タイトル:【馬】 正しい愛護派への道
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2316 レス数:0
初投稿日時:2009/05/08-19:23:27修正日時:2009/05/08-19:23:27
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正しい愛護派への道

「デシャアッ!!」
「デボォッ!!」
「テベッ!!」
「レヂィッ!!」
お馴染みの叫び声が響き、男によって次々と屠られていく。男の格好は異様だった。
右手には1mのステンレス製の定規。定規の片方はRで削られており、片方には取っ手が付いている。
左手には直径60cm程の塩ビの板だ。それにも取っ手が付いており、盾の役目を果たすだろう。
目には保護メガネをつけ、耳にはインカムを装備している。
「リー、フゥ。他には。」
男がインカムに問いかける。何かしら反応があったのだろう。
「了解だ。残りを殲滅に向かう。」
再び男が実装石を発見し、定規での殺戮が始まろうとしていた。
「ちょ、ちょっと!なにしてるんですか!」
おそらく虐待派であろう男に青年が声をかける。

ここは緑ヶ丘公園。
つい数年前まではその名の通り、緑あふれる美しい公園であった。
しかし、現在では別の意味での「緑あふれる」公園となっている。
原因はいうまでもなく実装石である。
数年前にも実装石は緑ヶ丘公園に定住していたのだが、ある大きな公園が市指定の公園となってしまった。
その公園は「人と実装石がお互いに気分良く居られる」をモットーに環境改善を行った。
環境改善によって最初に被害を受けたのはいわゆる「糞蟲」と呼ばれる個体達であった。
糞蟲でない実装石たちは公園に来る愛護派によって、かわいがられ、よりよい生活を送ることができる。
しかし、糞蟲達は言わずもがな優先的に駆除される運命にある。
最初、糞蟲達は駆除される一方であったが、性質の悪い「賢い糞蟲」供は、
市指定の公園から渡りを選び、生きながらえることになった。
そのうち、指定公園以外でも駆除が入る予定となったが、タイミングが悪いときは悪く重なるものだ。
新しく市の議員となった老人の奥様が大そう実装石の愛護派だったのだ。
ただ、老婦人が飼っていた実装石は所謂「高級飼い実装」であり、さらに我侭を適度に許さず飼っていた。
そんな実装石が糞蟲になるはずがなく、婦人は「糞蟲なんて実装ちゃんはいません!」と、
愛護派パワー全開で実装石の駆除を夫を使って指し止めさせた。
糞蟲の実装石を知っている関係者は心の中で「あんたが飼っている実装石が糞蟲じゃないだけだ。」
と思っていたが、言い出せるわけもなく、悪い意味での指定公園以外での「公園の緑地化」は進められてしまった。
しかし、老婦人の夫である議員は各公園が実装石にのっとられているのを良しとせず、裏で強攻策を練りだしていた。
業者を使って駆除を行うからばれるのであって、個人に徹底的にさせればよいという結論に至った。
そのため、虐待派の間で半ば伝説と化している男を使うことにした。彼の名をよしゆきと言う。
虐待派であり、理性的、紳士的なよしゆきは、このプロジェクトにうってつけの人物であった。
そして、議員は秘密裏によしゆきを「公園管理者」として公園での糞蟲殲滅の任務に就かせたのだった。

