双葉町の外れに、広い空き地がある。 誰が所有者かも分からず何年も放置され、雑草と灌木が伸び放題になっていた。そんな 場所の常として実装石が住着いている。しかも、誰かが意図的に植えたのか偶然生えたの か、食べられる種類の草木が多く、何も考えずにエサをやるお婆さんが近所にいて、さら に歩いていける距離にゴミ捨て場もあるため、絵に描いたような実装石に占拠された土地 と化していた。 時折虐待派がやってきて実装石をお持ち帰りしたり、こっそりとヒャッハーしたりする こともある。だが、街外れということもあり、ほとんど人が来ることもない。そのため、 市行政もほとんど放置状態だった。 しかし、実装石が増えすぎて周りを汚したり臭い実装臭をまき散らしたりと、無視でき ないレベルとなったため、専門業者よる大規模な一斉駆除が入り、空き地の実装石は一匹 残らずいなくなった。 * * * それは、一斉駆除の五日前。 空き地の端はヒノキが三本生えている。高さはおよそ十五メートルほど。その中央のヒ ノキの枝の一本に、紫電は陣取っていた。薔薇実装特有の紫色が目立たないように、身体 と頭に森林迷彩模様の布を巻き付けている。 森林迷彩の布は、友達の実装雛に貰ったものだった。 「ツカレタ……」 ぼやきつつ、紫電は吐息した。 幹に水晶針を突き立てつつ、ロッククライミングよろしく地上五メートルほどまで登っ たのである。薔薇実装特有の浮遊能力を利用していたので、そのまま登るほどの疲労は無 い。だからといって平気というわけでもなかった。 見下ろす先には、実装石がたむろする空き地。 広さは大きめの公園ほど。その周囲にあるのは休耕畑や、ある程度手入れのされた草地 である。民家は見えるものの、人の姿は見られない。 右に視線を移すと、舗装された道路が見える。紫電は東向きの枝に立っていた。 茂った葉のおかげで、紫電の姿は真正面からでないと確認できない。たとえ正面からで も紫電が葉の陰に隠れれば見えなくなる。 平日の午後二時頃、この街外れを大手を振って歩く人間もいないだろう。人に見つから ないちょうどいい時間でもあった。 「サテ、始メヨウ……」 紫電は足元の枝に、水晶の足場を作った。両足を動かして安定していることを確認して から、羽織った迷彩布の下にある実装用鞄を取り出した。紫色の鞄を近くの枝に引っかけ て、中から一本の鋼線を取り出す。直径0.5mmのピアノ線。 無論、鞄も見つからない位置を考えてかけている。 細いピアノ線。 針金のような細さだが、針金のように弱くはない。 二度深呼吸をして、紫電は水晶を作り出す。普段作っている色の薄い水晶ではなく、濃 い紫色の水晶。円弧を描くように伸びてから、鋼線の両端を包み込んだ。 「完成……」 できあがったそれは、水晶の弓だった。 ガラスのように硬い水晶ではなく、金属のような弾力を持った弓部分とピアノ線の弦で 作られている。長さは六十センチほど。イギリスのロングボウに近い構造だった。 右手で弦を弾いて具合を確かめつつ、空き地を眺める。 「マズハ標的ヲ集メル……」 鞄から取り出した金平糖入りの袋を弦に引っかけ、紫電は弦を後ろへと引いた。長さの 無いもの——石や砂袋を飛ばすのは、クロスボウのような構造の方が適している。だが、 長弓でやって出来ないこともない。 紫電が手を放すと、金平糖の入った袋が飛んでいき、地面に落ちる。六畳ほどの広さの ある地面の露出した裸地。他の場所は草が茂っているのに、そこだけほとんど草が生えて いなかった。理由は紫電の知るところではない。 飛距離は二十メートルほど。 袋が破れて、十数個の金平糖が散らばった。 「デッ、コンペイトウが降ってきたデス!」 近くにいた実装石その1が思わず声を上げる。何も言わずに独り占めしてしまえばいい のだが、そういう器用なことができないのも実装石。金平糖という単語を聞いて、近くの 茂みや灌木の影からわらわらと実装石が現れた。 「何デス、お前ら? これはワタシのコンペイトウデス。横取りするなデス!」 実装石その1が周囲の実装石を威嚇するが、逆効果だった。 茂みから現れた実装石その2が言い返す。 「それがお前のコンペイトウと誰が決めたデス? それはワタシのものデス。ワタシがそ う決めたデス。だから、そいつはワタシのコンペイトウデスッ!」 「黙れデス! そいつはワタシのものデェスゥゥ!」 その3が叫びながら金平糖へと駆け寄る。それを引き金に周囲にいた二十匹近い実装石 が我先にと走り出した。ある意味お手本のような流れで、金平糖争奪戦が始まる。 「カワイソウ……」 その様子を眺めながら、紫電は右手を持ち上げた。 その手から作り出される水晶の矢。長さ三十センチほどで、直径は三ミリほど。鏃の先 端部分に微かな濃い紫水晶が含まれているが、それ以外は全て透明に近い薄紫色である。 器用に矢羽根も作られていた。 紫電は右手の矢を弦につがえ、左手を突き出し、右手を引く。基本的な弓道の構えだっ た。そして、見かけ以上に重い弓と弦の張力。 騒いでいる実装石の一匹に狙いを定め、右手を放す。 これは狙うと言うよりもちゃんと飛ぶかの確認だった。 弦の弾ける微かな音とともに矢が空気を切裂き、実装石の顔面へと突き刺さる。刺さる と同時に砂のように砕け散る水晶矢。 「デ……」 短い悲鳴を上げ、頭を射たれた実装石が倒れる。脳に損傷を受けて仮死状態に陥っただ けで、偽石は砕けていない。何事も無ければ、一時間も経たずに目を覚ますはずだ。 だが、それを気に留めるものはいない。 「思ッタヨリモ、上手クイッタ……。練習ハ大事……」 紫電は満足げに呟いた。 薔薇実装の攻撃手段は、主にみっつ。 ひとつ目は、手から作った水晶の剣や槍、棒などでの直接攻撃。 それなりに威力が高く、一度水晶を作ればそれが壊れるまで攻撃を続けられるので、エ ネルギーの消耗は少なく、非常に燃費は良い。ただし、身体を動かすため疲労し、また射 程距離も短い。接近戦のため、相手の攻撃を受ける危険性もある。 攻撃力・中 射程距離・短 消費・小 ふたつ目は、地面から水晶を生やす攻撃。 地面に薔薇実装のエネルギーを走らせ、標的の真下から水晶を発生させ相手を串刺しに したり吹っ飛ばしたりする。破壊力はバールの先端を叩き付けたくらい。射程範囲は最大 およそ三十メートル。無論、個体差はある。攻撃力や攻撃範囲は申し分ないが、大量に水 晶を作るためにエネルギーの消耗が激しいことが欠点。 攻撃力・特大 射程距離・長 消費・特大 みっつ目は、手から水晶のツブテを連射する攻撃。 小さな水晶を連射し、相手にダメージを与える。有効射程は十メートルほど。見た名以 上に威力は大きいものの、連続して水晶を生成し、さらに正確に前方に撃ち出すという過 程が必要なため、意外と消耗が大きく制御も難しい。汎用性は高い。 攻撃力・中 射程距離・中 消費・中 普通の薔薇実装なら、上記の攻撃を使い分けることで大抵の実装生物を圧倒できる。 しかし、創作物に込められた意志エネルギーを食べる突然変異種の紫電は、薔薇実装と しての火力が非常に弱く、普通の薔薇実装と同じことはできない。そこで、水晶を効率的 に活用する方法を色々と考えていた。 水晶を用いた他実装の操作。槍や鎧などの水晶武具。