タイトル:【虐】 レーザーライフル
ファイル:実装石狙撃.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5559 レス数:0
初投稿日時:2010/06/07-12:54:06修正日時:2010/06/07-23:51:08
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 腕の良い狙撃者ほど、標的の近くから狙撃を行う。

 そういう話を聞いたことがある。確実性を追求するなら遠くからよりも近くから狙撃し
た方がいいだろう。確実なのはすぐ真横から心臓などを狙うことだ。

 狙撃で有名なゴルゴ13は超遠距離狙撃を得意としているけど、あれは漫画ってのもあ
るし、何より狙撃者の腕が狂っているってのもある。作中でも人間扱いされてないし。普
通の狙撃者はいくら腕がよくとも、失敗の可能性は常に持っているのだ。




「今回の標的は——」

 私はアタッシュケースを持ち、ビルの屋上へと来ていた。この時間に人が来ないことは
あらかじめ調べてある。でも、十回建てビルの屋上ともなるとさすがに風が強いな。

 ケースを床に置き、中から取りだした道具を組み上げていく。
 三脚の上に固定されたライフルのようなものが出来上がった。

 これが私の狙撃銃。人間を撃つわけではないので、実弾は入っていない。弾の代わりに
組み込んであるのは、数種類のレーザー発振器だ。ハンドルで切り替えられるようになっ
ている。ライフル型にするのは私個人の気分であって、深い意味はない。

 上部には望遠照準機と赤外線ポインターが設置されている。

 私はライフルのグリップを握り、スコープを覗き込んだ。

「……えっと」

 最初は手動で大体の照準を合わせる。

 第二公園の林の中にある草地。あんまり人が来ない場所だ。

 そこに、一匹のマラ実装石がいた。この公園を支配するマラ実装。支配するだけで統治
はせず、いわゆるボス実装ではない。ただ私欲のまま暴君として君臨している。第二公園
はこの近所でも一番荒れた場所だ。

 マラ実装石はでっぷりと太った個体で、今も実装石をファックしながら、その仔実装を
食らっていた。総排泄孔にマラぶち込まれている実装石は泣きながら暴れている。

「しかし、醜い姿だな」

 三脚のレバーを下ろしライフルを一度台座に固定。

 私は実装生物専門の狙撃者である。本職は普通の技術者であり、これはあくまでも虐待
派としての趣味。このライフルは会社の機械を借りて自分で作ったものだ。スコープとか
レーザー発振器とかは購入品だけど。

 依頼主は野良実装種が主だ。仲介係はうちの飼い実装石のネジ。報酬は受け取らず、あ
くまでもボランティア。このマラの場合、私の友人の飼い雑用実装石を襲ったので、私的
な報復である。

 閑話休題。

 実装石を犯し終えたマラ実装がその場に座ったま、仔を囓っている。総排泄孔と口から
精液を溢れさせた実装石。両目が緑色に変わっていた。動く気力も無いらしい。

「終わったか」

 動いている標的を狙えるほど、私の腕はよくない。

 マラの身体には小さな赤い点が浮かんでいた。弱い赤外線レーザーによる照準点で、ス
コープ越しでないと見えない。普通の銃弾は空気抵抗やその他諸々の要因で直進すること
はないが、これはレーザーなので相当な空気の屈折でも無い限り、直線で跳ぶ。

