タイトル:【巡】 じゃに☆じそ!第4話03(完)
ファイル:「実装愛護の世界編」03短縮版.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:787 レス数:0
初投稿日時:2009/12/12-15:55:34修正日時:2009/12/12-15:55:34
←戻る↓レスへ飛ぶ

【 これまでの“ただの一般人としあき”は 】

 弐羽としあきは、ある夜偶然出会った“初期実装”に因縁をつけられ、彼女の仔実装を捜すために異世界へ飛ばされて
しまった。
 「実装石」と呼ばれる人型生命体の存在する世界を旅することになったとしあきは、5日間というタイムリミットの中で、
“頭巾に模様のある”初期実装の子供を見つけ出さなくてはならなくなった。
 もし5日間を過ぎてしまうと、としあきは永遠にその世界から出られなくなってしまう。

 四番目に辿り付いた「実装愛護の世界」で虐待派に間違われ捕らえられたとしあきは、ぷちやミドリと離ればなれになって
しまう。
 それぞれ別々な境遇に陥り、別な形のピンチが訪れようとしている。

 そして、突然現れた謎の男ひろあきと、不思議な実装石アクアの目的は何か——


      ※      ※       ※


 そこは、荒れ果てた荒野。
 山もなく、谷もなく、何も見えはしない。
 草一本すら生えていない濁った土色の大地の一角に、小さな何かが生えている。
 それは、砂埃に包まれすっかり変色してしまったハサミだった。
 刃の片方だけが深々と地面に突き刺さり、斜めに傾いた状態で砂風に晒されている。
 そして、それを静かに見つめる、小さな一つの影がある。

「こんな所にありやがったデスゥ」

 影の手が、突如触手のように伸び始め、ハサミの柄を巻き取る。
 ぐぐっ、と力がこもり、少しずつハサミが地面から抜け出る。
 数秒後、刃の一部以外変色したハサミは完全に抜き取られ、小さな影の腕に絡め取られる。

 それはみるみるうちに圧縮され、小さなマスコットくらいのサイズに変化してしまう。
 小さな影は、どこからともなく取り出したガシャポンカプセルを開けると、その中に小型化したハサミを収めた。

「よし、これでいいデスゥ。
 さて後は——あのバカ共を適当にかき回して来るデスゥ」

 それだけ呟くと、小さな影は地面に溶け込むように姿を消す。
 荒野に残されたのは、小さな穴一つだけだった。
 



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  じゃに☆じそ! 第4話 ACT-3 【 最悪の切り札 】

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





 翌日、10月12日午前8時。
 としあき達がこの世界に来て、5日目になった。
 残り滞在時間は、あと30時間。
 
 朝早く目覚めたぷちは、実装石達の待機部屋に出向き、食料を配膳していた。

「皆さん、おはようございますテチ♪
 今日も、とってもおいしそうなご飯を持ってきたテチ!」

 ぷちがカートで運んできたのは、肉汁滴る熱々のステーキだった。
 赤身肉に溶かした脂をかけ、更にその上に過剰なほどたっぷりのステーキソースをぶっかけた適当極まりないものだが、
人間の分量で見ても軽く50人前はある。
 部屋の中央に肉の載った皿を並べると、室内がステーキソースの焼けた匂いで満たされる。

 部屋の奥、鉄の扉の隙間からぞろぞろと出て来た実装石達は、大量の肉を見て一斉に舌なめずりをした。

「本当に毎日ステーキデス!」
「ニンゲンも、ようやくワタシ達への接し方が判ってきたデス」
「いい傾向デス、更に精進してワタシ達への奉仕を極めるデス」

 好き勝手な事を述べながら、“かつて禿裸だった”実装石達は、次々に肉に齧り付いていく。
 その光景を、ぷちは微笑みながら眺めていた。

「ぷち、お前もゴハン食べたデス?
 ちゃんと食べないと元気が出ないデス」

 脇に立つピンク色の実装服を着た個体が、親しげに呼びかける。
 ぷちは、笑顔でその頭を摩った。

「ちゃんと食べてるテチ、オネーチャ。
 心配しないでテチ!」

「それならいいデス。
 本当にすまんことをしたデス、お前に対しても失礼なことを考えたデス。
 それなのにまたこんなにステーキが食べられるなんて、ワタシは恵まれすぎデス」

「気にしてないテチ! それより、オネーチャとまた逢えた事が嬉しいテチ!」

 かつての姿をかろうじて取り戻したミドリは、涙ぐみながらぷちを見上げる。

 以前、この部屋に閉じ込められてた無数の禿裸達は、ぷちの説得の甲斐もあり、今では飼い実装時代の姿に戻っていた。
 ピンク色の実装服をまとい、付け毛により髪の毛も揃っている。
 はたから見れば以前と全く変わりないほどで、本人達もかなり満足しているようだ。
 その上、人間達からは毎回大量の肉を与えられている。
 中には飼い時代の傲慢さを取り戻し、ワガママを言ったり更なる不満を唱えたりもしているが、その多くは今尚禿裸時代の
無念さを忘れていない。

 彼女達を救った人間達と共に、飼い主達に「復讐」するため——

 だが、ぷちはその事実を伏せられ、ただ素直な気持ちで実装石達の世話を行っていた。

「そういえば、ここに来てから全然ウンチしてないデス」

 誰かが、そんな事をふと呟く。
 手近な肉を手に取ったミドリは、そんな言葉に小首を傾げた。

「——まあいいや、とにかく食って元気付けるデス!」

 手近の肉を掴み取り、ガブリと噛み付く。
 だがそれは、以前警察で食べさせられたステーキとは似ても似つかない味だった。
 まるでゴムのような食感で、上から脂と調味料を大量にふりかけて味をごまかしてるだけのような——

「ま、いいデス。食べられれば幸福デス☆」

 この時ミドリが感じた違和感は、後に正しかった事が判明する。
 しかしこの時は、食欲が違和感を遥かに上回ってしまっていた……


      ※      ※       ※


 「アジト」と呼ばれる廃ビルの地下室、若者達が集まっている部屋。
 そこでは、テーブルの上に広げた大きな地図を見つめながら、何かの打ち合わせが進行されていた。

「いよいよ、俺達“実を葬”が、世界の認識を変える日がやってくるんだ。
 絶対成功させるぞ、『緑の審判』をな!!」

 リーダーらしき男の声に、メンバー全員が静かに頷く。

 と、その時、誰かがドアを叩いた。
 若者達は地図を隠蔽し、息を殺しながらドアに注目する。
 中に入ってきたのは、ひろあきとアクアだった。

「やぁ君達、いよいよ決行の日が近づいたようだね。
 ところで、僕の方も素晴らしい情報を持ってきたんだ」

 ボクゥ♪

 フフン♪ と鼻を鳴らしながら、どこか余裕のある態度で話すひろあき。
 その足元では、アクアが楽しそうにステップを踏んでいる。

「何を掴んだんだ?」

「君達の仲間が捕らえられている場所さ」

「なんだって?! ついに見つかったのか!!」
「どこなんだそこは?!」

「落ち着きたまえ君達。
 場所がわかっても、すぐに救い出せるわけではない。
 『緑の審判』の混乱に乗じるしかないだろうね」

 ひろあきの説明に、一同は更に深刻な表情を浮かべる。

「そうか、わかった。
 とにかく、その場所を教えて欲しい」

「愛(ラブ)実装パレスの地下三階だよ。
 本来は駐車場のある地下一階までしか行けないが、エレベーターの特殊操作で更に下に降りられるようになってる」

「やっぱりあそこか!」

「隠し階とは……おのれジュリアーノ、やりやがるぜ」

「隠しコードはもう調べてある。
 その時は僕が誘導しよう」

 ボクゥ♪
 
 ひろあきの情報に、メンバーの意気が高まっていく。
 実装虐待テロリスト集団「実を葬」は、再び地図を広げると、ひろあきを交えて計画内容推敲を行う。
 だがその時、アクアだけは皆の傍を離れ、先ほどわざと少し開いておいたドアへ向かった。


