部室のドアを開けると、むわっと酷い悪臭が鼻をついた。 実装石の臭いだ。 どうやら昨日は掃除をしなかったらしい。 それはさておき、すでにポテの主人である男以外は全員集合していた。 先程手を振っていた不良青年は、厚手の黒い布を被せた水槽を蹴り飛ばしていた。 中からは微かだが汚い泣き声が聞こえた気がした。 青年はパスされたサッカーボールを受け取るように水槽の真上に足を乗せ、男に手を上げて挨拶する。 「よう、そいつが例の苗床か」 「デェェ・・・・」 男の放つ実装石に対する敵意むき出しの視線に、思わずポテが小さく鳴く。 「よせって、あんまり酷いこと言うなよ」 「はいは〜い。わかってまーす」 おどけた様子で両手を挙げて首を振り、もう一度水槽を蹴る。 男はポテを部室内の長机の上に降ろした。 ポテは急に失った男の温もりに戸惑うが、見下ろす男の顔がいつもの笑顔だったことで安心したようだ。 男はポテが安心して机の上に座り込んだことを確認すると、全員の顔を見渡した。 部屋にいる全ての人間の顔が笑いを形作っていた。 ポテが部室に運ばれてきてから約三時間、ようやく部室の空気にも慣れてきたらしく、飼い主から与えられた仔実装の 人形で子育ての真似事をしていた。 飼い主と青年はそんなポテを見ていたが、その視線にこもる姿勢が違った。 男の目には愛情、青年の目には嫌悪を通り越した憎悪。 一方の危険な眼差しに気づかないのはポテにとって幸せだったはずだ。 「デッスデッス♪」 乳を上げているつもりなのか、自分の胸元に人形を押し付けている。 二人はポテから視線を外し、今度はお互いの目を見合った。 鋭い眼光を放つ青年の切れ長の目に対して、どこか頼りなくうっすら隈も見える男の目。 しかし、全く相違っているわけでは無かった。 双方の眼の奥に潜む唯一つの共通点。 それは狂気。 「・・・なぁ・・・そろそろいいだろオイ」 明らかにイライラを抑え込んでいる青年が爪をかじりながら男を急かす。 もう少しだけ、と男は思っていたのだがそろそろ青年が限界のようだ。 「ん〜、そうだな。もう随分リラックスしたみたいだし」 「待ってましたぁぁ!」 ため息とともに出た男の許しに、青年が歓喜の叫びをあげる。 学校全体が震えるような大声が室内に広がり、ポテもその声に大きく痙攣した。 大音響の後に訪れた一瞬の静寂を、青年は自らの足音で破り裂く。 そして、足早に数時間前まで何度も蹴り飛ばしていた暗幕のかかった水槽を机の上にまた大きな音をたてて乗せた。 「デ、デェ・・?」 突如自分の前に出現した黒いモノにポテも戸惑いを隠せないようだ。 部屋には青年の下卑た笑い声だけが聞こえる・・わけではなかった。 耳を澄ますと水槽の中から何かを叩く音が聞こえる。 ポテは好奇心からか、恐る恐るその得体の知れない声に近づいていった。 「デェェ・・・・」 そっと暗幕に手をかけ、少しだけめくる。 水槽の中に蛍光灯の灯りが微かに入り込んだようだ。 だがその光がふと消えた。 「デェ?」 ポテは自分がめくった場所が急に暗くなったことを不思議に思った。 何故? 今明るくなったのに? すると、今度は少し上の方から音が聞こえてきた。 「・・・・デ・・・・・・」 「デス?」 「デェ・・・・デズゥ・・・・・」 「!!!!!!???」 驚きとともに後ろに引いた手に導かれ、暗幕が完全に取り外された。 ポテは正面を見てはいなかった。 見上げていた。 水槽の中にいたソレを。 「デェズゥゥゥゥ!!!!」 「デェェェェェェ!?!?!?!デスデェェェェェーーーー!!!!?」 まるでむき出しの心臓のように脈打つ巨大な肉棒。 ポテがはじめて目にするマラ実装であった。 時分より大きな同属すら見たことが無いのに、さらにマラのおまけつき。 箱入りで育ってきたポテには刺激が強すぎたようだ。 大声で泣き叫び、普段は絶対に漏らさない糞を垂れ流し、涙と涎と鼻水を撒き散らしながら飼い主を呼ぶ。 「デェェェェーーーーーーン!!!!ディエェェェェェエエーーーーーン!!!!」 抜けた腰をなんとか回復させ、回れ右をして飼い主の男のもとへ走る。 まるで柔らかい効果音がつきそうな走り方だ。 一歩踏み出すたびにブリリッと漏れる糞とのギャップに部屋中のメンバー達がふきだす。 「デェェェーーーーーン!!!!