タイトル:【愛】 実装かぞく15
ファイル:実装家族015.txt
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初投稿日時:2009/11/07-18:07:50修正日時:2009/11/07-18:07:50
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第15話「思春期」

ある日のことだ。
ボラギが廊下で壁に背を向けて立っていた。

何してるんだ、あいつ?
そう思い声をかけようとすると、ボラギが小さく震えだした。

む。また粗相か。
多分、お漏らしか何かだろう。
全般的な躾は、デさんに任せているわけだが、彼女の始終ボラギの側にいるわけではない。
躾は、都度、その場で行わなければ意味がない。
タイミングを逸すると、実装石は何故怒られたかも理解できないからだ。
俺は、実装叩きを持ち出し、ボラギを制しようとした。だが、ふと一種の違和感を覚えた。

「テー…」

ただの排泄であれば、恍惚の表情を浮かべるはずなのだが、至極ボラギの表情は真面目である。
何かこう真剣な雰囲気がボラギからは伝わった。
俺は、手にした実装叩きをそのままに、しばらく彼奴の様子を見ることにした。

◇

ぽたり。ぽたり。とスカートの中から、廊下の床へ垂れる液体が見える。
お漏らしをしているのは確かだった。だが彼奴からは、只ならぬ雰囲気を醸し出されている。

「テー」

ボラギはそのまま、廊下の木製の柱の角へ、尻を突き出し、尻を擦り始めた。

「テー… テー…」

目は半開き。眉間に皺を寄せ、尻を柱の角へ何度も擦り寄せていた。
尻。いや。少し緑ばんたパンツの中央。そう、股間をもろに擦りつけている。

まさか…。

俺の脳裏に、一つの単語が浮かぶ。

自慰か?

にしてはボラギの年齢では早すぎはしまいか。
しかし、薄っらと頬を朱に染めるその姿は、体の奥から湧き出る快感を感じているに違いなかった。

飼い実装である身は、自慰は禁止である。
これは厳しく躾なければなるまい。
俺は実装叩きを持ち出し、ボラギへ近づいた。

◇

「テェックッ!! テェックッ!!」

俺はボラギの頭巾を掴み、彼女を風呂場へと連れ込み、実装叩きでしこたま打ち据えた。
折檻中にお漏らし、脱糞、吐瀉、耳だれは付き物である。
後片付けを考えると、折檻の場としては、浴室は適した場であった。

『わからないテチ 知らないテチ』

自慰の事を問いただしても、ボラギは知らぬ存ぜぬを貫き通した。
デさんやモニカから性知識を学んだわけでもあるまい。
「淫乱」という業は、実装石が持ち合わせる一つの性質である。
それを否定するほど、飼い主としてのエゴを貫くつもりはないが、幼少の頃の教育というものがある。
猿に自慰を教えると永遠と繰り返す。飼い実装として、そんな風には育てなくはない。

「おまえが、やっていた行為は『自慰』というんだ。とにかく、自慰は駄目だ!」

俺はボラギを浴室のタイルの上へ放り投げ、シャワーを手に取る。
そして、温度設定を40度にして、シャワーの蛇口を捻った。

「チャァ!! チャァァッ!!」

浴室の床上に散乱したボラギの吐瀉物や排泄物を流すのと同時に、ボラギにそのシャワーを浴びせる。
お湯の温度は40度。実装石にとっては熱湯に違いない。

「ヂィーーッ!! ヂヂッーーッ!!」

「自慰はめっ!わかった?」

『ジィーーーッ!! ジィーーッ!!』

熱湯コマーシャルのリアクションのようにのたうち回るボラギ。
リンガルには、自慰と叫ぶボラギの声が流れた。
わかってるのか、こいつ?

