実装裁判 『ご主人様、お手紙来てたデス』 「おう、さんきゅ」 こいつの名はヒカリ、俺が飼ってる実装石だ。 子供のころから飼ってた犬が病死して以来、もう生き物を飼うことはないと思っていたのだがな。 雨宿りのつもりで立ち寄ったペットショップ。 その片隅でこいつ、ヒカリと出会った。 テチーテチーと五月蝿い特売仔実装の箱の中に、1匹だけ混じっていた禿裸。 世界中の不幸を全部自分が背負ってるみたいなツラして、俺を見上げていたっけ。 後で聞いた話だが、何らかの粗相をしてしまった躾済み仔実装を商品価値無しと判断し 髪と服を奪って、特売品として処分してしまうことがあるのだそうだ。 ヒカリもそういった元躾済み仔実装だったのかもしれん。 こいつがどんな失敗をしたのかは聞いていないし、これからも聞くつもりはない。 髪と服を奪われたことで、ヒカリの罪の償いはもう終っているのだから。 俺との生活に慣れると、ヒカリは本来の明るさを取り戻したようだった。 積極的に自分の仕事を見つけ、俺の役に立つことを喜ぶようになった。 たまには実装石らしい失敗をすることもあったが、素直に反省し努力する姿は好ましく思えた。 だか、これは… 「せっかくだがな、この分厚い封筒は俺のじゃない。虹乃浦ヒカリ様、お前宛てだ」 『デ!? ワタシにお手紙デス?』 「差出人は双葉地方裁判所、悪いことをした者の罪を決める所だぞ!おまえ何をやった!?」 『し、しらないデス!身に憶えがないデスーー!』 封筒の中身は、裁判員実装としての呼び出し状だった。 この町では実装石の裁判が行なわれているのは知っていたが、実装石の裁判員制度があるとはなぁ。 飼い実装の粗相は、全てその飼い主の責任だ。 裁判により実装石自身に罪を問うなど馬鹿げた話、度の過ぎたお遊びでしかない。 そう思っていたのだが、送付された資料に目を通すと少し考えが変わる。 怒り狂った飼い主により、その罪より遥かに重い罰を与えられる実装石が多いのだそうだ。 殺されてしまう場合も少なくはない、と書いてある。 それとは逆に、飼い主が金銭で事件を解決してしまい 罪の意識がなく再犯を繰り返す実装石もいるらしい。 そこで考え出されたのが実装石の裁判だ。 実装石が絡む事件から、被告として実装石を抜き出し客観的にその罪を裁く。 裁判員制度の導入も、人間から一方的に与えられる罰ではなく 他の実装石の意志(実意?)を反映するためなのだそうだ。 罪を償った実装石は、晴れて飼い主の元へと帰される。 元飼い主が放棄した場合には、保健所預かりとなり、新しい飼い主の元で更正の道が開かれるのだ。 裁判を受ける権利は飼い実装にしか無く、野良はその場で処分されてしまうのは言うまでもないが。 「というわけで、俺の早とちりだった。ひっぱたいて悪かったなヒカリ」 『デッスン… デッスン…』 「そう泣くな。裁判員に選ばれるというのは名誉なことだぞ。パンフにもそう書いてある」 『メイヨ… デス?』 「そうだ。お前が名誉ある裁判員に選ばれて、俺もとっても嬉しい」 『ご主人様がうれしいなら、ヒカリもうれしいデス。えっへんデスゥ!』 そう言って胸をはるヒカリ。 実装石本来の性質なら、もう暫くは駄々をこねてグズっているのだろう。 ヒカリは自分の感情を、ある程度制御することができる。 持って産まれた資質なのか、トレーナーによる躾の結果なのかはわからないが。 俺には、時々それが痛々しく感じることがある。 ヒカリがたまに見せるボォッとした表情。 悪い夢でも見ているのか、寝床でうなされてたこともあったな。 あれは、虐待まがいとも聞く厳しい躾の後遺症なのではないのだろうか。 