 左手で三脚台座の精密照準ダイヤルを動かし、私はマラの赤目に照準を合わせた。台座
に固定したライフルを二軸で動かすことにより、細かな照準を定める。

 続いて、レーザー発振器を緑色レーザーに切り替え、

「発射」

 トリガーを引く。

 マラ実装の赤目に注ぎ込まれる緑色の光。発振器から放たれたごく弱いレーザー光線。
光の強さは懐中電灯の明かりくらいだろう。でも、光の強さはそれで十分である。

『デェェェェ!』

 そんな声が聞こえた気がした。
 両目が緑に染まり、その場で強制妊娠状態となる。

 照射は一秒間。これで、身体が勝手に強制妊娠状態を維持してくれる。遠くから見ても
ちらりと緑の光が見えたくらいだろう。

 実装石を犯し、仔を食らっていたらいきなり妊娠。戸惑うだろう。

「さて、ここからが本番だ」

 手元の精密照準ダイヤルを動かし照準を直しがら、赤色レーザーに切り替え照射。

『デェェェェ!』

 強制妊娠が解除され、腹の中の仔が消化されていく。

 そこへ緑色レーザーが照射され再び強制妊娠。
 そこへ赤色レーザーが照射され再び妊娠解除。
 さらに緑色レーザーが照射され三度強制妊娠。
 さらに赤色レーザーが照射され三度妊娠解除。
 続けて緑色レーザーが……







『デッヒッ……』

 二十回ほどの強制妊娠と解除を繰り返したマラ実装は、萎れてその場に倒れていた。

 さきほどまで犯されていた実装石は、既に残った仔を連れて逃げ出している。

「頃合いかな」

 緑目に赤色レーザーを撃ち込む。
 両目が赤く染まり、強制出産が始まった。

『デギャァ……ァァ……』

 マラ実装の総排泄孔から、どばどばと蛆実装や親指が溢れてくる。仔実装を作る栄養は
もう無いらしい。しかも、その多くは半分消化された姿。強制妊娠で作られ、強制解除で
胎壁から剥がされた仔の成れの果てだった。

 強制出産が終わり、さらに萎れてマラ実装。

 私は駄目押しの赤色レーザーを撃ち込む。

『デァ……ァ……』

 なけなしの栄養と体力を無理矢理振り絞り、再び総排泄孔から親指や蛆を吹き出してい
る。普通の生物の場合、命の危機に瀕したら生殖機能は一時停止するのだが、実装石はそ
こまで器用ではない。目の色が変われば、死にかけだろうと仔の生産を優先してしまう。
そもそも目の色で妊娠出産が起こるってのもどうかと思うけど。

 これくらいだろう。

 乾物寸前となったマラ実装石。強制妊娠と解除によって体内の栄養を無理矢理仔に変え
られ、二度の強制出産でその栄養も全部体外に排出してしまった。

 もはや立ち上がることもできなくなっている。

 このまま衰弱して死ぬか、同族に襲われてリンチされるか——

 と、なにやら実装石が集まってきた。
 どうやら、後者らしい。

 私はスコープから目を離し、ライフルの解体に取りかかった。







 少ししてからこっそり様子を見に行くと、マラ実装石は生きていた。

 しかし、禿裸に剥かれ、マラは食い千切られ、奴隷階級まで身を落としている。今まで
暴虐の限りを尽くしていただけあり、奴隷階級内でもさらに最下級に墜ち、普通の実装石
にも奴隷実装石にも相当に虐げられているようだった。賢い個体の入れ知恵か、殺されは
しないらしい。

 これなら、殺されていた方がましだろう。
 でも、自業自得である。







 仕事が終わりアパートで麦茶を飲みつつくつろいでいると、飼い雑用実装石兼情報収集
実装石のネジが帰ってきた。名前はマネジメントが由来だ。普段は部屋の掃除やらの雑用
をやらせつつ、時折外へ出して情報収集をさせている。

 実装ショップで買ってきた雑用実装石に、色々仕込んだヤツだ。

「ご主人様。今回のターゲットは実蒼石デス」
「ん?」

 訝る。

 今まではマラ実装や性格の悪い実装石が主で、実蒼石を標的にすることはなかった。基
本的に目の色変えてころころ体調が変化するのは、実装石だけである。

「いわゆる凶暴化した実蒼石デス」
「なるほど」

 納得して頷く。

 凶暴化。滅多に見られるものではないけど、実蒼石の糞虫化だ。殺戮に目覚めたとも言
う。本能的に実装石を襲う実蒼石だが、それでも積極的に実装石を殺すことはない。また
実装石以外を襲うこともない。でも、凶暴化した実蒼石は積極的に実装石含む他実装を襲
い、残酷な方法で殺すようになる。

