タイトル:【観察】 実装石の日常 首輪
ファイル:実装石の日常 48.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:13258 レス数:0
初投稿日時:2010/02/20-22:19:16修正日時:2010/02/20-22:19:16
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「公園テチ、公園テチ〜」

「公園テチ、広いテチ」


喜んで4女5女が駆け出し、ほかの姉妹も後を追う。


「あまり遠くに行ったらダメデスー」


注意をうながす親実装も楽しそうだ、何しろあまり近頃ご主人様は構ってくれなかったのに、突然連れ出してくれたのだ。

来たこともない公園までの遠出になったので、わがままを言い過ぎたかと少し気が引けた。


「ヴァート、ところでさ、そろそろみんなの首輪を変えようと思うんだ」

「デ!」

「仔も成長しているし、お前のも古くなってるからな」

「嬉しいデス! ご主人様ーー!」

「だからお前のを外してくれ、あと仔たちのも」

「はいデスー!」


ヴァートという名前を持つ親実装は大喜びで仔実装8匹を集めると、首輪を飼い主へ差し出す。


「あ、新しい首輪は車においてきちゃった! すぐにとって来るよ」


9匹は期待の眼差しで飼い主を見送った。




 実装石の日常 首輪





「ママ、ご主人様遅いテチ……」

「もうすぐ来るデス、みんなで待ってるデス」


何度同じ問答を繰り返しただろうか。

彼女らには理解できないが、公園の時計は午後4時になろうとしている。

公園にやってきたのは1時すぎだったのに。


「少しその辺を歩いてみるデス、ご主人様がいるはずデス」


一家は公園から少し出て、国道沿いの歩道を歩く。

不安から誰しも表情が暗い。

「私がお歌を歌うテチ」

6女が家族を元気付けようと歌い始める。

「私も歌うテチ」

「私もテチ」


結局姉妹みんなで歌い始める。


「お、実装石の親仔だ」

「野良実装にしたらきれいだね」

「こんなに近づいても逃げないなんて、馬鹿だなー」


小学生の男の子が3人、騒ぎながら一家へ近づく。

普通なら逃げ出すなり何なり行動をとるのだが、一般的に飼い実装は人間に対して無防備だ。

飼い実装が人間に襲われる経験などないからだが……。



「とりあえず踏み潰しておくか」

「テベッ」


少年の1人が6女を気軽に踏み潰した。


「……………………6女?」

少年の靴の下に消えた6女を、ヴァートが不思議そうに呼んだが当然返事はなかった。

靴をどけると、ぐちゃぐちゃの赤と緑の塊と服が交じり合っている。


「6女ーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!! しっかりするデーーーーーーーーーース!!」


絶叫して染みとなった6女に近寄って叫ぶが、返事があるわけもない。

両手を地面について、染みへ呼びかけ続けるけれども、染みは染みであり、もう6女ではなった。


「6女ちゃんのはずがないテチーーーーーーーーー! 6女ちゃんはどこかにいるテチ!」

長女は周りをうろうろ見渡す。


「テチャアアアアアアアアアアア! 6女ちゃんが! 6女ちゃんが!!!」

「うそテチ! うそテチィィ!!」

「…………こんなのうそテチ、おかしいテチ。 おかしいテチ!!!」

姉妹たちは前触れもなく潰された家族を前に、パニックになった。


「……! ニンゲンさん! なんで6女ちゃんを殺したデス! なんででデス!」

少年の1人は携帯電話のリンガル機能を立ち上げていた。


「何いってんのさ、野良の駆除だよ、駆除」

「違うデス! 私たちは飼い実装デスーーーーーーー! ご主人様がいるデーーーーーーース!」


そう言って自分の首を手で指し示す。


「首輪ならないみたいだけど?」

「これは新しいのを貰うから外しただけデス!!!」

「新しい首輪は? ご主人様は?」

「ご主人様は首輪を取りに行ってるだけデス!!!」

「……ふーん」


少年たちは目配せした。


「捨てられたんだね」

「捨てられたな」

「捨てられただけじゃん」

「違うデス! 違うデス!!!!!」

「捨てられたんだよ、威嚇をしたりして人様の迷惑ならないよう、駆除しないと、な!」

「デジャア!」


少年が足払いをすると、ヴァートは豪快に顔面から倒れこむ。

すかさずヴァートの背に少年は足を乗せて身動きできないようにした。


「ママァ!」

ヴァートを気遣って動こうとした3女の両腕を少年の1人が摘み上げた。


「とりあえず腕をもいでおくか」

「痛いテチャアア!!! テチャアアアアアアーーーーーーーーーーーアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


