タイトル:【虐】 実装石のお食事4
ファイル:実装石のお食4事.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2831 レス数:0
初投稿日時:2008/12/25-13:17:57修正日時:2008/12/25-13:17:57
←戻る↓レスへ飛ぶ

■ 実装石のお食事4


目が覚めると、天井が白かった。
なんていうのは、大学の宴会で盛大に記憶をぶっ飛ばしたあと以来だ。
あれ以来、二度とは酒を飲むまいと思った。
また、この光景を見ることになるとは。

ゆっくりと体を起こす。
ソファーの上に寝かせられたらしい。ちょっと体が痛い。
毛布がかけられている。

歩くのは億劫だ。
頭がグラグラする。
体育座りの格好のまま、ジッとする。
患者も看護師もこちらを一瞥もせず通り過ぎていく。

つらい。
心がボロボロだ。
これ以上、実装石に振り回される人生なんてまっぴらだ。

脳裏に、マラ実装に犯された妻の姿がフラッシュバックする。
さも気持ちよさそうに、目を細め、半開きの口からたれるヨダレ。
サルのように単純動作を繰り返す腰。
絶頂を迎えるたびに体を震わす実装石。

そして利明は肉片になっていた。
もみじのような手のひらも、
パパを発音できなくて、パプになっていたあの声も、
すべてを喜びに変えてくれたその存在が、
一瞬にして奪われてしまった。

あの薄汚い油ゴミの胃液に溶かされてしまった。

実装石は敵だ。
全てを抹殺しなければ気がすまない。

悪魔がこの世に存在しているなら、
間違いなく実装石の形をしているだろう。

だが、妻は。
そいつを大事そうに抱えていた。
あまつさえ、利明と呼んだ。
あの汚物に、あの生きることすら許されざる存在に、
私の全てだった存在と重ね合わせた。

もうあんなふうになってしまった妻と、これからも一緒にい続けることなんて考えられない。
妻のショックが癒えれば、このつらい記憶も一緒に乗り越えて行けると信じていたのだが…。
自分と、妻の距離は決定的になってしまった。

「おはようございます。調子はいかがですか」

 調子がいいわけないじゃないか。
 声のするほうに顔をあげると、妻の担当医がそばに立っていた。

「すみませんね、満床でベッドの空きがなかったんですよ」
「お気遣い、ありがとうございます」
「疲れと心労がたまっているようですね。
 あまり無茶をなさると、今度はあなたに入院していただくことになる」
「すみません」
「奥さんは今おやすみになっていますよ」
「…ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、ことらこそ私たちの管理が行き届かず申し訳ありませんでした。
 私たちがしっかりフォローすれば、あのようなこともなかったのですが」

 時計を見ると、もういつもの起床時間になっている。
 結構な時間、眠ってしまっていたようだ。
「それでは、そろそろ出勤時間なので家に戻ります」
 できればシャワーも浴びたい。

「奥さんを責めないであげてください」
 急にそんなことを言い出す担当医。
「奥さんは病気なんです。ただそれだけです」
「わかっている、つもりです」
 病気だった、わけがわらなかった、悪気がなかった、記憶になかった。
 俺は許せるのだろうか。


仕事が終わった後、いつも通り病院に向かう。
今度は妻の見舞いではない。
留守電に病院からのメッセージが入っていた。
 これからの治療の方針の話がしたいそうだ。
 
仕事場からまっすぐ駆けつけたのに、待たされたこと1時間。
ようやく呼ばれた。
 そして、担当医が、開口一番、言った言葉が、
「自宅療養を行いませんか?」
「は?」
「経過も良好なので、ご自宅にて過ごされるのが一番いいかと思うのですが。
 もちろん、これからも私たちから十分なケアをしていくつもりです」
「そんなバカな! あいつは自分の子と実装石の区別すらついていないんですよ!
 どこが経過が良好なんですか!」
「あなたがそう考えられるのも無理はありません。
 しかし、この間まで人形を相手していたのが、
 今度は仮にとはいえ、生き物を対象にした。十分な前進です」

 どう考えても悪化しているようにしか思えない。
 こいつは正気でこんなこと言っているのか。
 それとも俺がおかしくなったのか。

「それで、あなたには酷な話だとは思うのですが、
 実装石も一緒に暮らしていただきたいのです」
「は?」
「経過が良好とは言え、奥さんの拠り所である利明さんを失うわけにはいかないのです」

こいつは、馬鹿か。
何の冗談だ。

「あいつは利明じゃない!」
「ええ、ええ、その通りです。しかし、ご理解ください
 奥さんにとっては、あれは利明さんなのです」

 そんなバカな話があるだろうか。
 人殺しと一緒に住むなんて狂気の沙汰じゃない。
 しかも俺の利明をころしたやつだぞ…!

