらめることを許さなかった。
最後の力を振りしぼり、肥満実装を上からはたき落とし、親指実装の元に走る。

「レェェェェェェン!ママ、ママ、ママァァァァ!」
「デェェ……親指ちゃん……ママは…大丈夫デス………だから親指ちゃんも生き残るデス……」
「レ!?」
「……少しだけ……我慢して………ほしいデス……!」
「レチュァァァァァァァァァ!?」

そう言って抱き上げた親指実装を、横にしたペットボトルの中へと入れた。
少し頭がつっかえていたが、何とか中に転がり込む親指実装。
「?」となっていた親指実装だったが、直後、体中に走る痛みに何も考えられなくなる。
親実装がペットボトルを、路地裏に向けて転がしたのだ。

ペットボトルは路地を形成する塀にぶつかり回転を止めた。
この路地は親実装がかろうじて入れるくらい狭い。
これでもう肥満実装に襲われる心配はない。

「レェェェェェェェェェェェェェェェ………」
「親指ちゃん…ワタシたちの分ま……で……生き…る………デス……」

ピシッ

ひび割れるような音と共に、親実装は動かなくなった。
普通なら死ぬような傷では無かったが、これまでの重圧や空腹に
生命力が付いてこなかったのだろう。
だが親指実装はそれどころではなかった。

「レェェ…イタイ、イタイレチィィィィ……ママァァァァァァ」

幸いにもペットボトルの壁が地面への衝撃を幾分か和らげてくれたので、
奇跡的に全身打撲のみで済んでいた。
それでも初めて襲ってくる全身を覆う痛みに、親指実装は泣き続けた。
不安になって母を呼んだ。
返事はない。

「デピャピャピャ♪ バカなヤツデズゥ!勝手に死にやがったデズゥ!」

ひっくり返ったままの肥満実装が下品な笑い声を轟かせる。
朝日が顔を出した。

「親指を食いそこなったのは残念デズ、でもコイツがあれば3日はしのげるデズ………デ?」

そして気付いた。
起き上がれないことに。

「デェェェェ?!起きられないデズ?!なんでデズ?!」

丸々と太った肥満実装の体は上から見ても円に見えるような体型をしている。
手も足もつけないこの状態では体を動かせないのだ。
今まではその巨体から繰り出される怪力で、反撃など食らう前に野良を食い荒らしていた。
初めての反撃に驚いて、思わずひっくり返ってしまったのが運の尽きである。

「デギャァァァァァァァ!たずけろデズゥゥゥゥゥ!」

何も無い空に向かって叫び続ける肥満実装。
このままだと、干からびるしか道は無い。
熱せられた地面と降り注ぐ太陽光に皮膚を焼かれながら水分を奪われる。
それが壮絶な死に方になることは肥満実装にも予想できた。
だからこそ、無意味だろうと何だろうと必死で叫び続ける。

そんな彼女に幸運が舞い降りる。


ブゥゥゥゥゥゥゥン   ドンッ グチャッ

「ゲッ……今の動物……って実装石かよっ!クソッ一度洗わねーと……」


夜が明ければ人間の活動も増える。
バイク通勤の男性は不運にも肥満実装を轢き潰した。
だが肥満実装は生き地獄を味わうことなく逝くことができたのだ。

「ペッ……次のクリーン作戦の実装石駆除には絶対参加してやる……」

体の真ん中を綺麗に轢かれた肥満実装に恨みを込めた唾を吐いて、
男性は再び走り去って行った。








「レェェ……暗いけどヒンヤリして気持ちいい場所レチ……」
「ママ…ママは死んじゃったけど、ワタチがんばるレチ!」
「ママやオネエチャンたちの分まで、生きて見せるレチィ!」

朝になり、痛みから立ち直った親指実装は、一人で生きていくことを死んだ家族に宣言していた。

「おいしいご飯の残りがあるから大丈夫レチ!」
「このおうちがあれば雨が降っても大丈夫レチ!」

どうやらペットボトルの中にはまだ仔実装の残骸が残っていたようだ。
入口付近で引っかかっていたのだろう。

「大きくなったらママみたいな素敵なママになるレチィィ!!」

宣言だけは常に立派だった。







4日が過ぎた。
すっかり肉の味を覚えてしまった親指実装は今日もペットボトルの中で食糧を食べていた。

「オイシイレチ、オイシイレチ♪……レ……でもそろそろ少なくなってきたレチ……」

大した量を食べない親指実装だが、それでも小柄な仔実装…それも一部では
数日で無くなってしまう。
あの日、親実装や、肥満実装の肉を、危険を冒してでも取りに行くべきだったのだ。
栄養価の高い肉を食べ続けたおかげで、多少体は大きくなったが、
まだまだ親指実装、一人で餌を探しに行くには不安が募る。

