タイトル:【馬鹿・薔薇】 リベンジ!
ファイル:突発的発想その2.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1407 レス数:0
初投稿日時:2010/01/01-05:43:26修正日時:2010/01/01-05:43:26
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「ついに復讐の時がやって来たデス!」

 そんな叫びに、俺は顔を上げた。
 いつも通りの平日の昼下がり。リビングで座布団に座ったまま、卓袱台に置いたにノー
トパソコンで小説を書いている時だった。リビングの隅っこには、辞書を読んでいる居候
薔薇実装の紫電がいる。

 そして、庭には一匹の実装石が立っていた。
 鼻から赤と緑の鼻水を垂らしている。

「あれ、あいつ……」

 庭に仁王立ちしてこっちを指差している実装石。いつだったか、紫電にギガドリルブレ
イクで粉砕された実装石だよな? あの時、粉々になった破片を紫電が半日がかりで片付
けたけど、何で生きてるんだ?

「アナタ、マタ性懲リモナク……」

 辞書を起き、紫電がリビングの中程まで移動する。
 黄色い瞳で、無感情に鼻炎実装石を見つめていた。

 鼻炎実装石は丸っこい右手で、ビシッ! と紫電を指差した。

「あの時はよくもワタシをぶっ殺してくれたデスね! しかし、ワタシはお前を倒すため
に、地獄から蘇ったデス! 新たな力を宿してデッス!」

 偉そうに叫ぶなり、右手を真上に振り上げる。

「デデスデスデスデデスデース!」

 ドクロちゃん……?

 呆然とする俺を無視して、鼻炎実装が跳び上がった。二メートルほど。
 実装石とは思えないほどの跳躍。

 空を裂く轟音と共に飛来する、緑色のよく分からんもの。それが、跳び上がった実装石
の上下に移動し、合体する。鼻炎実装石を挟むように。

 ドスン。

 庭に着地したのは、身長二メートルを越える巨大な実装石……実装さんだった。丸太の
ような両拳(?)を打ち合わせ、実装さんが咆える。
 さっきのは、実装さんの上半身と下半身だった。

「これが、新しいワタシの力デッス! さあ、クソムラサキ、覚悟するデス」

 実装さんが右手で紫電を指差す。

「ソウ……。ナラ、ワタシモ真ノ力ヲ出サセテモラウ……」

 そう答え、紫電も右手を振り上げた。
 えっと、真の力って何?

「リリカル・クリスタル・キルゼムオール!」

 こっちは大魔法峠ですか?

 ガラスが砕けるような音とともに、無数の紫水晶の破片が紫電を包み込む。水晶の破片
は緩やかな回転と共に、紫電の身体へと融合していった。そのぬいぐるみのような小さな
身体を、人間のような形状へと作り替えていく。

「変身完了」

 そこに佇むのは、左目に薔薇の模様の入った眼帯を付けた少女だった。身長は百六十セ
ンチくらいだろう。紫の髪を背中の中程まで伸ばし、紫色のドレスを纏っている。人間の
ように五指のある右手に紫水晶の剣を持ち、左手に紫水晶の盾を持っている。

 ……何コレ? いわゆる、実装生物の人化って都市伝説?

 俺は瞬きしながら、変身した二匹を見つめ、頬を引っ張った。

「痛くないな……夢か。オッケイ、理解した」

 いわゆる明晰夢ってヤツね。よかった、よかった。
 なら、安心して見てられるわな、うん。

 実装さんが不敵に笑う。

「デッププ……。お前も変身したデスか。そうでなくては、倒し甲斐が無いデス。さあ、
掛ってくるデス。ブッ倒してやるデス!」
「言ワレナクトモ」

 紫電が床を蹴った。

 左手の盾で窓ガラスをぶち破り、右手に持った水晶剣を思い切り引き絞る。舞い散るガ
ラスの破片を突っ切り、矢のような勢いで水晶剣を突き出した。

「甘いデス!」

 しかし、実装さんは身体を捻って紫電の突きを躱す。デカイ図体してるってのに、思い
の外素早い! しかも、身体も柔らかいッ!

「二重の極みデェェェスァァァァ!」

 ガラスの砕けるような音とともに、紫電が吹っ飛んだ。

 自分で割ったガラス戸を突っ切り、リビングを横断してから、台所へと突っ込む。台所
から聞こえてくる、椅子やテーブルの粉砕される音。

 ああ、夢でよかった……。実際にこんな破壊されたら、洒落にならん。

「デッスン!」

 得意げに胸を張る実装さん。

 あの丸っこい手でどうやって二重の極み打ったんだ? 原作の坊さんは肘や足でも二重
の極み打ってるから、原理上は可能なんだろうけど。ま、どうせ夢だし。

 俺は台所の方に声をかけた。

「大丈夫かー、紫電?」
「ワタシハ、大丈夫……」

 そんな答えとともに、紫電が歩いてくる。左手に持った盾は砕け散っていた。何度か頭
を振って髪の毛にくっついた木の破片を払う。
 リビングの中程まで歩いてから、両手で水晶剣を構えた。正眼の構え。