そして、それらを扱うための技術 を何年も考えている。普通の薔薇実装から仲間を守るための方法として。ついでに、単純 な技術オタクの知的好奇心として。 今回考えついたのは、この水晶の弓矢だった。金属的な弾力を持つ水晶の弓に、ピアノ 線の弦を張った長弓。矢は水晶を用いて、力の続く限り生成できる。張力による加速に加 え、射る際に矢を『撃ち出す』ことにより、非常に高い速度を実現していた。 もっとも、弓の作成にやや時間が掛るなど、技術としては未完成である。 そして、水晶弓矢は人間相手でも十分殺傷力があるため、練習は人間に見つからないよ うにしないといけない。人間に見つかったらかなり厄介なことになるだろう。今までは人 気のない場所で的を狙って練習していた。今回もこうして人気の無い場所で目立たない格 好をして枝葉に隠れている。 今回は初めて生きた実装生物を的にする実戦練習だった。 「カワイソウ……」 金平糖争奪戦は終わっていた。 潰れた仔実装や禿裸になった者、手足を囓られたりした実装石。金平糖を口に入れた実 装石は、シビレの効果で動けなくなっていた。最初に飛ばしたのは、家主さんの家から持 ち出してきた実装シビレである。 「マズハ動カナイ的デ基本練習……」 右手に矢を作り出し、紫電は矢筈をピアノ線の弦へつがえた。 狙うは痺れて動けない実装石。最初に金平糖に気づいた実装石その1である。金平糖は 食べられたが、代償として服と右腕を失っている。とりあえず生きてはいるものの、今後 の実装生は暗いだろう。幸か不幸か残りの命は一分も無い。 弦の弾ける微かな音。 「デッ」 空を切った矢が、実装石の右胸に突き刺さり、偽石を砕いた。同時に、矢も粉々に砕け 散る。普通の水晶矢ならばあっさり貫通してしまうのだが、刺さると同時に砕ける仕組み により威力を低下させ、矢の貫通を防いでいた。 そして実装石の体内には、鏃に仕込まれた微小な浸食水晶が残る。 他実装の生命力を喰らいながら、カビのように自己増殖し、細胞を硬化させていく浸食 水晶。実装生物の死体処理として考えたものだった。刃物などとして作るには消耗が大き いが、少量ならさほど消費もしない。鏃部分に仕込まれた浸食水晶の種は、そのまま死体 の生きた細胞を喰らい、一時間ほどでその身体を砂に変えてしまうだろう。 死体処理はきっちりと行うのが紫電の考えである。 「次……」 近くの一匹に狙いを定め、射る。 「デ……」 断末魔の呻きとともに、偽石が砕かれ、実装石は息絶えた。 「何が起こってるデス……!」 その実装石は痺れた身体で、訳も分からずおろおろと辺りを見回しているす。 金平糖争奪戦へと上手く侵入し、金平糖をひとつかすめ取り無傷のまま乱闘から抜け出 していた。評するならば、少し悪知恵の働く個体と言ったところか。 首尾良く金平糖を手に入れ、口に入れて甘さを堪能していたら、急に全身が痺れて動け なくなってしまった。それが人間の使う毒だと自覚するのに、そう時間は掛らなかった。 気づいた所で手遅れなのだが。 微かな風を切る音が聞こえ、息のあった実装石が不意に息絶える。 「何が、何が起こってるんデス……!」 再び同じ言葉を口にする。喉も痺れていて、呻き声にしかなっていない。 飛来する矢を目視するほどの動体視力は無く、刺さった矢は瞬時に砕けて消滅してしま う。実装石が矢の攻撃に気づくことはない。そのため、その場にいる実装石たちは、何が 起こっているのか理解することができないでいた。 薔薇実装がヒノキの枝に隠れつつ、弓矢による狙撃を行っているとは思いつきもしない だろう。というか、人間でも普通は考えつかない。 小さな風切り音が聞こえると、実装石が死ぬ。 事情を知らない実装石は、それしか理解できなかった。 「もうワケ分からんデス……。ここにいると、ワタシも危ないデス……。早く逃げないと 死んでしまうデス……! でも身体が動かないデッスゥ!」 もっとも、それだけ理解できれば合格点である。 風を切る音が聞こえ、また一匹の実装石が痙攣し、死んだ。 「デププ……」 一匹の実装石が嘲りの笑いを浮かべている。乱闘の最中に右足をくじいていた。重傷と も言えず、三十分程度で治るようなケガ。動く気になればすぐ動けるのだが、動くと痛い ので治るまで待っているだけである。 今は回りで勝手に死んでいく同族を嗤っていた。 「ワタシのコンペイトウを盗んだ罰デス。みんなくたばってしまうデスー」 ちなみにこの実装石、さきほど金平糖を自分のものと宣言した実装石その2である。乱 闘に巻き込まれて、結局金平糖は食べられずじまい。今の状況を、自分の金平糖を奪った 実装石たちへの天罰と勝手に解釈していた。 ハッピーサーキッドフルスルットル中。 微かな風切り音とともに、また実装石が一匹息絶える。 「哀れデス〜。でも、ざまあみろデッス〜♪」 「ごめんなさいデス! どうか許して欲しいデス。お願いしますデス!」 その妄想を信じた一匹が、実装石その2に土下座していた。右腕を少し囓られているが おおむね無事である。しかし、周りで次々と同族が死んでいく様子に、混乱しまともに動 けないでいた。 土下座する同族に向かい、その2は優越感たっぷりに命令する。 「許して欲しかったら、ステーキと寿司とケーキ持ってくるデス」 「そんなの無理デスゥ……」 両目から涙を流す実装石。一介の野良実装石にステーキや寿司などの高級料理を用意で きるはずがない。それを自覚する程度の頭はあった。 その姿を眺めながら、実装石その2は哀れな同族を笑い飛ばす。 「なら死ぬだけデス、ざまあデス、デーッププププ——」 トッ。 視線を下ろすと、足先に小さな穴が開いていた。 辺りに微量の透明な砂が散っているが、それには気づかない。だが、誰かが自分の右足 に穴を開けたことは理解した。強烈な痛みが神経を駆け上がる。 「デギャアァア!」 実装石その2は両手で右足を押さえ、両目から涙を流し、ぶりぶりと糞を溢れさせなが ら、大袈裟にのたうち回った。 「痛いデッスウゥゥ! 何してるデェスゥゥ、この糞蟲がデェェス! お前が殺すのはワ タシじゃなくて、ここにいるバカどもデ——」 頭に矢の一撃を食らい、仮死へと陥る。 右足と頭に開いた小さな穴から血を流し、パンツをこんもりさせ、虚ろな目をどこへと なく向けている実装石その2。偽石は砕けていないものの、意識はどこかへ飛んで行って しまった。戻って来るまでは少し時間がかかるだろう。 「デェ……」 残されたのは、今まで実装石その2に土下座していた頭の弱い実装石。 今まで、その2がこの自体を起こしていると信じていた——いや、勘違いしていたが、 その2が倒れたせいで、原因が別の所にあることをぼんやりと把握した。その結果は、再 び混乱状態に陥っただけである。 「デ、デデ……」 辺りを見回してから。 適当な方向に顔を向けた。 おもむろに右手を口元に当て、首を少し傾げる。 「デス?」 いわゆる媚びだった。 それが通じたのか通じなかったのか、実装石はその直後に偽石を矢で砕かれる。自分が 死んだと自覚することもなく、どこか遠くの世界へと旅立っていた。 「逃げるデェ……スゥ……」 現状の危機を把握している、少し悪知恵が働く実装石。 