そして、裁判の日がやってきた。 「さぁ着いた。ここが裁判所、双葉地裁だ」 『大きいデスゥ、大きな石のお家デスゥ』 流石に緊張しているようだな。 ま、俺もヒカリも裁判所なんて初めてだしなぁ。 ロビーには他の裁判員実装が飼い主同伴で到着済みだ。 ド派手な連中ばっかりだなぁ。 ドレスみたいなの着てるのやら、和服の実装石までいる。 受け付けを済ませて、ヒカリの上着を脱がせる。 ズキンも付いてない地味なワンピース姿だ。 成体になった記念に、ショップで選ばせたのが薄緑のコレ。 テレビ番組のキャラクター物だったようだが、俺の目から見ても地味過ぎる。 同時に何着か買ってやったのもあるのだが、自分で選んだ物が一番気に入ってるようだ。 「ただいまから開廷いたします。裁判員実装の皆様はこちらへどうぞ」 飼い主は裁判に同席出来ない。 これは被告実装のプライバシー保護と、裁判員実装の自由意志を束縛しないためだ。 飼い主は控え室で裁判が終るのを待つことになる。 派手な連中に気後れすることも無く、禿げ頭丸出しで係員の後をズンズンと進むヒカリ。 頼もしい足取りだ。頑張れヒカリ。 「おーほほほほ♪」「ざまーす♪ざまーす♪」「カーカッカッカッ♪」 控え室で飼い主達の笑い声が響く。つーか俺以外、顔見知りなのか? 「赤と黒のドレスとは驚きましたわ。情熱的なエメラルドちゃんにお似合いで、とってもよろしくってよ」 「アースカラーのミントちゃんも素敵ざます。絵本から抜け出た妖精ざまーす」 「究極のドレスに至福のドレスじゃな、甲乙付け難し。どちらも天女が舞い降りたようですじゃ」 「和服の緑雲ちゃんもシックで素敵ざます。フルオーダーざます?」 「いやいや、あれは愚妻の手慰みでしてな、いやはや面目無いですじゃ」 「まぁ、素敵な奥様でいらっしゃること。ご衣裳も素晴しいし、緑雲ちゃんだからこその着こなしですわぁ」 …なんか、場違いな雰囲気。主に俺が。 「ところで、今回のMVPはあのハゲちゃんでよろしくって?」 「あれほどの物を見せ付けられては、そう認めざるを得ないざまーす」 「フィールドラカンの実装ジャケットの下から、あれが見えたときは心臓が止まるかと思いましたわ」 あ? え? ヒカリが何か…? 「おとぼけも過ぎると嫌味になるざまーす!!」 「幻のファーストシーズン物だなんて、非常識にも程があるとはお思いにならなくて?」 「わたくし達の目は節穴では無いざます。 JHKの人気番組ドリーム☆ドリミィおしゃれ普段着シリーズの一品、通称、山手線のドレスざます!!」 「ほほぅ、それほどの名品とは。眼福、眼福」 あの地味服が…ですか? 「いいこと、今の人気はセカンドシーズンからですわ。 ファースト物は極少数、しかも地味、地味だからレア、レア中のレアですわ!!」 「さます、ざます。そーざます!!」 「一見、爽やかな好青年、その実態はとんだ溺愛派でいらしたのね、恐ろしい子!!」 「熱中する物に全ての情熱を注ぎ込むその姿、あっぱれじゃ。青年よ、信ずる道を進むがよい」 えーっと、俺、喉が乾いたのでちょっと失礼します… ロビーに戻って、自販機のコーヒーで一服入れる。 なんちゅう所だ、ここは。 実装石のファッションショーか? まてよ、んじゃ、あれと一緒に買った他の服にもプレミア付いてんのか? やれやれだな。 開廷から10分か… 実装石の裁判は、4匹の裁判員実装と3人の人間(裁判長、検察官、弁護人)によって行なわれる。 人間の参加者はボランティアだが、双葉大法学部の学生や現職あるいは引退した元裁判官、元弁護士など司法の専門家だ。 実装心理学の研究者が、弁護人として立つこともあるのだそうだ。 