「はい、終わり。お疲れさん。」
目の前の黒毛玉と三日に一度の大仕事を終えた自分にそう言いながらブラシをカゴにしまうとムックリと
起き上がったパルタが欠伸をしてから台所の方へ歩いていった。パルタは食べている時にチョッカイを出さない
限り何をしても基本的に怒らないおとなしい性格ではあるがサイズがサイズだけにブラッシングは大仕事だ。
なにせ顔だけでその辺のチワワやトイプードルの倍は軽くある上に極寒地仕様の長毛種だ。換毛期ともなれば
それこそ毛糸がとれるほどの毛を家中に撒き散らすため定期的なブラッシングは絶対に欠かせない。尤も大変な
作業ではあるがこれも犬飼いの楽しみと言えば楽しみなのだが。
「さて、テレビでも。」
そう言いながらリモコンに手を伸ばそうとしたら今度はロッソが自分のブラシを僕に手渡し、ヘッドドレスを
はずすと無言で僕の前に座った。
『・・・』
「・・・フフッ。」
ロッソには聞こえないように小さく笑うとロッソ御自慢のツインテールをほどきにかかる。実装石同様他の
実装シリーズもその体の構造上頭の上に手が届かない。ただし実装石以外は産まれもって何らかの道具を実装
しているためそれらを使いこなすことによってその身体構造をカバーしている。実装紅の場合は髪とは思えぬ
ほど器用に動くツインテールがそれにあたる。野生の実装紅は自分のツインテールの先で木の棒をつかんで髪の
手入れをするらしい。また同時にそれらは命の次に大切な機関とも言えるため滅多なことでは同属も含め他の者
に不用意に触らせることは無い。特に気位が高い実装紅は幼い頃からそのツインテールに触れられることを極端
に嫌うため外見の可愛らしさだけで幼実装紅を飼った人がその飼育に挫折する最大の原因が極小ツインテール
による切り傷である(ウチの姉貴なんぞはたった1回コレをくらっただけで飼育放棄を宣言したほどだ)。
逆を言えば実装紅が髪に触れさせるのは相手を信頼している証であり、手入れをさせるのは最大の親愛の情の
表現なんだそうで特にツインテールまでほどかせる実装紅は滅多にいないと以前テレビでやっていたのを見て
反対に驚いたことがある。まぁ、確かにここまで来るまでに僕と御袋がロッソに切りつけられた回数は100じゃ
きかないと思うが。
もちろん他の動物同様にこちらに害意が無いことを示しながら根気良く接すれば心を開いてくれ、頭だろうが
髪だろうがどこに触れても怒らないようにはなるのだが実装紅の場合この労力は質・量とも犬なんかに比べたら
10倍近くかかるんじゃないだろうかと両方を飼育してきた僕には思えるのだ。
「まぁ一部の緑蟲を除けばどんな動物も掛けられた愛情にはちゃんと応えてくれるんだけど実装紅がここまで
心を開くのはハッキリ言って稀有だろうね。それだけ「」クンが愛情注いだってことだよ。正直誇ってイイと
思うよ。」
以前逆代先生は僕にそう言ってくれたのだが・・・コイツの場合は単にズボラなんじゃないのかと特に巨大化
してからは思うんだよなぁ。何せロッソの髪はほどくと3メートル近くあるんだ。正直パルタの比じゃない手間
だっての。
RRRRR・・・
『ダワ(「」、デンワナノダワ)。』
「はいはい、チョット失礼お嬢さん。髪の毛跨ぐよ。」
ようやく半分ほど梳いた髪を椅子の上に載せると受話器を手に取る。営業時間終了後の(ある意味)楽しい時間を
邪魔するヤボな電話は無視したいのが本音だが、この商売ある程度までは年中無休24時間仕事モードを維持
しなければ看板を掲げる資格が無いということになっている。
「はい、「」事務所ですが。」
「あ、「」か?」
・・・親父だ。正直すぐに電話を切ってやろうかと思った。アイツは昔っから空気読めない所謂KYオヤジだ。
それに向こうから連絡入れてくるときは大抵ロクなことじゃない。
「で、何の御用?」
露骨に口調が変わったが、ナニ別に遠慮する相手じゃないからかまわない。それに何故電話してきたのかも
だいたい察しがついている。
「いや、例の薬が無くなってきてな。母さんも少し要るらしいしチョット用意して欲しいんだけど・・・」
「お袋のせいにする必要無いでしょ?で、どれくらい要るワケ?」
あいも変わらず遠まわしに要求を出してくるその態度がムカついたので、こっちから一方的に質問を続ける
形で要件を聞き出すとさっさと電話を切った。…ったく、これだけのコト言うだけに何分かかってるんだか。
『ダワダワ?(お父サマ?)』
「そっ、例の電話。ロッソ、悪いんだけど…」
『ダワッ。(悪くは無いのダワ。これもワタシのオ仕事ナノダワ)』
口ではこう言ってくれるが、決して楽しい事ではないのが分かっているので申し訳なくて仕方が無い。
「ゴメンなロッソ。」
ロッソには決して聞こえないように言うと再度髪を梳きにかかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あくる朝一番にお袋の実家の爺ちゃんに連絡を入れる。どうせ空いている納屋とトラックを借りるだけなの
だからいきなり出向いても嫌な顔をされることも無いのだが親しき仲にもなんとやらだ。ついでに当日の晩飯に