「レー……レ! そうレチ! あの大きい箱の下にまたお肉があるかもしれないレチ!」

最初に「おにく」を見つけた自動販売機の下、そこに行けばまた見つかるかもしれない。
親指実装はそう考え、ペットボトルの口に頭から飛び込む。
だが、ここで大きな問題が起きてしまう。

「レ・・・? レェェェェェェ?! 出られないレチィィィィィィ?!」

この中に入った日から親指実装は4mm程成長した。
その成長が良くなかった。
頭がつっかえて出られないのである。
何とか頭を引っこ抜くのには成功したものの。
現状を理解し、一瞬途方に暮れてしまった。
だがそこは親指実装、深く考えもせずに次の行動に移る。

「足から出れば大丈夫レチ!…レッチ、レッチ……レベッ?! 出られないレチィィィィィ?!」

当然だが頭の大きさが変わったわけではないので出られない。
しかも今回は足から先に出てしまったため、首から下だけが宙づりになっている。
自重で下に引っ張られて顔が痛いだろう。

「レヂィィィィィィィ! お顔イタイレチィィィ! 助けてほしいレチィィィィィィ」
「デス?」

そこにちょうど路地に入ってきた一匹の実装石。
汚れの少ない服を着ているところからかなり賢い野良なのだろう。
危険を冒してまで街中に食糧を探しにきたということは、
公園内の少ない食糧では賄えないほど、大量の子供たちを抱えているということだ。
だが賢いからといって優しい者ばかりではない。

「レヂ?! オバチャン助けてほしいレチ! 抜けないレチィィ」
「デー……いい食糧を見つけたデスゥ。 持ち帰って今日は皆でごちそうにするデスゥ」
「レェェェェェェェ!? ワタチはご飯じゃないレチィィィィ! 話すレヂェッ」

自分の子供以外には愛情をかけないシビアな実装石のようだ。
騒ぐ親指実装がはいるペットボトルを縦にし、そそくさと持ち帰る。
今度は自重が真下にかかり、親指実装は顔から底に落ちたようだ。
ピクピクと動いてはいるものの、完全に気絶している。

「量としては全然デス……でもたまにはあの子たちに美味しいものを食べさせてあげたいデス…」

高く上った日が、一匹の実装石に影を作っていた。







「ただいまデスゥ」
『ママァァァ!オカエリテチィィィィィ』
「シー…静かにするデスゥ」
「テチ?それ何レチ?」
「これは今日のごちそうの「おにく」デスゥ。 皆で分けて食べるデスゥ」
『おにくテチィ!久しぶりテチィィィィィ』

計10匹の仔実装が帰ってきた親実装を迎えた。
手に持ったペットボトル(=親指)を見て怪訝そうな顔した仔もいたが、
「おにく」と聞いて再び合唱が始まる。
親と同じく、家族以外の同族を食うことに、抵抗が無いらしい。

「それじゃあいただくデス。 出てくるデスー」
『おにく!おにくテチュ!』
『ごっちそうテチィィィ♪』
『早く食べたいテチ!』

「レ…?レ…? ……?!……レッチャァァァァァァァ?!」

ペットボトルを逆さまにし、親指実装を振り落とそうとする実装石。
目を覚ました親指実装は、下を見て瞬時に状況を理解した。
血眼をギョロギョロさせて自分を見上げる仔実装の群れ。
今まで一度も味わったことのない恐怖が親指実装を襲う。

「この……!早く……落ちるデスゥ!」
「いやレチいやレチいやレチィィィィィ! 食べられたくないレチィィィィィッッ……レッ?!」

必死で壁にしがみついたり、手足を踏ん張っていた親指実装だったが、
突起もほとんどないペットボトルでは無駄な抵抗だったようだ。
皮肉にも最後は自分が漏らした糞で、踏ん張っていた手を滑らせてしまった。
一気に飲み口へと落下する。

