大学一年生の夏の日、俺はホームセンターでダンボールを大量購入していた。 友人の年雄と秋山も、各自必要な物資を集めて回っている。 一時間ほどして、レジ前で合流して、会計を行った。 やっとこさで秋山の車に運び、トランクに積み込む。 やっと一息つけたが、あくまでこれは材料集めの段階。これからが大変だ。 車で十数分移動して秋山の自宅に到着。 両親が単身赴任に出ており、一軒家に一人で暮らしているこの男。 なんともうらやましい状況だ。こいつと友人になったからには、俺もその恩恵にあずかろうというもの。 物資を抱えて玄関をあけると、もう「デスデス テチテチ」と実装石どもの泣き声が聞こえてきた。 秋山の生活空間は二階に集まっており、一階は風呂とリビング以外の殆どの空間が実装石のために作られている。 部屋は二つあり、ひとつは実装石のタコ部屋。もう一つはプレイルームにされている。 都合の良いことに大学の帰り道にあるので、毎日のように野良を拾い、 秋山の自宅に寄って様々な虐待を楽しんでいた。 今日は精をつけるために実装料理を作ることになった。 タコ部屋に入り、糞蟲区画の上げ実装飼育槽から成体を一匹抱えあげて、 「特別な快楽を味あわせてやるぞ」 等とおだてながらキッチンに連れて行く。 口に棒を突っ込んで流しに押し込み、服を破いて、ハゲハダカに剥く。 ホースを使って糞抜きを行ったら後は料理など、手先が器用な年雄の出番だ。 「デジャアアアッ!!」 年雄が、顔に皺を寄せて泣き叫ぶ実装石の後頭部に包丁の柄で一撃を加える。 リンゴのようにスルスルと胴体の皮を剥き、秋山に投げつける。 秋山はそれをぶらぶらさせて大笑いだ。 「フェフェ…デギャッ…ピュッ!!!」 激痛に叫びを上げる寸前、スコンと首を落とす。生首はなおも口をパクパクさせている。 胴から内臓を抜いて薄く肉を削いでいく。それをフライパンでシンプルに塩味で炒める。 それをご飯に乗せて食べると上等の昼食になる。 生首には食事を見物していただくことにした。命を奪われる者への礼儀、ということにしておこう。 腹ごなしが終わり生ごみを糞蟲区画に餌として放り込んだ後、いよいよ作業開始だ。 庭に出て、俺が描いた設計図に合わせて買ってきたダンボールを箱にして並べていく。 そして隣り合ったダンボールをつなげて仮組みすると蛇行するダンボールのトンネルが出来上がる。 一度トンネルを解体して、ダンボールに加工を加えていく。外側に防水樹脂シートを貼り付ける。 内側には発泡ウレタンを吹き付けて、その上に塗料を吹き付ける。 塗料を塗らない部分を一定間隔で作り、その外側のダンボールを切り取り、LEDを配置していく。 それを点灯させると、ダンボールトンネルの中は茶色いぼこぼこの壁で、 所々が仄かに明るむ洞窟のようになる。 仕上げたダンボールをまた仮組みすると、グネグネと蛇行する一本道の洞窟が出来上がった。 ここに作ろうとしているのは、仔実装に障害を乗り越えさせる、実装ダンジョン。 待ち受ける仔実装を待ち受ける数々のトラップ。失敗は死。成功は…。 とにかくそれを見物して楽しもうという趣向だ。 ここで一度テストを行おうと秋山が言い出した。タコ部屋から糞蟲仔実装を連れてきて、 トンネルの入り口に立たせる。そして、出口ではコンロに鍋を置いて砂糖を入れた水を煮詰めていく。 「テチャア?」 仔実装のところに甘い匂いが漂ってきたようで、夢中になってトンネルの中に駆けていった。 10分後、仔実装がくたくたになって出口から出てきた。 曲がり道を活かして庭を殆ど埋め尽くすように道を作ったので、意外と距離があるのだ。 「全力疾走で10分か。ちょうどいいな」 「何してるテチ!アマアマどこテチャアッ!」 「うっせえよ」 わめきたてる仔実装にはグツグツ煮立つ砂糖水を浴びせかけて無視。 トンネルの長さは調度いいことが分かったので、再び解体して中に仕掛けを作っていくことにする。 おっ、仔実装が飴になってやがる。後でタコ部屋に放り込んでおこう。 バットを用意して、そこに実装石の糞をためることにする。 これはじゃんけんで負けた年雄の役目だ。かわいそうにな。 