何が食べたいのかと必要な物が無いかも聞いて買物のメモを作っておく。
「じゃ、行ってくるわ。ロッソ、買物ヨロシク。」
次に菓子折(貰い物)を持って公園の管理事務所へ赴く。ちょうど駐輪場の整理が終わって一段落している
シルバー人材のおじさん達に明日の朝公園内をうろつく旨を説明しておく。別にヒャッハーやって迷惑かける訳
じゃなしおじさん達も「別に報告してくれなくてもイイよ」とは言ってくれているのだが、これは僕の気分の問題。
厳密には市役所に書類出して許可取る必要が無いとは言えないコトやるんだから。
事務所に戻って仕事がてら爺ちゃん家まで車を走らせ軽トラに乗り換えておく。「明日はロッソとパルタも
連れて来るから」と言うと曾孫の顔でも見られるかのように喜んでくれた。…ゴメンな爺ちゃん。多分アンタが
生きてる間に本物の曾孫はムリだと思うわ。
『ダワダワ?(明日は早起キ?)』
「いや、回収作業は僕一人でできるからロッソたちはいつもどうりでイイよ。」
明日も分の仕事もある程度片付け、いつもより少し遅い目の夕食を済ませた後今度は明日の夕食の下ごしらえを
しながらロッソに話しかける。(それなりに)テキパキと手伝うロッソを見ながら親元のブリーダーさんが感心
していたのをなんとなく思い出した。
人の為に働くことを至上の喜びとする実蒼石ならいざ知らず、通常実装シリーズが人間の仕事を手伝う事は
まず無いらしく、実装紅ならキチンと躾けて自分が淹れたお茶の後始末をする程度、実装石に至っては説明する
までもなく虐待まがいの苛烈な躾を施してようやく芸の一歩手前のことをやって上等といったところだ。その点
から言えば初めてロッソを見た人が大抵着グルミと勘違いするのも無理ないのかも知れない。
「実装シリーズは飼主さんの愛情を糧に飼主さんが望む姿に育つと言われているけど、ホントロッソちゃんほど
ステキなレディーが育ってくれたのは私もブリーダー冥利につきますわ。「」さんの指導がそれだけ愛情に満ちた
素晴らしいものだったんでしょうね。」
前にブリーダーさんが感心しながら言ってたのを思い出した。別に必要以上に愛情を注いだ覚えは無いがここまで
巨大化したのは確かにある意味珍しいんだろうな。尤もそれに比例して態度も…
『ダワッ!(オ鍋ッ!)』
ボンヤリ考え事をしていたら鍋が吹きこぼれてしまった。文字通りチクチクとツインテールで突っつきながら
イヤミを言うロッソに見守られながらガスレンジを片付け、赤黒コンビを寝床へ追いやると1階の物置へ向かった。
「・・・・・・」
棚の奥から取り出した瓶を無言で見つめながら自分でも何を考えているのか分からない不思議な気分になる。
「業、か…」
無意識に出た言葉だったが今の僕とこの瓶の中身には一番ふさわしい言葉かも知れない。時計の針はすでに
午前を指していたが今の気分で布団にもぐっても眠れるとは思えない。えも言われぬ不思議な緑色をした瓶の中
の液体を眺めながら夜が明けるまで事務所の椅子に座り込んでいた。
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明けて朝、いつもより早い目に簡単なパルタの散歩を済ませるとこの時にだけ着る白いツナギに着替えて
トラックで公園に乗りつける。
「おはようございまーす。」と管理事務所に声をかけると、おじさんが二人手伝いを申し出てくれた。
いつも何人か手伝ってくれるのが正直申し訳ないのだが、向こうも「なーに、害蟲駆除も俺達の仕事だからね。」
と言ってくれるのがありがたい。おじさんの一人に車の運転をまかせると箒とビニール袋を手に公園の中に
入って行った。
「最近はこの辺に集まってるみたいだよ。やっぱり冬場は風が冷たかったんだろうな。」
と言うおじさんの案内で向かった公園奥の植込みにはなるほどたくさんのダンボールハウスが集まってさながら
住宅密集地の模型のようになっている。そんな中でもダンボールに何の加工もしていない物からそれなりの
防寒対策をしている物まで色々あるのが面白いといえば面白い。本音を言えばハウスに加工をするくらいの
賢いヤツ等が良いのだがここでいちいち選別している暇は無いし、手伝ってくれているおじさん達の立場上は
ある程度根こそぎの駆除が必要なハズなので贅沢は言っていられない。さっさと済ませないとあまり人様に
見せられる作業でもないだろうし。
「じゃ、手筈どうりにお願いしますね。」
車から降りてきたおじさんにも声をかけ3人でコロニーの外側にまわる。さて、始めますか。
『デギャッ!?』
手始めに一番手前のダンボールハウスを90度ひっくり返し入口を上に向ける。グズグズしている暇はない。
すかさず次のハウスも同様にひっくり返し、最初から上向きに開いているハウスにはビニール袋をかぶせてと
兎に角実装石にパニックを起こさせハウスから逃げ出さないようにしていく。こうすれば後に続くおじさん達が
急襲に泡を喰らっている実装石達を回収していってくれる。
『デギャァァァァー!』
