タイトル:【虐】 温暖化対策
ファイル:salvage.txt
作者:qoo 総投稿数:19 総ダウンロード数:3182 レス数:0
初投稿日時:2010/10/27-17:21:47修正日時:2010/10/27-17:21:47
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 地球温暖化が問題となり、大気中の二酸化炭素濃度低下が叫ばれているこの頃。
 ローゼン社で実装石を使った炭素固定の新技術が開発されたと聞き、雑誌記者の敏明は虹浦島にあるというロ
ーゼン社の研究所に取材に訪れた。

 虹浦島は最寄の駅からバスで20分、そこからボートで30分という辺鄙なところにある。なぜこんなところに研
究所を?と、敏明は疑問に思っていたのだが、島に近づくにつれその理由を理解した。
 島から吹く風が異常に臭い。それもそのはず、島中に実装糞の入った底の浅い水槽が展開されていたのである。
「やあやあ、ようこそ」
 敏明を出迎えてくれた初老の男は、環境プロジェクトグループの明田と名乗った。
「ご苦労様です。記者さんも大変ですねぇ、わざわざこんなところに」
「いえいえ、仕事ですし」
 鼻で息をしないように努力しながら答える敏明に、明田は笑いながら言った。
「こんなところで立ち話でもないでしょう。建物の中に移動しましょう。中も多少は匂いますが、外とは比べ物
 にならないくらい快適ですよ」

 案内された応接室はドアも窓も二重の上、エアフィルターらしき機械も備えられていて、明田の言葉どおり遥
かにマシだった。
 それでも外界のことを思うと気が滅入る。
 さっさと取材を済ませて一刻も早くこの糞の島から脱出したい敏明は、急ぎ気味に取材ノートを取り出してイ
ンタビューを開始した。
「それで、どんな技術なんですか?」
 そんな敏明に、明田は小皿に乗せた白い粉を差し出した。
「それを説明する前に、ちょっとこれを舐めてみてください」
「なんですか?これ」
「まあまあ、舐めればわかります。大丈夫、毒じゃありませんよ」
 敏明も記事を書いて金を頂いている身だ。そこまで言われてしり込みしていたのでは記者の魂が泣く。思い切
って舐めてみることにした。
「甘い……砂糖ですか?」
「ええ、砂糖。正確にはブドウ糖、グルコースです。実装石の糞から抽出した、ね」
 聞いたとたん敏明の胃からすっぱいものが上ってきた。
「な、なんてものを食べさせるんですか」
 それでも何とか吐き気を抑え、抗議する敏明に、明田は笑った。
「大丈夫ですよ、しっかり脱臭・精製してありますから。純度は99.9%以上、か学的には人体への影響は限りな
 く0です」
「でも、いまだに吐き気がするんですが」
「気のせいです。気分的なものはまた別ですからね」
 敏明は釈然としないものを感じたが、延々そんなことを話していても時間の無駄だと思い、頭を切り替えた。
「しかし、奴等の糞の中に糖が含まれているなんて始めて聞きました」
「そうでしょうね。排出されたばかりの糞には含まれていません。しかし、時間がたつにつれグルコースが生成
 されるんですよ。ほら、実装石の糞って緑色をしているでしょう?それは緑色の色素が含まれているからなん
 ですが、その色素が実は植物の葉緑体と似た働きをしま して、日光と水と二酸化炭素からグルコースを作り
 出すんです」
「ああ、なんか中学の理科のときに習った気がします。あの見渡す限りの糞海で二酸化炭素を吸収させようとい
 うわけですか。二酸化炭素をブドウ糖に変え、精製して砂糖として売り出せば貴社の利益にもなり、一石二鳥
 というわけですか?」
 敏明の少々皮肉気味な質問に、明田は首を振った。
「まさか。コストがかかりすぎてキビ糖や甜菜糖の値段に太刀打ちできませんし、それ以前に原材料が実装石の
 糞である食品なんて売れるわけがないでしょう。記者さんなら買いますか?」
「そりゃ嫌ですね。そんなもの食うのは奴等だけでしょう」
 すると、明田がにやりと笑った。
「そのとおりです。奴等相手なら精製する必要もない。糞の匂いがより強くなるんでペット向けフードには使え
 ませんし、肉質に影響が出るんで食用実装向け飼料には向きませんが、実装油の原石用には十分。奴等の糞に
 よって二酸化炭素を減らし、副産物のグルコースで奴等を太らせ、搾油機でエネルギーに転化する。どうです、
 素晴らしい技術だと思いませんか?」
 徐々に熱を帯びていく明田の説明に、敏明のボルテージも上がり始めた。
「良いじゃないですか。それで、もちろん搾油機は見せて頂けるんですよね?」
「おや、記者さんも同志ですか。一応企業秘密なんで写真はNGですが、いいでしょう、お見せしますよ」
 日々の餌が糞と知らないのか、ぶくぶく太りつけ上がった裸の女王様が、機械に吸い込まれて断末魔をあげ、
 生気のかけらも感じられない油と残りかすに変わっていく。
 その過程を堪能する間に、実装糞由来の砂糖を舐めさせられた恨みはいつしか薄れていき、島を出る頃には敏
明は立ち込める糞臭も気にならなくなるほどに、すっかり上機嫌になっていた。

 それから数年後。
 今までに類を見ない斬新なエネルギーサイクルを軌道に乗せたローゼン社は、二酸化炭素の排出権をエサに世
界有数の大企業にのし上がった。
 20XX年、その礎となった実装石の糞をたたえ、記念碑が建立されたという。

(fin)

[あとがき]
 思うところがあってテスト的に書いてみた

【過去スク】
【虐】【紅】 化粧
【あっさり虐紅】 風呂
【託】 奇跡の価値は
【託】 一部成功
【観察】 幸運の無駄遣い
【観察】 禍福は糾える縄の如し
【狂】 月下の詩
【託愛】 特上寿司
【謎】 幻のエメラルド(1)
【謎】 幻のエメラルド(2) (未完)
【託狂】 私の子供
【観察】 糞虫達(1)
【愛】 糞虫達(2)
【愛】 糞虫達(3)
【虐】 糞虫達(4)
【蒼/人虐】 危険な実験
【雛エ】 桃雛
【雛食】 桃雛末路


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