庭師実装石「みど吉」第5話 「はあ・・・・」 双葉警察署の刑事『鬼柄正利』は、机に広げたとある殺人事件の被害者の写真を見て何回目か分からないため息をついた 「おつかれさまです先輩、あ、それって」 見回りから帰って来た鬼柄の後輩に当たる刑事『杉原』は、鬼柄のデスクに広がっている写真を覗きながら声を掛けてきた 「ん?何だ杉原か」 「また出たんですか、例の連続殺人集団」 「ああ、一昨日の夜にな、被害者は高校生三人、死因は・・・」 「一人は首の後ろから針状のモノでナントカって中枢神経を破壊されたのを起因とする筋肉硬直による窒息死 次が背中から肋骨の隙間を狙って幅2センチ、長さ16センチの刃物で刺され、トドメと言わんばかり体の中で心臓を真っ二つ 最後が切れ味抜群のピアノ線の束のようなモノで作った大型の刃物でバッサリ一刀両断・・・・ってとこですか?」 杉原は鬼柄が説明するよりも先に被害者の死因を言い当てた 「正解、そしていつものように目撃者も遺留品もゼロ、多分これも『お宮入り』だなこりゃ」 半ば諦め気味のため息をつきながら鬼柄は広げた写真をまとめ始めた 「それにしても・・・今度の連中は何したんですか?」 「少年課で聞いたんだが、盗んだ同級生の携帯でソイツの彼女をメールで呼び出して強姦してその最中を撮影してネットで販売、 ネットでその痴態が売り出されている事を知った彼女はショックの余り自殺、それを知った彼氏が復讐しようとしたらしいが返り討ち、 彼氏の復讐に腹を立てた三人はその彼氏の中学生の妹を誘拐して同じように強姦してヤってる最中を撮影してネット販売、 妹も自殺したらしい」 「ふざけた連中だ・・・・・・でもそれって強姦と殺人幇助罪ですよね」 「一応逮捕はしたが、直接殺した訳じゃないのと未成年だからってのが弁護士の言い分で判決は保護観察処分、まさに少年法バンザイって奴だ」 「そんな無茶苦茶な、女の子二人も自殺に追い込んでその程度だなんて」 「まがりなりにも将来が保護されるべき子供だからな、そして自殺した二人の仇を例の殺人集団に彼氏が依頼してこの結果だ」 「は〜・・・・んじゃあ彼氏って奴を殺人幇助で逮捕しますか?」 杉原は写真の横に置いてあったファイルに目を通しながら鬼柄に話し掛けた 「その必要はない。事情聴取したが『頼んだ相手を見ていない』らしい・・・・ここも今まで通りだ・・・・・はあ・・・」 この地域でこれまで分かっているだけで過去数十年間200件以上の『不可解かつ加害者不明』の殺人事件が不定期に起こっている 被害者の経歴、性別、年齢、職業に一切の関連性はなく、あるとすれば 『悪事を働き、人、もしくは実装種などから深い恨みを買った』 これだけが唯一の共通点であり手がかりでもあったのだが、不思議な事に今まで一度も犯人に近付く目撃報告も物的証拠もなく 警察もこの事件の度に徹底的に捜査を行うのだが、全く犯人に辿り着けない事に苛立ちを通り抜け、今では半分諦めモードに入っている 「しかしこれって・・・あの時代劇に似てると思いませんか先輩?」 写真とファイルを見比べていた杉原が突然ボソッと呟いた 「は?何に似てるって?」 「あれですよあれ、ほら『必殺仕事人』って時代劇、似てると思いませんか?被害者がみんな悪人なトコとかクセのある殺し方とか・・・」 「TVの見すぎだアホ、大体あんなふざけたやり方で人が簡単に殺せる訳ねえだろ」 後輩の子供じみた考えに呆れながら鬼柄は胸ポケットから煙草とライターを取り出して立ち上がった 「あっ先輩、吸いに行くなら屋上の方がいいですよ、また『あの人』が下に来てますから」 「あの病院送りになった糞餓鬼の親父様か・・・・ったく、どんだけ暇なんだよあのオッサンは」 デスクに置いている自分専用の灰皿を手に取ると、ブツブツ文句を言いながら鬼柄は屋上に向かった 野志男がみど吉にボコボコにされて(前話参照)2〜3日後、野志男の父親は激しく怒り、管轄の双葉警察署に来るなり 「警察の名誉(自分の腹の虫)に掛けて何が何でも犯人(息子の仇)を捕まえろ!!」 