タイトル:【2-7】 綿棒師'2009 『 最強の敵 』
ファイル:綿棒師2009.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2101 レス数:0
初投稿日時:2009/11/14-22:29:38修正日時:2009/11/14-22:29:38
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肌寒い夜。

煌びやかな灯で溢れる街中を今夜も多くの人間達が行き交う。
喜怒哀楽、様々なドラマが繰り広げられる夜の世界。

一方、繁華街から遠く離れれば、対称的に広がる暗闇の世界。
そこは朽ち果てたビルの立ち並ぶ廃墟群。
日中さえ立ち入る者は殆どおらず、夜ともなれば無人の世界。
野良犬や野良猫の寝床でしかない場所。

しかしその一角に光。

今にも崩れ落ちそうなビルの間から弱々しい光と声が漏れていた。

『 最近の調子はどうデス? 』
『 ボチボチデスゥ〜。 』

そこはバブル崩壊と共に引き払われたビルだった。
広大な一階フロアに幾つもの丸テーブルが並び、各所で談笑する実装石達。
そのフロアの端のカウンターには身なりの整ったマスター実装石。
壁は一部が崩れており、お世辞にも綺麗とは呼べないゴミが散らばる床。

ここは実装石専門酒場「 宇土 」

人間が滅多に立ち入らない廃墟であればこその憩いの空間。
今では付近の多くの野良実装達が集まり、情報交換の場を形成していた。

『 デゥ〜!この一杯のために生きてるデスゥ!! 』

どこから仕入れたのか出所不明のアルコールを飲み干す者。
ここは実装石達が束の間の休息を過ごすオアシス。

カランッ…

「「「 ……デデッ!! 」」」

また誰かが入ってきた。
その姿を見た実装石達は例外無く驚き、そして談笑を止めて声を潜めた。
来店者自体は珍しくない。

『 ……。 』

入ってきた男は店内を見回す。
サングラス越しにでも分かる鋭い視線。
黒髪は短く切り揃えられ、身を包むのはやはり同じ黒色のコート。
一般人とは言い難い風体。

実装石ならば頻繁に出入りされる店舗であるが、人間の入店は稀であった。
しかも普通の人間では無い。
その外見と気配から、全ての実装石達は即座に悟った。

( な、なんで虐待派がこんなところに来るデス…!? )

声を潜めていた実装石が全力で嵐が通り過ぎるのを待ち続ける。
先まで騒がしかった店内へ一斉に静まり、全ての実装石達は俯き視線を逸らす。

『 ……。 』

男は店内を隅々まで見回し、誰かを探しているようだった。
1匹1匹の実装石の姿を確かめ、次の実装石へ。

『 ……! 』

男の動きと視線が止まり、実装石達に緊張が走る。

「 デッ…!…デッ…! 」

視線の先は、隅のテーブルに座ったアフロヘアーの実装石。
男の存在に震え、その極度にデカい球状の頭髪を揺らし怯えていた。

『 …こっちに来い! 』
「 デッ!!は、離すデスゥ!! 」

男はアフロ実装の腕を掴むと、引きずり始めた。
逃れようと暴れ喚くが、実装石の力では離しようが無い。

バタンッ

男は店の奥の部屋に実装石を連れ込んでドアを閉め…

ガシャン!!
ガチャアアン!!!
バキバキッ!!

部屋の窓ガラスが割れ、家具が叩きつけられる音が鳴り…

「 デギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 」

トドメに、この世の終わりの如き断末魔が店内に響き渡る。

「 助けてデスゥゥゥ!!! 」

当然だが誰も助けようとしないし、様子を見に行く者さえ居ない。
誰もが身を小さくし、嵐の過ぎ去るのを待っていた。





一方、部屋の中。

「 助けてデスゥ〜〜!! お願いデスゥゥ!!! 」

アフロ実装が叫びながら、手に持ったモップで部屋の物を叩きつけていた。
窓ガラスが叩き割られ、テーブルの上の空の花瓶が床に落ちて割れた。
アフロ実装は助けを叫びながら、延々と部屋中の物を派手に叩き壊していた。