両腕を捻りながら曲がるはずもない背中へ強引に曲げていく。


「止めてデスゥ!!!!」

「テエチャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」


ミシミシと音を立てて3女の腕が歪み、顔が歪む。

ぷちり、と負荷に耐えかねた右腕が引きちぎれ、傷口からはおびただしい血が流れる。

3女は激痛に苦しんで地面を転がりまわる。


「お手手! お手手痛いっテチ! 痛いテチィィ!!!!!!」

姉妹たちは突如振るわれた暴力に怯え、硬直してた。


「次は頭部破壊でーす」


適当に選ばれて4女が地面に押し倒され、頭だけ靴で踏まれてゆっくりと力を込められる。


「痛いテチ!!!!!!!!! やめてぇぇぇぇぇぇぇぇテチィィ!!!!! 私、何にも悪いことしてないテチィィ!!!!!!!!!」

「その仔を離してデスゥ! 4女はとても良い仔デス! とっても良い仔デス! ニンゲンさんも気に入るデス!」


おもむろにヴァートの顔面が蹴られた。


「キモイこと言ってるなよ糞蟲っ」


変形した顔を押さえているヴァートはそれどこではなかったろうが、少年の1人は深不快げに吐き捨てた。


「おい、見逃しちゃうぞ」

「悪い悪い」


4女の頭はあり得ないほど、押しつぶれていて悲鳴さえあげられないようだ。 ただ涙を流している。


「ほい」

「チベ」


ほんの少し少年が体重をかけると、短い断末魔が起こった。

熟したトマトのように、4女の頭はつぶれていた。


「4女ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


頭部を失った体はパンコンしながら凄まじいほど痙攣していたが、ぴたりとやんだ。


「頭なくても動いてるっておかしいだろーーー」

「さすがは変態なまもの、期待を裏切らないっ」

「さあ、次行ってみよう!!!!!」


笑い声を上げながら、少年の1人は7女を摘み上げた。


「や、やめてぇぇぇぇテチィ! ママッ! ママッ!!! ママアアアッ!!!」

「やめて下さいデス、ニンゲンさん!!!! なんでもするデス! なんでもするから仔は許してデス!!!!」

「あのさ、もう少し気の聞いた命乞いもできないの?」


苦笑しながら、7女の右腕を引きちぎる。

「テジィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!」

左足を引きちぎる。

「テジャアアーーーーーーーーーーーーーーアアーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


右腕左足を失った7女は放り出され、地面の上を転がった。

びくんびくんと大きく痙攣している。


「……ママッ……ママ、ママァッ……」

「7女! ママはここにいるデス! しっかりするデス!!!」

「7女ちゃーん!!!」


次女が飛び出して、7女を助け起こした。


「次女姉ちゃんがいるテチ、大丈夫テチィ」

「次女姉ちゃん……」

「大丈夫、大丈夫テチ」

「おっとここで自殺志願者の登場だー」

「テチャーーーーーーーー」


次女は服を摘まれて持ち上げられる。


「だっさい服なので脱がせてやろうかと思いまーす」


びりびりと次女の服を破り始める。


「テヒャーーーーーーーーーー!!!!」


じたばたと抵抗するが難なく服は全て破り捨てられた。


「ついでに髪もきれいに抜いておこうか」

「駄目テチィィ! それは駄目テチ! 私のきれいな髪は大事なものテチィィィ!」

「いやいや、野良実装にはいらないからな」


ぶちり、と無残にも髪が引き抜かれ、次女は地面にそっと置かれた。

次女は慌てて頭部を触り、全身を触る。そして、急に震えだす。


「髪! 私の髪がああああああああああああああ無いテチャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

服がないテチャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


少年たちは笑みを交わした。


「清々しいほどの悲鳴だね」

「野良実装にふさわしい悲鳴だよ」

「じゃあこいつはどんな悲鳴を聞かせてくれるのかな」


長女が無造作に捕まえられると、彼女は必死に抵抗した。

手足をバタつかせ、少年の手へ噛み付き、叩いた。


「こいつは威勢がいいなぁ」

「せいぜい楽しませてくれよー」


ふと、1人が携帯の時計を見た。


「おい、そろそろマルカジリ劇場の時間じゃないか、そろそろ帰ろうぜ」

「もうそんな時間かよ、遊びすぎたなーー」

「じゃあ帰ろうか」


捕まえたときと同じように無造作に長女は投げ捨てられた。


「テベ!!!」


公園の染みがまた一つ増えた。




*************************************




ヴァート一家はなし崩し的に公園に住み着いた。



雨水と風化で崩れかかったダンボールの薄暗い空間で、

ひもじさに責められ、

いつ襲われるかわからない不安に震え、

傷ついた体からの痛みに寝つけず、





             それでもひっそりと生き残っていた。





長女・4女・6女は捨てられた直後に殺されたが、5女、8女は公園に住み始めた直後に野良実装に食われた。
一家は現実を受け入れるほか無かった。
だがしょせん飼い実装、公園暮らしがうまく行くわけもなく、エサ不足は深刻だ。
洗濯もしたことがないヴァート、一家揃って汚れるがままである。

とくに右腕を奪われた3女、右腕左足を奪われた7女は厳しいエサ事情のため再生せず、
排泄や食事もきれいにできない為、汚れ放題だった。

3女は丸い目で、親を見上げる。


「ママ、お手手はいつ元に戻るテチ?」

「……いい仔にしていれば、元に戻るデス」

「私、ずっと良い仔にしてるテチ。 良い仔テチ」

「………………」

「良い仔なのに、おうちがないテチ、お手手ないテチ、なんでなのか、わからないテチ」


涙を浮かべて3女は言った。


「良い仔にするテチ、だからお手手返して欲しいテチ、おうちに帰りたいテチ、体を洗ってゴハン食べたいテチ」

「お前なんかいいほうテチ、私は左足までないテチ。 歩けないテチ、なんにもできないテチィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!」


7女は癇癪を起こした、最近では毎日の事ではあるが。癇癪というか、もはや常時錯乱気味であった

そんな7女を次女が指差して笑う。


「不恰好な奴が頭までおかしくなってるテチーーーー!」

「やかましいテチ! 死ねば良いテチ禿裸! お前こそ笑いもののゴミテチィ! 一家の恥さらしテチ! さっさと死ねテチ!!!」

「ママァ」


次女は笑みを浮かべ愉快そうに7女を指出す。


「あいつが死んだらあいつの服を脱がして私が着るテチィー」




首輪を失ったとき、一家は野良となって大事なものも失った…………。






END

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