「…入院費は今までの倍を払いましょう。
 私にとって、実装石と暮らすなんて考えられない」
「「」さん、どの患者さんにもいえることですが、
 患者さんは、いずれ日常に戻らなくてはいけません
 奥さんは、入院で治療する段階を終えました。
 これ以上の入院は、奥さんにとって毒です」
「理屈をこねるな!
 お前らは、ベッドの回転率をあげて利益をだしたいだけだろう!
 この金儲け主義が! 血も涙もないのか!」
「「」さん、どうか悪く捉えないでください
 我々は、常に患者さんのことを思っています。ご理解ください」

言い返す気力も出ず、イスの背もたれによりかかる。
これはなんていう悪夢だ。
どう理解しろというのだ。

「もちろん、あなたにただの実装石と住まわせるわけには行きません。
 今度はあなたが入院してしまいますからね(笑)
 あの実装石は処分します。代わりに躾済みの実装石をお渡しします」

 こいつは、本当は俺を入院させたくてしょうがないのではないか。
 担当医は、ケージを机の上に置く。
 プラスチックのケースで、外から見えないのが幸いだ。

「出ておいで」
 担当医は入り口を開けて、そう声をかける。
出てこないでいい。
「デスゥ」
 実装石があたりを伺いながら、這い出てくる。
 兎口をあけたまま、デー? とか言っている。
 ピンクのリボンがひらひらしている。
 もう無理。すぐに殺したい。
 
 やがて、こちらに気づく。
すると、正座をして土下座をした。
 実装石の土下座、初めて見た。
 短い足を器用に折りたたんでいる

「驚いたでしょう。これが躾済み実装石というやつです」
 躾済みというか、単なる芸仕込だろ。

 この世の何よりも悪意に満ちた実装石の性根が躾で直るとは思えない。

「デスゥデスデス」

何かを喋っている。
担当医がリンガルを見せる。
そこには、「ニンゲンさん、こんにちはデス」と表示されている。
これは…愛護用のリンガルなんじゃないか。

「どうです? この子は過度な要求どころか、無駄な話すらしません。
 この子なら、しっかり利明さんの役をこなしてくれると思います」

 利明の代わりになれるものなんか、この世に存在なんかしない。
 この医者は本当に医者なのか。
 実装石に、この子、とか、本気で正気を疑う。
 
確かに成体実装にしては増長してない。 
 身なりも綺麗だ。
 だから何だというのだ。
 そこまで言うなら、ひとつテストをしてみよう。
 どんな実装石でも、許しを請うような無理難題だ。
 しかもこの世の厳しさを知らない飼い実装なら、その場でパンコンするだろう。

 リンガルを通して、実装石に話しかける。

「実装石、聞こえるか」
「はいデス。よく聞こえますデス」
「これから俺がお前の主人になる「」だ」
「! ありがとうございますデス! 一生懸命ご奉仕しますデス」
「その前に、俺の幾つか要望がある。俺の家で飼われるための最低条件だ」
「わかりましたデス! ご主人様の命令なら何でも従うデス!」
「そうか。じゃあ、まず服を脱げ」
「わかりましたデス」

 いそいそと服を脱ぎ始める。
 人間のような仕草で、袖から脱ぎ始める。
 怪談でよくある人の真似をしている人形のソレだ。
 気持ち悪い。
 脱いでいる途中、でチラチラと視線が何度か合う。
 頬を赤らめている。
 もう、こいつを潰してもいいか?

「脱ぎましたデス」
「服もきちんと畳んでえらいですねぇ」
 担当医が横槍を入れる。
 こいつも潰したい。

 そんな二匹を尻目に、服を持つ。
 片手にはライター。
 机に焦げ目を入れるのは申し訳ないからな。
 自分の手に服を乗せてライターをつける。
 
 油でも染み込ませているんじゃないかというくらいの火の回りのよさ。
 手のひらで燃やしているので、さすがに熱い。
 最近、痛覚が麻痺している。
 手の甲にフォークを突き刺しても、痛みが鈍いのだ。

「デスゥ!」

実装石が声を上げる。
リンガルには、その悲鳴はデスゥとしか表示されていない。
本能的な叫びなのだろう。
叫び以上に、血涙がドバドバ出ているが。

「黙れ」

俺の声に、ビクッと体を震わせる実装石。

「今度叫んだらお前に火をつける」
本能を押し殺し、俺の言葉の通り押し黙る実装石。
 躾済みは伊達じゃないか。

「妻にとっても、俺にとっても、緑の服は忌むものでしかない
 だから、処分させてもらった。
 それから泣き止め。お前の血の色を見ると吐き気がする」

 一生懸命に目を擦る実装石。
 腕が血の色に染まるが、そこは言及しないでやろう。

「どうだ? 俺はこういう飼い主だ。
 お前を生き物として扱わない…いや違うな。
 お前を汚らしい害蟲としかみていない。
 お前のことが心底大嫌いだ。憎いと思っている。
 いずれはお前のことを怒りに任せて殺すかもしれない。
 それでも、お前はこの俺に飼われたいと思うのか」

