とある都心の地下鉄駅。 そのホームの一角に、段ボールとガムテープで作られた人の腰の高さほどの囲いがあり、 その中に実装石が飼われていた。 段ボールの囲いには「エサをあたえて下さい。」と書いてある。 時々「なぜ、不快生物を駅で飼っているのか」と駅員に苦情を言う利用客もいるが、 駅員の説明を聞くと納得して去って行く。 毎日利用する通勤客の中には、わざわざ自宅から生ゴミを持参し与えている者もいる(単にゴミを捨てているだけとも言えるが...) 囲いの中で飼われている実装石は、その辺から連れて来られた野良実装で、 毎日エサが与えられ、躾や虐待も無く、仔も生み放題の充実した実装ライフをおくっていた。 そんなある日、駅員が慌しくやってくると、トングで仔実装を摘み上げて、大きな袋に一匹づつ入れていった。 「テッ?テチャー」 「デッ!?デギャァァァ」 「テェェン、テェェン」 「デシャー」 突然の別れに驚き、威嚇する親実装。恐怖に泣き叫ぶ仔実装。しかし駅員はお構いなしだ。 ひとりの駅員が5、6袋を持って走り去ると、次の駅員が来て5、6袋詰めていく。 連れ去られまいと近くにいた仔に覆い被さるが、庇いきれない仔達が摘み上げらていく。 「テキャー」 「デデ!!」 摘まれた仔を助けに向かえば、今まで庇っていた仔が摘まれる。 あっという間に仔実装は全部持っていかれてしまった。 「テェェン、テェェン」 袋に入れられた仔実装は恐怖と不安で泣きながら、脱糞をはじめる。 どういう理屈かわからないが、実装石は自分の体積を遥かに超える量の糞を出す。 駅員の持つ袋がどんどん膨らみだした。 「テチャ!」 仔実装の入った袋が無造作に地面に投げ捨てられた。 「テチャ、テッ、テ...」 その後も袋が積み上げられていく。 地上では激しい雨が降っていた。 近年、この地下鉄駅はゲリラ豪雨対策に頭を痛めていた。 昔は地上の入り口の周りに人海戦術で土嚢を積み上げて地下への浸水を防いでいたが、 昨今ではごく短い時間に大量の雨が降るのと、不況による人員削減で力技では防ぎきれなくなっていた。 そこで考案されたのが「実装土嚢」。 人ひとりで5、6袋が過般可能で、積み上げると自動的に膨らんでいく土嚢(正確には糞嚢)である。 これにより少ない人員で、迅速に浸水防御の壁を築く事が可能となった。 やがて、激しい雨が嘘だったかのように雲間から太陽が顔を出し、水が引いていく。 浸水を防ぐ事が出来て、駅員や乗客達の間に安堵の表情が浮かぶ。 「オロロ〜ン、オロロ〜ン」 ただ一石、突然に仔達を奪われた親実装の泣き声がホームに響く。 -------------------------------------------------------------------- 二次裏のスレで「実装石を土嚢のかわりに使う方法は?」みたいのがあって そこに投下しようと思ったらスレがなくなってました。 アイデアとか被ってたらゴメンね。