『テチャアアアアー!』
「おっと!」
いち早く危機に気付いた実装一家が逃げ出そうとしたがそうはいかない。箒の柄で親蟲の頭を凹ませると
辺りに散らばった仔蟲をレ〇レのオジサンよろしくダンボールハウスの中に掃き戻し親蟲で蓋をしてから
ひっくり返してジ・エンド。済まないがオマエ達みたいに危機感のあるヤツが特に必要なんだよ。
『デズウォォォアァッ!』
中には手近な棒切れを武器に僕に特攻をかけてその隙に仔を逃がそうとするヤツもいた。
『デギャッッ!!』
尤も無駄な努力でしかなかったがこういう家族は特に貴重だ。目印をつけて後で分かるようにしておく。
他にも2ヶ所のコロニーを襲撃し植え込みの中も覗き30分ほどでトラックの荷台いっぱいにダンボールが
積みあがった。今日はこれくらいにしておくか。
「じゃ、ありがとうございました。すみませんけど後お願いしときますね。」
手短にお礼を言うと後片付けをおじさん達にまかせて車を出す。本当なら後片付けもするべきなのだろうが
何せ実装石を閉じ込めているのはひしゃげたダンボール箱だ。現に下のほうは早くも潰れ始めている。以前律儀に
後片付けまでしていて潰れたダンボール箱から噴き出した糞蟲の糞と体液で大惨事になって以来とっとと運ぶ
ようにしている。おじさん達も事情を知ってくれているので応援まで呼んで掃除を引き受けてくれるのがありがたい。
まぁ後でちゃんとお礼もするしね。
実装石の泣き声と罵声それに糞の滲み出すダンボールの山にシートをかけるとロッソとパルタをピックアップし
爺ちゃん家へと向かった。
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「おー、二人とも良く来たのー。」
曾孫の顔でも見るかのように相好を崩しながら爺ちゃんが出迎えてくれた。僕の事務所から車で走ること
小一時間、風景が片田舎からド田舎に変わってしばらく行ったところに爺ちゃんの家はある。遠からず近からずの
場所にありまた辺りには山と田んぼと畑しか無いためこういう作業をするにはもってこいの場所だ。爺ちゃんの
ほうも最近は農作業も人に任せて納屋も遊ばせているため、たまに納屋を使って後片付けをしてくれたほうが
ネズミが湧かなくてイイとむしろ歓迎してくれている。尤もその代償は今夜の晩飯に加え借り手の無い裏山の
段々畑と杉林の手入れというかなりキツイものなのだが。
「おぅ「」、準備できとるぞ。じゃ儂は畑行って野菜取って来るからそれまでに終わらせとけよ。」
僕にそう言って昼飯に買ってきた焼肉弁当を受け取ると自転車に鎌をのせて行ってしまった。ありゃもう晩飯の
ことしか頭に無いな。まぁあの食い意地こそが90過ぎても無駄に元気な爺ちゃんの健康のヒケツなんだけど。
「じゃ、さっさと片付けるか。ロッソ、着替えて来て。それとパルタの支度もヨロシク。」
荷台にかけたシートをほどきながら本日の主役達に声をかけた。
納屋の中にはドラム缶と防獣ネットで作られた10畳ほどの大きな囲いとその一角に1メートルほどの高さの
1畳ほどの台が据付けられている。その脇にはこれまた金網を組んで作った柵がありそこに持って来たダンボールを
並べていく。これらのセットは僕が以前作ったのを真似て最近は爺ちゃんが事前に準備しておいてくれているのだ。
まぁありがたいのは事実だがあの歳でドラム缶動かすのは正直怖いからやめて欲しいんだよなぁ。
おっといけない大事な物を忘れていた。外からホースと樋を引っぱってくると台の横に固定する。これが無いと
後始末が大変だ。
「さてと。」
デスデスギャーギャーと声のするダンボール箱にリンガルを近付け一番威嚇する声がデカイ箱に目印をつけておく。
ついでに箱の隙間からこちらを観察しているような賢そうな家族が入っているらしい箱を一まとめにしておく。
『ダワー(「」、準備できたのダワ)。』
そう言いながらロッソとパルタがやって来る。ロッソはマスクをして、小学校から貰ってきた古い給食当番用の
エプロンと帽子を身に着け今は御自慢のツインテールも帽子の中にまとめてある。パルタもこれまた白い犬用の
レインコートに前脚には白い靴下、トドメに白い大きなマズルガードを嵌めている。最初は兎に角このマズルガード
を嫌ったのだが、最近はこれを着ければ思いっきり「遊べる」と学習したらしく見せただけで喜ぶのがある意味で
微笑ましいと言えなくもない。
「よし、とっとと終わらせるか。」
自分にも言い聞かせるように言うと養蜂用の白ネットを被り、昔何かの機械を固定していた床から突き出た
ボルトににパルタのリードを固定すると先程目印を付けた箱を取り出した。
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『デギャッッ!』『チギャッッ!』(X6)
箱をひっくり返すと中から比較的大柄な成体と反対にかなり痩せこけた仔蟲が6匹台の上に糞まみれの姿で
転がり出て来た。
『デスゥ!デスデシャアアア!!(クソニンゲン!高貴なワタシをコンナ目にあわせてタダでは済まさんデスッ!