『 今日は随分と念入りだね。 』

部屋の片隅、壁に背を預けていた黒いコートの男が呟いた。

「 そ、それだけ、今回の情報は危険ということデス!! 」

このアフロ実装こそは、その業界では名の知れた情報屋。
年齢、出身、経歴、全てが謎に包まれた飼い実装。
ある時は物乞い、ある時は酒場の飲んだくれ……仕事に応じて多くの顔を持つ情報屋実装。
そして、その情報は常に正確無比。
黒いコートの男、綿棒師が最も信頼している情報屋である。

だが、このカモフラージュの念の入れようから、綿棒師に緊張感が走る。
常に冷静な情報屋実装の狼狽に、眉間のサングラスを抑えて、只事ではないのを察した。

「 こ、これデス! 」

情報屋実装は片手でモップを持って振り回しつつ、懐から紙片を取り出した。
黒コートの男は紙片を受け取り……その内容を凝視した。

「 麺棒師サン、アナタは狙われているデスッ! 」

『 なんだと…。 』


「 狙っているのは……あの耳掻き師デスッッ!! 」








数日後。

午後14時ジャスト。綿棒師はクライアントの邸宅の呼び鈴を鳴らした。
出迎えたのは真っ赤なタキシードに身を包んだ中年の執事。
第一印象に刻まれるのは鼻下のヒゲと眼帯。

『 お待ちしておりました、綿棒師様。当家の主人が中でお待ちかねです。 』
『 …。 』

一言も返さず屋敷に入ると、真紅の絨毯の敷き詰められた廊下。
辺りにかけられた数々の名画や調度品。
執事の案内する屋敷の主人は、かなりの地位の人物であることを伺わせた。

『 こちらです。 』

執事が通した応接室の中央のソファに、割腹の良い男性が1人。
綿棒師の姿を見ると、一礼して向かいのソファへ座るよう促した。

『 早速ですが、今回の依頼内容は? 』
『 それなのだが……フム…。 』

綿棒師の問いかけに対し、テーブルのコーヒーカップを手にして言葉を濁らせた。
尚も言葉を渋り、なかなか話を切り出さない屋敷の主人…。

その時、突然室内に屋敷の主人に耳慣れぬ曲が鳴り始めた。

 〜〜♪  〜〜♪  〜〜♪

『 な、なんだ、これは!? 』

主人は慌てて立ち上がり、音の鳴る方向を探した。
しかし麺棒師は眉一つ動かさず指を額の方へ……僅かにズレたサングラスを戻す。

『 ヨハンシュトラウス……" 美しき青きドナウ " 』

綿棒師の呟きの後、応接室の扉が開いた。

『 まさか貴方が御存知とは驚きです!! 』

部屋に入ってきたのは一人の男。

全身を白のレースアップロングコートで身を包んだ長身。
袖口の金ボタンが煌びやかに輝く。
同様に煌びやかなのが肩まで伸びたブロンドの髪。
日本人とは思えぬ西欧系の端正な顔立ち。

グローブの着用された指先に持つのは耳掻き。

『 ……貴様が " 耳掻き師 " か? 』

『 いかにもです、" 綿棒師 " ! 』

サングラス越しに睨み付ける綿棒師、悠然と見下ろす耳掻き師。
しかし綿棒師は屋敷の主人に振り返り問い質す。

『 これはどういう事ですかな? 』
『 うむ、それなのだが……。 』
『 我々の世界では、個人と個人との信頼関係が第一です。
  その信頼関係が崩れるのは、貴方にとって不幸な事態になりますよ? 』

『 その点に関しては私が説明しましょう。 』

話に割って入り、屋敷の主人に耳掻き師が助け舟を出した。

『 綿棒師……かねがね、貴方の噂は耳にしていました。 』
『 フン…。 』

『 綿棒を手に持って産まれた男。
  幼少の頃、始めて連れられた公園で仔実装の股に綿棒を突き立てたのが全ての始まり。
  以来、仔実装と見れば飼いも野良も見境い無く、ひたすら股に綿棒を突き立て続け、
  年齢18の頃には撃墜スコア4桁をマークした超人!
  今では業界の中でも有数の実力者…! 』

『 前置きは良い、用件を言え。 』
『 私と勝負をして頂きたい! 』
『 なに…? 』

『 この私と勝負をしろと言っているのです…! 』

耳掻き師が手に持っていた耳掻きを綿棒師に見せ付けた。

( …… )

