禿裸による教育は三日三晩続けられた。 仔実装と禿裸は、日の光がある時間は『てぃーんずこみっく』に向かい、なけなしの脳みそに叩き込む。 日が沈んだあとはイメージトレーニングでさらにレベルアップ。 “お相手”の選び方から“イロコイ”のお作法、確実に彼をモノにするテク…。 日に2度の食事と最低限の排泄以外、彼女たちはダンボールハウスから出てこなかった。 初めは乗り気でなかったはずの禿裸も、教授1時間も経たないうちに幸せ回路が爆走し始めていたのだ。 「???を△▼△▼してヌッレヌレになったら@@デッス〜!」 「テスゥ〜ん!」 隣のダンボールハウスでは、親実装と蛆実装、そして禿裸の仔が静かに終わりを待っていた。 「レフー、このオネイチャ、プニプニ下手レフー。ホントのオネイチャは帰ってこないレフー?」 「テチャー!またウンコかけられたテチ!ムカツクテチー!」 無理も無い。この仔禿裸は蛆の世話をしたことがないのだから。 この仔を産んだために、禿裸はこの公園に捨てられたのだ。 「マ、ママが戻ってきたらオマエなんてペッチャンコにしてもらうテチ!」 「お前たち五月蝿いデス!」 親実装がどん、と床をたたく。イライラと神経質になっている。 「チベゥエ!ワタチのあんよがーっ!痛いテチーっ」 手元が狂ったせいで、仔禿の足の先が潰され、おかしな方向を向いてしまった。 「その位ならごはん1回食べれば治るデス!おとなしく待つデス!」 「チェェェ…」 「ウジチャンが治してあげるレフー」 「……優しいコなのテチ…ってウンコなすらないで欲しいテチー!!」 ……こうして3つの昼と3つの夜が過ぎていった……。 「私のオウジサマを探しに行くテス!」 4日目の昼下がり、仔実装は立派な中実装の言葉使いになって帰ってきた。 「も、もうお勉強は終わりデッス〜。仔を返して欲しいデスー!」 「ママー、お帰りテチュ〜♪」 禿裸は自分の娘をつかむと、あっという間に走り去っていった。 ちゃっかり使用済みの雑誌で服を作ったらしい。 反対の手には、ついさっき親実装が愛護派からもらったばかりの実装フードの袋を提げて……。 しかし親実装にとってはそんなことはどうでも良かった。自分の娘の眼の輝きがうれしかった。 「レフーレフー、オネイチャおかえりレフー」 「イモウトチャ、おねいちゃはオウジサマを取ってくるテス!オウジサマとケッコンするんテス!」 「オジサマはプニプニしてくれるレフー?」 「そんなに慌てなくてもいいんデスゥ〜。いつかオウジサマと会える日が来るデッスン♪」 親実装はでれでれと娘をなでてやる。 が、娘はポフリと湿った音を立てて、母の手を振り払った。 「ママ、そんなんじゃイマドキのオトメはだめテスッ!セッキョクテキに行くテスゥ!」 「デ、デェェェ……。」 これが若さというものか、親実装はうれしさと驚きで複雑な気持ちをかかえ、うなるしかなかった。 「おばちゃんとお勉強してる間に、もうオウジサマは見つけたんテチ♪あとはお迎えに行くだけテス♪」 「デェ?!いつの間に!?」 まだ完全に中実装になりきってないせいか、言葉じりが所々仔実装語にもどってしまう。 なのに赤と緑の瞳は明らかに「雌」になっているのが、親実装には分かった。 ……でも強情なのはワタシ譲りデスゥ…。 ……このままだと1人で外に行ってしまうデスゥ…。 ……は、初めてだし、適当なつぼみでも持たせてやればいいデス!もうお花は閉じる時間デス! 親実装は意を決し、娘の手を取った。 「オマエの決心は分かったデス。ママもついて行くデス!」 「ママ…ありがとうテス」 「ウジチャンもダッコでついてくレフー」 家族は傾き始めた陽の中を、手に手をとって歩き始めた。 王子様は意外なところにいた。 公園の向かいの家にある、薔薇の園。 野良実装が荒らすので、この公園の近隣では花のつく植物は屋外に置かないのが常識だった。 気高くつるを張った薔薇の生垣は、唯一目に出来る花だ。 見れば、特訓をしたダンボールハウスの窓から道を隔てただけの近さだった。 「おばちゃんと窓から見てたテッスン〜。真っ赤なオウジサマァ〜ン♪」 … … … … ============================================== 前振り長くてすいません。 お付き合いいただけると幸いです・・・。 ひ乃字