ボコボコにブン殴った上でハゲハダカにひん剥いてウンチつけてやるからコッチへ顔出せデズゥッッ!!)』
1メートル近い段差ではさすがに飛び降りることもできない糞蟲が頭から湯気を吹き上げながら喚き散らし
ついでに糞も投げ散らかしている。尤も2メートル以上離れた場所で作業をしている僕にはかすりもしないが。
『デギャアーッ!?』『テチーッ!?』
金網の中のダンボールハウスの屋根と壁の一面を剥ぎ取ってネットの中で何が行なわれるのかをちゃんと
見られるようにセッティングしていく。自分達にとっては鉄壁の城塞にも等しいダンボールが素手で壊されていく
様にどの家族も恐怖に顔を引きつらせている。
『デギャァァッ!デッ!?デギュオアアアアアアアアア!!』
あいも変わらず台の上で喚き散らしていた糞蟲にちょうど投糞がおさまったタイミングで近付くと頭を鷲掴みに
して持ち上げる。
「さっきからウルサイんだよ。バカみたいにデカイ声出さなくてもちゃんと聞こえるから。」
糞蟲とは反対に落ち着き払った静かな声で糞蟲に話しかけながらその頭を掴んだ手に徐々に力を加えていく。
メキメキという音とともに僕の指が糞蟲の頭蓋骨にめり込みそれに比例するかのように糞蟲が糞を漏らす。
軍手嵌めてて良かった。
『・・・デギャッ!』
静かになったところで手を放し床に叩き落す。僕の腰くらいの高さだからまぁ死ぬことはない。
「まぁ落ち着けよ、僕はオマエとちょっとしたゲームがしたいだけだ。ホラこれが何か分かるか?」
そう言うと糞蟲の前にギッシリと金平糖が詰まった4リットルの梅酒瓶(内側はダミー)を置いてやる。途端に
目に生気が戻ると・・・
『デスゥッ!デスウゥゥッ!デスウゥゥゥッ!!(コンペイトウデスッ!寄越すデスッ!全部ワタシの物デスゥッ!!)』
実生で初めて見た多量の金平糖に媚びることも頭から消えた糞蟲の頭を再度鷲掴みすると持ち上げる。
「だから落ち着けって、今からルール説明してやるから。僕が向こうにこの瓶を置くからココまで持って帰って
来たらオマエの勝ち。簡単だろ?もちろんオマエが勝てば金平糖は全部やるし、もしお望みとありゃ今日から
飼ってやってもいい。アンダスタン?」
さっきよりも激しく頭に指をめり込ませながら糞蟲にルールの説明をする。糞蟲のほうも金平糖がかかると気合の
入り方が違うようで頭の痛みなど気にも留めず涎を垂らしながら僕の説明を聞いている。
『デス、デスゥ。(分かったデス、オマエの要求は聞いてやるデスゥ)』
一部意味を履き違えているようだが一応は納得したらしい糞蟲を台の上に放り投げると金平糖の瓶をセッティング
してから糞蟲を床に降ろす。
「もし一人では難しいと思うなら仔をパートナーにしてもいいけど。」
『デスデシャァ。デス、デププ…(あんなヤツラ腹の足しにしかならんデス。コンペイトウと一緒に全部喰って
ヤルデス♪)』
なるほど、コイツは仔蟲を餌にして越冬してたワケね。どうりで仔が全部痩せこけてたワケだ。
で、当の仔蟲達はというと、
『テチー!テチューー!(クソママー!とっととコンペイトウ取って来いテチュー!)』
『テチャァァー!テチ、テチュー!(カワイイワタチに全部献上したら今までの扱いは忘れてやるテチー!
クソママ、死ぬ気で行って来いテチー!)』
と親と変わらんアホっぷりでございますってやつ。こりゃコイツ等もあんまり“使い物”にならんかな。
「じゃ、いいな?頑張って行ってこい!」
『デス、デギャァァッ!!』
後髪を踏んづけていた足をあげると同時に糞蟲が獣じみた声をあげながら金平糖の瓶に突進していく。
当然アイツには瓶しか見えていないのだが・・・
『ワフッ!』
『デギャッッ!?』
真横から強烈なタックルをくらって糞蟲がひっくり返る。一体何が起こったのかと糞蟲が目を向けると…
『デスウ?デププ…デス、デシャァァ!(何デス、コイツは?デププ…オイそこの変ナの、痛いメに会いたく
無かったらとっととそこを除けてワタシに謝罪しろデスゥ!)』
全身白づくめの妙ちくりんな格好のパルタが犬と認識できないらしい糞蟲が腕を振り回しながらパルタに
近付くが…
『デギャァァァァァァァーーー!』
鼻先で軽く放り投げられてしまった。文字通り鼻であしらわれたワケだ。
『デギャァッ!デスゥ、デシャァァァァァッッ!!(ふざけるなデスゥ!チョット下手に出てやれば付上がり
やがって、もはや手加減はせんデス!覚悟しやがれデスゥッッ!!)』
いつ・誰が下手に出たのかは知らんがそう叫びながら糞蟲がパルタに向かって行ったが…
『デッギャァァァァァァァァァーーーーー!!』
今度は1mばかり上空に放り上げられ顔から着地した。うわっ、痛そーw
『デッ!(オイ、オ前!)』
『デスッ!(イマスグ!)』
『デシャッ!(詫ビれば!)』
『デギャッッ!(以下略!)』
パルタに放り投げられ、転がされながらもテンプレ通りの科白を吐く糞蟲だがパルタの猛攻が止むことは無い。
普段なら一撃かそこらで殺してもらえるのだが何せ今のパルタは牙も爪も封じた飛車角落ちの状態だ、
気の毒だがしばらくは地獄を見てもらうことになる。尤もパルタにとっては普段は叱られる“実装石遊び”を満喫
できる楽しい時間なのだが。さてコイツの仔蟲どもはどうしてるかな?そう思い傍らに目を遣ると
『チププ…テチ、テチャァ!(チププ…イイ気味テチ、今までワタチをギャクタイしてきたテンバツテチ!)』
『テチャァ、テチュテチュ、チププ♪(オイそこのニンゲン、クソママはアイツにクレテやるテチ。代わりに
カワイイワタチにあのコンペイトウを献上することをキョカしてやるテチ♪)』