「レッヂュアァァァァァアアァァァァァァ!!!! 落ちちゃうレチィィィィィイ」
「さぁ、食べるデスゥ」
『いただきますテチィ♪』

ついに下半身が出てしまった。
内側に残った手と顔で必死に落ちるのをこらえる親指実装。
だが、ついに一匹の仔実装が左足をつかんだ。

ブチィ

「レ………? ………ェェェェェレェェェギャァァァァァァァァァァアアアアアア!」
「おにくウマウマテッチィィィ♪」
「ワタチも食べたいテチィ!」
「ワタチもテチィ!」
「おにく、おにく!」

「レピッ! レヂャッ!レッピャァァァァァァァァァアアアアアッッッ!!!!!!」

外側に出ている部分から徐々に削り取られていく親指実装。
もう下半身は残っていなかった。
申し訳程度にぶら下がっている内臓から直接糞が漏れ出ている。
すでに手で耐えることはあきらめており、最初の時のように顔がつっかえているだけだ。
もう駄目だ、最後の時だと覚悟した親指実装だったが、

「今日はそこまでデス」
『テェェェェェェェェェェ?!』

「なんで?!」という顔をはりつけた仔実装たちでは届かない高さまで、
実装石はペットボトルを持ち上げた。

「これを使って長持ちさせるデス。 オマエたちもできるだけいっぱいごちそうを食べたいはずデス」
『わかったテチィ…』

実装石はどこから拾ってきたのか、中身入りの栄養ドリンクを
少しだけペットボトル内の親指実装に振りまいた。
これで回復を促進させることができる。
特に親指実装は体が小さいため、少量でも十分効果がある。

「さ、明日もごちそうは食べられるデス。 今日はたくさん勉強して早く寝るデスゥ」
『わかったテチィ!』

この日からさらに3日間、親指実装は仔実装たちに体を食われ続けた。






「テッチュァァァァァァァァアア」

耳をつんざく甲高い仔実装の悲鳴がダンボールハウスに響き渡る。
飛び起きた実装石は何事かと辺りを見渡した。

「デデェッ?!」
『ママァァァァァ!助けてテチィィィ! 妹チャンがァァァァァァ!』

実装石の横には7匹の仔実装たち。
残りの3匹のうち、2匹はすでに壁と床の染みになっていた。
悲鳴の主である1匹は、

「デッズゥゥ、オマエデズ?ウマウマなチビを隠してるってヤツは?」

最初は巨大な棒がしゃべっているかと思った。
だが棒が前進し、その先にいたのは、

ゾブッ  クッチャクッチャ  ペッ

「まっずいガキデズゥ!」
「テ…テピッ………」
「デァァァァァァッァ?! 5女ォォォォォォォ!」

公園のボスであるマラ実装だった。
仔実装……5女の半身を食いちぎった後、味が気に入らなかったのか、
地面に吐き捨て、同じく手に持った残骸も投げ捨てる。
どうやら例の親指実装の事を探しに来たらしい。

「早くよごずデズゥ! オマエのまずいガキはもう食い飽きたデズゥゥ!!」
「ふ……ふ………ふざけるなデスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」

仔を食い殺された怒りから、実装石はマラ実装に突撃した。
だが、単純にスペックが違いすぎる。

「デェェェェ……ズゥッ!」
「デボグボォェ……!?」

マラ実装の武器はその巨大なマラそのものである。
実装石の皮膚とは思えないほど硬化しているため、
これを使って様々な闘いができるのだ。
巨大な凶器に貫かれ、実装石は一声あげて絶命した。

「デッズッズ……♪ それじゃあメインディッシュの前に不味いオマエたちを食い倒してやるデッズゥ〜ン♪」
『テ…テ……テッチャァァァァァァァァァァァアアアア!!!!!』






「デップッ……食いすぎたデズ…。 さすがに7匹半は食いすぎたデズ……」

ところどころに食べ残しを撒き散らしながら、マラ実装は満足そうに腹をさすっていた。
さらに死んだ親実装で性欲も満たしていたため、ダンボールハウスは緑と赤と白の染みが散乱する
とんでもない状況になっていた。

「…では、メインディッシュをいただくデッズゥゥゥ〜ン♪」

部屋の隅に置かれた汚いペットボトル。
中には親指実装が一匹。
「ごちそう」としての毎日で、先に心の方が参ってしまったらしい。
栄養ドリンク程度では再生力を補えないのか、足は元の3分の1しかなかった。
げっそりと痩せ細った顔からは生気も失せており、開きっぱなしの口から粘ついた涎が落ちる。
人間が見たら思わず鼻と口を抑えそうな光景だったが、マラ実装はだらしなく顔を弛緩させる。

