翌日。 時刻は6時。 俺は朝も早くからとしゆきの家に来ている。 今日から訓練を開始するためだ。 「おら!お前ら起きろ!訓練を始めるぞ!」 ベニヤの壁を叩きながらそう叫ぶ。 ここと周囲の家までは距離が離れているから迷惑になる心配はない。 「デスゥ!?」「デジャー!?」 実装石たちが驚いて飛び起きる。 「何やってるんだ!早く外へ出て来い!急げ!」 ・・・数分後、全ての実装石が出てきた。 遅い。これは厳しく訓練しないとな。 「お前ら何やってる!遅いぞ!早く出てこないか!」 そう叫ぶと、数匹俺に対して威嚇してきた。 ふむ、しょうがない。 そいつらの元へつかつかと早歩きで近づき、思い切り蹴り飛ばした。 「デブゥッ!?」「デヒァ!」「ゲボォ!?」 「デ、デスゥー!?」 蹴られた実装石はベニヤの壁に激突し、腹を抱えてうずくまっている。 周りの実装石は突然の出来事に恐慌状態だ。 「お前ら静かにしろ!上官に向かって歯向かうとはどういう了見だ!?騒ぐ奴は同じ目にあわせるぞ!」 ビクッ、として実装石たちは静かになる。 「よし、今日はお前らに団体行動を教え込む!出来なければ今日の飯は無しだ!覚悟しろ!」 「デー!?」 「何だ!不満なのか!お前ら痛い目みたいのか!」 「デヒッ・・・」 うむ、いい感じだ。 明らかな糞蟲ではないから結構いい感じに言うことを聞くな。 昨日の俺とのギャップもいい感じに働いてるな。 「よし、まずは整列だ!」 地面に3本の白線を引き、その上に実装石10匹ずつ並ばせる。 「並んだな!場所を覚えろよ!?そのまま10m行進しろ!列を崩したら罰を与える!よし、歩け!」 ぞろぞろと歩き出す。 ・・・やはり実装石には難しいか。徐々に列が崩れてゆく。 10m地点に到着した頃にはどいつがどこにいたのかが分からないほど崩れてしまった。 これはお仕置きだな。 「お前ら何をやっている!やる気が無いのか!」 そういって俺は一匹一匹実装叩きで背中を叩いていく。 「デヒィ!」「デヴ!」「デジャァ!」「デスッ!」 痛さでうずくまる実装石たち。 「いいか!前の奴の頭を見ろ!目を放すな!その頭から一定距離を常に保て!先頭は目的地に一直線だ!いいな!?」 「デスー」「デッス!」「デー」 しまった、返事を決めるのを忘れてた。これじゃあ締まらないな。 「よし、これからは全てデッスー!と返事しろ!例外は許さん!」 「デスー」「デッス!」「デー」「デッスー!」 ピシャッ、と違う返事をしたやつらの背中を叩く。 「聞いてなかったのか!返事はデッスー!だ!」 「「「デ、デッスー!」」」 二回目。 最初よりはまぁましだ。 何とか列は保っている。 しかし、直線は乱れ、隣の列の奴とぶつかったりと混乱している。 こりゃ回数を重ねるしかないな。 「よし、次からは掛け声をかけろ!いいな!?」 「「「デッスー!」」」 適当に目に付いた奴の背中を叩き行進を繰り返させた。 「「「デッ、スッ!デッ、スッ!デッ、スッ!」」」 うむ、実装石とも言えど訓練をさせれば中々様になるじゃないか。 ちょこちょこズレは出来るが、列全体で見ればまとまっていると言えるだろう。 これなら10m以上歩かせても大丈夫だな。 「よし!いいだろう!褒美を与える!」 そういってコンペイトウを配る。 実装石は我慢弱いから一つ訓練をクリアする度に褒美を与えないとやる気を失うだろう。 アメと鞭を上手く使い分けないといけない。 時刻は9時。 行進だけで結構かかったな。次は長距離だ。 適当に白線で円を引く。 「よし!次は長距離だ!途中で倒れた奴には罰を与える!