タコ部屋にバットを持って向かい、糞蟲を攫って裸にする。 「デジャアアアアアアッッ!!」 暴れまわる実装石にコンペイトウ、いやドドンパを食わせておとなしくする。 そこですぐさま抱え込んでバットに糞をさせる。 「おわっ すごい勢いだよ…」 腕をブルブルさせながらこらえている年雄。服にちょっとはねてるぞ。 糞ためバットは洞窟の床に設置して、ウレタンと塗料で周りを自然に慣らして固定する。糞沼の完成だ。 「ちょっと見てみな」 次の作業に移る前に秋山に呼ばれたので、プレイルームに向かうと、 そこにはアリがうようよと入っている水槽が。 その中に糞蟲実装を投入する。 「デスー!ちっこいのが沢山デスウ!ッデ!!デジャアアアアッッ!!!」 糞蟲にアリがたかっていき、ぷちぷちぷちと音が鳴っている。 「痛いデジャアア!デエエエエェ!!」 一瞬血まみれの糞蟲の顔が見えたがすぐさまアリに覆われてしまった。 次に糞蟲が姿を現したとき、そこにあるのは血と髪と服だけだった。ぶるぶる。 「アカカミアリ、いわゆるファイアーアントさ」 んなもんどこで手に入れたんだよ…。 とにかく恐ろしいので水槽には近づかない。 そのアリが洞窟に入り込むように、横壁に穴を開けて通路を作る。 そこをダクトを使い水槽で繋げればアリトラップの完成だ。 トラップが使用済みになったらすぐさま殺虫剤を挿しいれて撒けるように天井に小さな穴を開けておいた。 次に電熱線を敷き詰めて灼熱の道を作る。 その後では、仔実装をゴキブリに襲わせる仕掛けを作る。天井に丸く穴を開けておくだけだ。 使用時はカップにゴキブリを入れたものに板を置いて蓋をし、逆さに穴の上に置く。 後は仔実装が下を通過するときに板を横から引き抜くだけだ。 つぎに作るのはやや複雑な仕掛け。ギロチン。死刑執行中脱獄進行中だ。 洞窟に穴を開けた壁を作り、実装石がそこを通ったときにカミソリの刃で作ったギロチンを落とすのだ。 この仕掛けでは仔実装に謎解きをさせることにした。 アイテムとして渡した磁石を壁の上にあるくぼみにはめると、磁力で刃が止まるように作ったのだ。 仔実装の知性でそこに、いや、ギロチン自体に気付けるかどうか、見ものである。 ギロチンを越えた先でダンボール洞窟は終わる。そこにタイルを敷き、レンガと石を積んで少し広い空間を作る。 これで最後の試練の雰囲気を出す。その先に実装石を固定する設備を作る。 最後の試練は仔実装の母親を使う。仔実装は母の排泄孔から進入して体内を通って口から出る。 この試練は事前にテスト済みだ。タコ部屋から憎み合っている親子を選び出し、 仔実装に「親の体を潜り抜ければ高級飼い実装にする」と伝えるのだ。 親実装を達磨にして放っておくと、仔実装はずぼずぼと体内を進んで、 ぬらぬらとした粘液をまとって口から出てきた。その後放置しておくと、 「お前はとんでもない糞蟲デスウ!!デジャッ!!」「チュバッ!テチャアアッ!」 親実装は燃え上がる憎しみの中で仔を嬲り殺して食らった。親も処分したのはいうまでもない。 仕掛けが出来上がり、ダンジョンとしての装飾の仕上げに入る。 洞窟の内壁などに汚しを加えてリアルにしていく。それが終わったら、洞窟の入り口と出口の外側を作成。 三人で庭の土を掘り、洞窟の入り口が地面から空いて見えるように埋めていく。 入り口からダンボールの外側が見えないように、土を持って山を作る。周りには目隠しのために、 秋山が買い集めてきた背の高い植物を植えていく。 洞窟の出口は、地面から飛び出した親実装の口にする予定なので、拘束具の周りを土で埋め立てておく。 そして出口の周りに板で壁を作り、ウレタンを吹き付けて着色し、取りかこむ崖を作る。 この崖に囲まれた空間が「実装王の間」 つまりゴールだ。 その後にダンジョンのテストを行ったのだが、どうも上手くいかない。 親を拘束具に配置して、宝箱にコンペイトウなどを盛っても、仔実装はなかなか洞窟に踏み込まない。 やはり通常の実装石では動機付けが弱すぎるな。やはりあいつらが必要だ。 「おい年雄、ニヤニヤしすぎだ」 年雄がダンジョン制作で担った最大の仕事は、「おとぎ実装」を育成すること。 