と双葉署の署長に怒鳴りつけた(彼は一般の警察署署長よりも役職が上だったからこそできた事)しかも 「人手が足りないなら上に掛け合っていくらでも回してやる!!とにかく絶対に捕まえろ!!」 とまあ親バカな発言とも取れる命令のせいでその日から双葉警察署はテンテコマイの状態になった なにせいつもより取り締まりを厳しくしただけで「怪しい人物」がいくらでも出てくる 住宅地付近でバールやらエアガンで堂々と武装してうろついている奴、荷台にたくさんマラ実装や汚い糞蟲をハウスごと積み込んでいるトラックやワゴン車 血まみれの実装を片手にぶら下げながらその実装を取り返そうとする年端もいかない子供を脚蹴にしてる奴、etc・・・・ 上げればキリがないがほぼ毎日30人以上の「怪しい人物」が任意同行され、逮捕者も続出した そもそもここまで悪虐派なる連中が執拗に暴れまわった理由は 『住所などの詳細等を書き込み、虐待正義の名目で徹底的に虐待派を煽った内容の数多くのサイトへの書き込み』と 『悪徳駆除業者が「役所との専属契約」の獲得の為の自作自演』が一番の原因で、この駆除業者の摘発は連日マスコミを騒がせた(こちらの詳細と後日談はいずれまた・・・) なにはともあれ警察の本腰を入れた取り締まりが始まると、僅か一月足らずで、猛威を振るった悪虐派の起こす騒ぎは下火となり やがて分別ある虐待派の間に「周りの迷惑を考えない自己中な虐待行為の禁止」が暗黙の了解で広がり、ようやくこの地域に一応の平和がやって来た 「・・・つまりコレをこうゆうふうに使えばもっと早く楽にお掃除が出来るデス」 「「「「「デス〜・・・」」」」」 所変わって第7公園、新しく指導実装石が来た後、「ボス」から「ご意見番」に変わったみど吉が実装石用竹箒と塵取りの使い方を実演を交えて説明していた あの後やっと後続の指導実装石が来てこの時点でみど吉は「お役御免」となり役所からそれなりのバイト代(現金が飼い主の俊秋に)が支払われて終わりのはずだったのだが みど吉に心酔している公園の野良実装石達がわざわざ身の危険を冒してまで鈴山家までみど吉を尋ね、「帰って来て欲しいデス」と秘蔵のコンペイトウを持参して土下座までされ仕方なく 今公園にいる「指導実装石の補佐」と言う形でほぼ毎日公園に通ってみんなに勉強会を行っているのだ 「どうもお疲れ様ボクみど吉」 「ごきげんようダワ」 「糞蟲はいないボクー」 そんな勉強会をやっている公園に、近所に住んでいる見回り実装種の真面目な実蒼石の「アオイ」、ツンな態度の実紅石の「ティアラ」、マイペースな実蒼石の「時雨」が見回りついでに公園に入ってきた(休憩目的) 「見回りデス?ここに糞蟲はいないデスよ」 「分かっているダワ、見回りが一通り終わったから休憩しにきたのダワ」 見回り実装達に敵意は無いのはみんな理解している、がしかし天敵である実蒼石の突然の訪問にみど吉以外の野良実装石達は後ずさりしながら距離を取りだした 「・・・いつも思うけど・・・もしかしてボク達って嫌われてるボク?」 ある程度離れてから一斉に茂みに隠れて行った野良実装石を見ながら時雨はみど吉に尋ねた 「仕方ないデス、みんな本能的恐怖が先立つし、この前もタチの悪い実蒼石と馬鹿飼い主(悪虐派)が暴れようとした事件もあったから・・・」 (因みにこの時の実蒼石と飼い主はみど吉に禿裸のフルボッコにされて公園から叩き出された) 「なんだか悪い事したボク・・・・・それはそうとみど吉、また今日も手合わせして欲しいボク」 アオイがみど吉に一礼してから背中にしょっていた鋏を抜いた 「分かったデスアオイさん、では最初はお互い肩慣らしから・・・」 みど吉はそう言って右腕に装備している伸縮式ナイフを伸ばしたその瞬間 カカカカッカカカカカン!! 