俺はとしあき。 虐殺派として慣らした腕を見込まれて、双葉市役所の環境課に臨時職員として勤務させてもらっている。 元ニートの虐待派にしては頑張った方じゃないか? 双葉町の公園に住み着く緑色のデスデスうるさいウンコ・・・実装石共も、俺たちの効率的な駆除により目に見えて 数を減らしていた。 月に一度の一斉駆除は地域住民との連携により完全に近い包囲網を形成するに至った。 たまに沸いて出る、脳味噌が腐った愛護派が騒ぎ立てた場合には、ここを管轄する駐在さんを呼べばいい。 彼は権力も社会的地位も得た、いわゆる勝ち組の虐待派なのだ。 若い頃は機動隊にいたらしく、先月には暴れる実装さんを素手で殴り殺した猛者でもある。 協力を仰がない手はない。 実装石は所詮、これまで人間の善意で生かさせてもらってきただけの地上最低最弱の生物であることは皆さんには 言うまでもないだろう。 人間の加護を失った双葉地区の実装石の絶滅は時間の問題であった。 さて、今日もゴミの回収と公園の清掃をはじめるかな。 おやおや、早速汚物があつかましくも人間様の前に現れやがった。 デス!デスデスデスウウ! ほんの気まぐれで・・・俺はこの日、久しぶりに実装リンガルを起動した。 「おいニンゲン!オマエには言いたいことがあったデスゥ! どうして実装石を殺すんデス!ワタシ達はニンゲンに迷惑をかけないように暮らしてきたはずデスゥ!」 「お前は・・・ここのボス実装だったか。 何か勘違いをしているようだが、お前たち実装石が人間に迷惑をかけていないなんてことがあるはずないぞ。 俺は行政として駆除をしてるんだからこれは民意と思って聞け。 臭いし、醜いし、うるさいし、卑しいんだよ。お前ら。 大体にして毎日レイプだの子食いだのリンチだのを見せ付けられちゃ殺意が沸かない方が異常だろ。サイコパスだ。」 「そんなの仕方無いことデスゥ!それは実装石の持って産まれた性質なんデス! それに糞虫じゃない実装石もいるデスゥ!良い実装なら生きていてもいいはずデスゥウ! 不快に感じるのはニンゲンが優しくないからデスゥ! か弱い生物を殺すなんてニンゲンとして恥ずかしくないのデスゥ!」 としあきは理解した。 このボスは賢い。だが、とても実装石らしい、純粋な固体なのだ。 それゆえに、勘違いしたままなのだと。 「ああ、なるほどな・・・。 お前が勘違いをしているポイントがわかったよ。」 「デ!?何がデス!」 「よく聞け。お前たちはな。致命的な物を実装しそこねているんだよ。 それは、 命の尊さ だ。」 「!!? 何を言って・・・」 「虐待派はお前たちがウンコばっかするとか生意気だとかいう理由で虐待するが、そんなのは少数派なんだ。 多くの人間がお前たちを嫌う理由、それはお前らの命に価値が見出せないからなんだよ。」 優しく諭すようなとしあきの言葉。 それゆえにボス実装はとしあきの言葉を遮断できない。 「ほっとけば花だの何だので勝手にドンドン増殖する。 それでいて仔も仲間も食い物として認識しているから平気で殺す。 しかも人間にかまって欲しいという最大の欲求が偽石に刻まれているから、 人間に無視されただけで死ぬこともザラだ。 さらに体がすぐに壊れても、再生したりしやがる。 そんな適当なナマモノを生物として見ている人間はいないぜ。 愛護派にとっては動くオモチャ、虐待派にとってはヒャッハーの道具、無関心派にとっては歩く生ゴミだ。 たくさんある、ゴミだ。」 賢いボス実装には言い返せなかった。全て、その通りだったから。 ボス実装は血涙を流していた。 「・・・・デ・・」 追い討ちをかけるとしあき。 「分かったかい。お前たちは、生き物ですらないんだ。 生きたい、と願うこと自体がおかしいんだよ。」 ボス実装は息を呑んだ。彼女も実装石。 野良でボスとして逞しく生きていても、ニンゲンさんにかわいがってもらう夢を捨て切れてはいない。 元は人間に可愛がられていた人形だったため、人間に愛されること無しには、決して心が満たされないことは偽石 の記憶で知っている。 どんなに仔を増やそうと、どんなに地位を築こうと、死を迎える瞬間にご主人様がいない、と偽石が判断すると、 すさまじい後悔と絶望が実装石を襲うのだ。 彼女達は、人間に愛されたいだけの、乙女なのだから。 実装石である彼女に、としあきの言葉は重すぎた。 「・・・・・デッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!デガアアアアアア!!!!!嘘デス!嘘デス!! 生きて!生きていけなくなったデス!!!!!!そんな!ア!!ア!(ピシ!) 死にたく無いデス!(ピシ!) でも・・・生きていく事は・・・無意味なんデス・・・!?・・・」 「俺も疑問なんだよ。何でお前たちは生まれてきたんだ?」 偽石からくる根源的な苦痛から眼球が飛び出し、内蔵が口から流れ出る。 ボス実装の命は尽きているのだ。いや、偽石が諦めた、というべきか。 「・・・みんな聞くデス・・・飼いになるデス・・・そうしないと、永久に・・・」 としあきはタバコをふかしている。 「ニンゲンさんに・・・オモチャにすらしてもらえないデヴォオオオオ!!! バキン!ボオン! ボス実装は破裂した。そこには汚らしい内臓と、黒光りする破片だけが残った。 その時だった。 テエエエエエエンン!テジャアアアアアア!ママ!怖いテチュウウ! なにかとっても怖いことが分かったんテチュウウウ! オロローーーーン!もうダメデスウウ!耐えられないデスウウ!壊れる!壊れるデスウウウ! レエエエン! 何が蛆ちゃんレフウウウ!プニプニってなんレフウウウ!意味ないレフウウ! デギャアア ボン!ボオン! ジャアアアア!ママアア!ボン! レジャ!ポン! 公園の至る所で、実装石達が破裂している。 もとは一つのローザミスティカだった偽石。 ボス実装の絶望が、偽石を伝わって公園中の実装石に伝染したのだ。 もう苦しみながらでも生きてゆくことすら出来ない。もう、希望が無いことが分かってしまった、と・・・。 凄まじい阿鼻叫喚の地獄絵図となった公園。だが、としあきは大した感情は抱かなかった。ただ、先月の・・・死にゆく 実装さんの最後の言葉を思い出していた。 「恥ずかしくて・・・言えなかったんデスゥ・・・ ただ、いっぱい、ニンゲンさんに愛してほしかったんデスゥ・・・ ワタシ達も・・・どこで間違えてこんな石になってしまったか・・・分からないんデスゥ・・・」 完 珍しくなってきたガチ虐待スクを書いてみました 実装の儚い可愛さが好きなんです