 加えて、凶暴化が進めば犬や猫、さらに人間の子供なんかを襲うようになる。凶暴化し
た実蒼石は、人間を襲う前に専門業者に捕獲、駆除される。ただし、その前に殺してはい
けないという決まりは無い。

「うん、やってみよう。場所と相手の特徴は?」







 河川敷の草地。

『ボクゥ……』
『デギャガァ……デガァ……!』

 件の実蒼石が実装石をハサミで突き刺している。普通実蒼石は一振りで実装石を殺すの
だが、この実蒼石は手足の末端からハサミの先端を突き刺していた。両手両足は肉も骨も
壊され再生するまで動かせないだろう。つまり、逃げられない。

 その顔には、実蒼石とは思えない残虐な表情を見せている。

 私は川から少し離れたビルの屋上からライフルを構えていた。

「参ったな。予想外に動く……」

 思わず愚痴る。

 予想はしていたけど、実蒼石は素早い。実装石はよく動きを止める時があるから狙いや
すいんだけど、実蒼石はそうもいかない。実装石の周りを移動しながら、手足をハサミで
刺している。立ち止まる気配もない。

『デギギィ、デジャアァ……!』

 その間にも、実装石がゆっくりと壊されていく。

 不意に草陰から実装紅が現れた。

『ダワ』
『ボクッ?』

 実蒼石が実装紅を見る。

 一拍置いてから、ハサミを刺していた実装石から注意を離し、いきなり走り出した。標
的を変更したらしい。一直線に実装紅へと駆け寄ると、地面を蹴って飛び上がる。

『ボクッ!』
『ダヮ——』

 跳び蹴りを顔面に食らい、実装紅が倒れた。

 実蒼石が攻撃してくるとは思っていなかったんだろう。普通の実蒼石は実装紅を攻撃す
ることなんてない。でも、凶暴化した実蒼石は別だ。相手が実装紅だろうと、迷わず遅い
かかる。今のように。

『ダワァ……』

 地面に倒れたまま顔を押さえている実装紅。

『ボックック……』

 残酷な笑みとともに、実蒼石がそれを見下ろしていた。

 よし。
 動きが止まった。

 私は実蒼石の両目に照準を合わせ、トリガーを引く。

『ッ……!』

 突然目に飛び込んできた強烈な光に、実蒼石が両目を押さえてハサミを落とした。今回
は目に色を定着させるため、やや強めの発振器を使っている。その強めのレーザー光が目
に入れば、普通に痛い。このレーザーが目に入れば、人間でも数分から一時間ほど目のチ
カチカが収まらない。

 数歩蹌踉めいてから、実蒼石が顔を上げて辺りを睨んだ。涙の滲む両目を両手でこすり
ながら、怒りにまかせて視線を周囲に飛ばしている。
 自分を攻撃した相手——つまり私を捜しているんだろう。

 でも、手の届く範囲にはいないよ。

『デスゥッ! ……デ!』

 漏れた声に、自分の喉を押さえる実蒼石。
 その顔が蒼白になっている。

 実装石のように目の色を変えても劇的な変化の無い実蒼石だが、例外がある。両目の色
を左右逆にすると、実装石のように「デスデス」と鳴くようになるのだ。

 私が今回使用したのは、赤と緑のレーザー発振器をふたつ並べたもの。それで実蒼石の
両目を撃ったのである。結果、両目の色が入れ替わった。ものの本によると、実蒼石の実
装化とか言うらしく、放置しておくと最終的には実装石になってしまうらしい。

『デーッ、デッスー!』

 両目から色付き涙を流し、必死に叫ぶ実蒼石。今までの凶暴な様子はどこへやら。ガタ
ガタと目に見えるほど震えている。絶望と恐怖にその顔が歪んでいた。

『ボク』
『ボクゥ……』

 そうしているうちに、どこからともなく集まって来た十数匹の実蒼石。普段見かけない
けど、野良実蒼石ってかなりいるんだな。でも、中には首輪を付けたヤツもいる。飼いも
混じってるらしい。

