タイトル:【虐】 飼活
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:6155 レス数:0
初投稿日時:2009/06/14-13:38:00修正日時:2009/06/14-13:38:00
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「では、飼い実装採用面接を始めます」


椅子に座り頭を下げるスーツ姿の男の前に並ぶのは、3匹の実装石。

「デププ!」「お願いしますデスウ」「…テ、テチ!」

男に続いて挨拶をしてお辞儀をする実装石たち。
その挙動の一つ一つに男は目を光らせて、何やら手元の鉛筆を動かしていた。






一日前、双葉公園。公園にやってきた男の前に、実装石たちがワラワラと群がってきた。
見合った者を飼い実装にしてやると言うこの男、連れられていった実装石は多い。
この日も、夢見る実装や、身の程知らずの実装が集ったのである。
遠巻きには様子見する実装石が冷ややかに見つめていた。


「ニンゲン!ワタシを選ぶデスウ!!この美しさはプライスレスデスウッ!!」

「テチュッ アタチを飼うテチ!  暖かく可愛いぬいぐるみテチュウ」

「デスウ 家事も頑張って覚えるデスウ ワタシを雇って欲しいデス…」


「みなさん!とりあえず落ち着いてくださいねー!
 説明会と選考の実数制限にはまだまだ届きませんから。なにしろあなた達は小さいので…」



「何ゴチャゴチャ言ってるデスウ!!とっととワタシを審査するデス!!」

「デギャー!お前らなんか選ばれないデス!!ワタシだけでいいデスウッッ!」


あまりの調子のよさに男もたじろぐ。
とはいえ糞蟲の声が大きいだけで比較的真面目な連中は後ろのほうで畏まってるのだが。


「は、はいはい!では希望者の方はこのバッヂを付けてください」




「デスーン!貧相デスがまあ付けてやらんことも無いデスウ」

「ママ!アクセテチ 嬉しいテチューン」

「こんなんで喜ぶほど程度の低いワタシじゃないデスウ!デプッ!」




「…デ、デスウ〜」

ここで儚げな声が上がった。男が目をやるとそこにいたのはハゲハダカ。
なるほどこれではバッヂが付けられない。



「申し訳ありませんが、バッヂを付けないとお連れすることはできないのですよ…」

「デ、そんなデスウゥ〜!」

男は決して虐待派ではない。真面目すぎて融通が利かないのだ。



「チププ! ハゲハダカなんて端から無理テチ!」

「デプププ! これからも悲惨に暮らしてればいいデスウ!」


「そんなことはありませんよ。ハゲハダカの卑屈極まる部分に愛着を抱く方もおりますからね。
 天然ハゲハダカには需要があるんですよ」

「デ、デズズズゥ〜」

下賤に落ちてから初めて他者にフォローされて泣き出してしまうハゲハダカ。
その後、温厚な家族に知恵を貰い、耳にバッヂの針を刺して留めた。
この程度の痛み、飼いになれれば安いものだ。






「ではみなさん、こちらのワゴンにお乗りください」


「「「デッスゥ〜ン」」」




公園の入り口に停められたワゴンに実装石が入っていく。入り口にはスロープが付けられて、
中には新聞紙とタオルが敷かれていた。車が発射すると実装石たちはタオルに包まり、
またタオルに抱きついて、車の振動の中、安らかな眠りに付いた。







「さあみなさん起きてください。説明会会場に着きましたよ!」

寝ぼけ眼の実装石がぞろぞろと降りてくる。
車の中にはバッヂが二つ落ちていた。取れたのか、取ってしまったのか。
それは定かではないが、スーツ姿の男たちがそれを回収して行った。


「では、こちらに乗ってください」



「デス!お籠デスウ」

「アタチを歩かせないのは良い心がけテチー」

「ニンゲンさん、ありがとうございますデスウ」

車から降りた実装石たちは、台車に乗った箱に入っていった。
この箱には防音がなされており、外からの音声だけがスピーカーで聞こえるようになっている。
壁には窓が付いていて、床にはフカフカのタオルが敷かれている。