「マカ。邪魔が入った。一旦作業を打ち切る。深追いせずにメンバーを集めてほどほど所で俺の車まで戻れ。
リーとフゥはそのまま待機。俺が回収する。」
よしゆきはインカムに向かって命令を出した。そして、青年に向き合う。
「何の用かな?」
「何の用も何も無いですよ!なんで実装ちゃんを殺してるんですか!」
もう、その口調で青年が「愛護派」だと分かる。
「公園の景観が損なわれている。それだけの理由だ。」
「だ、だって実装ちゃんですよ!こんなに可愛いんですよ!」
青年が足元に集まってくる実装石を指差す。
「テッチューン♪」
タイミング良く仔実装が媚を売り出した。
「ほら!こんなに可愛い!」
しかし、実際のところ、リンガルには「チププ。このニンゲンは愛護派テチ!こいつに媚を売ってアタチは飼い実装テチ!」
と表示されているのだが。
「あんた、リンガルは使っているのか?」
「そのなもの無くても実装ちゃんの言葉は分かります!」
「そうか。っと!シッ!!」
ベシャ。ズシャッ!「デギャア!!」よしゆきが一瞬、青年の前に塩ビシールドを構え、そのまま定規で成体実装を斬りつけた。
その様子を見ていた野良実装たちはまさに蜘蛛の仔を散らすように「デギャー!」「テチー!」と言いながら散り散りに去っていく。
「え!?ちょっと!!僕の話を!」
「あんた、今何が起こったのか見てなかったのか?」
「え?」
よしゆきはため息をつくと青年に腰についているリンガルのログを見せた。
「デップププ。あのクソニンゲンは愛護派デスゥ。ワタシのウンチを投げつけてやるデス。
そしたらあのクソニンゲンはドレイニンゲンになるデスゥ。そしてワタシは毎日オスシニステーキコンペイトウデスゥ。
デッププププ。ウンチでたデスゥ。あのヒョロい奴に投げつけてやるデスゥ!デデッ!?デギャア!!」
最後の「デデッ!?デギャア!!」はよしゆきの塩ビシールドに糞を防がれた驚きと斬りつけられた断末魔であろう。
「こ、これって?」
「今、俺が斬りつけた実装石の言葉だ。あんたは糞を投げつけられるところだったんだよ。」
「え?え?」
「実装石供は、糞を塗りつけたモノを自分の所有物だと考える傾向がある。
あんたが愛護派だって分かったから、あんたを奴隷にしようとしてたんだろう。」
「そ、そんな。実装ちゃんが?」
「…あんた、実装石を飼ったことあるか?」
「な、無いですよ。僕は公園で実装ちゃんを見てるだけで。」
「それ、市の指定公園だろ。」
「そうですけど?」
市の指定公園は先ほどの通り、賢くおとなしい野良実装のみが住むことを許されている。
しかし、賢くおとなしい野良実装なぞ野良実装の中で一握り居るか居ないかである。
「そうか、あんたに本当の実装石ってどんなか見せてやるよ。」
そう言ってよしゆきは青年にリンガルを渡した。
「あの、実装リンガルの翻訳って完璧なんですか?」
「完璧かといわれるとそうでもないだろう。でもそれは英語と日本語の翻訳と一緒だ。
ただ、今は技術も上がってほぼ完璧とも言っていいかもしれない。
俺が使ってるのは、いい値段がする奴だ。その辺で売ってるのよりは精度は高いだろう。」
「で、一体何をするんですか?」
「俺についてくればいい。」
よしゆきは青年を連れて、公園の出口まで行った。
「お、いいタイミングだ。」
そこにはちょうど金持ちそうな夫人と紐無しで散歩しているピンクの服を着た高級飼い実装と、
紐付きで散歩する普通の実装服を着ている実装石が居た。
紐付き実装は高級実装を目に留めると「デスゥ」と言っておじぎをし、高級実装はそれを見ると「デップププ♪」と笑った。
「あんた、あれをどう見る?」
「え?仲いい実装ちゃん達の挨拶じゃないですか?」
「あんた本当に馬鹿だな。リンガルを見てみろ。」
「馬鹿って失礼でしょう…」
と言いながら青年はリンガルを見た。そこには
「あ、お友達デスゥ。挨拶するデスゥ。こんにちはデスゥ」
「デップププ♪下賎な飼い実装デスゥ。オマエ程度がこのエメラルド様に挨拶しようなぞ、100億年早いデスゥ!」
と出ていた。
「え?何で?こんな?」
青年は本当に訳が分かっていないようだった。さらにリンガルは続く。
どうやらこれは高級実装の言葉のようだ。
「あー、毎日散歩なんてつまらないデスゥ。疲れるデス。家でゴロゴロしていたいデス。
毎日毎日オスシにステーキは飽きたデス。もっといい物食べたいデスゥ。全くドレイニンゲンは分かってないデスゥ。」
「え?え?え?」
「それがあいつらの本音だよ。甘い顔をすればするほど奴らは付け上がる。