『ボクッ!』

 体格のいい実蒼石がハサミを一閃。首輪を付けているので飼いだろう。
 金色のハサミが、実装化した実蒼石の両目を真横に斬り裂いた。

 間髪容れず、周囲の実蒼石がハサミを構えて襲いかかる。切腹の介錯を思わせる、鋭い
斬撃が確実に急所を捕らえていた。実際にこれは介錯なのだろう。実装石化した実蒼石も
抵抗らしい抵抗を見せない。

 十数本のハサミが立て続けに閃き、凶暴実蒼石は瞬く間に斬殺された。

『ボクッ……!』
『ボクボクゥ!』

 実蒼石たちが辺りに殺気立った視線を飛ばしている。

 両目の色の入れ替えによる実蒼石の実装化。実蒼石にとっては最大の禁忌であり、実装
化した実蒼石は声の届く範囲にいる実蒼石によって、速やかに殺害される。また、人間が
インクなどで目の色の入れ替えを行った場合、実蒼石の禁忌に踏み込んだ相手として総攻
撃を食らう。その場合、大抵滅多斬りにされて、死亡か入院となる。

 実蒼石たちは私を捜しているんだろう。

 でもあいにく私は既にライフルを片付け、望遠鏡で観戦モードだ。

『ボォクゥ……』

 数分ほど私を捜していた実蒼石たちだが、近くに犯人らしき者が居ないことを理解し、
そのまま解散していった。かなり口惜しそうだけど、私も死にたくはないんでね。

 後に残ったのは、呆然とした実装紅、細切れの肉片となった実蒼石。
 あと、手足を潰されて悶えている実装石だけだった。







 午後九時過ぎくらいだろう。

 私は明かりを消したアパートの窓から、スコープで外を見ていた。

 窓から見える先には、通称託児スポットがある。人気の無い道で、時折酔っぱらった人
が通る場所だ。託児というとコンビニやスーパーなどの近くで行われると思うかもしれな
いが、そういう実装石は店員によって速やかに駆除される。店の信用に関わるからな。誰
も託児実装石のいる店なんて行きたくない。

『デッス』
『テチッ』

 親実装が仔実装四匹に何か言っている。

 でも、口の動きから私が鳴き声を想像しているだけで、実際に声は聞こえない。リンガ
ルを使っても、翻訳はされないだろう。

 内容は託児先での動き方かな?

 私はライフル台座の精密ダイヤルを動かし、親実装の緑目に照準を合わせる。スコープ
に映る、赤外線レーザーの赤い点。それは、親実装の緑目の少し上にくっついていた。こ
れは可視光ではないので、普通に見ることはできない。

 赤色レーザー発振器を準備し、トリガーを引く。

 レーザーが命中し、親実装の両目が赤色に染まった。

『デギャアァァァァ!』

 悲鳴とともにその場にひっくり返り、総排泄孔から仔実装や親指、蛆実装などを強制出
産していく。栄養状態がよかったのか、小柄な仔実装も含まれている。

 その栄養を仔に奪われて、動けなくなった親実装。

『テチィィ』
『テチャァァ』

 仔実装はきょろきょろと辺りを見回している。

 親実装の強制出産に何が起こったのか分からないだろう。逆にこの状況でレーザーによ
る狙撃を受けたと理解できる個体がいたら、そっちの方が凄い。

 私はライフルの照準を仔実装の一匹に定め、緑目に赤レーザーを照射した。

『チャアァァァァ!』

 悲鳴とともに、親指や蛆実装を強制出産。

 しかし、仔に強制出産に耐える体力はなく、十匹ほどの蛆や親指を生み終わった時には
仮死して動かなくなっていた。身体も随分と細くなっている。

『テチィ……』

 仔実装二匹が抱き合って震えていた。

 残りの一匹は、親実装や仔実装が生んだ親指や蛆実装を囓っている。

『テププ』
『レヒャー』

 とりあえず、こいつに使用。

 私はその仔実装の赤目に照準を合わせ、新型システムを装填した。さっそく実験台にな
ってもらおうか。というわけで、ファイヤ!

