タイトル:【虐馬】 粉が舞う
ファイル:粉が舞う.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2946 レス数:0
初投稿日時:2009/04/02-20:24:35修正日時:2009/04/02-20:24:35
←戻る↓レスへ飛ぶ




「さあお前たち、こっちに来るデスウ」
「ママ何テチ?」「プニフー?」

あるダンボールハウスの中、
親実装が手に持っているのは白い櫛。
千円床屋でくれるような奴を誰かが捨てて、親実装が拾ってきたのだ。

「ニンゲンさんはこれで髪をきれいきれいするデスウ
 お前たちもきれいきれいすれば、いつか幸せな飼い実装になれるデス」

「テチャー!きれいになるテチ!」

親実装は微笑んで長女を自分の前に座らせて、髪に櫛を当てる。



ゴシゴシゴシゴシ!

「テェェェ!」

「デスウ!これは何デスウ!仔供のアタマが粉だらけになったデスウ!!」



親実装は櫛の使い方を知らなかった。漠然と、女性が美容のために使っているといった記憶があっただけ。
新陳代謝の良い実装石の垢やフケは通常は放置している限りは、
汗でぬめって服に溶け込んでいき、服の耐久力や防水性(と臭気)を高める。
しかし、故意に引き剥がすと大量のフケが生み出されることになるのだ。



「頭がカユカユテチィーーーー!!」   バサバサッ!

「デェェッ!プフェップフェッ!!」



櫛の歯により掻き毟られた頭皮はかぶれ、炎症を起こして猛烈なかゆみを生んだ。
仔実装が耐え切れずに手で頭をゴシゴシ擦ると、猛烈な勢いでフケが舞った。

「デェェ…そういえば昔ニンゲンの女が美貌は女の武器とか言ってたデス
 もしかして、これは美しい私たちのために作られた武器なんデスウ?」

「テチャー!!まだカユイテチー!!」  ブワブワブワ!!

「デシャー!やめるデスウ ゲホゲホッッ!! 息ができないデスウ!」

ダンボールハウス内はフケが舞って真っ白になってしまった。
フケが入った目をゴシゴシと擦りながら、親仔は一日掛けて床や餌皿に降り積もったフケを
手で擦り取って掃除する羽目になった。










「糞蟲ちゃあああ〜ん、どこかなあああっ!!!」

次の日、公園を通りかかった虐待派の男がヒャッハーを決め込もうと徘徊していた。
彼のホームタウンからは離れた地。多少無茶して暴れても困ることはあまりない。

「こっこかなあ〜ん?」

「デッジャアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

ヨタヨタと走り回る実装石たちを、レジ袋を被せた革靴で上からゆっくりと踏み潰していく男。
みちみちっとした感触がたまらないのだ。皮から中身がムリムリとはみ出し、
ついには服も破れてそこからも内臓や糞が押し出される。足をぐりぐりひねると、
ザリザリと地面の砂で押しつぶされて、髪と服以外は染みとなって混ざってゆく。
男はその感触を味わう度に深いため息をついた。






「…テェェ!!ママーあのニンゲンヤバいテチュー!怖いテチュー!」

「落ち着くデスウ…さ、今のうちに女の武器を込めるデスウ」

実装親仔は櫛で頭を滅茶苦茶に擦り、フケを大量に髪の毛に含ませた。

「気をつけるデスウ!程ほどにしておくデス!」

「わかってますテチ!」

頭皮を掻きすぎると大事な大事な髪の毛が抜けてしまう。
毛根を掘らないように、生え際などのフケ大量発生ポイントを狙って掻く。
準備完了した親仔の髪の毛は大量の粉を纏って黄色がかった灰色に見える。







ガサガサ
男が植え込みを踏み越えて実装親仔のハウスの前までやってきた。
それまでに殺された実装石は十匹強。他の実装石は遅い足取りで必死に逃げていった。

「おっとお〜、糞蟲親子をはっけぇ〜ん!
 ん、櫛持ってるな それで戦うつもりかい?健気だな!無駄だけど!!」




「その言葉、センセンフコクとハンダンするデス!トウホウにゲイゲキのヨウイありデスウ!!」

「てめ〜糞蟲が 拾った漫画でも読みやがったか?
 お前如きがそのセリフを使うんじゃねー! 死ねッッ!!!」




「デッシャアァーーーーーーッッ!!!」
「テシャアアァッッーーーーーーーー!!!」」

ガシガシガシガシッ!