普通の人が見れば何の変哲も無い耳掻きの棒。
しかし、それを凝視する綿棒師の瞳がサングラス越しに光る。

弘法は筆を選ばず、の諺を綿棒師は認めない。

プロは常に100%の仕事を要求される。
中途半端な仕事は許されない。
であるからこそ、自らの技を活かしきれる道具は必須である。

目の前の見せ付けられた耳掻きはカスタマイズ。
仔実装愛撫用に設計された長さ、太さ、強度。

( ……っ! )

綿棒師は耳掻きヘラ部分の角度を目にして、心の中で舌打ちをした。
あの理想的な角度と湾曲具合。
一掻きすれば瞬く間に仔実装は昇天するであろう。

まさに神具。

綿棒師は、耳掻き師の力量が己とほぼ互角であるのを悟った。

その2人の睨み合いに声を出したのは屋敷の主人。

『 気を悪くしないで貰いたい。
  という私も、君達2人の勝負には興味が有ってね。 』
『 興味…ですか。 』
『 うむ、次の仕事は勝負に勝った方に依頼する。
  当然だが、その分の謝礼も今回の報酬に上乗せしよう。 』
『 金額の問題では無いのですが…。 』

『 ……臆しましたか、綿棒師? 』
『 なに…? 』

耳掻き師の挑発めいた口調に綿棒師は怒気を露わにした。

『 今の貴方の選択肢は2つです。
  私との勝負を受けるか、ここから立ち去るか!それだけです…! 』

『 ……! 』

綿棒師がソファから立ち上がると、2人は正面から向かい合った。

『 良いだろう…その勝負、受けてやる! 』








「 ふぅ……ここはとても良い所デス… 」

「 集めたテチー 」
「 一杯拾えたテチュ〜♪ 」

邸宅の広々とした庭の芝生に3匹の親仔実装が寛いでいた。
親実装は手に箒を持って、辺りの枯葉を掃き集めている。
そして仔実装達もまた、その親の周りで枯葉を拾っては掃き集めた山に集めていた。
元気に駆け回って自分を手伝う仔実装の姿に、親実装の表情が和らいだ…。


この親仔実装は、つい一週間前まで同じ町内の公園に住んでいた。
けれども冬の到来で食料の調達量が激減し、公園内で共食いが頻繁に起こると逃げ出した。
何処へ行くなどアテは無い。
兎に角、公園から遠く離れた場所へ。
春まで寒さをやり過ごし、食料を集めやすい住処を探した。

「 お前達、寒くてお腹が空いたかもしれないけど、頑張るデス… 」
「 アタチなら大丈夫テチュ! 」
「 それよりママこそ顔色が悪いテチュ… 」

親実装は僅かに集めた食料も、その全てを仔実装達に分け与えていた。
もう三日前から食べ物を口にしてはいない。
この2匹以外の仔達は全て餓死か同属達に喰われてしまった。
だから何としても、この仔達だけは生かしておきたい。
親実装は、その一心で公園から逃げ出してきたのだ。

だが、その気力も尽きようとしていた。

「 デ……デスゥ… 」
「 ママ…! 」
「 しっかりするテチュ! 」

親実装は目眩がすると足がもつれ、塀に寄りかかって身体を支えた。
そんな親を心配してか、仔実装達がその小さな身体で支えようとする。

「 に…2匹とも…ワタシが居なくても……仲良く生きていくデス… 」
「 嫌テチュ! 」
「 ママと一緒じゃなきゃダメテチュ〜! 」

道端で倒れ掛かった親実装と、それにすがる仔実装2匹。
仔達は親に向かい、テチテチと涙を流しながら泣き叫んでいた。
すると3匹の前に1人の大きな人間の影が立ち塞がる。

『 それは私の主人の屋敷の塀なのだが……君達はなんだね? 』

実装石達の鳴き声を聞きつけてきた執事だった。
執事は親仔実装の事情を尋ねると主人に伺い、屋敷の小間使い実装として置くことに決めた。

そうして3匹は庭園の片隅に、大きな犬小屋をあてがわれた。
その犬小屋は屋敷の倉庫から引っ張り出された古い物であったが、風雪を凌ぐには十分である。
親仔は家と日に三度の食事、そして実装石での可能な仕事を与えられた。

