タイトル:【虐】 実装石を殺す
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:5411 レス数:0
初投稿日時:2008/11/24-15:03:16修正日時:2008/11/24-15:03:16
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 実装石を殺す

  11月の初め頃だったか、庭に実装石が住み着いた。
 どこから流れてきたのかは知らない。
 見たかぎりでは特に小汚い糞蟲というわけでもないようだったし、とりあえずトイレだけ用意してやって、後は放置しておいた。いちい
ち殺すのも面倒だったから。
 追い出されずに済んだ実装石はなにごとかデスデスと喚いていたが、軽く無視。
 しばらく経つと、庭にどこから拾ってきたのか、自分でダンボールハウスを建てていた。
 しょっちゅうエサを探しに出かけているようで、夕方帰宅するとき、ボロボロになったレジ袋を背負った実装石を追い抜くこともあった。
 レジ袋がこの辺にはないコンビニ(サー●ルK○ンクス)の物なので、すぐにウチの庭実装だとわかる。
 追い抜いていった俺の背中に、庭実装が馴れ馴れしく「デスー」と声をかけてくることもあるが、これも軽く無視。

 そんな感じで、庭の実装石と俺の日々は流れていった。


 そんなある日。庭実装が妊娠した。
 俺は不要になったダンボールを持ってきて、庭実装の草臥れたダンボールハウスの代わりに、新しいハウスを新築してやった。
 これには日曜工作のつもりでちょっとした手を加えてある。実装石の手作りダンボールハウスとは比べ物になるまい。
 撥水スプレーで表面をコーティングした後、その上に厚手のゴミ袋を貼り付けていく。クラフトテープで目張りして、防水性をさらに高
めている。
 家の土台にはコンクリートブロックを敷いて高床式とし、発泡スチロールを床材にして断熱効果をアップさせてある。さらに家の周りに
は杭を立て、壁部分のダンボールに穴を空けて杭と針金で括りつけ、風で飛ばされないように固定した。
 さらに天井部分の一部を切り欠いて、アクリル板を渡してサンルーフにする。内側にフェルトの切れ端でシャッターカーテンを作り、紐
を引っ張れば簡単にサンルーフを閉じることができるようにもしてやった。
 入り口のドアも同様に紐付きにしておく。これから生まれる仔供たちでも容易に開けられるように、だ。密閉性を高めるために、ドア部
分の切り欠きは蝶番の周り、ドアの縁にクラフトテープを張って目張りしておいた。

 内装も実装石基準で言えばかなり豪華なものにしてやった。壊れた自転車用のLEDライトを天井照明に作りつけてやり、スイッチは親実装
の手の届くところにつけてやる。
 防寒用に100均の雑巾とバスタオルを数枚、それに新聞紙を大量に放り込む。
 トイレはハウスの床の一角を切り欠き、その周りに菓子箱で衝立を作り、消臭剤を染み込ませた布巾をそれに貼り付けて作ってやった。
切り欠いた床の下の地面は20センチほどの穴が掘られており、ドッポン便所になっていた。この隙間から雨水や風が侵入することのないよ
う、床と地面の間は、塩ビパイプで繋ぐ。臭気は篭るが、サンルーフ側の壁に卓上扇風機を改造した換気扇も設置してやったので、少しは
マシになるだろう。

 日曜の半分を潰して完成した特製のダンボールハウスに、腹のでかくなった庭実装は目をクルクルさせて狂喜した。何度も何度も俺に頭
を下げ、さっそく完成したダンボールハウスに入ってクソをする。
 新築の家に入って最初にするのがそれか、とも思ったが、とりあえず黙っておく。
 庭実装もどうやら気に入ってくれたようだし、これはちょっと楽しみだ。


 庭実装はそれから1週間もしないうちに出産した。生まれてきたのは意外に少なく、四匹の仔実装だった。
 もう一匹、最後に蛆実装が産まれたのだが、ボロの洗面器に雨水を溜めて作った水場で出産したせいか、生まれ落ちた水の冷たさに即成
仏したのでこれはノーカウント。
 他の仔実装も寒さに震えていたが、すぐに庭実装がそれを掬い上げ、粘膜を舐めとってやったので致命傷とはならなかったようだ。
 産まれた仔供たちはどれも賢いようで、皆すぐに立ち上がると、ダンボールハウスへと戻る庭実装の後ろについて、整然と並んで歩く。
庭実装を先頭に、互いの服の裾をつまみ、電車のように連結して歩く実装親仔の姿はなかなか微笑ましいものがあった。