などと揃いも揃ってアホ丸出しの発言をしている。予想はしていたがコイツ等は全部使い物にならんな。
『デギャッッッ!!』
5分ほど“遊ばれて”いた糞蟲だったがパルタのフライング前脚プレスを喰らって何とも言えない湿った音と
共に腹の中のモノをぶちまけ息絶えた。それを見ていた仔蟲共は歓声を上げて喜んでいる。どこまでも救えん
ヤツ等だ…
『チププ♪テチュテチャ♪テッ!?(チププ♪ザマァ見ろテチ♪オイニンゲン、アノクソババァがくたばった
祝いにゴーカな食事を用意…テッ!?)』(×6)
未だ自分達の置かれている状況が呑み込めていないアホ蟲共を空の梅酒瓶に放り込むと金網の中の実装長屋の
前に持っていく。
『テチィィッ!テチュテチャァァ!!(何しやがるテチ!ワタチの行先はコンペイトウの所テチ!今ならスシと
ステーキの追加で許してヤルから(以下略))』(×6)
瓶の中でテチテチと喚く糞仔蟲の発言は無視して台の上から件の瓶を持ってくると1ccばかりスポイトで
吸い上げ1匹の仔蟲の足元に垂らしてやる。すると…
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『テチィ!?…テッ、テチャアァァーッ!!(何テチ?アンヨがピリピリするテチ!?…ア、アンヨが溶けてる
テチィーーーーッッ!!)』
足の裏に感じた微かな痛みに足元に目をやった仔蟲がブクブクと泡立ちながら溶ける足を見て悲鳴をあげる。
10秒と経たずに下半身は溶けて濁った緑色の液体になってしまう。
『テギャアァァァッ!テチー、テジャァーーーー!(ビリビリするテチ!痛いテチ!オ前等、カワイイワタチの
ピンチテチ!ボサッとしてないで助けろテヂィーー!)』
我が身を襲う激痛に悲鳴をあげながら姉妹に助けを求める仔蟲だったが当然助けてもらえるワケもなく30秒
ほどのた打ち回ったてやがて声を出す頭も溶けてCD1枚程度の薄汚い液溜りになった。
『テ・テテテ・・・』
目の前で起こったことが信じられないのか他の姉妹達は嘲笑うことも泣くこともなく只呆然と液溜りを見つめ
ている。そして瓶の外の実装石たちもそのほとんどが液溜りを見たまま言葉を失っている。
『テヂャッッ!?』
すかさず瓶を傾けて残った仔蟲を液の方へ転がしてやる。すると当然・・・
『テチィィッ!テチャアアアアアアアアアアアア!!(痛いテチ!嫌テチ、チニタクないテチィーーッ!!)』
『ヂャヒイィィィーー、テヂァァァァッッ!!(オ尻が溶けちゃったテチィ!痛いテチ!動けないテヂィ!!)』
と先程と同様にブクブクと溶けていく。先程と少し違うのはほとんどの仔蟲が尻や背中から液体に浸ったため
溶け方が1匹目の数倍グロいということだ。
『フェビィィ…テジャァァーー…(何しやがるテチィ…そんなトコに乗ってる暇があるならワタチをタスケ…)』
『チププ…テチィ、テチュテチャ!(チププ…ワタチはコーキでカワイイからオ前等のようになることは許されない
テチィ、ワタチのために死ねることをコーエーに思えテチ!)』
咄嗟に液のついた靴を脱ぎ捨て他の姉妹の上に飛び乗った仔蟲が姉妹の頭を踏みつけながら勝ち誇っていやがる。
まぁ別にかまわんがね。
『チププ、テチィ、テチューーーン♪テッ?テッギャァァァァァーーーー!!(チププ、ブザマテチ、ニンゲン、
これでワタチの勝ちテチ。さっさとコンペイトウをヨコステチ♪その後はオ前に飼われてやるからカンシャするが
イイテチューーン♪テッ、何テチ?…ア・足がーーーーーッ!!)』
自分だけは助かったと思った糞仔蟲が思いっきり勘違いした科白を僕に吐きかけていたが踏みつけていた
姉妹の頭蓋骨が溶け始めたところでズボッといった感じで骨を踏み抜き足から液体に浸かってしまった。
どこのコント番組のお約束だと言わんばかりのリアクションで手足をバタバタさせている。
『テジィィィッッ!?テジテジャァァーーッッ!!@:;][^l;kk;$%'('))$~=(クソニンゲン!何ボサッとしてやがるテジィ!?
オ前の大事な飼いジッソウのピンチテジィ!!さっさと(以下翻訳不能))』
幸か不幸か股間に挟まった姉妹の頭蓋骨がいい按配に浮きになってしまいなかなか溶けることができない糞仔蟲が
瓶の内側を必死に叩きながら僕に向かって叫んでいる。顔の下半分を血涙に染めながら喚き散らすその顔があまりに
マヌケなので他の実装石たちによく見えるようにしてやると、
『デププ』『チププ』
と嘲笑う声が少なからず聞こえてくる。一応笑い声が少なかったダンボールには目をつけておくことにして、
“シュウゥゥゥーーーー”
完全に溶けきったところで別の薬剤を混ぜると微かにガスが上がって実装糞の臭いに混じってなんとも言えない
爽やかなミントのような“グリーン”としか表現できない匂いが瓶の中から漂ってきた。その匂いに実装石たち
が顔をしかめるのを確認してから瓶の口イッパイまで水で薄めると実装長屋に向かってぶちまけてやる。
『テギャアァァァーー!!』
『テチャアァァァーー!!』
直撃をくらわなかったヤツ等はまだ悲鳴をあげる余裕があったが直撃した連中(主にバカ家族を狙ったのだが)
は泡を吹いて気絶している。悲鳴にかき消されてはっきり聞こえなかったがパキンがアチコチでしたみたいだから
今ので大半のオヤユビや蛆はくたばっただろう。
『デゲェェェ…ウジェェェェ…』
堪えきれずに吐いているヤツ等も少なくない。そりゃそうだろう。質は悪いとは言え今の濃度で市販されている
物の倍以上の濃度の実装忌避剤の原液なのだから。
