タイトル:続編です
ファイル:見張り実装1.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4994 レス数:0
初投稿日時:2006/08/01-03:08:52修正日時:2006/08/01-03:08:52
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                         「実装姉妹の逃避行4」



『それじゃ、今日もしっかり頼んだぜ』

「任せるテチ、糞蟲は一歩も入れないテチ」

あれから半年が経ったが、仔実装の成長は進む事も無く、未だ仔実装のままだ。
どうやら、これ以上の成長は、望めないようだ。
野生の実装石でも、親指実装から成体実装にまでなる固体は、極めて少ない。

暫く来なくなっていた野良実装だったが、最近は隣町から公園に住み着き、
商店街のへ進入を試みるようになった。

件数も段々と増えていき、今では1週間に一匹くらいの割合で、進入している。
それに比重して、仔実装への責任も増していた。

隣の魚屋が、ヤスに話しかける。

『今日も来るかな、野良実装ども』

『どうだろうな、昨日2匹始末したから、今日は来ないんじゃないか』

『それより知ってるかいヤスさん、近所のスーパーマーケットの話』

『あーなんでも、野良実装の標的に、されてるって話だろ』

『それがさ、店の中に数匹まとめて進入して、当り構わず食い散らかして、
 そりゃ酷い有様だってよ』

『店のもんは、黙って見てるのか?』

『殆どが女のアルバイトだから、汚いもんには触らないだろうね』
『暫くして店長と男のアルバイトが、結局みんな叩き殺したんだが、
 店中を糞まみれにされて、未だ営業再開も、ままならんようだね』
『そーいや店に来る、客の買い物袋に、託児までするそうな』

『野良実装どもめ、やりたい放題だな』

『ライバル店とはいえ、あそこまでいくと可哀相になるよ』

『本気では、思ってないんだろ、魚屋w』

『まーな、本当は嬉しかったりしてなw』
『最近は市でも、野良実装の問題を議題に上げてるし、
 そっちで何とかするんじゃないか』

『しかし昨日の野良実装は、けっさくだったな』

『あーみんなで囲んで、叩き殺そうと思ったら、いきなりパンツ脱いで、
 股開いてデフンデフン汚い性器見せやがった、気持ち悪いったらないぜ』

『あんまり汚いんで、触るのも嫌だったけど、最近になって設置した、
 デスミキサーに、生きたまんま放り込んでやったよ』


デスミキサーとは、野良実装の死体処理に困った市が、野良実装の多数出現する場所に、
最近になって設置した、実装石専門の廃棄用マシンだ。

トラックに、スイッチ一つで積み下ろしが、出来るようになっている。
商店街のゴミ置き場にも、一つ設置された。

仕掛けは中に回転する刃が付いており、ボタンを押すと高速回転する仕組みだ。
動き出した刃は、実装石を粉々に粉砕する、粉砕された塊は下のタンクに落ちる、
落ちたタンクが生ゴミ処理機なっており、そこに掛けられゆっくり肥料へと変る。
衛生的で、なおかつエコロジーの面でも、市民から好評を得ている。

その肥料は「デス骨粉」の商品名で販売された。
デス骨粉は、実装石のデタラメな生命力が反映されて、
植物や家畜に脅威の成長力と、強靭な生命力を作り、
農家や畜産業で引っ張りだこのヒット商品となり、市の財源を大いに潤した。

本来は道端などで死んでいる実装石用の物だが、自分の手で殺すのが嫌な者や、
虐待派が生きたまま放り込んで、楽しんだりするのにも使われている。


『こいつの悪い所は、死んでいく姿が見れない所だな』

『虐待派には、物足りないだろうね』
『まー虐待派は、わざと足から少しずつ入れて、表情を楽しんでるみたいだよ』

『俺は面倒くさいから、放り込んで終わりだけどな』
『この商店街は、あいつが見張ってるから、野良実装も中々手が出せんだろう』
『俺も仔実装に、ただ飯を食われずに、すんでるって訳だな』

『何言ってんだいヤスさん、仔実装がいなきゃ俺達も、あのスーパーみたいに・・・』
『嫌だ嫌だ、あんまり考えたくないよ』

ヤスは仔実装に、毎日見張りの仕事をさせて、けっして甘えさせたりはしなかった。
部屋に帰っても水槽で生活をさせ、風呂に入れて餌を与える以外は、
特別に愛情を掛ける事もしない、それが仔実装への、ヤスのルールだ。