デスゥゥゥゥゥウウウ!!!」 そんなことは露知らず、ポテは長机の上を飼い主を求めて必死に走った。 ポテッ ブリッ ポテッ ブリリッ 「デェェェェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!」 男の真下までたどり着いた時にはパンツは無くなっていた。 排泄物の重みに耐え切れずに、途中で落ちてしまったのだろう。 普段のポテなら恥ずかしさと勘違いで頬を赤らめるような仕草を見せる。 しかし今ポテはそんなことに構っていられる程正常ではない。 泣き、叫び、歩みを止めた今でも糞を垂れ流し、助けを求めて飼い主を見上げた。 「ディェェェェェーーーーーン!!!デェェェ・・・・・」 男は笑っている。 いつもの顔だ。 優しいいつもの飼い主だ。 恐怖で引きつっていたその顔が、見る見るうちに安らかになる。 すると今度は下着が無いことに気がつき、顔を赤らめて鳴きだした。 「デッスゥ・・デスデッスゥ♪」 『ご主人様・・大胆デスゥ♪』 リンガルの表記を見て、飼い主は笑顔でマラ実装を指差した。 「違う違うポテ。お前の相手はあっち」 「デェェェェェ?!デェェェェェーーーーーン!!!!」 思わず指された方向を見てしまったポテが再び恐怖で糞を漏らす。 必死で飼い主を見上げて首を左右に振るが、男は笑顔のまま水槽を指差していた。 「あっちだって」 「デェェェェェーーーーーン!!!デジュゥゥゥゥゥゥゥウーーーーーー!!!!」 五分たっても同じ行動を繰り返していた一人と一匹だったが、飼い主の男が先に新たな策を思いついたようだ。 指差していた手を降ろし、そのままそっとポテの頭に乗せる。 数回撫でてやるとポテは落ちついたようで、「デッス・・デッス」としゃくり上げながら目を擦った。 男はポテにあくまで優しく話しかける。 「なぁ、ポテ。約束したよな?どんな痛い事も怖い事も耐えられるって」 「デ・・・!」 男の言葉に胸を打たれる。 脳裏に道程で交わした会話が浮かび上がってきた。 「子供の為ならどんな辛い事も乗り越えるって」 「デェ・・・・」 力強く説得力のある(はず)の声に、ポテは頭を抱えて唸った。 そんなポテを見下ろす男の顔が見る見るうちに曇っていく。 「あれは嘘だったのか・・?うぅ・・・」 「デェェェッス!!!デスゥゥウウウ!!!」 思わず口元を抑えた男だったが、手の中でその唇はつりあがっている。 だがそれを自分の裏切りに対しての「失望」と捉えたポテは否定するように手足をばたつかせて叫ぶ。 飼い主はとどめを打ち込んだ。 「なぁ・・・ポテ。元気な子供・・・・見せてくれよ?」 「デスゥ!!!」 ポテは胸を叩いた。 自分の作った糞の道しるべを辿って水槽で荒い息を吐くマラ実装のもとへ歩き出す。 それと同時に男の口元を覆っていた手が解かれ、人為的に裂いたかのようにつりあがった唇が現れる。 同じく笑い堪えていた仲間達も笑い声だけは耐えつつ口を歪ませる。 「デス・・・・デス・・・・!」 『絶対に可愛い赤ちゃんを産むデス。ご主人様に元気な子供達を見せるデス!』 表記されるセリフを見るたびに必死で笑いを堪え続ける飼い主。 涙まで浮かべながらも声だけは忍ぶ。 「デズゥゥゥウン♪」 「デェェ・・・・」 水槽の前に到着して、改めてその体躯とマラに驚愕するポテ。 ポテの事を血走った目で睨みつけながら水槽の側面や底面にマラをこすり付けている。 粘度の高そうな液体が水槽のところどころにこびりついているのはその行為の産物だろう。 「デェ・・・スゥ・・・・・」 足が竦む。 しかし飼い主の笑顔のため、ポテは水槽にかけられた梯子に足をかけた。 「デェェェェ!!!?」 「デズゥゥゥゥゥウウ♪デズゥゥゥゥウウウウウウン♪」 登っている最中にマラ実装と目線の高さがあってしまったりしながらも、ポテは水槽の蓋までたどり着いた。 透明なその蓋の下では、さらに息を荒げたマラ実装が赤く怒張した分身を実装石とは思えない速さで擦っている。 ポテが登りきったことを確認して、不良青年が蓋の半分を取り除いた。 先程登った梯子が今度は下り方面、すなわち蓋から水槽内へととりつけられた。 「デェ・・・・・デスゥ・・・・!!!!」 逃げ道を失ったことで決心がついたのか、ポテが梯子を下り始める。 