「 さぁ、2匹とも……ワタシにくっつくデス… 」
「 ママは暖かいテチュ… 」
「 テチュ…テチュゥ… 」

夜は冷えるが、使い古されたけれども大きな毛布を貰えた。
親仔3匹で犬小屋の中、お互いの身体を暖めあって寝た。

「 ワタチ……早く大きくなってママを楽にしてあげるテチュ… 」
「 いつまでもママやお姉チャンと一緒テチュ♪ 」

同じ毛布にくるまった仔達の嬉しい囁き……親実装は目に涙を溜めて抱きしめた。


親仔は真面目に与えられた仕事に取り組み、数日もすれば屋敷にも慣れてきた。
執事や家の人達からも受けは良く、親実装自身の体調も良くなった。

そして今日は執事さんに庭園に散らばった枯葉や落ち葉を拾い集めるように告げられた。
2匹の仔実装達にも手伝ってもらい、周りはみるみる綺麗になっていく。

「 これなら執事サンも喜んでくれるデスゥ……誰かこっちに来るデス? 」

執事さんと主人が屋敷から出てきた。
しかもこちらに向かってくる。

親実装と仔実装達は手を止めると、自分達の主人にお辞儀して出迎えた…。





「 な、なんで!なんで、こんなことになるデスゥゥ!!!??? 」

15分後、邸内の一室にて親実装は柱に縛り付けられていた。
泣き叫びながら見つめる先は、部屋中央に並べられた二つのテーブルの上。

「 ママ〜!助けてテチュ〜!! 」
「 こ、怖いテチュ〜!! 」

仔実装2匹は着ていた服を全て剥ぎ取られ、各々のテーブルの上に縛り付けられていた。
大の字で仰向けに拘束され、総排泄孔を大きく開かせている。
たとえ仔実装とはいえ、羞恥に耐えられない格好を強いられている。

そして各々のテーブルの前に立つは綿棒師と耳掻き師の二人。

『 国際規約に則ってで、問題は有りませんな? 』

背後で執事が確認すると、二人は同時に頷いて応えた。

『 ルールは30分、一本勝負!
  オーソドックスな実装ファイトです!
  ですが、それだけに己の力量が最も反映される勝負形式です! 』

室内の壁には、巨大な電光掲示板。

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    TIME  00:00


   綿棒師     耳掻き師

     0        0

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実装ファイト

それは個人の実装石に対する習熟度を試される競技
選手は制限時間の間に何回イかせられるか
イかせた回数の多い方が勝者という極めてシンプルなルール
歴史は比較的新しく、僅か15年前に制定されたに過ぎない

発案者は1人の天才だったという
その天才に4人の同じ志を掲げる者達が集って協力し、今の体制が確立された
以来、各地の私闘を含める戦いは、この規定に準じている


『 本来なら貴方では役不足なのですよ、綿棒師。 』

ブロンドの髪を豪奢に掻き分けながら、耳掻き師が不敵に微笑む。

『 最高の実力者は間違い無く、あの5人の方々。
  しかし貴方も御存知かと思われますが、今は行方知れず…
  少々役不足ですが、代わりに貴方を倒せば、私の評価も上がるというもの…! 』
『 ……。 』
『 今の私ならば、あの方々さえも越えていると思うのですが……
  今回は貴方で我慢しておきましょう…! 』
『 無理だ。 』
『 は……今、なんと仰いました? 』

『 お前では無理だ、足元にも及ばん。 』

『 なぜ、そんなことが言えるのです? 』

『 …道具だ。 』

綿棒師は二本の指に挟まれた綿棒を見せ付けた。

『 この勝負は実装石を熟知している以上に、道具に精通する必要が有る。 』
『 それがどうかしたのです。 』
『 アイツ等は既に身体の一部にしている。 』
『 なんですと…。 』

『 " 綿棒とは鍛えられた肉体の更なる延長である " 

