◆実納(1/3) 今日はとある地方の山沿いに在る、今では数少なくなった農村で行われている伝統行事を見てみましょう。 実納と呼ばれるその行事の歴史は長く、この地方では平安時代から行われていたそうです。 この実納は元旦に行われ、その際に用いられる実装石の準備はその10日前から行われます。 12月下旬、雪の降りしきる農村です。 今年は城沢さんのお宅に実納の下準備の順番が回ってきました。 宏忠さんは今年で86歳になり、宏忠さんの家は代々この村で畑を耕して生活してきました。 宏忠さんの奥さんのマツさんです。 マツさんはこの村に嫁いできてから宏忠さんを支え続けています。 草鞋を履き笠を被った宏忠さんが玄関から出てきました。 宏忠さんはこれから山に冬眠中の実装石を捕まえに行きます。 マツさんが竹の籠を宏忠さんに背負わせると、宏忠さんは雪の中に出発します。 それから1時間ほど歩き、山の中腹に到着しました、一面銀世界です。 一本の大きな木の前で止まりました。 どうやらこの木の根元に実装石が冬眠しているようです。 宏忠さんは籠を降ろし、籠の中に入っていた鍬を取り出しました。 「実装掘るんにゃあこれが一番じゃけん」 宏忠さんは手に持った鍬で雪と土を掘っていきます、すると。 「デー?」 居ました、冬眠中の実装石です、目を覚まし宏忠さんを見ています。 しかし、宏忠さんは不満顔です、一体どうしたのでしょうか? 「ダメだの、こいつじゃー小さすぎる」 「でっけーくて、丈夫じゃねえといかん」 どうやら実納で用いられる実装石には一定の大きさと丈夫さが要求されるようです。 鍬を籠に放り込んだ宏忠さんは、目を覚ました実装石の首を左手で掴み、持ち上げました。 実装石の方は何が起きたのか理解できず暴れています。 宏忠さんは右手で実装石のお腹を揉み始めました、何をしているのでしょうか? 暫くしてある一点だけを確認するように揉むと、籠から再び鍬を取り出しました。 左手で実装石を雪の上に押さえつけたまま、右手の鍬を勢い良く実装石の腹部に振り下ろしました! 実装石は叫び声を上げることなく即死していました。 宏忠さんの鍬が実装石の偽石を砕いたのです。 しかしどうして目的の実装石でない実装石を殺してしまうのでしょうか? 「寝たままならええ」 「一度起きたらあたー凍死するだけだかんの」 「苦しまんようにしてやるんや」
