タイトル:【虐】 人懐こい仔実装と卑劣な人間が出てきます。
ファイル:笑う飼い主と仔実装_前編.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4837 レス数:0
初投稿日時:2010/02/27-12:33:08修正日時:2010/02/27-12:33:08
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「テェェエーン…ティエエーン…」
すっかり日も落ちた暗闇の中、仔実装の泣き声が響いていた。
泣いているのは、道路わきの茂みの中に蹲る一匹の仔実装。
綺麗な桃色の服に、黄色いリボン。明らかに飼い実装だった。

ここはとある郊外のテーマパークのすぐ近く。
週末になると家族連れでごった返す場所だった。
その中にはペット連れでやってくる客も多く、中には飼い主とはぐれる者もいる。
特にワラワラと仔実装を連れた実装石などの場合、
子供が迷子になるのは珍しくもない。
この仔実装も浮かれて走り回っていたために、家族とはぐれた手合いだった。

「ティェエエエエエーン!」
ありったけの声を張り上げて、親と飼い主を呼んで泣く仔実装。
ここはちょうど敷地の裏側にあたる人通りの少ない場所だ。
どんなに泣いたところで、仔実装を飼い主が発見する確率は0と言っていい。



突然、仔実装のいる当たりが光に照らされた。懐中電灯の光だ。
「テチュ!」
——誰か来た!たすけてくれる!
仔実装は懸命に飛びはね、人間を呼ぶ。
「テチュー!テチュー!」
仔実装の顔に光が当てられた。眩しさに顔をしかめる。
どんどん人間が近づいてきた。逆光で顔は見えないが男のようだ。
「テテチュー、テチュー」
仔実装が男に向かって懸命に鳴く。
男はそれをしばらく無言で見下ろしていた。

「テテッチュー!テチュー!」(ママのところテチュ!いってテチュ!)
人間慣れしている仔実装は男を見ても恐れない。
助けを求め、自分から男へ駆け寄って行った。


「どうしたんだい?」
男が身を屈めて仔実装に話しかけた。
その落ち着いた柔らかい声に、仔実装はすっかり安心したようだ。
「テチュテチュ!」(ママと大きいママがいないテチュ)
「テチュテチュ!」(暗いのこわいテチュ)
「テチュテチュ!」(お家にかえしてテチュ)
さっきまでの不安からか、思いつく限りの訴えを男にぶつける仔実装。
男は実装リンガルを手に、仔実装の話をウンウンと頷きながら聞き続けている。
時々、仔実装にも理解できるよう平易な言葉で質問をする。
仔実装はこの優しく理解のある人間に向かって、夢中で話し続けた。

この仔実装の名前は「モモ」というらしい。
モモはなかなか知能の高い個体のようだ。
男の言葉を、かろうじて会話が成立するくらいには理解出来ている。
飼い主によって一通りの躾も施されているようだった。

モモはあちこち脱線しながらも、自分のことを男に話す。
「テテテチュゥ、テチュゥ」(もうじき新しいママのお家にいくテチュ)
——モモは里子に出される予定だったらしい。
ふと男の眉が上がった。
ほんの僅かな変化だったが、男の内部で何かが動いたらしい。
モモに向かって手を伸ばすと優しく包み抱き上げる。
「もう大丈夫。僕が新しいママだよ」
「テチ!」
「モモ、僕と一緒に家に帰ろうね」
「テッチュー!」
男の手の中で、目を輝かせてモモは元気よく鳴いた。




夜道を歩く男の手の中で、モモは上機嫌だった。
「テチュ♪テチュゥ♪」(ママと早く会いたかったテチュ)
「テチ♪テッチュー♪」(ママといっぱい遊ぶんテチュ)
「テチテチ♪テチー♪」(ママは優しくて大好きテチュ)
モモは男の指にしがみ付いて離そうとしない。
はしゃいだ声で鳴きながら、頬を擦り付け全身で甘えていた。
「テチー♪テチー♪テチー♪」(ママ♪ママ♪大好きテチ♪)
モモが男の顔を見上げる。
しかし、その表情は暗闇にまぎれ、モモにはよく見えなかった。

男は笑っていた。
男が夜遅くにこんな場所を歩いていたのも、
実装リンガルを所持していたのも、偶然ではない。
この近辺はテーマパークのゴミ目当てのせいか、野良実装石が多い。
男は「遊び相手」の調達に来ていたのだ。
仔実装が大声で泣き続けて、今まで無事だったのは、
単純に幸運だっただけのこと。
躾済みの仔実装を拾える機会などめったにない。
上機嫌なのは男も同様だった。

