仔実装紅スピンオフ デスゥ・・ ん、今糞蟲の鳴き声が聞こえたか? デスデス 間違いねぇ、あの声は実装石!! デッデロゲーデッデロゲー うっしゃああ今行くぜえ!!!! 虹裏利秋の前を一匹の実蒼石が疾走してゆく。 ゴミ漁りをしている実装石に向かい一直線に走りぬける実蒼石。 だが、寸での所で道の僅かな窪みに足をとられその場でこけた。 ずざー 「プッ。」 思わず利秋は噴いてしまった。実蒼石は気づいていない。実装石に向かって悔しそうにボクボク言っている。 興味を持ったのか携帯のリンガルを起動させる利秋。 「チキショー。また、失敗かよ。くそおお。」 実蒼石に気づいた実装石、当然逃げた。 「あああ、待て、逃げるな。」 「あーあ。行っちまいやがった。」 独り事を連発する実蒼石。利秋の好奇心を満足させるのに一分かかってない。 久しぶりに童心に帰る事が出来た。 今ので実蒼石は顔が埃まみれ、腕にも擦り傷ができてる。お持ち帰りの口実には不足の無い状況。 利秋は話しかける。 「なあ、家に来ないか。傷の手当てぐらいはしてやるけど。」 *************************************************************************************** 「ただいまー。」 「お帰りナノチャワ。」 仔実超紅ことルコウがトタトタ出迎える。 絵本はないの?と少し残念そうな顔をするルコウに先ほど拾った実蒼石を見せる。 「今日は客人をつれてきよ?」 「ほら、野良実蒼。」 だが、その言葉にルコウより先に実蒼石が反応する。 「だれが野良だ。俺は立派な飼い実蒼だぞ。」 「まじでか? じゃあ連れてきちゃマズい。俺、この歳で前科者はさすがにねぇからな。」 飼い実装は立派に人の所有物。加えて実蒼石はペットショップでもそこそこ値が張る。 「あ、そこは心配するな。飼い主には三日ほど出かけるって書置きしたからな。」 「お前字が書けるのかよ。つうか、語尾の“ボクゥ“はどうした。」 「これでいいボクゥ?」 イラッ 「まあ、怒るな人間。実は俺は今修行の最中なんだ。」 傷を手当してもらいながら、ふてぶてしく言う実蒼石。 「よくあるだろ? 漫画とかアニメで弱い主人公が修行して強くなるって奴。」 「おまっ、・・・弱いのかよ。」 「ああ、情けない話だが俺は出来損ないだ。産まれたときから注意しないと語尾は付けられねぇ 実装石は殺せねぇ。 俺には実蒼に必要な要素が何一つとして無い。」 「だからこそ俺は決意した。実装の印(生首)を獲るまで飼い主の元には帰らないとな!」 面白いけどコイツ馬鹿だなと利秋は呆れてた。 実蒼石がペット用に教育されるとき、まず最初に教わるのは実装石を殺さないこと。 なぜなら、飼いであろうと野良であろうとむやみに実装を殺す実蒼は実蒼全体のイメージダウンにつながる。 実装が教育済みとそれ以外が分けて販売しているように、実蒼も実装を殺す個体とそれ以外とを分ける。 実装を殺す実蒼は実装駆除用に、殺さない個体は愛玩用に販売される。 はたして、目の前の実蒼が前者か後者かは定かでないが、今まで特に問題無く暮らしていたのであれば愛玩用であろう。 ともかく実装石を殺すことのできない実蒼石はレアだ。 そんな考えを巡らせていると実蒼石が挨拶してきた。 「つーワケで今日からここで世話になるぜ。よろしくな。」 「出てけ。」 「何でボク? 外は夜寒いボクゥ。ボクおなか減って死んじゃうボクゥ。」 「いまさらボクボク言ってもダメなもんはダメだ。つうか、外が嫌なら飼い主ん所帰れよ。」 「一匹ぐらい増えてもスペース的には問題無いノチャワ?」 「そーゆー問題じゃねぇの。俺がドロボーになっちゃうの。置き引きで。」 二匹と一人で言い争う。その後、その実蒼石は利秋が責任を持って飼い主の元へ返した。 人の物を盗ったら泥棒。 仔実装紅スピンオフ・完