「はいデス。ワタシはご主人様のものデス。
 ご主人様にどう扱われようと、それがワタシの喜びデス
 そう教わって今まで生きてきたデス」

 即答する実装石。
 腕を血の色に染め、泣きはらした目でそう言い切る実装石の姿に、さすがに心にくるものがあるな。

「そうか。じゃあ後ろの髪の毛を自分で抜き取れ。一本も残すんじゃない」
「デ…?」

またもリンガルに翻訳されない言葉を、呆けたように発する実装石。

「聞こえなかったか? 早く後ろの髪の毛を抜け。
 時間もおしいから片方だけ手伝ってやる」

 呆けている実装石の髪をつかむ。
 つかまれて、体がビクリとなる実装石。
頭を押さえつけ、そのままゆっくりと引っこ抜く。

ブツッ ブツブツ ブツンッ

 髪に頭皮はついていない。
 これで再生することはないだろう。

「デ、デェ…」

後頭部を抑えて痙攣する実装石。
手が後頭部に届いていないな。笑える。
叫ばないように、声を必死に押し殺しているのか。
それでも、デ…デ…と声が漏れている。
これくらいは大目に見てやるか。
ワタシの高貴でウツクシイ髪が…とか言い出さないだけ好感が持てる。

「利明には、こんな長い髪はなかったからな。
 さあ、早く引き抜け。あと5分待ってやる。
 5分でできなければ、、わかるよな?」

「デス…」

意を決したように頷く。
後ろ髪を手繰り寄せ、懸命に引き抜こうとする。
一思いにと、力を入れる。
あまりの痛みに手が緩まる。
そんなことを繰り返す。
痛みが長引く分だけつらいのだろう。
実装石の足元は血涙の水溜りができている。

…………。

まずい、あのときの緑と血の色に染まった惨劇がリプレイする。
吐き気がする。

「もういい。俺がやる」

勢いに任せて引っこ抜く。
力を入れすぎたようだ。
皮膚も一緒に取れてしまった。
支えていた左手にも力が入ってしまって、頭蓋骨を砕いてしまっている。
汚いな…、手に脳漿がついてしまった。

「デヒ…デヒ…」

さすがに瀕死か。
かすかな声を上げる実装石。
なるほど、これが本当の虫の息というやつか。

頭皮ごと髪を抜いてしまったから、早く傷口をあぶらないと。

「デッデギャァアアアアアアア
 デゲゲデスゥアアアアアア」

叫び声は野良と大して変わらない。
実に醜い声で鳴く。
心が洗われるようだ。

「叫ぶなといったのを覚えていないのか。
 3秒で泣き止まなかったらお前を殺す」

 それを聞いて、唇をかみ締める実装石。
 兎口のくせして、なかなか器用なことをする。
 それでも、デヒデフと声がもれる。
 なかなか辛抱強いやつだ。
 もう少し念入りに炙っておいてやろう。
 さて、どれくらいもつかな。

………
……
…

 気がつくと、後頭部どころか、背中も炭化していた。
 少々夢中になってしまったようだ。
 実装石は既にグッタリしている。

「偽石を取り除いてなかったら、死んでましたよ」
 そう言って、黄色い液で満たされたサンプル瓶を見せる。
 黒ずんでいる偽石が浮いている。
「叫ぶなと言ったあなたの命令を健気に守ろうとした。
 世の中には、こんな実装石もいるんですよ。奥さんの治療に、きっと役に立ちます」

「そう…ですね」
 なんだろう、この喪失感。
 虐待を朝まで続けたときよりも、体に疲れを感じる。

 狂ったままの妻を家に迎え入れ、実装石をわが子として暮らす。
 それが一体どんな意味を持つのか、この時の俺はまったく、考えることすらできなかった。


(続く)

_____________________________________________

過去スク
実装石のお食事1と2と3
実装石を殺そう
山月実装せ記

感想ありがとうございます!
うれしくて言葉もありません!
見てくださる人がいるがり、読んでよかったと思えるようなスクをかけるように頑張っていこうと思います!

実装石と出会って2ヶ月が経ちました。
皆さんの良スクを読んで、多くの感動を覚えました。
また自分でも稚拙ながら作品をアップでき、またすばらしい感想をいただきまして、
皆さんと交流できましたこと、本当にうれしく思っています!
本当にありがとうございます!
また来年もよろしくお願いします!

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため2153を入力してください
戻る