さぁ、走れ!」 「デッスー!」 ・・・1分後、皆さんばてていらっしゃる。 早いなぁ・・・やっぱ実装石は軟弱だな・・・。 「お前ら!やる気がないのか!しっかり走らんか!」 「デ、デ・・スー・・・」 既に返事も出来ないか。しょうがない。 ピシャッ、ピシャッ、ピシャッ! 「「デヒー!」」 背中を叩いて無理やり走らせる。 後ろを歩いて着いていって遅れる奴から叩いてゆく。 実装石が走ってるといっても人間からしたら歩いてるようなもんだからな。楽なもんだ。 5分後、流石にもう叩いても起き上がらなくなってきた。 こんなもんでいいだろう。 「よし、止まれ!休憩!」 3分休ませ、回復した頃に再度走らせた。 これを数回繰り返す。体力付けは気を長くしてやらないといけない。 長距離はこのくらいにしておこう。 「よし、昼まで休憩!」 1時。 実装石たちに餌を与え、整列させる。 「お前らにプレゼントをやろう!お前らの身を守る道具だ!」 実装石たちが歓喜の声を上げる。 「よし、脱げ!」 「「「デッ!?」」」 当然の反応だな。しかし問答無用。 「上官の言うことが聞けないか!」 そう叫んで実装叩きで脱ぐまで思い切り叩く。 うむ、全員脱いだな。 さて、茶色のペンキの出番だ。 ミドリの生地に茶色のペンキ。そう、迷彩色だ。 としゆきと協力して茶色のペンキをほいほい塗っていく。 実装石たちは不安そうな目でこちらを見つめている。 一匹叫びながらこちらに走ってきたが思い切り蹴り飛ばしておいた。 ペンキを塗り終わった服を実装石たちに返す。 匂いが気になるようだがまぁ我慢してもらおう。 「よし、実はもう一つプレゼントがある!」 「「「デッ!」」」 やっと槍の出番だ。 全員に槍を配布する。 疑問に首をかしげる実装石たち。 「いいか、これは槍という武器だ!お前らの敵の公園の実装石たちを皆殺しにするために使う!」 「「「デデ!?」」」 ん?何故こうも驚くのか。 ・・・ああ、忘れてた。 俺は公園で生きていくための訓練とは言ったが公園の実装石たちを皆殺しにするとは言ってなかったな。 んー、これはどうしようか。 「何だ!お前たちはあいつらが憎くないのか!」 「「「デー・・・」」」「デッスーン♪」 んー、こういうところは糞蟲だったら都合が良かっただろうな。 流石に皆殺しにするといって喜ぶ奴はいないか。いやちょっといるみたいだけど。 「お前たちがあの公園に帰れば確実に皆殺しにされるぞ!やられる前にやるんだ!」 「「「デスー・・・」」」「デスデスーン♪」 ・・・んー、けしかけても駄目か。まだ殺されるって言う恐怖感が欠けてるな。 口先だけじゃ完全に説得できるか分からないし、説得しても士気は落ちるだろう。 しょうがない。 「おい!そこの3匹!来い!」 「「「デデ!?」」」 突然の指名に驚く3匹の実装石。 「今からお前らに現実を見せてやる!着いて来い!」 「「「デ・・・、デッスー!」」」 10分後、俺は3匹の実装石を引きつれあの公園に来ていた。 「いいか、俺が今から現実を教えてやる。あの噴水まで歩いていけ。」 「「「デデ!?」」」 驚く三匹。殺されると教えられているから嫌だろうな。 「早く行け!」 実装叩きで背中を叩き、歩かせた。 その様子を見て集まってくる公園の実装石たち。 その中をオドオドしながら歩いていく三匹。 俺を見た公園の実装石たちは、この前来た人間だと気付いたようだ。 そして当然俺の元から放たれた三匹はこの前憎くも飼い実装へとなりあがった30匹の実装石だと気付いた。 「「デププ・・・」」「「「デププ・・・」」」 不快な笑い声がこだまする。 