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ルト…
ル…ト…
ルー…
実装燈が鳴いている。
深夜十一時前。一人の男が、歩道を歩いていた。どこにでもいるような三十路ほどの男
である。背は高くもなく低くもなく、年齢のせいか少し腹が出始めている。服装も普通の
もので、これといって目を引くようなものはない。
ただ、その目付きは一般人のそれではなかった。
見る者が見れば、一目で犯罪に手を染めていると分かる目付きである。
幸い、夜中のため男を見る者はいない。
「ん?」
それは、公園横の外灯の下を通った時だった。
べちゃ。
膝の辺りに小さな衝撃を覚える。
身体を屈め当ったモノに触れてみると、ぬるりとした不快な手触り。思わず顔をしかめ
て手を持ち上げてみると、手に付いた緑色のヘドロのようなものが外灯の光に照らされた。
実装糞である。その怒りと不快感に背筋が粟立った。
「デープププププ! デピャピャピャピャー!」
勢いよく目を向けた先には、実装石が一匹立っている。小さな公園。入り口から少し奥
に入った所。外灯の灯りがぎりぎり届くか否かの距離だった。
左手で腹を押さえ、派手に笑っている。
実装石に糞を投げられ、あまつさえ大笑いされた。男がキレるに十分な理由である。
「こんクソがッ!」
怒りに任せて、駆け出した。
同時、実装石がその場で回転する。男には実装石が踊ったように見えた。だが、怒りに
我を忘れた頭には、それが何を意味するかは考えられなかった。
「ッ!」
顔に何かが当たり、男は反射的に目を閉じる。
それに合わせるように、何者かが足を払った。
半ば倒れ込むように走り出した直後、右足を持ち上げた姿勢で地面に残っているのは左
足だけ。顔に何かが当たり目を閉じ、残った左足も払われている。
重心と平衡を失い、男は前のめりに倒れ込んだ。
普通なら、思い切り転倒するだけで終わっただろう。
だが、男が倒れ込んだ位置には、尖った石が置かれている。最初からたまたまそこに落
ちていたかのように。拳の半分くらいの大きさの黒っぽい石。
ゴキッ!
男は額から石に倒れ込み、脱力して動かなくなった。
いわゆる脳震盪。力任せの突進と転倒の運動エネルギーを、一気に石の尖端に叩き付け、
その反動を脳へと直撃させたのである。
その時には、既に実装石は姿を消していた。
公園の反対側へと走る、三匹の実装生物。
「グリーン。なかなかやるのダワ」
実装紅が後ろを走る実装石に声をかけた。
暗い夜の闇に、実装紅の金髪がうっすらと浮かび上がっている。だが、周囲に人の目は
無いため、実装紅が走っているのに気付く人間ははいない。
すぐ後ろを走る実装石にとっては、金髪は目印として最適だった。
「それほど……でも、無いデス……。怖かったデス……」
「でも、だいぶ慣れてきたのかカシラー」
怯えた声で応える実装石と、実装石の後ろを走る眼鏡を掛けた実装金。
「仕事は終わったルトー」
「グリーン、頑張ったルト」
頭上から聞こえる実装燈の呟き。
実装燈が上空から標的の偵察。目的地に到着してから、実装石による投糞の挑発。我を
忘れたところで小枝を顔に投げつけ、実装紅がツインテールで足払い。実装金が置いた石
の上に転倒させる。
これが、今回の作戦だった。
「あとはホワイトが片付けるのダワ」
「デェェ……」
やがて、三匹と実装燈たちはどこへともなく消えた。
朝方、犬の散歩をさせていた老人が、公園の入り口に倒れている男を発見し119番通
報。その後病院にて死亡が確認される。
「頭部強打による事故死……」
若い刑事は検死結果を記した書類を眺めながら、頭を捻った。
直接の死因は、額を石に強打した際の脳挫傷。状況から見るに、実装石に糞をぶつけら
れ、キレて走り出したが、足を滑らせ転倒、地面に落ちていた石に頭をぶつけ、打ち所が
悪く死亡した。偶然が重なった不幸な事故と見るのが妥当だろう。
「少なくとも、連続殺人の指名手配犯じゃなければ、運の悪い男で済ませたんだが」
上司である警部補が呻く。
若い女性を専門とした殺人犯。現在六人の女性が犠牲となっていた。その男が、突然死
体となって現れたのである。それを事件と疑わない方がおかしい。
「単なる事故か、復讐か……」
それは一年前のことだった。
曇りの日の夕方の公園。
「ヒャッハー!」
若い男が80cmバールを二刀流で振り回し、暴れている。実装石の増えた公園で暴れる虐
待派。それ自体は珍しくはなったが、そう不自然なものではない。
しかし、その男の雰囲気は変だった。
「死ぬのはイヤデスゥゥ……!」
「ギャクタイハデスゥゥゥ!」
「デギャッ!」
振り回される鉄の棒に一撃され、実装石が吹っ飛んでいく。しかし、どの実装石も一撃
では殺していない。バールで殴ってはいるものの、即死しないように手加減してあった。
逃げられない傷を与えている。
「ママァァァ……」
一匹の仔実装石が、ブロックの隙間からその様子を眺めていた。
虐待派が現れたことを察した親実装によって、この隙間へと隠されたのである。親は愛
情ある賢い実装石だった。親実装の思惑通り、仔実装は男に気付かれることもなく、生き
延びることができた。
だが、親実装は男のバールによって半死半生で転がっている。
「ふぅー」
男はひとしきり暴れ回ってから、周囲で血を流している実装石を見回した。狂気めいた
笑顔を浮かべながら、バールを放り捨て、短いノコギリを取り出す。
「さて、もっと遊ぼうねー、実装ちゃん」
それから残虐な虐待ショーが始まった。
ノコギリ一本で次々と実装石を惨殺していく。短時間で思いつく限りの苦痛を味合わせ
て殺していた。虐待された実装石は、ほぼ発狂した末の偽石自壊で死んでいる。仲間が拷
問の末に殺されるのを見て、無力に震える実装石たち。自壊する者もいる。
「あぁ、チクショウ。うざってぇなァ……!」
その男の顔は虐待派のものではない。
ギラギラと輝く双眸、口元に張り付いた笑み。重度の虐待派でも、この男に比べれば随
分まともと言えるだろう。それは明らかな猟奇者の顔だった。
やがて、男の手が親実装へと伸びる。
「ママ……」
ブロックに隠れた仔実装には何もできない。今すぐ飛び出して駆け寄りたいという衝動
を、恐怖と理性で無理矢理抑えるだけだった。仔実装はあまりに無力すぎる。
男の手が伸びたその一瞬、親実装が顔を向けてきた。
半分砕けた顔で見せた、渾身の笑顔。
「テ……」
仔実装はその笑顔に動きを止める。
それから、親実装は男の手によって解体された。何度も悲鳴を上げ、涙を流し、暴れ、
血を流し、許しを請い、心と命の石が壊れるまで三十分、たっぷりと悶え苦しんで。
ブロックの隙間から、仔実装はただ無力に親実装が殺されるのを眺めていた。とっくに
日が沈み、深夜になっているというのに、男は実装石を嬲るのを止めない。
「絶対に、復讐してやるテチ……」
壊れた笑みとともに実装石を惨殺していく男を睨み、仔実装はそう心に刻む。
