【48匹目の実装石】 僕の住んでいる街はすぐ近くを暖流が流れている都合で、冬もそんなに寒くならない。 さすがに半袖を着ているような物好きはいないが、ぶ厚い防寒着とか発熱する下着 とかを使っている奴は珍しい。 ストーブの灯油代とかエアコンの電気代が少なくて済むのは有り難いのだけれど、 ひとつ困ったことがある。 この街では実装石が冬ごもりをしないのだ。 そんなわけで、この街の公園は冬でも実装石の糞臭がするし、ゴミ捨て場は荒らされ るし、愛誤派でも虐待派でもない一般人にとってはちょっと不快な冬なのである。 そんな臭い公園で僕が何をしているのかというと、実は虐待する獲物を物色している ところ。 一般人にとって不快なら、愛誤派か虐待派になってしまえばいい。 というわけで、この冬休みを利用して虐待派デビューしようと思っているのだけれど… 実際に公園に来て見ると思ったより数が多くてうるさいし、それにやっぱり臭いが酷い や。 ただ、ベンチの周りに集まって来て自分を飼えと根拠の無い主張をする馬鹿な奴らや 植栽の陰に隠れて様子をうかがっている用心深い奴らだけじゃなく、愛誤派の前で 歌ったり踊ったりといった芸をして餌をねだる野良実装もいるというのは今まで知らな かったな。 それも個々がてんでバラバラにデタラメな芸をするのではなく、何匹かでグループを 作ってかなり統率のとれた動きを見せるというのは正直驚いた。 やっぱり愛誤派の人達が教え込んでいるのかな。 出し物が終わったグループはパンの耳や実装フード等の餌を受け取って巣に帰って 行き、次の別なグループが出てきてまた歌や踊りを始める。 順番とかチームワークなんて食欲の前では塵ほども持ち合わせていないはずの実装石 が、秩序とか協力という概念を理解しているとは思ってもみなかった。 まあ、自分は今まで実装石にはあまり興味が無かったから、ただ単に不勉強なだけなの かもしれないけど。 そうこうしているうちにまたひとつのグループの演目が終わり、次のグループが愛誤派 の前に集まってきた。 今度のグループは人数というか石数が多いなー。ざっと見て50匹くらいいるぞ。 獲物を物色するという最初の目的も忘れて実装石の芸を見ていると、今度のグループ は全員が同じ振付けで踊るのではなく、立ち位置によって振付けが違うし、しかも歌 (人間の耳にはデスデスとしか聞こえないけど)の途中で立ち位置が入れ換わるし、 かなりの芸達者のようだ。 あれ?でも、この動きはもしかして? ふと気付いた僕はポケットからケータイを取り出し、音声式実装リンガルのアプリを起動 した。すると案の定ケータイから流れてきた歌(?)は… 『会いたかった♪ 会いたかった♪ 会いたかった♪ デスッ♪』 『I want フ〜ド♪ I need フ〜ド♪ I love フ〜ド♪』 『フードの順番♪ 次はワタシの番♪ どんなに負けてても♪ 今度は食べにいくデス♪』 なるほど、これが紅白効果というヤツか。 きっと紅白歌合戦でAK○48を見た愛誤派が教え込んだんだろうな。 そう思いながら改めて数を数えてみると、やっぱりちょうど48匹。 しっかし、こんな臭くて醜い奴らがAK○48のモノマネとは、身の程知らずと言うか なんと言うか…AK○ファンが見たら激怒しそうだな。 …と、思った途端に来たよ。来ちゃいましたよ。 血相変えた男達が土煙を上げて、公園の入り口からなだれ込んで来ましたよ。 見るからにアイドルオタクっぽい男達が50人くらい。 首から高級カメラをぶら下げて、手に手にペンライトとバールのような物を持って。 「貴っ様〜!僕の○っちゃんを侮辱するつもりですか〜!」 「お前のどこが○リスやねん!」 「あなたのような汚物が○里子さんのモノマネをするとは、万死に値する重罪ですね!」 「俺の○もちんを馬鹿にしやがったのはどこのバガヤロ様ですかっ!」 「○ゆゆハ神聖ニシテ侵スベカラズ!」 「てめぇなんざ○かみなの1億分の1、いや無量大数分の1も可愛くねえんだよっ!」 「○ゃおを汚した糞蟲は絶対に許さないよ!」 あ〜あ、それぞれ自分の推しメンのモノマネをした実装石をつかまえて、髪をむしったり 実装服を剥ぎ取ったり、手足を折ったりしてるよ。 いくら飼い実装じゃないとはいえ、愛誤派が世話をしている実装石を愛誤派が見ている 前で虐待するとはマジっすか? あ、愛誤派のオバさん達、あまりの迫力にビビって腰抜かしてるし。 実際、生で見る虐待って予想以上の凄い迫力だもんな。 腹を踏んで口からモツをはみ出させたり、バーr(略で串刺しにしたり、目をえぐり出したり。 ちょっと離れた場所から見ていても血生臭い臭いと糞臭が入り混じった悪臭がすごい。 ネットで虐待の掲示板を読んだり写真を見たりするより、この臭いが圧倒的な生々しさを 伝えてくる。 「ひゃっはー!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ひゃっはー!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ひゃっはー!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 あー、なんて言うかもう、皆さん完全にMAXハイテンションですねー。 それでも完全に殺してしまわずに、死ぬ直前まで痛めつけてからドリンク剤や活性剤で 復活させてまた甚振るという冷静さが残っているあたり、もしかして皆さんかなりのベテ ラン虐待師なのでは? 