「今からすみれの言う通りに動くレチ・・・」 「返事はどうしたレチッ!・・糞!!」 糞は体をビクンッとさせて、渋々と返事をする。 「わ・・分かったデス・・動けば良いデス」 投げやりな返事に、聞いていたすみれは怒りだす。 「すみれの言葉は、ママの言葉レチ」 「ママ!糞はママの言う事、聞けないみたいレチ」 「お仕置きレチ!」 もはや親実装はすみれの手足となっていた、すみれは親実装を誉めちぎり、 糞蟲実装の根底にある、優越感を巧みに利用した。 「糞!すみれの言う事は、ママの言葉デス」 「ママの言葉を、何だと思ってるデス」 「お前には、お仕置きが必要デス」 肩の上でニヤニヤと笑っていたすみれは、 何かを思いつき、親実装に囁いた。 「ママ・・・糞の奴は簡単なお仕置きじゃ、屁でも無いって言ってるレチ」 「お仕置きされた事を、いつでも思い知るようにするレチ」 「デスゥ?・・・」 「髪の毛を全部、むしってやるレチ」 「糞の奴は、頭を触るたびに思い出すレチ」 「なるほどデスゥ・・・すみれは賢いデス」 「やっぱりママの仔デスゥ」 2匹の会話を聞いていた、糞はたまった物ではない、 頭を押さえて逃げ出そうとする。 後ろを向いて逃げようとした時、髪の毛を掴まれ引きずり倒された。 しかし親実装より小型とは言え、糞は成体実装である、 命の次に大切な髪を守らんと、必死に抵抗した。 すみれが親実装に囁く。 「糞蟲の癖に・・・抵抗するなんて、生意気レチ」 「ママ!糞に馬乗りになるレチ」 「徹底的に痛めつるレチ、自分からむしって下さいって言わせるレチ」 親実装は糞の上にまたがり、顔を殴り始めた。 ゴス!ゴス!ゴス!ゴスッ! 「やめてデス!やめてデス!」 「何でこんな酷い事するデスゥ!」 「煩いデス!言う事を聞けデス」 「デッジャァァアア!!」 すみれは糞を殴る親実装に合わせ、肩の上で殴る動作を繰り返した。 親実装が殴るたびに糞の顔が歪む、目に涙を流し必死に許しを請う。 親実装のパンチが糞の歯を叩き折る、鼻に命中して鼻血を吹き上げる、 懸命に糞は命乞いを繰り返す、なんて無様な姿だ。 あんな姿にしたのはすみれだ、すみれが殴っているんだ、 まるで自分が殴っているような錯覚を覚え、すみれの興奮は最高潮に達していた。 「ママ!こんな奴殺しちゃえレチ」 「死ねレチ!死ねレチ!死んじゃえレチッィィ!!」 殴られ続けた糞は、悲鳴を上げて命乞いを繰り返す。 「ジャッァァア!もうたくさんデジャ!」 「これ以上殴られると死ぬデズゥ!」 「勘弁してデズ!勘弁じでぇぇぇえ!!」 親実装は殴り疲れたのか、殴るのをやめて糞に聞いた。 「ハアハア!思い知ったデスか」 「髪を差し出すデス」 髪を差し出せ・・・糞はこのままでは殺される、髪をあきらめなければ・・・ ママのお仕置きは、優しさのかけらも無かったが、いつも一過性のものだった、 こんなに執拗に続く事は無かった・・・だが今日は違う。 肩に乗っている親指のせいだ、妹の偽石を躊躇無く叩き割る冷酷さに、 糞は心底おびえ切っていた。 「わ・・分かったデスゥ・・」 「糞の髪を・・・むしって下さいデス」 「最初からそう言えば良いデス」 「手間をかけさせるなデス!」 すみれは心の中でチッと舌打ちをした。 親実装は糞の顔を足で踏みつけ、髪の毛を思いっきり引っ張った。 髪の毛はブチブチと、嫌な音を立てて千切れていく。 「デジャッ!ジャァァァアア!!」 残った前髪も、すみれの指示で引き抜かれてしまう。 糞の頭は髪は数本を残し、禿げ頭にされた。 落ちている髪を拾っては頭に持っていくが、すぐにぱらぱらと落ちてしまう。 糞はその行為を何度も繰り返したが、やがて禿げ頭になった事を思い知った。 頭を手で確認すると糞は、悲痛な叫びを上げ泣き出してしまう。 「オロローン・・・オロローン」 「酷いデス・・・あんまりデス」 「もう生きていけないデスゥゥ」 そんな様子を後ろから見ている、親実装とすみれは禿げになった、糞を大声で笑った。 「見ろデス、醜いデス、汚らしいデス」 「禿げデス!