タイトル:【虐】 実装石のお食事6 完結
ファイル:実装石のお食事6.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3254 レス数:3
初投稿日時:2009/01/30-21:02:52修正日時:2009/01/30-21:02:52
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■実装石のお食事6

「利明に、弟をつくってあげよう」
そんな言葉を合言葉に、昨夜は久しぶりに愛し合った。
弟より妹がいいなぁ。かわいい服着せてあげたいから。
そんなことを虹子が言ったりする。
虹子はいずれ回復し、利明の死を受け入れることになるだろう。
それを家族3人(と一匹)で乗り越えられたらいい。

子供ができたら、利明のぶんまでかわいがってあげよう。
それまで、お父さんお母さんを見守っていてくれ、利明…。


朝起きて、虐待部屋であるガレージに入る。
実装石親子を公園に放してやるために。
傷はどうなったろうか。
まだ回復していないようだったら、もう少し面倒みてやるか。

扉を開けると、いつもどおりの光景が広がっていた。
トラバサミで吊るされた実装石。
長い虐待生活からか、栄養の不足からか、顔や体のゆがみがとれていない。
当然、全員パンコンしていて、パンツから糞が滴り落ち、ボトボト、ピタピタと音がする。
すごい刺激臭。
よくこんな汚臭が篭った部屋で、夜通し虐待ができたものだ。
ハンカチを口元に当てる。
そろそろこいつらの処分も考えなければ。

今思えば、今まで殺してきたやつの中で、親子の情を持ったやつもいたはずだ。
そういうやつらまで、悪と決めつけ虐待して葬ってきた。
人間にたとえるなら、親殺しや通り魔殺人者と、俺達家族を一緒に死刑にするようなものだ。
実装石からしたら、逆恨みにもほどがあっただろう。
そういうやつらの生活を奪い、命をとってきてしまった。

これは、そういう自責の念に対する贖罪の気持ちなんだろうか。
あの親子実装に、元気になってもらいたいと思っている自分がいる。

実装石フードと金平糖を片手に持ち、親子実装がいる水槽を覗き込む。

そこには。

「テチィ」
「テチュゥ」
「テテェー」

「………」

お腹をたるませ、血色がよくなり、脂ぎった仔実装たちがいた。
昨日まではやせて、くすんだ色をしていたはず。

親実装はどこへ。
そんなまぬけな問いが頭をめぐったが、すぐに冷静な答えを出す。

親実装は、仔実装のお腹に収まっていると。
そして水槽の脇には、ものいわなくなった肉片——親実装だった残骸が端に寄せられていた。

「何やってんだよ! お前ら、何やってんだよ!」
大声で怒鳴る。

「テェ?」
「テチュゥ?」
「テー?」

何のことかわからないといった感じの、のほほんとした表情をしている。

このニンゲン、なんかワケのわからないことホザいてるテチィ。
静かにしてほしいテチィ。
朝から騒がしいなんて、ニンゲンは迷惑な生き物テチイ。

リンガルにそう表示されている。
水槽を蹴り上げる。

「テチィィ! テチィィィ!」
「テチュゥゥゥ」
「テェ!」

抗議の声をあげる。

リンガルを口に手を当てる。

「お前ら、なぜ母親を食った! なぜ母親を殺した!」

「お腹が空いていたテチ」
「ママがつぶれたところは食べていいって言ったテチ」
「公園で生活するには体力がいるってママが言ってたテチ。ママはおいしかったテチ」
「塩味がウマウマで後引くおいしさテチ。気がついたらなくなってたテチ」
「ママはどこテチィ。そろそろお腹減ったテチィ。朝食の時間テチ」

「……」
言葉が出ない。
親実装は、腹の空いた仔らのために体を差し出した。
そしたら、全部食べられてしまった。

なんて笑えない話だろうか。

ぶらさがっている実装石一匹を、トラバサミから開放してやる。
デスデスッ!
元気に暴れまわる実装石。
これくらい元気があればいいだろう。

水槽の中へリリース。

「おい、実装石、こいつら食っていいぞ。腹減ってるだろ」

「デププ。おいしそうなお肉デスー」

「テチィィィィィィ!」
「チュワーーーー!」
「チャーーーーー!」

いっせいにパンコンする。
そして、威嚇するもの、逃げ出すもの、次々に食われていく。

「ママァ! ママァ! 助けてテチュゥ!」
「ママー! あんよが、あんよが痛いテチィ!」
「ママ…ママ…ママ…マアマ…」
口々にママを呼ぶ。

「ふざけんな!」
水槽を蹴飛ばす。

「ママはお前が殺したんだよ! なのに何で助けを求めるんだよ!
 なんでお前らはそういうことをするんだよ!
お前らのそういうところが許せないんだよ!
なんでわからないんだよ!」