  奴は確かにそう教えてくれた……覚えておけ。 』

『 なっ……!綿棒師…!もしや、貴方は……!? 』

その二人の会話を遮って、電光掲示板から電子音が鳴り響いた。

『 それでは宜しいですかな、お二方! 』

執事はマイクを持ち、綿棒師と耳掻き師双方に準備を促す。
二人はテーブル仔実装の総排泄孔に向かい合い、各々が綿棒と耳掻きを手にしていた。

『 くっ……!気になりますが、まぁ良いでしょう。
  勝った後で、ゆっくり聞かせて頂きます! 』
『 フッ…。 』

力み、意気込む耳掻き師とは対称的に、僅かに口元に笑みを浮かべる綿棒師。

「 な、なにが起こるのテチュ〜!? 」
「 ママ〜!ママ〜!! 」

盛り上がる場の空気に不安を覚える2匹の仔実装達。
そして執事兼ジャッジの男が、勢いよく右腕を上げた。


『 実装ファイッ!!開始ぃぃ!!! 』


「 チュアアアアア!! 」

合図と共に、嬌声を上げたのは耳掻き師側の仔実装。

『 綿棒師よ!私についてこれますか!? 』
「 や、やめてテチュゥゥ!こんなのダメテチュ〜〜ッ!! 」

総排泄孔に挿入した耳掻きが、使い手の動きに合わせて激しく動く。
ミリ単位で正確に動く耳掻きに合わせて、仔実装は背中を逸らし、身体をよじり逃げようとする。
しかし、拘束された四肢がそれを許さない。
どんなに許しを請おうと、身体を動かそうとしても、決して逃げられない。

「 変テチュ!!な、なにか………初めて……テチュゥ!! 」
『 これで先制です…! 』

耳掻きが更に奥へ……耳掻き師の指先が僅かに動き、仔実装の中のある部分を引っ掻いた。

『 チュワァッッ!!ュアァアアァア〜〜!! 」

大きく痙攣すれば、更に大きく背を逸らし、仔実装は絶頂に達した。


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    TIME  00:36


   綿棒師     耳掻き師

     0        1

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『 な、なんだとっ!!?? 』

観戦をしていた屋敷の主人が、思わず立ち上がった。

『 僅か36秒で先制点だと…! し、信じられん…!! 』
『 これしきで驚かれては困りますね…! 』

主人の驚愕を他所に、耳掻き師は余裕の笑みを辺りに振りまく。

そう、耳掻き師の指裁きはまさに神技そのものだった。
一口に仔実装と言っても、その個体差によって千差万別である。
よって、初対面の仔実装の総排泄孔内はまさに未知の領域、無限に広がる未体験の宇宙。
だが、耳掻き師は最初から何もかも知っていたかのように耳掻きを振るった。
そして正確に仔実装の弱点を、僅か数ミリ四方しかないボルチオをピンポイントで責めたのだ。

最大の性感帯を衝かれた仔実装になす術も無く、ただ果てるしか無かった。

『 いかがですか、綿棒師!
  この私の神業を……な、何をしているのです!? 』

先制し、精神的に優位となった耳掻き師だったが、隣のテーブルを見て言葉を失った。

『 大丈夫だよ、何も痛くないから心配しないで……ほら、こんなに柔らかいだろ。 』
「 本当テチュ……とってもふわふわしているテチィ… 」

綿棒師は仔実装を愛でていた。
綿棒を見せると、それが危険な物でないのを証明するため、その頬に触れさせた。
それだけでなく仔実装の手に、自分の指で触れ、その身体中を撫で……。

『 フフッ……君はとっても可愛いよ…。 』
「 テェ……そんなぁ…テチュ… 」

耳元に熱の篭もった囁き。
今まで異性の手を握ったこともない仔実装は頬を紅くした。

『 この柔らかいの、入れても良いかい?
  うん、全然痛くないから……痛かったら、すぐに抜くから…ダメかな? 』
「 は、恥ずかしいテチュけど………テェ… 」

頬を染めた仔実装は無言となり、綿棒師の綿棒を受け入れようとした。

『 いいかい……入れるね…。 』
「 ……チュゥ!! 」

綿棒の綿先が僅かに総排泄孔に入っただけで、仔実装から上がる大きな声。
しかし既に半分、心が篭絡された仔実装に拒む素振りは無かった。

『 …痛かったかい? 』
「 だ、大丈夫テチュ……大丈夫テチュから……… 」
『 うん、優しくするからね… 』

総排泄孔に侵入した綿先が、中でゆっくりと動いている。
初めての異物挿入。

「 テェ……テチュ……ュッ! 」
『 ここが弱かったかい? 』
「 い、意地悪しちゃダメテチュ…… 」

綿棒師の柔和な笑みに、頬を染めつつも仔実装は受け入れていた。
中の綿先は、仔実装の弱い部分に少しづつ愛撫を加え、甘い電気が小さな身体を伝う。
すると徐々に仔実装の肌が紅潮していき、息も荒くなっていく。

