タイトル:【観察】 運命の悪戯
ファイル:庭師実装石「みど吉」第4話.txt
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初投稿日時:2010/03/24-13:28:34修正日時:2010/03/24-13:28:34
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                 庭師実装石「みど吉」第4話  







ここはこの街の第6公園、今は午前2時過ぎ、一人の男が両手にバールを持って近所迷惑も考えず、雄叫びながら野良実装石相手に暴れている

「ヒャッハアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「「「「「デギャアアアアアアアアアア!!!!」」」」」

バールを振るう度に野良実装石の血肉や糞が空に舞い、遊具や植木に降り掛かり、公園を汚していく

「やめて下さいデスニンゲンサン!!どうしてこんな酷い事するデス!!」

変声リンガルを付けたこの公園の指導実装石が叫んだ声に、男が振り向いた

「ああ?何だって?今何か言ったか糞蟲?」

「ワタシタチはヤクバのニンゲンサンに公園をキレイにするって約束をしてここに住んでいるデス!!

ニンゲンサンに迷惑かけない約束をしてここに住んでいいってキョカを貰ったデス!!

なのにどうしてこんなヒドイ事するデスニンゲンサン!!」

今ここに住んでいるのは、役場やこの街の「地域全体で実装被害を減らそう」運動に参加している虐待派が吟味して残した

人間を甘く見ない、言わば「管理しやすい」賢い野良実装石と、その公園の管理を補佐する「指導実装石」しかいなかった

もちろん男はその事は十分に知っている、だからこそココに来たのだ

「じゃあさ、お前らは俺の許可は取ったのか?」

「デ?」

指導実装石は目を丸くした

「おい、大体俺はお前達にココに住んでいいなんて許可を出した覚えは全くないぞ」

そんな権利なんて今日始めて来た男にある訳ない、しかし

「で・・・でもワタシタチはヤクバの許可を・・・・」

「つまりお前等は俺の許可なく勝手にこの公園に住み着いた訳だ、

だったら今ここで俺に駆除されても一切文句は言えないよなあ!!」

始めっから虐殺目的で来ている男に実装石の都合もこの街のルールも関係ない

「そ、そんな!!いくらなんでもあんまり・・」

「うるせええええええええええええ!!!!!!」

グシャア!!