親無しの仔実装が成体になるのは非常に難しい。
だが、仔実装は復讐のために気迫と根性で生き延びた。何度も死にそうになった。だが、
その度に執念で切り抜けている。元々非常に賢い個体であったのも幸いしただろう。仔実装
はおよそ一ヶ月半で完全な成体へと成長した。
だが、成体になり、人間と実装石との絶望的な実力差を理解する。
親が殺されてから二ヶ月。
人気の無い林の中で、実装石は暮らしていた。街から離れた小高い丘である。人間の入
り込む道は舗装されていない砂利道のみ。滅多に人間が来る事も無く、来ても実装石に注
意を向ける者はいない。街に近い場所に住みながら、山実装に近い暮らしをしていた。
「今日も一日終わったデス……」
木箱の巣から暗くなった林を眺め、一息つく。
人間や同族になるべく関わらずに暮らすのが安全だと、実装石は若いなりに理解してい
た。食べる事を目的として実装石を襲う動物はまずいないので、意外と安全である。実装
石は山実装など一部を除いて、基本的に不味い。
「ママ……」
ふと殺された母親の事を考える。
親実装を殺した人間への復讐心はまだ消えていなかった。だが、消えかかっているのも
事実だった。完全に消えるのも時間の問題だろう。実装石一匹の力で人間を殺すなど、不
可能である。不可能な復讐を考えるよりも、一実装石として自分の実装生を歩んだ方がよ
いと、理性が告げていた。しかし、憎しみが消えたわけでもない。
「ワタシはどうすればいいデス……?」
「あなたニ復讐する力をあげましょウ」
不意に声がかけられた。
日の暮れた暗い林。どこからともなく白い霞が集まり、空中に白い実装を描き上げる。
乳白色い髪と、微かに翠色を帯びた金色の瞳、右目からは白い花が咲いていた。白い服を
まとった奇妙な実装。
赤と緑の目を見開き、実装石は声を絞り出す。
「何者デス……?」
「私は雪華実装。アナタに危害ヲ加える気はナい」
白い実装はそう告げた。
「キラ……。デェ……?」
実装石はぐるぐると思考を回す。雪華実装。そんな実装が存在するという噂は聞いたこ
とがある。聞いたことがあるだけで、実物を見るのは初めてだった。
「アナタと取引したイ……。私はアナタに人間を殺す力を与えル。そして、殺す手伝いヲ
する。代わりニあなたは、私たちの仕事ニ協力すル。悪い取引デはないと思うケド?」
言っている事は単純だった。復讐の手伝いをするから、代わりに自分の手伝いをしろ。
非常に賢い個体のため、この程度は労せず理解できる。
しかし、腑に落ちないことがいくつか。
「仕事って何デス……?」
実装石はそう尋ねた。
仕事という言葉は知っている。だが、仕事というのは人間か、人間の近くにいる者が行
う事。それが、実装石の認識だった。野良実装石が仕事をすることはない。日々の餌集め
などは普通仕事とは呼ばない。
「人間ノ間引き……。悪い人間を殺ス手伝い」
雪華実装はあっさりと応えた。
「デ……?」
その台詞を頭の中で何度も繰り返し、実装石は何とかその意味を理解する。人間を殺す
手伝いをしろ……無茶で無謀で、意味不明だった。
あまりに現実離れした内容に茫然としつつも、続けて尋ねる。
「デェ……。力をくれるって、どんな力を……くれるデス?」
雪華実装は地面に落ちている小石を示した。
「その石を投げテみて」
「? こうデス?」
訝しく思いつつも、小石を拾い上げる。どこにでもあるような灰色の小石。
実装石はそれを思い切り放り投げた。
放物線を描いて、一メートルほど先に落ちる小石。それだけだった。実装石はその身体
構造上、ものを投げるのは苦手である。飛距離も一定しない。運が良ければ三メートルほ
ど飛ぶが、運が悪ければ全く飛ばない。
「今度はこう投げテみて?」
含みを持った笑みとともに、雪華実装が身体を動かす。
斜めに傾けた身体を回転させながら、右手をすくい上げるように振り抜いた。実装石は
知らないが、それはいわゆるアンダースローの動きである。
実装石は別の小石を拾い、雪華実装の真似をするように身体を動かし——
「デェ!」
その瞬間、世界が変わった。
斜めに傾いた身体が、左耳の尖端から右足の尖端までを軸に回転する。まるで自分の身
体が別のものになってしまったように、異様な力が走った。まさに未知の感覚。バラバラ
に動いていた身体の部位が、一気に連動する。左手と左足が勢いよく後ろに動き、その反
動で小石を持った右腕がすくい上げるように振り抜かれた。
勢いのまま一回転し、実装石は地面に倒れる。
すぐに顔を上げた。
カッ。
小石が木に当る音が、遠くから聞こえた。
「凄く……飛んだ……デス……」
小石の飛んでいった方向を見ながら、ただ純粋に驚く。
音からして十数メートルは飛んだだろう。もしかしたらもっと飛んでいるかもしれない。
実装石がこれほど遠くにものを投げることは不可能だ。だが、できた。
雪華実装が金色の片目を向けてくる。
「こレがアナタの持つ力……才能……。ものを勢いよく投げル。ただ、それダけ——。そ
レだけで、十分……。私はアナタに、この"投げる力"の使い方を教えル。代わりに、アナ
タは私たちニ力を貸して」
「デェェ……。分かったデス……」
数拍の思考から、実装石は頷いていた。
そのまま実装石は雪華実装に連れて行かれる。
林の中を歩いたら、開けた場所に辿り着いた。実装石は自分の住んでいる林はそれなり
に知っていたが、こんな開けた場所は無いはずである。加えて、灯りも無いはずなのに、
その空き地は明るかった。
「紹介すル……」
雪華実装は実装石を左手で示す。
「彼女が新入リの見習い」
「よろしくカシラ」
「よろしくダワ」
挨拶をしてくる実装金と、実装紅。
そこにいたのは、平たく言って実装生物全種類だった。
実装燈が十三匹、集まって木の枝に留まっている。
実装用眼鏡をかけた実装金。
黒いハサミを抱えた、淀んだ目付きの実蒼石。
見た目は普通の実装紅。
布団を被った超肥満体の実装雛。
顔を横切る傷のある薔薇実装。
「アナタたちは、何者デスゥ……?」
実装石はその場にいる実装を見回し、そう問いかけた。
こうして実装種が集まることは通常ありえない。だが、こうして集まっている。しかも、
誰を見ても普通の実装ではなかった。
「彼女たチは、私たチの仲間。それゾれ、理由があって一緒にいル。機会があレば、訊い
てみテ。運がよけれバ、答えルかもしれナイ」
「デェェ……」
実装石は再び全員を見回す。
そして、その日は顔合わせで終わりだった。
短い挨拶をして分かったことは、彼女たちは皆色の名前を持っていることだった。ホワ
イト、レッド、ブルー、シルバーなど。実装金は自分がイエローであり、ゴールドでない
ことにかなり不満らしい。
実装石はグリーンと呼ばれるようになった。
数日後。
林の中で木の実を拾っていた実装石の前に、雪華実装が現れた。
「お仕事するカラ、見学に来テ」
そのまま有無を言わさず、連れて行かれる。
どういう原理なのか、少し歩くだけで景色が変わった。林から街外れ、街外れから街中、
