「うーわ、やっちゃった・・・」 休日暇つぶしに冷蔵庫の掃除をしていて嫌なものをみつけてしまった。 いつそこに入れたのかも思い出せないご飯がラップの中でカラフルなカビに包まれカピカピになっている。 「さすがにコレは食えないよな・・・」 田舎モンだからどうしても食べ物を捨てるということに抵抗がある。ていうかもしこんなもの田舎のばっちゃに 見られたら殺されるぞ(まぁ見られる心配ないだろうけど) 「何か他に使い道あるかな・・・あっ、いーこと思いついた!」 暇な時はこういうくだらないことばかり思いつくもんである。カビ飯とその他の道具を用意して近所の公園へと向かった。 「おー、やってるやってる。」 今朝まで降り続いた大雨のせいでズブズブになった公園で予想どうり実装石たちが血みどろの争いをしている。 この間まで真夏なみに暑かったのでこの公園の実装石たちはみんなダンボールハウスに可能な限り開口部を設けて なるべく風通しが良いように改造していたのだ。そこに昨夜の台風並みの大雨である。等しくダンボールハウスは グズグズに潰れ大事に蓄えていた食糧もろとも何処かへ流されてしまったワケだ。 運良く残ったダンボールハウスや食料、昨日のカミナリの音にパキンした仔蟲等を奪い合いそこかしこで罵声と悲鳴が 交錯している。 「ははは、自然ってのは最強の虐待士だな。」 そう呟いてしばらく糞蟲のバトルロイヤルを眺めていると 「デェェェェェンン!」 ズタボロになった1匹が俺を見つけて寄ってきた。 「ははは、ボロボロだな。お前大丈夫か?」 追って来たマラ蟲を蹴っ飛ばしながらリンガルを向けるとどうやら俺をミカタだと勘違いしたらしく、 「デェェェン!アイツラ卑怯デス。外道デスッ!ワタシは暑い間もずっとあのバカどもに笑われてもガマンして濡れても 大丈夫なオ家を作ってゴハンも少しずつ蓄えてじっとガマンして生きてきたデスッ!それなのにアイツ等自分のオ家や ゴハンが流された途端にワタシの所へやってきてオ家モゴハンも全部持っていきやがったデスゥ!!おまけに大事な 仔も全部食べられたデスゥ!!!アイツ等外道デスッ!鬼畜生デス!蛆チャン以下デスウッッ!!」 ナルホド、アリとキリギリスの例えは実装石の世界では通用しないのね。まぁ最近は人間の世界でも通用しないけど… 真面目なヤツほど損するのはどこでも一緒か。よし、じゃコイツを使って遊ぶとするか。 「なぁ実装石よ、もしお前がこれからチョットの間苦痛に耐えられるなら俺はお前にこの公園の野良達に復讐するだけの 力を与えてやれるけどどうする?」 俺の質問に一瞬「デッ?」とだけ答えてしばらく考えていた実装石だったが 「ヤルデス、やってやるデス。ニンゲンサン、殺された仔のためにもそして道理の通らない屑どもに天誅を与えるためにも ワタシは鬼にもアクマにもなってやるデスゥッ!!」 どこでそんな言い回し覚えたのかは知らんがまぁ少なくともバカではないようだ。早速コイツにこの公園最強の力を 与えるべく準備にとりかかる。 家から持って来た空き缶に水を汲んできてカビ飯を入れてカセットコンロで煮立てる。焦げ付かないように注意しながら しばらくかき混ぜるとだんだんと糊状になってきた。 「こんなモンかな?」 とりあえずさっき蹴っ飛ばしてまだ目を回していたマラ蟲のマラの先っちょに熱々の糊を垂らして様子を見てみる。 とんでもない勢いで跳ね上がって暴れかけたが両足をへし折って大人しくさせる。 「デッ・・・」 マラの様子を見てこれから自分に起こることをなんとなく理解したらしい実装石だったがもう後戻りはできないぞ。 「よし、じゃ始めるぞ。」 本石からの返答を待たず改造手術にとりかかった。 スプーンですくって少し冷ました糊を前髪に塗りつけ形を整えていく。マラ蟲の暴れ具合から自分にも苦痛が待っていると 覚悟していた実装石は驚いたようだがここはまだ「上げ」状態。やがて糊が乾いて髪が角状の突起になった。 続いて後ろ髪を肩から前に持って来てこれも特大の角にする。大きさが大きさだけに少し重そうだが気にしてはいけない。 続いて両手にちょうど指のような形と手のひらの部分に垂直に立つように爪楊枝を貫通させ上から糊をかけて固めておく。 ここで初めて悲鳴をあげて暴れたがもう遅いっての。 最後に服の袖を引きちぎり熱々の糊を残った服全体に滲みこませるように全身にくまなくかけてやる。 「デギャアアアアーーーーーッ!熱いデス。死ぬデスゥッッ!!」 オマエ等コレくらいで死なないって。服全体に一細工してから団扇で あおいで乾燥させると・・・ 「よし、完成だ。これでお前は最強になった。