なぜか涙があふれてくる。
これは、親実装に対する涙なのか、憎しみの涙なのか、自分への涙なのかよくわからなかい。
気づいたら、リリースした実装石ごと踏み潰していた。

トントン

ノックが聞こえる。
驚いて振り返る。

「あなた、何かあったの?」
突然の妻の声。

「なんでもない! 入ってくるな!」
 思わず大声で叫んでしまう。

ノックがやむ。

あわてて、扉をあけ、中を見られないようにすぐ閉める。
「どうしたの、あなた。泣いてる」
虹子に指摘されて、慌てて目元を拭く。
「虹子、頼む、この中は絶対に見ないでくれ、頼む」
「この中に何があるの?」
「言えない。今は言えない。頼む。見ないでくれ」
 虹子は俺の目を見つめた後、
「わかった」
と言ってくれた。
「朝ごはん、早く食べないと出かける時間だよ」


■■■

「」に罪はない。
「」に罪があるとすれば、実装石に関わってしまったことか。

「」はガレージには鍵をかけ、さらにワイヤーでぐるぐる巻きにした。
虹子は夫の言いつけを守り、一切あのガレージに入らなかった。

だが、「」は一生、自分を責めることになる。

午後には、外せない会議があった。
その後、早退して実装石を処分するつもりだった。
俺は、なぜ会社を休んで実装石を処分しなかったのだろう、と。


震度4の地震。

最近にしては珍しい、激しい揺れ。
虹子は慌てて利明(実装石)を抱え、テーブルの下にもぐる。
花瓶や倒れ、干しておいた皿が何枚か割れたが、大した被害ではない。
ニュースをつけたが、倒壊や交通機関の影響はないと報じられた。

ホッとひといきついて、割れたものがあぶないから掃除しようと考えたところ、
のどを焼かれ鳴くことを禁じられた利明(実装石)が、テヒュゥテヒュゥと騒ぐ。
必死の形相。
何事だろう。
ふと耳をすますと、ガレージから何か音がする。
夫から入るなといわれている。
けれど、地震の影響で何かが起きていたとしたら。
中には入らない。扉の近くに言って、様子をみるだけ。
そう言い聞かせ、おそるおそるガレージに近づく。

「デスゥ」

聞きなれた声がする。
これはなんだろう。

「デスデス」
「デシャァ」
「デェッス」

緑のものが床にうつ伏したまま這いつくばっている。
虹子の鼓動が高まる。

「いや…」

思わず口から声が出る。
力が入らない。
自分が何を恐れているか分からないまま、虹子は尻餅をつく。

「デェ」
「デッス」

実装石が顔を上げる。
額の肉がトラバサミ状に抉られている。
やせ細り、緑と赤の眼球が浮き出ている。
そんな目と虹子と目が合う。

ニンゲンだ。
ワタシを不幸に陥れたニンゲンだ。
奴隷のくせに、よくも、こんな仕打ちをしてくれたな。
復讐してやる
復讐してやる
復讐してやる

「デェーーース!」
「デヂィィィィ!」
「デッスゥーーー!」
「デシャーーー!」

緑の物体が迫ってくる。
やせ細った手を振り回し、
緑色の糞を垂れ流し、
不自然に浮きでた眼球をギョロギョロさせながら。

虹子は叫んだ。
恐怖はピークに達していた。
虹子の目の前には、様々な映像がフラッシュバックしている。
虹子は、自分で大きくした実装石の幻影の前から、必死ににげようと、後ずさる。
すると、そこへ。

「テヒュゥテヒュゥ」

主人のピンチをかぎつけ、利明(実装石)がやってくる。
だが、利明は飼い実装。
飼い実装のそれは、欲望に満ちた野良の、数の暴力に勝てるはずもなかった。

「テヒュァ」

あえなく、利明は絶命した。

野良特有の、いたぶりのリンチではなかった。
腹を満たすためにすばやくのどを食いちぎり、文字通り息の根を止め、
あらゆる臓器を引きずり出し、利明はあっという間に骨になった。

「とし、あ、き…」
骨と食い散らかされた肉片をかき集める。
しかし、虹子の両手からポロポロと落ちていく。

虹子は、2度、利明を失った。

「アアアァァアアアアアアアアア!!!!!!!」


「」がたどり着いたときには、すべてが遅かった。
家は緑色に汚され、生ごみの臭いになっていた。

「虹子…」
虹子はどこに行った。
会社からの電話には出なかった。
家についても、虹子がいない。
花瓶と皿が割れているが、そのままになっている。

どこから湧き出たのか、実装石がうようよしている。
どれも全部、自分が虐待した実装石だ。

「デスデスデスデスデスデスデスデス
デスデスデスデスデスデスデスデス
デスデスデスデスデスデスデスデス」

なにやら、ひときわ鳴き声が聞こえるところがある。
緑の山ができている。
何かを一心不乱にむさぼっている。

「デッスーーーーー!」
 何匹かが歓声をあげる。
 目は三日月上になっている。
 兎口から、何かの液体が滴り落ちる。

この光景は見たことがある。

「」は手を震わせながら、実装石をかき分ける。
一匹一匹、壁に激突して、抗議の声をあげる。
足をポフポフ叩く。
そんなことかまっていられない。
手に力が入らない。
実装石の口元には、ぬらりと血がついている。
何か、赤黒いゼリー状のものをむさぼっている。
湯気がほんのりとたちこめている。