厳しい躾を受けた高級飼い実装でも結果的にはああなる。しかも愛護派の奴らはリンガルを使わない。
なので余計増長する。逆に見てみろ、あっちの普通の飼い実装を。」
「ん?どうした、ミドリ。あんな奴のいうこと気にすること無いぞ。」
これは、飼い主の言葉だ。
「気にしてないデスー。ワタシは幸せデス。毎日ご主人様がよくしてくれるデス。
毎日ご飯が食べれるデス。毎日あったかいお風呂に入れるデスゥ。」
「逆にしっかり飼ってる奴はリンガルを使ってしっかりコミュニケーションをとる。粗相をすれば、躾で対応する。
あんた、犬か猫は飼ったことあるか?」
「犬を実家で飼っていましたけど…」
「一緒だよ。犬と猫とも。言ってしまえば人とも同じだ。何が良くて何が駄目か。
それを覚えさせなければ我侭で馬鹿な奴しか育たない。分かるだろ?」
「…はい。」
青年はしぶしぶながらも頷いた。今まで天使だと信じていた実装ちゃんの現実を見てショックを受けているのだろう。
「よし、次だ。」
よしゆきはショックを隠しきれない青年を連れて、公園の中へ戻っていった。
「リー、フゥ。この辺に実装石は居るか?」
よしゆきはインカムに問いかける。何かしら応答があったのだろう。
「了解。すまないがもう少しそこで待機してくれ。」
そういってよしゆきはポケットから金平糖を取り出した。
「そこに仔実装ちゃんが居るね?甘ーい金平糖はいらないかなぁ?」
よしゆきは茂みに近づく。しかし、その茂みに実装石が居そうな雰囲気は無い。
「テッチュゥ♪」
だが、仔実装の甘えた声がし、茂みから仔実装が飛び出してきた。
おおよそ常人では実装石が居るとは判断できなかったのだが。
「おい、いいか。しっかりリンガル見とけよ。」
よしゆきは青年にそう言い聞かせる。
「テチュテチュ!おい、クソニンゲン!早くこの高貴なアタチに金平糖を貢ぐテチ!」
「欲しいのはこれかなぁ?」
「分かってるなら早くよこすテチ!オマエさっきくれるって言ったテチ!」
「はいはい。ごめんね。」
そういってよしゆきは仔実装に金平糖を渡した。仔実装はよしゆきの手から金平糖をひったくると即口に放り込んだ。
「テッチューン♪アマアマテチィ!テププププ!まだまだ足りないテチィ。もっと貢いでいいテチ。さっさとするテチ。
それと責任を持って、アタチのオネエチャ、イモウトチャ、ママをオマエの家へ連れて帰るテチ。
ご飯は毎日オスシとステーキと金平糖を出すテチ!テプププププ!!」
「こ、こんな事を?」
「そうだ。こいつらの言葉が分かればこいつらがどれだけ醜悪か分かるだろう?」
「おい!クソニンゲン!早くするテチ!早くしないとママにぶっとばしてもらうテチ!ママァ!マーマー!」
仔実装が叫ぶと別の茂みから成体実装が現れた。おそらくこの仔糞蟲の母親であろう。
「デプププ。オマエがワタシのドレイニンゲンデスゥ?」
登場してから一秒も満たない間に糞蟲発言である。
「悪いが俺はお前等を飼う気なんて全く無い。」
「こいつ金平糖を貢いだだけで生意気テチャァ!」
「デッ!?オマエ金平糖を食べたデス?」
「食べたテチ!アマアマテッチュンだったテチ!チュベッ!!」
喋っている最中に仔実装は親実装に殺されていた。
「ワタシだって金平糖なんて食べたこと無いデスゥ!オマエは生意気な糞蟲デスゥ!!」
「お前もだろうが。」
よしゆきは親実装に言う。
「五月蝿いデース!!クソニンゲンはウンチを喰らうデス!そしたらお前はワタシのドレイデーッス!デッププププ!」
成体実装は糞投の構えに入って糞を投げつけた。しかし、言わずもがな塩ビシールドに防がれる。
「糞蟲確定っと。」
そう言って定規で成体実装を斬り捨てる。
「分かったかい?ああ言った奴らでなければ別に公園でのさばっていても良いんだがね。」
そう言っている間に「金平糖」という単語を聞きつけた実装石達が集まってきた。
「金平糖よこすデッスン!」「はやくするテチ!」「クソニンゲンはノロマレチィ!」
などなど勝手なことをほざいている。
「これが、糞蟲だ。」
「糞…蟲。」
「そうだ。実装石のなかでも特に醜悪な奴らだ。俺は全ての実装石を斬っているわけではない。
公園の景観を取り戻すために糞蟲のみを排除している。」
「…それでも、僕は実装ちゃんは可愛いと思います。」
青年はそう言い放った。
「デップププ!ワタシ達の魅力にメロメロなニンゲンがまた居たデスゥ♪」
「はやく貢物を用意するレチィ♪」
「愛護派テチィ♪」
まさに愛護派発言を聞いた実装石達はさらに調子に乗っているようだ。
「そうか。じゃあ俺を止めるかい?」

