朝、仕事前に何か飲み物を買おうかと仕事場の傍にある100円自販機へ向かった俺は その前に緑色の物体が鎮座しているのを見つけた。 微動だにしないそれは人形のように見えるが、しかし人形ではないのは世に知れている。 実装石だ。 しかし実装石と言えば、人間を見れば逃げ出す者と媚びたり勘違い行動を取る者にわかれるものだが、 この実装石は俺がそばに行っても全く動かない。 俺が飲み物を買い、取り出し口から取る時も 「ニンゲン!それをこの高貴なワタシに献上することを許すデス!!」 などと騒ぐようなことも無く、俯いて座っている。 携帯にリンガルがついているのを思い出した俺はなんとはなしに実装石に話しかけてみた。 ま、仕事開始までにまだ少し時間があるしな。 「おい」 「・・・・・」 「おい、そこの実装石」 「・・・・デッ?! な、なんデスか?!ニンゲンさん」 やっと俺に気がついた実装石がびっくりした様子で俺を見上げた。 「あ〜 おびえなくてもいいぞ。別に俺は虐待派ってわけじゃない。 ただなんでそこに座ったままなのか教えてくれ」 俺の言葉を聞いた実装石の目から涙がこぼれ始め、そして口からもここにいるわけがこぼれ始めた。 ○A●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○ ワタシはニンゲンさんがこの「ジハンキ」というものに「オカネ」を入れて 飲み物を手に入れているのを見ていたデス そこでワタシは「オカネ」を手に入れるべく探し回ったデス 飼い実装の戯れや「オミセ」にいるニンゲンさんの恫喝や「ギャクタイハ」の難をなんとか掻い潜って ワタシは銀色に輝く「オカネ」をやっとゲットできたのデス ○A●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○●A○A●A○ そこまでしゃべった実装石はまた黙りこみ、 足元にある穴、正確には側溝の蓋の継ぎ目にある手をかける部分を見つめた。 その様子に、なぜこの実装石がここで呆けているのか、俺にもピンとくるものがあった。 この自販機は道路に出っ張らないように設置されている。 そのため自販機の前に道路の側溝が来るようになっており、 自販機に金を入れる際に手を滑らせて落としてしまった場合、運が悪いと側溝へと転がりこんでしまうのだ。 そしてこの実装石はそんな運が悪い奴だったのだろう。金を拾った時点で運を使い果たしたのかもしれないな。 側溝の蓋はコンクリート製で大人が持ち上げるのも難しい代物だ。 まして実装石の軟な腕では自身の腕を傷つけ最悪腕がもげてしまうだろう。 話し終わり、さらに継ぎ目を眺め続ける実装石の前に、俺は飲みかけの缶を前に置いた。 驚いた顔をする実装石に「取っておけ」と手で示し、俺は仕事場に向かった。 去り行く俺の背に向けて実装石がお時儀をしていた。 あつあつのホットコーヒーのブラックだが、まあ飲めないことはないだろう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ リアルにオカネを落としかけたので、実際に落とした場合の悲哀を書いてみました。 蟲生門

| 1 Re: Name:匿名石 2016/02/22-19:29:35 No:00001896[申告] |
| 実装石って、苦いのも苦手じゃね?
プチ虐待(笑!! |
| 2 Re: Name:匿名石 2016/03/02-23:10:44 No:00001911[申告] |
| この実装、実装のわりには悪いやつじゃないんだろうがなあ
ニンゲンさんの行動に悪意ないのに蟲に死んだり重篤な障害が残ったりしない程度の不幸が訪れるっていいよね |