禿げデス!デププププ!」 「ママ・・笑っちゃ可哀相レチププププ」 「よくあんな頭で生きてるレチ」 「すみれなら死んじゃうレチ」 「こんな禿げ頭は、私の仔の訳ないデス」 「二度とママなんて言うなデス」 「ママ!コイツの名前、糞じゃ可哀相レチ」 「せめて名前を変えてやるレチププ」 「すみれは本当に優しい仔デスゥ」 「ママは誇らしいデス」 すみれは座り込んで頭を抱えている、糞にこっちへ来るように指示を出した。 これ以上酷い事をされるのは沢山だ、すぐにすみれの元へ走って行った。 「いつまでも名前が糞じゃ可哀相レチ」 「お前の名前は今から糞禿げレチ」 「糞で禿げだから糞禿げレチ」 「糞からランクアップレチ」 「ありがたく思えレチ」 「デプププ・・・分かりやすいデス」 「返事をしろデス・・この糞禿げ!」 糞禿げと名前が付けられた実装石は、頭を触り泣きながらながら返事をした。 「オロローン・・はいデス・・」 「今回は、この程度で許してやるレチ」 「次に逆らったら、お前の服をびりびりにしてやるレチ」 「禿裸にされたくないレチ?、だったらすみれの言う事は絶対服従レチ」 服まで取り上げられてしまう・・・これ以上逆らう気が無い事を訴え、 すみれに必死でお願いした、糞禿げにとってすみれは親実装より怖い存在になった。 夜を待ってすみれ達は行動を起こした、昼間では目立ってしまい、 他の実装石に見つかってしまう、幾ら力の強い実装石でも集団の前では無力だ。 親実装もその事は良く分かっているので、今までも夜中に行動をしていた。 そしてさつきのハウス付近にたどり着いた。 すみれは自警団が警戒に回っている事を、事前に知っていたので、 一度やり過ごし、その後襲うように指示を出した。 「どうして自警団が、いる事を知っているデス」 すみれは自慢げに話す。 「レチチチ・・すみれは公園の事なら、何でも知ってるレチ」 すみれは以前ママがさつきに、夜中は自警団は公園を回っているから、 何かあったらそこまで逃げるように、教えられていた事を思い出しただけだ。 そしてみすぼらしい頭で小さく震えている、糞禿げに命令を下す。 「糞禿げ!」 糞禿げと言われて、糞禿げは頭を押さえた。 あれ以来名前を呼ばれると、頭を押さえる癖がついてしまっていた。 頭を押さえて禿げ頭を確認すると、酷い目に合った事を思い出していた。 「・・はいデス」 「お前は自警団が通り過ぎるのを、偵察するレチ」 糞禿げは植え込み沿いに這って行き、ダンボールの見える所で息を潜めた。 すみれの行動に疑問を持った、親実装がすみれに聞いてみる。 「何で通り過ぎるのを待つデス」 「来る前に襲えば良いデス」 所詮は糞蟲、高貴なすみれの考えも分からないんだ・・・ しょうがない・・・このすみれが、糞蟲の頭でも分かるように教えてやろう。 「自警団はいつ来るか、分からないレチ」 「襲ってる時に来たら、すみれ達が殺されるレチ」 「だから待つレチ、自警団が行った後は、暫く来ないレチ」 親実装は、すみれの作戦に感心してしまう。 「なるほどデス」 「さすがすみれは、ママの仔デス」 「ママと一緒で賢いデス」 まったく・・・こんな事も分からないとは。 おまえなんかママじゃない、たんに利用する為の道具だ。 糞蟲姉妹共々、終われば自警団に差し出してやる。 糞禿げの合図があった、すみれ達は動き出す。 まずは、すみれを捨てたママに復讐だ。 散々いたぶって、すみれに土下座をさせてやる。 謝っても許さない・・・止めの偽石はすみれ自身が、ママの前で叩き壊してやる。 「このダンボールを壊すレチ」 すみれの指令に、実装親子が動き出した。 ドカン!! ドスン!! 人間なら何てことは無いダンボールも、実装石が壊すとなると、結構手間がかかる。 ハウスのマリモ達を、母実装は落ち着かせていた。 「大丈夫デス、このハウスは簡単には壊されないデス」 「それよりお前達・・・良く聞くデス」 外では実装親子が、ダンボールを壊そうと暴れているが、 なぜか母実装は落ち着いていた。 