タイトル:【愛】 実装かぞく6
ファイル:実装家族006.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1699 レス数:0
初投稿日時:2009/10/17-23:12:37修正日時:2009/10/17-23:12:37
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第6話「デさんとボラギノール3」


あの事件以来、ボラギノールはこの家の中で、デさんの後ばかり追い続けた。
デさんも、とうとう観念したのか、ボラギノールにこの家で暮らす上での処世を教え始めた。

「デスッ!! デスデスッ!!」

玄関に降り立ったデさんが、何か高邁な演説をしている。
ボラギノールは、デさんの話に食い入るように、耳をそばだてている。

「デスァ!! デスデェースッ!!」

そう言いながら、デさんは玄関に脱ぎ捨てられている俺の靴の匂いを嗅ぎ始めた。
デさんに習ってか、ボラギノールも爪先立ちで、興味津々に靴の中に顔を突っ込む。

何をやってるんだ、あいつら。
俺は、眉間に皺を寄せながら、2匹の様を見つめるのだった。


◇

「デスッ!! デスデェース!!」

次いで、物置部屋の箪笥の裏に、手を入れるデさん。
俺は2匹の後を追い、隠れながら、様子をうかがっている。

「テェェェェッ!!」

ボラギノールの嬌声と共に取り出されたのは、ゴキブリの死骸だった。
1匹。2匹。3匹。おいおい。何匹出てくるんだ。

その1匹を、花飾りのように頭につけて、デさんはデププと笑う。
ボラギノールの頭にも、1匹死骸を乗せてやるデさん。
丁度、近くにある鏡台に映る姿を見ては、頬を赤らめる2匹。

次いで、デさんは廊下の梁の染みを指差し、デスァデスァと叫んだりする。
そして、顔を近づけて、クンカクンカと匂いを嗅いだ。
ボラギノールもそれに習い、クンカクンカと匂いを嗅ぐ。

続いて、便所マットを捲っては、何か思考がロックされたかのように、デーと便所マットの裏の生地を、
ボラギノールと小一時間、見つめたりした。

何やってるんだか、あいつらは。

そして、デさんは浴室へと入り、排水溝の中に手を入れて何かを必死に集め出した。

「テェ!! テェ!!」

集まるそれを見る度に、ボラギノールは大興奮だ。
よく見ると、浴槽の排水溝に溜まった、俺の抜けた髪の毛を集めているようだった。
あ、デさんが浴室から出て来る。やばい。見つかる。

実装服のスカートの裾を濡らしたデさんとボラギノールが浴室から出てくる。
俺はさっと身を隠し、再び彼女らの後を追った。

頬を赤らめながらデさんがやって来たのは、東の和室だった。
そして、押し入れの前に立つと、デさんはデスデスと何かボラギノールに語った後、
指のない手で器用に押し入れを開けたかと思うと、スカートから見える下着を露わにしながら、
ごそごそと押し入れの中へと入っていった。

ふむ。俺は子供の頃を思い出す。
よく俺も、家の中に「秘密基地」と称して、お菓子や玩具などを持ち込んで、
自分だけの聖域というべき空間を作ったものだ。

もしや、これはデさんの秘密基地か。
そう思うと、俺は微笑ましくも吹き出しそうになった。

「テェェェッッ!! テェェェッッ!!」

続いて、押し入れに入ったボラギノールが驚愕の声を上げていた。
何が起こっているのか、東の部屋を外から覗く俺には、押し入れの中は伺い知ることはできない。
俺は、忍び足でそぉ〜と、押し入れの前まで近づき、押し入れの襖の間から、中をそろりと見てみた。

「デッ! デッ! デッ!」

見れば、デさんは近眼用の眼鏡を、器用に鼻下へとずらして、指をベロベロ舐めながら、
先ほど浴室で集めた俺の毛を1本1本数えていた。
その足下には、コンビニ袋が置かれてある。
その中には、黒々とした大量の物体があった。
言うまでもなく、デさんが長年集めて来た、俺の髪の毛だろう。

ふむ。俺は子供の頃を思い出す。
よく俺も、切手やキン肉マンの消しゴムや、色々なものを集めたりしたっけな。
そういや、キン消しって何処やったけな。

「テチュ〜〜ン♪ テチュ〜〜ン♪」

ボラギノールがコンビニ袋に顔を突っ込み、大量の黒々とした毛に囲まれながら、甘い声を出していた。

…………。
まぁ実装石に取って「毛」というは、それが別の種の物であっても、よほど大切な物なのだろう。

しかし、デさん。
俺に隠れて、こんな基地や、こんな趣味など持っていたとは。
飼い主に秘密を作るなど、飼い実装らしかぬことである。これは、お仕置きが必要だ。
そう思った俺は、押し入れの襖の間から、ポケットに入っていたある物を転がした。

「デ? デッス〜〜ン♪」
「テチュゥ〜〜ン♪」

金平糖のお仕置きだ。
まぁ2匹で仲良く、食べるがいいさ。
俺は、仲良くやってる2匹の邪魔をしないよう、その場を立ち去った。


(つづく)

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