「テッチ!テッチ!」
モモが男の指を掴み、自分の頭に引き寄せようとしていた。
どうやら撫でて欲しいようだ。
男はフェイントのようにモモの首筋を撫でる。
「テチュゥーン♪テテェーン♪」
手の中でモモが転がりながら喜んでいた。
「モモ、楽しいのかい」
「テチテチー♪テテチー♪」(ワタチはママと幸せになるテチー)
優しく柔らかい声で男が続けた。

「本当にモモは身の程知らずだね」

言葉の意味も理解出来ないモモは、手の上に横になって全身を摺り寄せる。
「テテチ、テチューン♪」(ママ、ずっと一緒テチ)




男の家に着いた。
初めて見る玄関内の景色に落ちつかない様子のモモ。
床に降ろしても男の裾を掴み、離れようとしない。
「テチュ、テチュ」
男が歩きだす。モモは慌てて後を追った。
しかしモモの眼前でドアが閉じた。
「テェッ」
懸命にモモはドアを叩いた。

 あけてテチ
 あけてテチ
 ママといっしょにいたいテチ

しかしドアは微動だにしない。
初っ端からの放置プレイである。
庇護欲の強い実装石にはたまった物ではない。
ひたすらドアをポフポフと叩き続けるモモ。
「テェェェン!テェェェン!」(ママー!ママー!)

「モモを迎える準備をしてるんだよ」
ドアの向こうから哄笑が聞こえた。




翌朝、男がドアを開けると、モモはドアにもたれて泣き疲れ眠っていた。
男はモモをつまみ上げると窓の縁に乗せた。
仔実装が落ちれば間違いなく大怪我する高さである。
そこにモモを放置すると男は朝食の準備を始めた。

しばらくして部屋に漂う料理の匂いに釣られたのか、モモが目を覚ました。
「テチュ……」
見れば向こうのテーブルで、男が美味しそうに食事をとっている最中だった。
「テチテチュー、テチテチュー」(モモもおなかへったテチュー)
離れた窓縁でモモが鳴いている。
しかし男は完全に無視である。
「テチー!テチテチー!」(ママー!ごはんほしいテチー!)
モモはさらに大きな声で鳴いた。
それでも男はガン無視を続ける。
「テェェェン!テェェェン!」
とうとうモモは泣き出した。
男の口の端がぴくぴくと震える。笑いを堪えているらしい。
しかし男がモモにエサを与える様子はまるでない。
「テェェェン!テェェェン!テェェェーン!」
モモは泣き続ける。
男は笑いを堪えてる。
奇妙な均衡と停滞。
先に動いたのはモモだった。
窓の縁から降りようと足を踏み出す。
しかし、そこは床から1メートル以上の高さがあった。
わずか数センチの足を伸ばしてどうなる物でもない。
次の瞬間、モモは床めがけて転げ落ちていった。
「テェェェェーェエン!」
奇妙な悲鳴と共に床に叩きつけられるモモ。腕が折れていた。
それでもエサほしさに身体をよじると、腹を抱えて笑う男の姿が見えた。
「これはママのごはん。モモのは無いんだよ」
「テェェェン!テェェェン!テェェェン!」
痛みに動けず号泣するモモを放ったまま、男は笑い続けていた。




「さてと…食後はモモと遊ぼうかな」
「テェェェン!テェェン!」
男は泣いているモモを抱き上げると、頭を優しく撫でてやる。
「テチューン…」
「おおよしよし」
「テチュゥ…」
単純なものでモモの機嫌もたちまち治っていく。
「じゃあなにして遊ぼうか」
「テチテチテチー♪」
「…ラジコンがいいな」
「テチテチー♪」(ママ遊ぶテチー)
男の言葉の意味もわからずモモははしゃぐ。

モモは心底人間が好きなのだ。
悪意というモノをまったく知らない実装石なのだ。
以前の飼い主の元で愛情いっぱいに育てられ、
次に向かう里親に全幅の信頼を寄せるように躾けられているのだ。
モモにとって男はいまだ安心の象徴だった。

男がモモを下ろした場所は、隣の部屋の柵で囲った1畳ほどのスペースだった。
「テチュウ?」
「じゃあ遊ぼうね、モモ頑張れよ」
男が小さなラジコンカーを敷地内に置いた。
そのラジコンカーのバンパー部分には、画鋲が外向きに貼り付けてあった。