「左手の盾で防いだデスか」
「盾ガ無カッタラ危ナカッタ……」

 その台詞とともに、紫電の姿がかき消える。

 いや、リビングの床に足跡を打ち込み、微かな残像だけを残して突進していた。さっき
の突きとは比べ物にならない神速。目にも留らぬ超高速で、実装さんに肉薄する。

「飛天御剣流・九頭龍閃……」

 唐竹、袈裟懸け、右払い、右切上げ、逆風、左切上げ、左払い、逆袈裟、刺突。九種類
の斬撃が、一瞬の間に実装さんの巨体に撃ち込まれた。

「デギョ……!」

 吹っ飛んだ実装さんが、ブロック塀に激突。
 ブロック塀を破壊して、道路へと倒れる。さすが九頭龍閃。凄い破壊力。

 だが、実装さんは即座に跳ね起きた。あちこちから血を流して肩で息をしながらも、元
気そうである。ついでに、起き上がる際に両足の奥の白い何かが見えた気がするけど、気
のせいでござる。絶対に気のせいでござる!

「さすがに、これだけじゃ厳しいデス……」

 実装さんが、自分の胸に右手を突っ込んだ。

 取り出された右手に握られているのは、六角形の緑色の板っぽいもの。偽石? と思っ
たけど何か違うなぁ。どっかで見たことある形だけど。

 俺は頭をかく。

「実装錬金デス!」

 そう来たかー!

 緑色の閃光が辺りを包み込み、光が消えた時には、天を衝くような巨大な影があった。
実装石を模した身長六十メートルにも及ぶ巨大ロボット。ロボットの足に践まれた向かい
の民家三軒が全半壊してるけど、夢だから多分大丈夫だろう。うん。

「フルプレートアーマーの実装錬金、実装バロンデッス!」

 ロボットの口が動き、スピーカーのような大音声を発する。どうやら、さっきの実装さ
んはコックピッドに搭乗しているらしい。
 右手で庭に立った紫電を指差し、

「これで、お前もぺしゃんこデス!」
「残念ダケド、ソウ甘クハナイ」

 いや、その身体であの巨大ロボット相手にするのは無理だろ。
 俺の考えを否定するように、紫電は右手に持っていた水晶剣を持ち上げる。

「卍解・紫縄天譴明王……!」

 ドゴォン!

 爆音を轟かせ、現れる巨人。全身を紫色の鎧で覆った鎧武者だった。その大きさは実装
バロンに匹敵する。俺の家半壊してるけど、夢だから平気だよねー? リビングから真上
に青空見えるけど、これ現実だったら笑えんよねー?

「ソノ巨大ロボットデ、ワタシノ明王ヲ……ペシャンコニ出来ル……?」

 水晶剣を素振りする紫電の動きに連動し、巨大な水晶剣が空を斬る。全長四十メートル
はあるだろう、巨大な水晶剣。多分、高層ビルでも普通に切断できる。

「デデ……。お前もそんな切り札を持っているとは、予想外だったデス……。だが、ワタ
シの実装バロンの方が、強いデェェェス!」

 実装バロンの突き出した拳を、紫明王の水晶剣が受け止める。
 巨大な鉄骨が激突したような轟音が響いた。

 紫明王が半歩後ろに下がり——
 後ろの家が潰れた音が響く……。

 両手で水晶剣を構え、諸手突きを繰り出す紫明王。

 胸に突きを食らい、実装バロンが仰向けに転倒する。下敷きになった民家が何軒も潰れ
てるけど、誰も気にしていない。その場に右手を突き、逆立ちと同時に、回転蹴りを放つ
実装バロン。すげーアクロバティック!

 その蹴りを水晶剣で受け止めつつも、重さを捌き切れずに横転する紫明王。
 再び民家が多数潰れて土煙が上がっている。

 夢なのに、罪悪感を覚えるのは何でだろ?

 跳ね起きた紫明王が、袈裟懸けに水晶剣を振り下ろす。その巨大さとは裏腹に、凄まじ
い速度で動く紫明王。現実感が薄いなぁ、って夢だけど。
 実装バロンの振り上げた拳が、水晶剣と激突した。

 ギィイン!

 再び凄まじい轟音が飛び散る。
 お互いに後退して、民家数軒を踏み潰した。どうやら実力は互角っぽい。

「チッ、仕方ないデス……! これは正直使いたくなかったデスが……。お前を倒すため
なら、使うしかないデス!」

 実装バロンが背中からジェットを吹き出し飛び上がった。

 その直後、街の地面をぶち破り現れたのは、緑と赤の巨大な宇宙船だった。てか、色遣
いはかなり違うけど、こいつはアークグレン……!