「 ワタチ……ワタチィ………ッ! 」
『 フフ……何も怖くないから………イっていいんだよ…? 』
「 ダメ、ワタチ……もう………!! テッチュ〜〜〜〜ンッッ!!! 」

指先まで手足を伸ばし、仔実装は産まれて初めての絶頂を迎えた。

だが綿棒師が最初の1点を取る間に、耳掻き師は既に5回目の絶頂に挑んでいた。


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    TIME  05:12


   綿棒師     耳掻き師

     1        4

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5分経過時点にて、既に3点差。
耳掻き師の優勢は誰の目から見ても明らかだった。

『 私は貴方の事を過大評価していたようです……! 』

既に耳掻き師は勝者の笑みを浮かべ、満面で勝ち誇っていた。
最初の絶頂から、仔実装の体力を最低限だけ回復させる時間を与え、再び耳掻きを総排泄孔に。
その無駄の無い洗練された動きに付け入る隙は無い。

『 もう少し良い勝負になると思ったのですが…噂ほどでは無かったですね! 』

更に耳掻き師の仔実装が大きな嬌声を上げ、更に1点が加算された。

『 これで4点差…!どうです、ギブアップしますか!? 』
『 …やはりな。 』

綿棒師は顔を僅かに向け、耳掻き師を一瞥した。

『 やはりお前では無理だ。 』
『 なんですと…! 』
『 フッ…。 』

僅かな笑みを残し、再び仔実装へ向き直った。

『 …ならば良いでしょう!
  綿棒師よ!全力を以って、貴方を倒させて頂きます!! 』
「 チュアアアアアッッ!!! 」

耳掻きの動きが更に激しく、大胆となり、仔実装は6回目の絶頂が間近に迫った。




『 くっ……! 』

更に約10分後。
耳掻き師の顔に、僅かだが焦りの色が見え始めていた。


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    TIME  15:03


   綿棒師     耳掻き師

     6       13

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耳掻き師の動きにミスは無い。
仔実装の体力が落ち、絶頂ペースが落ちてきたのもあらかじめ計算済みだ。
しかも点差はまだ大きく開いており、優勢に変わりは無い。

だが、横目で見ていた綿棒師は、徐々にペースが上がっている。
初点で5分以上も時間を要しただけに、耳掻き師は既に勝利を確信していた。
そのペースが先ほどから飛躍的に増している。

「 テッチュウウウゥゥゥゥウウウン〜! 」

綿棒師に再びカウントプラス。

『 ッ…! 』

端正な顔立ちが、舌打ちで僅かに歪んだ。
間違い無い。
確実に、綿棒師のペースは上がってきていたのだ。

「 綿棒師サン……ワタチ、蕩けそうテチュウゥゥ〜ン… 」

『 フフ……もっと気持ち良くしてあげるよ。 』

すると綿棒師は仔実装の手足の拘束具を外した。
しかし自由になったにもかかわらず、逃げる素振りは全く無い。
寧ろ股間を更に大きく開き、総排泄孔を見せつけ、切なげに腰を振っていた。
身も心も綿棒師に縛られてしまった仔実装に拘束具は必要無い。

今、この仔実装に必要なのは、快感に悶える手が掴むべきベッドシーツ。


打って変わって、耳掻き師側の仔実装は苦悶の表情を浮かべていた。

「 もう、やめてテチュ〜〜!! 」

泣き腫らした顔で、耳掻きから逃れようと拘束具に全力で反抗していた。
仔実装の非力では当然、拘束具から逃れるはずも無い。
ただ、拘束された手足の部位に痛々しい痣が見え始めていた。

『 こ、こらっ!動いてはダメです! 』
「 いやテチュ!もう、こんなのいやテチュウゥゥウウゥ〜!! 」

ミリ単位の精密さが要求される神業に、仔実装の僅かな反抗が陰りをもたらす。
暴力的な絶頂を決して受け入れることができない仔実装。
尚も続こうとする耳掻き師の強引な愛撫に、僅かだが身体を動かし、逃れようとする。
そのたびに、耳掻き師は時間のロスを強いられ、綿棒師とは逆にペースを落としていった。