 その後、木枯らしが吹いたり、冬の訪れを告げる冷たく激しい雨が降ったりしても、ダンボールハウスはびくともしなかった。
 先人たちの知恵と経験を活かし、俺なりに模倣で作ってみたダンボールハウスだが、庭実装にとってはけっこうな耐久性と快適性を誇る
なかなかの逸品になったようだ。
 俺はダンボールハウスの出来に満足する。そろそろ頃合だった。


 12月初めの休日。その日は朝から冷え込みが厳しかった。
 庭実装は体をぶるぶると震わせながら、ウチの勝手口横の生ゴミを入れているポリバケツにエサを調達に行く。庭実装も、さいきんは不
精をするようになった。以前は庭を出て、近所のゴミステーションに出かけていたものだが……。
 庭実装がエサを取りに出かけた後、ダンボールハウスからは転がるようにして四匹の仔実装が飛び出てくる。
 それぞれ好き勝手に嬌声を上げながら、ダンボールハウス前の広場でおっかけっこをしている。
 母親である庭実装が作ってくれた、新聞紙製の貫頭衣のおかげもあってか、寒さはあまり気にならないようだ。
 エサの調達を終えて庭実装が帰ってくると、四匹の仔実装はわっと庭実装の周りに駆け寄る。
 庭実装は周りを囲む仔実装たちの頭をニコニコと微笑みながら順繰りに撫でてやっていた。

 どこにでもあるような、シアワセな実装家族の光景だった。

 ……が。
 そろそろ飽きてきたので、こいつらを甚振ることにする。
 もう一週間、庭実装親仔はこのシアワセ面しか見せていない。
 ダンボールハウスの耐久性もだいたいわかったし、そろそろいいだろう。

 俺は縁側の濡れ縁から立ち上がると、サンダルを突っかけて庭実装たちに歩み寄った。
 

 1.
 俺が近づいてきたのに気付くと、庭実装は仔実装たちを撫でる手を止めて、俺に向かってお辞儀をしてきた。
 こういうところは、住み着き始めた頃と変わるところがない。
 仔実装たちも、母親の庭実装の服を掴みながら、首を傾げ、口許に手をやって媚びてくる。
 警戒心の欠片も感じられないが……まあ、実装石なんてこんなもんなんだろう。

 一歩踏み込むと、俺はサッカーボールのように庭実装の顔面に蹴りを入れる。

「デゥッ!」

 という悲鳴とともに、吹っ飛ぶ庭実装。爪先には粘った湿り気が残った。サンダルの先を見れば、抉れた庭実装の肉片がへばりつき、庭
実装の体液が靴下を濡らしていた。
 庭実装はというと、道路側に面したコンクリート塀にまで吹っ飛び、汚らしい飛沫を残して地面にバウンドして昏倒していた。頭巾は赤
黒く染まり、削げ落ちた鼻とミツクチが痛々しい。

 なにごとが起こったのか理解できていない四匹の仔実装たちは、媚びたポーズのまま固まっている。庭実装に一番強くしがみついていた
仔実装などは、しがみついていた側の肩から先の腕が消えていることにも気付いていないようだ。

 一拍遅れて、千切れた仔実装の肩口から、噴水のように血飛沫があがる。

 熱い血潮を頭から被り、新聞紙の貫頭衣が斑に染まった仔実装たちが、ようやく何が起こったのか悟ったように、奇声を上げた。
 腕を失ってその場で転がり回る仔実装をよそに、3匹の仔実装はコンクリート塀の傍に突っ伏している母親の下へ一目散に駆け出した。

 腕をもがれた仔実装は、仔実装とは思えないほどの絶叫を上げながら、ブピピ、ブピピとクソを漏らしながら地面をのたうっている。
 仔実装を包んでいた新聞紙は見る間に赤く染まり、自分のひり出したクソの海を転がりまわることで、その上にクソの緑色が重ね塗りさ
れていく。