痺れる手足を無理矢理動かしながら、這うようにその場から離れようと奮闘している。 そのおかげか、最初にいた場所から一メートルほど移動することに成功していた。 「基本練習終了……」 紫電は一息ついてから、弓を下ろした。 地面に倒れていた、十七匹の実装石。そのうち十六匹に矢を射掛け、十五匹の偽石を砕 くことに成功した。今までこっそり続けてきた地道な練習の成果だろう。一匹は手が滑っ て矢が右足に刺さってしまったが、他の実験の材料になってもらうことにする。しばらく すれば効果が現れるだろう。 最後に、必死にその場から逃げようとしている実装石。 紫電は左手の弓を構え、右手に矢を作り出した。今までような細い矢ではなく、直径一 センチほどはある、太い矢だった。 呼吸を整えながら、逃げようとする実装石へと狙いを定め。 射つ! 放たれた矢が、途中で十数本の細い針のような矢にに分裂し、実装石の背中へと降り注 いだ。身体に突き刺さった矢が砕けて消える。 「分裂矢、成功」 痙攣している実装石を見ながら、紫電は満足げに頷いた。 太い矢を途中で分裂させて、針の散弾として放つ技法である。貫通力と正確さを犠牲に して、とりあえず当てるという目的を優先したものだった。 「次ハ、チョット難シイ射撃……。デモ練習通リニヤレバ、大丈夫」 自分に言い聞かせるように呟き、紫電は矢を作った。 「デッ……デッ、ガッ……」 背中に矢を受け、口から血を吐き出している実装石。麻痺した身体に穴を開けられ、全 く動けなくなっていた。助けを求めようにも声は出ず、身体は動かない。さらに、背中や 頭や足に焼けるような痛みがある。 その苦痛に耐えきれず、実装石はほどなく仮死した。 「こういう罠があるから、何も考えずに行動しちゃダメデス」 親実装は、瀕死の実装石を手で示しながら、二匹の子に向かって話しかけていた。 裸地の近くに、八十センチほどのセイタカアワダチソウの茂みがある。緑色の茎が何十 本も立ち並んでいた。もうしばらくすれば、黄色い花を付けるだろう。 そこに隠れた実装石親子。本人たちは隠れているつもりだが、全く隠れていないのはお 約束だろうか。だが、その親子を狙う人間も実装石もいない。 「分かったテチィ……」 「でも、アマアマ食べたかったテチ」 二匹の仔実装。さきほどの金平糖に駆け寄ろうとしたのを、親実装が無理矢理引き留め たのだ。これが罠であるとすぐに分かったので、その罠に掛った同族の様子を敢えて仔の 見せたのである。今後の教育のためとして。 親実装自身、この空き地に来る前に似たような罠で死にかかった経験があった。 「野良実装の世界は色々と敵が多いデス。お前らみたいな仔実装は、同族食いにとっては 調度いいエサでしかないデス。もしワタシから離れたりしたら、あっという間に食われて しまうデス。五女や六女のようにデス」 「はいテチ」 仔実装二匹が頷くのを確認してから、親実装は続ける。右手を動かしながら、 「ニンゲンという生き物は悪いヤツデス。こういう風に、ワタシたちの好きなものに似せ た毒をばらまいて、酷い事をするデス。そういう連中は『ギャクタイハ』と呼ばれている デス。逆に、ワタシたちに美味しいものをくれる『アイゴハ』というニンゲンもいるデス。 時々来る、腰の曲がったニンゲンが、そのアイゴハデス」 どうでもいい話であるが、この親実装は無駄に話が長い。それに深い理由は無く、単純 に話すのが好きな実装石だった。今も子供への教育を建前に、長話をしている。 母の話が長いことは、仔実装も十分に理解していた。 「ママの長話が始まったテチ」 「適当に聞き流すテチ——」 そう言いながら、妹仔実装が親から少し離れる。 「チュベァ!」 前触れ無く、その身体が爆ぜ飛んだ。デフォルメされた人型が一瞬で砕け、赤と緑と肌 色の肉片となって辺りの草に貼り付く。何が起こったのも分からぬまま、飛沫となってい た。体内の偽石も粉々である。 残ったのは頭の右半分だけだった。 「い、妹チャ……?」 姉仔実装がシミとなった妹を呆然と見つめる。 同じくシミとなった妹仔実装を見つめていた親実装が、慌てて我に返った。 「マズいデス……! ワタシたちもニンゲンに狙われているデス! 今すぐここを離れな いと、殺されてしまうデス!」 「でも、妹チャが……」 崩れるように両膝を突き、泣きながら妹の頭の右半分を指差す姉仔実装。 親実装石はそんな姉の手を握り、引っ張るように無理矢理立たせる。仔実装の手を握っ たまま、短い足を動かし必死に走り出した。とにかくここから離れるように。 「妹チャは死んだデス! ここにいたらワタシたちも死んでしま——」 親実装はそれだけ言って、前のめりに転倒する。 そして、二度と起き上がることはなかった。 「テェ……ママ?」 姉仔実装は、動かなくなった親実装に声をかける。 反応はない。赤と緑の瞳は白く濁り、必死の形相のまま固まっていた。背中には抉った ような大きな穴が開いている。何度も触ったり撫でたり、声を掛けたりしてから、仔実装 は親実装の死を実感した。 半分だけとなった妹の生首が、感情もなく姉仔実装を見つめている。 「ママ、死んじゃったテチ……? 妹チャも死んじゃったテチ……? ワタチ、これから どうするテチ? 一人で生きていくなんて無理——」 偽石ごと胸を貫かれ、姉仔実装の命はそこで消えた。 そこから離れた灌木の影から一匹の実装石が様子を眺めていた。 「これはギャクタイハの仕業デス……。終わるまでここで大人しくしている方がよさそう デス。下手に動くと逆効果デス」 人間の胸くらいの高さのヤツデと、無節操に茂ったクズの隙間に身を伏せた実装石。狂 乱騒ぎが何かを見に来て、次々と死んでいく実装石たちを目の当たりにしていた。 セイタカアワダチソウの茂みにいた親子実装が死ぬのも見ている。 この事態は、虐待派の人間が何かしていると見当を付けていた。そこそこ賢いこの実装 石は、この空き地に時折虐待派が来ることも知っている。ヤツデとクズに遮られたこの場 所にいれば、まず見つからないことも知っていた。 「今回はどれくらい殺されるデスか……? まあ、たくさん死んでくれる方が、ワタシ的 にはありがたいデスゥ。また色々手に入りそうデス。デププ……」 口元を押さえて、こっそりと笑う。 この実装石は、虐待派に殺されたりした実装石の家から家財道具などを盗むことを生活 の一部としていた。瀕死の実装石を食ったり、親を失った仔実装を奴隷として捕まえたり もしている。悪賢い個体と言えるだろう。 微かな風切り音とともに、身体に小さな何かぶつかる。 「デ、デ?」 かなりの痛みだったが、それはどうでもいい。 「見つかった……デス?」 冷や汗が顔を流れていく。人間にこの場所が知られていることに、実装石は驚きを隠せ なかった。葉を茂らせる草木の間。身を屈めて見ない限り、そこに実装石がいることは分 からない。偽石サーチャーなどがあれば別であるが。今まで何度も虐待派が来たが、一度 も見つかったことはない。 それがこの実装石の自慢であり、油断であった。 パキィイイン! 突如背後で響く大きな破裂音。 「デギャ!」 その音に驚き、実装石は慌ててその場から飛び出した。 肩を上下させながら、振り返ってみる。 だが、自分がいた場所を見ても音の原因となったようなものはない。