なんとか穏便に帰ってもらおうと思っていた指導実装石はあっさり頭を叩き割られた

「俺is正義!!糞蟲とその愛誤派is悪!!誰にも俺の正義は止められないぜえええ!!」

それだけ叫ぶと男はまた虐殺を再開して、思う存分楽しんで帰って行った

後に残ったのは遊具や植木、公園沿いの道路にまで広がっている実装石の血肉や糞、それから漂う異臭

「駆除するのは俺の仕事、片付けるのは行政の仕事」それが男の中の常識だった








ほどなくして、一台のワゴン車が公園の前に停まり一人の男が出て来た

「あ〜あ、先客が荒らした後か・・・まあいいや、どうせこいつらのいい餌になるし」

ニヤニヤしながらそれだけ言うと、男はワゴン車から大量のダンボール箱を取り出して、公園のあちこちに置いていった

「これでよしっと、んじゃお前等、頑張ってこの辺りを地獄に変えてくれよ

その為にわざわざ2日掛けてマラと同族喰いを集めたんだから」

男が今置いて行ったのは他所の街から集めたマラ実装と同族喰いの糞蟲軍団、おそらく託児や家宅侵入程度なんて生易しい被害じゃ済まない、

最悪マラ達が学校帰りの子供をレイプしたり、同族喰い達が乳児を誘拐して食い殺したりと大暴れするだろう

そんな事が続けば、この街の糞愛誤派の計画は大失敗、その後でネットで徹底攻撃して、糞愛誤派を晒し者(住所や名前とか)にする

そうすれば他所の街の連中(管理に成功している街)を叩き潰すいい起爆剤になる

そう考えるだけでやる気が沸いてくる、口元が緩んでしまう

「糞蟲と共存なんて反吐が出る、まあそんな妄想もすぐにぶち壊してやるよ、くっくっくっく」

手持ちの糞蟲を全て下ろした男は何処へと走り去った

その日の朝、早朝のジョギングをしていた老夫婦が変わり果てた公園の惨状を警察に通報して事態は発覚

糞蟲達が暴れだす前に近所のボランティアや駆除業者の人達によって、かろうじて糞蟲は全て駆除したのだが

その後の掃除に至っては完了するのに丸三日掛かった









「また、悪虐派の仕業か・・・・」

この地域の市長、虹裏氏はこの所の(今朝の事件も合わせて)悪虐派絡みの事件に頭を抱え、やむえず、緊急対策会議を開く事となった

「一体あいつらの目的は何なんだ、既に例の計画を始めてから18件の傷害事件、公園虐殺や飼い実装誘拐なんかは

半月足らずで50件以上も起こっている、なんで実装被害を減らす為の計画をあいつらはぶち壊したがるんだ?」

確かに話としてはそうだろう、しかしこの運動に参加している虐待派の意見は・・・・

「理解しろってのが無理な話なんだよ、俺達がやっている事は悪虐派からみれば『ただの愛護行為』にしか見えないんだろ

だからあいつらは『愛誤派の企みをぶち壊す正義の行為』の心情でやってんだ」

「長い目で見ようとしないで今しか見ない、だから安易な行動を起こす、殺したら殺したまま、汚したら汚したまま

散らかしたら散らかしたまま、どうせ誰かが片付けてくれるからいいやの考え、これのどこが正義なのやら」

虐待歴48年の老人も、今の一部の虐待派のモラルの低さには正直あきれ果てていた

「あいつらは大事な事を忘れてるんだ、『虐待は趣味の領域』であって、決して正義なんかじゃないってのを」

「でも・・・・・彼らの説得は無理でしょう、どうせ馬耳東風、いや、下手をすれば直接攻撃なんて事も」

愛護派の青年からのこの意見はあながち間違いではない

現に18件の傷害事件の内、5件が「公園での虐殺行為(俺の正義)を邪魔した」で

他に6件、「散歩中(見回り中)のペット実装の誘拐を邪魔した」なんて動機だからだ

(残り7件に至ってはまだ犯人すら逮捕されていない)