“聞いた通りボク。
 多分、君のご主人様もあのマンションの地下に捕らわれているボク。
 助けに行かないといけないボク?”

“ご主人様?! いつのまにそんな所にいらしてたテチ?”

“あそこに戻らないと、君達は大変なことになってしまうボク。
 だから、ボク達に協力した方がいいボク”

“わかりましたテチ、アクアさんありがとうテチ!”

“ボ、ボクゥ♪”

 ドアの向こうでメンバーの話を聞いていたぷちは、ピスピス鼻を鳴らすと、メイド服を翻して廃ビルを飛び出していった。

「待っていてくださいテチ、ご主人様!
 私が必ずお助けしますテチ!
 今度こそ、きちんとお役に立ってみせるテチ!」


      ※      ※       ※


 ——午後2時。


 愛(ラブ)実装パレス・地下三階。
 目の前に迫ったリアルな「死」の臭いは、それなりに度胸があるつもりだったとしあきですら、心底震えさせるだけの恐ろしさ
を含んでいる。
 
 やがて、黒服の男が鉄格子の箱に近づいてくる。

「さぁ、来いよ。
 可愛がってやるぜぇ♪」

「う、うわあぁぁぁぁぁああ!!
 やめろ、やめろぉっ!!
 こっち来んな、ばかーっ!!」

 必死で抵抗するも、狭い箱の中ではどうしようもない。
 黒服の男は、箱に鎖を着けて軽々と引きずっていく。
 三角木馬に似た拷問器具の前に連行されると、箱の中から引きずりだされる。
 既に失禁し下半身をびしゃびしゃに濡らしていたとしあきは、本気の涙を流しジュリアーノ達に懇願した。

「頼む、助けてくれ! 俺はこの世界の人間じゃないんだ!
 ここのルールを知らなかっただけなんだ、許して!」

「何訳のわからないことを言ってるザマス!
 さぁ〜、意味不明な虐待派チャンは、まずこのトライホースで、股間を八つ裂きにされちゃいましょうねぇ♪
 性器はおろか骨盤までしっかり割れるように、足から重しをたっぷり吊るしてあげるザマスわよぉ〜♪」

「ひ、ひいぃぃぃいいい!!」

「ジュルリ。
 グヒヒヒヒヒ♪ いい泣き声ザマス!
 お前は甚振った後も、くたばってからも、ワターシ自らたぁぁっぷりと可愛がってやるザマス〜☆」

 まるでご馳走を目の前にしているように、ジュリアーノが大量の涎を垂らす。
 別の黒服が、どこからか分厚い鉄の板を運んできて、としあきの目の前にドサッと置いた。
 それは、どう見ても数十キロはあるだろう大きさだ。
 としあきの喉が、ごくっと鳴る。

「お前達が今まで虐待してきた実装ちゃんの痛みを、思い知れザマス!」

 思い知れ、思い知れ、思い知れ!

「せめてその身を捧げて、我々の歓喜の宴の贄となって罪を清算するザマス!」

 清算せよ、清算せよ、清算せよ!

 ジュリアーノの言葉に合わせて、ギャラリーの黒服達が声を張り上げる。
 その様子は、まるで何かの黒魔術か暗黒宗教のようですらある。
 とっくに腰が抜けてへたり込むとしあきを、黒服の男が軽々を抱え上げる。
 眼下に、鋭く研ぎ澄まされた刃のような「馬の背」が見える。

「い、いやだあぁぁぁぁぁぁあああ!!」


「ジュリアーノさん!」

 あと少しで乗せられるという所で、どこからか男の声が響いてきた。
 ジュリアーノ達の注意が、新たな来訪者へと向く。
 見ると、新たにやって来た黒服の男性が、見覚えのある人物を連行している。

 否、人ではない——

 テ、テチィィィッ!!

「ぷち?!」

 それは、大きく胸の露出したメイド服をまとう人化実装・ぷちだった。

「マンションの前をうろうろしていたので連行しました」

「いい所にいいものを連れて来てくださったザマス♪
 そいつもこの男の仲間ザマスわね。
 いい機会だから、一緒に処分するザマス」

「ちょっと待てーっ!!
 ぷちには手を出すなーっ!!」

“テチィッ!! ご主人様、どこにいるテチーっ!!”

「ぷち、俺はここだ、ここに居る!!」

“クソドレイサンは静かにしててテチ!”

「……は?」

“ご主人サマーっ! ぷちが助けに来たテチー!”

「……」

 としあきの耳だけに、ぷちの翻訳音声が届く。
 どうやら、まだ携帯を持っているようだ。
 ぷちの頓珍漢さに少しだけ冷静さを取り戻せたとしあきは、なんとかこの状況を打開出来ないものかと頭をフル回転させる。
 黒服の男に、赤ちゃんおしっこの姿勢で抱えられたまま、としあきは懸命に知恵を絞っていく。
 いつしか、黒服に身を包んだ実装石達が、デスデスと騒ぎ始めた。

「ジュリアーノさん、うちのロドリゲスちゃんがそのメスを犯したいとはしゃいでおります」
「うちのジャーミンちゃんもです。どうか、使わせてやってくれませんか」
「どうでしょう、二人を処刑する前に、マラ実装ちゃん達にたっぷりお仕置きさせてあげるというのは?」
「アテクシのとこのスパルタカスちゃんは、メス豚のケツ穴を犯し壊すのが大好きざんしてよ♪」

 好き勝手な事を言い出す黒服共に、ジュリアーノは笑顔で応える。

「そうザマスねぇ、徹底的に陵辱して無様な姿にしてから、拷問でじっくり痛めつけるのも一興ザマスわね」

 テチィッ?!

「おい待て、その子はそう見えても実装石だ!!
 人間じゃないんだぞ!!
 実装石を虐待するのは、お前らの倫理に反するんじゃないのか?!」

 としあきの言葉に、黒服達は嘲笑を返す。

「なぁにを言い出すかと思ったら!
 こんなにパーヘクトに人間な人間が、実装ちゃんのわけがないザマス!
 苦し紛れに、何を言い出すザマス!
 これだから虐待派は、脳がイカれているザマス」

「人化実装だ! 知らないのか?!」

「人化? 夢でも見てるザマス?」

 ジュリアーノは、黒服の男に命じてぷちを中央の土台まで連行させると、自らの手でメイド服の前をはだけさせる。
 Gカップの巨乳が、ぼろんとまろび出た。

 テ、テチィッ!!