スーツの男二人が何やら紙にに記入していたが、バッヂを付けていない実装石に気付き、
その二匹を摘み上げた。

「デジャアッ!!離せデスウ!!」

「テチテチ ニンゲンさんなにするんテチュ?」


男は小声で実装石に話しかけた

「…合格です 皆が嫉妬するから騒がないでくださいね」



「テ…テッチュゥ〜ン……!」
「…デプ… 嫉妬は怖いデスウ〜 デププッ」

二匹は男に抱かれて林の中へ消えていった。







場面転じて、箱の中で実装石たちは目の前の光景に騒いでいた。
連れてこられたのは、実装保育園とショッピングモールが併設された施設。
成体飼い実装はモールで飼い主とお買い物。飼い主だけで買い物をしている人も。
実装が仔や親指、蛆など小さい場合は保育園に預けられる。
その様子を、公園から連れられてきた実装石たちは男の解説を交えて見学するのだ。

まずは保育エリアを周る。
蛆や親指がフカフカの布団に並び、可愛い寝息を立てている。
その横で粗相をした蛆の世話を飼育係がしている。服を脱がせ、水で孔を洗い、
パフパフとベビーパウダーをはたく。今の時間がお昼寝タイムなのでこんな調子だが、
昼ごはんの前なら、優しくプニプニをされる蛆実装の姿を見ることができただろう。

親指より少しお姉さんになった仔実装たちはオモチャを使って仲良く遊んでいた。
粘土をこね回したり、壁に貼られた大きな紙にクレヨンで絵を描いたりしている。
屋外に出ると皆でボール遊びだ。玩具の車を押していたり、遊具で遊んでいるものもいる。


「テチィ ママーアタチもあの中に入りたいテチイ…」

「きっと入れるデスウ 一緒に頑張るデスウ」

次に周ったのはショッピングモールのレストラン街。
世界の食がここに集う。実装石が名前も知らないご馳走がずらりである。

「デエェ〜パフェにステーキデスウ!仔の時に見たデスウ〜…」

「おいしそうデスウ… モグモグ」

「テヂャー! おばさんに腕かじられたテチャアアアァ」


続いて玩具ゾーンやオシャレ街を通っていく。

「テチャアアァ!!あのブサイク何であんな綺麗なお洋服着てるテチ!アタチのテッチャア!!」

「ワタシもあんな服を着てみたいデスウ」



感想は石それぞれだ。自らの境遇に理不尽を感じて怒るもの、憧れに目を輝かせて心を新たにするもの。
その姿勢が面接にも現れてくるのであろう。
施設を一回りして保育園の入り口に戻ってきた実装石一行。
スーツ姿の男が口を開く。

「本日の飼い実装採用実数は制限がありません。良い実財は積極的に採用します」

ざわ ざわ
「デスウ!」「テテチャチャ!」

アホ蟲を除く多くの実装石はこの言葉に勇気付けられた。
今までに公園に帰ってきた実装石は一匹も居なかったからである。
その事実は実装石にとって、受験者は皆がどこかしらで拾ってもらえたことを意味していた。
あくまでも彼女たちの脳内では。




ワゴンに乗せられた実装石はショッピングモールの裏手にある建物に運び込まれ、
試験の前に健康診断とアンケートが行われた。
健康診断では実装石たちのサイズや身体的特徴が記録される。
微量の毒物を投与して身体への影響も見る。

アンケートは、全てイラストを使って行われた。
A3サイズの紙の真ん中に線を引き、その両側に絵を置く。
例えば、怒った人間の顔と笑顔の人間の顔から適切な側を選ばせるといったもの。
アホ蟲は人間の感情の機微を読み取れず、人が眉間に皺を寄せても尚媚び続ける。
そういった問題外を探すことができる一方で、知性ある実装石も見つけられる。




これらを終えて実装石は小一時間の待機となった。
実装控え室を覗くと、沢山の実装石が緊張の面持ちで硬くなっていた。
これから三匹ずつ面接室に入り、自己アピールを行う。

