タイトル:【育成】 庭師実装石「みど吉」
ファイル:庭師実装石「みど吉」 第1話.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2065 レス数:0
初投稿日時:2010/01/23-22:14:53修正日時:2010/01/23-22:14:53
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        庭師実装石「みど吉」





朝もやも消えない朝6時前、「鈴山」家の広い庭先で一匹の実装石がバケツを片手に草むしりと剪定を行っている

彼女は今から1年程前に鈴山家の主人、「鈴山俊秋」が有名ペットショップで購入した「庭師実装石」、名前は「みど吉」

今年で6歳になる成体実装石で近所でもいい意味で有名な実装石だ




俊秋がみど吉を購入に至った理由、それはみど吉を購入する2ヶ月程前、貿易商の仕事に就いている俊秋が

中古ながら念願のマイホーム(大きな庭付き)を購入した事にある、それは不動産屋にマイホーム購入の相談に行った時

「予算4000万で2LDKで駅から10分以内で・・・・・・あっ、一軒あります、かなりの掘り出し物かと・・・」

そう薦められて俊秋は家族とともに家の中だけを見て決めたのだがそれがまずかった

決して不動産屋に悪気があった訳ではない、キチンと説明はしたのだが

俊秋も家族もマイホームの購入に浮かれてその大事な事を聞き逃していたのだ、その聞き逃していた事は

「庭が広すぎて手入れが非常に大変な事」

鈴山一家がこの重要さを思い知ったのがみど吉を購入する1週間前

2ヶ月足らずで庭園はジャングルに変り、気付いた俊秋が造園業者に注文して一応綺麗にしてもらったのだが・・・・

「こんだけ広いとマメに手入れしなきゃすぐにジャングルに戻りますよ」

ある意味、無情とも言える言葉だった

本来なら7000万以上もする豪邸、4000万以下で買える理由がこの広すぎて手入れに困る庭園にあったなんて

俊秋はこの時点で困り果てた、せっかく買ったマイホームをすぐに手放すなんて考えはない

多少ゆとりはあるがそう何度も業者を呼べる程裕福じゃない、どうしよう・・・・・・・

そんな時だった、俊秋が偶然「庭師実装」の存在をネットで知ったのは、

これだ!!コイツがいれば庭の手入れの問題は解決する!!よし、買おう!!

あまりにも安直な考えだが俊秋は早速有名ペットショップに注文する運びとなり、鈴山家に「みど吉」はやって来る事になった

しかし家族に相談もしないで庭師実装石を購入したら妻(遥、36歳)と中学生の長女(早苗、14歳)に大激怒された

「何考えてんのよお父さん!!いくらペットショップでの保証があるからって

実装石に実蒼石みたいな器用な真似ができる訳ないでしょ!!」

「お父さんの馬鹿!!実装石飼ってるなんて学校にばれたらいい恥さらしになるわよ!!