「しかも前に会議に来た連中に代案があるのかと聞けば『それを考えるのが行政だろ、何責任放棄してんだよ、死ねよお前等』なんて言うし」

「だからと言って彼らを野放しにはできないでしょうに、何かいい対策はないものか・・・・」

監視カメラや看板は設置したその日に破壊される

夜の見回りを強化すれば見回りの隙を狙って暴れている、おまけに最近あちこちに

『虐待は正義!!愛誤は悪!!やめよう!!やめさせよう!!愛誤活動!!』

『虐待は社会の常識、愛誤は社会の非常識、愛誤派撲滅委員会』

『人間やめますか?愛誤派やめますか?』

誰が作ったか知らないけどこんな張り紙が街中のあらゆる所に貼り出されるやら

意図的に学校帰りの子供達にわざわざバールを配って虐殺を指導する奴までご登場

もうこうなると八方塞がりのようなモノだ

後残っているのは、今の計画を中止して実装駆除予算確保の為に住民税を今の5倍に引き上げて

3〜5日に一回のペースでブロックごとに駆除する体制を作るしかまともな意見はなかった

「でも只でさえ厳しい課税を5倍に引き上げるなんて・・・」

無関心派の主婦にとっては課税5倍なんて考えたくなかった、しかし

「できれば増税したくはないんですけど・・・・でも5倍でも相当無理なんです」

そうなのだ、5倍にしても作業車の燃料費や、集めた実装石の処理費用には足りない位

だからこそ遥かに安くで実装被害を減らせるこの実装管理計画を進めていたのに・・・・・

「今現在まともに運営出来ているのは?」

「今は第7公園と・・・第8公園・・・」

第8公園の名前が出た途端、みんなの空気が重苦しくなった

「第8は・・・・ないだろ」

「だな・・・・何せあそこは」

「よそうよ、あそこの話は・・・・」

誰ともなく出た言葉に緊急対策会議は重苦しい空気のまま打ち切られ、もう少し計画を続け、見回りなどの強化すると言う結果となった














「デエエ・・・・・退屈デス」

所変わって第7公園、この公園の2箇所の出入口に2匹ずつの見張り実装が道路を見張りながらぼやいていた

「仕方ないデス、これもミンナで静かにここで暮らす為デス」

これは指導実装石のみど吉(一時的)のアイデアで、見通しのいい道路に見張りを立たせて

怪しい人間が近付いてきたら、すぐにみんなに知らせ、避難するなりして被害を最小限に抑えるのが目的だ

もちろん見張りは午前と夜間で交代(午後は役場の見回りがあるのでなし)、見張りの仕事をやればその日の食事の面倒を見てもらえるが

それだけ重要な仕事なのでサボったり、昼寝しようものなら、みど吉の痛いゲンコツ(そして食事抜き)を喰らう事になる

「それにしても、ボスはどうしてあんなに強いんデス?とても不思議デス」

「ワタシも不思議に思ったデス・・・・ボスは本当にワタシタチと同じ実装石なのかデス?」

「そうデス、もしかし・・・・・」

暇つぶしにお喋りをしていた見張り実装が急に黙り、ガタガタ震えだした

「デ?どうしたデス?」

「ギャ・・・ギャクタイハデス・・・・」

その言葉を聞いてもう一匹の見張りが振り返ると

かなり遠くからバールを肩に担いで鼻歌を歌いながらこちらに向かって歩いてくる人間の姿が見えた

「タイヘンデス・・・ボスーーーー!!!!ボスーーーーー!!!!!」

見張りの片割れは大急ぎでみど吉を探した

大声で叫んでいる見張りを見たみど吉はすぐに緊急時のホイッスルを吹いた

「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ホイッスルの音を聞いた他の実装石は、急いで公園の隅にある物置の中に駆け込んだ

この物置は、愛護派が用意した悪虐派対策のひとつで

実装石達には万が一にはここに避難するように教えてあるのだが、大抵逃げ込む前に殺されるので、あまり役に立ってなかった

そこでみど吉は見張りを立てて、怪しい人間が来たら、みんなが少しでも早く避難出来るようにと、みど吉なりに対策を立てた

そして、ほとんどの実装石が避難し終わった時、バールを持った若い男が公園に入ってきた

「さ〜て、今日もスーパー虐殺タイムの始まりだぜ!!・・・・って、あれ?」

大抵、どこの公園に行ってもデスデステチテチやかましい声が聞こえるはずなのに静かすぎる・・・・と思ったら

公園の隅にある物置からゴトゴト物音が聞こえてくる

「はは〜ん、さては糞愛誤派の入れ知恵だな〜、全くこんな無駄な事に金使うなよ、どうせすぐにぶっ壊すんだからさ」

お目当ての獲物を確認した男はニヤニヤしながらゆっくりと物置に近付く、

一方、物置の中の実装石達は恐怖にガタガタ震えていた

「アクマがまた来たデス!!」

「もうイヤデス!!コドモを殺されるのもオテテを千切られるのももういやデス!!」

「デデ?ボスはどこデス?」

誰かがみど吉が物置の中にいない事に気が付いた

「まさか、逃げ遅れたデス?」

「もしかして・・・・ダメデスボスー!!いくらボスが強くてもニンゲンには敵わないデスーー!!」

「デエエエエエン!!逃げてデスボスー!!ボスが死んだらイヤデスーー!!」

物置の中の実装石の悪い予感は当たっていた、物置の前では男とみど吉が既に対峙していた

「へ〜お前ここのボスなんだ〜、首輪もしてんのに、指導実装石って奴か?」

男は携帯リンガルに表示される文字を見ながらみど吉をジロジロ見ている

「一応飼い実装石デス、でもここの指導実装石も担当しているデス」

「あっそう、でも今日でお前は指導実装石をクビなんだよ、知らなかった?」

ニヤついている男のバールを持つ手に力が入ったのをみど吉は見逃さなかった

「言っている意味が解らないデス」

「糞しか詰まってない頭でも解るように!!」

男はそう言いながらみど吉の脳天目掛けてバールを振り下ろした

「してやるぜえええ!!!」

ガン!!

男のバールはみど吉の脳天ではなく地面に当たり、予想していなかった衝撃でバールが男の手から弾け飛んだ

「グワッ!!痛・・・な、何だと」

男は痺れる手を抑えながらこの出来事に驚いた

(そんな馬鹿な、確実に頭を狙ったのに!!)

