タイトル:【観】 禁忌の実験
ファイル:実蒼石実装化.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3137 レス数:0
初投稿日時:2010/08/16-17:07:32修正日時:2010/08/16-17:07:32
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 私はとある実験派。
 今回は危険な実験を行うので、可能な限り極秘に行動する。

 地下二階、極秘実験室。
 とは名ばかりで、がらくた置き場を改造したものだが、細かいことはまあいい。
 アルミで作った十字の磔台に、一匹の実蒼石が拘束されていた。ネムリの効果でまだ目
は覚めていない。足が付かないように遠方から攫ってきた実蒼石。

「ボ……」

 目を覚ました。
 無機質な部屋を見回してから、訝る。

「ここはどこ、ボクゥ?」

 私は無言のままスイッチを押した。
 機械が動き実蒼石の頭を固定。正面を向いていた顔を真上に向けさせる。

「何するボク!」

 騒ぐ実蒼石には構わず、頭の上にある機械が動きインクを落とした。赤と緑のインクを、
実蒼石の両目に。右目に赤、左目に緑の実装石カラーである。

「デギャアァアァッ!」

 実蒼石の喉から上がったのは、実装石の鳴き声だった。

 実装石の両目を逆に染めると「ボクボク」と鳴くようになる。逆に実蒼石の両目を逆に染
めると「デスデス」と鳴くようになり、放置しておくと実装石になってしまうという。実蒼
石の実装化という、実蒼石にとっての最大の禁忌だ。

「デーッ、この声は何デス! 何でデェェェスゥゥ!」

 両手足を動かし、暴れる実蒼石。しかし、金具でしっかりと固定されているため、拘束
を壊すこともできず、まともに動くことすらままならない。
 実装化した実蒼石は速やかに仲間に殺され、実装化を行った者は報復を受けるという。
実装石の目の色を変えるだけでは警告程度で済むらしいが、実蒼石の目の色を逆にした者
は本気で殺されるらしい。








「殺してデスゥゥゥ! 誰かボクを殺してデスゥゥ!」

 両目から色付き涙を流し、実蒼石が叫ぶ。
 しかし、ここから外に声が漏れることはない。強力栄養剤と偽石保護剤も注射してある
ので、偽石自壊の心配もまずない。

「ボクが、ボクじゃなくなるデスゥゥゥ!」

 実蒼石の顔は恐怖と絶望に染まっていた。








「助けてデス……。ボクを早く殺して——デス……」

 半日ほどで変化が現れた。
 実蒼服の色が緑色に変わり始めている。頭に乗せている帽子が形を崩れ、頭髪と一体化
し初めていた。こちらも、黒と茶色から徐々に緑色に変わっている。後ろ髪が伸びて、口
も心持ち"A"のような形になり始めていた。

「実装石になるのは……嫌デスゥゥ……」








 およそ十八時間後。
 実蒼石が虚ろな眼差しで、コンクリートの床を見つめている。

「ワタシは……誰なんデス……」

 実蒼石はだいぶ実装石に近づいていた。
 体型は細身の実蒼石から、丸っこい実装石のものに変わっている。口も完全なA型にな
っていた。帽子と髪がほぼ一体化して頭巾となり、シャツとズボンが一体化した緑色のワ
ンピース。シャツの一部が前掛けになっている。

 まだ一部に実蒼石の面影を残してはいるが、ほどなく実装石になるだろう。








 実蒼石が目の色を逆にされてから、一日が経つ。

「デェェ、お腹空いたデス……」

 実蒼石は完全に実装石へと変化していた。
 体格や服装など、実装石そのものである。元々実蒼石だと言われても、変化の過程を見
ていなければ誰も分からないだろう。

「ニンゲン、何か食わせるデスー!」

 カチリ。

 金属音がして、拘束具が外れた。
 十字の拘束台から床へと落ちる元実蒼石。

「デッ」

 落ちた際に尻餅をつく。痛かったのか、右手で尻をさすっていた。
 だが、目の前の箱から現れた高級実装フードを見て、動きが止まる。お肉とお魚、野菜
を甘味と旨味で味付けした、生タイプ高級フード。一缶700円。

「旨そうデッスゥゥゥ!」

 歓喜の声とともに、元実蒼石は高級フードへとかじりついた。ここに連れてこられて丸
一日何も食べていないのだ、かなりの空腹だろう。
 かつて実蒼石だった面影もなく、元実蒼石は高級フードをがっついている。

「旨いデスゥゥン♪」

 その姿はまさに実装石そのものだった。








 実装化実験が終わり、私は元実蒼石を外へと放した。

「デェェ……。ここどこデス……?」

 とある地方都市のとある草地。そこは実蒼石の群れがいる草地だった。実装石が沢山い
る場所というのは珍しくもないが、単独行動を好む実蒼石が群れるのは珍しい。

 元実蒼石を処分してもよかったが、実装化した元実蒼石が、実蒼石にどう扱われるか気
になったのである。そこで、実蒼石のいる場所へ放してみたのだ。
 私は離れたところから望遠鏡で観察している。

「ボク……」
「実装石ボク」

 匂いを嗅ぎ付けてか、ほどなく集まってくる実蒼石。群れの若手らしき四匹だった。ハ
サミを取り出しながら、訝しげに元実蒼石を見ている。

「デギャァァァ! ハサミデスゥゥゥ!」

 実装石にとって恐怖の対象である実蒼石。実装化した元実蒼石にとってもそれは同じら
しい。パンコンしながら腰を抜かしている。

 だが、実蒼石は攻撃をしかけない。
 普通ならパンコンした実装石見れば即座に斬り捨てるというのに。

「なんかおかしいボク?」
「長老のところに連れていくボク」
「デギャァァァ! 何するデスゥゥゥ!」

 集まった実蒼石によって、元実蒼石は連れて行かれた。

 これは……予想外の流れになってきたな?