「デッ!? デッ!?」「テッ!? テッ!?」

ボラギの悲鳴を嗅ぎ付けてか、彼女の保護者たちが浴室へとやってきた。
浴室の曇りガラスにぼやけて見える赤緑の目の間が、鼻息で曇っていた。
デさんたちに免じて、躾はこれにて終了だ。ま、少しは懲りただろう。
俺は泣き叫ぶずぶ濡れのボラギを、デさんたちに引き渡した。

◇

その夜の出来事だった。
寝る前にトイレで用を足し、自室に戻ろうとしたときだった。

「テー… テー…」

廊下の暗がりから、息の荒い声が聞こえる。
俺は、昼間の出来事を思い出した。また、あいつ。懲りてなかったのか。

俺は、その場に身を沈めて、暗がりの中から廊下の様子を伺った。
前にも言ったが躾はタイミングが肝心だ。いわば、現行犯。
後で証拠を立証しても、彼奴らは理解できない。つーか記憶が持たないのだろう。

素行が改善されないならば、何度も何度も躾を繰り返すしかない。
しかも、その躾の度をだんだんとエスカレートさせなければならない。
本能に直接訴えかける痛みこそが、ルールを理解せしめる最短の有効な教育方法なのだ。

「テー… テー…」

電気を消えている暗がりの廊下に響く、甘い声の息づかい。
しかし、ボラギにしては、少し大きすぎるような声?
そんなことを考えているうちに、俺の目が、暗がりに目が慣れてきた。

「!」

声の主は、モニカだった。
見れば、廊下の柱に向かい、腰を突き出すようにして、湿った下着を擦りつけている。

(あいつか……)

無垢なボラギに自慰を教えたのは、モニカだったか。
俺は実装叩きを手に、モニカに近づこうとした時であった。

「デー… デー…」

俺の後ろから、モニカよりも大きな声の荒れた声。
見れば、デさんが台所の冷蔵庫に向かって、同じように腰を宛がっていた。
前後からニチャニチャと滴るような音に囲まれて、暗がりの中、思わず転けそうになる俺。

嗚呼、デさんまで…。

実装叩きを手に彼女らを折檻部屋(浴室)に招こうとした時、俺は、実装石特有の習性を思い出した。

「…! マーキングか…」

従来、実装石は群れない生物である。
家族単位で生活を行い、家族の死も家族の皆で看取る。
花粉などで妊娠が可能な実装石は、家族のみのコミュニティで生活を行い、
極端に他の実装石と交わるのを嫌う。

ダンボールのような小さな空間を好み、その中で仔を成し、仔を育てる。
しかし生活する中では、他の実装石と接触をせざるを得ないシーンも現れる。
それを避けるために、実装石は、自らの行動範囲内のあちこちに、
自らの糞や小水などの排泄物でマーキングを行う習性を持っているのだ。

他圏から現れた実装石が、そのマーキングを匂いで気づく。
ここから先は、他実装のテリトリー。その実装石はその地域を避けて、別の地域へと赴く。
他の家族との接触というトラブルを、できるだけ避けるための実装石たちの知恵である。

公園などで、錆びた鉄棒に股間を擦りつける実装石をよく見るが、
あれは自慰行動ではなく、マーキングに躍起になっている姿であると言えよう。

飼い実装では、その習性は現れることはない。
なぜなら、自らの生活空間を脅かす天敵がいないからだ。
つまり、家族という概念をもたらす多頭飼いを行わなければ、家庭内で現れない習性。
それがマーキングだ。

ということは、昼間のボラギも自慰でなく、マーキングというわけか、
幼少のボラギに自慰は、似つかわしくなかったわけだ。

あ〜ぁ、あほらし。
俺はデさんとモニカをそのままに、自室へと引きこもった。


◇

さて。今夜のおかずは何にしようかな。
よし、これだ。「チョリベバ女子高生 潮吹き大作戦」だ。
俺はDVDをセットし、近くにあったティッシュペーパーを足ですり寄せ、右手で愚息を握る。

「え〜と、抜き所は、トラック3のこの辺り〜と」

その時、背筋が凍るような3つの視線を、部屋の後ろから感じた。

「…………」
「………」
「……」

折檻のためか、両目がお岩さんのように腫れたボラギが、俺の股間を凝視していた。

「いやまぁ、なんだ」


(つづく)

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