そしてマリモ達に向かって話し出した。 「ハウスの入口と反対側に、隠してある入口があるデス」 「さつきの座ってる所辺デス」 「お前達はそこから逃げるデス」 話を聞いたマリモとさつきは、それがどんな意味かを分かってしまう。 母実装は自分が犠牲になり、自分達を逃がすつもりだ。 ママが犠牲になる、もう合えなくなる。 そんな事は絶対に嫌だ、さつきはママに抱きついた。 「いやテチィ・・・一緒テチ」 「・・・一緒に逃げるテチィィ」 バッシィィ!! 母実装に叩かれ、さつきは頬を押さえてうずくまる。 母実装はさつきを睨みつけ、立ち上がると話し出した。 「ママがあいつらを、食い殺してやるデス」 「このハウスは、長く持たないデス」 「ママがハウスを出たら、お前達も反対側から出るデス」 「植え込みに隠れながら逃げれば、気付かれないデス」 「マリモ・・・・さつきをお願いデス」 マリモはコクリと頭を下げた。 言い終わると母実装は、ハウスを飛び出した。 ハウスの外に出て見ると、実装親子がダンボ−ルに齧りついて、 びりびりと引きちぎっては、中の様子を覗き込んでいた。 最初に母実装の存在に気づいたのは糞禿げだった、母実装に対して威嚇の声を発した。 「デジャァァア!何ですお前!」 威嚇の声を聞くや否や、母実装は糞禿げに突進した。 突進してぶち当たりそのまま倒れこむと、糞禿げの首に噛み付いた。 突然の事に糞禿げも驚いてしまう、普通の実装石なら自分達を見たら逃げ出すからだ。 1匹で立ち向かってくる事など、予想もしていなかった。 母実装は渾身の力で噛み付いた、噛み付いた所から大量の血が溢れ、 ゴキゴキと首の骨まで当たっている事が、歯に伝わる感触で分かった。 「ギャァァ!痛いデス」 「何やってるデス、早く助けろデス」 いきなりの事で呆然と見ていた親実装だが、倒れこんで揉み合っている2匹に駆け寄った。 親実装は上になっている母実装を、何度も蹴りこんだ。 何度蹴りこんでも離れようとしない、蹴りこんだ所の服が破れ、 露出した所の皮膚も破れ血を流したが、一向に母実装は噛み付くのをやめなかった。 次第に糞禿げの動きが、大人しくなっていき親実装は慌て始める。 その時すみれは、ダンボールの裏から逃げ出す仔実装を発見した。 さつき・・・お姉ちゃん・・・家に帰ってたのか・・ん・・手を引いているのはマリモだ! 何でマリモがここに・・いやそんな事はどうでも良い、 マリモをどうやって商店街から、おびき出そうかと思っていた矢先、今を逃しては復讐は出来ない。 いつも商店街にいるマリモを、捕まえるチャンスだ。 すみれは母実装を蹴りこんでいる親実装に叫んだ。 「こんなババアは、いつでもやれるレチ」 「こんな奴ほっとくレチ」 「お前の大好きな仔実装レチ!!」 「早く追いかけろレチ」 親実装は興奮して、すみれの声も届かない、さらに母実装を蹴りこんだ。 すみれは親実装のズキンを引っ張ったが、言う事聞いてくれそうに無い。 怒ったすみれは、親実装の顔を蹴飛ばし始めた。 「いい加減にしろレチ」 「この!この!このぅ!」 ガッ!ガッ!ガコッ! やっとすみれに気が付いた親実装は、すみれを睨みつける。 睨みつけられてすみれは怯んだが、親実装を罵倒した。 「仔実装を食べたくないレチか!」 「早く追いかけろレチ」 「そんな糞蟲ほっとくレチ!」 親実装はすみれを睨んで、いきなり大きな声を上げた。 「何様デスゥー・・・お前」 「付け上がってんじゃ無いデスッ!」 「食い殺されたいデスか!」 親実装の迫力に、すみれは体を小さくして黙り込んだ。 糞禿げの体はビクン、ビクン、と痙攣を起こしている。 親実装は、糞禿げに噛み付いて押さえつけている母実装の首を、後ろから噛み付いた。 ガブリッ!! ブチュ!!ブチッ!ブチッ! 一気に噛み付いて引き上げると、ブチブチと肉を引き千切り噛み切った。 噛み切った所はザックリと肉がなくなっていて、そこから勢い良く血を吹き上げた。 ブシュゥゥゥアア!! 母実装の力が一気に抜ける・・・薄れていく意識の中で見た者は、すみれの姿だった。 