人間の道具は、実 装石の知識を遙かに上回るものなので、何があっても驚いてはならない。そう考えていた が、実際理解不能なことが起これば驚くしかない。 「しまったデス——」 自分の過ちに気づいた時には。 水晶の矢が、頭の偽石を撃ち抜いていた。 「成功……」 射殺した実装石を眺めながら、紫電は頷く。 大きな十字型の鏃を持つ強撃矢は、成体実装石の身体を大きく抉る効果を持つ。ただ、 仔実装に使用した場合は、身体を粉々に破壊してしまうようだった。通常矢で仔実装を撃 つと、そのまま矢が貫通してしまう。 「隠レタ相手ハ、チョット大変ダッタ……」 ヤツデの木の近くで死んでいる実装石。たとえ隠れていても、薔薇実装の偽石探査能力 があれば、その場所ははっきりと分かる。 ただ、普通に撃っても致命傷にはなりえない。ヤツデの葉や枝などに阻まれてしまうか らだ。当たっても痛いだけだろう。だが、あえて一度通常矢を当てて動揺させ、その直後 に大きな音を立てる破裂矢を隠れた場所の後ろに射ち込み、脅かして追い出してから、通 常矢でトドメを刺した。 「工夫次第デ色々デキル……。試行錯誤ハ面白イ……」 弦を弾きながら、紫電は呟く。 大きく息を吸ってから、空き地の遠くを見た。 「次ハ遠距離射撃ノ練習……」 空き地の中心から離れた場所に、その一家は住んでいた。 「何だか騒がしいテチ……」 「また誰かがケンカしてるデス、気にしちゃ駄目デス」 もそもそと食事をしている四匹の親子。着ている実装服は所々破けているものの、比較 的きれいである。また髪もそこそこ手入れされていた。家は段ボールハウスでなく、大き めの木箱である。扱いにくいが頑丈な家。 いわゆる賢い親子だった。 「この草、美味しくないテチ……」 「食べられるだけありがたいことデス。文句を言わず食べるデス」 家の前の庭のような場所で、食事をしている四匹。食卓にならんでいるのは、その辺で 取ってきたヨモギやハコベなどの草だった。食べられる草ではあるものの、決して美味し いものではない。 「ママー。コンペイトウ食べたいテチー。もうこんなマズい草食べたくないテチ」 「食べたくないなら、食べなくてもいいデス」 親実装の冷たい一言。この親にとって、この仔実装は間引きの対象だった。今生きてい るのは単に間引く機会が無かっただけ。そう遠くないうちに殺される予定である。 そんなことなど露知らず、仔実装は癇癪を起こす。 「チイィィ! 美味しいもの食べたいテチ、もう草ばっかりの食事は嫌テチ! こんなオ ウチ、出て行ってやるテチ、家出テチッ!」 「好きにするデス」 親実装の言葉は冷たかった。他の仔実装も何も言わない。この仔実装が近いうちに間引 かれることを薄々察して、余計な事には関わらないようにしていた。 それが、仔実装の癇癪に油を注ぐ結果となる。 「チュアアアア! この——」 言い終わる前に、仔実装の上半身が爆ぜた。 無数の肉片となって辺りへと飛び散る。 「デェ……!」 突然の自体に、親実装は食べようとしていた草を手から取り落とした。 目の前で仔の上半身が爆ぜる。普通の状況でそんなことが起こるはずがない。起こると したら、虐待派の仕業である。他に考えられない。 「お前達——!」 親実装は素早く木箱の横に移動し、木箱を持ち上げる。 あらかじめ練習していた通りに、木箱の近くにいた仔実装の一匹が隙間から木箱の中へ と潜り込んだ。この木箱があれば、ある程度の攻撃は防げる。さすがに人間が思い切り叩 けば壊れるが、無いよりはマシだ。 二匹目の仔実装が木箱の隙間に走り—— 鈍い音とともに、倒れた。 見ると、胸に大きな穴が開いている。傷口からこぼれる血肉と内臓の破片。胸にあった 偽石ごと胸を貫通されていて、既に息はなかった。 「デェ……。これは何事デス……?」 木箱を下ろし、親実装は自分たちを襲っている相手の姿を探した。見える範囲に人間の 姿は無い。だが、人間は姿を見せずにこちらを殺す手段も持っているだろう。 自分はこれからどうするべきか……。 二秒ほど迷ってから、親実装は走り出した。木箱から離れるように。 「ママー……!」 背後から声が聞こえてくるが止まらない。 親実装は仔実装を見捨てた。 と同時に自分も見捨てた。 相手が人間の虐待派では、逃げることも隠れることもほとんど意味をなさない。自分た ち二匹にはほぼ確実な死しか待っていない。ならば二手に分かれて、どちらかが生き延び れば幸運というのが、親実装の考えだった。 残ったのは一番賢い仔、一匹でもぎりぎり生きていけるはずである。 「もし生きてまた会えたら、美味しいもの食べさせてあげたいデ——」 頭を射ち抜かれ、親実装の意識はそこで終わった。 木箱の中で、仔実装は泣いていた。 「テェェ……。ママ……お姉チャ……」 瞬く間に独りになった自分。実装石として生きている以上、一瞬で一家全滅というのは 珍しくないと親実装から何度も聞かされていた。だが、現実に起こってみるとそのショッ クは、予想以上のものである。 カッ。 「チェ!」 小屋に何かがぶつかる音に、仔実装は身体を丸めた。身体を丸めてどうにかなるもので もない。単純な防御本能である。パンコンしないのは親の躾の賜物だった。 カッ。 再び音がする。 しかし、頑丈な木箱は壊れない。 それから何度か音がしたものの、木箱は壊されることもなかった。段ボールの家だった ら壁を貫かれて、仔実装は死んでいただろう。あえて扱いにくい木箱を家にした親実装の 判断が正しいと証明された瞬間だった。 音の主は仔実装を狙うのを諦めたようである。 「もう、大丈夫テチ……」 泣きながらも、仔実装は気丈に呟いてみせた。自分に言い聞かせるように。 小屋の中には非常食と小さなペットボトルに入った水、簡易トイレが作ってある。家族 で数日籠城できるような非常準備だ。仔実装一匹だけなら、最低でも一週間はここで生活 できるだろう。だが、それからは自分一匹で生きていかなければならない。 親実装は既に死んでいる。そんな嫌な確信が仔実装にはあった。 「ワタチは、ママや姉妹の分まで生きるテチ……」 静かに決意を固める仔実装。 今後何事も起こらなければ、賢い仔実装は何とか生き延びて成体になっていただろう。 しかし、世の中そう上手くいくものではない。 バキッ! 木箱の板を貫通した鏃が、仔実装を貫く。 木板を貫くほどの破壊力に、脆い身体は爆発するように砕け散った。木箱の内側に、肉 片と血と内臓と糞と胃の内容物がぶちまけられている。偽石も跡形もなく砕け、仔実装は 死を自覚することもなく消えていた。 もっとも、この親子は随分楽な死に方をしたと言える。 駆除活動に巻き込まれれば、逃げ切れない絶望の中で駆除員に殺されるか同族に食われ るか、捕まれば大量の実装石に潰されて死ぬか、最後まで生き残っても焼却炉で焼け死ぬ か、どのみち碌な死に方をしない。 「サスガニ、木箱ハ硬イ……」 射ち抜いた——いや、撃ち抜いた木箱を眺めながら、紫電は肩を落とした。 貫通矢。鋭く尖った重い鏃と、連続で破裂する茎から作られた高威力の矢である。茎を 連続して破裂させることで、加速しながら対象を貫通する。相手が普通の薔薇実装でも十 分な威力を発揮できるだろう。