実装痣 ある日俺のわき腹に痣が出来た。 その痣は段々と形を造り、やがてあの忌むべき物へと形を変えていく。 痣は実装石の顔の形になるとやがて赤と緑の目をパチリと開いてデスデスと勝手に喋り始めた。 そう、この痣は世間では人面創と呼ばれる物だ、おっと実装石だから実装創か、なんだか呼びにくいな実装痣と呼ぼう。 この痣は叩いてもつねってもデスデスと泣き喚くだけで、死ぬことは無いし取れる事も無い。 第一つねった時にその痛みが自分の痛みとして返って来たのだ。 タバコの火を押し付けようとすると実装痣はデーンデーンと泣き喚く。 俺は押し付けるのを止めた、火傷の痛みを感じるのは自分なんだし凄く馬鹿らしい。 医者に相談しようと思ったがこんな事を知られるのは人間様として恥でしかない。 今のところ害は無いが声を上げられるのは非常にまずい。絶対に知られる訳には行かない。 実装石ならリンガルを通せば話が出来るはずだ、僕は慌ててリンガルを買いに行った。 「おいお前!なんで俺の体に貼りついてやがる」 「実装石が俺の体にいるなんて人に知れたら恥ずかしいし、人間にとっては屈辱でしかないんだぞ」 「さぁとっとと出て行け!」 俺はわき腹の実装石を睨みつけると奴はデス〜と力無く答えた。 「出て行くなんて無理デス、ワタシだってなんでこんな所に・・・デス〜」 「テメ!こんな所だと」 ボグ! 怒りに任せわき腹をおもいっきり殴った。 「イッテー!・・・く・くそー」 なんて忌々しいんだこの糞蟲が! まぁ良い、そんな事より奴と交渉だ。 俺は実装痣に声を出すのは俺が許した時だけだと言い聞かせた。 奴はデスデスと頷く代わりに答えた。 「デスデスって言うんじゃねーよ糞蟲が!」 黙って口をパクパクして答えた。 おっ案外物分りがが良いじゃねーか、意外と頭が良いのかもなお前。 その時いきなり腹がへった感覚に襲われる。 俺は冷蔵庫を漁り中の物を全部平らげた。 実装痣は物欲しそうに涎を垂らしているが、何もやらず食ってる場面を見せ付けてやった。 でも変だぞ、飯を食ってそんなに時間は経っていない筈なのに。 そんな事を考えていると実装痣が苦しそうな顔をしている、とたんにブリブリと俺の体の中で糞の音が聞こえた。 「テ・テ・テメー俺の体でなんて事しやがる・・・ぶっ殺すぞ!」 いきなり便意が俺を襲った。 急いで便所に入ると信じられない位大量の糞を出した、 その色はやたら緑で嫌な予感がした。これは実装痣の排泄穴と俺の排泄穴が繋がっているという事じゃねーか。 この不自然な感覚はきっと実装痣による物だ、実装石ならいつも腹を減らしているし糞をそこらでひり出している。 こりゃやべーぜ、人間である俺が馬鹿みたいに物を喰らい、そこらで糞をひり出す訳にはいかねー。 「テメ!テメ!テメ!」 俺は何度も自分のわき腹を殴った、痛みでわき腹を押さえてくの字にうずくまる俺。 そして俺の体は完全に実装痣と共有していると言う事を嫌でも認識した。 もう駄目だ、生きていてもきっと良い事などある訳が無い。 こんな体では女も抱けないし、海や温泉もいけない健康診断一つ出来やしない。 首吊り用のロープを梁に垂らすと何の迷いも無く首を吊った。 あばよ俺の人生、奴を殺せるんだ良い気味だぜ。 ってなんで首吊ってるのに余裕で、んな事考えられるんだ。 あぁそうか俺は実装石と同じで少々の事じゃ死ねない体になったって事かい。 首吊っても死なないなら首吊りはやめだ!俺は道路に出るとでかいトラックに突っ込んで行った。 ドカン! 車に跳ねられるとすげー痛てーぜ、体の骨がバキバキに折れて血が出まくってる、こりゃ絶対死ぬわ。 運転手のおっさんが慌ててやがるぜ、おっさんには悪いがまぁ運が悪かったと思ってあきらめてくれ。 ・・・・・って!なに余裕で考えていられるんだ俺は。 偉く痛いけど死なねー。 ぽかんとする運転手を尻目に俺は部屋へ戻った。 「ご主人様の体はワタシの体でもあるんデス、無茶は良くないデス」 実装石に慰められる俺は何て惨めなんだ、それでも死ぬ事も出来ない体になっちまった。 勝手な事言いやがって、もうあきらめた寝る。 目を覚ますとなんと実装痣が消えていた。 「んなアホな、夢だったのか、いったい何だったんだあれは」 いなくなるとなぜか名残惜しい気もした、死なないって事は実は凄い事だと考えたからだ。 それにおかしな事だが、体を共用していた為かあいつには情の様な物が湧いていた。 「テッテレー!」 声と共に布団の隙間からあの実装痣が実装石の姿で飛び出してきた。 奴は喜びながら布団の上で踊りこう言った。 「デププゥ、名残惜しいデスかニンゲーン」 「今ならただで飼われてやらん事もないデス」 「デププププププー」 俺はゆらりと起き上がると答えた。 「あぁ本当に名残惜しいと思っていたよ」 「お前をこの手でぶち殺せ無いと思ってな」 「お望み通り飼い実装にしてやろう、まずは虐待フルコースを味わってくれや」 「ヒャッハァー!」 終わり