仔実装もそんなヤスの態度を、別段気にする事も無く、気を使わずにすむ事が、
返って気が楽で仔実装なりに、ヤスに感謝を心の中では感じていた。

ヤスは生意気な口を利く仔実装に、その行為は人間と仔実装の境界線を、
仔実装が作っている事に気が付いていた、本来実装石は欲の塊でその欲望は際限が無い。

実装石の癖に何かを要求した事も無い、そんな仔実装にヤスも一目を置いている。
いつしかヤスと仔実装の間には、奇妙な信頼関係が生まれていた。


『おっもう昼だ、俺は飯にするよ』

そう言って魚屋は、店へ帰っていった。

『それじゃ俺も昼飯にするか、おい!後は頼んだぞ』

「任せるテチ、ヤスさんは安心してゴハンに行くテチ」

お昼になって、なぜか仔実装が落ち着かなくなる。
あたりをきょろきょろと、しきりに見回している、ヤスが声を掛ける。

『ん〜・・おまえ何そわそわしてんだ?』
『あー婆さんか、来るのは後5分後くらいだぜ』

「べ・・別に待ってる訳じゃ無いテチ」
「いいからヤスさんは、早くゴハンに行くがいいテチ」

『やれやれ見張りの方は、ちゃんとやってくれよ』

そう言うと、ヤスも店の中に入っていた。

仔実装は見張りそっちのけで、商店街の奥をじっと見つめる。
程なくすると奥の店から、こちらに向かってくる人影があった。

仔実装はますます落ち着かなくなり、拍子に椅子から転げ落ちてしまう。
うつ伏せになったまま見上げると、人の影がダンボールを覆った。

『 あらあら大丈夫?慌てん坊ね、うふふ』

そう言うと女性は仔実装を両手で抱えて、椅子に座らせた。

この女性は揚げ物屋の店主で名前はウメ、揚げ物屋を一人で切り盛りをしている。
初老を迎える年齢だが、姿勢も凛としており、何処と無く気品を感じる。

元々は肉屋の主人と一緒になったのだが、男の子二人を作った後、
子供二人を残し、主人は早くに亡くなっている。

女一人では難しいと肉屋をたたみ、子供二人は揚げ物屋をしながら、女手一つで育て上げた。
今では子供達も家を出て、一人暮らしをしている。
生活は年金と揚げ物屋の収入で、特に不住も無く暮らしている。