「久しぶりの親指……量はともかく味は格別デッズゥ〜〜〜〜ン!」

裂けそうな程大きく口をあけ、ペットボトルを逆さにする。
親指実装はさしたる抵抗もせずにズルリと内壁を滑って行き、そのままマラ実装の口の中へ……
とはいかなかった。

ガブリ  クチャクチャクチャ

「・・・ェェェェァァァァァァァ……レェ………」
「デズ? 頭が引っかかってやがるデズ! 早く出てこいデズゥゥゥ!」

顔が突っかかったため、再生しかけていた下半身だけを食いちぎられる。
食われた痛みで意識が戻ったのか、親指実装がか細い悲鳴を上げるが、
食べることに夢中のマラ実装には届かない。
それよりも出てこない親指実装に業を煮やしたのか、はみ出ている上半身を引っ張り出した。
だが、掴むべき部分を先程食べてしまったため、うまく力を入れることができない。

「デズァァァァァァ!……仕方ないデズ……顔が通るようになるまで待っててやるデズゥ」

とりあえず一口は食べられてそれなりに満足したのか、ペットボトルを投げ捨てる。
もう親指実装は時折痙攣するだけになっていた。
今度こそ、死ぬのも時間の問題だろう。

「2、3時間もすれば死んでしなびていくデズゥ、 死ぬと味が落ちるけどこの際しょうがないデズゥ」

一人納得し、マラ実装はそのままダンボール内で横になった。
起きたころには勝手にごちそうが出来上がっているだろう。
そう思い、眠りについた。








「あー…………」

浮かない顔で歩道を歩く男性。
右足にはかすかに緑色の染みが見える。
実装石の体液は中々落ちないことでも有名なのだ。

「せっかくの獲物は見失うし、たまに朝一で仕事行きゃあ服汚しちまうし……踏んだり蹴ったりだな」

周囲に人がいないのをいいことに、一人でブツブツと毒づく。
これ見よがしに唾も吐く。

「もう死んじまってるだろうなぁ……せっかく面倒くせぇ仕込みまでしたっていうのに……」

目的地の公園に足を踏み入れた男性の前に数匹の実装石。
デスデス五月蠅い実装石たち数匹を蹴り飛ばし、コロリやゲロリを辺り構わず投げ散らかす。
公園はすぐに地獄となった。

「とりあえず……!腹いせに……!死んどけやぁぁぁぁぁ!」
『デギャアァァァァァァァァァァァァァ』

コロリやゲロリを食べない知恵の回る実装石たちは、目で追って蹴り潰した。
男性は虐待派だ。
憂さ晴らしのために実装石を虐め、殺す。
時折この公園に来てはこういった虐殺紛いの行為を繰り返していた。

「ペッ……。 さ〜て、それじゃあ家庭訪問しますかね〜」

あらかた公園が静かになったところで、男性は公園内のダンボールを荒らし始めた。
中の実装石たちは小さいものから順に掴みだされ、千切られ、捻られ、潰された。

「次はどーっすかなぁ〜。 もっかい親指実装の頭にドドンパ仕込んでみるかね〜」

まずは仔実装を殺し、それを悲しむ親実装と仔実装1匹を逃がす。
それを追跡し、様々な方法で親子を追いこんだり、仕掛けをして自滅させたり……
男性にはそういった歪んだ性癖があった。

「次の家の奴でリベンジしてみっか〜」

平均より大きめのダンボールを見つけて、男性は目を光らせた。
天井部に手をかけ、開けようと———







「デギョォォォォォォーーー?!」
「ぐえっ?!」































最後まで読んでくれた方、ありがとうございますm(_ _)m
数年前に何度かスクを投稿させていただきました。
久しぶりの投稿になります。

▼以下過去スクです▼
・「賢い」リンゴ、「賢い」ミカン Ⅰ〜Ⅳ
・「弱」 Ⅰ〜Ⅳ
・いと「醜き」もの Ⅰ〜Ⅶ
・「変わらない」 Ⅰ〜Ⅲ
・「逃走」
・「儚さ故に」 Ⅰ・Ⅱ・番外編
・「真意」 Ⅰ〜Ⅲ
・「落下さん」
・虚ろな「唄」
・茂みの中の仔実装 1〜2
・「託児」、その後
・「ある賢い実装石のお話」

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