ただ、人間相手でも十分な殺傷力を持つので、人に見られ ないように使わないといけない。 欠点は矢を作るのに二分近い時間がかかり、エネルギーの消耗も大きいこと。 「今後、改善ヲ見当スル……」 吐息してから、紫電は視線を移した。 一匹の実蒼石が、空き地に入ってくる。 実蒼石は本能的に実装石を攻撃する。 種族的嫌悪などとも言われるが、その理由はよく分かっていない。実蒼石が攻撃するの は実装石くらいで、自衛以外で他の実装生物や生き物に攻撃を加えることはまずない。野 良実蒼石は雑食性であるが、草花や木の実を食べる事が多く、肉を食べることは珍しく、 ハサミで生き物を攻撃する必要もない。 実際、ハサミは枝や草を切る程度にしか使わない。 攻撃本能の発散、試し切り、戦いの練習、ストレス発散。色々と説はあるが、どれが正 しいのかは議論中である。リンガルを用いて尋ねてみても、実蒼石自身もよく分かってい ない様子だった。本能的な何かと表現するのが一番正しいかもしれない。 まあ、現実としては誰も大して気にしていないこと。 ただ、実装石を殺しっぱなしという状況に、不満を持つ者は多かったりもする。 五センチほどのギョウギシバが茂った空き地の入り口付近。 実蒼石がハサミを持って、実装石を追いかけている。当たり前の話であるが、身体能力 から武器の有無、実戦経験まで、実装石と実蒼石では雲泥の差があった。 実装石が勝っているのは、生物離れした再生力だけである。 それも直接的な殺し合いの中では無意味だった。 「ボクッ!」 「デギャァ!」 横薙ぎに振り抜かれたハサミに、実装石の首が刎ね飛ばされる。色付き涙を流したまま 地面に落ちる頭と、数度痙攣してから倒れる胴体。 致命傷を受け、仮死状態に陥る実装石。 運が良ければ、偽石のある方から残りの部分が再生するだろう。しかし助かる見込みは まずない。同族に食われる可能性が高く、再生するほどの栄養もあるとは思えない。 実蒼石の意識は切った実装石から離れていた。 膝の辺りまである芝のような草を蹴り、次の標的目掛けて走る。 「こっち来るなデスゥゥ! デギャッ」 ハサミの先端が腹を貫き、偽石を砕かれ、その実装石は息絶えた。 素早くハサミを引き抜く。 刃についた血肉を振り払い、実蒼石は振り返った。赤と緑の体液が、草に貼り付く。 目を向けた先には、糞を漏らして腰を抜かしていた実装石。その身体を袈裟懸けに斬り 捨てようと、実蒼石は走り—— キィン。 振り上げたハサミが弾き飛ばされた。 「ボク?」 くるりと一回転して、地面に落ちる鈍い金色のハサミ。 不意に衝撃を受けて弾き飛ばされたのだ。しかし、辺りを見回してみても、原因になる ようなものは見当たらない。首を傾げつつ、落ちたハサミを拾おうとする実蒼石。 しかし。 キンッ。 何かがハサミにぶつかり、ハサミが手の届かない位置へと移動する。 「今のは何ボク……?」 一瞬だけ見えた透明な細長いもの。それが当たってハサミが弾かれたのだ。ぶつかった ものは、その正体を確認する暇もなく粉々に砕けている。 訝りながらも再びハサミに近づくと。 キンッ。 何かが再びハサミにぶつかり、ハサミが手の届かない位置へと移動した。 「ボ……ク……」 緊張に意識が冷たくなっていく。本能優先だった思考を理性優先に切り替え、身体機能 を全開にした。刃物のような集中とともに五感を限界まで研ぎ澄ます。実装石を狩るため の緩い戦闘態勢ではなく、身を守るための本気の戦闘態勢。 実蒼石は再び周囲を見回した。 「……誰の仕業ボクゥ?」 何者かの攻撃であることは確実である。どこにいるかも分からない、誰かも分からない 相手が自分を狙っていた。実蒼石としての本能が理解する。自分がただ一方的に攻撃され る立場に置かれていること、命の危険性に置かれていることを。 「デピャピャピャー」 実装石の笑い声が聞こえる。 顔をしかめ、実蒼石はそちらに目をやった。 腰を抜かした実装石が、実蒼石を指差し笑っている。 「この可愛くて美しいワタシにハサミを向けた罰デス! 誰だか知らんデスけど、さっさ とこのクソ青色をやっつけるデスゥ!」 偉そうに命令した——その顔に。 何かが突き刺さり、実装石は絶命した。頭の中にあった偽石が、一撃で砕かれている。 何が起こったのかも分からず、逝ったようだった。仮に自分に何が起こったのかが分かっ ても、死んでしまっては意味も無いが。 仰向けに倒れる実装石。 「ボクッ!」 それには構わず、実蒼石は駆け出していた。 地面に落ちていたハサミを素早く拾い上げ、そのまま全速力で逃走する。謎の攻撃は、 偽石を正確に砕く精度と威力を持っていた。相手の居場所も正体も分からない状況では、 勝ち目はおろか反撃することすら出来ない。 ここに長居するのは自殺行為だ。 「こういう時は逃げるボク!」 空き地を抜け、道路を走り、民家の影へと逃げ込む実蒼石。 その間背後からの攻撃はない。 だが、実蒼石は自分が動けなくなるまで走り続けた 弓を下ろし、逃げていった実蒼石を見送る。 「少シ悪イコトヲ、シテシマッタ……」 高速で動くハサミを狙っての精密射撃の練習。それは成功した。 それから、落ちたハサミを狙って弾き飛ばしたのは、ただの気まぐれである。今回の相 手は実装石であり、実蒼石を射撃する予定はなかった。 もっとも、実蒼石を攻撃する予定を組んでいれば、紫電は迷わず射っていた。 虐待派を名乗っていても、実装石以外の実装を攻撃することを躊躇する人間は多い。し かし、薔薇実装である紫電に、他実装に対する慈悲は無かった。必要とあれば、実装石だ ろうと実蒼石だろうと、実装紅だろうと躊躇無く殺す。必要が無ければ、関わらない。 この考えは薔薇実装本来の思考に、人間の知識が加わった紫電独特のものである。 幸せ回路全開の実装石を射ったのは、単純に気に入らなかったからだが。 「疲カレタ……。少シ休憩……」 その場に腰を下ろし、紫電は鞄からポケット辞書を取り出した。 それから二十分ほど経った頃だった。 「デギャアアア!」 「こっち来るなテデスゥゥ!」 「気持ち悪いデスゥゥ!」 突如聞こえた実装石の悲鳴。 紫電はポケット辞書をしまい、葉の間から空き地を見下ろした。 「何カアッタ……?」 色付き涙を流しながら逃げているのは三匹の実装石である。ただ、そこはかとなく普通 の実装石とは雰囲気が違っていた。実装石だが、実装石ではない——そんな違和感。 その三匹を追いかけているのは、一匹のマラ実装石である。 「待つデスッ! おとなしく、ワタシに嵌められるデスー!」 「誰がお前みたいな気色悪い糞マラ蟲に掘られなきゃならんデス! 独りでマスでもかい てるのがお似合いデス。いい加減諦めるデス……ッア!」 後ろの一匹が足をもつれさせて、前のめりにコケた。後ろに向かって喋りながら走って いれば、当然の結果かもしれない。そして、咄嗟に伸ばされた両手が、前を走っていた二 匹の実装服の裾を掴み、一緒に転倒させる。 「この間抜け、何てことしやがるデッス!」 「お前は実装石並の頭デスゥ! 掘られるなら独りで掘られるデスゥ!」 上半身を起こした二匹が、後ろの一匹を罵っていた。 「デスー♪ さっそく4Pデッス〜ン。ワタシは紳士的デスから安心するデス〜♪ 誰か らぶち込んで欲しいデス? 