そして公園の一角に。空の雲も変わり、空気も変わる。
少し歩いただけなのに、ひどく遠くに来たようだった。
「標的は動かないルトー」
「周りにニンゲンはいないルトー」
小さな声で実装燈たちが鳴いている。
ベンチに中年の男が座っていた。ヒゲを伸ばした小太りの男で、普通の人間とは違う、
やや派手な服を着ていた。誰かを待っているのか、ちらちらと周囲に目をやり、時折手首
の腕時計を見ている。
実装石は雪華実装と一緒に、茂みの影から男を見ていた。
「あのニンゲン、何者デス?」
「詐欺師の男。インチキで人を騙して、お金ヲ集めていル。あの男ノせいで何人モ不幸に
ナっていルし、間接的に人殺しもしてイる。だかラ、殺して欲しいト、依頼が来タ」
雪華実装の説明はよく分からなかったが、悪い人間であることは分かった。人間の間引
き。悪い人間を殺す手伝い。言われた言葉を思い出す。
「まだか……」
男はベンチに座ったまま、顔をしかめていた。イライラしている。
雪華実装が呟いた。
「時間……」
「ルトー」
実装燈の鳴き声と同時、ベンチの後ろの茂みから、ふたつの影が飛び出した。
実蒼石のブルーと薔薇実装のパープル。ブルーは両手で黒いハサミを構え、パープルは
紫水晶のハンマーを持っていた。音もなく空中へと身を躍らさせている。
「え?」
男が振り返る。
ズッ……。
ブルーの黒いハサミが首筋を斬った。
男の喉元から、冗談のように大量の血が溢れ出す。咄嗟に両手で首を押さえたが、血は
止まらず流れ続ける。ハサミの一撃が頸動脈を斬っていた。普通の実装バサミが人間の肉
を深く斬るのはまず無理だが、ブルーのハサミは特別製のようである。
ゴッ。
パープルの水晶ハンマーが、頭を殴打した。
男は派手に頭を揺らし、白目を剥いて意識を失う。喉から流れる血は止まらずに服とベ
ンチを赤く染めていた。頸動脈を斬られ、頭を殴られ気絶。人が来なければ、遠くないう
ちに死ぬだろう。
ブルーとパープルは姿を消している。
「デェェ……」
あまりの出来事に、実装石は固まっていた。
人間を殺す実蒼石と薔薇実装。正確にはまだ死んではいないが、これでは死んだも同然
である。つい先日まで賢いだけだった実装石には、非常識すぎる光景だった。
「後始末は私ノお仕事……」
雪華実装が気絶した男の側に移動し、触手のような白い茨を伸ばした。大小数十本の白
茨が周囲を舐め取るように蠢いている。その一本が、男の胸を貫いた。一度小さく震える
男の身体。白茨を引き抜いた跡に傷は無かった。
白茨には、淡い光の球が巻き取られている。
雪華実装は赤い口を開いた。光の球を口に入れ、それを一口で飲み込む。生き物のよう
に辺りを舐め回していた白茨も、どこへとなく消えていた。
それから、滑るように実装石の横に戻ってくる。
「証拠隠滅完了。これデお仕事は終わリ……」
「アナタ、今何したデス?」
実装石は、雪華実装の口を示した。男の身体から取り出した光の球。詳しい事は分から
ないが、それがとてつもなく大事なものであることは、一目で分かった。
「あの男の魂を食べタ」
「魂……デス?」
「あノ男の命、記憶、意識——。そういう情報の塊。実装の持つ、命の石ノようなものか
しラ? あの男はもう二度ト自分で動くことはない」
その台詞に、実装石は改めて男を見つめた。
ベンチに座り、俯いている人間。首から溢れた血が、服を染め、ベンチを汚し、地面に
血溜りを作っている。微かに身体が動いているので、死んではいないようだった。だが、
雪華実装の言葉を信じるならば、男は死んだのだろう。
「帰りまショウ……」
「はいデスゥ」
開けた草地で、実装石は投げる練習をさせられていた。
ここには、雪華実装に連れて来られている。雪華実装は不思議な力を持っていた。遠い
距離を一瞬で移動してしまうのも、その力のひとつらしい。
実装石の行っている練習は、単純である。十五メートル離れた小さな箱に、小石をひた
すら投げ入れるものだった。やる前は簡単と思ったのだが、やってみると難しい。距離は
何とかなるのだが、命中率が恐ろしく悪い。
「休憩の時間なのダワ」
近くの切り株に座った実装紅が、休憩を告げる。右手に丸い時計を持っていた。人間用
の懐中時計なので、サイズは小さいものの実装生物にとっては十分に大きい。
「デェェッ……」
汗だくのまま、実装石はその場に倒れ込んだ。
およそ一時間、ほぼ休憩無しで延々と小石を投げ続けていたのである。並の実装石なら
ば逃げ出しているところを、執念と根性で続けていたのだ。もっとも、疲労のせいで身体
はもう動かない。
「とりあえず食べるのダワ」
実装紅が小皿に盛られた角砂糖を地面に置く。
「デェェスッ!」
動かないはずの身体で、実装石は角砂糖に飛びついた。
用意された実装フードを食べ終わってから、実装石は実装紅に問いかけた。
「アナタはどんな凄いことができるデス?」
「ワタシは人を転ばせられるのダワ。それだけダワ」
実装紅はマイティーカップで紅茶をすすりながら、澄まし顔で答える。
実装石はじっと実装紅を見つめた。レッドと呼ばれている実装紅。雪華実装に集められ
た実装生物の中では、一番"普通"に見えた。
「……それだけデス?」
「それだけダワ。自分の力で人間を直接殺せるのは、ブルーとパープルだけダワ。あと、
シルバーたちが直接殺傷系なのダワ。ワタシとイエロー、ピンクは変な特技を持った実装
なのダワ。アナタのように」
そう手を向けてくる。
「変な特技……デス?」
実装石は自分の右手を見つめた。野良実装石としては非常に賢く、体力もあると自負し
ている。そして、実装石とは思えないほど、ものを投げるのが上手い。まだ命中率は低い
が、そのうち命中率もよくなるだろう。逆を言えば、それだけだ。
「特技というか……はっきり言って一発芸ダワ」
冷めた口調で、実装紅は言い切った。
「イエローは"計算できる"のダワ。ものの移動する位置を、すぐに、正確に、把握できる
のダワ。予知と思える正確さで計算できるのダワ。他はちょっと賢くて逞しい実装金なの
ダワ。ピンクは……よく知らないけど……パソコンができるみたいなのダワ」
横を向いて、口をもごもごと動かしている。
「ピンクさんデス……?」
一番最初に見た、布団にくるまった丸い実装雛を思い浮かべた。
パソコン。人間が使う機械で、色々なことができると、実装石は聞かされている。それ
を使える実装というのも、非常に珍しいのだろう。
実装紅はため息をついてから、
「ピンクは無口なのダワ……。ホワイト以外とは滅多に口を利かないのダワ。だから、詳
しいことは分からないのダワ」
そう首を振った。
どこかにある夕刻の公園。
実装石は、雪華実装に連れられ、再び見学に来ていた。
「標的は南に徒歩で移動中ルトー」
「周囲五十メートル以内に人間はいないルトー」
公園の上空を飛びながら、実装燈が声をかけている。十三匹の実装燈は、仕事の際には
飛行能力と数を生かして偵察を行っていた。