 トリガーを引いた瞬間、赤と緑のレーザーが連続で照射される。

『テテテェ、テテテチテチ!』

 強制妊娠と妊娠解除を高速で繰り返し、その場で激しく痙攣している仔実装。

 トリガーを引いている間は、赤色レーザーと緑色レーザーがコンマ五秒間隔で交互に照
射される仕組みだ。今回試したかったのは、この新システムである。

 一秒の間に強制妊娠と強制妊娠解除を繰り返され、仔実装が瞬く間に消耗していく。

『チュベッ……』

 両目を白く染めて死ぬまで、十秒もかからなかった。

 私は最後に必殺の発振器を装填する。白色レーザー発振器をふたつ並べたもの。
 抱き合って震えている二匹の左に照準を合わせた。

 トリガーを引く。

『テッ』

 目に撃ち込まれた白色レーザーが両目を白く染め、仔実装を死に至らしめた。

『テ、テェェェ!』

 残った一匹が、ついさっきまで生きていた仔を必死に揺すっている。が、既に両目を白
く濁らせて息はしていない。死んだ事は薄々と理解しているようだが、それを受け入れら
れず、必死に姉妹の身体を揺すっている。

「お前は見逃してやるよ」

 私はスコープから目を離した。

 白色レーザー発振器。実装石の目を白く塗ると死ぬという原理を利用した、一撃必殺の
仕組みである。ただ、白い光というのは複数の波長の光が集まったもので、単純に考える
と実装石は強烈な光を目に浴びるとそれだけで死ぬということになる。

「よく分からないな……?」

 実際のところはどうなんだろう? 両目にレーザー並の強い白色光が入ることはまずな
い。一番身近にある強い白色光は写真のフラッシュだけど、フラッシュで実装石が死んだ
という話は効かないし、威力が足りないのかな?

 白色レーザーを目に受けたら死ぬのは、単純なショック死かも……。
 そもそも何で白く塗ったら死ぬのかは考えてはいけないのかもしれない。






 ネジは近所の公園を歩いていた。

 情報収集である。主に他の実装石に恨みを持っている実装石から、恨む理由と相手のこ
とを聞き、主人の男に伝える。それが、ネジの仲介役としての仕事だった。

「デェ……」
「殺し屋デスゥ……」

 周囲から向けられるのは、恐怖の視線である。

 ネジ自身は仲介役なのだが、ネジに話した実装石が実際に死んでいることから、野良の
間では殺し屋と呼ばれている。ネジ自身が殺していると勘違いされているらしい。

「困ったもんデス」

 ため息をついてみる。

 ただ、一目で分かる飼い——首輪付きで肩から鞄を提げた実装石が、公園を一匹で歩い
ても、何もされないというのはありがたかった。殺し屋実装石という勘違いから、誰も怖
がって手を出して来ないのだ。

 飼い主もそれを理解した上で分かりやすい飼い実装石の格好をさせている。

「殺し屋サンッ!」

 いきなり目の前に一匹の実装石が飛び出してきた。

「どうしたデス?」

 ネジはそう問いかけながら鞄から小さな機械を取り出す。実装石が持てるサイズの小さ
な機械で、集音器と赤と緑のランプがついていた。主人には嘘発見器と教えられている。
実装石が嘘をつくと赤いランプが付き、本当の事を言っていると緑のランプが付く。

「ワタシの仔の敵を取って欲しいデスゥ!」

 野良実装が泣きながら頼んでくる。

 嘘発見器は緑のランプを点けていた。本当の事らしい。時々他の実装石を貶めようと嘘
を言う実装石もいる。そういう偽の依頼をしてくる相手は、ネジが鞄にしまっているミニ
コロリスプレーで抹殺していた。

「仔の敵デスか、誰にやられたデス?」
「仔食いデスゥ」

 野良実装石の答え。
 緑のランプが点いていた。







 なるほど、まさに仔食いだ。

 私が覗いているスコープには、仔実装を食っている大柄な実装石が映っていた。実装服
は着ているが、禿で頭巾も無い。だが、そのハンデをものともしない威圧感がある。腕力
も強いのだろう。