 草地の奥にいた、老け込んだ実蒼石。ここの群れのリーダーである長老だった。

「これは、実装化された実蒼石ボク」
「ボク……!」

 長老の言葉に集まっていた十数匹の実蒼石が、狼狽える。
 長老の前に置かれた元実蒼石を凝視していた。

「デェェ……」
「少し待つボク……」

 そう告げて長老は、その場から離れる。








 長老が持ってきたインクのようなもので、元実蒼石の両目を逆に染めた。

「ボギャァァァァアァァ!」

 絶叫する元実蒼石。
 実装石の両目を塗り替え、実蒼化させるのは実蒼石にとっての禁忌。実装化ほどじゃな
いけど、まさか実蒼石が元実蒼石とはいえ実装石の目の色を逆にするとは思わなかった。
 ひとしきり騒いでから、元実蒼石は赤と緑の目で周りにいる実蒼石を見つめ、

「ボォ……クゥ……。みんな、ボクを殺し——」

 ドスドスザク……。

 周囲にいた実蒼石がハサミを突き刺し、元実蒼石は息絶えた。
 元実蒼石の肉片を見つめてから、長老が静かに宣言した。

「戦争ボク……」
「ボク……」

 周囲の実蒼石が一斉に頷いている。

 これは、マズいかもしれない。








 ボク……!
 ボーク……!
 ボクッ!

 実蒼石の声が聞こえる。
 私は胸を押さえながら、公園へと駆け込んだ。手で押さえたところで出血が止まるわけ
ではないけど、何もしないよりはましだろう。もっとも、一ヶ所を押さえても気休めにし
かならないのも事実だが。

「もう長くはないかな?」

 肩で息をしながら、呻く。
 あれから数ヶ月後、私は実蒼石に襲撃された。一体どこからどのように私のことを調べ
たのかは分からない。突如として数百匹の実蒼石がハサミを持って襲いかかってきた。
 バールやコロリを使ってなんとか応戦したものの、多勢に無勢。
 私は公園の外灯に寄り掛かり、入り口を見た。

「ボォクゥゥゥ!」
「ボクボクッ!」
「ボォォ!」

 大量の——千匹くらいいそうな実蒼石の集団が、ハサミを構えて公園へと流れ込んでこ
んでくる。両目に怒りの炎を灯し、雪崩のように私に向かってくる。
 得物は既に失った。コロリやスタングレネードも全部使ってしまった。残るは満身創痍
で出血多量な己の身体のみ。我ながら自業自得の結果だが、私もこのまま無抵抗で殺され
る気はない。

「ボォォォクゥゥゥ!」
「ボギャァァァァ!」
「ボクゥゥッ!」
「うおおおおお!」

 私は拳を固め、実蒼石の津波に挑み掛かった。


  END


 過去スク

2169.【観察】ある獣装石の一生
2167.【虐】つまようじ
2157.【実験】姉妹のジレンマ
2152.【虐】しまっちゃおうねー?
2147.【馬虐】最強の虐待法
2142.【パ・色々】刈り取るモノ
2141.【馬】最強の実装石
2138.【観怪】〈紫〉歩き回る刃物
2129.【観虐】昆虫採集瓶
2127.【観察】実装ショップで買い物 
2126.【食】蛆チーズ
2125.【虐】レーザーライフル
2123.【馬】炎のチャレンジャー
2117.【馬】隣の公園のマッスル
2116.【虐駆】〈紫〉広場の実装石駆除
2114.【虐馬】マラ実装石虐待
2111.【虐・怪】〈紫〉黒いニンゲン
2108.【虐】上げて落として
2105.【馬】実装された都市伝説
2104.【哀】希望と絶望
2101.【馬】〈紫〉カツアゲ…?
2099.【観察】〈紫〉幸せな最期とは
2097.【虐】斬捨御免
2089.【実験】レインボー実装石
2081.【観察】Narcotic Addict − 麻薬中毒者 −
2077.【馬・虐】〈紫〉マラカノン砲
2071.【馬鹿】〈紫〉虐待してはいけない…
2066.【虐・実験】ジッソウタケ
2057.【虐・他】中途半端な賢さは…
2038.【虐・愛?】ダイヤモンドは砕けない
2031.【馬鹿】雪華実装は鍋派?
1994.【虐・観】時間の狭間に落ちる
1988.【虐】クリスタルアロー
1983.【馬鹿・薔薇】リベンジ! 完全版
1980.【馬鹿・薔薇】リベンジ!
1977.【虐・観】懲役五年執行猶予無し
1970.【実験・観察】素朴な疑問
1958.【虐・実験】虐待&リリース
1954.【獣・蒼・人間】騎獣実蒼の長い一日
1952.【軽虐】既知との遭遇
1944.【馬鹿・薔薇】水晶ハワタシノ魂ダ!
1941.【色々】実装社交界の危機
1939.【駆除】ススキ原の実装石駆除

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