他実装のペットブームも下火になり、心ない飼い主に捨てられた他実装達が野生化したのか 最近では野良の他実装も珍しくはなくなってきた。 先日、縁側で大福餅を食べていると実装雛が庭に侵入して来た。 俺の足元までトコトコ歩いて来てナノー!ナノー!と喧しく鳴いている。 リンガルを起動してみる。 『お腹空いたノ。うにゅーちょうだいナノ』 「これは苺大福じゃねーよ」 『何でもいいノ。もう2日も何も食べてないノ。食べ物ちょうだいナノ』 お腹を押さえて切実な表情だ。 実装雛は他実装の中ではとても脆弱で、 自活力にも乏しく自力で食べ物を確保する事さえ困難を極める。 せっかく見つけた食料も、野良の実装石に横取りされる事もしばしば。 時には実装雛自身が野良実装石達の餌食にさえなる。 そこで野良の実装雛の多くは、こうやって人間に食料をねだるようになった。 幸い、実装石に対しては虐待派でも他実装に対しては愛護派という人間も多く なんとか絶滅は免れているという現状らしい。 しかしながら虐待派も、もちろん存在する。 例えば俺もそうだ。 「そっか。そういや冷蔵庫に苺大福あったかな ちょっと待ってな」 『アンマ!うにゅーくれるノ!?嬉しいノー!』 俺は台所に行くと冷蔵庫から大福餅を一つ手にとり、 中の餡を取り除き、代わりにわさびをこれでもかと大量に注入した。 『遅いノー!待ちくたびれたノ!』 「すまんすまん、ほれ、特製の苺大福だ」 『久しぶりのうにゅーナノー!!』 実装雛はよほど飢えていたのか、物凄い勢いで貪り始めた。 『アンマ♪アンマ♪……ウニュッ?』 やっと違和感を感じたらしい。 『…ア、ア゛ン゛マ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!? カハッ…ナ…何ナノこれうにゅーじゃないノ…カハッ…カハッ…』 「食べ物を粗末にすんじゃねーよ。 吐かずに食え!」 俺は実装雛の頬を鷲掴みにし、強引に残りのわさびを喉奥に押し込んでやった。 『ヤ…ヤメヘナノ…ア゛…ガ…ア゛ン゛マ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛…』 涙と鼻水とヨダレを大量に垂れ流す実装雛。 俺の手はそれらでベトベトに汚れてしまった。 「汚ねぇ…臭ぇ…最悪だ」 『ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛』 大量のわさびを無理矢理飲み込まされた実装雛はそれどころじゃないらしく、 喉を抑え顔を泥まみれにしながらゴロゴロ転げ回っている。 「うるせーな少し黙…」 ブリブリッ 「てめ、人ん家の庭で糞垂らしやがったな!」 『ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛…』 「黙れ!」 ドスッ! おとなしくさせようと、実装雛の腹に蹴りを入れてやる。 『オ゛ゴォッ…!』 ブリブリブリブリッ 余計に糞を大量に垂らしやがった。 また蹴りたくなったが、更に悪臭を撒き散らす糞を垂らされたらたまらない。 目の前でのたうちまわる実装雛が落ち着くのを待つ事にした。 「とりあえず水飲め」 『アンマ゛ッ?』 ゴムホースを実装雛の口に突っ込み、一気に水道の蛇口を捻る 『オブゥ…ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴ……!』 もういいかな キュッ 『…ンバァッ……カハァッ……』 そして10分語、ようやく落ち着いたようだ。 『ひ…ひどいノ…※ヒナ何にも悪いことしてないノ…』 (※実装雛の一人称はワタシではなくヒナらしい) 「人ん家の敷地に無断で侵入してきてよく言えるな」 『ヒナかわいいノ!かわいいヒナにこんな事するお前は悪いやつナノ!』 「あ?」 ガシッ 俺は実装雛を片手で掴み上げた。 『は…離せナノ』 「お前…全然立場が分かってねぇなあ…」 「まぁいい…まず庭に撒き散らしたテメーの糞…責任持って自分で全部食え」 『そ、そんな汚いことできるわけないノ!』 「あ?」 ブチッ 『ア゛ン゛マ゛ッ!!?』 俺は実装雛の左手を潰してやった。 『ア゛ン゛マ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ヒナのおててが…おててがつぶれちゃったノォオオ…』 「殺されたくなかったら言うとおりにしろ」 そう言って庭にひり出された糞の上に投げ捨てる。 『アンマァ…ヒック…ひどいノ…』 片腕が潰れているので、自分の体を支えられずに 顔の横半分を擦り付けるようにしながら自らの糞を舐め取る実装雛。 実に気分の悪い、この上なく汚い光景である。 約15分後、ようやく処理が終わったらしい。 顔も、髪も頭のリボンも、服も糞まみれだ。 『グスッ…終わったノ…』 「ずいぶん汚れちまったなぁ…おい、服脱げ。頑張った褒美に洗ってやるよ」 『ウユ?本当ナノ?ありがとうナノ』 俺は実装雛の服を庭の隅に置くと、ゴムホースの水で実装雛の糞まみれの体を綺麗に洗ってやった。 『ワァ…すっかりキレイになったノ…ありがとうナノ』 「なぁに…礼には及ばないさ」 『服も洗ってくれるノ?』 「これはな…」 シュボッ… ライターで火を付ける 『何するノッ!?』 「何って?燃やしてんだよ」 『や…やめてナノ!!』 「うるせー」 ブチッ ブチッ ブチッ 残る三本の手足を全部潰してやった。 『ア゛ン゛マ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!!』 これでもう動けないだろう。 俺は小さい実装雛の服が燃え尽きると水を掛け、 台所にある物を取りに行った。 庭に戻って見ると、四肢を潰された実装雛は 芋虫のように這って庭の入り口付近まで逃げていた。 ヘッホ ヘッホ という情けない掛け声と共に。 「頑張ったねぇ。でも残念でした♪」 『こ…殺さないでナノ…』 「安心しろ。俺は殺さないよ」 『ほんとナノ…?』 「ああ」 (“俺は”な。) 俺は四肢が潰れた実装雛とハチミツの入った瓶を持って近くの公園にやって来た。 ベンチに腰掛けると早速ワラワラと集まって来る野良実装石達。 デッス〜ン♪ デス♪デス♪ テッチューン♪ 「お前達、今日はご馳走だぜ」 そう言いながらハチミツを実装雛の頭からドボドボと掛ける。 『アンマッ?・・・甘いノ〜♪』 バカが。コイツ何も分かってねぇな。 「そーれ」 俺はハチミツまみれの実装雛を実装石の群れの中に投げ入れた。 『ア…アンマ?』 ごちそうデス… これは美味そうデス♪ デププ…いい香りのする肉デス …いっただきまーすデス! 『ア゛ン゛マ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーッ…!』 夕暮れ時の公園に、一匹の野良実装雛の断末魔が響き渡った。 おわり