「チガァアアアアアアア! チャガァアアアアアアアアア!!!!!」

 仔実装はどこからその声を出しているのか不思議なほどの大声で、絶叫し、咆哮し、嗚咽する。
 クソ塗れ、血塗れの仔実装を尻目に、俺はダンボールハウスの撤去に移る。
 杭と結び付けてあった針金を切り、ダンボールハウスを持ち上げる。
 地面にはコンクリートブロック製の基礎、それにドッポン便所を囲う塩ビパイプだけが残った。
 そのあと、前もって用意していたトングを手にとると、俺は地べたを這いずる隻腕仔実装を摘み上げ、パイプの中に落とした。

「チュアッ!?? チベッ、チッ、チュブァアアワアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 クソ塗れの隻腕仔実装は、パイプの中で両足を突っ張り、肥溜めに落っこちるのを何とか免れるが、無駄な抵抗だった。
 トングの先で千切れた腕の先を突付いてやると、すぐに落っこちてしまった。

 設置から一月と経っていないドッポン便所は、まだそれほどクソも溜まっていない。
 それでも仔実装が溺れるには十分な深さがあった。
 仔実装は顔を真っ赤にしながら、無事なほうの腕でクソの水面を掻き回す。デタラメに腕を動かすたびに、鼻から、ミツクチから、クソ
が流れ込む。クソに噎せ、嘔吐き、血涙を流しながら必死で水面を掻き回すが、一向に体は浮かばない。
 やがて隻腕仔実装の足掻きも徐々に弱くなり……緑色のクソの水面に、染みるように隻腕仔実装の赤い血が広がる頃には、まったく動か
なくなった。
 隻腕仔実装がパチャパチャと汚水遊びをはじめてから、一分も経っていない。まったく、仔実装という奴はホントにチリィ。
 俺は半ば呆れながら、スコップで土をかけ、仔実装入りのドッポン便所を埋めていく。

 しばらくは誤って踏み抜かないように、目印代わりに、塩ビパイプはそのままにしておく。塩ビパイプは図らずも隻腕仔実装の墓標とな
った。


 2.
 隻腕仔実装にかまけすぎたか、他の仔実装たちを見れば、2匹は既に庭実装の傍にまで達していた。
 一つ舌打ちして俺はそちらに近づきかけ、ふと、一匹だけ遅れていた仔実装に気付いた。

 遅れ仔実装は地面に突っ伏したまま、ほとんど動こうとしない。いや、今立ち上がろうとしている。
 恐怖にもつれる足を必死で奮い立たせ、無理矢理に立ち上がる仔実装。
 俺はターゲットを替え、遅れ仔実装を追いかけることにした。

 遅れ仔実装は目からとめどなく涙を溢れさせ、鼻からは鼻水、ミツクチからは涎を垂らしながら、ゼィゼィと荒い息を吐きながら懸命に
足を前に動かしている。
 だが哀しいかな、仔実装の歩みは亀にも劣るのが現実。しかも涙に滲んだ視界には母親である庭実装の姿がうまく捉えきれていないよう
で、まっすぐ庭実装のほうへ向かうこともままならない様子だ。
 俺はゆっくりと地面を踏み締めて、遅れ仔実装へと近づいていく。

 庭の砂が踏み締められるたびに音を立てる。

 ジャリッ……ジャリッ……

 音が響くたび、遅れ仔実装は振り返り、よろけ、倒れ込む。必死の形相で立ち上がり、もう一度歩き出そうとするが、

「ホイ残念」

 あまりにも遅すぎるので追いついてしまった俺に頭を小突かれて、盛大に躓き、転がった。
 コロコロと転がった後、突っ伏したまま動かなくなった遅れ仔実装の股間がみるみる緑色に染まっていく。パンツはこんもりと盛り上が
り、その裾から収まりきらないクソが漏れ出した。