タコ部屋の、上質な実装石が産んだ仔をすぐさま引き離す。 そして、部屋の中に作った住処で徹底的に外界と隔離して育てていく。 散歩も森や林の中で行う。外出時の移動は全て、実装石を目隠しをしたケージに入れて行う。 実装石を遊ばせる林からは、水戸黄門のドラマのように遠くにビルなどが見えていることもあったが、 浅はかな実装石ならその程度なら問題ない。 それに平行して、年雄は実装石に様々なおとぎ話を読み聞かせて、 中世ヨーロッパの不思議の森的な世界観をすりこんでいったのだ。 秋山はこの中で翁という人物を演じた。飼い主以外との人物の接触が皆無なのは不自然なのを考えてのことだ。 この男、家庭環境もそうだが実年齢が良く分からない得体の知れない人物で、 付け髭とカツラを装着してローブを羽織ると、それはもう完璧なファンタジーの魔法使い。 翁は時折訪れる実装石に珍妙な道具の数々を見せて、世界観の味付けを行った。 半年がたち、実装石は仔を生み、現代世界から離れて家庭を築いた。 その姿はまさにアーミッシュのようだった。 ダンジョンの形が完成した日の夕暮れ、年雄は最後の引き金を引く。 年雄はダンジョン制作の一週間前から、末っ子の仔実装の餌に洗剤を少量ずつ混ぜて与えていた。 そして、体調を崩す仔実装を救うには実装王の洞窟をクリアする必要があると親子に伝えたのだ。 秋山が素顔で医者を演じたことで深刻性を増すことが出来た。 おとぎ話の効果は絶大で、実装石たちはすぐにそれを信じ込んだ。 これで役者が全て揃った。 その晩に三人で集まり最後の打ち合わせをした。 晩飯を食い始めると、年雄が隠しカメラで一部始終を撮影・編集したDVDを取り出した。 これは嬉しいサプライズ。明日への奮起にはうってつけである。 これがまさに噴飯物。なんの疑いも持たずに自分たちを森の妖精だと信じる実装親子。 「これは年雄がMVPかな?」 「いやいやダンジョンの出来は明日にならないとわかんねーよ」 再び蛆焼酎で乾杯し上機嫌の中、俺たちは解散した。 当日の俺はダンジョンの仕掛けを動かす裏方となる。 ここからは、各々がカメラで撮影していた映像のことも加えて語る。 年雄が実装石を連れて家を出た後、俺が入れ替わりに家に入って行き、留守番の仔実装たちを驚かせた。 「ど、どろぼうさんテチャッ!!」 「おうちは渡さないテチャア!!」 真面目な仔実装だなあ。それはそれとして、時間がないので手早く病気の仔実装を 金属のバケツに放り込んで着火する。 「テジャアアアアアアアアアッッッ!!!」 「チロになにするテチィッーー!!」 「テ…プペップペッ!」 騒ぐ残りの仔実装にはセメントを塗りつけていく。 仔実装がほどよく焼けてミイラのようになった頃には、他の仔実装は石像に変わっていた。 それをリュックに詰めて自転車で秋山の家に急ぐ。 まあ、年雄は回り道をしているから余裕はまだ結構あるのだが。 秋山の部屋では、「翁」が補助アイテムを仔実装に渡した後、仔と年雄が出て行った。 彼らは家の周りの道をうろついてから、時間稼ぎをして再び戻ってきて、庭のダンジョン前に向かった。 「デェェ。デズー心配デスウ…」 心配そうに喋るのは秋山の部屋に残された親実装。 「てめえは自分の心配をしろや」 「ッデ!?」 秋山は親実装の顔に、部屋に並べられていたウイスキーを浴びせかける。 「プギャアアッー!!」 ウイスキーが目や口の粘膜に染み込み、実装石は悲鳴を上げた。 「翁様!?な、なにするんデスウゥゥー!!!」 目をごしごしと擦りながら 暴れまくる親実装を秋山が蹴り飛ばした。 「っせーんだよ!お前はお前の役をこなせや」 「デシャアアッッ!!」 秋山は親実装を殴りつけながら禿裸にしていき、 手足をあっという間に切断してしまった。 「デボオオオオォォ!!!」 「黙って聞け!」 秋山はダルマ実装の首根っこをつかみ、全ての真相を丁寧に話す。 「…デ…デジャアアアアアアッッ!!!!」 全てを知った親実装の悲痛な咆哮。飯三倍はいけるすばらしい音源だ。 この後、秋山は親実装を連れて、裏口から出てダンジョンの出口に向かい、拘束具に縛り付ける。 うつぶせにさせて、背を思いっきり逸らさせて固定する。 