「デププゥ 私が採用されるのは当然のことデスウ」

中には余裕綽々で寝転がって屁など垂れているものもいた。
まともな実装石は冷ややかにその痴態を見つめていた。
控え室の横の部屋では、人間が監視カメラを通して各々の行動を観察し、
シートに色々と記入を行っている。
胸に付けられたバッヂは実装たちの心拍や会話を送り続けている。




「では1,2,3番の方、お入りください」

「「デスウッ」」「デップゥ」

三匹の実装石が呼ばれた。ミドリ、テチ、ビジョ
ミドリは比較的真面目な野良実装といったところか。
テチは元飼い実装の実力派。
ビジョは気の抜けた返事をした糞蟲。美女などと分不相応な名を名乗っている。

面接室に入って行く三匹を、残りの実装石は食い入るように見つめていた。
賢い連中は少しでも面接試験の内容をつかもうと努力しているのだ。
面接室に入ると、三匹の実装石は横に並んだ折りたたみ椅子に座らされた。
向かいに面接官が一人座っていた。

「では、飼い実装採用面接を始めさせていただきます」



・ミドリ

「ミドリさんは生まれながらの野良ですか」

「そうデスウ!」

「野良実装って不潔ですよね?」

「私は毎日砂で体を洗い、噴水でパンツを洗濯するデス。精一杯清潔を保つ努力をしているデスウ!」

「…ふむ。飼い実装を見て妬ましく思うこともありますか?」

「そんなことはないデスウ。野良は、慎ましくも生きる実感を感じることができるデス。
 私は公園に産んでくれたママに感謝しているデスウ」

「おかしいですね。では何故飼い実装になりたいのですか?」

「人間様にご奉仕する喜びをしりたいデスウ。色々なお仕事をしてみたいデス。
 それに私は良くても、産まれて来る仔には安全な暮らしをさせてやりたいデスウ」

「なるほど」

後半眉唾な部分もあり、勝手に仔を産めると考えているところはマイナス。
だが全体的には明るく前向きな気性を感じさせる内容だった。
面接官は2の数字に印をつけた。


・テチ

テチはミドリの口上に気圧されていた。
自分は野良になってからも無難に生きてきたつもりだ。
しかし、心の中ではいつも野良実装を見下し、野良である自分のことも卑下しながら生きていた。
その姿勢は間違っていたのか?

「テチさんは一度捨てられたのですね」

「は!はい…デスウ。ご主人様がお引越しをなさって、ペット禁止のアパートに入ったからデス」

「あなたより大事なものがあったというわけですね」

「…デ?」

「あなたと暮らすことより、家賃や場所を優先したのでしょう。
 その程度の価値しかあなたにはないのですね」

「デ、デエエェ…」

「あなたを飼う人なんかいるんですかねえ…」



「ひ、酷いデスウ!デ、デェェェン!デェェェン!!」



自分の大きなアドバンテージだと考えていた元飼い実装であったこと。
それを面接官に全て自己否定に使われ、テチはパニックに陥った。
冷静に、元飼い実装である利点、人間の心の機微を読む力をアピールすべきだった。
捨てられたことについても、飼い主の明るい将来を望み、元気に野良として生きていく、
そんな前向きな返しをするべきだった。

面接官は結果欄の×の文字に戸惑いなくチェックを付けた。





・ビジョ

書くに耐えないその態度は、誰がどう見ても度を越えた糞蟲であった。
他の実装の面接が行われている間も「デプププ」と小声で嗤い、嘲り、
放屁をしたり、頭のフケをパラパラと払って遊んでいた。

「ビジョさんは糞蟲ですねえ」

「デピャピャ。糞人間が何言ってるデスウ。妬まれる身は辛いデスゥン」

「自分が周りからどう見られているか、理解なされていませんね」

「プギャー。人間は見る目がないデププ。
 奴隷にもなれない屑ばっかの世の中デスウ!!」

並外れた自己愛。
野良実装石の世界では、喧嘩などがあっても勢いのあるほうが勝つ。
実装石の体格など成体であればたいした違いはなく、技量も何もあったものではない。
自信と勢い、先手といった要素が勝者と敗者を決める。
この糞蟲も自己愛から生まれる圧倒的な勢いだけで生き残ってきたのだろう。
ここまで糞蟲ならそれはそれで需要がある。