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警報フェロモンというのをご存知だろうか?蜂などの群れで生活する昆虫は自分が殺されるとこれを周囲に
撒き散らし文字通り命がけで仲間に危険を知らせ種の存命をはかろうとする。
単体では自分のことだけしか考えていない実装石にも実はこれが存在している。他者から攻撃を受けて
死んだ実装石も無意識のうちにこれを撒き散らして同属に危険を伝えているらしい。この警報フェロモンを
実装石は強烈な悪臭と感じるらしくこれを抽出・精製した物が何を隠そう実装忌避剤の正体なのだ。
所謂同属喰いが独特の悪臭を身に纏っているのがこの最たる例、つまり喰われた実装石は警報フェロモンを
分泌して今わの際に相手にその臭いを滲み込ませることで無意識のうちに仲間を守っているらしいのだ。
その他にも実装石を踏み潰した跡(というか糞溜り)から通常の実装糞の臭いよりもより強いケミカル臭がする
のもこれが原因らしい。体内に溜まった糞と警報フェロモンが化学反応をおこして同属にここは危険だと知らせて
いるのだそうだ。只、残念なことに実装石の多くは本能さえも超越したバカ故にその臭いの発する意味を理解
できずに自滅しているのだが。これを特殊な薬品で精製すると実装忌避剤特有の何とも言えないハーブ臭になる。
このハーブ臭は他実装を含め他の生物には別段不快には感じない自然な香りだが、実装石にとっては偽石レベルで
強烈な悪臭と感じられるために近づかれたりしたくない場所に散布しておけばしばらくは寄ってくることがなくなり、
また害蟲駆除の際に散布すれば隠れたヤツ等を効果的に燻りだすこともできる。
またこの警報フェロモンはストレスや恐怖を感じれば感じるほど分泌が促され、当然と言うかやはりと言うか
賢い個体ほどその量は多く質も良い物が取れる。ただ残念なことに成長する(大きくなる)につれて徐々に体内に
含まれる絶対量が減少していき成体になる頃には仔の1割にも満たない量になるらしい。これは姉妹が群れて
生活し、且つ圧倒的に力の弱い仔の時期こそ仲間(つまり姉妹)に危険を知らせる必要があるからとされている。
故に親蟲は歩留まりの面から言っても実装忌避剤の材料にはならないのでこうして仔の前で惨劇の主役になって
もらい糞仔を見分けるためのテスターとして活躍して頂いてもらうと同時に仔の警報フェロモンの分泌を促すべく
頑張っていただいているというわけだ。
余談だが、この警報フェロモン何故か大量のグルタミン酸が含まれており、これが実装石の肉がストレスを
受けるほどに味が良くなる理由なのだそうな。どこまでもデタラメというかわけの分からんナマモノである…
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『デギャッッ!』
騒ぎがある程度治まったところで泡を吹いて気絶していた実装家族を台の上にひっくり返すと先程と同じ説明
をしてやる。別に騒ぎもしていないのにアイアンクローをかけているのは単に僕の趣味だったりする。
『デゲェェェ…デスデスゥ(ワカッタデス、でもワタシヒトリではムリなので仔供たちにも協力させて欲しい
デスゥ)。』
先刻の糞蟲を見て学んだのか、もともとそれなりに小賢しいのか仔を全部自分の手許に置いてスタンバった親蟲
が仔に耳打ちをしていたのでリンガルを向けてみると、
『デス?デスデスゥ…(イイデス?絶対にママの側を離れちゃダメデス。ミンナ一緒にいればアイツにはデッカイモノ
に見えるハズだからアイツも襲ってこないはずデスゥ…)』
とパルタの方を見ながらコチラの予想を裏切る発言をしている。こりゃ見極めを間違ったか?
『デジャアァァァーーーッ!!』
『テチィーッ!?テチャアァーー!』
否、僕の見極めが正しかった。親蟲はパルタの有効射程に入るや否や手近な仔蟲をパルタに投げつけ、再び
パルタが接近するとまた手近な仔蟲をと文字通り我が仔を捨て駒にして金平糖を獲ろうとしたのだ。まぁある意味
ではカシコイ奴と言えないことも無いだろうが。
『テ、テェェェーーー』
飛車角落ちのパルタに転がされただけで済んだ(それでも手足はオカシナ方向に曲がっているが)仔蟲を回収して
台の上に置いておく。2匹ほど踏み潰されたみたいでシミができているがこの状況下ではアイツ等のほうが幸せな
最期を迎えたと言えるんだろうな。
『デェ、デェ…デププ、デッ?デシャ、デギャァァァァーーー!?(デェ、やっと着いたデス…デププ、バカ供も
最期には役にたったデス、ワタシのために死ねた栄誉に感謝しろデスゥ。デッ!?動かないデス!?…デジャァーーッ!
トットと開きやがれデスゥーーーー!?)』
そう叫びながら瓶の蓋をペスペス叩き喚く親蟲。どうやら瓶を持ってくる前にツマミ食いすべく必死に蓋を開けよう
と悪戦苦闘しているらしいがスクリューキャップが理解できていないようで蓋を殴りつけたり瓶の肩に噛り付いたりと
予想どうりの醜態を演じている。まぁ蓋のネジ式が理解できたとしても実装石の手であの大きな蓋を回すのは限りなく
不可能に近いし、万が一にも蓋が開かないように蓋と本体はビスで固定してあるけど。
『デズゥォォァァッ!(ブッ壊してやるデズゥ!)』
そう言って瓶を持ち上げようと頑張る実装石だが瓶はピクリとも動かない。アレ、言ってなかったか?その瓶
外側は金平糖だけど内側はダミーで鉄屑やら何やらを詰め込んであるんだ。そう大体20キロくらいかな?多分
お前等じゃ動かすこともできないだろうな。それともう一つ、横のボルトとそこから延びたリード何だと思う?