「いくぞモモ」
モモに向かってラジコンカーがダッシュする。
「テチ?」
気付いた時にはもう遅い。モモの膝に画鋲の針が突き刺さっていた。
「チュアーッ!」
ラジコンカーがバックする。勢いをつけてもう一度。
再びモモの柔らかな膝に針が突き刺さる。
「テチチーッ!」
悲鳴と共にパンツの中に糞が漏れた。
男の手元のコントローラーと、
自分を襲うラジコンカーの関係がモモにはわからない。
ただ姿勢の低い怪物がすごい勢いで自分に針を突き立てる。
どうしようもなく痛い。怖い。
「テチュアー!チュアーッ!」(ママー!助けてテチャー!)
「テチテチー!テテッチー!」(ママー!怖いテチ痛いテチー!)
「テェェェン!テェェーン!」(ママー!ママー!)
モモは必死に助けを求め、泣き叫ぶ。
その縋るべきママ本人が、この恐怖を仕掛けている張本人とは、
まるで理解できないままだった。

「テッチ!テッチー!」
モモが懸命に逃げ惑う傍を、何度もラジコンカーが往復していく。
移動速度はラジコンカーのほうがはるかに速い。
男はフェイントを混ぜたり、あえて軽く掠らせたりしながらモモを弄ぶ。

「テェェェン!テェェェン!」(ママー!ママー!)
糞を洩らし、膝からも血を垂らしながらモモは走った。
その横をラジコンカーがすり抜けていく。
逃げても逃げてもこの怪物は先に廻りこんでくるのだ。
また正面から突っ込んでくるラジコンカー。
何度も抉られた傷口にまた針が刺さった。
今度はバックせずにそのまま轢き倒した。
「テチャーン!」
モモの膝の肉を引っ掛けてラジコンカーが走る。
「テッチー!テッチー!」
泣き喚くモモを引き摺りながら、円を描く。
遠心力で次第に引き剥がされていくモモ。
ついには柵に向けて投げ出された。
「テェェェン!テェェェン!テェェェーン!」
モモは蹲って激しく泣く。
恐怖と痛みで顔を上げられない。

 ママ助けてテチ
 ママ助けてテチ
 ママ助けてテチ

「テェェェン!テェェェン!」
しばらく泣いて気が付いた。
——痛いのが来ない。
もう終わり?よかった、ママ助けて——
モモが顔をあげた瞬間、顔面に何かが衝突した。
ぶつかる鈍い痛みと、突き刺さる鋭い痛み。
「テチュアーッ!」
ラジコンカーはモモのすぐ手前で、顔が上がるのを待っていたのだ。
顔面に針を突き刺され、モモが甲高い絶叫をあげた。
そんな様子を気にするフシも無くラジコンカーはバックし、
今度はモモの尻めがけて針を突き立てた。
「チュアチュアーッ!」
後退、刺突。
後退、刺突。
膝以外の攻撃箇所の発見を喜んでいるかのように、
ラジコンカーは執拗にモモを突きまわした。
尻、腿、脇腹、肩、頭。
針が届く範囲にはことごとく刺し傷が増えていく。
モモの桃色の服は実装石の血にまみれて、すっかり緑色に染まっていた。

モモが這って逃げる。
その尻をラジコンカーが突く。
追いかけっことも呼べないような間抜けな追跡劇は続く。
床に血ともらした糞の跡を引き摺りながら、
飼い主の傍へと逃れようとしていた。
「テチューン!テチューン!」
柵にしがみ付き助けを求め、モモは泣き続ける。

 怖い、痛い、どうしてママは助けてくれないの。

モモが飼い主を見上げた。
「テチャ!チャーッ」(ママ、助けてー!)

男は笑っていた。

 ママが笑ってる。楽しそうに笑ってる。
 どうして笑うの?
 こんなにモモが泣いてるのに、
 どうしてママはそんなに笑うの?

モモの中に芽生える違和感。
ママと一緒なら幸せになれると教わった。
ママに気に入られるため良い子になるよう躾けられた。
ママはモモに大切に優しくしてくれると聞かされた。

——でも新しいママは優しくしてくれない。

「テェェエーン!」
モモが逃げ出した。男から遠ざかるように。
「虐められてることに気付いたかな」
男はラジコンカーを止めた。
モモは男から最も離れた位置に逃げるとそこに蹲った。
「テェエーン!テェェェーン!」
床に突っ伏してモモは激しく泣いた。
「なんだ、どうしたモモ、遊びは終わったぞ」
白々しい男の声。
「テェエーン!テェェェーン!」
モモは泣きやまない。