なんでそんな重要な事勝手に一人で決めんのよ、もう最低」

二人が怒るのも無理はない、大体実装石の一般的なイメージなんて

「臭い、汚い」「我侭、自分中心」「非力、無芸大食」「飼うのは虐待派か頭のイカれた愛誤派」

がいいとこだ、早苗に至っては

「大方インチキ業者につかまされた」

としか考えていなかった。俊秋は二人の迫力に少し怖気つきながらも

「だ・・大丈夫だって、何せ双葉コーポレーションの保証書だってあるし・・・」

「ローゼン社やメイデン社ならともかく双葉ナントカなんてそんな2流会社の保証書なんて紙切れと一緒よ!!」

言われてみればごもっとも、最早俊秋は完全に追い詰められた

「そ・・・・そうだ康太、お前は父さんの味方だよな?」

気まずい流れに耐え切れず小学生の長男(康太、11歳)に助けを求めようと振り返ると

なぜか大型ゲージを覗き込んでなにか考え事をしている

「えっと・・・・康太?」

「・・・・・・・・・みど吉」

「は?」

考え込んでいた康太が奇妙な言葉を呟いた

「だからみど吉だって、ミドリって名前じゃありきたりじゃん。だからみど吉」

どうやら名前を考えていたらしい

「あ・・・あんたねえ・・・」

「てか・・・みど吉って・・・・・・」

遥と早苗は今更ながら康太のマイペースっぷりに呆れた

結局この後、あーでもないこーでもないと押し問答があったが結局

「真面目に働かなかったら即保健所送り」

の条件付きで家族の(妻と娘の)了承を取り付け、みど吉は鈴山家の一応のペットとなり

庭先に古いオママゴトハウスを組み立てて、そこに住むと言う事で解決となった





それから2ヶ月位経った頃、みど吉に対する家族の印象が変った

予想以上に働くみど吉が来てから庭がジャングルになる事もなく、むしろ前以上に綺麗に変った

しかもみど吉は自分の身の回りの事は全部自分でやり、これも家族の手を煩わせる事もなく

餌ですら徳用フード(10kg480円)と庭師実装石専用の特殊フード(1ヶ月分1890円)をまとめて渡しても

きちんと分量を考えて食べ、残りを保存するので餌やりの手間もほとんどなく(月2回程度)

ペットとして、庭師としてのみど吉は理想的なペットだった

又、人間の道具を使いこなすのにも長けているみど吉は高枝切りハサミや箒、果ては電化製品も簡単に使いこなすので

今ではママゴトハウスに電気コードを引いてもらい、コタツと電気ポットを使用している(ほとんど来客用だが)

・・・・こんなに賢く、優秀なペットのみど吉だがその過去は想像以上の暗く凄惨なモノだった・・・・・







みど吉は今から6年前、どこにでもある公園で野良実装の三女として産まれた・・・

「さあオマエタチ、晩御飯デス。今日はゴハンがいっぱい手に入ったデス」

彼女の母親は野良の中では普通より少しだけ賢く、愛情深い固体だった

「イモウトチャゴハンテチ!!今日はスゴイご馳走テチ!!」

「スゴイテチ〜、ご馳走のお山テチ〜」

「いっぱいレフ!!蛆ちゃんこんなたくさんのゴハン初めて見るレフ!!」

彼女には二匹の姉と妹蛆がいた、みんな今から2日前に産まれたばかりで

出産後にまともに動けるようになった母親が始めて餌集めに出掛け、首尾良く大量の生ゴミをゲットできた

子供達は産まれて始めての贅沢な食事に大興奮し、それを母親は嬉しそうに見つめていた

「今日は本当にイイ日デス、こんな可愛い子供達に恵まれ、ゴハンもたくさん用意できてワタシは本当に幸せな・・・・」

「デギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

ドガァ!!

ささやかな食事の時間を突然同族の悲鳴が引き裂き、ダンボールハウスになにかが激突した

「な・・なにテチ!!ママ・・お外からスゴイ音がしたテチ!!」

突然の事に訳の判らない子供達はパニックになっているが母親の方は顔面が真っ青になっている

「オマエタチ!!今すぐ逃げるデス!!アクマが・・アクマが来たデス!!」

事態は良く飲み込めていないが母親の必死の形相に危機感を感じた子供達は長女が末蛆を抱え次女と三女がそれぞれバラバラに

ダンボールハウスから飛び出し、そこで彼女達はその生涯で忘れられないモノを見る事となった

「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

満面とも恍惚とも言えない顔でバールを振り回し、次々と実装石を惨殺しながら雄叫ぶ巨人を・・・

「なにしてるデス!!早く逃げるデスー!!アクマに見つかったら殺されるデビャッ!!」

やっとの事でつぶれかけたダンボールハウスから逃げ出した母親は子供達の目の前でアクマに叩き潰された

「ヒャッハァァァァァ!!!!糞蟲共は皆殺しだァァァァァァァ!!!!!」

「レピャァァァァァァァァァァァァ!!!!」

「ママァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

目の前で母親が殺された瞬間、末蛆と長女は悲鳴を上げてしまった

「まだいたか糞蟲ィィィィィ!!喰らえェェェ!!正義の鉄槌ィィィィィィィィィ!!!!」

末蛆と長女の悲鳴に瞬間的に反応したアクマは声の方向にバールを振りぬいた

「テジャッ!!」

振り抜いたバールは地面にいた末蛆の頭上をかすめ、隣にいた長女の頭部を木っ端微塵に吹き飛ばし、長女の命を奪った

「レピャァァァァァァ!!オネチャーーー、助けてレピィィィィィィ!!」

「ウジチャン待ってるテチ!!今オネチャが助けにい・・・」

パニックになった末蛆に次女がテチテチと駆け寄ったその時、二匹の周りの影が突然大きくなり、そして

「死ぃねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」

アクマの全体重を乗せた右足が一瞬で末蛆と次女を押し潰し、末蛆と次女は断末魔を上げる間もなく殺された

(オネエチャ!!ウジチャ!!)