少し前は野良実装の被害に、頭を悩ましていたが、
最近は仔実装の活躍で、平穏な商売を取り戻している。


仔実装はうつむいて、恥ずかしそうに答える。

「あ・・ありがとテチ、ウメおばちゃん」

『あら!あなたの髪の毛ゴワゴワね』

「テチ・・」

『ちゃんとお風呂に入ってるの?』

「お風呂はヤスさんが、毎日入れてくれるテチ』
「不潔な奴は嫌いだって、言ってたテチ」

『シャンプーとかリンスとかしてる』

「シャンプーとかリンスって何テチ?」

『まったくヤスときたら・・しょうがないわね』

『ヤスのバカには私の方から、言って置いてあげる』
『それより、ほら・・お昼のお弁当、売り物のコロッケだけどね』

「コロッケ大好きテチ、揚げたてのほっくほくテチィ」

そう言うと仔実装は貰ったコロッケを、大事そうに下に置いた。

『あら・・食べないの?』

「コロッケは、後でゆっくり食べるテチ」
「また・・・お話、聞かせてテチ」

仔実装はウメの話を聞くのが、ここ最近の日課となっている。
子供の話しや商店街の話をするウメに、自分の家族を重ねていた。

最近の公園の様子や、自分の子供の話が済むと、ヤスの話になった。

話だとヤスは、ウメの子供の兄貴分で、
同級生の魚屋と3人でウメを困らせていたらしい。

『あなたも、ヤスなんかの家じゃ大変よ』

『昔から悪ガキでね、そのまま大人になった様なものよ』

『小学校の時なんかもね・・・・』

ヤスの悪口が続くと、仔実装はうつむいてしまう。
「テチィ・・」

『あら!あなたのご主人様だものね、気を悪くしたかしら?』

「ご主人様じゃ無いテチ」

『ふーん・・ご主人様じゃ無いの?』

「ヤスさんは、居候って言ってたテチ」
「すぐに居なくなるんだから、飼う気は無いって言ってるテチ」

『まー見張りまでさせておいて、ヤスの奴は薄情ね』

「全然、気にしてないテチ」
「その方が気が楽テチよ」


仔実装はお昼になると来てくれるウメが大好きだった、
女性特有の優しい感じが、ママに似ている。
目を見て話す事も、何か恥ずかしく感じた。

いつもの生意気な口調もなりを潜め、よそ行きの言葉で話し、
仔実装なりに好かれようと、一生懸命である。

ウメも野良実装の被害から、助けてくれた仔実装に、好意を覚え、
子供も居なくなって少し淋しくなった自分の、話し相手にしている。

「・・ウメおばちゃん」


「・・・あの・・テッチィ」

『うん・・話して御覧なさい』

仔実装は恥ずかしそうにうつむき、下を見ながら話した。

「お願いがあるテチ」

『お願い?』

「今度、公園に連れて行って欲しいテチ」
「仔実装が一人で行くと、危険がいっぱいテチ」
「どうしても行きたいテチ」
「お願いテチ」

仔実装はウメを見上げて、顔色を伺う。

『そうね、明日は商店街が休みだから、一緒に散歩でもしましょうか』
『最近はバカな野良実装も減って、公園も安全になったしね』

「ありがとテチ」
「とっても嬉しいテチ」

『それじゃね、仔実装ちゃん』

「約束テチィー」

ウメは仔実装に手を振り去っていった。
仔実装はウメの後姿を、いつまでも見送っていた。




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翌日、仔実装は朝早くから起きて、ヤスを叩き起こした。


「朝テチ!朝テチィー!!」
「ヤスさん!!ヤスさん!!」
「早く起きるテチ!!」
「いつまで寝てるテチ!!」

仔実装は水槽のガラスを、ペシペシ叩きヤスを起こした。

『なんだ・・・今日は休みだろが』
『何、朝から興奮してんだオマエ』

「今日はウメおばさんが、公園に連れて行ってくれるテチ」
「早く待ってないと来ちゃうテチ」

『幾らなんでも、こんな朝早く来ねーよバカ!!』
『まったく・・あの婆さん、ここに来るのかよ』
『昔から苦手なんだよな』

『お前も婆さんには、気を付けろよ』
『すぐ手を出すんだよな、あのババア・・』

「な・・なに言ってるテチ!」
「ウメおばちゃんの悪口は、絶対許さないテチ!!」
「今度ババアなんて言ったら、酷い目に合わせるテチ!!」


『この!』

ヤスは仔実装に、デコピンを食らわせた。

ピシ!

「テッ!!」

仔実装はオデコを押さえて、ヤス睨みつける。

「テ・・テチィ・・」
「ひ・・ひどいテチ」

ヤスは仔実装を無視して台所に行き、昨日の残りのオカズを暖めた。

『婆さんから電話があったぜ』
『来るのは昼だってよ』

『朝飯でも食って待ってなw』

「お昼・・テチィ・・」

仔実装はお昼からと聞いて、がっくりと肩を落とす。

仔実装は朝ごはんを食べると、まだ早いがダンボールに入って、ウメを待った。


お昼前にウメはやって来て、仔実装と一緒に公園に向かう。
仔実装の歩幅にウメは合わせて歩き、途中休みながら公園に着いた。

ウメは仔実装を抱えて歩き回り、公園の中を色々と見て回る、
公園内を一周して、ベンチに子実装を降ろし、自分も座った。

『ふ〜・・少し疲れたわね』
『仔実装ちゃん・・探してる人は見つかった?』

「べ・・別に探してる人はいないテチ」

『ママでしょ?あなたの探してる人は』

「テ・・テチィ」
「分かってたテチ?・・ウメおばちゃん」

『ヤスから聞いてたわよ』
『別に隠さなくてもいいでしょ』

「・・恥ずかしいテチ」

『ふふ・・・ママはいなかったのね』

「・・はい・・テチ」

『ママは何処に行ったのかしらね』

「分からないテチ」

『それにしても・・・』
『ここの公園の実装石も、大分少なくなってきたわね』
『以前は公園にあふれんばかりで、公園に来ようとも思わなかったわ』
『ベンチに座ろうもんなら、沢山の野良実装が、物乞いに来たもんよ』、

そう言うとウメは、公園の中央にある噴水を見た。

ガサリ!

実装石だ・・・しかも親子、仔実装のスカートに隠れて、もう一匹は親指サイズ。
実装親子がウメと仔実装に近づいて来た。


「人間さん・・・こんにちはデス」
「お前達も挨拶するデス」








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