結局AK○ファンの虐待師たちは1時間以上も実装石を虐待し続けて、見ているこっちの 方がおなかイッパイな気分になったけど、彼らはそれでも気が収まらなかったらしく、 口々に 「まだまだ楽にはさせねぇぞ!」 「あなたの罪にふさわしい罰を受け終わるまでは死ぬことも許しませんからね。」 「死ぬよりつらい地獄がずぅ〜っと続くから覚悟してね♪」 「モロヘイヤもね♪」 などと言いながら、実装石をコンビニ袋に入れて一匹ずつ持ち帰って行った。 きっと自宅で何カ月もかけてネチネチと虐待するんだろうなぁ。 今日はいろんな虐待を生で見れていい勉強になったけど、なんか疲れちゃったな。 獲物を捜すのはまた明日にしようかな。 そう思って帰ろうとすると、一匹だけ無傷のAK○実装石がいるのに気が付いた。 斜め後ろやや上の位置で髪を一つに束ねた実装石が地面にペタンと座り込み、本気涙を 流しながら泣いている。 『デェェ、なんでみんなワタシを無視するデスゥ?どうしてワタシをギャクタイしてくれない デスゥ?どうしてワタシを連れ帰ってくれないデスゥ?ヘタレだってワタシもAK○48なん デスゥ!ワタシを無視しないでデスゥ!!ワタシを構って欲しいデスゥ!! ワタシをギャクタイして欲しいデスゥ!!!』 そうか、虐待師さんは48人じゃなく47人だったんだな。だから一匹余ったんだ、きっと。 それにしても虐待された仲間を羨ましがるとは、実装石ってホントに無視されるのが嫌い なんだなぁ。 まあ、これも何かの縁だし、僕の虐待デビューの相手はコイツにしようか。 邪魔な愛誤派のオバさん達もいつの間にかいなくなってるし、本石も虐待されたがっている ことだし、丁度いいや。 座り込んで泣いている実装石に近づき、有るんだか無いんだかわからない肩をポンッと叩く。 もちろん素手じゃなく軍手装着済みだよ。 『デッ?』 「僕が虐待してあげようか?」 『デデッ!?』 ビックリした表情で僕を見上げる実装石。 「ビギナーだから上手く虐待できるかわからないけど、家には水槽とか実装叩きとかドドンパ とか虐待用激マズフードとか、道具は揃えてあるから…」 『ニ、ニンゲンさん本当に虐待してくれるんデスか!?しかも家に連れて行ってくれるんデスか? 激マズフードまでくれるんデスか!?』 「ああ、本当だよ、偽○ッシー。」 『デエエエン!ありがとうデス!ありがとうデス、ニンゲンさん!』 今度は感激で泣きだした実装石をコンビニ袋に入れて僕は、これから始まる素晴らしい虐待 人生に胸を躍らせながら、軽い足取りで公園の出口へと向かった。 (終) −−−−−−−−−−−−−−−− 蛇 足 −−−−−−−−−−−−−−−− それにしても、実装石がAK○48の歌を唄いだしてすぐにAK○ファンのベテラン虐待師が47人 も現れたり、虐待されたがっている実装石が一匹だけ逃げもせずに残っていたり、実装石をさらう 際に最大の障害になる筈の愛誤派のオバさん達がいなくなっていたり、でき過ぎだよなぁ。 なんていうか、ご都合主義?って感じ? ご機嫌で歌を唄っている実装石の入ったコンビニ袋を左手にぶら下げて、公園の出口まで来た 僕がそんなことを考えていると、ゲートの陰から急に人影が現れた。 何も気配が無かった所から本当に急に現れたその人物は、背が高く痩せた初老の男性だった。 「紳士…」 思わず呟いた僕に、その男性は無言で頷いた。 恐ろしいほどに鋭い眼光と、しかし同時に限りない優しさに満ちた微笑み。 高そうなスーツを上品に着こなしたその男性は、まさに紳士としか言いようがなかった。 紳士が無言で右手を上げ親指を立てた瞬間に、僕は全てを理解した。 僕が虐待派になる最後の一歩を踏み出すために、虐待紳士が背中を押してくれたのだと。 そのためのお膳立てを整えてくれたのだと。 右手を上げ、親指を立てて僕が敬意を表すと、虐待紳士はまた無言で頷き、ゲートの影に溶ける ように姿を消した。 『デェ?』 コンビニ袋の中の実装石が不思議そうに僕を見上げた。 僕の頬を一筋の熱い涙が流れていた。 −−−−−−−−−−−−−−−− あとがき −−−−−−−−−−−−−−−− どうも、みなさんお久しぶりです。デスゥ・ノートの作者です。 ノリと勢いだけで書いたら、後半ちょっとカオスになってしまいました。 スク投稿リスト ・マラ実装エステの時代 ・デスゥ・ノート① ・デスゥ・ノート② ・デスゥ・ノート③【完】 ・本作

| 1 Re: Name:匿名石 2016/11/20-05:36:14 No:00002913[申告] |
| 実装48はもちろん本家48も区別がつかないのはここだけの秘密だ
このスクで名前があがってた人はまだわかるけど大体卒業しちゃって今は○ゆゆと○ッシーぐらいしか… まさか最後の大物みたいになるとはなあ… |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/11/20-11:02:56 No:00002917[申告] |
| 戦国時代で信玄やら生きてる頃だと小童扱いのうんこ漏らしが関ヶ原、大坂の陣の頃には古強者、古狸扱いに超進化してるようなもんだな
○原実装は構われたくて虐待希望してたけど、いつまでそう言ってられたのかな 元ネタの人のように今でも生き残っているのかな |