こんな事は一度もない、バールの狙いが外れるなんて・・・・

しかし実際は男が外したのではなく、当たる寸前に、みど吉が後ろに素早く下がってバールの一撃を避けたのだ

「ニンゲンサン、ここでの虐殺は禁止されているはずデス、どうかお帰り願いたいデス」

みど吉は入口に立ててある看板を指してから、男に頭を下げた

「クソッ!!」

男は吹き飛んだバールを拾おうとした時

「んん〜、糞蟲が一匹だけだと〜、んな訳ねえよな」

別の入口からやせ気味の男がバールを両手に持って入って来た

「ああ〜ん、そこにいるのは貴明じゃねえか」

「ゲッ(嫌な奴が来やがった)・・」

やせ気味の男の名前は「野志男」この辺りの悪虐派の中で1・2を争う程の嫌われ者だ

なにせ一旦虐殺を始めたが最後、人間と実装石の区別が付かなくなり、動く物をロクに確認しないで反射的にバールを振り下ろす

それ故に野志男にいきなりバールで殴られた人間は今までにかなりの数になる(女も子供も関係ない)

しかも野志男の父は警視庁のお偉いさんなので、近所の警察も野志男には簡単に手が出せないらしい

(よりによって野志男かよ・・・・仕方ねえ、一旦逃げといたほうがいいか)

最初の男こと貴明は、自分の得物を拾い、野志男と距離を取った

「おい糞蟲、この公園の他の糞蟲はどこにいる」

野志男はみど吉の方に向き直りみど吉に近付いていく

だが当のみど吉は、まるで石のように固まって野志男を見ていた

(アイツは・・・・・あの男は・・・・・・・・間違いないデス・・・・・・・・)

みど吉の脳裏に過去の記憶が蘇る、頭を叩き潰され絶命した母の断末魔

無残な最期を迎えた姉や妹蛆、そして家族や他の同族に、笑い雄叫びながらバールを振るうアクマの姿

運命の気まぐれか、野志男はかつて、みど吉の家族を惨殺したあの時のアクマの正体だった

奇しくもみど吉は、かつて復讐を誓ったアクマに偶然にも再会したのだ

「まさか・・・・・こんな形で会う事になるとは思わなかったデス・・・・・」

「はあ?・・・おい、俺は糞蟲なんかに知り合いはいないぞ」

突然のみど吉の呟きに野志男の頭の上に?マークが浮かんだ

覚えていなくて当然だ、あの時の悲劇は野志男にとって『ごく日常的にやっていた虐殺の一部』に過ぎないから・・・

「お前は覚えていなくてもワタシは覚えているデス、今から5年前、ワタシはお前にママとオネチャ達とウジチャンを殺されたデス」

「へ〜あっそう、だから何?」

「一つだけ教えて欲しいデス、なんで実装石を殺すデス?実装石に恨みでもあるのデス?」

あの時の虐殺の理由、みど吉はどうしても野志男から聞いておきたかった

「実装石に恨み?お前馬鹿だろ、糞蟲殺すのに理由なんていらねえだろ」

みど吉の予想した通りの答えが返ってきた、

もし過去に実装被害に遭い、そのトラウマを払拭する為にやっていたと言うならば手心を加えるつもりだったが

いまの言葉で自己中な理由で暴れる野志男に手加減する気はなくなった

「そうデスか・・・・なら、お前に手加減する理由はなくなったデス・・・」

それだけ呟くとみど吉は自分の両肩に手を当て、何かのスイッチを押した

カチッ、ドン!!ドン!!

何かの外れる音の後、みど吉の服から明らかに重い物が落ちる音がしてみど吉が一瞬でやせた

いや、やせたのではない、みど吉が普段から体力低下を防ぐ為に着けているプロテクターを外しただけなのだ

「おい糞蟲、今何て言った?手加減する理由だと?・・・・」

ほんの僅かな沈黙の後

「ブッ!!・・ぎゃ〜っはっはっはっはっはっは!!手加減だと!!糞蟲が!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!