×





美女の面接が終わり、結果はその場で告げられた。

「三匹とも合格です」

「デッスウウウウウ!!生きてきたかいがあったデスウ!!」
「デスウ…デェック、デェック…デェェェェン!デェェェン!!!」
「私は当然としても、周りの糞蟲が合格とは驚いたデッスウ」



「では、ミドリさんはこちらへ、テチさんとビジョさんはこちらへ」

「デェ、私だけこっちデス?まあいいデスウ嬉しいデスゥン」

何故か二つの部屋に分けて移されたが、
合格の喜びでそんなことを考える余裕は殆どなかった。






結果、圧迫面接にパキンした実装石以外は合格となった。
途中でバッヂをなくして試験続行が不可能になった実装石は潰された。

ただ、それはあくまでも表向きの話。
愛玩用の真っ当な飼い実装として合格したのはミドリを始めとした一割にも満たない個体だけ。
一見非効率に見える飼い実装試験は、野良実装石の価値を見直す動きから生まれた。
虐待となんら変わりのない厳しい躾を乗り越えてきた特急実装石は、見た目は善良に見えても、
本性を垣間見せたり、抑圧され続けたための暗い面影を覗かせる瞬間がある。
どんなに朗らかに見えても、虐待同様の行いを受けて捻じ曲がった精神を隠しきることはできない。
アホ愛護派にはそんな実装石でも何も問題はないのだが、真の愛護派と呼べる人間には不満だ。
彼らは公園や山に繰り出して、天然物の善良で人間に懐く、実装石を探し求める。
本物のダイヤモンドは極低確率で野良の中に眠っているのだ。

今回合格したミドリは二級天然実装としての扱いで販売されることになる。
それでも二級の躾済み実装石の倍の値段が付けられる。

値段の分大きな期待を背負わされる天然実装。
しかも天然実装を購入していくのは、糞蟲を甘やかして満足するような馬鹿人間ではない。
幸福になれるかは結局ミドリ次第である。





さて、不合格になったテチとビジョはどうなっているだろう。
彼女達は多数を占める不合格者と一緒にワゴンに押し込められて、
「受け入れ先」に移動していった。

「デプププゥ 質素なところデスが、奴隷が現れるまで我慢してやるデスウ」
「デスウ ちょっと嫌な予感がするデス?」

到着した場所は虐待ショップ「デグルゥ」。お得意の入荷先だ。
試験を通して多数集められたデータを生かして、
虐待派の細かなニーズに適した実装石を提供していく。
その外見は真っ当な実装ショップで、実装石もそこそこの飼育環境でつかの間の幸福を味わう。
実装石たちはラベルのついた水槽の中で、飼い実装としての未来に思いをはせていた。

テチのラベルには「元飼い、卑屈、ドドンパ過敏、偽石損傷15%」
ビジョのラベルには「超糞蟲、年増、生きたがりで偽石耐久力三割り増し(当社比)」

店を訪れた虐待派はラベルを見回して、好みの虐待用実装を購入していく。
その際、バリエーション豊かな虐待アクセサリーも一緒に買われていく。ここでデータが役に立つ。
ちなみに購入者には○○の説明書という細かな実装分析冊子が付き、好評を博している。
末永く一匹を虐待して欲しいという、回転率を高めたがる凡百の店にはないポリシーが人気なのだ。

実財発掘
どんな実装石にも一匹一匹に個性がある。愛玩用であれ、虐待用であれ、それは利点になる。
それを見極め、顧客に提供していくビジネスだ。

野良実装たちは新たな道を歩み始めた。
幸不幸は別として、みな野良時代と比べて比較にならないほど長生きするはずだ。

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