男が笑う。
「そうか、飯もやらずに、遊ばせたから疲れちやったんだな」
男が蹲るモモを掴みあげる。
「テェエーン!テェェェーン!」
「ちょっとうるさいよモモ」
男が力を込めた。
パキパキパキッと乾いた音がして、モモの手足が握り潰された。
「テッチャーッ!」
「痛いかい、我慢するんだよ、ほっとけば治るからね」
「テヒ…テヒ…」
おかしな方向に手足の曲がったモモが荒い呼吸を洩らす。
その口へ男が実装フードをあてがった。
「栄養つけないと治らないからね」
「ヘヒィーヘチャー!」
小さな口に無理矢理押し込まれていく実装フード。
歯を食いしばり抵抗しようとしたが無駄だった。
歯ごとへし折られ口腔内に押し込まれ続ける。
体中血まみれ、手足は折られ、腹が裂けんばかりに飲み込まされる乱暴な食事。
食事が終わるとそのままケージに放り込まれた。
今までのモモの生活からは想像を絶する仕打ちだっだ。

モモは泣いた。1人の寂しさと、全身を襲う激痛に。
以前の家庭では暖かい家族と一緒に眠っていたのだ。
「テチュテチュー、テチー」(ママーいっしょに寝てチー)
「テチューテェェーン」(ママーさみしいテチー)
「チュアチュアー」(おててもあんよもイタイテチー)
僅かに芽生えた不信感も当面の心細さの前には吹き飛んでしまう。
男は自分をあの暗闇から救い出し「新しいママ」だと言ったのだ。
少し期待してたママと違うけど、もっといい子にしてたら、
きっと優しくしてくれるはず。
「テチーテチー」(ママーいっしょがいいテチー)
「テチーテチー」(優しくしてテチー、ママー)
モモはケージの端にしがみ付いて男を呼んだ。呼び続けた。

——こんなメに遭わされてもまだ「ママ」か。
つくづくオメデタイ頭の造りをしてるのだろう。
男は笑う。
先ほど、モモの目の中の無条件の信頼が微かに曇ってきていた。
そうして曇りきって不信が勝ったとき、モモはどんな姿を見せてくれるのだろう。
モモ、オマエはただの玩具なんだよ。
せいぜい良いザマを晒して僕を笑わせてくれ。
男は声も出さず静かに笑い続けていた。

何時の間にかモモは眠ってしまった。
明日になれば優しいママになってることを夢見ながら。

 モモはもっといい子になるテチ。
 だから新しいママにもっと可愛がって欲しいテチ。
 ママ大好きテチ。




翌日になってもモモの怪我は完治しなかった。
当然だ、全身の骨をバラバラにされているのだから。
どんな体勢でも痛みは変わらない。
モモは男を呼んで泣き続けた。
「チュアチュアー!テチー!」(ママー!痛いテチー)
男が顔を出す。
イモムシのように這いつくばったモモを見て軽く笑った。
「モモ、我慢だよ。我慢してれば勝手に直るから」
男の指がモモの全身を突付き回す。
「テチィ!チュアチュア!」
痛みにモモが悲鳴を上げるが、そんなものにはお構いなしだ。
「テチャテチャアー!」
「あはは、痛い?痛いだろうなー、あははははは」
全身の激痛にモモが糞を噴出しながらのた打ち回る。
「テチャ−!チュアー!」(ママ、ママ、やめてチュアー!)
「でもこの糞は困り者だなー」
男の顔が僅かに曇った。
「テチテチー、テチュアー」
男はモモの身体を雑巾を絞るように持つと、
ゆっくりと絞り上げていく。
「テテチテチテチ!」悲鳴に骨格の粉砕される音が混じった。
モモの尻から大量の糞があふれ出す。
「これでよしと」男は身体のよじれたモモを洗面台に置くと
糞を洗い流す。
「テヒーテヒー…」
「ママが嫌いになったかい」
「…テチュー」(大好きテチュ…)
「そうか、よかった、ママもモモが大好きだよ」




しばらくして男がエサを持って戻ってきた。
「身体治すにはまず体力をつけないとな」
実装フードを取り出すと表面に緑のチューブを塗りたくる。
ワサビだった。
「さぁモモおなかいっぱいたべようね」
有無を言わせず、口腔内にワサビまみれの実装フードが押し込まれる。
「ヒュワー!ヘヒイー!」
モモの鼻の奥に激痛が走った。目から涙が止まらない。
あまりの辛さに味どころか痛みしか感じない。
「まだまだあるからね」
男はワサビのチューブをモモの鼻の穴に押し当てると、
中身を絞り込んでいく。
「ヘッヒャー!」モモの悲鳴。
さらにワサビを鼻の中、口の中にも摺り込んでいく。
「ヒュワヒュワヒュワー!」
「たまにはこういう食事もいいだろう、モモ」
おとこはゲラゲラ笑いながら、動けないモモをワサビまみれにしていく。 
「…ヘ…ヘチャア…チャア…」
「なんだもう降参か、じゃあ食事は終わりだよ」
男は実装フードとワサビを片付けた。