 両手でも包み切れないほどの溢れる肉のボリュームに驚愕しながら、ジュリアーノは少し悔しそうな呻き声を立てる。

「んまぁっ、なんといういやらしい乳ザマス!
 この乳で、今までいったい何人の男を垂らしこんだザマス?
 ほらほらこの淫乱なメスブタめ、白状しろザマス!」

 テ、テェェェン、テェェェェン!!

「やめろ、よせ!!」

 ジュリアーノは、ぷちの乳房を乱暴に揉みしだくと、そのまま前を破り、下着を剥ぎ取りほぼ全裸の状態にしてしまう。
 薄暗い広間の中、僅かな光に照らされるぷちの白い柔肌は、危機的状況にある筈のとしあきすら凝視してしまうほどの、
圧倒的な魅力を放っていた。
 他の黒服達も、実装石達ですら、その姿に動きを止めてしまっている。
 皮肉にも、それがとしあきの作戦考案時間を稼ぐ結果となった。
 としあきの頭の上に電球が浮かび、パリンと割れた。

「ちょっと待った!」

 突然張り上げられたとしあきの声に、ジュリアーノの手が止まる。

「なんザマス?」

「わかった、負けを認める。
 虐待派の仲間のことを教えるから、その子にはもう手出ししないでやってくれ」

「ハハン、今更何を言い出すかと思えば。
 苦し紛れの言い逃れなんか、聞く耳持たないザマ——」

「俺の仲間は、今とんでもない計画を立てている!
 どうだ、知りたくはないか?」

「なん……だとザマス?」

 ジュリアーノの顔に動揺の色が宿り、他の黒服達もざわつき出す。
 これは、としあきの完全なでっちあげだった。
 ぷちを開放させ、拷問を中止させるための咄嗟の思いつきだったが、どうやら光明が見えたようだ。

「まず俺とその子を放せ。
 俺達の身の安全を保障してくれるなら、説明する」

「本当ザマス?」

「ああ本当さ。
 それを警察なり何なりに報告してやれば、あんたの名前と地位は益々高まるぜ。
 悪い取引じゃないだろ?」

「……」

 しばらく考え、ジュリアーノはとしあきを開放した。

「さあ、話すザマス。
 どこで何をしようとしているザマス?」

 泣きじゃくるぷちをなだめながら、としあきは先ほどから引っかかっていた「ある事」を利用してみることにした。

「おじさん夫婦は、飼っていたアントワネットの体内に秘密の計画書を縫いこんで隠していたんだ。
 俺はそれを回収するためにここに来たのさ。
 あんたなら、アントワネットがどこに行ったかわかるだろ?
 逢わせてくれないかな」

「げっ、そ、それは……!!」

 突然、ジュリアーノが狼狽し始めた。
 みるみるうちに顔が青ざめていく。
 意外な反応だったが、としあきは気付かぬふりを装い、更に続けた。

「あんた、俺が捕まった時うちのミドリも保護してくれたんじゃないのか?
 だったら、あんたの家の中にいるんじゃないかな」

「ま、待つザマス!」

 慌てたジュリアーノは、黒服の男に命令してとしあきを解放させる。
 ぷちを保護し、自分の身体で恥部を隠すように立つと、としあきはもう一度ジュリアーノに向き直った。

「ジュリアーノさんよ、そういえばさっきから疑問だったんだ。
 あんたは実装石を何匹飼ってるんだい?」

「? 大人の実装ちゃんが一人にお子チャマが三人ザマス。
 それがどうかしたザマス?」

「マドモアゼルって仔と、マリリンって仔は大人? 子供?」

「んな……?!」

 ジュリアーノの顔が、先ほど以上に青ざめていく。
 しばらくすると、脇の黒服達もざわざわとどよめきだした。
 としあきは、初対面時にジュリアーノが述べていた実装石の名前と、アントワネットの話を告げ口した実装の名前が違う事
が、気になって仕方なかったのだ。
 
「アントワネットがお世話になったようだから、マリリンちゃんにお礼を言いたかったんだけど——」

「う、うるさいうるさいうるさい! 黙るザマス!
 ええい、その男と女をもう一度閉じ込めておくザマス!」

「は、はぁ?!」

「いいから!! とっとと連れて行けザマスっ!!」

 黒服の男は、納得がいかない様子でとしあきとぷちを捕らえる。
 ぷちは軽く悲鳴を上げるが、としあきは薄ら笑いを浮かべていた。

「お前には、後日あらためて尋問させてもらうザマス!
 あ〜むしゃくしゃする! 次の虐待派を連れて来るザマスっ!」

「あ、あの、こいつらの処刑は?」

「そんなの後回しザマスっ!」

 うろたえ叫ぶジュリアーノの態度が異常なのは、その場に居る全員が理解していた。
 益々どよめく黒服達、デスデス喚く黒服実装、そして屈強な黒服の男。
 としあきは、彼女の反応から確信のようなものを感じ始めていた。

 再び最初の牢獄に閉じ込められたとしあきとぷちは、薄暗がりの中で見つめ合った。

「大丈夫か、ぷち」

“なんとか大丈夫テチ。
 テェェ、大事なおベベが敗れちゃったテチ。クスンクスン”

「心配するな、俺達の部屋に戻れば直るから。
 さて——どうやってここから脱出するべきかな」

 腕組みをして悩んでいると、ぷちが肩を叩いて来る。

“クソドレイサン、どうして皆さんの計画のことを知ってるテチ?”

「へ?」

 としあきは、ぷちから彼女の知る情報を聞き出した。
 幸いだったのは、ぷちの翻訳された言語はとしあきにしか聞こえないことだった。
 もし、その会話がすべてジュリアーノ達に聞かれていたら、彼らは只では済まなかっただろう——


      ※      ※       ※


 10月12日、午後九時半。
 都内各所に設置された大型パノラマビジョンの映像が、突然乱れた。
 それまで流されていた音楽映像は中断され、次に映し出されたのは、切断された成体実装の生首だった。
 各所で悲鳴が上がる!

 続けてそれを蹴飛ばす男の足が映り、床に散らされた沢山の仔実装が無数の人間の足に踏み潰されていく残虐な映像が
重なる。
 それは、明らかに正常な放送ではない。

 ——電波ジャックだ。


『実装石愛護に現を抜かす愚かな者達よ。
 我々は“実を葬”!
 世を蝕む糞蟲共に、怒りの鉄槌を食らわせるべく立ち上がった、正義の集団である!』

 実装に虐待を! 実装に悲劇を! 実装に制裁を! 実装に悪夢を! 実装に地獄を!