突然凄まじい鋏とナイフの連撃が空中でぶつかり、リズミカルな金属音が公園内に響き渡る 実は以前、第7公園に逃げ込んだ渡りの仔喰いを追いかけたアオイは偶然にもみど吉の実力(一瞬で4匹の仔喰いを解体した技)に驚き、その力に惚れたアオイが 彼女に頼み込み、暇さえあればこうして実戦特訓に付き合って貰っている アオイが手合わせしている最中、興味のない時雨はベンチの上で昼寝を始めているが、ティアラは鋭い眼差しで二人(二匹)の特訓を見ている (なるほど・・・・いつ見ても信じられないけどアイツあれでも手加減している、一体どんな鍛え方をしたら実装石があそこまで強くなるのダワ?・・・・・ もし殺るとしても多分時雨と二人掛かりでも・・・・・・無傷はまず無理、いいえもしかしたら・・・) 「ぜい・・ぜい・・ぜい・・ま・・・参ったボク・・・」 時間にして10分程だっただろう、完全に息の上がったアオイはその場にへたり込んだ 「中々の上達振りデス、でも大技ばかりに頼り切るのはアオイさんの悪い癖デス、大技を決める為には面倒でも小手先の技を・・・・」 休憩ついでに手合わせの内容を振り返ったみど吉はアオイの克服すべき点のレクチャーを始ようとしたその時 「アオイ〜、ボク達はもう帰るボク〜」 「ごきげんようアオイ、また明日ナノダワ」 時雨とティアラはそれだけ言って帰り支度を始めている 「あ、ちょっと待ってボク、ボクも・・・」 アオイは帰ろうとする二人を慌てて追いかけようとした 「御免ボク、ちょっとボク達寄る所があるボク」 「それにアオイ、アナタ確かお爺さんが病院から帰って来る前に家に帰らなきゃいけないって言ってなかったのダワ?」 そう言ってティアラは公園の時計を指した、時間はもう3時に差し掛かろうとしている 「いけない、もうこんな時間ボク・・・それじゃあみんな、お先に失礼するボク!!」 アオイはみど吉と時雨達に一礼すると急いで帰っていった 「まだ反省の途中だったデスけど・・・仕方ないデス、それはそうとティアラさん・・」 帰ろうしたティアラにみど吉は声を掛けた 「あら、何か用事なのダワみど吉?」 みど吉の声にティアラは振り返ったその時、みど吉の口から以外な言葉が飛び出した 「赤い服だから人間の返り血が目立たないって考えは捨てた方がいいデス、今はルミノールって薬品ですぐに分かるデス」 「な!!・・・・」 その言葉に思わずティアラは驚いた 「み・・みど吉・・・アナタは何が言いたいのダワ・・・・」 「・・・さあ?」 みど吉は一瞬とぼけた顔をしてから二人に背を向けて掃除の準備を始めた それから10分後、時雨とティアラは街外れの少し寂れた神社の境内で誰かを待っていた 「いないボク・・・お出かけボク?」 「あきれたのダワ、自分から呼び出しておいて留守だなんて・・・」 どうやらここに住んでいる者に呼ばれて来たのに当の本人がお留守らしい 「いないならまた明日来るしかないのダワ、全く・・とんだ無駄足ナノダワ」 「アラゴメンナサイ・・・」 突然どこからともなく聞こえた声とともに二人の目の前に白い霧が現れ、その霧の中から一匹の実装「雪華実装」が姿を現した 「元締め、何所行ってたボク?」 「ポチトオリオントナノナノノトコロ・・・『スカウトシタイイツザイヲミツケタ』コトノレンラク・・・・」 「ポチさんとオリオンとナノナノ?オリオンとナノナノは分かるけど・・・なんで引退したポチさんにまで連絡するのダワ?」 「ツイデッテイッタトコロ、タマニハムダバナシヲシニイキタクナルモノデショ」 それだけ喋ると「元締め」と言われた雪華実装は地面を滑るように移動して神社の賽銭箱の上に座った 「ソレデ・・・アナタノミタテハドウ?