「デヂィ…デヂィ…デハッ」
 倒れこんだまま、荒い呼吸を繰り返す仔実装。鼻とミツクチとを精一杯に開き、空気を吸い込もうとする。

「うわ、きったね!」
 俺は遅れ仔実装のパンツの裾から漏れ出したクソが地面に染み込むのを見て、思わず手にしていたトングで遅れ仔実装を打ち据えた。
 遅れ仔実装の背中にクリーンヒットしたトングは、新聞紙の貫頭衣を切り裂き、実装服を切り裂いて、遅れ仔実装の背中に突き刺さる。
 遅れ仔実装はビクン! と体を反らしたかと思うと、ゆっくりと背中を振り返りかけ、「チブッ!」と絶命の一声を上げた後、動かなくな
った。
 涙と鼻水と涎と擦り剥いた傷口から流れ出る赤緑の体液に汚れたその顔には、仔実装らしい可愛らしさが微塵も感じられない、断末魔の
表情を浮かべていた。
 白化した両目が恨めしげに見上げてくるので、俺はその顔面に、背中から抜き取ったトングを突立てる。遅れ仔実装の頭骨は、スナック
菓子ほどの抵抗もなく脆く砕け、トングの先端はサクサクと遅れ仔実装の顔面を引き裂いていった。


 3.
 トングから振り捨てた遅れ仔実装の死骸が、倒れ伏したままの庭実装の体に当たり、バウンドした。
 庭実装には2匹の仔実装が引っ付いて離れない。
 俺はいったん家の中に戻ると、湯気を立てる鍋をもって、ふたたび庭に出た。

 庭実装は回復しつつあるようで、

 「ベブゥ、ベブゥ」

 と不気味な息を漏らしながら、寄り添ってきた2匹の仔実装を抱え込むようにして蹲っていた。
 仔実装を守るように懐に抱え、防御姿勢をとる庭実装。鈍っていた野生の本能が回復してきたようだ。
 ちゃんと俺のことを警戒している。のほほんとしたバカっぽいのもいいが、これもなかなか捨てがたい良さがあった。
 そんな庭実装の頭から、鍋からぐらぐらと泡立つあんを掛けてやった。
 とろみの強いあんが庭実装の顔面の傷に沁みていく。

「ヒャバァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

 庭実装は絶叫を上げ、仔実装を抱きしめていた手を放し、両手で顔面を掻き毟る。
 掻き毟ったところで粘りの強いあんが剥がれるはずもなく、煮えたぎったあんを被って火傷した皮膚が、ボロボロと崩れ落ちるだけだ。
 もともと醜い実装石。
 そのツラが蹴られたダメージで損壊し、今また火傷で崩壊しつつある。真正面からは見据えられないほど醜いツラとなった庭実装は、

「ギャハァアアアアアアアアアアア!!!
 ゲアァヘァアアアアアッワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 と断末魔の咆哮をあげ、地ベタをのた打ち回る。

 庭実装がのた打ち回るうちに、しがみついていた2匹の仔実装は跳ね飛ばされ、コロコロと転がって庭実装から離れていく。
 転がりながらも仔実装はけなげにも

「「チュワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!  チュウウゥゥウウウウウ!!!!!!!!!」」
 
 と泣き叫び、必死で転がり回る庭実装の傍に駆け寄ろうとする。

 2匹ともてんでばらばらに動いて面倒だ。
 俺は手近な所にいた仔実装に狙いを定めるとサンダルを踏み出し、その片足を踏み潰す。

「チャガァ!!!!!!!!!!!!」

 派手な鳴き声をあげて盛大に蹴躓く仔実装。こっちはこれでいいとして……もう一匹に視線を移して、俺はトングを振り下ろした。

「チュアアアアアアアン……チェアアアンン……チュ?」

 泣き叫びながら歩を進めていた仔実装が、急に後ろにのけぞった。後ろに引っ張られるようにして、仰向けに倒れ込む。
 なにごとが起こったのかわかっていない仔実装。
 その仔実装の髪は、トングによって掴まれ、しっかりと地面に縫い止められていた。

「よぅ」

 俺が仔実装の顔を覗き込んで声をかけると、仔実装はブピッ、とクソを漏らして立ち上がる。呼吸を荒くしながら前に進もうと必死にな
るが、髪が地面に縫いとめられていてまったく前に進めない。
 血涙を流し、梅干のような顔をして前のめりになる仔実装の額に、俺は軽くデコピンを食らわせてやった。