 実装石の顔を模した仮面を被った男が画面に現れ、怪しげな演説を開始する。
 背後からは、大勢の男達の掛け声が響いている。
 衆人が凝視する中、仮面の男は更に演説を続けた。


『実装石などという愚かで忌まわしい生命体を愛護するあまり、同族である人間を数多く葬る愚かな所業、断じて許すまじ!
 我々は、この世にはびこる実装石と、それを護ろうとする人類全てに対し、ここに宣戦布告をするものである!』

 実装に虐待を! 実装に悲劇を! 実装に制裁を! 実装に悪夢を! 実装に地獄を!

『明日、13日の金曜日!
 我々は決起するだろう!
 そして愛護に狂う愚民共は、それにより実装石の醜さ・おぞましさを痛感する筈である!
 我々は、お前達が真の正義に目覚める事を望んでいるのだ!』

 実装に虐待を! 実装に悲劇を! 実装に制裁を! 実装に悪夢を! 実装に地獄を!

 最初に映し出された実装石の頭が、プレス機で潰される映像で締められる。
 再び激しいノイズが走り、画面が元の放送を映し始めた。
 ほんの数十秒程度の短いジャックだったが、その衝撃はあまりにも凄すぎた。
 日本各地で一斉に行われた“実を葬”の宣戦布告映像は、瞬時に日本中を恐怖のどん底に突き落とした。

 13日未明になっても尚、“実を葬”の宣戦布告事件は、世界各地に大きな波紋を生み続けた。
 日本だけでなく、世界各地でもこの事件は報道され、史上初の「実装虐待派によるレジスタンス事件」として扱われた。
 警察や自衛隊は、異例の警備体制を全国各主要都市に配し、テロ行為を未然に防ごうと努めた。
 各交通機関は厳重な厳戒態勢となり、不審物を持つ者はたとえどのような立場の者でも職務質問を強制された。
 また、各家庭の実装石が被害に遭う可能性を懸念した日本政府は、国民に「実装石を連れての外出の自粛」を呼びかけた。
 防災防犯用品を取り扱う深夜営業のショップでは、ガラス破損防止フィルタや警報機が瞬く間に完売し、また護身用具や
実装専用の防弾・防刃用衣料も飛ぶように売れた。
 高価すぎて普段はほとんど売れることのないような商品でも、この時ばかりは次々に在庫瞬殺となっていく。
 資金的に充分な防衛対策が行えない人々は、近所の公民館や学校の体育館に実装石と共に集結し、自治体全体で避難
するという方法に出た。

 その他、各地各所で様々な対策が講じられたが、いかんせん時間が悪かった。
 事件の報道を聞いた人々が反応して充分な対策行動を取るには、午後九時半という時間は遅すぎたのだ。
 中には、この事件の存在を全く知らず、普段と変わらない日常を過ごそうとする人々も多く存在していた。


      ※      ※       ※


“ぐ、ぐぇぇぇ……腹が、腹が……”
“デ、デェェ……きっついデス…”
“お腹が割れるデス……ニンゲンドレイ、早くなんとかしやがれデス……ぐぉ”

 ここは、“実を葬”のアジト。
 廃ビル地下の一番奥深くにある部屋では、腹をパンパンに張らせたピンク色の実装石達が、顔を真っ青にして悶絶していた。
 無論、ミドリもである。
 彼女達は、普段の何倍もの量の食事、しかも肉類ばかりを摂取し続けていたにも関わらず、一度も便通を経験して
いなかった。
 そのため、腹は水風船のように膨らんでしまったのだ。
 どれくらいの時間が経っただろうか、ろくに睡眠も取れない状態で放置されていた実装石達の許に、メンバーの若者達が
やって来た。

「大丈夫かみんな!」
「こりゃ大変だ、みんな病院に連れて行こう」
「もう少しだけ頑張れ! すぐ楽になるからなっ!」

 若者達は、励ましの声をかけながら実装石達を優しく介護する。
 そして、懐から取り出した黄色い金平糖のようなものを口に含ませていく。

「これは消化剤だ。病院に行くまで少しだけ楽になる筈だから、飲んでおくんだ」

 デ、デェェェェ……

 首に飼い実装用の高級リードを接続された実装石達は、廃ビルから運び出されて次々に車に乗せられる。
 近くの駐車場に停められた数台のバンに、次々と詰め込まれる実装石。
 やがて、一定数搭載した車は、一枚の地図と携帯電話を手渡され、どこへともなく出発していく。
 二台、三台、四台と、バンは順番に走り出す。
 ミドリが乗せられた八台目のバンは、どこかの住宅街へ運ばれていく。
 バンの運転手が、助手席に座っている者に話しかける。

「なぁひろあき、なんでこいつらにはアレ飲ませないんだ?
 時間通りに利かないぜ?」

「心配いらないよ。飲ませるのはもう少し後からだ。
 ここの子達には少し違う用途があるんだから。
 そうだよね、アクア?」

 ボクボクゥ♪

 緑の実装服を脱ぎ去り、長い後ろ毛を取り去ったアクアは、いつの間にか青色の服を身にまとっていた。
 頭には、小さな可愛らしいシルクハットまで被っている。
 ひろあきは、膝の上に抱いたアクアのハットを取ると、頭頂部を指先で撫で上げた。

「う〜ん、アクア今日もおつむすべすべだねっ♪」

 ボ、ボキャアッ!!


      ※      ※       ※


 13日、午前七時五十分。
 JR新宿駅8番線に、東京方面行の快速中央線が入ってくる。
 ほとんどの乗客が通勤目的のサラリーマンだが、その中に、ピンク色の実装服をまとう飼い実装を連れた人達もちらほらと
見受けられた。
 中には多頭飼いしている飼い主もいるようで、入り口付近や荷物置きに実装石を置いている。
 実装石を狭いケースなどに入れて運搬する事は、実装虐待防止法により禁止されている。
 そのため、彼女達はそのままの姿で電車の一角を占有するのだ。
 また、車両端に設置されている「実装優先席」は、このような通勤ピーク時でも例外なく実装石によって占有される。
 それでも、人間達は一切文句を言わない。
 それどころか、文句を言ったが最後虐待派扱いされ、次の駅で引っ張り出されてしまうことになる。
 「痴漢」以上に悪質とされる「車内実装虐待」を監視する目は、どこにでも光っているのだ。

 午前七時五十五分。
 四谷を過ぎ、大勢の乗客が入れ替わった時点で、一部の客は不思議なことに気付いた。
 いつの間にか、実装石の飼い主達がいないのだ。
 実装石だけが、荷物置きや優先席、入り口周辺に放置されている。
 どんどん入れ替わる客に揉まれ、入り口付近の実装石が圧迫され始める。

 「車内実装虐待」の容疑をかけられるのを恐れた客達が、入り口付近から遠ざかろうとしたその時、時計は午前八時を
指した。

 デ、デスゥゥゥッ———!!

 飼い実装達が、一斉に苦しげな悲鳴を上げた。
 そして……


 バンッ!

 バスンッ!!


 バスンッ、バスン!!

 ドボッ、バシャアァァァン!!



 ギャアァァァァァァアア!!!