公園を歩いている女。どこにでもいるような女だった。
「今ルトー」
実装燈の合図。
女の足元に、実装紅のレッドが現れた。近くの木の陰から歩いてくる。抜き足や忍び足
ではなく、ただ普通に歩くように。そして、女の存在に気付いていないかのように。
一方、女も足元に現れたレッドに気がついていない。
女と実装紅がすれ違う。
ふわ。
女の右足首に、レッドのツインテールの一房が巻き付いた。巻き付くというほどに強い
表現ではなく、ほとんど軽く引っかかる程度である。正面から緩く一巻きしただけ。
少なくとも、実装石にはそう見えた。
「あッ!」
それだけで女が大きくバランスを崩す。両手を動かしながら一度前につんのめり、起き
上がろうと後ろに仰け反る。そのまま勢い余って背中から倒れていった。
実装紅は一発芸と言っていたが、その技術はとんでもないものである。
「デェェ……」
実装石は目を見開き、驚きとともに目の前の光景を眺めることしかできない。
いつの間にか現れたイエローが、細い金属の針を地面に置いていた。丸い台座に固定さ
れた長さ十センチほどのピック。その尖端は、怖いほどに鋭く尖っている。
ゴリ……。
鈍い音とともに、女が後頭部から針の上に倒れた。
「ぐぎ、あ゛……」
女の口から漏れる、人間とは思えない異形の声。
二、三度大きく身体を痙攣させてから、動かなくなる。口がぱくぱくと動き、手足が時
折思い出したように跳ねているが、それは自分の意志によるものではないだろう。女は完
全な死に向かって転げ落ちていた。
およそ人間に力の届かない実装紅と実装金が、いとも容易く人間を殺している。
「デェェ……」
実装石にとってそれは夢幻のような光景だっった。
レッドとイエローは既に消えている。
雪華実装が女に近づき、数十本の白茨を伸ばして、周囲を掃き取り始めた。話によると、
実装紅や実装金の痕跡を消しているらしい。普通の実装には出来ない証拠隠滅は、自分の
仕事とのこと。
それから雪華実装は白茨を女の胸に突き刺して、白い光の球を取り出した。それを一口
に飲み込んでから、周囲の白茨をしまい、実装石の傍らまでやってくる。
「帰りマしょう」
「分かったデス……」
実装石の練習を見ていたのは、実蒼石のブルーと実装金のイエローだった。
切り株に座って、興味深げに練習を見ていた実装金と、地べたに座ったまま黒いハサミ
を抱えて空を見上げていた実蒼石。二匹はただ練習を見ているだけで、助言などをするわ
けでもない。それでも、見られている状況での練習は、不思議と気が入った。
休憩の時間に、実装石は二匹に問いかけてみた。
「アナタたちは何で、雪華実装と一緒にいるんデス?」
「ボクは、ニンゲンを殺すために作られたからボク……」
実蒼石が口を開いた。淀んだ眼差しで空を見上げながら、ぶつぶつと独り言のように言
葉を連ねる。目付きも淀んでいるが、声も同様に淀んでいた。
「だから、ボクはニンゲンを殺すボクゥ……。間違っているのは分かっているボク。でも、
この仕事を止めるわけにはいかないボク……。それが生きる意味だからボク……」
そう言って、黒いハサミを両手で抱えた。
実蒼バサミとは明らかに雰囲気の違う黒いハサミ。見るからに重く硬く、鋭利そうな代
物である。普通の実蒼石は秘密の仕組みでハサミを帽子にしまっているのだが、この実蒼
石はいつもハサミを抱えていた。
「これはハカセに作って貰ったボク……。ボクの持っていたハサミを元にしてたと言われ
たボク。大事なハサミだったけど、ボクはハカセを信じたボク……。でも、ハカセは警察
の人たちに連れて行かれてしまったボク……。残ったボクは途方に暮れて——」
ベシ。
実装金のパンチが、実蒼石の顔に叩き込まれた。鍛えた実蒼石にとって、実装金のパン
チはどうということもないだろう。だが、それで話を止める。
実装金は実蒼石を殴った手を振りながら、
「こいつは普段無口だけど、喋り出したら止まらないカシラ……。だから適当な所で力業
で止めるカシラ……」
「デェェ……」
ただ驚く実装石。
「ボクゥ……」
実蒼石は口を閉じると、淀んだ眼差しで空に目を戻した。
大きく息を吐いてから、実装金は右手で自分を示す。実装眼鏡の縁が微かに光ったよう
に見えた。緑色の目に微かな怒りを灯して、宣言する。
「ワタシは、ご主人の仇を取るためカシラ」
「ご主人デスゥ?」
「ワタシは飼い実装金だったのカシラ。ご主人を敬愛していたカシラ……!」
そう言った実装金の目は据わっていた。心なしか声にも殺気が込められている。ここに
はいない誰かを思い出しているのだろう。大事なご主人を殺した誰かの姿を。
実装石は地面に目を向け……正確には実装金から目を離し、
「ワタシはママの仇を取るためデス」
「そう、カシラ」
実装金は深くは訊いてこなかった。自分と似たような境遇であり、あまり深く訊かれた
くないと理解しているのだろう。
話を変えるように、実装石は別の事を尋ねる。
「レッドたちは何が理由デスゥ?」
「レッドも敵討ちらしいカシラ。パープルとピンクは、知らないカシラ。でも、何か深い
理由があるみたいカシラ。ワタシが仲間に加わるよりも前からいたカシラー」
すらすらと答えてくる実装金。気になって直接尋ねたことがあるのだろう。その口調か
らはそんな事が読み取れた。パープルとピンクに尋ねて、納得のいく答えが得られなかっ
た事も想像が付く。
それから、実装金はちらりと空を見上げた。
「シルバーたちは、多分食事のためカシラ……?」
「食事……デス?」
実装燈シルバー。十三匹合わせてシルバーで、個別にはシルバー1からシルバー13と
呼ばれていた。見た目がほとんど同じなので、誰が誰なのかは本人たちしか正確には分か
らないようだった。
普段は飛行能力と数を生かして、偵察を行っている。
実装金は続けた。
「あいつら、吸血実装燈カシラ」
暗い夜道を一人の男が歩いていた。
見た目はやや年行った男である。どこにでもいるおじさんと言えばそう見えるだろう。
しかし、実は法外な金利で金を貸して闇金を営む金貸しの一人だった。
周りに人のいない細い道。
ルト…
ルトト…
ルールー…
「ん?」
空から聞こえてきた鳴き声に、男は顔を上げた。実装燈の鳴き声であるのはすぐに分か
った。特徴のあるあの鳴き声を聞き間違えることもない。しかし、実装燈は昼間しか行動
しないらしいので、夜にその鳴き声を聞くことは珍しいことである。。
ピッ。
「ッ!」
首筋に鋭い痛みを覚え、男は振り向いた。闇金という危険な商売をしている身分、何事
もないまま夜道を歩けるわけではないと理解している。
だが、襲撃者らしき影はなかった。
首に刺さった何かを抜こうとして、後ろに手を回し、
「うっ」
不意に強烈な目眩を覚え、男はその場に膝を突いた。首の後ろに回す間も無く、手から
力が抜け、脇に落ちる。何かを刺されてから一秒にも満たないのに、凄まじい速効性だっ
た。足にも力が入らず、立っていることもできない。
「毒……!」
プスプスッ!