『デェ……ェ……ン……』

 近くには、腹を踏むという方法で強制出産させられた実装石が倒れていた。

 糞やら血やらが噴き出した総排泄孔には、花が大量に突っ込んである。新しく仔を妊娠
させてまた食うつもりなのだろう。その目は緑に染まり、妊娠を示していた。

『デッフ〜』
『レチャアァァ!』

 仔食いは、生まれたばかりの仔実装を脚からちまちまと囓っている。
 痛めつけると味がよくなると本能的に知っているのだろう。

 残った仔や親指も腰を砕かれて近くに転がっていた。必死に母親に縋ろうとしている者
や、とにかく逃げようとしている者がいるが、無駄な努力だろう。腰が砕けてはまともに
移動もできず、親実装は満足に動くこともできない。

 私が住んでいる街は、行政が実装石駆除にあまり積極的ではないため、実装石がたむろ
する公園やこういう糞虫個体がそれなりに残っている。虐待派にはありがたいけど、一般
人には迷惑は話だろう。

 私のライフルにレーザー発振器を装填する。
 地面に座っている仔食い。動かないので、照準は楽だ。

 トリガーを引く。

『デデデデデゥ、デススッ』

 赤目にレーザーを受け、ガクガクと震える仔食い。囓っていた仔が足下に落ちた。

 赤と緑のレーザーが交互に目に入り、強制妊娠と解除を繰り返す。
 もこもこと動いている腹が、実装服の上からでもはっきりと分かった。

 強制的に妊娠させることにより、体内の栄養を強引に仔実装へと変化させる。妊娠解除
されれば作られた仔実装は、そのまま消化されて栄養に戻るのだが、仔実装を作るのに消
費した栄養を全て回復するには到底至らない。
 ましてや秒間隔で強制妊娠と解除では、ひたすら仔を作るエネルギーを失うだけ。

 短時間の強制妊娠と解除の連続は、体力を劇的に消耗させることが目的だ。

『デヒィ……デヒァ……』

 十五秒ほど続けた頃には、やせ細った仔食いが残っていた。餓鬼のように腹だけが異様
に膨れている。腹の仔の残骸はそのうち消化されるが、しばらくは動けない。

 私はレーザー発振器を切り替え、両目を狙いトリガーを引く。

『ッ……!』

 仔食いが両目を押さえた。実蒼石の時もそうだが、これは普通の発振器よりも一段出力
の強いもの使用している。そのレーザーを両目に浴びれば、痛いのは当然だ。太陽を直接
目で見ると目の奥が痛みを覚えるのと原理は一緒。

 何とか上半身を起こし、仔食いは両手で両目をこすり呻いた。

『ボクゥ……ボクッ!』

 慌てて、自分の口を押さえる。
 その両目の赤と緑が入れ替わっていた。

 実装石の実蒼化。こちらは、ただ鳴き声が変わるだけであるが、実蒼石にとっては実装
石の目の色を変えるのも禁忌である。

『ボーク、ボクッ、ボォォォ!』

 突如として変わった声に、慌てる実装石。

 その声に引かれるようにわらわらと周囲に集まってきた、実蒼石十数匹。前にも思った
けど、野良実蒼石って見かけ以上に多いらしい。首輪付きの飼い実蒼石も混じってはいる
けど、全員の目的は一緒だ。

 全員が忌まわしいものを見るように、冷たい目で実装石を睨んでいる。

 実装石はその威圧感に脱糞しつつ、右手を口元に添え小首を傾げた。

『ボォォ……。ボクゥ♪』

 媚び。

 それが殺戮の合図となった。
 先頭の一匹がハサミを二閃。両目と、喉を潰す。

『………!』

 そのまま何重にも閃くハサミが、実装石の身体をずたずたに斬り裂いていく。実装石相
手には強い仔食いでも、実蒼石に敵うはずもない。しかも、衰弱しきった状態で、この数
の実蒼石に襲われては、手も足も出ない。