 車内に爆発音が鳴り響き、凄まじい悲鳴が上がる。
 突然、飼い実装達が爆発したのだ!!
 体内から大量の汚物を吹き出し、まるで自爆でもしたかのように。
 その破裂力は凄まじく、実装服はおろかそこに成体実装石の肉体があった事すらわからないほど、激しい。
 飛び散る肉片や骨、千切れた四肢、汚物に含まれていた固形物などは容赦なく乗客を襲う。
 爆発の衝撃は重傷者、失明者を次々に生み出し、中には直撃による死亡者も出てしまった。
 一車両に二・三匹から多くて四・五匹。
 それらが、ほぼ同時に爆裂してしまった。
 中央線は御茶ノ水駅に緊急停車し、運行停止となる。
 だが同じ頃、各地でも同じようなことが発生していた。

 都心部・各主要地下鉄や私鉄沿線。
 東海道上越東北の各新幹線内、地方都市の環状線、通勤で賑わう主要路線。
 また移動中のバスの中、大型の駅構内、各地の地下商店街内……
 あらゆるところで、実装石が連爆し人的被害を広げていく。
 被害に遭った人々は、凄まじい腐臭と汚臭、大量の粘液を浴び苦しみ、運悪く重傷を負った者も、そのあまりの臭気に
なかなか救助を得られず、中にはショック死してしまった人もいる。
 僅か三十分にも満たない短時間で、各都市部の交通網は完全に麻痺し、甚大なる被害が発生してしまった。
 にも関わらず、警察はただの一人も実行犯を逮捕出来なかった。
 現場に駆けつけた警察官が受けていた命令優先度は「テロ行為などにより実装石が受けた被害の確認及びこれの保護」
であり、乗客の保護対応や現場確認、容疑者捕縛は二の次とされていのだ。
 加えて、このような特殊な状況下にも関わらず、各交通施設に実装石を入場させてしまうという「何事に於いても実装石
最優先主義」が裏目に出てしまった。


 これが、“実を葬”の計画した「緑の審判」の第一歩だった——


 後の調査により、テロ行為に使用された実装石は、平均60センチの体格の個体に対し約10キロに相当する汚物が詰められ、
更に実装服の内側に鉄片や釘などを仕込んだ上で、非合法薬品「遅効性超高圧ドドンパ」と呼ばれる便秘治療薬の改悪品
を投与されている事が判明。
 その破壊力は小型爆弾に相当するレベルで、人体のみならず車両・建造物にも甚大な被害を及ぼすほどのものであった。

 汚物の分析から、爆発した実装石は大量の合成肉を食べさせられていた事も判明。
 数年前、実装石が消化不良と重度の便秘を引き起こすという理由で販売中止された、今は亡き食品メーカーの在庫品が
利用されていたのだ。


      ※      ※       ※


 その頃、としあきは妙に騒がしい物音で目が覚めた。
 抱き寄せていたぷちを揺さぶり無理やり起こすと、湿った服を我慢して身に着ける。
 鉄格子から外の様子を窺うと、どこからか激しい激突音や叫び声が聞こえてきた。


 実を葬だーっ

 ギャアァァァ!! 実装チャーン!!

 殺せ殺せーっ! ヒャッハーッ!!

 容赦するな、愛護派もろとも皆殺しにしろーっ!!


「な、なんだあ?! 何が起きたんだ?!」

“皆さんが助けに来たテチ! クソドレイサン助かるテチ!”

「ほ、本当かあ?!」

 よく見ると、通路のいたるところに、黒服達の死体とおぼしきものが散見される。
 例の屈強な黒服の男らしき者も、少し離れた場所で仰向けに倒れている。
 その口には、なぜかバンザイポーズの実装石が詰め込まれていた。
 直後、すぐ近くで爆音が上がる。
 途端に漂ってくる猛烈な悪臭に辟易していると、何者かがとしあきの牢屋の前に現れた。

「やあ、メイド君こんなところにいたのかい?」

 ボクゥ♪

 テチ、テチテチィッ♪

「えっ、あんた誰?」

 見知らぬ青年に、としあきは尋ねる。
 フフン♪ と鼻で笑うと、青年は大きな銃のようなものをクルクル回しながら、どこか楽しそうに話す。

「僕は海藤ひろあき、この仔はアクア。
 君かい? メイド君のご主人様というのは?」

「は、はあ? なんでぷちを知ってるのさ?」

「色々あってね。
 そうか、君が僕達のライバルという事だね。
 いいだろう、離れていたまえ」

 そういうと、ひろあきは銃のマガジンを操作し、Rのボタンを押す。
 銃口をアクアに向けると、そのままトリガーを引いた。

「さあ頼むよ、アクア♪」


  —— Accept Command. ——


  —— Rage! ——


 ボ? ボボボ、ボギャアアァァァッッ!!!

 突然、アクアが叫び声を上げる。
 鉄格子に飛びついたかと思うと、ムキムキと膨れ上がる腕の力に任せて、鍵部分を何度も殴り出した。
 凄まじい勢いで何度も何度も殴りつけているうちに、鍵が破壊されてしまった。

 ボギャアァァァ………ギャッ!

 メキメキ、メキャッ!


 テチャッ!?

「うわ! な、なんだそのチビゴリラ!?」 

「失礼な事を言わないでくれたまえ。
 これは実蒼石。
 この世界にはいない、特別な実装生物さ」


  —— Accept Command. ——


  —— Clear! ——


 ボクゥ!

 再びトリガーを引くと、アクアが元に戻る。
 なんとか牢屋を脱出する事が出来たとしあきは、半裸のぷちを庇いながらひろあきに尋ねた。

「なあ、あんた“この世界にはいない”って、どういう意味だ?」

「聞いての通りだよ」

 としあきに向かって、指で銃の真似をして「バン」と囁くと、ひろあきは場にそぐわない笑顔で続けた。

「僕達は君よりずっと以前から、実装の世界を巡っている“因子”さ」

「いん……な、なんだって?」

 テチィ?!

 それだけ言うと、ひろあきとアクアはあっという間に先に行ってしまった。
 ぷちを抱えたとしあきは後を追う事もままならず、出口を探すのが精一杯だった。
 ぷちのナビにより、なんとかエレベーターまで辿り付いたのはいいが、そこまでの通路はどこも激しく汚染され、所々に肉片
や濃緑色の染みが散らばっていた。
 そして、昏倒している何人かの黒服達、黒服実装石達も——

“オネーチャが言ってたテチ!
 初期実装の仔をあの女のおうちで見たって!”

「何?! マジか!!
 よし俺達も行くぞ!!」

“テチャア! 私はだかんぼイヤイヤテチ!”

「我慢しろ!」

 としあきは、ぷちから携帯電話を回収すると、時間を確認した。
 10月13日、午後0時半——残りあと1時間30分しかない!

 エレベーターは一階で強制的に停止してしまった。
 降りてみると、一階のホールはすっかり……戦場と化していた。

「うおおぉぉぉ、死ねぇ!!」

「ヒャアッハーッ!!」


 デギャアァァァァァァ!!   バンッ!!