だが一歩降りるのに数十秒、見てると焦れてムカムカしてくるほどのスピードだ。 「デッズン♪デッズン♪」 マラ実装は変わらず喜びの声を上げながらマラをしごき続けている。 実装石の首では振り返って下を見ることが出来ないので、その声がポテの恐怖を煽った。 そして4つ目の段に差し掛かったとき、ついにポテの足は止まってしまう。 下から吹きかけられる生暖かく悪臭を含む息が気持ち悪い。 「デェェェン・・・・デェェェェェェェン・・・・」 「デッズゥゥン♪デッズ・・・デェ?」 ついには泣き出してしまった。 が、そんなことはマラ実装にはお構いなしだ。 なかなか足を進めないポテに業を煮やしたのか、自分の手で梯子を掴んで揺らし始めた。 「デェェズゥゥゥゥウ!!!!デガァァァァァアアアス!!!!」 「デェェェェェ?!デギャァァァァァァアア・・・デジュェッ!!!!」 どうやって段を掴んでいるのかもわからなかったポテの手はあっさりとはずれ、水槽の底面とキスをする羽目になった。 落ちてきた獲物を見て、満足そうに目を細めるマラ実装。 デフゥデフゥと激しい呼吸を繰り返し、起き上がろうとするポテに近づく。 「デ・・・デェェェ・・・ディェェェェン・・・」 顔から底面に落下したポテだったが、一応成体であることと高さも大したことが無かった事から大きな怪我はしていなかった。 だが痛みよりも恐怖が勝り、流れる鼻血もそのままに泣きじゃくる。 泣いている場合ではないと気づいたのは、荒ぶるマラ実装が自分の髪の毛を掴んだのと同時だった。 「デェェェェェェエエ?!デッシャァァァァァアアア!!!???!ディェェエェェエエーーーーーーン!!!!!!」 「デェッズン♪デブブブブブ・・・♪」 髪を掴んだ手を必死に外そうともがくが、力で自分より大きなマラ実装にかなうはずもない。 あっという間にマウントポジションを取られ、その肉棒を口にねじ込まれる。 「デボッ?!デボォォォェェェェェ!!!!???」 「デッズデッズ♪」 三角状の口の端々を引き裂き一気に胃袋辺りまで侵入した異物に苦しそうにもがくが、手足をばたつかせる以外、 ポテにはなんの抵抗も出来なかった。 噛み切ろうにも驚くほど硬く大きいその肉棒には、実装石の歯などたたない。 鼻と口、そして目から血を流しながら口を犯されるその姿には憐憫や悲壮を通り越して滑稽なものがある。 水槽外のギャラリー達はその様子を見て、耐えていた笑いを爆発させた。 「ぶっぁははははは!!!!」 「あははははは!! あれ仔作りと関係なくない?!」 「ぷくく・・・俺あんなの初めて見た・・・!!」 「そりゃあ俺が何日にも渡ってその手のDVDばかり見せてたからなぁ〜!」 不良青年が笑い転げるギャラリー達を見て、腰に手を当てて威張り散らす。 聞いている者は少なかったが、彼にはそのような些末事はどうでも良いのだろう。 他のギャラリーと同じく笑いながら、飼い主の男は強姦されるポテの様子を一際嬉しそうに見ていた。 「デ・・・ブェ・・・・」 「ッッッッ・・・デッズゥゥゥウン♪」 マラ実装が本日20回目の射精を迎える頃には笑い転げていたメンバー達もすっかり飽きが入っていた。 不良青年とその他数人は野良実装で遊んでくるといって先程出て行ってしまった。 部室に残っているのは飼い主の男を含めて五人。 飼い主の男以外は同じ本を四人で広げて雑談を繰り広げていた。 「なぁ、今週の『実と装(黒)』の特集見たか?」 「見た見た。金持ちはいいよな〜、あんな大金を虐待につぎ込めんだから・・」 「何?俺まだ見てないんだけどいくらくらいよ?」 「ざっと・・・・だってさ」 「マジかよ!?ありえねぇ・・・」 そんな中、男だけはいまだ水槽内の情事を眺めていた。 パイプ椅子に座って水槽から2メートル程離れた場所で、男は笑顔で繰り返される強姦を見ていた。 ポテが男に視線を向ける度、男は一際優しい笑顔を向ける。 その笑顔がポテに力を与えた。 そして、ポテにとって地獄のような一日がやっと終わりを告げようとしていた。 「デェェェズゥゥゥン・・・・・♪」 21回目の射精を終えた後、マラ実装は急に仰向けに倒れこんでしまった。 そのまま大きないびきをかいて眠ってしまう。 「デ・・・デェェェ・・・デスデ・・・・」 狂わず、壊れず、ポテはマラ実装を満足させるまで何とか生き延びたのだ。 