裁判の流れは、被告である実装石の本人確認、検察官による罪状認否、弁護人による弁護が行なわれ 裁判員実装による質問と協議の結果、裁判長の意見を交えての1人と4匹による多数決判決となる。 ヒカリのやつ、大丈夫かなぁ。 ここは双葉地裁、本館第106法廷。 設置された2台の大型液晶モニターには、犯行現場である双葉デパート食品売り場が映し出されている。 検察官「試食品を食べ尽くした被告は、飼い主の制止も聞かず、贈答品コーナーへ侵入しました。 ここで再び脱糞し、女性店員2名に対し投糞行為を行なっております。 包装済みの高級チョコレート13箱に糞塗りを行ない、内2箱を貪り食うという凶行を行なっております」 モニターの画像が切り替わり、無残に食い散らかされた糞まみれのチョコレート箱が映し出される。 検察官「かけつけた男性店員のモップをかわし、被告はケーキ売り場への移動を試みたものと思われます。 脱糞しながらの逃走途中、ガラス及びアルミ製店内ディスプレー2点を引き倒し、これを破壊。 その後、よじ登ったショウケース上から転落し頭部を強打、失神した時点で身柄を拘束されています」 『デタラメデス!!コイツは大嘘吐きデス!!ワタシじゃなくてコイツを裁判にかけろデスー!!』 裁判長「ところでミドリさん、ショコラ・シュシャールのチョコは美味しかったですか?」 『デスゥ〜♪高貴なワタシに相応しい味だったデスゥ。最高のスイーツデスゥ♪』 一同「『 …… 」』 裁判長「同意が得られたと見なし、以上で罪状認否を終了します。 引き続き、被告実装の弁護をお願いします」 弁護人「被告であるミドリちゃんは大変な罪を犯してしまったように思えるかもしれません。 ですが、皆さん、考えてみてください。 ミドリちゃんのオヤツは、うまい棒チョコ味しか与えられない毎日でした。 そんな生活の中で、一度だけ食べたことがある高級チョコの山を見せられたらどうでしょう? それは拷問です。酷い虐待行為以外の何物でもありません。 そう、ミドリちゃんは被害者なのです」 『デスデス!そうデス!オマエはなかなか見所のあるやつデス!!』 弁護人「さて、粗相をしてしまった件はどうでしょう? 飼い実装としてあるまじき行為、とても恥ずかしいことですねぇ… でも、これにもちゃんとした理由があります。 ちょっと太りぎみだったミドリちゃんは、飼い主さんから人工甘味料入りのフードを与えられていたのです。 ご存知の通り、これには食べ過ぎるとお腹が緩くなる副作用があります。 ミドリちゃんがウンチを漏らしてしまったのは事故、避けられない不幸な事故だったのです」 『コイツの言うとおりデス!!ワタシは無実デス!!』 弁護人「最後に… これが一番大切なことですが、ミドリちゃんには前歴がありません。 万が一、いや、そんなことは有得ないのですが、仮にミドリちゃんの行為が罪だと判断されてたとしても 彼女は初めて、そう、初犯なのです。 裁判長、そして裁判員実装の皆さん、どうか寛大なるご判断をお願いいたします!」 『オマエのことを気に入ったデス!!オマエが望むのならワタシを飼わせてやってもいいデスゥ♪』 検察官(なぁなぁ、この程度の騒ぎが、なんでこっちにまわってくるんだ?) 弁護人(それがですね、立場上初犯って言っちゃいましたけど、何度かやらかしてるみたいなんですよねぇ) 検察官(はは〜ん、流石に今回は店側が切れたと… ア・ナールほど…) 裁判長「私語は控えるように。では、質問に移ります。山田エメラルドさんからどうぞ」 『デスデス、オマエに聞きたいことが一つだけあるデス。 死刑になる気分はどうデスゥ?』 