ムラマサ・・・」 元締めはティアラを「ムラマサ」と呼びながらティアラに質問を投げかけた 「闘わなくても分かるのダワ、あれは『実装石の姿をした化物』ナノダワ、それにアイツ・・・ワタシの服の返り血の事を・・・」 「キヅカレテモショウガナイ、アノジッソウセキハ『ニンゲンヲコロス』クンレンヲコドモノコロカラタタキコマレテイル・・・ テキニマワセバカナリノキョウイ・・・ダカラコソポチガインタイシタイマ、ミドキチヲナントカスカウトシタイ」 「へ〜そうなんだ・・・だからあんなに強いんボク・・・・そんなに強いなら是非一度本気で・・」 「冗談でもやめてナノダワ、一応断っておくけど、オリオンとあんたの三人掛かりでも多分誰かが死ぬのダワ、それは元締めも困る事じゃないのダワ」 「フム・・・・・アナタタチノミタテハワカッタ・・・・・・イイワ、ワタシガアトデチョクセツハナシテミル、アラタナル『シオキジッソウ』ニナッテクレルカドウカ・・・・」 雪華実装はそれだけ言うと再びその姿を白い霧に包み、その姿を消した 「・・・・・ってアイツ、私達を呼び出したのってあの質問の為だけナノダワ!!」 「さすが元締め、ボク以上のマイペースっぷりボク」 「・・・・アナタ・・・多分ここは感心する所じゃなくて怒る所ダワ・・・・」 その日の深夜、アオイ達が帰った後、日暮れギリギリまで野良実装達にイロイロと講習と公園の清掃活動を行ってから自分の家に帰り、遅めの夕食を済ませて眠りに就いていたみど吉はふと目が覚めた (誰かいる・・)姿はまだ確認できないがなにがしらの気配を感じたみど吉は、とっさにベットの近くに置いている護身用のニードルを壁に向かって投げつけた タタン!! 「・・・・ウマクケハイヲカクシタツモリダッタケド・・・サスガネ『グンヘイジッソウセキ』サン・・・イエ、イマハ『ミドキチ』ッテヨンダホウガイイカシラ」 「誰デス!!」 壁に刺さったニードルの横にどこからともなく漂ってきた白い霧とともに雪華実装が現れた 「雪華・・・実装・・・・」 突然表れた雪華実装にみど吉は背筋の凍りつく感覚を覚えた、いくらこの辺りで最強だと言っても自分は所詮実装石、雪華実装には敵う訳がない 「ソノハンノウ・・・アナタ、セッカジッソウヲミタノハハジメテジャナイワネ」 雪華実装の言っている事は当たっていた、 それはみど吉は現役時代、とある古城を勝手に占拠したテロリストの制圧任務にその古城に向かった時の事だった みど吉の部隊が古城に到着して潜入した時には古城に住み着いていた雪華実装の逆鱗に触れたテロリストは一人残らず残酷な手法で皆殺しにされ 更に怒り収まらない雪華実装のとばっちりを受けたみど吉の部隊の半数以上と人間の一個小隊が被害を受けた その時の雪華実装の戦闘力と恐ろしさを思い出したみど吉の体は脂汗でじっとりと濡れている 「彼岸の境地の存在と言われているアナタがワタシのような卑小な実装石に何の御用デス・・・・」 みど吉はなるべく相手の気に障らないように言葉を選んで雪華実装に質問をした 「ヒショウ?・・・フフフ、イママデニタクサンノニンゲンヲチマツリニアゲタモノノセリフトハオモエナイクライケンキョネ、アナタ」 雪華実装はみど吉の部屋(飼い主の娘、早苗が子供の頃に使っていた屋外用ママゴトハウス)の中を漂うように移動して部屋の中央にあるミニテーブルに腰掛けた 「コワガラナクテイイワ、スコシオハナシシマショウ・・・イイデショ、ミドキチ」 「お話・・・デス?・・・・・」 雪華実装に敵意がないのを理解したみど吉はやっと落ち着きを取り戻し、ベッドから降りると来客用の紅茶(鈴山家の払い下げ)の用意を始めた 「あまり高くない紅茶デス、お砂糖とミルクはどうするデス?」 「コウチャノヨウイナンテナカナカシャレテルジャナイ、ジッソウセキニシテオクナンテモッタイナイワ、アナタ」 雪華実装はミニテーブルの上から側に置いてある実装用の座椅子に座り直し、角砂糖を一つ紅茶に落として一口飲んだ 「ところで、ワタシとお話って・・・一体・・」 「アワテナイデミドキチ、ソレニシテモ・・・ヤスモノノチャノハデモクフウシダイデオイシクナルモノネ、ティアラニモアジミシテモラッタノ?」 