行為が終わったのを見た飼い主は、ポテを水槽からそっと取り出し、蓋を閉めて暗幕を被せた。 精液に塗れたポテをビニール手袋をつけた手で取りあげ、抱いてやる。 「よく頑張ったな」 「デェェェン・・・デェスゥゥゥ・・・・」 太陽のような笑みを向けられたポテは、安堵からか眠りに落ちる。 男は適当にポテの体をティッシュで拭うと、下げたビニール袋に放り込んでそのまま家路についた。 部室から出た途端、微かないびきと大きな笑い声は聞こえなくなった。 翌日、ポテは見事妊娠した。 「なんで口だけにしか出されてないのに妊娠するんだ・・?」 「デス?」 マラ実装は結局ポテの口以外には出していないはずだったが、なぜか仔は宿った。 実装石の出鱈目構造の賜物である。 ポテの腹部は大きく膨らみ、今にも産まれてきそうな程だ。 優しくその腹をさすり、何か話しかけているポテ。 「デスゥ、デスデス、デスン♪」 『ママはと〜っても大変な思いをして貴方達を宿したデスゥ。だからその思いを無駄にしないで欲しいデスゥ。 皆可愛くて賢い子に育つデスゥ♪』 幸せ絶頂のそんなポテに飼い主はいつもの笑顔で話しかけた。 「ポテ〜、今日はちょっと腹の中見せてもらうよ?」 「デ?!」 ポテはガタガタと震えて腹部を抑えた。 首を必死に振って茶緑の糞をパンツの端から溢れさせる。 それを見た飼い主はポテの勘違いに気づいた。 「あぁ、違う違う。別に腹切るわけじゃない」 「デ?」 「これだ」 男が取り出したのは実装石専用の透視レンズ、『みえるんデスゥ』だった。 少々値が張り重量もあるが、出鱈目構造の実装石の偽石の位置や、宿した仔の数を確認出来る等、愛護派、虐待派、 どちらにも需要がある便利な代物だ。 やたらとゴツいそのレンズを見たポテはまた少し怯えてしまう。 「だから何もしないって。これを通してポテのことを見るだけだ」 「デェ〜・・・」 危険がないことを理解したのか、ポテは不思議そうにレンズをのぞき始めた。 だがレンズの先には飼い主がいるだけ。 何も変わりは無い。 「んじゃポテ、じっとしてて」 「デスゥ」 レンズのスイッチを入れて、ポテにかざす飼い主。 飼い主の視線の先にはポテの透けた内容物が見えていた。 一方ポテの側からは 『はい、これで・・・出来上がりです!!』 「デスゥ〜♪デッスゥ〜〜〜♪」 料理番組が流れていた。 作業中、実装石達がじっとしていられるように内臓されている映像を流すことが出来るようになっているのだ。 その内容は料理番組、愛護派による実装のファッション紹介、18歳未満閲覧禁止動画等々。 実装石のツボを抑えたような映像が目白押しなのである。 「1・・2・・3・・4匹か。少ないなぁ・・・」 「デッスデッス♪」 落胆する飼い主をよそに、ポテは嬉しそうだ。 だが目の前で美味しそうな湯気を漂わせていたハンバーグはブンッという音ともに消えた。 飼い主はレンズの電源を落として引き出しにしまうと、冷蔵庫をあけて餌を取り出す。 「悪いな〜、ハンバーグはさすがに駄目だ。俺も最近食った記憶ないし」 「デスゥ・・・」 ポテは残念そうな顔をしながらも、盛られた餌を出来るだけこぼさぬように食べる。 仔を身篭ったせいかいつもより食欲旺盛なポテを横目に入れつつ、男は再び冷蔵庫を漁った。 「デプゥ・・・」 仰向けになって腹部をさするポテ。 満腹の表現は仔実装の頃と変わらないが、成体の体と声だと非常にアンバランスな行為だ。 幸せそうに顔を緩めるポテに、男はいつものデザートを用意した。 無色透明な袋の中から同じく無色透明な包み紙に包まれた、さらに同色の飴玉が取り出される。 しかし今日は少し違った。 「デスゥ〜♪・・・デ?」 いつもなら一日一個しかもらえなかったはずの飴玉。 今日はなぜか5つも並んでいた。 ポテは嬉しさ半分、疑い半分で飼い主の顔を見る。 いつもの笑顔の飼い主。 眼下には5つの甘い飴玉。 交互に見てポテは唸る。 「多いのが不思議か??」 「デェ・・」 「別に何も無いって。お腹の子供の分も食べてやりなってことだ」 「デェ!?デスゥゥ〜〜♪」 優しい笑顔と優しい言葉。 甘い甘いデザートを5つ。 この日、最上級の喜びをポテは味わった。 前中後編になってしまいました・・すいませんm(_ _)m