こりゃいい!!傑作だ!!はっ腹が!!腹がいて〜」

野志男はみど吉の言葉に大爆笑して腹を押さえている、よほどツボに入ったようだ

一方、みど吉はそんな野志男を冷たい眼差しで見つめている・・・・・・・・・・・・・やがて・・・・

「・・・・・・お腹の方は落ち着いたデス?」

野志男が笑い終わるのを待ってからみど吉は口を開いた

「はあ・・はあ・・はあ・・・・何だ?待ってたのか糞蟲?」

「当たり前デス、後で『不意を付かれた』なんて言い訳なんて聞きたくないデス」

みど吉はそう言ってからゆっくりと構えた

「あ〜はいはい、んで、どうするつもりなんだ糞蟲?媚びるか?股でも開くか?」

「まずはお前のお腹に頭突きを食らわせて、次にお前の顎をぶん殴る・・・ってトコデス」

構えたみど吉は両足に力を溜め、狙いを定める

「ブッ!!お前まだグガァ!!」

野志男とみど吉の間合いは3m位はあった、しかし数え切れない程の地獄と修羅場を潜り抜けたみど吉にとって

3mの間合いなどコンマ5秒で飛び込んで、野志男の無防備な腹に頭突きを喰らわせるなんて簡単な事だ

みど吉の頭突きで野志男の体はくの字に曲がり、その無防備に降りてきた野志男の顎にみど吉の右フックがめり込んだ

「ブガァ!!ガハッ・・ゲホッゲホッ!!ウエエッ・・・・がっ・・・おぐ・・」

顎を殴られて2,3度地面を転がった野志男は、顎の痛みと呼吸がままならない苦しみにしばらくのた打ち回った

「どうしたデス?糞蟲の頭突きとパンチ程度で倒れるなんて・・・ホント、ニンゲンは手加減しないとすぐ駄目になるデス」

地面に這い蹲っている野志男に向かってみど吉は、わざとらしく大声で野志男を挑発した

「グガ・・・こ・・この糞蟲がああああああああ!!!!!」

みど吉の挑発に野志男はぶち切れ、バールを滅茶苦茶に振り回し始めた、無理もない、実装石にのされて、見下されたのだ、野志男の無駄に高いプライドは思いっきり傷つけられたのだ

「うがあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

頭に血が上った野志男のバール乱舞が容赦なくみど吉に襲い掛かる

だが、デタラメに振り下ろされるバールをみど吉はヒョイヒョイ避け、隙あらばカウンターパンチをお見舞いした

そして10分後・・・・・・・

(チキショウ!!なんなんだよ・・・なんで俺が糞蟲なんかに後れを!!)

あの後、顔面や体にみど吉のカウンター攻撃を何発も喰らい、野志男はボロボロの状態になって、やっと少し冷静になった

「そろそろトドメといくデス・・・」

息一つあげていないみど吉は右腕からナイフを伸ばした

(なんだ?なんなんだ?ナイフ・・・だと、俺は今、何と戦っているんだ?あれは本当に実装石なのか?)

訳の判らない事態に野志男の頭は軽いパニック状態に陥った、その時、何気にズボンの後ろのポケットに手が触れた瞬間

ポケットに入れておいた「ある物」の存在を思い出した

「ま・・待て!!待ってくれ!!悪かった、俺が悪かった」

「??」

突然、野志男は態度を変えてみど吉に謝りだした

「一体何のつもりデス・・・」

「いやだからさ、仲直りしようじゃねえか、金平糖持ってんだよ俺、それあげるから・・・な?」

「コンペイトウ?」

金平糖の言葉にみど吉が反応したのを見た野志男は、すかさず後ろのポケットから「ある物」を取り出し

「ほら、これ」

バーン!!