「くあぁ!」
立て続けに身体に走る鋭い痛み。
男は声も上げられず、その場に倒れ伏した。自分を襲った相手の目星が、何人か頭に閃
く。だが、今は相手のことを考えている余裕はない。すぐに立たなければ、殺される。
「ルトー」
「ルルルトー」
「ルートー」
実装燈の鳴き声が間近から聞こえた。
「なに……!」
見開いた目に映る一匹の実装燈。身長十数センチの小さなヒトガタが、すぐ目の前に降
りている。人形のような簡素な身体と、どうして飛べるのか疑問な小さな黒い羽。何で着
ているのか分からない、黒と白の服。
実装燈はとてとてと歩き、男の首元に近づいた。
「ルトッ」
「いぐッ!」
突如喉元に痛みが走る。太い針を刺されたような痛み。
さらに、身体のあちこちに同様の痛みが走った。
今まで生きていた経験を全て無にするような異常事態。空回りする思考を余所に、身体
が急激に冷たくなっていく。そこで不意に理解した。
(こいつら、オレの血を吸ってる……!)
数匹か、十数匹か、数十匹か分からないが、たくさんの実装燈が自分に群がって血を吸
っている。払い退けようとしても手が動かず、逃げようとしても足も動かない。麻痺した
身体から、自分でも分かる速度で血液を奪われていく。
(こんな死に方——ふざけるなァ!)
やくざな商売、まともな死に方ができるとは思っていない。少なくとも、刺されたり撃
たれたりして死ぬなら、ぎりぎり納得はできただろう。野良犬に噛み殺されたりでも、ま
だ諦めが付く——付くはずだ。
だが、得体の知れない乳酸菌好きのヒトガタに血を吸い尽くされて死ぬのは、人間とし
てのプライドが許さなかった。あまりに情けなく、屈辱的な最期である。
「さっさと離れやがれ、この羽蟲どもが!」
そう叫んだつもりだったが、声は出ない。
毒のせいか、身体が無くなってしまったように軽い。手足が動かない。そもそも手足が
ある感覚すらない。暑さや冷たさの感覚もない。音も聞こえない。まるで身体そのものが
無くなってしまったかのように。
「?」
目の前に顔が見えた。
微かに緑色を帯びた金色の目で、自分を見ている。丸い顔と乳白色の髪の毛。右目に白
い花を咲かせた、人形のような顔だった。その顔が赤い口を大きく開け。
「……っ!」
男はその口に飲み込まれた。
漆黒の闇に落ちていく自分の身体。何が起こったのか、自分がどうなっているのか、全
く分からない。人間としての常識の通じない世界に放り込まれたのだと理解する。
「……うあああああああああ!」
闇の中から伸びてきた無数の手に掴まれ、男は悲鳴を迸らせた。
「被害者は違法金融業者の男……」
「死因は失血死。管状のもので全身の血を吸い尽くされ、死亡……」
警察署の会議室。
集まった背広姿の刑事達。その顔は一様に暗い。
道で発見された男の死体。身元はすぐに分かったのだが、その死因が無茶苦茶だった。
麻酔で動けなくなった所から全身の血を吸い尽くされて死亡している。正確には、血液の
約八十パーセント失っての失血死だ。
周囲に血痕や加害者の痕跡は無し。
どれを取っても、異常な事件である。
「吸血鬼ですかね?」
「冗談言うな……」
若い巡査長の乾いた言葉に、上司は渋い顔で呻いた。
実は今回のような謎の失血死体。数は少ないものの、日本中で確認されていた。被害者
の共通点は、いわゆる"悪人"と言われる人間であることのみ。発生場所は規則性がなく、
吸血鬼が日本中を飛び回っていると冗談めかして口にする警察関係者もいた。
大小様々な石を投げているグリーンを、雪華実装と薔薇実装が並んで眺めていた。ふと
何か思いついたように、雪華実装が口を開く。
「そういえバ……」
「ドウシタノ?」
「……実翠石をメンバーに加えたイ。それデ実装生物の全種類が揃ウ」
「実翠石ハ……無理ジャナイ……?」
「そウ?」
「実翠石ハ、他ノ実装ニ比ベテ攻撃性ガ、凄ク薄イ……。タトエ人間ヲ恨ンダトシテモ、
殺スコトハシナイト思ウ……」
「フむ……」
「ソレニ……キャラガ曖昧ダカラ扱イニクイシ……」
「……それは問題ネ」
そんな他愛もない会話。
「練習の成果は、どうデッスゥ!」
実装石は右手を振り上げ、ガッツポーズをしてみせる。
二十メートル離れた小さな筒。こちらに入り口を向けた、直径五センチの筒だった。実
装石が投げた大小百個の石は、残らず筒に投げ込まれている。
およそ半年の練習を経て、実装石の投擲技術はかなりのレベルまで上達していた。重さ
や形状などに関わらず、片手で持てるものは飛距離二十メートルで誤差一センチほどまで
正確に投げられる。ひたすら投げる事を追求した結果だった。
一発芸と言ってしまえばそれまでだが。
「合格ネ……。そろそろ、グリーンも仕事をして貰おうかしラ?」
筒に放り込まれた小石を眺め、雪華実装が頷く。
その隣にいた薔薇実装パープルが口を開いた。
「私ノ仕事ノ、補助ヲ……オ願イシタイ……」
雪華実装と薔薇実装。並んでみると、よく似ていることが改めて分かる。色遣いなどは
違うが、体格や雰囲気、髪型などはほぼ同じだった。それが関係しているのか、雪華実装
が集めたこのグループでは、パープルは副リーダーのような位置にいる。
「分かっタ。計画ヲ立てておク」
再び頷く雪華実装に、実装石はおずおずと声をかけた。
「あの、ホワイトさん——ちょっと訊きたいデス」
「何?」
不思議そうに首を傾げる雪華実装。
実装石は勇気を振り絞って問いかけた。
「アナタは凄い力を持っているデス。なのに、何で自分で人間を殺さないデス? 何でワ
タシたちに人間を殺させるデス?」
それは雪華実装に、殺人の見学に連れて行かれた時から疑問に思っていたことだ。何か
を一瞬で別の場所に移動させる。無数の白茨を操る。人間の魂を奪い取る。実装にはまず
入手不可能な道具を簡単に用意する。分厚い鉄の扉を壊したり、大きなトラックを動かし
たりしたこともあった。
凄まじい力を持ちながら、何故か自分で人間を殺そうとはしない。
雪華実装は微かに口元を歪めた。苦笑するように。
「私は肉体を持たなイ精神体——言わば幽霊……。だかラ、意外と不自由なノ。生きてイ
ル相手を殺すコトは、アナタが思うよりも大きクエネルギーを消耗してしまウ。実装生物
以外の生き物ヲ殺すことは、凄く大変。だから、アタナたちの力を借りてイル。死にかけ
の人間かラ魂を奪うのハ、殺すよりもマダ楽だから」
「ソノ代ワリ……彼女ハ、私タチニ出来ナイ事ガ、出来ル……」
パープルが続けた。黄色い目で、隣に浮かんでいる雪華実装を眺めながら、
「ダカラ……私タチハ、オ互イニ……助ケ合ッテイル……」
「なら……ホワイトさんが、人間の魂を集める理由は何デス。最初は人間を食べていると
思ったデスけど、食べているようには見えないデス」
「ンー……」
雪華実装は隣の薔薇実装を見やった。お互いに視線で何事かを会話する。
「やっぱりデスゥ」