これで、排泄孔は洞窟の末端とつながり、口は地面から突き出た出口となった。 洞窟の入り口に到着した年雄は、ケージから仔実装を取り出して、 こみ上げる笑いを必死に抑えながら、沈痛な面持ちで仔実装を見送った。 年雄の視点からは、洞窟の入り口に作られた目隠しは全く無意味で、 外側のダンボールや、ゴールに置いた宝箱の中に仔実装の焼死体を仕込んでスタンバイする俺の姿も、 親実装を縛り付けている秋山の姿も、完全に丸見えだ。 笑いをこらえるのはさぞ大変だったことだろう。 洞窟を進む仔実装は、おおむね予想通りの反応を示した。 一匹のファイアアントに指を噛まれたが、まあこれは名誉の負傷だろう。 磁石を忘れていくというアクシデントもあったが、 見事な闘志を見せてギロチンを乗り越えた。俺はその姿に仔実装を少し見直した。 反面、仔実装が石像を見たときの反応にはがっかりした。リアクション芸人としては失格だな。 仔実装が肉の道に入ると、俺たちは王の間の崖の周りに集合した。 見つからないように注意して覗き込む。 出口に当たる親実装の目が、恨めしそうにこちらを睨んだ後、 体内を暴れまわる仔実装が生む苦痛に顔を猛烈にゆがめる。 しかし悲しきかな。実装シビレを注射してあるのでほとんど身動きは取れないのだ。 すると…。 「おい、来た来た…」 「王の間テチ…」 親実装の口からボロボロの体で這い出てきた仔実装。 ウイスキーを飲んで翁にお礼を叫び、ずりずりと進んでいく。 「うわー粘液まみれだ。臭そうだなあ」 「おい翁!お礼言われてるじゃん」 「うるせーよ」 宝箱に気をとられて、うまいこと親実装には気付かない。 一つのことしか考えられない実装石の頭を考えればらくらく予想できたことだ。 「チロを直して、家族みんなで幸せに暮らしたいテチャアアアア!!!」 仔実装が宝箱を開けると同時にあがる花火。 しばらく花火に見とれている。 「志村した!した!」 宝箱に入っている仔実装の焼死体に中々気付かない様子が面白くて仕方がない。 「これでチロは大丈夫テチ。やったテチュ… テエ!!!?」 あっ、気付いた!気付いた! 辛抱溜まらず仔実装に姿を見せる。 「やったなあ、こいつ制覇しちゃったよ!!」 「スゲー!ひゃははははははははっっっ!!!」 うろたえる仔実装を前にして、喚起に満ちて興奮する俺たちであった…。 仔実装が憎しみと悲嘆にまみれて偽石崩壊をしてからしばらく笑いあって落ち着いた後、 大きな喪失感が俺を襲った。祭りの終わり。射精後の余韻。そんな複雑な感情。 今年の俺たちの夏は終わったのだ。 俺は二ヶ月かけて、ダンジョン内の各所に仕掛けたカメラと、 実装石たちを育成する過程の記録映像を編集して、一本の作品に仕上げた。 このDVDはインディーズの作品として大変な好評を得て、俺たちは数百万に達する利益を得た。 秋山は数年後、この経験を活かして実装虐待パークのプランナーに就職。 俺もアトラクションの設計者として虐待遊具の創作に日々熱中している。 年雄は「おとぎ実装」育成を売りにして、虐待に限らず、 キャラ付けをした高級飼い実装の育成ブリーダーとして人気を博している。 ちなみに、庭のダンボール洞窟はしばらく遊び道具になってきたが、 次の年の梅雨が過ぎた頃には劣化が酷くなっていた。 そこで、夏の日差しを逃れてきた野良実装をわざと住み着かせた後、 三人でしこたまダンボールごと踏み潰してから、可燃ごみに出されたのであった。

| 1 Re: Name:匿名石 2014/09/27-15:01:59 No:00001386[申告] |
| 仔実装視点での別スクもあってとても楽しめた |
| 2 Re: Name:匿名石 2014/09/27-22:54:20 No:00001388[申告] |
| 嘘の世界観と人物像を信じ込ませた果てに訪れる絶望…
これはいいものだ |
| 3 Re: Name:匿名石 2014/09/27-23:28:44 No:00001390[申告] |
| すばらしい!!
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