「あ、ああ…」

そこには、
顔がなくなっていて、
手足がなくなっていて、
内臓がなくなっていて、

変わり果てた虹子の姿があった。

「」、発狂。


■■■

槐カンパニーという会社がある。
メイデン社の1子会社に過ぎなかったが、近年独立をはたした。

虐待用品で先駆け的な存在であり続けたメイデン社から、
そのノウハウを学び、業務用実装コロリを開発した。

それは、今まで経験や知恵がある実装石には効果が薄いとされ、駆除には効果が薄いとされてきた実装コロリ。
それに実装香の成分を化学的に調製したものを、コロリに混入させた。
これは国や地方自治体から、大量の受注があった。

そのときの開発責任者が、「」である。
廃人状態からの社会復帰、そして職を得、今の地位につくのは並大抵のものではなかった。
しかし、2度地獄を見、乗り越えた「」にとっては、駆け上がるのは早かった。
それに「」には、実装石をこの世から抹殺するという思いがあった。

「社長、ローゼン社、メイデン社、各社の代表取締り役がいらっしゃっていますが」
ある日、受付から、そう連絡があった。
「」は二人を通すように言う。

「「」くん、ひさしぶりだね」
メイデン社が挨拶する。
「うちの会社のノウハウで儲けた金で株を買い、独立をするなんてやってくれるじゃないか」
メイデン社社長が、嫌味たっぷりにそう言う。
「メイデン社社長、今日はそういう話をしにきたのではない。自粛したまえ」
ローゼン社社長がたしなめる。
「ローゼン社社長、メイデン社社長、お久しぶりです。おかけください」
「いや、長い話をするつもりはない。今日は君に警告をしにきたんだ」
「なんでしょう?」
「単刀直入に言う。今すぐ実装香コロリの販売を中止したまえ」
「……」
「君の実装香コロリで野良実装の生息数が減っている。
 ひいてはワタシの会社の売り上げも落ちている。
 君の商品は、実装業界の未来を奪いかねない」
「実装香コロリは私どもの会社の生命線です。手放すわけにはいきません」
「こうやってワタシとメイデン社の代表がこうやって頭をさげにきているのだから、聞いておいたほうが賢いというものだ…。
 一週間待ってやろう。それまでに答えをだしたまえ。
 事と次第によっては、それ相応の対応をさせてもらう」
そう言って、二人は帰っていった。

だが、「」は屈するつもりはない。
実装石を抹殺する。
その前に、実装業界を消滅させることが前提だ。

「」は実装石を抹殺することに、手段を選ぶつもりはない。
「」は実装石の抹殺に命を賭けている。


だが、それはまた別のお話。
それは、実装石の魔に魅入られた男のもう一つの物語である。



(了)



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過去スク
実装石のお食事シリーズ
実装石を殺そう
山月実装せ記


完結しました! なんとかキリのいい数字でおわりました。
今まで感想をいただきまして、本当にありがとうございました!
みなさんのおかげで書き終わりました。
一人で書いていたら、絶対挫折していたと思います。
感謝感激です!

読んでよかったと思ってもらえるスクを目指してがんばってきましたが、
力がおよばず、反省しています。
それでも、感想をくれ、励ましてくださった皆様には、本当に感謝しています!
また、厳しい意見を言ってくださった方にも感謝しています。
みなさんの感想に影響を受けすぎたのには反省しています…。
感想が嬉しかったので、どうしても影響を受けてしまうのです。
皆さんの意見と反省を生かして、これからもがんばって書いていきたいと思います!


ちなみに、テストが近いので、充電期間もかねて少しお休みさせていただきます。
それでは、また会う日まで!

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1 Re: Name:匿名石 2016/09/21-09:11:05 No:00002535[申告]
おもしろかった。
最後がイマイチだけど、
2 Re: Name:匿名石 2017/08/22-15:58:44 No:00004846[申告]
このシリーズ好き。
完結しているのはいいが、もうちょっと最後がんばってほしかった。
3 Re: Name:匿名石 2017/09/08-19:17:53 No:00004856[申告]
これ、最後が悲惨すぎるんだよなあ
最後と言わず最初からずっとメインのニンゲンさんに不幸しかないけど
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