「ティアラさんの知り合いデス?」 雪華実装の口から以外な名前が出たのにみど吉は驚いた 「エエモチロン、シグレトモシリアイナノ・・・マアアノコノホウガティアラヨリチョットツキアイガナガイケド・・・・・・」 そこまで喋ってから雪華実装は紅茶を一口飲んだ 「・・・ハナシガスコシダッセンシタミタイネ・・・・ジャアタントウチョクニュウニ・・・・ミドキチ、アナタヲヤトイタイ」 「デ?ワタシを雇いたい?・・・」 雪華実装の言葉にみど吉は疑問を感じた、雪華実装が自分を雇いたい・・・一体何の目的で・・・・・ 「ヤトウリユウハ・・・・カンタンニイエバ『ヒトゴロシ』ヲヤッテホシイダケ、アナタニナラカンタンデショ?」 「デ!!」 雪華実装の言葉にみど吉は驚いた、人殺し?・・・何の冗談だ、いや冗談にしても悪すぎる 「クワシクセツメイスルワ・・・ジッソウセキニイイジッソウセキトクソムシガイルデショ、コレハニンゲンニモアテハマル、 ネエミドキチ、アナタノムレデクソムシガウマレタラアナタハドウスル?」 「糞蟲デス?・・・・虐待派に渡すかその場で始末するデス」 「アナタハカシコイワネ・・・・デモコレガニンゲンナラドウナル?・・・カシコイアナタナラワカルデショ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 みど吉は黙り込んだ、人間の成人並に賢いみど吉には雪華実装の言いたい事は痛いほど分かる 「ニンゲンニハホウリツガアル、ドンナクズデモクソムシデモ『イニチハイニチ』トシテゼンニントドウトウニアツカワレル・・・ヨホドノワルイコトヲシテケイサツニツカマリ、 サイバンデ『シケイ』ニナラナケレバノウノウトイキラレル、サイバンデ『ムザイ』ニナレバ、イッサイノトガメヲウケルコトスラナイ・・・フジョウリダトオモワナイ、ミドキチ」 「つまりそれを踏まえて『人間の糞蟲を狩る為に雇いたい』・・・・そう言いたいのデスかあなたは・・・」 「ケツロンヲイソガナイノミドキチ・・・ニンゲンノクソムシハカナラズオナジニンゲンヤジッソウタチカラダイジナモノヲウバッタリコワシタリシテウラミヲカウ アナタニハソノウラミヲハラシテモラウ『シオキジッソウ』ニナッテホシイ・・・ソノタメニアナタヲヤトイタイ」 「仕置・・・実装デス?」 「ソウ・・・チカラナキヨワキモノノウラミヲカワリニハラシテアゲル・・・ソレガ『シオキジッソウ』」 雪華実装の言葉を聞いていたみど吉は言葉が途切れた所で質問した 「・・・・・・いくつか質問をしてもいいデス?」 「エエドウゾ」 「雪華実装さんはなぜ『仕置実装』なんて事を始めたデス?慈善事業のつもりデス?」 「チガウワ、コロシタニンゲンノタマシイハワタシニトッテハゴチソウ・・・トクニ、ヨクボウデヨゴレキッタタマシイハゴクジョウノイッピン・・・」 「それともう一つ、雪華実装のアナタになら人間から魂だけ抜き取る事は難しくないはずデス、わざわざ他の実装を雇って人間を殺させるなんて回りくどい事なんてしなくても・・・・」 「アアソノコト・・・ソレワネ・・・」 雪華実装は再び紅茶を飲んで一息ついてから以外な理由を口にした 「メンドクサイカラ」 ズッテーーン!! この未も蓋もない答えにみど吉は吉●の芸人みたいに盛大にズッコケタ 「ちょ・・・・ちょっと待ってデス・・・・てか面倒くさいって・・・・」 「アナタノ言ウ通リ魂ダケ頂ク事ハデキルケド、アレッテ元気ナ人間ニヤルトモノスゴク疲レルシ、一人一人ニ時間ガ掛カリ過ギルノ デモ、死ニタテヤ死ニカケノ人間ナラ簡単カツ楽ニ魂ヲ取リ出セル・・・・ツマリワタシハ美味シイ魂ヲ頂ク、 