すみれは、止めは自分でさせなかった悔しさから、 母実装の顔を懸命に蹴飛ばし、殴り、罵倒を繰り返し、鬱憤を晴らしていた。 なんて事だ・・・一時は自分をママと慕って甘えていた子供が、 最後には自分を攻撃している、母実装は言い知れぬ悲しみのままに、意識が無くなっていく。 親実装は残った首の肉に食らい付くと、首を噛み千切り母実装の頭を持ち上げた。 糞禿げを見ると、殆ど首の肉を食い千切られ、皮一枚で繋がっていた。 パクパクと口を動かして、何かを訴えているようだ。 すみれはその頭部にも蹴りを入れ、罵声を浴びせる。 「この!・・役立たずレチ」 「だからお前は糞禿げレチ」 「早く死ねレチィ!!」 「コノ!コノ!コノッ!」 糞禿げは涙を流していた、こんな親指にバカにされ髪の毛もむしられ、 親指のせいで、死んで行こうとする自分が情けなかった。 何でこうなってしまったのか・・・こいつさえいなければ、妹を奴隷に楽しく過ごせたろう、 そんな事を思いながら、悔しさの中で意識が薄れていく。 親実装はすみれをつまみ上げると、肩に乗せた。 「ほっとくデス、コイツはもう駄目デス」 そう言うと糞禿げの頭を、蹴飛ばした。 蹴飛ばされた頭は、残った皮が千切れて転がっていく。 ダンボールハウスの横にある、桜の木に当たり上を向いて止まった。 糞禿げの顔は、悔しさと死んでいく恐怖に歪んだ顔をしたまま絶命した。 「それより仔実装を追いかけるデス」 すみれは少し考えたが、あいつらの行く先は分かっている。 どうせ商店街へ逃げる為に、出入り口へ向かってるんだ。 商店街に着くまでに、あいつらを捕まえなくては、 すみれは親実装に指令を出した。 「あいつら噴水の先のレチ」 「早く追いかけるレチ」 マリモはさつきの手を引いて、懸命に走っていた。 さつきのママでは普段、実装石を餌にしている奴らには勝てない。 時間稼ぎの為にママは犠牲になったんだ・・・多分今頃は生きてはいないだろう。 さつきのママに自分はさつきを託された、絶対にさつきだけでも逃がさなければ。 マリモは出入り口の方へは向かわなかった、さつきのママがやられた後、 出入り口へ追いかけてくるであろう事は、分かっていたからだ。 出入り口とは違う方向・・・最短距離で商店街へ抜けられる植え込みを目指していた。 「さつき!もうすぐ出口テチ」 「あの植え込みまで逃げれば、後は商店街テチ」 手を引いていた、さつきの足が急に止まった。 「どうしたテチ・・・止まってる暇は無いテチ」 「早く!・・・早く逃げるテチ」 さつきは、その場に座り込んでしまう。 「ママは・・・ママはどうなるテチ」 「あんな奴らにママは勝てないテチ」 マリモは返す言葉も無かったが、今はそんな場合では無い。 「・・・・・さつきのママは多分もう・・・」 「さつきも分かってる筈テチ」 「さつきのママは、さつきを助ける為・・・」 マリモはそれ以上言えなかった、言わなくてもさつき自身が分かっている。 「ママはまだ生きてるテチ・・・」 「さつきには分かるテチ」 「ママを・・・ママを待ってるテチ・・・」 マリモはさつきを一括した。 「いい加減にするテチィ!!」 「さつきのママは、何の為にあそこに残ったテチ」 「ママの事はあきらめるテチ」 「それが・・・それがさつきのママの望んだ事テチ」 ママの事はあきらめろ・・・さつきには我慢が出きなかった。 「マリモお姉ちゃんには、分からないテチ・・・」 「さつきはマリモお姉ちゃんとは違うテチ」 「さつきのママテチ・・・ママのいないマリモお姉ちゃんなんか・・・」 「マリモお姉ちゃんには、ママがいないテチ!」 「だから・・・だからママを見捨てても、なんとも思わないテチィ!!」 さつきの言った言葉は、マリモの心に突き刺ささった。 マリモは悲しそうに、うつむいてしまう。 「ご・・ごめんテチ」 「さつき・・・そんなつもりじゃ・・」 そう言うとさつきは、噴水の方向へ走っていった。 驚いたマリモは追いかけたが、途中で転んでしまい、さつきを見失ってしまう。 