二匹の態度に、実装石はみんなの言うことを思い出していた。雪華実装と薔薇実装はか
なり強い繋がりがある。二匹とも何か同じ目的を持っているようだった。
「ある人を助けタイ……。そのためニ、強い精神エネルギーが必要。だから、人間の魂を
集めて、精製していル。悪人の魂は、総じてエネルギー量が大きイ……」
「ソレニ……悪人ヲ、殺スダケナラ……私タチモ、見逃シテ、貰エルカラ……」
「デェェ……?」
理解外の答えに実装石は首を捻る。
人間の魂から何かを作ろうとしている。自分たち殺し屋実装を知っていて、それを見逃
している者がいる。両者とも他のメンバーから聞かされていた事だが、雪華実装と薔薇実
装の口から聞かされると——
かえって訳が分からなくなってしまった。
「とにかく、これからアナタは正式にお仕事をする事になル……」
「分かったデス」
小雨降る夕刻の道路。
傘が地面に落ちる。
「デェェ……」
目の前で起こった光景に、実装石は目を見開いて固まっていた。
人間の女の胸に、パープルが紫水晶の針を突き立てている。アイスピックのような水晶
針が、上着を貫き、皮膚と肉を貫き、心臓を貫いていた。
実装石が歩いていた女の顔に、小枝を当てた次の瞬間の出来事である。
パープルは水晶針を引き抜くと、一直線に空中を滑り、実装石を掴み上げていた。
「ニンゲンノ気ヲ逸ラシタラ……スグニ逃ゲルヨウニ、ト言ッタハズ……」
「デェェ。ごめんなさいデス。ごめんなさいデスゥ……」
パープルに掴まれたまま人気のない路地を移動しながら、実装石は平謝りする。
事前の打ち合わせでは、女の顔に小枝を投げたら即座に退避だったが、あまりの事に足
が動かなかった。結果、こうしてパープルの手を煩わせてしまっている。
実装石を抱えて飛びながら、パープルが口を動かす。
「最初ハ誰デモ、ソウ……。スグニ上手クハ……行カナイモノ……。大丈夫……。シバラ
クハ、私ガ手助ケスル……。失敗シテモ、フォロースル」
「ありがとうデスゥ……」
薄暗い部屋にパソコン画面の明かりだけが灯っている。
湿った重苦しい空気。部屋に漂っているのは、何かの食べかすと脂のむっとする臭い。
そして、うっすらとした黴の臭いだった。部屋の隅で、小さな虫が移動するのが見える。
筋金入りの引きこもりの部屋のような空間。
その表現はあながち間違っていない。
「相変わらズ、酷い場所ネ……」
雪華実装はゴミだらけの部屋を横切り、パソコンの前まで移動した。足を使わず移動で
きるというのは、意外と便利である。特に床が散らかりまくっている場合は。
「たまにハ片付けなさイ」
遮光カーテンを開けると、外の光が部屋に差し込んだ。
光の中に、巨大な大福か饅頭のような超肥満実装雛が浮かび上がる。
「うにゅー! 溶ける、溶けちゃうナノー」
野太い悲鳴ととともに、パソコンの前の塊が慌てて近くにあった布団を被る。微かに白
い煙が上がったように思えた。吸血鬼ではないので日光で溶けるわけはないが、案外溶け
るのかもしれない。
何も言わぬまま、雪華実装はカーテンを閉めた。
「助かったナノー……」
布団から顔を出し、実装雛はカーテンが閉まっていることを確認する。
「ホワイト、依頼が来てるナノ……」
そう告げて、ディスプレイを指差した。微かに聞こえる細々とした声。
実装サイズの卓袱台に置かれた、ちょっと古めのパソコン。キーボードの前にどっしり
と座り込んでいる実装雛。丸く肥え太った身体に、布団を被っていた。
卓袱台にはコーラとポテチとティッシュ箱が置いてある。
色々あって雪華実装の仲間になってから、早八年。パソコンが使える実装雛は、特技を
生かして依頼収集を行っていた。結果、完全に引きこもり駄目実装雛と化している。元々
そういう素質があったのかもしれない。
それを養っている雪華実装は、さながらニートの親の心境だった。一応必要な仕事はし
ているので、文句はないのだが、何故かこのゴミ部屋を見ると腹が立つ。
さておいて。
「ふム……」
雪華実装はディスプレイに映った掲示板を見る。
それは、ひたすら簡素な掲示板だ。白い無地の背景に、地味なコメント覧が付いている
だけ。余計な機能を全部省いたと表現するのが正しいか。雪華実装が用意した文字通りの
幽霊サーバーにある殺人依頼掲示板だった。この掲示板に情報が書き込まれることで、雪
華実装たちは殺人計画を練り始める。
警察などは殺人依頼掲示板の存在を知り、躍起になって探しているが、ここを見つける
ことはない。何しろ、これは"実在しない"掲示板なのだから。
「これハ……。思いの外早かっタ……」
掲示板に記された殺人依頼。
標的はグリーンの親を殺した男だった。周囲の実装生物や犬猫を殺している。近いうち
に子供を狙うようになるから、その前に彼を殺して止めてくれとのこと。
書き込み内容からするに、親しい者の依頼だろう。家族かもしれない。恨みや復讐など
ではなく、暴走した知合いを止めてくれという依頼も時々来る。
「覚悟はシているケド、やはり悲しイ……」
ため息とともに、そう呟いてから……。
雪華実装はふとブラウザのタブに気付いた。
「とこロで、ピンク。これハ、何……?」
画面を示すと、実装雛がコーラを一口飲んでから、タブを切り替えた。
『ヒナちゃんのイラスト広場』
現れたのは、殺人依頼掲示板とは打って変わって華やかなイラストサイト。
インデックスページに置いてある少女のイラストは、素人目にもかなりのレベルと分か
るものだ。日記やエッセイ、ギャラリー、掲示板、リンクなど、コンテンツも豊富である。
右上に表示されているカウンタは『7,776,527』と表示している。
「あと少しで7,777,777hitナノー。頑張るナ——うにゅ!」
雪華実装は無言でバックドロップを決めた。
仕事や練習が無い時は、住処の林で普通の実装石として過ごしている。仕事関係で出掛
けている時よりも、ここで静かに暮らしている方が落ち着くのは、実装石にとって正直な
ところだった。
それは昼食を食べ終わって一息ついていた時である。
「グリーン」
雪華実装が現れた。
「ホワイトさん、何の用事デス?」
実装石はその場に立ち上がり、霞とともに空中に浮かぶ雪華実装を見つめる。雪華実装
が現れたということは、何かあるのだろう。今はレッドとイエローと組んで仕事をしてい
る実装石だが、人間を殺すのは気が進まないというのが本音である。
雪華実装は静かに口を開いた。
「殺人依頼が来タ。標的はあなたの母親を殺した男——」
「デッ……」
体温が下がる。
偽石が震えるのが分かった。手足に汗が滲み、口の中が乾く。今まで思考の奥に押さえ
込んでいた復讐心が、ゆっくりと意識の表層に浮かび上がってきた。
「復讐はアナタだけでやるべキ。ただ、約束通り、出来るコトは手伝ウ」
「分かった……デス」
実装石は堅い声で頷いた。
いつからだろうか? この苛立ちは。
小学生の頃、クラスメイトを苛めて教師達に怒られた時か?