次の瞬間、野志男の手にあった霧吹きスプレーは、みど吉の飛び蹴りで遥か後方に吹き飛んでいった

「・・・・・・!!!」

手に感じる痛みと同時に、野志男は恐怖を感じていた

「大分の水デスか・・・」

公園の入口近くまで転がったスプレーのボトルには「名水・日田天領」のラベルが貼ってある

普段はバールの汚れを落とす(溶かす)為に使っている物だが、たまに実装石に吹き付けて遊んでいたのをさっき思い出し

みど吉に吹きつけて怯ませようとしたのに・・・・

(まさか・・・見透かされていた・・・・・そんな・・・・そんな・・・・・)

「いくら鍛えているとはいえ、流石にあれを喰らえばワタシもタダじゃ済まなかったデス」

「あ・・・・・あ・・・・・」

野志男の体からいやな汗がじっとりと流れ出し、体は小刻みに震えている

野志男自身、今さらながら現状を理解した・・・・『コイツは危険だ』

「う・・・うわあああああ!!」

左手に持っていたバールをみど吉に投げつけ、野志男は逃げようとした

しかし野志男より一瞬早く、みど吉は野志男の前に回りこんで立ち塞がった

「どこに行く気デス?みすみす家族の仇をワタシが逃がすとでも思ったデスか、クソニンゲン」

「うわあ!!」

いきなり目の前に現れたみど吉に驚いた隙に、みど吉に足払いを喰らって、野志男は地面を転がった

「ぐえっ!!」

起き上がろうとした野志男の胸元にみど吉が飛び乗った、いわゆるマウントポジションだ

「積年の恨み、ここで晴らさせてもらうデス!!」

みど吉のナイフが野志男の髪をバッサバッサと切り裂き、あっという間に野志男を出来損ないの禿頭に変え

続けて野志男の顔面にみど吉の拳の雨が降り注いだ

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

「がばばごどげぐがぎゃめでげ!!だずげべげげ!!!!」

両手でガードしても人間の手より小さく、凄まじい速さと威力で襲い掛かるみど吉の拳なんて防ぎきれる訳がない

ガードの隙間を狙って打ち込まれるみど吉のパンチが野志男の歯をボキボキとへし折り、鼻の軟骨まで潰し

顔面のほとんどが赤紫色に変え、野志男の顔を、お岩さん以上のグロい顔に変えた

一方、近くにいる貴明はと言うと・・・・

目の前の非現実的事態に呆然としていたが

殴られている野志男が痙攣するだけになって、やっと正気に戻った

「や・・・・・・やめろおおおお!!」

貴明はバールを両手で握り、渾身の力でみど吉の頭に振り下ろす。だが次の瞬間

カンッ!!

乾いた金属音が聞こえた直後、手に持っていたバールが急に軽くなった

いや、軽くなったのではない、両手で握っていたバールの半分以上先がなくなって・・・じゃなくて

みど吉が振り向き様に左手から伸ばしたナイフでバールを真っ二つに切り捨てたのだ

「お前の相手は後でしてやるデス・・・・だから邪魔するなデス」

みど吉に一睨みされて貴明はその場にへたり込んだ

その時見たみど吉の顔は今までに見てきた実装石のアホ顔じゃない、それは正に悪鬼が宿ったような迫力があり

とても同じ実装石には見えなかった

「ま・・・待て・・それ以上やったらそいつが死んじまう・・・・」

みど吉の迫力に気圧されながらも貴明は野志男を指差した

「だから何デス?ワタシはコイツに家族を殺されたデス、その仇を取って何が悪いデス?

それに実装石にニンゲンの法律は関係ないデス、ワタシの家族を遊びで殺したコイツが生き延びるなんて不公平デス

公平に考えるならコイツに生きる価値なんてないデス」

みど吉はそう言って、虫の息の野志男の喉笛にナイフをあてた

「だから待てって!!もし野志男をここで殺したら公園の実装石は保健所の連中に駆除されるぞ!!」

貴明の言葉(半分出任せ)にみど吉の動きが止まり、みど吉は冷静さを取り戻した

「お前が強いのは解った!!でも駆除業者をたった一匹で相手に出来る訳ないだろ、

それにお前飼い実装なんだろ?飼い主にまで迷惑かかるかもしんないだろ?・・・な?」

野志男を助ける義理はないが、このままでは自分が殺人罪に問われてしまう(実装石がやりましたなんて誰が信じるか)

それにあのままじゃ、野志男が死んだら次は自分が殺されるかもしれない、幾らなんでもまだ死にたくない

「冷静になれって、そこまでやれば十分だろ?許せとは言わないけど勘弁してやったらどうだ?」

「・・・・・・・・・確かにお前の言う通りデス、少し自分を見失っていたデス」

みど吉の言葉に貴明はホッとした、適当だったとは言え説得できた、

「ニンゲンサン、一つお願いがあるデス」

「へ?何?」

「救急車を呼んで欲しいデス、このゴミがそろそろくたばりそうデス」

「え?・・あー・・・はい、呼んどきます」

(怖ええ・・・もう虐待や虐殺から身を引いた方がいいか、あんな化物普通の糞蟲と見分けつかねーって)