『デ、デェ〜〜!?』 『デピャピャピャ、オマエみたいな極悪犯は死刑にキ・マ・リ デスゥ〜ン♪』 『デジャー!!オマエが死ねデス!ブタブタ!!赤黒のブタは死ねデジャー!!』 裁判長「あー、次の質問、綾乃小路ミントさんどうぞ」 『ワタシはミドリちゃんは悪くないと思うのデス』 『デデデ!話のわかるやつが現れたデスゥ♪』 『悪いのはオイタをした手なのデス。蒼い仔に頼んでチョッキンしてもらえばいいと思うのデス』 『デェ〜、コイツが一番危険かも…デス』 『それでぇ、悪い手がもう生えないように根元からジュジューと焼いてしまえばいいと思うのデス』 『むちゃくちゃ言うなデジャーー!!フワフワのホソホソ!! そこから降りて来いデズァ!!へし折ってやるデズァ!!』 『まぁまぁ、皆さん。今は求刑ではなくミドリさんに質問する時間デス。 裁判長様、発言してよろしかったデス?』 裁判長「児玉緑雲さん、どうぞ」 『覆水盆に返らずと言うデス。犯してしまった罪はもうどうしようもないデス。 ミドリさん、大切なことはあなたが罪を認め、償う意志があるかどうかデス。 アナタは元の飼い主さんの所へは、もう戻れないかもしれないデス。 デスが、罪を償ったアナタに新しい飼い主さんが現れる可能性もゼロではないデス。 ワタシ達は敵ではないのデス、アナタが飼い実装に戻れるよう応援しているデス。 ミドリさん、アナタは自分の罪を認め、それを償う意志があるデス?』 『うっさいデス!!死に損ないの糞ババァ!! 演説してる暇があったら、さっさとくたばりやがれデズァ!!』 『お答えが得られず残念デス。以上でワタシの質問は終りデス』 裁判長「では、最後に虹乃浦ヒカリさん」 被告実装をじっと見つめていたヒカリ、軽く深呼吸してから静かに問いかけた。 『ミドリ、さんデス? お久しぶりデス』 『デ? ハゲに知り合いはいないデ… デェェーーェ!! お、おネェちゃん!?』 検察官(おいおい、身内かよ。まー、こいつらどこでどう繋がってるかわかんねーしなぁ) 弁護人(どうするかなぁ、裁判長。 あ、続行ね。ハイハイ) 『今はヒカリという名をもらって、ご主人様の元で幸せに暮らしているデス』 『そ、それはヨカったデスゥ… し、し、心配してたデスゥ』 『ワタシ達は仲良し三姉妹として、あのショップにやってきたデスゥ。 先生の厳しい躾が終り、夢みていた飼い実装としての生活が始まる… 期待に胸が膨らんだデス。 ショップのお部屋は広くて、お布団もフワフワ、透き通ったお水がとっても美味しかったデスゥ。 自前のじゃなくて、新しいお揃いの服も着せてもらえたデスゥ。 オマエも末っ子ちゃんも、はしゃいでいたデスゥ。シアワセだったデス… ワタシが今着ている服を見るデス。憶えているデス? 同じ色の服だったデスゥ… 朝になって目が覚めたら、ワタシも末っ子ちゃんもパンツ履いてなかったデス。不思議デスゥ。 ウンチまみれになって、パンツは二つともオマルのそばに落ちてたデス。 あの朝、オマエだけウンチ臭くなったお布団じゃないところに寝てたのはどうしてデスゥ?』 無言でダラダラと油汗を流す被告実装。 『ワタシと末っ子ちゃんは、怒った店員さんに何度もぶたれたデス、痛かったデス。 髪も服も取られてしまったデス、悲しかったデス… あのとき、オマエが履いていたのはワタシのパンツじゃなかったデスゥ? 汚れた自分のパンツを脱ぎ捨てて、末っ子ちゃんので尻を拭いたのではないのデスゥ? オマエの寝グソタレは、治ってなかったのデス! オマエは昔っから、ウンコタレだったデス!!』 『し、しらんデス!オマエみたいなハゲは、しーらーなーいーデーース!!』 