今日は自慰もしてないから、た〜ぷり出せるデスン」 自分の身長ほどもある巨大マラを撫でながら、マラ実装が楽しそうに倒れた実装石を見 つめている。ご馳走を前にした子供のような態度。 「デェェェ……」 倒れた三匹に逃げる余裕はない。 「ヒトマズ……」 紫電は弓を手に取り、矢を作り上げた。浸食水晶の種は入れていない通常の矢。矢筈を 弦につがえてから、矢を後ろに引き、力を溜める。 後ろにいた一匹が必死の形相で前の一匹に助けを求めた。泣きながら。 「デェェェ……。オスカー、お前、あいつを何とかするデス! 前に実装さんを素手で倒 したって自慢していたデス! マラ実装くらいどうってことないはずデス」 「無茶言うなデス! このへなへなボディでどうしろって言うんデス! 転んだのはお前 が原因デス! あと、最初に挑発したのウィスキーデス! お前ら責任持ってワタシの分 まで犯されるデス!」 「安心するデス〜。全員犯し尽くしてヒイヒイ言わせてやるデス〜♪」 ヒュン! 風切り音が響き。 矢によって、根元から千切られたマラが地面に転がった。 数秒の沈黙。 「デギャアアアア! ワタシの自慢のビックマグナムがあぁぁデェェスゥゥゥ!」 地面に転がった自分のマラに、元マラ実装が悲鳴を上げている。マラ実装にとってマラ は髪や服並に大切なもの。切ってもそのうち生えてくるとはいえ、失ったショックは相当 なものだろう。また、マラを失うとその力も普通の実装石並に低下してしまう。 「誰の仕業デスゥゥ——デガ!」 さらに、分裂矢が命中し、マラ実装が血を吹き出しながら仰向けに倒れた。偽石には当 たらず、致命傷にもなっていないが、痛みでしばらくは動けないだろう。 「何か知らんけど、助かったデス」 「にしても、この元マラ蟲がよくもやってくれたぁデスゥ?」 「お仕置きが必要デース」 あっという間の形勢逆転。 今まで泣きながら責任転嫁しあっていた三匹が、厭らしい笑みを浮かべ、元マラ実装を 取り囲んでいる。絶対優位の立場から、獲物を見下ろしていた。 「デデ、お前たち何をする気……デギャアア! やめるデスゥゥ!」 二匹の実装石が髪の毛や実装服を容赦なく奪っていく。茶色い髪が引き抜かれ、緑色の 頭巾や実装服が破き取られ、パンツも靴もむしり取られた。 そこへ、殴る蹴るの暴行。 「安心するデス。これは、ちゃんと返してやるデス♪」 リンチに参加していない一匹が、千切れたマラを持ってきた。根元から赤と緑の体液が したたっているが、その大きさは変化していない。実装石はにやにやと笑いながら、千切 れたマラを、元マラの総排泄孔へと思い切り突き入れる。 「デスン!」 巨大マラに貫かれ、元マラが仰け反った。 それを無視して、千切れたマラを前後に動かす実装石。 「デデデェ〜、デッフ〜」 「気色悪いデッス。こいつ、自分のマラでよがってやがるデス」 暴行を加えていた二匹が離れる。 「ほれほれデス〜。ご自慢のマラの具合はどうデス?」 残った一匹は、総排泄孔をえぐるように色々とマラを動かしていた。その動きに、なす すべなく悶える元マラ。呼吸が乱れ、顔が赤くなっている。 「デェ、デスッ! デェ〜」 一度身体を痙攣させ、元マラの両目が緑色に染まった。妊娠したらしい。 総排泄孔から抜かれたマラが勝手に射精していた。先端から、だらりと白い粘液が落ち る。身体から離れても、条件反射的なものは残っているらしい。 「自分のマラで妊娠しやがったデス、さすがデタラメ生物デス。デプププ」 両手を広げる実装石。最初に転んだ実装石だった。 卑下た笑みを浮かべて、元マラ実装石を見下ろしている三匹の実装石。 「何デダロウ? アイツラヲ見テイルト……モノ凄ク嫌ナ気持チニナル……」 紫電は弓矢を構えて、実装石の一匹に狙いを定めた。 パッ。 その右手が肘から吹き飛ぶ。 一瞬空気が固まり、射たれた実装石が自分の右手を凝視した。 「デェガアアアァァ!」 千切れた肘を押さえたまま、その場にひっくり返る。色付き涙と糞を漏らしながら、のた うち回った。マラ実装を襲った攻撃が自分を襲うとは考えてもいなかったらしい。 もう一匹の実装石が両手を持ち上げ、叫んでくる。 「待つデス! ワタシたちは実装石にされた元人間デス! どこの誰かは知らないデスけ ど、攻撃はやめて欲しい——デギャアア!」 左腕を根元から千切り飛ばされて、悲鳴を上げた。パンツを膨らます糞。 無傷な実装石が慌てたように声を上げる。 「相手がリンガル持ってる保証なんて無いデス! 持ってても実装石の言い分真に受ける 虐待派がいるかァデス! ロメオ、ウィスキー、急いでここから逃げるデス!」 言うなり、二匹の手を掴んで走り出す実装石。 「デェェ……。ワタシの腕が……」 「そのうち生えてくるデス。ワタシたちは実装石デス!」 「あの糞神主、いつか絶対にぶっ殺してやるデェス!」 三匹の実装石は、そのまま道路の方へと消えていった。 残ったのは元マラ実装石。禿裸であちこちに痣が作られ、マラも無くなっている。両目 が緑に染まって妊娠しているが、まだお腹は膨らんでいない。 「デッデロゲ〜♪ デッデロゲ〜♪」 半分壊れた表情で自分のお腹を撫でながら、胎教の歌を歌っていた。前触れも無く全て を失い、さらに妊娠までしてしまったせいで、正気を失っている。本当に壊れてしまった のか一時的な錯乱なのかは分からない。 「何ダッタ……今ノ三匹?」 逃げていった三匹を見送りながら、紫電は首を傾げた。 自分たちが元人間だったと言っていたが、人間が実装石になることはありえない。人間 が実装石になる実装病は紫電も知っているが、それはただの噂である。さっきの三匹は奇 妙な暗示でも掛けられた実装石だろう。 「気ニスルダケ無駄……モウ会ウコトモナイ……」 考えても分からないので、紫電はさっさと思考を完結させた。考えても分からないこと は考えても無駄である。無駄なことをする必要はない。 ひとまず、これで試したいことは大体終わり。 「ソロソロ帰ロウ……」 紫電は水晶の弓を分解し、ピアノ線を丸めて鞄へとしまった。迷彩布の下に鞄を入れ、 肩にかける。足場を作っていた水晶を消してから、枝から飛び降りた。 浮遊力を働かせ、紫電はゆっくり落ちてく。 さしたる衝撃もなく、地面へと着地した。 地面から少し浮かんだまま、とりあえず人気のない方向へと進んでいく。空き地にいる ことを人間に見られたくはなかった。 「デ、デェ……。そこのムラサキ、助けろデス……」 声を掛けられ、紫電は止まった。 横を向くと、下半身の無い実装石がいる。両目から涙を流しながら、両手だけで必死に 這っていた。水晶矢を打ち間違えた一匹である。頭に矢を刺して仮死にしたが、傷が消え て復活したらしい。 「忘レテイタ……」 紫電は右手で頭をかいた。 生きて動ける状態のまま浸食水晶に蝕まれたらどうなるかを試していたのだが、すっか り忘れていた。結果は予想通り。動けて意識もある状態ながらも、浸食水晶に蝕まれた部 分から崩れて砂になっていく。 「何とかするデェェスゥ……!」 この実装石は、腰辺りまで砂になっていた。傷口は血管まで水晶化しているため、出血 することはない。左足は腰が崩れた時に千切れたのだろう。 紫電は黄色い瞳で実装石を見下ろした。 「無理。