「ナラ、コッチモ最後ノ切リ札……」

 真夏の入道雲を切裂き、巨大な紫色の空中要塞が現れる。

「キスレブ総督府……ロニ・ファティマニヨッテ作ラレタ秘戦艦……」

 紫明王ともども、紫電が飛び上がった。

 あぁ、ゼノギアスか、懐かしい……。一回しか使えなかったんだよな、この超巨大変形
ギア。残念だったなぁ。もう少し活躍する場面が欲しかったなぁ。
 空中要塞が、変形を始める。

「デエエエスウウウゥゥゥ!」

 一方、下半身をドリルへと変化させた実装バロンが、赤緑カラーのアークグレンと合体
した。その場で元の構造を半ば無視した変形を始める。

 両者変形が終わり。
 爆音を響かせ、地面に着地する二体の超巨大ロボット。

「怒濤合体! アークグレンジッソー、デスゥ!」
「超巨大ギア・ユグドラクリスタルⅣ……!」

 双葉町、無くなってるけど……いいよね、夢だから。

 座布団の上にあぐらをかいたまま、俺は他人事のように数キロサイズの超巨大ロボット
を眺めていた。俺の想像力すげー……のか?

 ゴォウン!

 アークグレンジッソー、ユグドラクリスタルⅣ。両者の突き出した拳が激突する。巻き
起こった凄まじい衝撃波が、潰れた街をなぎ払い、俺の家の残ったリビングと卓袱台とノ
ートパソコンを吹っ飛ばした。

 座布団と俺が無事なのは夢だからだろう。

 二回、三回と拳を叩き込んでから、両者後退する。

 既に街の面影はなく、そこには全てが砕け散った廃墟だけが残っていた。まあ、数キロ
サイズのロボットがぶつかり合えば、こんなもんだろう。

「一気に決めるデス!」

 アークグレンジッソーが左腕を振り上げた。
 その腕から真上に伸びる巨大なドリル——
 ではなく、巨大なマラ……

 えええ……!

「アークグレンジッソー・マラドリル……」

 マラドリルが高速回転を始めた。……キモい。

 一方、背中に装着されていた戦艦をライフルのように構えるユグドラクリスタルⅣ。そ
の先端にエネルギーが収束する。

「ユグドクリスタルカノン……」
「ブレイクデェェスゥゥゥ!」

 戦艦の主砲と、マラドリルが、お互いの機体を破壊した。

 相打ち——!

 ではない。

 砕け散る破片を突き破り、実装バロンと紫明王が現れる。

「デッスゥゥゥ!」
「カワイソウ……!」

 紫明王の振り下ろした水晶剣が実装バロンを斜めに斬り捨て、実装バロンの突き出した
拳が紫明王の巨体を砕いた。

 再び相打ちとなった両者が、爆炎の中に消える。

 だが、飛び散る炎から飛び出してくる、実装さんと人型紫電。

「二重の極みデェェェェス!」
「飛天御剣流・九頭龍閃……」

 実装さんの拳が人型紫電を粉砕し、紫電の繰り出した斬撃が実装さんを斬り捨てる。

 水晶の破片を振り払い、飛び出してくる薔薇実装。
 斬られた実装さんを脱ぎ捨て、飛び出してくる鼻炎実装石。

 俺のいる位置からでも二匹の姿がはっきりと見えた。夢だからな、うん。

 鼻炎実装石が頭を突き出す。

「実装インパク……」

 ジャキィン!

 そんな音が響いた。

「デエエエェェェッ!」

 五枚のサングラス型水晶ブーメランが、鼻炎実装石の両手両足と頭を拘束していた。右
腕と左足、左足と頭、頭と右足、右足と左腕、そして左腕と右腕。さながら星形を思わせ
るように、五枚のブーメランが実装石を空中に磔にしている。

「コノドリルハ……」

 紫電の右腕から伸びる円錐状の水晶ドリル。

「家主サンノ……薔薇実装ノ……実装ノ……」

 えっと、何で俺?

「イヤ、コノワタシノ魂ダ……。オ前ゴトキニ、喰イツクセルカ……」

 右手の水晶ドリルが巨大化する。

 一度一メートルほどまで大きくなり、そこからさらに五メートルほどまで巨大化する。
もはや、実装石を貫通するってレベルじゃないけど。

 紫電が超巨大ドリルを構えた。

「キィィングシデェェン……ギガドリルゥゥ……」

 超巨大ドリルが高速回転を始める。
 そして、空中に磔にされた鼻炎実装石へと突進した。

「ブレイクゥゥゥ……!」
「デ……」

 鼻炎実装石が、身体を貫いていたブーメランごと粉々に砕け散る。悲鳴を上げる暇も無
く、ドリルの回転に巻き込まれ破片すら残さず空中へと消えた。

「コレガ水晶ノ力カヨ……大シタモンジャネーカ……」

 紫電の姿がかき消える。







「んっ?」

 俺はゆっくりと目を開けた。
 暗い部屋。いつもの寝室。枕元の時計を見ると、午前四時である。

「うー。変な夢見たな……」

 ぼやいてから、再び俺は眠りについた。




あとがき
正月早々何を書いているんだろう?
そんなことを考えましたが、あんまり反省も後悔もしてません。

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