試しにコイツにゴ挨拶してみろ。」 そう言ってデコピンで起こしたマラ蟲をしかける。 「デププ・・・デェスゥゥゥーーーーン!」 互いに状況が飲み込めないまま目の前の実装石にのしかかり早速楽しむべくパンツに手をかけたマラ蟲だったが・・・ 「デ?デスデギャァ!」 糊でカピカピに固まったパンツはどうやっても脱がせられるモノではない。諦めてパンツの上から捻じ込んでやろうと 思ったのかそのままピストン運動を続けていたが… 「デギャァァァァーーー!」 しばらくすると血が滲んだマラを押さえてうずくまってしまった。何たいしたことではない。先程服に糊を滲み込ませた 時についでにその辺の砂をまぶしておいただけである。 「どうだ、実装石?これがお前に与えられた最強の防御力だ。今度は最強の攻撃力を試してみろ。まずは普通にこう挨拶 してみろ。」 そう言ってお辞儀しるようなジェスチャーをしてみせてから股間を押さえてうずくまるマラを顔の前に持っていってやる。 「デギャアアアアーーーー!」 額から血を噴き出しながら暴れるマラ蟲。角状に固められた前髪で眉間に穴が開いたのだ。 「次はこうパンチだ。」「デスッ!」 「デギャアアアアーーーーーーーー!」 サンドバック状態のマラに無数の穴を開けられ叫ぶマラ蟲。せめて足が動きゃ逃げられたんだろうけどな。 「最後こう抱きしめてやれ。」「デスッ!」 「デッギャアアアアーーーーーーーーーーーー!」 今度は全身から血を噴き出すマラ蟲。後ろ髪でできた大角と掌(?)のトゲにやられたのだ。 「これで力の使い方は分かったな?せいぜい復讐を果たすがよい。但し気をつけろ。その体には適度な急速が必要になる。 せいぜい1日に復讐できる相手は10匹までだと思っておけ。あまり慢心すると必ずお前に天罰が下るぞ。」 「デププ、安心するです。ワタシは見事本懐をとげてミルデス。決して慢心なんてしないデスゥ♪」 デププって笑ってる時点で充分怪しいんだけどまぁいいだろう。サービスついでにいまだに乱痴気騒ぎをしている糞蟲の 群れの中まで運んで行ってやると・・・ 「デギャァァァァーーー!」「デギュオオオーーー!」「テチェエエエエン!!」 おー始まった始まった。いきなり自分達の目の前におかしな実装石が落ちてきて最初は嘲笑っていた糞蟲達だったが 頭突きで頭に穴を穿たれ、爪楊枝パンチで穴だらけにされ、死の抱擁で地獄に送られと数を減らすに従いソイツが 危険な存在だと理解したらしく慌てて逃げ出した。とは言えほとんどの連中は同じところをグルグル回っていたり 互いにぶつかり合ってひっくり返ったりであまり逃げているとも言えないのだが。 中には手持ちの棒切れや歯で立ち向かう猛者もいたが糊でカピカピの服の前では文字通り歯が立たない。 あっさりとはね返されて風穴を開けられる。 「デプププ・・・」 手に引っ掛った仔蟲の肉を食いながら次の獲物を捜す改造実装。ありゃ俺の忠告なんて完全に忘れてるな。 「おっ雨か。」 曇り空からまたポツポツと雨が降ってきた。もうしばらくジェノサイドを見物したかったのだがこんな理由で風邪を ひいても笑われるだけなので近くのコンビニで雨宿りすることにした。 「デギェェェェェェンンン・・・」 「ありゃー、やっぱそうなったか・・・」 雨がやんでから公園に戻って予想したとおりになった風景を見て思わず笑ってしまった。どうやら改造実装はあの雨の中 ずっと暴れまわっていたらしい。当然糊付けしただけの髪も服もふやけて溶けてもとに戻ってしまっている。 更に手に刺し込んだ爪楊枝も水でふやけてしまってそれなりの威力はあるものの有る程度武装した野良なら対処できる レベルにまで威力が落ちている。こうなってしまうと流石に多勢に無勢。結局リンチをうけて半殺しにされてしまっている。 「ニンゲン・・・助けろデスゥ・・・もう一度耐えてやるデス。力を与えろデスゥ・・・」 「もう遅いよ。て言うか自業自得だし。」 本来は野良蟲達の血や体液でふやけて使い物にならなくなることを予想していたのだが、先程の雨に先手をうたれてしまった。 本当なら今日1日はアイツにジェノサイドを楽しませてやれると思ったんだけどな。 「天って言うのは最強の虐待士かもな」 少し日が差し始めた空を見上げ元・改造実装の悲鳴を背中で聞きながら俺は晩飯に何食べるか考えながらやっぱり食べ物 で遊んじゃダメだなと改めて思ったのだった。 =========================================================== 先日の大雨と急激は気温の変化、そして冷蔵庫内でおこった実話を元にした即行スクです。暇つぶしにどうぞ
