タイトル:【愛】 実装かぞく2
ファイル:実装家族002.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2109 レス数:0
初投稿日時:2009/10/11-10:48:32修正日時:2009/10/11-10:48:32
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次の日。俺と仔実装は公園へと出掛けた。
拾った仔実装の母親を捜す為である。

ここは、この実装を拾った場所から一番近い公園。
実装石は、通常公園に群がる習性があるため、この仔の母親もこの公園にいる可能性は高い。

「この公園も久しぶりだな」
「テチュ〜?」

ポケットから顔を出し、そこから見える風景を見るや否や、仔実装はポケットの中で騒ぎ始めた。

「こら。そんなに騒ぐなよ」
「テチャァァァーー!? テチュアアアアーーー!?」

仔実装の目線の高さからは想像もできない風景が、上着のポケットから見えるのだろう。

「チュァァアーー? テチュゥゥゥゥーーー!!」

頬を赤く染めながら、ポケットの中で大興奮の仔実装。
ポケットの中が少し湿ってきた。どうやら興奮のあまり失禁したらしい。やれやれ。

そんな仔実装を押さえながら、公園の中を練り歩く。
公園の茂みを注意深く見ると、所々に赤緑に光る眼が見える。野良実装だ。

「なぁ。この仔の親を知らないか?」

一つの茂みに近寄り、声をかける。

「デデッ!?」

薄汚れた成体実装石。
明らかに警戒心を解こうとしなかったが、金平糖を与えると、表情が柔和になる。

「なぁ。この仔なんだが」

両手で仔実装を差し出す。

「ンチャ!! モグッ!! ムファッ!!」

鼻を垂らし、両目を寄り眼にして、口の中の金平糖の味を確かめるに必死だった。
通常、実装石は母性が強いため、はぐれた実の仔を前にすれば、何かしらの反応があるのだが。

「こいつじゃないみたいだな。次、行くか」
「テチュー!! テチュー!!」

手の中の仔実装は、野良実装に与えた金平糖が名残惜しいのか、両手を差し出し、宙を掻き続けていた。

◇

もうどれくらい同じ事を続けただろうか。
持参したお徳用の金平糖の袋も、既に軽くなっている。
ポケットの中の仔実装が、テチューテチューと俺に声をかけた。

「ん?どうした」
「チュー!! チュッチュッーッ!!」

彼女がポケットから身を乗り出し、しきりにある方向を指さしていた。

「ん…」

その方向は、公園が隣接している道路であった。
この街の繁華街と住宅街を結ぶこの市道は、時間帯に寄っては、かなりの交通量がある。
その道路の脇に、黒い物体が横たわっていた。

嗚呼。
俺は、騒ぐ仔実装をポケットに押しやり、その物体に近づいた。

「…………」

もう口を利くことのないその物体は、でれんと舌を出して絶命していた。
胴体が歪に窪んでいる。その実装服には、タイヤ痕が生々しい。
野良実装。それも成体実装石の死体だった。

「チュー!! チュー!!」

ポケットの中で抗議の声を出す仔実装を余所に、俺は何故かこの死体が、この仔の母親だと実感していた。


◇

と言うわけで、この仔が家族の仲間入りをするになった。

「デスァ!! デスァ!!」

家に帰ると、デさんが、相変わらず抗議の声を荒げていた。壁に向かって。

はい。実装眼鏡。
黒縁の実装眼鏡をかけると、近眼のデさんは、俺に向かって悲痛な声を上げ続ける。
手の中には、疲れ切って、寝入った仔実装。

そうだ。この仔の名前を考えないとな。
そう思いながらも、俺は頭を捻りながら、騒ぐデさんを納得させる理由を考えなければならなかった。


(つづく)

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