モモは新しいママがだんだん怖くなってきた。
新しいママはいつも優しそうに笑っている。そこは大好きだ。
しかし、やることといえば、モモにツラいことばかりだ。

男が洗濯バサミを手に取った。
「治りが遅いようだから、これ添え木代わり」
モモの捻じ曲がった手足に洗濯バサミを取り付けていく。
「ヘチーテチテチィ!」
モモの四肢に激痛が走った。
いや、四肢だけではなかった。
感覚の敏感な耳や尻たぶにまで洗濯バサミが喰らいつく。
「チュワチュワチュアー!」モモが絶叫する。
「痛いだろモモ、でも治すためだから」
男は口の端をゆがめて笑うだけだった。




その後も男によるモモへの虐待は続いた。 

3日もすればモモの反応も変わる。
どんなにママを好きになろうとしても、
受け続けた苦痛のせいで、身体が恐怖に反応してしまうのだ。

「モモ、おいで」 
男が呼んでいる。
「テチュー」
モモが近づいていく、が一定の距離でモモは止まった。
足がすくむ。男はいつも酷いことをするわけではない。
優しく遊んでくれることもある。
しかし、それは男の気分次第でモモからは判断がつかない。
男の手が伸びてきた。
「テチッ」
一瞬怯えたようにモモが身体をすくめる。
そんなモモの頭を優しく撫でる男の手。
今回はモモの大好きな手の感触だった。
モモは身体を摺り寄せる。

 やっぱりママはやさしいテチ。
 ママが一番好きテチ。
 
「テチュー」(ママ大好きテチュ)
「本当に?」
「テチー」(本当に大好きテチー)
「これでもかい?」
男がモモの襟首を掴み頭上高く持ち上げた。
「テッチャー!」(高いのコワイテチャー!)
「ママのことスキなら我慢できるだろ」
「テェエエーン」(ママ好きテチュー)
モモは泣き叫びながら男の手にしがみ付こうとする。
しかし男は手からモモを振り払った。
「チュワー!」モモが床めがけて落下していく。そして激突。
「チュベッ」
この家に来て何度目の骨折だろう。
モモは男を見上げる。男は笑っていた。

いつもそうだ。
モモが苦しんでいる時ママはいつも笑っている。

変だ——モモは違和感を強く感じた。
ママというのは優しいものではないのか。
ママというのは可愛がってくれるものではないのか。
今のママは世話してくれるけれどなにかおかしい。
なにかにつけて苦痛がセットになってくる。

そこまで考えた時、男がモモを掴みあげた。
「さぁ今日も遊んでくれよ」
遊びと言うのはあれだ、画鋲を仕込んだラジコンカー遊びだ。
男はモモを柵の中に降ろす。
目の前にあのラジコンカーが既に陣取っていた。
「テッチィー!チュアチュアー!」
モモが恐怖に絶叫した。
ラジコンカーがモモめがけて走り出す。
身をよじるモモの尻に針が根元まで突き刺さった。
「チュアーッ!」
泣きながら逃げ惑うモモ。男はラジコンカーを操っている。
「テエエエーン!テエエーン!」(ママ助けてー)
モモは男を見上げた。やはり男は笑っていた。
 
 ママは助けてくれないテチ。
 ママはやっぱり意地悪な人間テチ。
 ママなんかキライテチ。
 
モモが男に向き直った。
「テチテチテチュー!」(ママは優しくないテチ!)
「テテチュワーチュアー!」(ママなんかあっちいけテチ!)