俺の元から離れて歩いてゆく三匹を見て、捨てられたと判断したのだろう。 さらに、実装服についた茶色のペンキ。それは三匹を罵倒するには十分な材料だ。 ついに、三匹に殴りかかる実装石が出てきた。 この三匹を殺して私が飼い実装になる、大方そんな考えだろうな。 一匹が殴りかかると後はなだれ込むように三匹に群がる。 狙い通りだ。 髪や服が破られる前に止めに入る。 俺が近づくと選ばれたと思ってリンチに加わっていた実装石たちが俺の足元に寄ってくる。 それを押しのけ三匹を回収する。 うむ、いい感じにリンチされてるな。 痙攣しながら気絶している三匹をつれてとしゆきの家に戻った。 「「「デデッ!?」」」 三匹のひどい有様をみて、他の実装石たちはひどく驚いている。 三匹の実装石は意識を取り戻し、他の実装石たちに自分たちの身に起きた出来事を説明している。 うむ、狙い通りだな。さて・・・。 「どうだお前ら!現実が分かったか!お前たちが公園に帰ると必ずこうなる!俺が助けなければこの三匹は奴隷になるか殺されていただろう!」 「「「デー・・・」」」 「お前たちが生き残るためにはあいつらを皆殺しにするしかない!お前らの子の惨劇を思い出せ!」 「「「デッ・・・!」」」 「恨め!憎しみを忘れるな!殺せ!生き残るために殺せ!お前たちには生きる権利がある!返り討ちにしろ!奴らを皆殺しにしろ!」 「「「デ、デッスー!」」」 「よし!ここに捕虜を連れてきた!」 「「「デデ!?」」」 そう、実は三匹を回収した後公園から新しく三匹の糞蟲をつれてきていた。 「お前らの感情をその槍に載せてぶつけろ!」 そう言って、はりつけにした糞蟲を地面に設置する。 「デジャアアアア!お前たちは前からむかついてたデス!殺してやるデス!」 そんな内容の叫び声を上げる糞蟲三匹。 ふふ、いい感じに墓穴を掘ってるじゃないか。 公園に戻ったらどうなるかという現実を見せ付けられた後、目の前にいる糞蟲から殺すなどと言われれば、30匹の実装石は怒り狂うだろう。 何故私たちが殺されなければならないのか。子供たちは何故殺されたのか。私の帰る場所を取り返さなければ・・・。 プルプルと震える30匹を10匹ずつ糞蟲の前に整列させる。 「いいか!一人一突き!突いた奴はまた後ろに並べ!死ぬまでやれ!殺せ!皆殺しにしろ!」 「「「デッスー!」」」 憎しみのこもった30匹の攻撃。 糞蟲は泣き叫びながらいまだに罵倒している。 カワイイ私が・・・、愚かなお前たちが・・・、ブサイクなお前たちが・・・。 それを聞きながら、30匹の実装石たちはこう叫び、突き刺していく。 何故私が・・・、私の子供は・・・、私の帰る場所は・・・。 偽石を取り出し、栄養ドリンクにつけられている糞蟲は中々死なない。 そう、中々死なない糞蟲は30匹にとっていわば象徴化された公園の実装石たちなのだ。 1時間ほどたち、やっと糞蟲たちは死んだ。 30匹の実装石は、憎しみのこもった瞳で死体を見つめている。 「・・・よし、よくやった!お前たちは戦うために生まれてきた!選ばれたんだ!お前たちには生き残る権利がある!奴らを皆殺しにする力がある!」 「「「デッスー!」」」 「訓練をしろ!より力をつけろ!確実に皆殺しにできるように!」 「「「デッスー!」」」 ああ・・・、気分がいい・・・。 その後、死体を的にしての突きの練習、軽いジョギングをして今日の訓練は終わった。 非常に楽しい。 まだ書ききっていないのでどれほどの量になるのか分かりません。 駄文失礼しました。