 釘バットやモップ、木刀など色々な得物で殴り合いをしている若者達とマンション住人。
 そして、宙を舞い爆発する実装石。
 ほとんど生きた手榴弾と化しているピンク色の実装石は、虐待派集団“実を葬”の主力兵器として用いられていた。
 それを見たぷちが、悲鳴を上げる。

“アレはお部屋にいた皆さんテチ!
 テヂャアァァ!! 投げちゃダメテチ!! 殺しちゃダメテチ!”

「構うな! 行くぞぷち!」

“あの中にオネーチャもいるテチ!”

「え゛……」

 一瞬立ち止まったが、としあきは無理やり振り切って階段を駆け上った。
 このままホールに立ち止まっていたら、どんな巻き添えを食うかわからない。
 それに、今のとしあきには、なぜかミドリを捜し助けたいという欲求が、全く湧かなかった。

 実装石のドドンパ手榴弾は、エントランスホールの壁を汚染し、オブジェを破壊し、住人をなぎ倒し飼い実装を死滅させて
いく。
 虐待派達は、既にかなり上の階にまで入り込んでいるようで、各所に実装石の残骸や汚物、または破裂し損ねて転がって
いる者がある。
 エレベーターは停止させられており、最上階までは階段を上っていくしかない。
 息を切らせながら、なんとか八階まで辿り付いた二人は、そこでかつてのマラ実装とばったり再会した。
 初日にホールでぷちをレイプしようとした、あの個体である。
 特徴的な顔と体格、そしてこの状況下に於いて尚マラをおっ勃て、飼い実装の死体とまぐわっているおぞましい姿に、
としあきは腹の底から湧き上がってくる怒りを覚えた。
 ぷちを突き飛ばし、としあきは、足元に落ちていた金属製の手すりの破片を掴んだ。
 もう、止められなかった。
 

「こぉんの野郎! くたばりやがれぇっ!!」


 デス?! ——デギャ……!!

 ガスッ!

 手すりが、マラ実装の頭を直撃する。 
 あっさりと中心から陥没し、目玉が飛び出て、口や鼻から大量の血液が噴出す。
 だが、マラ実装はまだ腰の動きを止めようとしない。
 その様子に更にブチ切れたとしあきは、先ほど以上に振りかぶり、得物を振り下ろした。

「ぶっ殺してやる!!」

 ガスッ! ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!!

 デギャ…! デ……ギ、イィィッ!!

「うおぉぉぉぉおおおお!!!!」

 ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!! ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!!
 ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!! ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!!
 ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!! ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!!

 ギ……ィィ…… ……!

「うがあぁぁっ!!」

 ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!!

 何十回、何百回と叩きのめし、マラ実装の頭は完全に原型を留めないほど砕け散った。
 そればかりでなく、胴体も粉々になり、醜い肉片が周囲に飛び散っている。
 それでも尚、死体に突き立ったマラは衰えていない。
 そのマラをもぶち砕こうとした時、突然、何者かに背後から組み付かれた。
 反射的に、殴り飛ばそうとする。

 テチィッ!! テチャアッ!! テギャアァァッ!!

「ぷ、ぷち?!」

 テギャアアッ!! テェェェン、テェェェェン!! テジャアァァァッ!!

 ぷちは、大声で泣き喚きながらとしあきを止めていた。
 携帯から翻訳音声が届いてはいるが、何を叫んでいるのか聞き取れない。
 としあきは、自分の衣服が実装石の血肉でドス汚れてしまったこと、そしてぷちの身体にも移ってしまったことに気付き、
ようやく正気を取り戻した。

「わ、悪い……どうしちまったんだ、何したんだ俺?!」

“酷いテチ、クソドレイサン酷すぎるテチ! テェェェェン!!”

「う、うう……」

 得物を投げ捨て、としあきは、泣きじゃくるぷちの肩を抱いた。
 実装石であるぷちの前で、同族を殴り殺してしまったのだ。
 突発的な衝動によるものとはいえ、余りにも酷過ぎる行為に、としあきは猛省した。
 だがその身体の中心では、興奮と欲求がいまだに熱く渦巻いている。
 それは、半裸のぷちに対する肉欲ではない。
 むしろ——

「そ、そうだ、これは! ぷち、お前の仇を討ったんだよ!」

“テェ?”

「お前に乱暴した奴だよこいつ! だ、だからまた襲われると思ったんだ。ハハハ……」

“……”

 滅茶苦茶わざとらしかったが、ぷちはそれ以上何も言わなかった。

「それより、急ごう」

 テ……コクン

 振り切るように、としあきはぷちを連れて先を急ぐ。
 時計は、いつのまにか午後1時になろうとしていた。


      ※      ※       ※


 愛(ラブ)実装パレス12階。
 ウインドウから差し込む日光で照らされた最上階エリアは、かつての美しさを完全に失い、今では見るも無残な地獄と
化していた。
 “実を葬”のメンバーと思われる者が一瞬反応するが、ぷちの姿を見て武器を取り下げる。

「あんたか、その子の主人ってのは」

「いや、その……そ、それよりジュリアーノは?」

「この部屋の中だ。
 今、ひろあきが突入してるんだが——」

「俺も行く!
 あの女には貸しがあるんだ!
 何か武器はないか!」

「武器、武器か……これくらいしか余ってないが」

 デ……

 メンバーの一人が取り出したのは、腹をパンパンに膨らませてほとんど球体に近くなっている、ピンク色の実装石だった。
 既に付け毛は剥がれ落ち、実装服も汚れ破損している。
 使い方をメンバーから教わっている最中、ぷちが奇声を上げた。

“オネーチャテチ! それ、オネーチャテチ!”

「えっ、マジ?!」

“デ……く、クソドレイ……生きてやがったデス……”

 苦しげなミドリの様子に、妙なデジャブを感じる。
 メンバーからミドリ“球”をふんだくると、としあきはぷちにこの場に残るよう指示して、ジュリアーノの自宅へ突入した。

「ミドリ、お前はもうすぐ破裂しちまうみたいだぞ」

“デ……デデ……”

「最期に、あのクソババアに一矢報いてやろうぜ!」

“か、勝手なことを……デ”

 玄関に土足で踏み込み、どんどん中へ入り込んでいく。
 次々に部屋をこじ開け、中の様子を窺っていくが、ジュリアーノはおろかひろあきやアクアの姿もない。
 当然、初期実装の子供の姿も。

 廊下の一番端にある小さなドアを蹴りでぶち破ると、中から、とてつもない悪臭が噴出してきた。
 あまりの臭気に、思わず激しく咳き込んだ。

「ゲホッ! ゲホッ?! な、何か腐ってる?! なんだこれ?!」

“こ、ココデス……ここを覗いて、ワタシは……デベッ”

「な、何を言って……ゲッ!」

 としあきは、四畳半程度しかないと思われるその狭い部屋の中を覗き、絶句した。

 そこには、無数のケージが積み重ねられている。
 鳥やネズミ用よりも遥かに巨大で、それぞれの中には何かが詰め込まれている。

 それは、すべて実装石だ。
 しかも、すべて死んでおり激しく腐敗している。
 上からどんどん詰まれていったせいで、下の方はケージごとぺしゃんこになり、圧縮されていた。
 もはや原型すらわからないほど損壊したそれらの各所には、白い蛆虫が蠢いている。
 その生理的嫌悪感は相当なもので、としあきはこみ上げる吐き気を必死で抑えた。