「うわあああああああああああぁぁっっ!!!」




「ゲホゲホゲホッ
 くせええええええええええ
 目がかゆいいいいいいいいいいいいいいいいい」


フケが煙のように舞う。
虐待派男は不測の事態に慌てふためいて走り去っていった。
か弱い実装石でも糞投げ程度は行うことがある。不慣れな者はその程度でも腰を抜かすが、
トロくさい実装石の投糞モーションなど、動作を始めてからでも十分見切れるものだ。
しかし、フケ払いは事前に櫛で頭を掻いて髪の毛をフケだらけにしておけば
発射時は手をジャカジャカ前後させればいいだけで、複雑な動きなどいらない。
命中も糞もないから適当に引きつけて放てば瞬時にフケが広がり、外れることなどありえない。
自分たちは目を閉じていれば十分平気だ。


「覚えてろよおおお!くっせえええ」

男は公園を走り去って、電柱を力任せに蹴り飛ばし、フケが鼻に入り込んだのでティッシュで穴を拭い、
真っ赤に充血した目に目薬を差して、ムシャクシャしながら去っていった。
仕事の外回りの最中にストレス解消にやったことなのに、こんなことになってしまった。
次の顧客のところへ向かう前に体中に付着したフケをどうにかしないといけない。
目から涙が出て、鼻からは脂臭いフケの臭いが消えない。最低な状況。
敗北である。




「あいつら凄いデスウ!」
「虐待派を追い払ったデスウ!!」

「デスゥ〜ン」
「皆にも方法を教えるテチュウ!」

その後、公園の実装石たちは、1000円床屋の側に奴隷を向かわせて、
客の捨てた櫛を集めさせた。





フケ実装がはびこり、その結果として公園からは一時的にとはいえ虐待派が消えた。
しかし、子供たちや愛護派までもが消えてしまった。
それも当然のことだ。フケだらけの実装石がうろうろし、風が吹くと粉が舞う。
掻かれて刺激を受けた皮膚は脂を過剰に分泌するので、モワア〜と異臭が漂っている。
子供たちを遊ばせると、花粉症のような症状を見せて家に帰ってくる。
こんなことで実装アレルギーにでもなったら大変だ。
町内会では一斉駆除の計画が進められていた…。
しかし、事が起きる前に実装石たちは半ば自滅していくことになる。






「パラパラ〜 魚にフリカケかけるデスウ〜」

「テチ!今日のご飯は豪華テチャ!」

公園の実装石たちは、フケを食べることを覚えた。
パリパリとしたスナック感覚のさくさくフケ。脂まみれでドロドロの、バターのような調味フケ。
これらを餌にふりかけたり、塗りつけて食うのである。


「さ、オヤツデスウ」

「サクサクうまうまテチ〜!」

さらには、フケをオヤツにし始めた。
親実装が器にフケをありったけ掻きだすと、コーンフレークを細かく砕いたような状態に。
それに水を掛けてふやけたところをすすって食べる。
空腹時にも実装石たちは頭を掻いてパリパリムシャムシャとフケを食うようになった。



「デェェ なんか調子悪いデスウ」

「テェェン!!お腹痛いテチャ!」 ぶりぶりぶり

フケなど、もちろん食って体にいいようなものではない。
基本的に老廃物だし、屋外で不潔に暮らす実装石の表皮には様々な有害物質が付着している。
それを自ら取り込んでしまうのだからアホなことこの上ない行為なのだ。







「おらあああああああ!またきたぞおおおお!」

虐待派男がリベンジにやってきた。手には適度に長い木の棒。
中距離から一気に突き殺そうという腹積もりだ。
しかし、以前襲ったハウスの場所に行くと、どうも様子がおかしい。

「デェェ…デェェ…」


「おい、どうしたんだ?   うわあ!」


ハウスの中には、仔の死体を抱いて泣く親実装の姿があった。その姿、中々に異形。
頭は掻き毟って爛れ、まばらに禿げている。頭皮への刺激が癖になってしまったのだろう。
さらに、肌には水ぶくれができて、所々で潰れて汚汁が垂れていた。
有害物質を毎日のように取り込んだ結果、なにか妙な疾患にかかっているようだった。
仔は影になってよく見えないが、グジュグジュに腐っているように見えた。

「デェェン、デェェン…デジュウウウウウゥゥ……」

「…うーん」


その気色悪い姿を見て男は気を削がれて去っていった。
男と入れ違いに、消毒液噴霧装置を持った清掃員が公園を下見に現れた。
その足元に、一匹の実装石が駆け寄ってきた。



「デェェン!
 みんな病気になっちゃったデスウ!!
 アホばっかデスウ!櫛は髪をとかすものデスー!!
 あいつら糞蟲には使えない物なんデシャアアアッッーーー!!!」

泣き叫びながら走ってくる実装石。彼女は元飼い実装で、櫛の本来の使い方を知っていた。
公園内を舞うフケに目をやられたのか、左目が充血してたまに蛆をポトポト産み落としているものの、
他はどうやら無事のようだ。懸命に清掃員に助けを求めようとする。
しかし、清掃員はあいにくリンガルを持っていなかった。

「うわー!こっち来るな!!」

プシュウウウウーーーッ!!!

「デギャアアアアアアッッ!!!」

清掃員は市の職員に報告するため帰っていった。
後に残ったのは、必要以上に消毒液を噴霧されたために窒息死した元飼い実装。
一週間もしないうちに本格的に駆除チームが派遣されることであろう。
それまでに、殆どの実装石が病死していることは誰も知らない。



完

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため7020を入力してください
戻る