『・・・デッ?・・・デッ・デッ・・・デデデ・・・』
『デッギャアアアァァァァァァーーーーーーッ!!!』
仔蟲を回収されたパルタがその分も楽しもうとさっきの糞蟲よりも激しく放り投げ跳びつく度に大きな悲鳴が
納屋の中に響きわたる。その悲鳴に台の上の仔蟲も長屋の実装石たちも様々なリアクションで応えているようだ。
『ーーーーーーー!!』
体をバラバラに踏み潰されながらも偽石の残る頭だけでパルタのオモチャになってくれていた実装石だったが
最期はドラム缶にシュートを決められモノ言わぬシミになった。その最期を見届けた仔蟲達は2匹は抱き合って
泣いていたが他の3匹は親の死に様を嘲笑しているか助かったと勘違いして居眠りしているかだ。コイツ等は
ゴミ決定だな。
『テッ?テチャァァァーー!!!』
糞仔認定の3匹を先程の梅酒瓶に放り込むと忌避剤の残り香に自分達の運命を悟った仔蟲が悲鳴をあげて暴れ
始める。その瓶の真横に残りの仔蟲をカゴに入れて並べると・・・
『チュグゥオォォォーーー!!』(×3)
時間が勿体無いので今度は3匹一斉に溶けるくらいの液剤を瓶に注ぎ込む。ズルズルに溶けながらも僕に向かって
必死に媚びたり股を開いたりしているのが滑稽を通り越して気持ち悪い。どうせロクなコトは聞けないからと
事前にリッガルのスイッチを切っておいて正解だった。
『チププ・・・』
と、押し殺した笑い声が聞こえた方に目を向けると残りの内の1匹が瓶の中の惨劇を見て笑っていた。もう1匹は
顔を覆って泣き崩れている。どうやらこの家族で商品価値があるのは1匹だけだったみたいだ。
「楽しい?」
リンガルのスイッチを入れて仔蟲に話しかけると、
『テッ、テチャアァァ!テチ、テチュウーーン(テッ、ニンゲンー!じゃなくてニンゲンサーン、ワタチはどうなっても
イイからオネーチャたちを助けて欲しいテチューン)。』
だと・・・。どうやら親の中途半端な小賢しさをモロに引き継いだ糞か。
「あっそ、どうなってもイイの。それじゃ・・・」
そう言って仔蟲の後ろ髪を摘んで持ち上げると・・・
『チッギャァァァァーーーー!!!!』
姉妹だった液体にギリギリ足が浸るくらいの高さにぶら下げてやった。確かこんな拷問だか死刑だったかが
あったよな。
『チギャァァァーー!チェジューーーーン!!(クソニンゲン!今すぐワタチを助けるコトをキョカチテやるからシャザイして
ワビル前に助けて・・・(以下翻訳不能))』
姉妹の惨劇を自分も味合わされる理不尽(?)に糞仔が罵声とも悲鳴ともとれる声をあげながらゆっくりと、
ゆーっくりと溶けていく。まだ一気に死ねた姉妹のほうが幸せだっただろうな。
“パキン!!”
性格の割には根性が無かったようで下半身が溶けたところで偽石が割れてしまったので手を放した。再度、
安定化・希釈した後長屋にぶちまける。
『テエェェェェン・・・』
生き残ったヤツは只泣いてるだけか・・・糞仔ではなさそうだが賢いかどうかまでは分からんので床に置かれた
“B”と書かれた大きなプラ水槽に入れておく。
『・・・デゲェェェェ(・・・シロイアクマデスゥ)』
どこからか聞こえたその声に他の実装石たちが絶望に満ちた悲鳴をあげる。そうそうコノ発言を待ってたんだ。
“白い悪魔”、実装石は偽石レベルでこの存在を恐れている。そりゃそうだろう何匹かをヒャッハーしたら
満足して帰ってくれる虐待派とちがって主に駆除職員を表すこの存在は糞蟲も賢いヤツも関係なく文字どうり
根こそぎ駆除していくためこれに遭遇すればどう足掻いても助からないのだから。
ましてその恐ろしい“悪魔”が同属を溶かして恐ろしい薬を作っている様子を見せられたとあってはどんな
豪気な糞蟲でも恐怖を感じるだろう。
この恐怖やストレスがよりお前達の警報フェロモンの分泌につながるんだ。せいぜい頑張って怖がってくれよ。
『デギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
『デエエエエエッッッッスウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!』
僕たちを“白い悪魔”と認識してくれれば後は比較的楽だ。残りの実装石を全部柵の中に放つと必死に命乞いを
したり媚びたりしているのを完全に無視して無機質な声で一言だけ話す。
「金平糖の瓶を持って帰ってきたら勝ち。」と
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『デシャァァァァァァァ!!!』
『デギュオアアアアアアアアア!!!!!』
『デギャアアアアアアアア!!!!!』
『デヒ、デギャァ〜〜〜〜〜〜〜!』
この後に及んでもまだ金平糖に執着するヤツ、一応僕の言うことを聞いておけば助かるのではとアンマイ考え
に支配されてとりあえず瓶に向かうヤツ、僕に無意味な命乞いをしてパルタの方へ蹴り飛ばされるヤツなど色々
だがそのどれもがパルタの洗礼によって地獄に召されて逝く。さすがにこれだけ数が多いと大変なんじゃないか
とも思うのだがパルタは心底楽しそうである。完全にリミッターが外れたようで中には2メートル以上吹っ飛ぶ
実装石もいる。まぁそんな中では当然的の小さいヤツには注意がいかないようで瓶の周りには数十匹にもなる仔蟲
の塊りができている。こっちは僕の仕事だな。
『テチャッ!?』
『テチーーッ!!』
ヒヨコの選別みたいにポイポイと仔蟲やオヤユビをを拾い上げては腰にぶら下げたカゴに放り込んでいく。
ここで一次選抜して僕に媚びてきたり瓶に向かって自慰してたようなアホ蟲は“C”、一応僕に気づいてビビッて
いたような普通クラスは“B”、極まれにいた瓶に執着する姉妹を必死に引き離そうとしていたり姉妹を守ろうと