——ほう、やっと気付いたか。意外と早かったな。

「そうか、じゃあママもモモが嫌いだよ」
ラジコンカーの針がモモの足を抉る。
「テチィ!」
男は身を屈めるとモモを掴みあげた。乱暴な手つきでモモの怪我にも無頓着だ。

「モモ、ウチから出て行け」
「テチュー」(イヤテチ、ママが優しくするテチ)
「交渉の余地無しだな」男が肩を竦める。

男は虫かごを部屋の奥から取って来た。
仔実装サイズぎりぎりの虫かごにモモを押し込んでいく。
「テチャー!テチェチェー!」(やめてママやめてテチー)
「モモはママが嫌いなんだろ?ママもモモが嫌いになったからここから出て行け」
「チュアー、チュアチュアー!」(違うチュア、優しくしてほしいテチー)
男はリンガルに一切目を向けない。
モモの言葉に耳をかそうとしない。

泣き叫ぶ虫かごを手に男は外に出た。そとはどしゃ降りの雨だった。
少し離れた公園に向かう。
公園につくと適当な高さの木の枝に虫かごを引っ掛け、男はその場を去った。

「テエェエーン!テェェエーン!」
木にぶら下げられてモモが雨の中泣き叫んでいた。
虫かごの格子は雨風を防ぐ役には立たない。
たちまち頭からびしょ濡れになるモモ。
あたりは真っ暗だ。
「テェエェエーン!テェェェーン」
モモは暗闇に怯え声を張り上げて泣いた。
恐怖に染まりきったモモは自分の行動を制御できなかった。
ひたすら泣き続けた。

当然というべきか、それを聞いてやってきた奴らが居る。
この近所に住み着いている成体実装石たちだ。
公園の片隅で虫かごに入った仔実装。
それを囲む腹を空かせた成体実装石。
虫かごの高さは成体実装石が背伸びして、かろうじて届く高さにある。
成体実装石が虫かごを叩いた。
「デズァアア!」
「テェェェーン!」
モモの悲鳴が跳ね上がった。
モモを閉じ込める檻はいまやモモの命を守る防御板だ。
これが壊れた瞬間にモモの身体は、
野良実装石たちによって引き裂かれ貪り食われるだろう。
賢いモモにはそれが容易に想像できた。
「テェェェェーン!テェェーン!」(ママーたすけてー)
野良実装石たちは虫かごめがけて飛び跳ね、小石を投げ、棒で突付き、
上手く行かないとなると八つ当たりに糞までぶつけてきた。
その度に小さな虫かごは大きく揺れる。
虫かごの中のモモは頭からびしょ濡れのうえ、
自分の洩らした糞とぶつけられた糞でドロドロだ。
「テチュアー!テェエーン!」
モモは助けを求め男を何度も呼んだ。
 
 ママ、助けてテチ。
 ママのこと大好きテチ。
 どんなことが合ってもママ大好きテチ。
 だからママ助けてテチ。
 
男は離れた場所からその一部始終を眺めていた。
もちろんその口元は笑っていた。




翌日の朝、雨は上がっていた。
執念深く虫かごの下に陣取っていた野良実装石も住処に戻ったらしい。
今は篭の中に仔実装モモが1匹だけだ。
「テチューテチュー!」
モモは懸命に男を呼び続けている。
昨夜の雨で服はぐっしょりと濡れ、体温を奪っていた。
それに虫かごの中には食べるモノが何も無い。
最終的に糞食という手もあるが、
まっとうな飼い実装として育てられているモモにとって、
それは無理な行動だった。
虫かごのなかでぐったりとへたり込むモモ。

 ママに嫌われたからこんなことになったテチ。
 ママに好きになってもらわないとならないテチ。
 ママに迎えに来てもらわないといけないテチ。
 
「テチュー、テチュテチュー」
モモは体力の続く限り男を呼び続けた。



結局、その日は男は姿を現さず、そのまま夜になった。
暗闇の中でモモは小さく泣いていた。
「テェエェ…テェェェ」
ろくに身動きも出来ないほど狭い虫かごに押し込められ、
エサも与えられず、放置されたままの時間が続く。
あの時ママに逆らわなければ…、モモはその一点を悔いていた。
生まれてこの方、人間に依存する方法しか教えられていないモモは、
飼い主の資質にまで頭がまわらない。
いや、そこに気付きかけたのだが、
同時に今現在の仕打ちで自分の無力さも思い知ったのだ。
だからモモは男を呼び続けた。
「テチュー、テチュー」
 
 もっとママを好きになるテチ。
 そしたらママもモモを好きになるテチ。
 ママは暗いところからモモを助けてくれて、
 ママだよ、といってくれたテチ。
 いい子になって痛いのもガマンしてママのこと好きになるテチ。
 
 
結局、男がモモを迎えに来たのは5日後、
モモが飢えとストレスと体力消耗で死に掛けてからだった。




タオルにくるまれてモモは目を覚ました。
男に栄養剤を注射されたっぷり3日は眠った後だった。
その身を包むタオルに頬をすりつける。

 ママのにおいがするテチ。
 やっぱりママは助けてくれたテチ。
 
そこへ男がやってきた。
「外の暮らしは楽しかったかい?」
ここでの返答に敵愾心がこもっていれば失格である。
そんな反抗的な実装石は、男の趣味に合わないので即処分となる。
モモの場合はどうなのか。
「テェェェチュ…」(モモ、ママすきテチュ)
「テチテチテチュ」(モモ、良い子になるテチ、外はイヤテチ)