「 チュワァァッァァァアァァァァ……!! 」

ようやくの絶頂、カウントプラス、仔実装の瞳から一筋の涙。

『 クッ……まだだ!まだ私の方が有利なのは間違いない!! 』


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    TIME  21:42


   綿棒師     耳掻き師

    15       19

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その口とは裏腹の、明らかな耳掻き師の焦燥。
実装職人界における貴公子とまで謳われた男の面影は薄い。

「 綿棒師サ〜ン、もっと…もっとワタチをめちゃくちゃにしてテチュ〜ン…! 」
『 フフ……慌てなくても良いから…。 』
「 チュウ〜〜ン…! 」

綿棒師側の仔実装は反抗するどころか、自らポイントに綿棒が届くよう腰を動かしていた。
今の綿棒師と仔実装は、まさに一体。
リズミカルに動く綿棒と仔実装の腰つき。
何度絶頂させても、決して飽きさせることのない恐るべき綿棒。


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    TIME  25:10


   綿棒師     耳掻き師

    19       21

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残り5分を切った。

『 イくのです!さぁ、早くイってしまうのです!! 』

直ぐ背後にまで迫った綿棒師の影に、耳掻き師は完全に余裕を失っていた。
端正な顔立ちは夜叉の如き凶相を浮かべ、ブロンドの髪を振り乱し、目は血走っていた。

「 いやテチュ!いやテチュ!!ママ、助けてテチュ〜〜ッ!! 」
「 もう、これ以上、ワタシの仔に酷いことをするなデスゥゥ!! 」

耳掻きに抗う仔実装に加え、背後からの親実装の抗議が、更に耳掻き師の神経を逆撫でにする。

「 こ、こんなの…!!テッチュ〜〜〜ッッ!!!! 」

『 ぜぇ、ぜぇ………手こずらせますね…。 』


数分がかりで、やっとの絶頂。
開始36秒で絶頂に達したペースからは、程遠い現状。
肩で息をしながらの醜態を晒すも、電光掲示板が耳掻き師に休息を許さない。


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    TIME  28:19


   綿棒師     耳掻き師

    21       22

————————————————————


『 な、なんということです……ッ! 』

綿棒師は、直ぐそこまで来ていたのだ。
残り1分30秒、文字通りこれがラストスパートである。

「 綿棒師サン、ワタチィ、もう…!…またイっちゃうテチュ〜〜ン!! 」

しかも綿棒師側の仔実装は今にでも絶頂に達しそうな気配である。
このままでは、ほぼ間違いなく追いつかれるであろう。

『 引き分けなど有り得ない!!有るのは勝利のみですっっ!!! 』
「 チャアアアアアアッッ!!! 」

まだ先ほどの絶頂から回復しきってない仔実装の総排泄孔へ、強引に耳掻きが挿入される。
堪らず悲鳴を上げる仔実装だが、耳掻き師の耳には届かない。

『 イくのです!イくのです!! 』
「 ダメテチュ!ダメテチュ!!おかしくなっちゃうテチュウウウウウ!!! 」

ボルチオへの強引な耳掻き愛撫。
その動きに優雅さは欠片も無く、あるのはただ、敗北への恐怖。

『 なぜイかないのです!仔実装、なぜイかないのですっ!! 』

血走った目に宿る耳掻き師の狂気。
周りの視界は既に貴公子の瞳に入っていない。

その瞳に写るは仔実装の総排泄孔のみ。

「 チュ……! チュゥゥウウゥゥウン………ッ! 」

仔実装は堪らず絶頂に達し……いや、強引に絶頂を迎えさせられた。


『 そこまでですっ!! 』

その直後、執事兼ジャッジの声により試合終了を気付かされる。

『 勝負は……どうなったのです…!? 』


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    TIME  30:00


   綿棒師     耳掻き師

    22       23

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『 ふ……ふ………ふはははははは!! 』

電光掲示板の表示を目にして数秒後、耳掻き師の高らかな笑いが室内に響き渡った。

『 勝ったのです…!この私が綿棒師に勝った…!!
  これで業界トップの座は、この私のモノ…!! 』

湧き上がる勝利の実感、分泌されるアドレナリン。
30分に渡る激闘の疲労は一瞬のうちに消えさり、全ての労苦が報われた。

そう、自分は綿棒師に勝利したのだ!