僕に攻撃を仕掛けてきたような希少種は“A”に分類してそれぞれの水槽に放り込んでいく(ちなみにA水槽だけは
台の上に置いてある)。
『デッスゥ♪デスデギャ、デッスウ〜〜ン♪(アクマサン、アンタも石仏木仏じゃないはずデスゥ♪ホ〜ラゴクラク
見せてやるからワタシたちだけは助けるデッスウ〜〜ン♪)』
仔蟲の分類が終わったところで、やたら裾を引っ張るヤツがいたので足下を見ると“汚い”以外の形容詞が
見つからないくらい汚い実装一家が揃って総排泄口をコチラに向けて腰をくねらせていやがった。…そーか
そんなに地獄が見たいか。
『デププ、デッスーン♪デヘェェェ〜・・・デッ?!デッギャアアアァァァァァーーー!!!!(デププ、アンタモスキネェ
デッスーン♪ホラホラそんなにがっつくなデス・・・デッ?!デッギャアアアァァァァァーーー!!!!(翻訳不能))』
誰がそんなおぞましいモノ見て欲情するかっての。親蟲の総排泄口に特大の目立てヤスリを突っ込むと腹の中を
ゾーリゾリ削っていってやる。やったこと無いから分からんけど痛いだろうなー。
『デギュpukjih@-:ギャハァァーーー!!!』
リンガルでも拾えない悲鳴と細切れになったモツを口から吐き出しながら事切れたアホ蟲。さて、仔はどんな
反応してるかなと目をやると、
『テッチュン、テッチュン♪』(×頭数)
元々サルなのか、親の最期に気が触れたのか全匹揃って痴態モドキにふけっている。コイツ等もゴミ確定か。
『テチュゥゥーーン♪テッ?チュブウウウゥゥゥウウーーーー!!(気持ちイイテチューン♪テッ?アクマ、オ前も
スキモノテチュネェ、・・・テッ?・・・痛イ痛イ痛イ痛イ痛イーーーッ!!)』
どうせコイツ等ではロクな忌避剤の材料にはならないだろうから他の仔蟲たちのストレスの原材料になってもらう
ことにした。プラ水槽の前にオナ蟲達を持っていくと1匹の総排泄口に姉妹の頭を捻じ込んでいく。もの凄い悲鳴を
あげているがそりゃ痛いだろうなぁ。ある程度入りやすいようにヤスリで入り口広げてやったんだけどw
『チュブゥゥゥゥゥゥウウゥゥゥゥゥウウーー!!!(イタイイタイイタイイタイ痛いイィィィィィーー!!!)』
総排泄口から自分と同じくらいの大きさの姉妹を捻じ込まる激痛に暴れるオナ蟲だったが姉妹の3分の2くらいが
入ったところで内側からパンとはじけて事切れた。わずかに残った頭と腕が未だ苦痛を感じているのか“C”の水槽
に落ちて苦しそうに蠢いている。
『テチュゥゥーーン♪テッ?チュブウウウゥゥゥウウーーーー!!』
死んだ姉妹の中から再誕した別のオナ蟲にすかさず同様の措置をほどこして地獄へ送り届ける。作業中も絶えず
目だけは水槽の方に向けてこの惨劇を嘲笑うような糞蟲や屍骸に噛り付いているようなヤツ等は見つけ次第つまみ出して
“ゴミ”と書かれた水槽に放り込む。
『チべべべべェェェエエエェーーーー!!チュブウウウゥゥゥウウーーーー!!』
次々と姉妹が殺されていることにも気づかずひたすらオナっていた最後のアホをA水槽の上でヤスリがけして
ミンチにする。これで少なくともA・Bクラスの仔蟲たちは僕にはどんな媚も命乞いも通じない、自分達も恐ろし
い殺され方で殺されると漠然と理解し後は勝手に恐怖心を高めてくれる。後はパキンと共食いに気をつけるくらいだ。
「さて、そろそろ出てくるかな?」
そう思い首を横に向けるとちょうど僕の立ち位置からは死角になる台の陰に動く気配があった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
『デスゥ、デスデスデスゥ(アクマは確かここから出入りしていたハズです、ドコかに必ず出口があるハズだからそこから
何としてでも逃げるデス)。』
出口のほうで数匹の実装石がヒソヒソ相談している声が聞こえる。気付かれないようにそーっと首を伸ばすと
それぞれ1,2匹の仔を連れた実装石が4匹ネットを揺らしたりドラム缶を動かそうとしたり必死に出口を探している。
『テチェェェン…(ママァ、イモウトチャンたちが…)』
『デス、デスー(アノ仔たちはもうダメです、コンペイトウに目が眩んでしまって何も分からなくなってしまったん
デス。モシ今無理やりに助けてもいずれ必ず災いになるデス。前にオ前にだけは教えたハズデス。ワタシ達が
生きていく上で“間引き”は絶対に避けて通れない運命だと)。』
一組の家族を除いてはまだ惨劇の中に仔がいる(あるいは僕に捕まった)らしく姉妹を助けようと仔蟲が必死に
親に訴えかけている。しかし当の親蟲はさっさと糞仔に見切りをつけているらしく本命の仔だけを連れて逃げる
その気持ちに微塵の迷いも無いようだ。賢い親から産まれた愛情深い仔、当たりが今回は6匹か…ツイテル。
「じゃ、しばらくヨロシク」
C水槽の糞仔蟲の糞抜きの準備をしながら柵の外の最終選別係に声をかけると突然出口が小さく開いた。
{後半へ続く}
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久しぶりのスク投稿になります。気がつけば半年近く・・・
まぁ内容は例によってダラダラですがお暇なときにでも読んでやっていただければ幸いデス。
早々にネタバレしておいて後半?と仰るむきもあるでしょうが前半で出しておかないと話としてどうしても
つながらなかったもので・・・
後半で真打ちが実装石を“カワイガリ”ますのでもしよろしければそちらも読んでやってください。
過去スク
sc1612. 二種混合
sc1630. カラーマジック
sc1635. ドレスコード(前編)
sc1636. ドレスコード(後編)
sc1734. 合体!ゴジッソウ
sc1854. 小さな〇〇のクラッシャー
sc1879. 実装観察(?)日記
