タイトル:【虐】 着火男
ファイル:ちゃっかまん.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4809 レス数:0
初投稿日時:2009/07/21-02:16:13修正日時:2009/07/21-02:16:13
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何もする気が起きない。何もできない。ただのろのろとコンビニまで歩いて来た
のは、日課の散歩のためだけかも知れなかったが、思い出して、柄の長いライ
ターを買った。

ガスコンロのつきが悪くなっているのだ。

掃除をするか、買い換えるかでなんとかなることだが、とりあえずこれで少し延
命できるだろう。その間に体調が良くなればめっけものだ。

とにかく、店の外に出て、あいている車止めのコンクリに尻を預けてしゃがみ込
む。

本当はアスファルトに倒れ込みたいほどなのだが、夏の日差しをいっぱいに浴び
たアスファルトにそれをして、無事で済むとは思えない——そういう終わり方で
も構わないのだが、時間がかかるのは御免だった。

そうしてしゃがみ込んで、買ったばかりのライターをいじっていると、子供の実
装石が近付いてきて、お愛想をする。

ふと思いついて、脂ぎった髪に炎を移らせてみる。

「てっ、てぢゅあああああっぁぁぁぁぁぁ……ジィ」

一瞬で燃え上がり、そのパニックで駆けだしたところで事切れてしまった。スト
レスが大きすぎるのだろう。その死体に、しばらく羨望のまなざしを向けていた
が、匂い気がついて髪と服の残骸を払ってみると、案外美味しそうに焼けている
……そういえば、満足な食事も食べていなかった。

またコンビニに戻って醤油を買い足す。散水用のホースを使って糞ぬきをし、醤
油をたらして食べてみる。内臓の苦み、臭みもあるが、焦げた皮の歯ごたえと味、
肉汁の味がない混ざって、忘れ去っていた食欲をよみがえらせる。

気がつくと、仔実装数匹を連れた成体が「デスデス」とうるさい。喰ってしまっ
た仔実装の親かも知れない。

ついてくるのをそのままに、近くの公園に向かう。小さなもので、正式には「児
童遊園」であるが、今そこで遊ぶのは実装石ばかり。そこら中に放置された糞の
山が、折からの熱波で乾いている。

水道そばのベンチに落ち着くと、さっそく実装石に取り囲まれた。

そこで、何匹かの仔実装に火をつけると、実装石の群れはクモの子を散らすよう
に消え失せた。力尽きた死体を集めて水道に行き、糞を抜く。

醤油をたらし、まとめて口いっぱいに入れて、咀嚼する。

——うまい。

忘れ去っていた食べる喜びが、ふつふつと湧いてくる。ちゃんとした調理ではな
いため、生っぽい部分もあるが、それがまた独特の柔らかさと風味があって、食
欲が刺激される。

もっといないか——しかし、実装石は逃げ散っている。

逃げた先は、あちこちに見える段ボールの家だろう。それごと燃やして、蒸し焼
きにして食べればいい。

手近の段ボールハウスに着火する。

めらめらと火が回って、中が耐えられなくなった実装石親子が飛び出してくる。
仔はすぐに力尽きて倒れるから、焼いて食べる。

成体のほうは盛大に悲鳴と炎を上げながら別の段ボールハウスにぶつかっていく。
助けを求めてのことであろうが、火事を広める結果となった。その段ボールハウ
スも派手に燃え上がって、中から火のついた実装がわらわらと逃げ出してくる。

もうこうなると公園中がパニックになり、火がついている実装もついていない実
装も闇雲に駆け回り始める。火は段ボールハウスから落ち葉の山、ゴミの山に移
り、生木さえ燃え上がった。

気がつけば、狭い公園は実装石の断末魔と炎で満たされている。

「ここで死ぬのか」

事切れた親実装の腕をちぎり取り、醤油をかけて口に押し込む。やはりうまい。

「……なるほど」

煙にむせながら、火のついてない実装石を捕まえては火をつける。盛大に上がる
悲鳴、下着から漏れ出した糞にも引火して火柱が立ち上る……。


ふたば第23児童遊園で起きた火事は、現場で発見された被害者の胃から実装石の
組織が検出されたため、調理中の失火が原因とされた。また、その動機について
は被害者が精神科に通院中であったため、診療記録などから慎重な取り調べが続
けられている。



毎度ごひいきにあずかりありがとうございます。長編の人情噺にとりかかってお
りますもので、ここらでちょいと箸休め。「おかわり」ダークサイドに落ちてみ
ました。

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