「こ、これみんな実装石の死体かよ!
 って、なんでジュリアーノの自宅に?!」

 よく見ると、死体はいずれも高価そうな首輪を着けている。
 そのうちの一つには銀色のプレートがぶら下がっており、そこには「Antoinette」と刻まれていた。

「……こんな所にいたのか」

「それは、みんなジュリアーノ京橋の飼い実装や、預かった実装石達の成れの果てさ」

 不意に、後ろからひろあきが声をかけてくる。
 自分だけちゃっかりマスクとゴーグルを着けており、お付のアクアにはもっとごっつい防毒マスクを装着させていた。

「どういう事だってばよ?!」

「説明するのはいいけど、そこに居たんじゃきついだろ?
 リビングに来たまえ」

“そのままだと、感染症に冒される危険も出てくるボクゥ”

「うわ、そりゃ冗談じゃねぇ!」

 部屋を飛び出し、としあきはひろあき達と共にリビングに出た。
 綺麗に整えられたリビングでは、ひろあきが勝手に取り出してきたとおぼしき紅茶と茶菓子が並べられていた。

「まぁ座りたまえ」

「何呑気にくつろいでいるんだよ、ジュリアーノはどうした?
 あの部屋は何なんだよ?!」

“テチィ! 私達にはもう時間がないテチ!
 あとちょっとで五日間経ってしまうテチ!”

「ふーん、五日間かあ。
 君達、あいつの言い分を真に受けてるんだ……」

 意味深な事を呟き、ひろあきは紅茶を一啜りする。

「この世界では、実装石愛護派と虐待派が激しい抗争を続けている。
 そして、愛護派の方が圧倒的に割合が大きい。
 それは知っているだろう?」

「なんとなくだけどな」

「虐待派は、この世界の平和を乱す悪として忌み嫌われている。
 社会から迫害された彼らの一部は、復讐のために反社会的組織を結成した。
 その一つが“実を葬”なんだが、以前からこのメンバーや、メンバーと疑われた者の惨殺死体が各所で発見されている」

「それが、ここの連中の手によるものだってか?」

 としあきの疑問に、ひろあきは軽く頷くが、アクアが補足する。

“けどその死体は、どれもボロボロに痛めつけられてて、しかもおかしな特徴があるボクゥ”

“おかしな特徴テチ?”

 首を傾げるとしあきに、更に紅茶を啜ったひろあきが返答する。

「警察発表はないが、発見された死体には噛み付かれたり引っかかれた跡、噛み千切られた痕跡があるケースが多い。
 中には、体液の付着が認められるものもある。
 しかも、それらは実装石によるものではない——すべて人間のものだ」

“意味がわかんないテチ…”

 益々困惑するぷちととしあきに、ひろあきは「やれやれ」と肩をすくめた。
 

「てっとり早く言ってしまえば。
 ジュリアーノ京橋は、強烈なサディズム嗜好者であると同時に、ネクロフィリアでもあるんだ」

「ネク……?! な、なんだって?」

「死体愛好者って意味さ。
 しかも、人間や動物の激しく損壊した死体じゃないと、性的な興奮を得られない異常者だ」

「う、うげ……」

“テチ…ィィ”

“デ……”

 ひろあきに続いて、アクアが説明する。

“地下の拷問施設は、ジュリアーノの虐待欲求を満たすために作られたものボクゥ。
 彼女はそこで虐待死させたニンゲンの死体を、特別室に運んで弄んでたボクゥ。
 さっきの死体部屋も、ジュリアーノの遊戯室みたいなものボクゥ”

 ひろあきは、更に続ける。
 ジュリアーノの嗜虐性は所謂実装石虐待派のそれを大きく超越しており、対象が人間であろうが実装石であろうが、なんでも
構わない。
 自分の手で痛めつけ、苦しめた果てに殺した者を愛で、欲情する。
 彼女にとって、実装石愛護の行く末はそこであり、また実装石を傷つける者への制裁の行く先も同様なのだ。
 ここは、ジュリアーノの歪んだ性欲を満たすために作られた「城」。
 誰よりも実装石を愛するが故に「殺さずにはいられない」性分を隠すため、彼女は虐待派を駆る名士として名を高める必要
があったのだ。
 警察から、非合法な手段で虐待容疑者の身柄を引き取り「楽しむ」ためにも。

「どっちにしろ、まもなくここの実情は“実を葬”のメンバーに暴かれる。
 彼女はもう、すべて終わりさ」

 そう言いながら、ひろあきは親指を立て、部屋の脇にあるクローゼットを指し示す。
 スライド式の扉は一角が不自然に膨らんでおり、しかも隙間から服の一部が飛び出ている。

「野郎……あんなところに隠れて!」

「放っておいても、彼女の人生はもう終わりだよ?
 それでも追い詰めたいのかい?」

「当然だ!
 なんせ俺は殺されかけたんだからな!
 一発…いやフルボッコにしてやらないと気がすまねぇ!」

「窮鼠猫を噛む、というけどね。
 まあ好きにしたまえ」

 ボクゥ

 としあきは、ツカツカとクローゼットの前に行き、一気にスライド扉を開いた。
 と同時に、中からおぞましいほどに歪んだ顔のジュリアーノが飛び出してきた。
 その手には、巨大なバールが握られている。
 ジュリアーノの醜悪な顔に一瞬怯んだとしあきの眼前を、金属の塊が通り過ぎる。
 ガスッ! という鈍い打撃音が、足元から聞こえた。

「イ、イギャアァァァァァッッ!!
 この虐待派共めええぇぇっ!! よくも、よくもおぉぉ!!
 こ、殺してやるザマスうぅぅっ!!」

「こ、このやろ!!
 危ねぇじゃねぇか!! 死んだらどうすんだ?!」

「イギャァァァァアアア!! イヒヒヒヒヒヒ!!」

 完全に取り乱したジュリアーノは、バールをブンブン振り回してとしあきを追い詰める。
 さすがに武装しているとは考えていなかったとしあきは、反撃の手段がなくただ後ずさるしかない。
 ジュリアーノは、やがてぷちやひろあきにも攻撃を仕掛けてくる。

「グギャアァァァァ!! 脳漿ぶちまけろザマスウゥゥッ!!」

 テチャアァァァッ!!

 形勢逆転。
 今や、としあき達がジュリアーノに追い回される状況となった。
 半狂乱で走り寄るジュリアーノは、としあきとぷちを廊下に追い詰め、玄関に追い詰め、ついに部屋の外まで追い出して
しまった。
 としあきは、なんとか打開策はないかと必死で知恵を絞るが、もはや何の手立てもない。


 その時、としあきに抱えられているミドリが話しかけた。

“クソ…ドレイ……お通じが来たデス”

「今そんな事言ってる場合かよ!」

“聞けデス! ワタシを奴に投げつけろデス”

「なんだと?」

“とっととやれデス! 時間がねーデス!”