一方、その一部始終を貴明以外にも公園の植木の上から見ている存在がいた

「ニンゲントタイトウ・・・・チガウ、ニンゲンイジョウノジツリョク・・・・シュウネンデキタエタチカラトワザ・・・・・・

アノコナラポチノアトガマニフサワシイ・・・・・ムラマサタチヲブツケテモウスコシジツリョクヲサグッテミルカ・・・・・」

それだけ呟くと、その存在はみど吉にも貴明にも気付かれることなく姿を消した








この後、貴明の公衆電話での通報(そして逃亡)により野志男は病院に担ぎ込まれ、全治6ヶ月(顔面複雑骨折、殆どの歯の治療込み)

で一命を取り留めたが、みど吉にフルボッコの末に殺されかけた恐怖で重度の実装恐怖症となり

動けるようになった直後に大分県に夜逃げ同然で引っ越していった

























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おまけ







ここはこの街の第8公園、深夜2時、バールを持った悪虐派の青年が涙目になりながら必死で何かから逃げていた

「ひい・・ひい・・誰か!!誰か助けてーーーー!!」

だが突然、青年の前に何者かがいきなり立ち塞がった

立ち塞がったのはこの季節にそぐわないタンクトップとスパッツの格好のマッチョなお兄さんだ

「ひいい!!くっ・・来るな!!来るなーーー!!」

「はうう、そんなツンデレな君かわいいよおおお、おもちかえりいいいいいいい」

「い・・いやだあああああああああああああああああああああ!!!!!」

抵抗空しく、悪虐派の青年はマッチョなお兄さんに捕まってどこかに連れて行かれた

一方別の場所では

「やめてくれ!!俺には・・・俺にはそんな趣味はない!!あっちに行け!!あっちに行けえ!!」

半べそかいた青年がバールとエアガンで襲いかかろうとしているお兄さん達を必死に牽制している

傍から見れば、「バ@オハ@ード」のゾンビの大群に襲われている兵士のような状態に近い

「虐殺なんて不健康な運動なんか不衛生極まりないじゃないか」

「そうとも、もっっと健康的な運動でスッッキリしようじゃないか」

「かわいい僕〜、お兄さん達とスッキリしましょうねええええええええ」

「ひ・・・ひいいいいいいいいいいいいいいいい」

結局この青年はエアガンの弾が切れた瞬間・・・・・・・









この街の第8公園は住宅地から2km以上も離れている上、遊具よりも遊歩道メインの森林公園なのだ

他の公園の2倍以上の大きさで野良実装石も住んでいるが、生ゴミが手に入らないので郷実装のように木の実や昆虫を主食として

生活している為、自然と数が制限され、賢い個体のみが細々と生活している(それなりの数はいるが)

そしてもう一つ、人の目が届かない場所なので、夜になれば自然と●モのお兄さん達のハッテン場となっている(たまに昼もいる)

しかもここはソッチの趣味の人の間では有名な場所らしく、わざわざ遠くからやって来るお兄さんもいる位だ

もちろんこの辺りの住民で夜中に行く馬鹿なんてまずいない、

行くとすれば、何も知らないで実装虐殺目当てで迷い込む悪虐派ぐらいなモノだ

一応看板は立ててあるけど夜中にマトモに見る奴はいないので大した効果はない

警察だって油断すれば自分が被害者になりかねないのでマトモな見回りなんてやらない(自業自得程度で済ませるから)

それにお兄さん達は『いい男』しか興味がないのから、女性や子供が襲われたなんて事は一度もないので未だに黙認されている

ちなみに、ここに住んでいる実装石達はあまり人間に近付かない、奴等がいうには「マラが怖い」らしい

多分ハッテン場に遭遇してトラウマになっているのだろう

そして今夜も、何も知らずに迷い込んだ若い男の悲痛な悲鳴が公園に響き渡る

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