タイトル:【愛】 かみなりさま
ファイル:かみなりさま.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2188 レス数:0
初投稿日時:2009/07/11-22:45:01修正日時:2009/07/11-22:45:01
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うだるような暑さが一息ついたと思って気がつくと、外は真っ暗。

あ、と思う間もなく、ばたばたばたっと大粒の雨粒があたりをたたき出します。
あわてて家中の窓を閉めてまわるトシの足元を、緑色の人形のようなものがまと
わりつくように走ります。実装石のサツキです。

トシとサツキが窓を閉めて歩く間にも、おなじみの音が聞こえてきました——雷
でございます。サツキの鳴き声が泣き声に変わります。立ち止まったトシのスネ
に抱きついてくる。

「あー、サツキは初めてか? あれは雷様だよ」

「デスゥ?」

しゃがんで背中をなでてやります。

「お空が怒ってるんだな。でも、大丈夫。そんなに悪いことしてないだろ?」

「デスッ!」

<してないっ!>とリンガルに表示されました。

「だったら、ここには落ちてこないよ」

「デス」

軽口を叩くトシも、実は雷が苦手でございました。

手加減して言うなら、大きな音が苦手、というところでしょうか。稲光は綺麗だ
と思うけれども、どうしても音で身がすくんでしまう。恐いのはどこにいても恐
いが、とりあえず、綺麗なものを観て気を紛らわせよう……というわけで。

「サツキ、雷様を見に行こうか」

「デスッ!?」

スネにしがみついていたサツキが見上げます。折れて垂れ下がった耳ごしに見上
げる仕草は、中実装に育った今も可愛いものでございます。

「綺麗だよ? 音だけ聞いていても恐いだけだろ?」

「デス」

そこでサツキを抱き上げて、2階の寝室に参ります。ベッドの上に座れば、窓か
ら稲光が見えるかも知れません。ベッドには念のためバスタオルを敷いて、その
上に二人で座りました。サツキは立ち上がって、トシの腿に手を乗せて、空を見
上げております。

ぴかり。

2……3……4……5……6……7……

ドドーン、ドロドロドロドロ。

8×3=24。おおむね2キロと半分で落ちましたから、これはなかなか近いです
ね。

「お」

紫がかった光の枝が空を染めます。

「あれが雷様だよ」

バリッ、ドドドドドドーン。

「デ〜〜〜〜っ!」

背中をなでてやる。そうすることでトシも気が紛れます。

「本当に悪いことしてない?」

「で……デスゥ」

「悪いコトしてると、雷さまがおヘソ取りに来るんだぞ?」

「でぇえええっ!?」

そうこうするうち、閃光があたりをカッと照らし、空そのものを引き裂くような
轟音と地響き。おまけに一瞬、停電も起きました。

「…………っ!」

「〜〜〜〜っ!」

二人とも声も出ませんでしたが……

「おヘソ、ある?」

「デ……」

おそるおそる、服の裾をまくり上げますと……

<あったデスぅ>

そういったサツキの下着に緑色のシミが広がっています。

「あ〜〜〜〜〜っ!?」

<こ、これは悪いコトじゃないんですぅ?>

「オレが雷を落とすぞぉ!」

「でぇえええええっ!?」

お後がよろしいようで……。




先日は「おかわり」がごひいきにあずかり、恐縮でございます。調子に乗っ
て二つめは愛護風にしましたが、とりあえず死ぬほど怖がらせてはおります
ので、ご勘弁いただければ幸いです。

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