ハウスを飛び出してすぐに草むらに隠れた三女(後のみど吉)は口を手で押さえ悲鳴を押し殺した

「んん〜・・糞仔が二匹と糞蛆一匹だけだあ〜?・・・・まだどっかに隠れてんな」

アクマはそう呟くと周囲の草むらに向かって滅茶苦茶にバールを振り回した

「オラァ!!まだどっかに隠れてんだろ!!とっとと出てきやがれ!!」

三女はあまりの恐怖に体が硬直してその場から1ミリも動けなかった、しかしそれが彼女に味方した。・・・・・やがて・・・・・

「クソッ・・・・・間引きした後かよ・・・・・・つまんねぇ・・・・」

いつまでやっても手応えがない事にアクマはやっとあきらめブツブツ呟きながら帰っていった




しばらくして、物音がしなくなってから三女はおそるおそる草むらから這い出した

だがそこにはさっきまで確かにあった我が家はなくペシャンコに潰れていた

家の前には優しかった母親が醜い肉の塊となりそこに転がっている

大好きだった姉も妹も無残な姿になって息絶えている

「なんでテチ・・・・・どうしてみんな死んじゃったテチ・・・・・・・・・・・

どうしてこんなヒドイ事をあのアクマはしたテチ・・・・・・・・」

三女には分からなかった、いや理解できないだろう

「ただなんとなく」たったそれだけの理由で彼女達の幸せを奪いその命を踏みにじる者がいるなんて事が・・・・・・

「どうしてテチ・・・・・・・どうしてテチ・・・・・・・・・どうしてテチ・・・・・・・・」

絞り出すように呟く三女の目から悲しさと悔しさのあまり血涙がポロポロとこぼれている

今の彼女は怒りと悔しさと悲しみで頭の中はグチャグチャだった

そんな彼女の周りをいきなり大きな影が覆った

『虐殺派の雄叫びを聞きつけて来てみれば・・・・生き残っているのはコイツだけか・・・』

ハッと気付いた三女が振り返ると巨人が自分の後ろに立っている

「テシャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

恐怖に糞を漏らし、震える手足で四足になり涙を流しながら精一杯に歯をむき出し三女は威嚇した、彼女にはもうそれしか思いつかなかった

それを見ていた巨人はその場にしゃがみ、実装リンガルを口元にあて、三女に話りかけた

『家族を殺されたのか?』

「シャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

いまだに泣きながら威嚇し続ける三女に巨人は再び語りかけた

『家族の仇を取りたくないか?』

「シャァァァ・・・・・・・???」

目の前の巨人が自分に害がないとやっと理解した三女は威嚇をやめた

『家族を殺した人間に復讐したくないか?』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

三女は巨人の言葉を初めてまともに聞き、そして

「・・・・・・・たいテチ」

『何だって?』

「仇を取りたいテチ!!ママやみんなを殺したアクマをやっつけたいテチ!!」

三女は巨人に向かって叫んだ

『オレと共に来い、そのアクマ以上の力を付けてやる、ただしそれは簡単にはできないぞ

死ぬよりもツライ事や痛い事にたくさん耐えなければならない』

「それでもいいテチ!!何もできないで死ぬより何かやって死んだ方がいいテチ!!」

三女の決意はもう決まっていた、全てを諦めて死ぬ安楽な道ではなく、無いに等しい可能性に掛けたイバラの道を選んのだ

『いいだろう、ならばこれに入れ、お前を地獄に連れて行こう』

そう言って巨人は三女が入れる小さなゲージを降ろした

赤い涙を拭いた三女はそのゲージに入る前に一度だけ振り返り呟いた

「ママ、オネチャ、ウジチャ、仇は必ず取るテチ」

こうして三女をゲージに入れた一人の外国人は夕暮れの街に消えて行った

そしてこの先、三女に文字どうりの凄まじい地獄が待ち構えている事となる





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