中学生の頃、隠れて吸っていた煙草を見つかり、親に殴られた時か?
高校生の頃、授業について行けなくなり、サボってばかりいた時か?
大学に裏口同然の方法で無理矢理入った時か?
大学の講義が全く分からず、半年で逃げるように中退した時か?
仕事も探さず親の脛囓りで暮らすようになってからか?
大企業の社長の息子に生まれたのが間違いだったのかもしれない。自信家で頭の切れる
兄、優秀で美人な姉、そして真面目な妹。四人兄姉弟妹の三子として、ただ唯一駄目息子
の名を与えられていた。元々弱かった精神は、優秀な兄姉と妹に挟まれ、その差を突きつ
けられる度に修復不可能なまでに歪んでいった。
「ちくしょう……、ちくしょうが……!」
ポケットにナイフを隠し、暗い道をどこへとなく歩いていく。
以前は昼間に出歩くこともできたが、もう日の出ている内は外に出歩けない。昼間はひ
たすら眠り、日没後にふらりと出歩き、実装石や犬猫を殺して帰り、日が昇る前に寝る。
最近はこの繰り返しだった。
「ふざけやがって。どいつもこいつも——!」
蹴り飛ばした小石が、道路を転がっていく。
何かを虐げている時だけ、何かを殺している時だけ、重い劣等感から解放されるのだ。
自分が他者よりも強いと実感できる。しかし、最近は実装石や犬や猫を殺しても、以前ほ
どの開放感は無くなっていた。
男の精神は既に壊れかけている。
「うんン?」
ふと目を向けた先にはコンビニがあった。
数人の子供がアイスを食べながら、談笑している。塾帰りの小学生か。その表情や格好
から、少なくとも非行少年の類ではないことは分かった。勉強は大変と言いながらも、輝
く将来を持った子供たち。
その子供達をしばらく見つめ、
「何でだよォ!」
湧き上がってきた殺意と嫉妬心に、男は涙が滲むのを自覚した。涙を無視してそちらに
向かおうと足に力を入れる。人間には手を出さないという理性は壊れていた。
「待つデス!」
背後から声が掛けられる。若いおばちゃんのような機械音声。表現が矛盾しているよう
だが、そういう声は実在する。実際にその声を向けられたのだから。
「ああ゛っ?」
振り返った先に、一匹の実装石が立っていた。
「ママの仇デス! このクソニンゲン!」
背伸びをして、実装石が右手を振り上げる。
首から下げられた小さな機械。声はその機械から響いていた。リンガルの一種だろう。
普通のリンガルは実装生物の言葉を人間の文字に変換するが、これは機械音声に変換する
仕組みらしい。
「仇ィ?」
男はポケットからバタフライナイフを取り出した。右手の一振りで刃を取り出す。小さ
いながらも鋭い刃。実装石一匹殺すのには、過剰な威力だ。
「何だか知らねぇが、取れるもんなら取ってみろよ。糞蟲が!」
その言葉が終わるよりも速く、実装石が回った。
身体を三十度くらい右に傾けたまま、勢いよく身体を回転させ——
———!
激痛。
男の意識が吹っ飛んだ……。
空白、沈黙、脳髄に走る稲妻、何かが決定的に壊れる。
あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ——
どこからか聞こえる悲鳴。
「ああああああああぁぁぁああああぁぁああ!」
それが自分の喉から漏れるていると気付くには、数秒の時間を要した。
左目が焼けるように熱い。熱いのではなく、痛い。痛い痛い痛い痛い、痛い! 今まで
感じたこともない凄まじい激痛に、男はただ絶叫を続けた。まともな声が出せない。漏ら
した尿がズボンを濡らしている。
「あああ……ぁ……」
肺の空気を全て吐き出し、男はその場に膝を突いた。あまりの痛みに手足に力が入らな
い。身体が思うように動かない。何も分からない。自分の身に降りかかった激痛に、思考
が処理能力を超えてしまっていた。
無意識に右手を顔に触れさせる。
「ッッッ!」
激痛とともに、右手が顔から離れた。左目に何かが刺さっている。
「こっち向くデス!」
声に引かれるように目を向けた先に、さっきの実装石が立っていた。
その右手に、十数センチの両刃のナイフを持っている。スローイングナイフ。目に刺さ
ったのは、ソレだと直感的に理解した。実装石がナイフを投げて、目を潰したのだと。
「お前が最後に見るものがワタシデス! ワタシのこの姿、その目にしっかりと焼き付け
ておくデス! ワタシのママを殺したことを、一生かけて後悔するデス!」
「待っ……」
震える右手を前に出すも、実装石は止まらない。次に何が起こるのかは、考えなくとも
分かる。分かるのに、何もできない。身体は動かず、声も出せず、実装石を止めることも
できない。今まで糞蟲と見下していた相手が、糞蟲以下の自分を蹂躙している。
捻れた男の心が、砕けた。
「やめてやめてやめ、許してくれぇぇぇぇ!」
声にならない声で懇願するが、実装石には届かない。
さきほどの同じようにその場で一回転。
そして、光が消えた。
「あああああああああああ……」
脳髄を抉るような激痛に、男はただ無意味に絶叫し。
意識を失った。
「ありがとうデス」
実装石は首から下げていた、音声変換リンガルを雪華実装に返した。
リンガルを受け取り、雪華実装はそれをどこへとなく片付ける。
音声変換リンガルと、小さなスローイングナイフ二本。それが、雪華実装に頼んで用意
して貰ったものだった。それらを使って復讐はやり遂げた。
遠くからパトカーと救急車のサイレンが響いている。
「なぜ殺さなかっタ?」
「分からないデス……」
雪華実装の問いに、実装石は淡々と答えた。
雪華実装に頼めば、男を殺すに十分な道具を用意してくれただろう。たとえば、毒とス
ローイングナイフ。これだけで十分人間を殺せる。しかし、実装石は男の両目を潰しただ
けで、殺さなかった。しかし、それは情けや慈悲ではない。かといって、生の苦痛を与え
るのが目的でも無かった。
「アナタは少し賢スぎたのかもしれナイ……」
雪華実装はそう呟き、歩き出す。
実装石も後に続いて歩き出した。
街の喧噪が消え、夜の林の空気が現れる。二匹は街中から、街外れの林、実装石の巣の
前まで瞬間移動していた。
「それじゃ、私はここまで。また、何かあったら来ル」
「おやすみデス……」
一度頭を下げ、霞となって消える雪華実装を見送り。
実装石は巣に戻り、そのまま死んだように眠りについた。
復讐を終えた翌日の朝は、いつもと変わらない朝だった。
爽快感があるわけでもなく、達成感があるわけでもなく、虚無感があるわけでもない。
ごく普通の朝。木々の間から日の光が差し込んでいる。