一瞬の間が空いた。

「いいえ。じゃんじゃんやってください。」
青年はにこやかに答えた。
「デデェッ!?何言ってるデス!?」
「ほう。」
「公園がこんなに酷い臭いで、酷い状況だったのは糞蟲達の仕業だって分かりました。
公園に居て良い実装ちゃんは可愛くて大人しい方が良いと思います。」
「そりゃそうだ。」
「僕はどうも今まで勘違いしてました。実装ちゃんは全部大人しくて可愛いって。
でも、この公園に居るのはみんな汚くて下品です。それが現実だと思います。
だからといって全部の実装ちゃんが汚くて下品じゃないんです。可愛い実装ちゃんも居ます。
そんな実装ちゃんのためにも、こういった糞蟲は居ちゃいけないんだと思います。
あなたの仕事は可愛い実装ちゃんのためにもなるって分かりました。」
「よく言った。分かってくれればいい。まぁ、俺は糞蟲専門の虐待派だからな。
全ての奴が俺みたいな考えじゃないだろうが、一様に糞蟲は存在していてもこの世の特にならないからな。」
「デヒィ!逃げるデスゥ!」
「絶対に逃がさないよ。」
よしゆきは一瞬で周りに居た全ての実装石を斬り倒した。
「リー、フゥ。他にはどうだ。…そうか。分かった。マカ。お前は。…戻ったか。了解した。今日はここまでにしよう。」
「あの、糞蟲達の死体ってどうなるんですか?」
「後は市の清掃業者がしてくれる。俺は帰るとするよ。」
「さっきから誰と話してたんですか?」
「ああ、いいよ。見せてやる。ついてきな。」
よしゆきは公園の駐車場へと青年を案内した。
そこには数匹の実装石達が集まっていた。
「この実装ちゃん達は?」
「俺の実装石だ。俺の仕事を手伝ってもらっている。俺が躾たんだ。この鋏がついてるのがマカ。」
「マカデス。ニンゲンさん初めましてデスー。」
マカの片腕には巨大な(とはいっても実装石サイズで)鋏が付いている。頭にはよしゆきと同様にインカムをつけている。
「そんで串を持ってるのがモス。フォークを持ってるのがクロム。鎖を持っているのがセージだ。」
「「「初めましてテチュ♪」」」
お辞儀をする三匹の仔実装。仔実装達もインカムを付けている。三匹とも戦闘が可能なように武装している。
どの実装石達も実装服ではなく迷彩柄の服を着ている。
「最初はマカだけに手伝ってもらってたんだが、モス達も力になりたいって言ってな。ほれ、今日の戦果だ。」
「「「テチュー♪」」」
よしゆきは実装石達に金平糖を渡した。
「どうして実装ちゃんを使うんです?」
「さっきも言っただろ。英語と日本語の翻訳と一緒だ。
同じ実装石達であればリンガルより確実に糞蟲が分かるだろう。成功率を高めるためだ。」
事実、よしゆきの糞蟲殺傷率はほぼ100%に近い。どうしようもない状況で糞蟲でない個体の被害がでることもあるが。
「そうですか。今日は勉強になりました。お仕事がんばってください。あ、リンガル返しますね。」
「ああ。理解してくれてありがとうよ。」
「それじゃあ僕はこれで。」
青年は公園を去っていった。
「愛護派も全部ああやって理解が早ければ良いんだがな。そうもいかないのが世の中か。
ま、その分で俺に仕事があるんだからどっちもどっちかな。」
「デスゥ。」「そうテチィ。」
「さて、帰るか。よし、装備をはずすぞ。」
「ご主人様。リーとフゥはどうしたデス?」
「…あーーーーーーーーーーーーーーーッ!結局回収してなかったよ!リー、フゥ!聞こえるか!」
「聞こえるレチィ…。ご主人様早く迎えにきて欲しいレチィ。」
「蛆ちゃんパキンしちゃうレフー。」
「フゥ。お前そんなんでパキンなんかしないだろうが。今から回収に行く。待ってろ。」

そういってリーとフゥと呼ばれた親指実装と蛆ちゃんはよしゆきの回収を待っていた。
リーとフゥは公園の木などの高みに櫓を設置し、そこで望遠鏡を使用して公園内の糞蟲の動向を探る役目をしている。
といってもほとんどがリーの役目でフゥはおまけみたいなものだ。
おいてけぼりを喰らっていたリーは金平糖を二個もらい、フゥはいつもより10分多くプニプにをしてもらった。

一方青年はというと、帰りにペットショップを外から眺め、
「あー、公園の仔達も可愛いけど売ってるのも良いなあ!飼いたいなあ!…糞蟲じゃなければ!」
と言いながら家路へついた。

こうして、糞蟲への理解を深めた愛護派が誕生したのであった。

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