 そう言われた瞬間、としあきは、先ほど“実を葬”のメンバーから教えられたことを思い出した。

「よ、よっしゃあ!!」

 
「そこを動くなあぁぁぁザマシャアァァァァ!!!」

 通路の奥に追い詰められたとしあきに向かって、両手でバールを構えたジュリアーノが突進してくる。
 
「よぉし! 逝って来いやぁミドリぃぃぃぃぃぃ!!」

「ぶち殺してやるぅおあああああ!!」

 両手でハンドボールを投げるように、としあきは全力でミドリを投げ捨てた。
 軌道は、まっすぐジュリアーノの顔面に向かっている。

“ワタシの怒りを食らえデギャアァァァァァ!!!”

 ミドリが飛翔しながら絶叫する。
 ジュリアーノは、振り上げたバールを、飛んできたミドリに向かって振り下ろした!
 としあきは床に伏せ、防御姿勢を取っていた。 


 ——バンっ!!


 チュドオォォォォン!!


 ミドリの腹が、爆発した!
 その破壊力は凄まじく、ジュリアーノは顔面に爆風糞を大量に受け止め、後方に数メートル吹っ飛んだ。
 吹き抜けとの境にある手すりは割れ、壁やドア、床が濃緑色に染まる。
 バールはとしあきの頭のすぐ傍まで飛んできており、あと少し飛距離があったら間違いなく直撃していた。

「あ、あっぶねえぇ〜〜」

 ジュリアーノは完全に気絶しているようで、ピクリとも動かない。
 或いは致命傷を受け意識を失っているのかもしれないが、としあきは介抱してやるつもりは一切なかった。
 そのまま階下へ突き落としてやりたい衝動を必死でこらえ、ぷちを回収しようとジュリアーノの自宅前へ向かった。


“ク、クソドレ……”


 ミドリの呻き声が聞こえた気がしたが、としあきは気のせいだと考えることにした。

「見事な自爆だったぞ、迷わず成仏しろよ。イ〜シャラ〜」


      ※      ※       ※


 午後1時50分。

 としあきが駆けつけると、そこには少し残念そうな顔をしたひろあきとアクア、そして上着をかけられたぷちが佇んでいた。
 だが不思議なことに、“実を葬”の連中が一人もいない。
 不思議そうに周囲を見回すとしあきに、ひろあきが声をかけた。

「残念だが、初期実装はここにいなかった。
 もう別な所に行ってしまったのかもしれない」

「そうか。
 それよりあんたも、俺達と同じ目的なのか?」

「少しだけ違うな。
 メイド君から聞いたけど、君達はアレを捕まえるつもりなんだろう?
 だが僕達は、アレを抹殺する事が目的なんだ」

 ひろあきは、爽やかな笑顔でとんでもない事を言い放つ。
 そのギャップに、としあきは少し背筋がゾッとした。

“クソドレイサン、もう時間がないテチ!
 早くお部屋に戻るテチ”

「おっと、そうだった!
 ……そういやあんたらには、ぷちが世話になったようだな。
 とりあえず礼を言っとく」

「気にしなくていい。
 それより、“実を葬”の連中は活動を終えたら次にそのメイド君を殺しに来るよ。
 彼女が実装石だという事はバレてるからね」

「うげ! あいつら見境ナシかよ!」

「さぁ、早く行きたまえ」

 ひろあきは、マンションのマスターキーをとしあきに投げ渡す。
 残りの滞在時間は、あと10分。
 としあきは、ぷちの手を引いて自分の部屋へと駆け出した。

“オネーチャ、オネーチャはどこテチ?”

「ミドリなら壮絶に自爆して果てた! もういない!」

“誰が……死んだ……デスゥ?”

 地の底から響くようなダミ声に、思わず二人の足が止まる。
 見ると、先ほど大爆発を起こした現場の隅に、実装石の生首が転がっていた。
 それは、横向きのまま恨めしそうにとしあきを睨んでいる。

「まさか、生きてるのか!?」

“早く……しろデ……”

 ミドリの声が掠れて行く。
 としあきは、ミドリの頭を拾おうとしたが、今までのことを思い返して手を止めた。
 横からふんだくるように、ぷちがミドリの頭を抱きかかえる。

「急げ!」

“テチ!”

 焦ってドアの鍵を開けると、としあきとぷちは重なるように中に飛び込んだ。
 だが、それだけではいけない。
 初めてここに来た時のように、寝室まで移動しなくてはならないのだ。
 荒らされまくったリビングにたどり着き、崩された家具をなんとか避け、寝室へ通じるドアを開く。

「今だ! 飛び込め!!」

 テチャアァァァァ!!

 としあきは、酒棚に塞がれていたドアを開けることに成功し、ぷちと一緒になだれ込んだ。




 午後2時。


「——移動、成功したのか?」

“テェェ……そうみたい、テチ。
 私のメイド服、戻ってるテチ”

「そうか、脱出成功したか、ああ良かった♪」

 としあきは、思わずぷちを抱きしめ心の底から安堵した。
 だがその途端、頭に重みを感じた。
 続けてにゅるにゅると何かがひねり出されていく。
 髪の毛の隙間を通り抜け、生暖かくぬるぬるした何かが、頭皮に浸透していく……

“クソドレイ〜!! 貴様、よくもワタシを見捨てようとしやがったなデス〜!
 自分の立場をわからせてやるデス〜!!”

 ムリムリムリ

「うわあぁぁああ! て、てめえぇぇぇ!!
 性懲りもなく生き返りやがったのかあぁぁ!!」

“この通り完璧にピンピンデス!
 まったく、頭に偽石があって助かったデス!
 さもなきゃあの爆発でおっ死んでたデス!”

「あのままくたばってりゃいいものをおぉぉぉ!!
 そこを動くなこの糞蟲!! もう一度爆砕してやるうっ!」

“クソドレイこそ、今度は全身ウンチまみれにしてやるデジャアッ!”

“テチィッ! みんな静かにしてテチ!”


 狭い部屋の中、追いかけっこをするミドリととしあき。
 ぷちは、困り顔でそれを見つめるしかなかった。

 なんとか無事に世界を移動出来た三人だったが、ぷちは、少しだけ二人のニュアンスが変化していることに気付いていた。


      ※      ※       ※


「おや? ここはどこだい?」

“どうやら、ボク達も世界移動をしちゃったみたいボクゥ”

「おかしいな、何ヶ月も移動出来なかったのに、急にかい?
 あいつ、一体何を企んでるんだ?」

“わからないボクゥ。それより、ここは何の世界ボクゥ?
 ボクのハサミ、この世界にはあるボクゥ?”

「さぁ、それはわからない。
 とにかく、早いところ行動に移ろうか、アクア♪」

“ボックゥ♪”


 どことも知れない広い空き地にたどり着いたひろあきとアクアは、慣れた態度ですぐに行動を開始した。


 新しい世界の旅は、まだまだ続く——




→ To Be Continue NEXT WORLD



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



                      次回 【 実装のいなくなった世界 】



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため730を入力してください
戻る