——上出来だ。
前以上に依存心が高くなっている。
「モモ、ママのこと好きかい?」
「テッチュー!」(大好きテチュ!)
「これでも好きかい」
男がモモの左腕を掴んだ、ポキンと腕を折る。
突然の激痛にモモが泣き叫ぶ。
「テェェェン!テェェェン!」
「泣いてちゃわからないな」
「テェェェン!テェェェン!」
リンガルには(すきテチュー!大すきテチュー!)と表示されている。
男が爆笑した。
「じゃあこれは?」
男はモモの右腕もへし折った。
「テェェェェン!テェェェン!テェェェーン!」
リンガルには(ママだいすきテチー!おててイタイテチー!大好きテチー)とある。
男が腹を抱えて笑い出した。
「チュワチュワー!」(ママ大好きテチ!)
「テチャチャチャ!」(ママ一番好きテチ!)
「テェェェェェーン」(ママ優しくしてテチ!)
折れた両腕をイゴイゴと震わせながら泣き叫ぶモモ。
しかしリンガルには男への愛情を求める言葉が羅列されていく。
そのギャップが男のツボに嵌まったらしい。
男の大笑いはなかなか止まらなかった。

ひとしきり笑った後、男がモモに向き直った。
「そんなにママのことが好きか、くくく」まだ笑っている。
「テチューン」(大好きテチュ)
「そうだな、じゃあモモの服が欲しいと言ったらくれるかい?」
「…テ、テチテチ」(…あげるテチ)
「そうかい、なら遠慮なく」
男はモモの服を剥ぎ取ってしまった。
折れた腕が痛み、モモが悲鳴を上げる。
男は取り上げた服をモモの目の前でビリビリに破いた。
「チュアー!チュアー!」
大切な服をボロボロにされモモの目に涙が浮かぶ。
前の飼い主からもらったお気に入りの桃色の服だったのだ。
だが、今の飼い主には逆らえない。
ママに好きになってもらうためには、逆らってはいけないのだ。
髪の毛は奪われずに済んだが、みすぼらしい裸が窓ガラスに映っていた。
「テェェェェーン!」


「やっぱりモモには、はだかんぼが似合うな」
男はそう言うとモモの頭を優しく撫でる。
「テッチー♪」
その瞬間モモは腕の痛みも屈辱も忘れ、歓声をあげた。




それからというもの、モモは男にひたすら媚びた。
男からは虐待の数々。
殴られ、蹴られ、針で刺され、タバコの火を押し付けられて。
しかしそれでもモモの答えは媚だった。
緊張に身体を震わせながら「テチューン」(ママ大好きテチュ)と媚びる。
迷子になった最初の日、男が拾ってくれたおかげでモモは飼い実装石になれたのだ。
あの暗闇での心細さと恐怖はモモの心に大きな傷を残していた。
そしてその不安から逃れる方法は男に気に入られる他無かった。
だが、それは男の課すハードルを飛び越え続けることでもあった。
ハードルとは愛情の確認である。




「モモ、ママが好きならこのくらい我慢できるよね」
「チュワ!チュワー!」(ママ大好きテチー!)
やかんから熱湯を顔に注がれてモモが泣き叫ぶ。
熱い飛沫が裸の全身にも降り注ぐ。
「テチャアー!」(ガマンするテチャー)
ゆるい総排泄口から糞があふれ出した。
「おやおや汚い。洗い流さないとね」
男はモモをひっくり返すとぐらぐら煮だった熱湯を尻にかける。
洗い流されたモモの尻が真っ赤に腫れていた。
「テッチィィー!」(ママ大好きぃぃー!)
「中も消毒しとこうか」
男が総排出口にやかんの口を突っ込んだ。
モモの胎内に熱湯が注ぎ込まれる。
「テエッチャーアッ!」
手足をバタつかせてモモが絶叫した。
「モモ、ママのこと好きかい」
「チュチュアー!チュアー!」(ママ大好きテチィィ!)
「テッチャー!テッチャー!」(モモがまんするテチィィ!)
モモは体内の熱さに歯を食いしばって耐えるものの、
我慢の限界を超えたのか、いきなり鼻血を噴出した。
「おお、よく頑張ったねモモ」
男はモモを掴みあげるとバケツに放り込み今度は冷水を浴びせかけた。
モモがまた叫んだ。
「テチィィィー!」(ママ大好きィィ!)
バケツの壁に寄りかかって座るモモ、その肩あたりまで冷水を注ぐと、
男はそのまま立ち去って行った。
「ゆっくり冷やすんだよ」
「テェェ…」(ママ…行かないでテチ…)