だが


『 勝負有り! 勝者は綿棒師殿ですっっ!! 』


『 な……なんだとっ!! 』

予想外の、しかも最悪のジャッジに、耳掻き師が即座に抗議の声を上げた。

『 どこを見ているというのです!
  貴方には、あの掲示板の数字が見えないのですか!?
  1点差だが、私の勝利のはずですっ!! 』
『 いいえ、耳掻き師殿の敗北です。 』
『 なぜ私の敗北だというのですか!? 』
『 あれを御覧なってください。 』
『 な……に…? 』

執事兼ジャッジの男が、指差した方向に耳掻き師が振り向いた。

「 どうしたのデス〜!
  ママデス、ワタシが分からないデスか〜!? 」
「 …… 」

開放された親実装が、直ぐさま耳掻き師側の仔実装に駆け寄っていた。
拘束具を外され、親実装の胸元に帰ってきた仔実装。
だが、親実装の呼びかけに応じず、無言のまま。
その瞳は見開かれたまま虚ろで、焦点は合っていない。

『 それが一体どうしたと………っ!ま、まさかっ!! 』

『 そう、そのまさかです!
  耳掻き師殿!貴方は重大なミスを犯した!! 』


**************************


      実装ファイト国際条約 第一条


     『 偽石を破壊したものは失格 』


**************************


『 くっ……! 』

耳掻き師は膝をついた。

『 耳掻き師殿……厳正な審判の結果です。ご理解ください…。 』

『 い、いや!確かに私の敗北ですが、綿棒師に劣っているわけではありません! 』

顔を上げ、尚も食いつこうとするブロンドの貴公子。
その睨みつける先は、勝者の綿棒師。

『 私の技が劣っていたとは思えない!
  試合には負けたが、綿棒師! 
  今回は、時の運が貴方に味方しただけです!! 』

『 いや、お前の完全な負けだ、耳掻き師。 』

『 何を言うのです! 私の技は、決して貴方に負けていなかった! 』

『 違う……あれを見ろ。 』

『 な、なんだと……!? 』

綿棒師の指し示した先……髪を振り乱しつつ、耳掻き師は振り向いた。


「 テッチュ〜〜ン♪
  綿棒師サ〜〜ン、もっとワタチを気持ちよくして欲しいテチュ〜! 」

綿棒師側の仔実装は、綿棒を総排泄孔に入れて遊んでいた。
既に勝敗は決したにもかかわらず、尚も仔実装は飽く無き快楽を求めていた。
これから先、綿棒無しでは生きていけない身体になってしまったのだ。

「 デェェェエェ!!??
  こっちの仔は、淫乱になってしまったデスゥゥ!!! 」

決して綿棒を離そうとしない仔実装に、親実装が仰天していた。


『 お前に足りない物……それは仔実装に対する愛だ……! 』


『 ぐっ……!! 』

耳掻き師の頭上から、一際大きな見えない落雷。
その瞬間、完全に勝敗が決した。

『 さらばだ、耳掻き師。 』

綿棒師は黒いコートを翻し、扉を開けて部屋を出て行った。
取り残されるブロンドの貴公子達。

『 完全に私の負けです、綿棒師……! 』

膝をついたまま、耳掻きを握り締める貴公子。


『 私は技ばかりでなく、心を磨くべきでした…! 』


勝者は立ち去り、敗者は膝をつく。

そして

「 ワタシの仔達がぁぁ!ワタシの仔達が滅茶苦茶になってしまったデスゥゥ!! 」

偽石が砕けた仔実装と、これから一生綿棒を離せない仔実装。
全てを失ってしまった親実装は愕然とし、そして有らん限りの声を上げる。


「 お前達はワタシの全てを奪ったデスゥ!
  これは許されざる行為デスゥゥ!!

  死ぬがよいデスゥゥゥ!!! 」


親実装の悲痛な叫びが邸宅に木霊した。










 男の通り名は " 綿棒師 "

 業界では名の通った可愛い仔実装専門のイかせ屋

 誰も踏破した事の無い果てしなき道を突き進む求道者


 仔実装の魔性に魅入られた男



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キャスト


綿棒師   : 保志 総一郎

情報屋実装 : 千葉 繁

耳掻き師  : 塩沢 兼人 ( 特別出演 )
屋敷の執事 : 秋元 羊介



ナレーション : 銀河 万丈

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                                       < 綿棒師'2009 了 >







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