 先日実装化した実蒼石に向けた介錯的な斬込みではなく、粗大ゴミでも解体するような
力任せの連続斬撃。仔食い実装石の身体が見る間に壊れていく。

 残ったのはミンチになった実装石。

『ボクゥ……』
『ボク』

 実蒼石は殺気だった表情で犯人を捜していたが、周囲にそれらしき人間などがいないと
分かると、順次解散していった。前回のような口惜しさは見えない。もしかしたら、何か
しらの事故と結論付けたのかもしれない。

 でも、先日も目の色入れ替えやったから、しばらくは実蒼ネタ使えないな。
 私は静かにその場を後にした。

 しかし、また第二公園か……







 調査から帰ってきたネジは、そこはかとなくボロボロになっていた。

「デェ、ご主人様……」
「どうした?」

 尋ねると、ネジは肩で息をしながら、

「半月前のマラ実装と、こないだの仔食いの件デス。いつの間にか他の実装石が倒したこ
とになってるデス。ワタシも嘘吐き殺し屋と追いかけられたデス」
「……ん?」

 よく分からない。

 仲介役のネジが話を聞いて、私が標的を殺している。私の存在を知らない野良実装石た
ちは、ネジが殺しているのだと勘違いして、ネジを殺し屋実装石と呼んでいた。人間が殺
しているのが分かって、ネジが嘘吐きと言われるのならまだ分かるけど。

「そいつは公園のボスになってるデス」

 ネジはそう続けた。
 なんとなく話が見えてきたぞ。

「……これは、利用されたかな?」

 奥歯を噛み締め、私は腕組みをした。







 その後の調査はネジに任せた。
 まあ、私も平日は仕事あるし。

 結果、第二公園で私が狙撃した実装石たちは実は自分が策を弄して倒したのだと吹聴し
まくった実装石がいるようだった。そいつは今、公園のボスの位置についている。他実装
石を扇動するのが上手い個体だったのだろう。

 いわゆる狡賢い個体だ。

「なるほど」

 スコープから見えるボスの様子。

 禿裸の奴隷実装石を椅子代わりにしつつ、葉っぱの皿に盛られた金平糖やお菓子などを
囓っている。見せ掛けだけだが、一応優雅に振る舞っている、その周囲に控えた四匹の実
装石。木の棒を持って護衛のつもりだろう。ボスには尊敬と畏怖の眼差しを向けている。

 よく見ると禿裸椅子は、いつぞやのマラ実装石の成れの果て。

 しかし、このボスは絵に描いたような詐欺師だな……。
 持って行く所持って行けば、そこそこの値段になるぞ、コレ。

「ネジ、そいつに間違いはないか?」
「間違いないデス。こいつデス」

 無線を通じて、ネジの答えがリンガルに表示される。

 ボスの近くに潜んでいるネジ。こんなこともあろうかと、潜入工作術も仕込んである。
あくまでもお遊びレベルのものだけど、相手が実装石なら何とかなるものだ。

「では、私の名を穢した者に制裁を……なんてね」

 私はボスの両目に狙いを定めた。

 禿裸の椅子に座って、大きく動いたりはしないので狙いは定めやすい。自分が狙撃され
ることは考えていなかったんだろうか? いなかったんだろう。そもそも、マラ実装石も
仔食い実装石も狙撃されたとは思っていないはずだ。