『シオキジッソウ』達ハ、依頼ノ際ノ怨ミ銭ヲ貰エル、依頼シタ者達ハ晴ラセヌ怨ミヲ晴ラシテモラウ・・・ホラ、コレデミンナ幸セ」 ここに来てみど吉は雪華実装の目的を理解した、つまり彼女は『自分の食事の手伝い』の為に自分を雇いたいようだ 「ソレデドウカシラミドキチ、実装石ノ中デハ最強ノ部類ニハイルアナタニ来テモラエルナラ・・・・」 「申し訳ないデス雪華実装さん、ワタシはもうその道から引退した身デス、それに万が一にも今の主人の家族の迷惑になるような事だけは・・・・」 みど吉は自分の心情を語った、もし昔の自分だったら渡りに船とばかりの喜んで首を縦に振っただろう、だが今は違う 自分に飼い実装としての居場所をくれた鈴山家、自分を慕う公園の野良達、そんなみんなに自分の我侭で迷惑は掛けられない、それがみど吉の答えだった 「ソウ・・・・・・・・残念ネ、アナタニ来テモラエレバティアラ達モ少シハ楽ニナルト思ッテタケド・・・・仕方ナイワ、無理強イハシテモ意味ハナイシネ、 デモミドキチ、モシ気ガ変ワッタライツデモ待ッテルワ・・・街外レノ神社、ソコニワタシハ住ンデイルカラ・・・・・・ソレト・・紅茶、オイシカッタワ・・・」 雪華実装はゆっくりと座椅子から立ち上がると白い霧とともに姿を消した 「デエェ・・・・・・・・・・・・・・・」 誰もいなくなった部屋の中でみど吉は考えていた 確かに周りに迷惑は掛けられないのは分かっている、しかし心のどこかに力を存分に振るう場所を求めている自分がいるのも分かっている 雪華実装にああは言ったがみど吉の心に迷っていた 「いや・・・・これで良かったんデス・・・・・・・これで・・・・・」 しばらく考えてみど吉は自分の心に言い聞かせるように呟き、ティーカップを片付け始めた TO NEXT 「群がる蛆虫」 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ おまけ みど吉以外の登場実装 ティアラ(ムラマサ) 仕置実装 花屋「きらら」の主人の飼い実装、普段からそっけない態度の取っ付き難い実装紅、嫌いな言葉は「手抜き・適当・ティアラちゃん」特に3番目を連呼するとぶち切れる 時雨 仕置実装 古いタバコ屋の老夫婦とその娘夫婦と一緒に暮らしている実蒼石、少々食いしん坊で昼寝好きなのだが他の実蒼石より戦闘力は高い オリオン 仕置実装 天体観測が趣味のごく普通の家の飼い実装燈、実は彼女の家系は14代前から雪華実装に仕えている、今の所「虐待は楽しい 仕置」にちょっとだけ登場 ナノナノ 仕置実装 半ニートの主人と暮らしている実装苺、戦闘力は皆無だがパソコンを使っての情報収集や機械の遠隔操作で仲間をサポートする。「虐待は楽しい 仕置」でちょっと活躍してます ポチ 元仕置実装 とある元豪族の家に飼われている今年で12歳の番獣装石、7年仕置実装を勤めていたが歳を理由に3ヶ月前に引退、今は広い家に家主の老婆と一人と一匹、静かに暮らしている アオイ 普通の飼い実蒼石、一人暮らしの老父と暮らしている、人間の家事はほとんどこなせるある意味すごい実装種、最近老父の病気が気になっている 元締め 雪華実装 最強かつ最凶の実装種、仕置実装の頭をやっているが自分が出張る事はほとんどなく、もっぱら仕置きの終わった死体から魂を奪って捕食している 実は意外とマイペースでちょっとお茶目な所がある あとがき みど吉自体の話はひとまず終了です 「仕置実装」はかなり前(みど吉より前)から考えていたんだけど、いざやろうとした時に 「強い他実装種」はある程度納得してもらえても「強い実装石」だけはちゃんとした誕生秘話書いとかないとヤバイかなと思い グダグダと「みど吉」の話を書く羽目に(もうちょっとはしょるべきだった)なってしまい多くの不評を頂きました(反省) この場を借りてお詫び申し上げます そしてこんな駄文にお付き合いして頂きました事に深く感謝いたします KF