噴水へ向かうさつきの心は、マリモへの謝罪で一杯だった。 何であんな事を言ってしまったのか、マリモの悲しそうな顔が、 いつまでも、さつきの脳裏に浮かんだ。 噴水を抜ければ、ダンボールハウスまで少し距離がある、噴水からは隠れながら行こう。 そんな事を考えて噴水前まで来たさつきは、追いかけて来たすみれと親実装に鉢合わせをする。 さつきは驚いた、肩に乗っているのは紛れも無くすみれだ。 ママを襲ったのも、すみれの指示なのか、すみれが呼びかけた。 「さつきお姉ちゃん?・・・マリモはどこレチ」 「隠すと為にならないレチ、お姉ちゃんから食べてしまうレチ」 親実装はすみれの指示に怪訝な顔をする。 仔実装がいるなら、すぐに食べてしまえば良い、何を考えているんだ。 「仔実装デス?すぐに食べるデス」 すみれが耳元で囁いた。 「あいつ以外にもう1匹いるレチ」 「あいつはその餌レチ」 「なるほどデス・・すみれは賢いデス」 すみれにも意外な事に仏心があった。 自分に対して優しかった、さつきだけは殺したくなかった、 あわよくばマリモを殺した後、さつきに取り入ろうとも思っていた。 さつきお姉ちゃんだけは殺せない。 また昔みたいに優しいお姉ちゃんに戻ってくれる。 そうなったら二人だけで、いつまでも一緒に楽しく暮らそう。 今のママはバカな糞蟲だ、こんな糞蟲はどうせ長くは生きていない。 それにはマリモが邪魔だ、何処にいったんだ。 暫くすると、マリモが噴水前に近づいてきた。 そして親実装を確認して、素早く茂みに隠れた。 肩に乗っているのはすみれだ、まだ生きていたんだ。 さつき!なんでそんな所に・・・ さつきは親実装を前にして、恐怖で動けなくなっていた。 すると親実装は手に持っていた、さつきの母実装の顔を投げて見せた。 ママだ!何て姿に・・・やっぱり遅かった。 さつきはママの顔にすがって泣いた、もうどうなってもいい。 食いたければ食えば良い、放心状態だった。 「ママァァ!!ママァァ!」 「さつきも一緒テチィ!」 「何処にも行かないテチ」 「テエーン・・」 様子を見ていたすみれは、お姉ちゃんは何を、泣いているのか不思議だった。 親なんていずれは離れる運命、それが早まっただけなのに。 お姉ちゃんは、すみれだけを見ていれば良い、ママの頭にいつまでもすがって面白くない。 「お姉ちゃん・・・マリモはどこレチ」 「そんな肉達磨より、マリモレチ」 「まったく・・死にたいレチか」 さつきはすみれを睨み、叫んだ。 「殺したければ、殺せば良いテチィ!!」 「さつきは怖くないテチ」 「マリモお姉ちゃんは、今頃商店街テチ」 様子を見ていた親実装が我慢できずに、さつきに手を伸ばした。 「そんなに死にたいなら、優しい私が食べてやるデス」 「ちょ・・ちょっと待つレチ」 「まだ早いレチ」 すみれが止めたが、親実装は全く言う事を聞かない、 襲い掛かろうとした時、隠れていたマリモが親実装の手を、竹串で刺し貫いた。 柔らかい実装石の肉は、仔実装の力でも簡単に貫通させる事が出来た。 「デギャァァァァアア!!・・う・・腕が痛いデズゥゥ!」 さつきの前に立ち、マリモは竹串を構えた。 「さつき!早く逃げるテチ」 「すぐにあいつが襲ってくるテチ」 さつきは動こうとはしなかった、母実装の頭にすがりついたままだ。 「でも・・ママが・・ママが」 「さつき・・・ここを離れないテチ」 なんて事だ、これじゃさつきを助けられない、マリモは決心をする。 あいつを殺そう・・でも仔実装の自分が勝てるのか・・・ さつきがここを動かない、戦うしかなかった。 マリモはさつきの顔を見つめると、すみれを乗せた親実装に向かっていった。 怯んでいる今なら、チャンスがあるかもしれない。 「テッチィィィ!」 =========================================== 長くなりました、本当は6話完結程度に考えていたのですが。 すみれのキャラ分長くなったようです、糞蟲特性は書き易いです。 10話完結です、もう少しお付き合い下さい。
