タイトル:【虐】 珍事
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3798 レス数:0
初投稿日時:2010/06/02-20:32:45修正日時:2010/06/02-20:32:45
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    ◆珍事◆


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家の飼い実装、ミドリが受粉妊娠した。託児上がりの愚劣な奴だ。
別に点眼で手軽に妊娠解除できるし、実装石の生態上、勝手に妊娠するなと言うのも
無理な話なのだが、俺はミドリが粗相したら激しく躾ける程度の軽い虐待派なので、
生まれた仔に糞蟲がいたら処分すると通告した。

──約一週間後。
今日はミドリの出産予定日だったが急な残業が入り、帰宅したのは深夜だった。
居間の飼育スペースでは既に親実装となったミドリが生まれたばかりの仔と一緒に
寝ていた。しかし仔の数はたった三匹で、そのうち一匹は何故か禿裸。

叩き起こして問い質すと、自ら間引いたという。
生まれた仔は糞蟲ばかりで、どうせ処分されるのなら母の手で、という事らしい。
「悲しいけれど仕方のない事デスゥ……ゲプ」と騒ぎで起きた仔達を撫でつつ
ゲップを吐くミドリ。ムカつく。出産時の消耗を考えて倍近い餌を用意していたが、
それでも足りなかったようだ。……いや、コイツは餌はあるだけ食う奴だった。
しかし俺の帰宅が遅くなったとはいえ仔に手をつけるとはな。

俺は、糞蟲は俺が処分すると言ったはずだと難癖をつけてみる。
「ちゃんとご主人サマの分は取ってあるデス」
そう言うとミドリは禿裸の仔を差し出した。とりあえず俺は受け取る。
途端にその仔は俺の手の上で脱糞してチププと笑いやがった。紛う事無き糞仔蟲だ。
さて、こいつをどうするか。流しで仔蟲ごと手を洗い考える。──ふと、ガタがきて
買い換える予定の薄汚れた電子レンジが目についた。

──実装石をレンジでチンするとどうなるの?──っと。

俺は牛の乳を搾る要領で仔蟲を数回揉み、簡易な糞抜きをすると雑巾で荒く拭きあげ
レンジに突っこんだ。おもむろにスイッチオン!
低い駆動音と共に内部が照らされ、耐熱皿の中央でお愛想したままの仔蟲が
ゆっくりと左に回り始める。
「テチ……?」
仔蟲は何気なく顔を掻く。次は不思議そうに右腕を掻く。そして慌てて左腕を掻く。
痒いのか?
「テ…テヂッ、テヂィィィィ!?」
突然、狂ったように体中を掻き始めた。電磁波で全身の水分を満遍なく加熱されて
いるのだ。想像を絶する苦痛だろう。
煮えて動けなくなったのか、それとも偽石が自壊したのか、仔蟲は仰向けに倒れる。
その身体が餅のように膨らんでゆく。俺は破裂を予感し少し後ずさった。
だが沸騰と蒸発の勢いが釣り合ったのか、仔蟲の膨張は元の三倍ほどになったまま
安定した。湯気でレンジ内が曇ってゆく。

──チーン!

扉を開けると仔蟲はすぐに萎み始める。元のサイズより微妙に縮んだようだ。
俺は皿を残りの仔と共に様子を窺っていたミドリに突き付けた。産廃処理だ。
「食えよ」
二匹の仔は姉妹の無残な姿に怯えているが、ミドリは有るか無いか判らない鼻を
ピスピス鳴らして仔だったものから立ちのぼる湯気を吸いこみ、手にとって無意味に
裏表を確かめ、躊躇いなく頭から食いついた。
「ハフ、ハフッ!」
熱いのか、舌の上で転がしながら咀嚼してゆく。
……いずれ、この糞蟲の始末も考えなくてはな……。
そんな思案を巡らせていると、ズボンの裾が引っ張られる。
「ん?」
見るとミドリが残った仔の片方を俺に掲げている。
「これもチンしてほしいデス」
「テェッ!?」
こいつ、味を占めやがった。
「おいおい、そいつは良い仔じゃなかったのか?」
「さっき糞を付けられたご主人サマを陰で笑っていたデス」
一応リンガルをチェック。そんな記録は無い。
「テチィィィーーッ!! テッ…テ……ヂ」
パキン、と何処かで小さな音がして、悲鳴を上げていた仔が動かなくなる。
あまりのショックに偽石が自壊したか。最後の仔は飼育スペースの片隅で震えている。
「……まあ、いいだろう」
少し可哀想な気もするが、ゴミは纏めておこう。適当にレンジに放り込みスイッチオン。
「怨むなら馬鹿な親を恨め」と右回転する亡骸に呟く。
再度観察。だが何故か今度は仔の身体に変化は見られない。時々パチッと音がして
小さな手足が跳ねるのみ。死後だったせいなのか、それとも実装服のせいだろうか?

──チーン!

「ほれ」
「デッスゥーン♪」
ミドリは笑顔でそれを受け取ると、先程学習したのか息を吹きかけ少し冷ましてから
器用に仔実装服を剥き、大口を開けて齧り付いた。

──ッパァン!!!!

「うぉっ!?」
突然の破裂音にビビる俺。見るとミドリの顔の下半分ほどが吹き飛んでいる。
仔だったものは両足しか残っていない。
「……内圧? かかっていたのか?」
ミドリは立ったまま仮死していた。

後に俺はネット検索で、卵を直にチンすると同様の現象が起きる事を知った。
ミドリは喉と肺を焼かれ、飲食どころか呼吸さえ苦痛を伴う状態となった。
火傷自体は軽度で、傷を抉れば簡単に治せるが、後釜もいる事だし、もはや用済み。
俺は放置した。自力で回復する確率は、まあ半々だろう。
結局、十日間苦しんでミドリは衰弱死した。
一応偽石が残っていたら標本にしようと思い、先ず頭部を調べたところ、あっさり
見つける。
辛うじて原形を留めていたその偽石には、別の偽石のものであろう小さな破片が
幾つも喰い込んでいた。
「……」

余談だが、最後に残った仔は親と違い素直で非常に賢く、アレの選定眼だけは
良かったようだ。ただ変なトラウマを植え付けてしまったらしく、

──チーン!

「テヒィア!?(プリッ)」
レンジの音が鳴るたびにパンコンするようになってしまった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

END.

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