「朝ご飯探すデスー」
そう呟き、実装石は木箱の巣から這いだした。
「できタ」
雪華実装の口から吐き出された、黒い結晶。
それは数十人の人間の魂が集まり、絡まり、融け合い、固まり、作り上げられた偽石の
ようなものだった。疑似偽石に融けた魂を封じたと表現する方が正しいかもしれない。そ
の手の人間に渡せば、凄い呪物だと戦かれるだろう。
「コレデ……十二個目……」
薔薇実装がその黒結晶を持ち上げ、紫水晶で包み込んだ。
悪人の魂を集めて作った高エネルギー結晶。しかし、材料が悪人の魂であるため、力が
強いがまだ使えるものではない。紫水晶を用いて結晶に込められた悪意を自然分散させて
いかなければならない。
「ようやく、ひとつ完成しタ……」
雪華実装は石の棚に並べられた紫水晶を眺める。
その一番左、およそ十年前に作った結晶が、黒から鮮やかな白に変わっていた。悪意を
失った純粋な精神エネルギーの塊である。
だが、これひとつでは足りない。
雪華実装が目を向けた先に、大きな繭があった。中に大人の人間が入れるほど大きさの
淡い緑色の繭。実装石が稀に起こす繭化に似ているが、実装石のそれとは違った。
「初期型実装石ノ繭化……」
薔薇実装が、その繭を見る。
何かの成長を求めての繭化ではない。これは、冬眠や仮死に近い繭化だった。越冬蛆繭
というものに似ているかもしれない。とある事情で力を限界まで使い果たし、繭として休
眠に入ってしまったのだ。
「私たちハ、彼女を助けられル……?」
「助ケル……」
薔薇実装が、紫水晶から取り出した白結晶を、繭に触れさせた。
白い結晶が繭の中へと溶けていく。
「助けてみせル」
微かに光を帯びた繭を凝視したまま、雪華実装はそう断言した。
END
仕置き実装のパロディを書く予定が、自分設定などが混じって明後日の方向に暴走してし
まいました。まあ、よくあることです。
ホワイト
雪華実装。
殺人実装グループのリーダー。本人曰く、幽霊。カオスな力を用いて、色々な不思議現象
を起こせる。時に鉄の扉を壊したり、大型トラックを動かしたり。だが、実装以外の生き
物を殺すのには、非常に大きな力を消耗するため、人間を殺せる実装を集めた。
仕事は、殺し以外の全て。
パープル
顔に傷のある薔薇実装。
グループの副リーダー。雪華実装と同じ目的を持ち、最初期から一緒に行動している。だが、
その目的を他のメンバーに話すことはない。紫水晶の武器を作り出し人間を攻撃する。単体
でも人間を殺せる実装生物。
かなり面倒見が良い。
ピンク
超肥満体の実装雛。
どこかの部屋に籠もって、パソコンで殺人依頼を集めている。八年間引きこもり同然の生
活が続いたせいで、完全に駄目実装雛化している。一応、パソコンの知識と技術のみプロ
の人間レベル。雪華実装以外とは滅多に喋らず、外出することも少ない。
自作サイトがそろそろ7,777,777hit
シルバー
実装燈13匹。個人はシルバー1からシルバー13までいるが、見分けは付かない。
人間の血を主食とする変異種の吸血実装燈で、人間の血を安全に吸うためにグループに所
属している。普段の仕事は、飛行能力と数による偵察と哨戒行動。
イエロー
眼鏡を掛けた実装金。
かつては飼い実装金だったが、飼い主を殺され野良となり、復讐をするため雪華実装の仲
間に加わる。飼い主のことはかなり敬愛していた模様。同時に、飼い主を殺した者を強く
憎悪している。
ものの動きを精密に計算する能力を持ち、主に罠を仕掛けることを仕事としている。その
正確さは未来予知レベル。
レッド
実装紅。
メンバーの中では一番普通の容姿と性格。人間を転ばせる技術を持ち、転ばせる動きは魔
法さながら。本人曰く一発芸。ただ、実装紅単身では転ばせることしかできないので、転
ぶ場所にイエローが罠を置くという戦術を取っている。
グループへの参加理由は、敵討ちらしい。
ブルー
淀んだ目付きの実蒼石
改造実蒼石で、高い戦闘能力を持つ。自分は人間を殺すために作られたと教えられていた
らしい。ハサミも人間の手によって改造され、人肉を斬れる切断力を得ている。その後、
ブルーを改造したハカセは警察に捕まり、ブルーは雪華実装に拾われた。
普段は無口だが、喋り出したら止まらない。
グリーン
野良実装石。一番新入り。
虐待派に殺された母の敵を討つために、グループに参加する。もの投げる才能を持ち、そ
れを用いて標的の意識の向きを変えることを仕事としている。直接人間を攻撃するのは苦
手。見習いとしてパープルと組んでいたが、現在はレッド、イエローと組んでいる。
復讐の機会があったが、仇の人間の両目を潰すだけで終わらせた。
よく驚く癖がある。
過去スク
2141.【馬】最強の実装石
2138.【観怪】〈紫〉歩き回る刃物
2129.【観虐】昆虫採集瓶
2127.【観察】実装ショップで買い物
2126.【食】蛆チーズ
2125.【虐】レーザーライフル
2123.【馬】炎のチャレンジャー
2117.【馬】隣の公園のマッスル
2116.【虐駆】〈紫〉広場の実装石駆除
2114.【虐馬】マラ実装石虐待
2111.【虐・怪】〈紫〉黒いニンゲン
2108.【虐】上げて落として
2105.【馬】実装された都市伝説
2104.【哀】希望と絶望
2101.【馬】〈紫〉カツアゲ…?
2099.【観察】〈紫〉幸せな最期とは
2097.【虐】斬捨御免
2089.【実験】レインボー実装石
2081.【観察】Narcotic Addict − 麻薬中毒者 −
2077.【馬・虐】〈紫〉マラカノン砲
2071.【馬鹿】〈紫〉虐待してはいけない…
2066.【虐・実験】ジッソウタケ
2057.【虐・他】中途半端な賢さは…
2038.【虐・愛?】ダイヤモンドは砕けない
2031.【馬鹿】雪華実装は鍋派?
1994.【虐・観】時間の狭間に落ちる
1988.【虐】クリスタルアロー
1983.【馬鹿・薔薇】リベンジ! 完全版
1980.【馬鹿・薔薇】リベンジ!
1977.【虐・観】懲役五年執行猶予無し
1970.【実験・観察】素朴な疑問
1958.【虐・実験】虐待&リリース
1954.【獣・蒼・人間】騎獣実蒼の長い一日
1952.【軽虐】既知との遭遇
1944.【馬鹿・薔薇】水晶ハワタシノ魂ダ!
1941.【色々】実装社交界の危機
1939.【駆除】ススキ原の実装石駆除

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