アナタハ、コレカラ三十分クライデ、完全ニ砂ニナル……。痛ミヤ苦シミハ無イ ハズ。オトナシク諦メタ方ガイイ」 「……デェ、これはお前の仕業デスか! ならお前が責任持ってワタシを助けるデス、こ のクソムラサキ! さっさとするデス、このノロマ!」 右手で地面を叩きながら、実装石が叫ぶ。自分を壊した相手に罵声を飛ばしても、危険 が増すだけであるが、それを理解できないのは糞蟲個体だからだろう。 紫電はじっと実装石の身体を見つめた。 「アナタノ身体の内部ハ、モウ胸ノ辺リマデ水晶ニ浸食サレテイル……。浸食水晶ハ、浸 食サレテイル部分ヲ切リ捨テレバ浸食ヲ止メラレルケド……アナタハモウ手遅レ……助カ ラナイ……。ドノミチ駆除デ死ヌノダカラ、今ノウチニ死ンダ方ガ楽……」 「死ぬのは嫌デスゥゥ! クソムラサキ、何とかするデェスゥゥ! 助けるデスゥゥ!」 泣きながら懇願しつつ命令してくる実装石に、紫電はため息をついた。 浸食水晶はカビのようなもの。一度実装生物の体内に入ったら、その身体を食い尽くす まで止まらない。全部食い尽くせば、その水晶は活動を停止する。他の実装生物に入れて も何も起こらない。原理上には最初に浸食を始めた個体以外は、浸食できないのだ。 閑話休題。 「分カッタ……」 紫電は右手に水晶剣を作り出し、振り下ろした。 実装石の頭と胴体がきれいに切断される。血は一滴も出ていない。首の断面は薄い水晶 によって保護されていた。これで少なくとも、偽石のある頭まで浸食されることはないは ずである。身体はほどなく砂となるだろうが。 「………!」 声帯もなく声も出せないが、必死に抗議しているらしい。 水晶剣をしまう。 「文句ハ言ワナイデ……。生キ延ビル事ハ、アナタガ望ンダ事……」 紫電は頭実装を持ち上げ、元マラ実装の方へと移動した。 近くに落ちている千切れたマラ。 「デッデロゲ〜♪ デッデロゲ〜♪」 恍惚とした表情で胎教の歌を歌っている元マラ実装。一応、千切れたマラの傷口を水晶 覆っておく。これで、新らしいマラは生えてこないはずだ。 精神崩壊か、一時的な錯乱か、しばらくすれば分かるだろう。 だが、紫電は元マラ実装の精神状態に興味はなかった。 「トリアエズ、コレデ我慢シテ」 落ちていたマラを持ち上げ、頭実装の傷口の保護水晶を外し、両者の傷口を合わせる。 一度水晶で接合部をくっつけてから、地面に置いた。 ——何する気デェェスゥゥ! 目がそう叫んでいる。が、気にしない。 紫電は薔薇実装服からカンフル注射器を取り出した。 廉価版活性剤と栄養剤と精製水の混合液。大怪我などをした時の緊急用治療薬だ。薔薇 実装には大きな再生効果はないが、他の実装種の十倍以上の再生力を持つ実装石には過剰 とも言える再生効果をもたらす。 紫電は注射器の蓋を外した。 「強引合体……! マランジッソー……」 銀色の針を実装石の頭へと突き刺す。透明な液体が注入され、偽石と細胞が劇的なまで に活性化する。頭とマラが激しく脈打ち、装石特有の無茶苦茶な生命力とデタラメな身体 構造が、全く関係のないふたつの器官を強引にひとつの生物として組み替える。 「…………ェェェスゥゥアアア!」 大きな悲鳴を上げる実装石。 実装石の頭に、マラの胴体を持つ蛆実装のような物体になっていた。マラ内部に肺など の内臓も作られたらしい。デタラメな実装石だからこそ可能な細胞変質。 うねうねとイモムシのように這いながら、実装石が睨んでくる。 「何デス、これは!」 「ワタシガ出来ルノハ、コレガ精一杯……。サヨウナラ……」 蓋をしたアンプル注射器をしまい、紫電は手短に別れの挨拶を済ませた。異形の実装石 に背を向け、滑るように空き地を移動していく。この実装石にはあまり関わりたくないと いうのが本音だった。 「ふざけるなデェェェスゥゥ!」 マラ蛆実装石がイモムシのように這いながら追いかけてくる。 「デェデェデェ、デッデッ、デデ……」 背後から聞こえて来る声。しかし、普通の実装石の鳴き声とは違った。上手く表現でき ないものの、気色の悪い感情を含んでいる。 「………」 紫電は背筋に冷たい何かを感じた。 嫌な予感を覚えつつ振り向くと。 「デ、デ、デッス〜ン♪」 気持ち悪い嬌声が響く。マラ蛆実装石が身体であるマラを痙攣させながら、尻尾にあた る亀頭部分から液糞の混じった精液を吹き出していた。 マラとしての機能も生きているらしい。 「………」 無言のまま思考を止める紫電。 マラ蛆実装石は驚いたように瞬きをしていた。一度身体を震わせてから、 「何デス……今のは。物凄く気持ちよかったデス!」 突然の快感に、何が起こったのか理解できていない。だが、回転の遅い脳ミソよりも、 本能の方が優秀だった。身体は既に快感を求める動きを開始している。 うねうねと地面を這い回りながら、自分の身体であるマラに刺激を与えていた。ほどな くして、身体に溜め込まれた快感が弾ける。 「デ、デ、来るデス♪ 気持ちいいの来るデッス〜ン♪」 再び気持ち悪い声を上げながら、マラの先端から白と緑の精液を吹き出した。頬を赤く 初めながら恍惚の表情で舌を出し、マラの胴体を痙攣させている。 「これは、新感覚デス。もっとやるデス!」 うねうねと這い回るマラ蛆実装石。自慰に目覚めたようだった。文字通り、頭以外の全 てがマラとなった身体。そのマラから脳と偽石に送られる快感は、普通のマラ実装の比で はないだろう。 「デー、またデス♪ 来るデッス〜ン♪」 「………」 紫電は無言のまま正面に向き直った。 何も見なかったことにして、帰途につく。 背後から聞こえてくる気持ちの悪い声を、必死に意識から締め出しながら。 * * * 「デス〜ン、デス〜ン♪」 地面を這い回っているマラ蛆実装石。イモムシのような動きだが、見かけ以上に俊敏で、 前後に自由に動いているため、その姿も相まってもはや何かのモンスターである。 紫電は水晶の弓矢を構えていた。 『集中 集中 射ツ —— サイド・ワインダー!』 弦が弾け、水晶の矢と共に蛇のようなオーラが放たれるが、マラ蛆実装石は気持ち悪い 動きで蛇のオーラを纏った矢を躱して見せる。 いつの間にか近くにいた実装石。 「何デス?」 マラ蛆実装石は何も知らぬ獲物に近づき、身体のマラを相手の総排泄孔へと無理矢理滑 り込ませた。自分の身体と同じくらいのマラを差し込まれ、悲鳴も上げられずに倒れて暴 れる実装石。両目から色付き涙を溢れさせている。 うねうねと不気味に動きながら、快感に悶えるマラ蛆実装石。 「実装石の中は気持ちいいデス〜ン♪ デェ、来た、来たデッス〜ン♪」 『早射チ 早射チ 射ツ —— 針千本!』 一瞬にして放たれた矢が全方向から実装石へと突き刺さる。だが、それで死んだのはマ ラを挿入されていた実装石だけ。マラ蛆実装石は素早く抜け出していた。 白い粘液にまみれ無数の矢が刺さった死体が、その場に倒れる。 『タメル 集中 集中 早射チ —— 瞬速ノ矢!』 超高速の射撃はあっさりと避けられた。 マラ蛆実装石が異様な素早さで、また別の実装石の総排泄孔へと潜り込む。再び身体を 風船のように膨らまて苦しむ実装石と、うねうねと動いて快感を得るマラ蛆実装石。 「デスゥ〜ン♪ やっぱり、気持ちいいデス〜ン♪」 実装石の口から白い粘液が吹き出す。 