 ボスも身の回りに警戒を払っていれば大丈夫と考えているようだ。仮に敵が来ても護衛
が戦っているうちに逃げる腹づもりってところかな? 知らないけど。

 でも、残念。そういう小細工は無意味。

「発射」

 私はライフルのトリガーを引く。
 ボスが一瞬両目を見開いた。

『デギャアァァッ』

 次の瞬間、悲鳴とともにひっくり返る。
 両手で両目を押さえ、絶叫しながら足をばたばたと振り回していた。

『デスッ』
『デェ?』

 護衛実装石たちが棒を構えて辺りを警戒しているけど、攻撃した相手は見つからず、あ
ちこちに視線を飛ばすのみ。あいにく私は君たちの視界に入る位置にはいない。

『デスゥゥ……』

 両目を押さえながら起き上がったボス。

『デス』
『デスデス?』

 敵を探すのを一度中断し、護衛実装石たちが心配そうに声を掛けている。

 ボスはおそるおそる目から手を放した。両目から色付き涙が止めどなく溢れている。目
の色は赤と緑で一見変化はない。しかし、効果はしっかりと現れていた。

『デェェェ……? デッス、デス!』

 その場にしゃがみ込んだまま、おろおろと辺りに手を伸ばしている。何を言っているか
は分からないけど、想像は付く。両目から流れる涙は止まらない。

『デェェェ……ン……! デギャァッ……!』
『デスッ』
『デスッ』
『デシャァ! デギャァァァ!』

 大声で騒ぐボス。
 おおかた犯人を見つけろと命令しているのだろう。

 護衛実装石が再び辺りに棒を向けるが、犯人は見つからない。見つかるはずもない。

 標的の確認が終わった時点でネジも速やかに退避している。もう報復は終わっていた。
遠距離から相手に気付かれずに攻撃するのが狙撃の醍醐味である。

『デヒィ……デスゥ…』

 ボスは何とかその場に立ち上がり、力無く両手を動かしながらよろよろと歩き出す。両
目から溢れてる涙は止まる気配を見せない。情けない声で鳴きながら助けを求めるように
護衛実装石の方へと進むも、禿裸椅子の足に躓いて顔面から転倒した。

『デギャアァ! デェェェ! デァアァァ!』

 すぐさま起き上がり、糞を漏らしながらその場で両手両足を振り回している。しかし、
何が起こったのかも分かっていない。混乱と恐怖の感情が映る顔で、癇癪を起こした子供
のようにひたすら暴れていた。色付き涙は流れ続けている。

 護衛たちも棒を下ろし、困惑したようにボスを見ている。
 その目にさきほどまでの尊敬の畏怖の感情は映っていなかった。そりゃそうだろう。こ
んな無様な姿を見せられたんだ。

「任務完了」

 私がボスの目を撃ったのは、高出力赤外線レーザーだ。

 発振器にも「絶対に人間に向けるな」と書いてある代物で、人間が目に受ければ視力にダ
メージが残る可能性があり、即座に眼科行きである。実装石の目に入れば、視神経を焼き
壊し、その視力を奪ってしまう。

 ボスは今、失明していた。

 外部情報をほとんど視力に頼っている実装石。人間のように失明しても誰かが手助けし
てくれる社会システムもなく、ボスが今後どうなるかは想像に難くない。どこまで墜ちる
かは私の知るところではなかった。

 でも、自業自得である。

「さよなら」

 私はライフルを片付け、帰途に付いた。



  END


2123.【馬】炎のチャレンジャー
2117.【馬】隣の公園のマッスル
2116.【虐駆】〈紫〉広場の実装石駆除
2114.【虐馬】マラ実装石虐待
2111.【虐・怪】〈紫〉黒いニンゲン
2108.【虐】上げて落として
2105.【馬】実装された都市伝説
2104.【哀】希望と絶望
2101.【馬】〈紫〉カツアゲ…?
2099.【観察】〈紫〉幸せな最期とは
2097.【虐】斬捨御免
2089.【実験】レインボー実装石
2081.【観察】Narcotic Addict − 麻薬中毒者 −
2077.【馬・虐】〈紫〉マラカノン砲
2071.【馬鹿】〈紫〉虐待してはいけない…
2066.【虐・実験】ジッソウタケ
2057.【虐・他】中途半端な賢さは…
2038.【虐・愛?】ダイヤモンドは砕けない
2031.【馬鹿】雪華実装は鍋派?
1994.【虐・観】時間の狭間に落ちる
1988.【虐】クリスタルアロー
1983.【馬鹿・薔薇】リベンジ! 完全版
1980.【馬鹿・薔薇】リベンジ!
1977.【虐・観】懲役五年執行猶予無し
1970.【実験・観察】素朴な疑問
1958.【虐・実験】虐待&リリース
1954.【獣・蒼・人間】騎獣実蒼の長い一日
1952.【軽虐】既知との遭遇
1944.【馬鹿・薔薇】水晶ハワタシノ魂ダ!
1941.【色々】実装社交界の危機
1939.【駆除】ススキ原の実装石駆除

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