ガラガラと言う不愉快な音とともに、研究室に奇怪な物体が搬入される。 台車の上に乗せられた90ラ110センチ水槽の中にこんもりと盛られた暗緑色の泥?か一見すると牛か大型の草食 獣の糞らしき奇怪な物体 それをにこやかに見つめ、作業員に指示を出す日焼けした教授。 数カ月ぶりにアフリカの奥地から帰国した研究所の主が持ち帰ったこの奇怪な物体、僕がその正体を知り驚く事となるのはそれから数分後の事 「あのー、教授?これ何ですかって、クサッ!!」 水槽を覗き込んだ自分の鼻を突くスカトールの芳香、コリャどうみても動物の糞だ。 反射的に身を引いた自分に対し、教授は満面の笑みで語りはじめた。 「凄いだろう?気配や視線、振動や他の生物の匂いを感じると体内に大腸菌そっくりの細胞内小器官を瞬時に形成し、 まるで野生動物の糞で有るかの様に振舞うんだよ!」 ???コレ、生き物なのか?糞の匂いは研究室内にあっという間に籠り、呼吸困難になりかけたほどだ。 色々聞くのも面度臭かったので、単刀直入に聞く事にする 「教授、これ何なんですか?生き物なんですか?」 「フッフッフ、君もよく知っとる生き物じゃよ。もっとも、コイツが生き物かどうかは現在も議論が分かれる所だがのぅ」 「??」上目使いに自分を見る教授 「コイツは実装石じゃよ。この緑色のウーズは野生の実装石、その真祖じゃ。」 教授がアフリカの奥地で拾って来た糞物体、それは実装シリーズとして分化する前の、実装石の『素体』だと言うではないか 驚きの声が実装シリーズ製薬研究棟実装石フロアに響く 「我々が目にしているのは既に幾重にも変態と擬態を繰り返して変質、精錬された個体じゃが、本来の実装石とは、 こうやって動物の糞や湿地帯で軟泥に偽装しながら堆積物を食べる原始的な生物だったんじゃよ」 目の前の糞物体は依然として糞のように振舞っている。所々崩れてたり、乾きかけているのか白っぽかったり、まさしく糞にしか見えない 俄には信じがたい話だ。 「あのー、教授。これがどうやってあの実装石になるのかサッパリ検討皆目が付かないんですが」 我々の専門は偽石機構に関する薬品(治療から駆除用の薬物まで)だ。 この実装シリーズの真祖を解析すれば、全ての実装シリーズに対する特効薬から駆除薬まで思いのままと言う事か。 てっきり水槽に取り付ける機器だと思っていたが、どうやら厳しい環境から書類を守るケースだったらしい。黒いボ ックスから大量の資料と思しき束やファイルを取り出す教授を見ながら、自分は椅子に腰掛け、話の続きを待った 教授が自分に何枚かのポラロイド写真を手渡す。アフリカの野生動物の子供を捉えた写真だ。 野鳥の巣の写真らしい、他は水辺、湿地帯、子育てをする珍しい魚の巣、取り留めの無いチョイスが続く 教授は写真を指差し語る 『鳥や魚は、いくつかの特徴を押さえてれば勝手に自分の子供だと思い込んでくれるからの、実装石には特に人気が高い」 「?」 「この写真で言うとこれじゃ、右下の雛じゃ。現地チームが6年粘って漸く捕まえた一瞬の隙じゃよ」 よくみると、巣の中の雛、一匹だけ何と言うか溶け欠けたようなぐったり仕掛けたというかクニャクニャしていると言うか良く見たら微妙にオカシイ 「こうやって、他の生き物の仲間や子供に成り済まして生きて行こうとした連中が出だしたのじゃよ」 教授いわく、この『成り済まし』こそ今の実装石誕生の切っ掛けだそうだ。 それを可能にしたのが、偽石機構と言う事か教授は更に話を続ける 「そうしているうちに、『彼等』は自らを定義する必要に迫られたのじゃ、幾つもの異なる生物の間を成り済ましながら行 き来するためには、何度形をかえても決して変わらぬ自我、それを裏付ける物理的システムが必要じゃったと私は睨んでおる。」 「つまり、偽石じゃ。実装石達は自らの拠り所として偽石という存在を作り出したのじゃよ」 教授は話す 「彼等がどこでローゼン明電を知り、何故数多くの野生生物ではなく、キャラクターを模倣し、なぜ寄生先に人間を選 んだのか、それは長年の謎だった」 話し振りからするに、アフリカの奥地へ出向かう事は大分以前から決まっていたようだ。おそらく、研究の合間を縫っての私的な研究として、教授はこの糞物体に関する調査を続けていたのだろう。随分な年なのに、結構なガッツと体力で有る。 「だが、漸く解ったのじゃよ。彼等が暮らす場所、その最奥部を見た時、私は漸く全てを理解した」 「実装石たちは、擬態を繰り返し全ての生物から搾取を行う究極の高等遊民、生態系のピラミッドを眺める観光客としての自らを作る為に進化と言う概念を作り上げ、変改していく生物、それらを裏付ける為の遺伝子構造、それを長い時間をかけて作り上げたのじゃ、 世界から干渉されずに遊び続ける自分達を後ろから支えさせる為にな」 「やがて、彼等の行いは自らを高める方向へ際限なく進みだしたと言う訳じゃ、そして生み出されたのg 彼等にとって神にも等しい絶対の存在、幸福も不幸も一瞬で与える存在。他の野生動物とは決定的に違う、楽園に暮らす彼等が、 他の誰よりも神に近いと証明し続ける為の使用人にして主人『ニンゲン』だっとと言う訳デスゥ」 教授の理論、それが正しいのか、はたまた、その『最奥部』で何を見たのか、途中立ち寄った村で薬物でも決めたのか 自分には何とも言いがたかった。 「デププ」 自分を見つめている。そう勘違いした実験用実装石が笑う。屈託の無い笑顔で笑う。 ニンゲンがローゼンメイデンを考え、そして先見の明が有る実装石の一部が、ただ生きる為に野生動物では無くニンゲンに媚びようとして、ハルヒ石やら実装シリーズやらに姿を変えたのか 実装石が、あの緑色の泥から、実装スレやら設定やら、自分達を見続け、関わり続け、翻弄され続ける存在、その最も都合の良い最たる物としてニンゲンを作り放ったのか既に自分には解らなくなっていた タイムカードを押し、研究所を出る。自分を見る教授の目が、わずかに赤と緑に輝いたように見えた気がした。 END 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 今回は、愛護派、虐待派、そしてスレ住民など、実装石を取り巻く全てに対する根本的な問いかけと言うコンセプトでのSS製作となりました。 あの女社長とかも、実装石が自分達を守る圧倒てきな存在として創造した物だったら?自分達に豊穣を齎す愛護派 、その『影』として虐待派が生まれたら? 実装石が自らを肥やす為にコインの存在を求め、その価値を作る為に中程をつくり表と裏を定義したら? これはそんな話です。設定に関しては特に権利を主張するつもりは有りません。使用する場合は 後書きなんかに『作者あき』と一応設定元を描いておいてくれれば構いません。画像、漫画に関しても同様です。 では(^e^)ノシ