『タメル 早射チ 早射チ 早射チ —— 連射!』 連続で放たれた数十本の矢が実装石を蜂の巣にした。だがやはり、弓技が決まる直前で マラ蛆実装石は逃げ出していた。穴だらけの実装石の死体が仰向けに倒れる。 そして、また別の実装石を見つけ…… 『早射チ 射ツ 早射チ 射ツ —— * * * 「水晶ノピラミッド!」 紫電は跳ね起きた。 ぐるりと思考が一回転する、 「カワイ……ソ、ウ……?」 肩で息をしながら、暗い部屋を見回す。天井にある常夜灯が薄いオレンジの光で室内を 照らしていた。家主さんの寝室。紫電が寝床にしている段ボール箱の中である。 ベッドの方を見るが、家主さんはぐっすりと眠っていた。 「ヨク覚エテナイケド、凄ク怖ロシイ夢ヲ見タ気ガスル……。夢落チデヨカッタ……」 自分の胸を押さえながら、紫電は誰へとなく呟く。 おまけ 紫電 創作物を食べる突然変異の薔薇実装。 薔薇実装としての力は弱いものの、その弱さを補うために色々な技術を持っている。ただ、 弱さを補う当初の目的よりも、現在は知的好奇心の方が先行している本末転倒な状況。 街外れの実装石に占拠された空き地で、水晶弓矢の実験兼練習を行う。 水晶の弓矢 金属の性質を持たせた弾力の強い水晶の弓とピアノ線で作られた弓矢。矢はその場で生成 する。矢を射る際に、矢を撃ち出すことにより速度を上げ、威力を高めている。 通常矢 無職透明の水晶で作られた矢。実装石程度は簡単に貫通できる威力があるが、刺さった瞬 間に砕けるので貫通はしない。それでも相手が仔実装の場合は、貫通してしまう。 矢は砂のように砕けるため、痕跡はほとんど残らない。 先端に浸食水晶の種を仕込むことが可能。 分裂矢 太い矢。飛んでいる途中で分裂し、十本ほどの針となって相手に刺さる。とりあえず当て ることを目的とした矢で、個々の矢の威力は小さい。 強撃矢 十字形の大きな鏃を持った矢。実装石に当たると、その身体を大きくえぐり飛ばす。仔実 装の場合は身体がばらばらに砕ける。 破裂矢 破裂する水晶を鏃にした矢。 標的に当たると水晶が弾けて、ガラスが割れたような大きな音を立てる。 貫通矢 鋭く尖った重い鏃と、破裂する水晶の茎から構成される矢。放たれてから、茎の水晶が連 続で破裂することで、さらなる加速を行い、硬く鋭い鏃を標的へと撃ち込む仕組み。木の 板を撃ち抜くほどの威力を持つ。普通の薔薇実装にも十分通じる攻撃。 矢の生成に時間がかかるのと、生成のエネルギーが大きいことが欠点。 浸食水晶 他実装の生命力を糧に成長する、カビのような水晶。実装生物の体内に入った時点で相手 の生命力を食いながら成長、身体を水晶へと取り込んでいく。最終的に一時間ほどで全身 が水晶化し、砂のように崩れ去る。偽石が砕けていても、とりあえず細胞が生きていれば 効果はある。最初に浸食を始めた個体以外には効果が無い。 試行錯誤の上で、実装石の死体処理用として考えだしたもの。 空き地の実装 野良実装石 紫電の試し射ちで仮死した実装石。 その後偽石を砕かれた模様。 実装石その1 紫電の飛ばした金平糖に最初に気づいた一匹。金平糖争奪戦に巻き込まれ、禿裸になって 右腕を失った。それから、紫電の射撃で偽石を砕かれる。 実装石その2 金平糖を自分のものと言い張った糞蟲個体。金平糖争奪戦で右足を負傷するも、金平糖は 手に入れられなかった。シビレで動けなくなった同族や、周りで死んでいく同族を自分か ら金平糖を盗んだ天罰と解釈し、あざ笑う。だが、右足に浸食水晶の種の仕込まれた矢を 受け、直後に頭を射たれて仮死。 仮死から覚めた時には、浸食水晶によって腰から下が砂になっていた。 帰り際の紫電に助けを求めるも、断わられる。色々ゴネた結果、首を切り落とされ、千切 れたマラと癒着させられてマラ蛆実装石として復活。その直後、マラの快感に目覚めた。 その後は不明。 紫電に変なトラウマを植え付ける。 実装石その3 金平糖争奪戦の口火を切った実装石。 その結果は不明だが、紫電に偽石を砕かれた模様。 少し悪知恵の働く実装石 金平糖争奪戦で上手く立ち回って金平糖を手に入れた。しかし、シビレ効果で動けなくな る。次々に同族が射殺されていく状況に恐怖を覚え、逃げようとするも逃げ切れず、分裂 矢を受けて仮死状態になった。 その後浸食水晶の効果で砂になる。 頭の悪い実装石 金平糖争奪戦に参加したものの、金平糖を手に入れられなかった一匹。 次々と死んでいく同族を見て、実装石その2の戯れ言を真に受ける。だが、直後その2が 仮死したことで再び混乱。命乞いとして媚びてみるが、あえなく偽石を砕かれる。 普通の実装石親子 親実装と娘二匹。セイタカアワダチソウの茂みから、金平糖争奪戦を見ていた。 親実装は話が長い。かつて、人間が撒いた金平糖型の毒薬を食べて死にかけた経験がある。 五女と六女は同族食いに食べられたらしい。 紫電の矢を受け全滅。 悪知恵の働く実装石。 金平糖争奪戦を見ていた一匹。ヤツデとクズの隙間に伏せて様子を伺っていた。 隠れるのが得意で、虐待派が暴れることが自分の利になることを知っている。死んだ同族 を食ったり、持ち主の無くなった家から使えるものを持ち出したり、親を失った仔実装を 奴隷兼食料として捕まえたりしていた。 通常の矢と破裂矢で茂みから逃げ出した所を撃たれる。 賢い親子 空き地の隅に木箱を構えている親子実装石。仔実装石は賢いのが二匹と、間引き予定の仔 が一匹。普段から目立たないように行動している。食事も野草と粗食。 紫電の遠距離射撃の的にされた。仔実装二匹と親実装は、矢に偽石を砕かれて死亡。一番 賢い仔は、親実装のおかげで木箱に逃げ込むことができた。しかし、貫通矢に箱の木板を 貫かれ、全身粉々になって死亡する。 実蒼石 空き地に実装石を狩りに来た野良実蒼石。 紫電にハサミを弾かれたことで、未知の敵の存在を認識する。自分ではどうにもならない と考え、即座に逃げ出した。 糞蟲実装石 実蒼石に斬られかけた実装石。実蒼石のハサミが弾かれたことを、自分の味方の仕業と思 い込み実蒼石を殺すよう命じるも、顔に矢を受けて偽石を砕かれる。 変な実装石三匹 マラ実装石に追いかけられていた三匹の実装石。普通の実装石とは雰囲気が違う。 紫電の矢で行動不能になったマラ実装石から髪と服を奪い取り暴行、さらに総排泄孔に千 切れたマラを射し込んで妊娠させる。 直後、紫電の放った矢によって二匹の腕が千切られ、空き地から逃げ出した。 マラ実装石 変な実装石三匹を追いかけていたマラ実装石。自称紳士的。マラは大きい。 三匹を追い詰めた所で、紫電の放った矢にマラを千切り飛ばされ、さらに分裂矢を喰らっ て動けなくなる。その後三匹に嬲られ、総排泄孔に自分のマラを入れられ妊娠。壊れたよ うに胎教の歌を歌っていた。精神崩壊か一時的錯乱かは不明。 千切れたマラの根元は紫電に水晶で保護され、生えなくなる。 その後の生死は不明。 あとがき よくある実装石狙撃モノを書いてみようと思ったら、こんなのができました。紫電の水晶 の使い方はかなりチートですけど、細かい事は気にしないでもらえるとありがたいです。 実際はサガフロ2の弓技ネタを織り交ぜたかったのですが、本編中では無理だったので紫 電の夢の中で実現させてみました。
