ちょっとした思いつきがあったので公園で野良仔を拾ってきた。 シンクに放り出し、胸を切り裂き手早く偽石を抜いて栄養剤につける。 今回は頭に偽石が無い個体のほうがいいだろうと思いそれをターゲットにした。 判別方法は頭を砕いて復元すれば胸にあると判断した。ちょっと乱暴だったかな。 さて、ここからが本番だ。 騒ぐ仔実装の口に角砂糖を放り込んで立たせる。 おーおー、一生懸命舐めてるな。 この内に刺身包丁を取り出して正眼に構える。 仔実装がこっちを見ている。 俺はいい人か? 「テチュッ!」 いいお返事だ。ちょっと動くなよ。 「たぁっ!」 仔実装が正中線で真っ二つになる。 「テェッ!?」 ちょっと痛かったか? ま、我慢しろ。 ピクピク痙攣している仔実装右半分を断面をタッパーの底面に付けるようにしてタッパーに入れて、 すかさず砂糖水を満たして蓋をする。 左半分も同じようにして、これを冷蔵庫に安置っと。 えっ? なんで栄養剤じゃないのかって? もったいないじゃないか、使う量が多いんだし。 3日後の朝 おー、見事に両方とも復元されてる。 まだ意識は戻っていないが、第一段階はクリアっと。 偽石には変化なし・・・と。 タッパーから取り出して服が復元されていないことに気がついた。 そういえば服って再生されないんだっけなぁ・・・いいや、両方とも剥ぐか。 服を剥ぎ取りシンク添いに座らせておく。 目が覚めたら喚くだろうと思って朝飯の支度を始めた。 昼時になってキッチンに行くと2匹が 「「テチーテチー」」 と大合唱をしていた。 全然聞こえなかった・・・悪い悪い。 放って置いて薬缶をコンロにかける。 湯が沸く間、ちょっと相手をしてやろう。 じっと観察・・・特に動きに同期が取れているわけじゃないのな。 爪楊枝を一方の仔実装の右腕に突き刺し、そのままグリグリと動かす。 「「テッチャーーーーッ!!」」 あれ? ハモってるな。 見るともう一方の仔実装の右腕から血が出ている。 ・・・これはつまらん結果だなぁ、オチが見えちゃうじゃないか。 首を刎ねてもう片方や偽石がどうなるか見たかったんだが容易に予想が付くな。 片方が死んだら共倒れしそうだ。 ちょっと努力してみるか。 カップ麺にお湯を注いでから爪楊枝を引っこ抜き、角砂糖を口に押し込む。 その隙に後頭部に「A」と書いておく。 流血仔の口にも角砂糖を押し込み、後頭部に「B」と書いておく。 2匹をシンクに放り出し、カップ麺を持って部屋に戻る。 昼飯食い終わるまで待ってなさい。 昼飯を食いながら、さっきの理由を考えてみる。 ・・・人間の双子で時々聞くケースと似てるなぁ。 でも、あれは蚯蚓腫れ程度だったはずだけど、実装だからか元が同一個体だからか、ちゃんと怪我したな。 仮説としてはやっぱり偽石がひとつだから情報共有してるってセンなんだろうけど 脳みそは別々だから違う反応があってもいいはずなんだが・・・ 実際、爪楊枝刺す前の動きは特に同期取れてなかったしな・・・ よし、まずは、とりあえず脳ミソに別個体だと認識してもらうべきだな。 さて、どうしようかな・・・片方を上げるか。 飯を食った後、公園できれいな仔実装から服を調達してきた。 さっき傷付けた腕はきれいに治っているな。 Bを摘み上げようとしたらAB一緒に 「「テチュテチュ」」 と騒いで逃げようとする。 さっき爪楊枝を刺したのはAのほうなのに、なぜBまでが逃げる? 他人の災難は自分には降りかからないってのが実装思考じゃなかったのか? やはり元が同一個体だから偽石による情報共有があるのか? それとも単に俺が居ない間に2匹で話し合っただけかな。 まぁ、いいや。 Bを捕まえて強めだが苦しさを感じない程度に握り、指で額を撫でてやる。くりくりくりくり 「テチューーーーン」 Bは半眼で気持ちよさそうに鳴いている。 そうかそうか気持ち良いか。 この程度で喜んでもらえると上げも楽だな。 Aは微妙な表情でこちらを見ている。 さっきのことから察するに握られている感覚や撫でられている感覚は伝わっているんだろうから 実際には目の前の「自分じゃない」実装石が撫でられていることに違和感があるんだろうな。 浮遊感なんかも伝わってるんだろうか? 地に足が着いているのに浮遊感を感じるのってどんなもんなんだろうか。 そういえば鳴いているのはBだけだな。 ふむ。 Bを握ったまま額を撫でながら手を近づけてBを握っている方の小指の爪でAの額を軽く引っ掻く。 「テッ!」 声はひとつ。 なるほど。見込みがありそうで何よりだ。 Bをシンクに下ろし、薬缶をコンロにかける。 物置から水槽を2個と小さなタライを持ってくる。 お湯が沸いたところでタライに湯を張って適当に薄めて仔実装様の風呂の出来上がり。 Bをタライに漬てやる。 「テチューン」 気持ちよさそうだな。いいことだ。 洗顔スクラブをチューブからひねり出し、泡立ててBに塗りたくる。 塗りたくった後、優しく揉むようにして擦り洗いをする。 痛くしないように注意して、しかし入念に洗う。 揉み終わったら今度はタライの中で濯ぎをかねてまた揉み洗い。 一通り濯いだらまた摘み上げ、つまみ上げたままもう片方の腕でタライのお湯を捨てる。 シンクでこちらを見ているAにはお湯がかからないように注意する。 2度ほどタライに適温の湯を張り直しBを濯いだ後、タオルで優しく拭いてやり水槽に移す。 こちらを期待の眼差しで見つめるシンクのAを摘み上げ、そのまま水槽に入れる。 「テェェ?」 問い掛けとも抗議ともつかない微妙な鳴き声だ。 Bを見ると入浴の余韻かボーっとしている。Aの鳴き声にも反応していない。 蓋をしてしまえば鳴き声はほとんど聞こえない。 未だ何かを言っているらしいAを無視してタライで実装服を洗う。さっき調達してきた奴だ。 もちろん一組しかない。 洗った実装服を干した後、2つの水槽を持って2階の自室に行く。 まだAは何か言っているようだ。 Aの水槽はベランダに出しておき、Bの水槽は部屋の中。 窓を隔てて隣あわせにしておく。