「モモ、ママが好きならこのくらい我慢できるよね」
男が持つのはよくしなる竹の棒。
「テチュ…」(がまんできるテチュ)
モモの返事を合図に竹の棒が飛んで来る。
鋭い一閃はモモの頬を捉えた。
「テチィィ!」
今まで何度と無く上がった悲鳴がまた起こる。
あとは滅多打ちだ、裸のモモの身体にミミズ腫れがみるみる増えていく。
「チュア!テチィ!」(ママ大好き!がまんテチ!)
それでも痛みに耐えかねたのかモモは身体を丸めた。
「なんだモモ、我慢してないじゃないか」
男がさらに激しく棒をうならせる。
モモの丸い尻めがけて集中攻撃だ。
たちまち真っ赤に腫れ上がるモモの尻。
尻を庇えばその腕に、腕を庇えば空いた顔面に、
容赦なく竹の棒が襲い掛かる。
「テェェェェン!」(ママ大好きテチ!)
「テチャァアー!」(ママ大好きテチ!)
呪詛のように繰り返す思慕の言葉。
モモはどんな目に遭わされても、
男への愛情を証明しなくてはならなかった。
そうしなくてはまた捨てられるのだ。
ひとしきり殴りつけたあとで男はモモへ労いの言葉をかける。
「モモ、よく頑張った」
「テチューン…」
そして口をゆがめて笑うのだ。
「オマエは本当に僕のことが好きなんだね」




「モモ、ママが好きならこのくらい我慢できるよね」
男の手には爪楊枝。それをモモの眼前に突きつける。
「テチューテチテチ」(ママ好きテチ、我慢するテチ)
モモは身を強張らせながら答えた。
その返事をきくやいなや、男はモモの敏感な耳に爪楊枝を刺した。
「テチィィィー!」
そのままピアス穴でもあけるように耳たぶを貫通させる。
「まだまだ我慢できるよね」
「テチュ…テチュ」(ママ…ママ)
もう一方の耳にも男は爪楊枝を刺していく。
「テェェェン!テェンテェン!」(ママ、痛いテチー!)
「ママのこと嫌いになったかい」
「テェェェン!テェェェン!」(ママ大好きテチュ!)
「だったらまだまだ刺せるよね」
男は爪楊枝をモモの頬に突き立てた。
そのまま口腔内まで貫き舌を刺し止めた。
「フェェェーン!」
「あはは、何言ってるかわからないよ」
男は次々と爪楊枝をモモに突き立てる。
背中、尻、腿、脇腹、小さな乳首、モモの身体に深々と刺さるトゲの数々。
「フェフェ、フェェェーン」
苦痛のあまり、モモが糞を洩らした。
「やっぱ栓しないとダメだね」
男は爪楊枝を束ねると総排出口に根元まで突き入れた。
内臓にまで達したのか束ねた爪楊枝の隙間から血が滴りだす。
最後に両手両足の先端に爪楊枝を刺すとモモを放り投げた。
「フェフェエ!」
全身血まみれのハリネズミ状態のモモを男は足で転がす。
床に当たるたび、爪楊枝がモモの肉を抉った。
「モモ、これでもママが好きかい」
「フェェェェーン!」
「どうせ『大好きテチー』だろ、聞くまでも無いか」
モモを転がして廻しながら男はまた笑った。




モモは実によく媚びた。
男からどんな暴行を受けようと、それを受け入れ、慕う気持ちを伝え続けた。
 
 ママ大好きテチ。
 ママ大好きテチ。
 ママ大好きテチ。
 
——だから捨てないで。

モモの行動は全てその願い一点のためだった。
もう捨てられたくない。
暗闇・孤独・外敵・空腹——
それらが束になっていた、死が目前の状態に比べれば、
今の生活でも希望に満ちていると思えた。
ママ大好きと気持ちを伝えれば、いつかは好きになってくれる。
良い子にして言うコトを聞けば、今より優しくなってくれる。
それは生まれ育った家で母親と元の飼い主から教わったものだ。
生まれ付いての飼い実装石であるモモには、
人間に対する信頼感が無条件に根付いていた。
言い換えれば人間への依存無しでは生きられない個体でもあった。

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