『末っ子ちゃんが変になったデス。 優しいとってもいい仔だったのに… デス… ワタシの腕の中で、お歌を歌いながら死んだデス… パキンと小さな音が聞こえたデス… ワタシは見たデス! オマエはワタシたちを見下ろしながら笑っていたデス。 オマエは変わってないデス。 昔っからウンコタレの大嘘吐きデス! 罰を… 罰を受けろデス!!』 『うっさいうっさい!!!糞姉!!姉妹なら助けろデズァァァ!!』ブリブリ… 検察官(あちゃー、また漏らしやがったよ。換気扇、換気扇) 弁護人(被告席にビニール風呂敷を広げといたのはナイスアイディアっすね) ザワ…ザワザワ… (『これは… 貴重な証言を得たデス』) (『ウソツキは死なないと治らないと思うのデス』) (『絵に描いたような糞蟲デス。致し方ないデス』) 裁判長「では(時間も無いので)求刑に移ります。まずは私から… 過去の判例を参照し、実装叩きによる百発刑を求刑します」 『イタイのは嫌デズゥ!!オマエが代わりに叩かれろデス!!』 裁判長「ただし、初犯であることを考慮し、2ヶ月の執行猶予とします」 『デ? ユウヨ、デスゥ? オマエのことをちょっとだけ見直したデスゥ♪』 裁判長「裁判員実装の皆さん、順次どうぞ」 『最初っから決まっていたデス。死刑を求刑するデスゥ♪』 『死刑しかないと思うのデス。ミドリちゃんバイバイ、とっても悲しいデス』 『更生は望めそうにないデス。死刑を求刑するデス。 残念デス』 『厳罰を望むデス。 …死刑デス』 裁判長「判決! 協議の結果、更生の余地無しと判断し、被告実装を死刑に処す!」 『不当判決デス!!オマエら全員死ねデヂァァー!! ァア? ア?』 裁判長自らの手で、処理袋に押し込まれるミドリ。 裁判長「ほらほら、そっちも押さえて」 弁護人「漏らしたウンコも風呂敷ごと、処分と…」ボトボト 裁判長「灰皿の中身も入れちゃって。そもそも、ここ禁煙なんだよ?」 検察官「すんませんねぇ、ついでに紙コップもぽいっと」 『デゴゥ!?ぺっぺっ、ゆるさんデジャァァ!!!』 検察官「でもなぁ、この制度始めてから極刑ばっかじゃね?」 弁護人「実装ちゃん達の意見を反映した結果ですよ。何の問題もないっしょ?」 裁判長「これにて閉廷します!」 弁護人「え〜、今から裏庭の焼却炉で刑を執行しまぁす♪ 見学したい実装ちゃんは僕について来てねー」 お、裁判が終ったようだ。 興奮した様子の裁判員実装達が控え室に戻ってきた。 『デェス! 凶悪犯を極刑にしてやったデスゥ♪』 凶悪犯!? 極刑!? おいおい、そんな重い裁判だったのか? 俯いたヒカリが入ってくる… 様子が変だ。 「ヒカリ、裁判は…」 『……』 「あ、すまん。守秘義務があったんだな。話さなくていいぞ、俺ももう聞かないから」 『デズ…』 「お、おまえ… 泣いているのか…?」 受け付けで受領書にサインする。 飼い主には日当が支給されるのだ。交通費+α程度だがな。 そして、裁判員実装には金平糖の袋だ。 「へぇ、そこいらじゃ売ってないタイプだ。凄い高級品だったりしてな!」 『デス…』 俺がはしゃいで見せれば、愛想笑いぐらいする奴なのだが、そんな余裕も無しか… まるで、あのペットショップで出会ったころに戻ってしまったかのようだ。 裁判は終った。 罪を犯した者は裁かれ、罰を受けることで救われる… こともあるのだろう。 しかし、裁いた者が救われることはあるのだろうか? 他者を裁いたという精神的負担は、消えることはなく生涯に渡って負わねばならないのだから。 「お疲れさまだったな。さぁ、帰ろうヒカリ」 『やっと… やっと終ったデス… 』 お・わ・り