「ヂッ!」

 仔実装は短く鳴き、額を抑えると別の方向に向かって逃げ出そうとする。しかしそれは叶わない。髪はびくともしないからだ。仔実装は
それでも前のめりに踏ん張り続けた。
 こめかみに血管を浮かべ、「チバァ チェバァ」と気合を入れる仔実装。
 プッ、とこめかみから血飛沫が上がったかと思うと、仔実装の後頭部から、ぶつぶつ、と毛の抜ける音が響き始めた。
 ぶつぶつ、という音はやがて、めりめりという皮の避ける音になり……ブチン、という音が響いて、仔実装は前転するようにして解放さ
れた。
 急に体が軽くなったことを大喜びする仔実装。立ち上がり、一目散に母親に駆け寄ろうとするが、2、3歩駆けたところで糸が切れたよ
うに倒れ込んでしまった。

 倒れ込んだ仔実装の後ろ頭の皮は完全に剥けてしまっている。
 トングの先には、髪とその根元の仔実装の頭皮が残るのみであった。泡を吹いて倒れている仔実装。おそらく皮を剥がれた激痛に耐え切
れずに失神したのだろう。
 どうしたものか、と見守っているうちに、バギンッ と鈍い音が仔実装の体から響き、ぐったりと力が抜けていった。
 赤緑の斑に染まった仔実装の後頭部からはだらだらと血が流れている。どうやら失血死したようだった。

 トドメを刺す前に死んでしまうとは、仔実装のなんとチリィことよ。

 俺は溜息をついて、トングの先の髪(と頭皮)を振り捨てて、もう一匹のほうを追いかけた。


 4.
 追いかけると言っても、仔実装の体力は既に限界だったようで。
 2、3歩動いただけで、すぐに追いついてしまった。
 仔実装はバランスの悪い体で

「テッチ、テッチ」

 と鳴きながら必死で走っていたが、小石につまずくと、顔面から派手に倒れ込んだ。

 仔実装の行動はどれも似たようなもんだなぁ、そう呆れつつ仔実装に近寄ると、仔実装はくるり、と体を捻らせて、仰向けになってこち
らを向いてきた。
 満面の笑みを貼り付けて、「チュッチュ」と鳴く仔実装。
 気でも触れたのか? と思ってみていたら、仰向けの姿勢のまま小首を傾げ、手を口許にやり、例のポーズをとった。

「テッチューン♪」

「はいダウト!」

 ドスッ、と音を立ててトングが仔実装の胸に突き刺さる。
 哀れな仔実装。起死回生を狙った一世一代の媚は、俺の心のどこかにある血管をぶちっと切れさせるだけのシロモノでしかなかった。
 串刺しになった仔実装はなんで? どうして? とでもいいたげに驚愕の表情を浮かべている。

「テ……チベェ……」

 串刺しになったまま、体からあらゆる液を漏らしながらうめく仔実装。
 俺は仔実装つきのトングを肩に担ぐと、仕上げの支度をはじめた。

 解体したダンボールハウスから庭実装の家財道具一式を放り出す。
 ペットボトルの蓋、魚の形をしたちっちゃい醤油入れ、凹んだピンポン球……と言った庭実装が集めてきたであろうガラクタに加え、汚
れたタオルや雑巾など、俺が与えたモノもゴロゴロとでて来る。

 燃やしても問題のなさそうな雑巾とタオル、それにトイレの衝立にしていた菓子箱と布巾を取り上げ、ダンボールハウスと一緒に焼却炉
にぶち込んで点火。焚き付けには壁を補強していた杭を細かく折ったものを使う。

 一月ちょっとの短い付き合いだったが、よくがんばってくれたな、ダンボールハウス。

 ぱちぱちと爆ぜる音を立てながら、ダンボールハウスの残骸は炎の中で徐々に崩れ去りつつあった。


 5.
 炎の弾ける音に気がついたのか、泥まみれになっていた庭実装が目を覚ます。
 泥に塗れ、煮えたぎるあんが冷えた庭実装は、ボロボロになりながらも意識ははっきりしている様子。
 腹ばいになったままの姿勢で、後頭部ズル剥け仔実装の死骸に匍匐前進していた。庭実装の視界に入る仔実装は、そいつくらいしかいな
かったのだろう。

 火勢が強まったところで、先程振り捨てた仔実装の髪(と頭皮)を拾い上げて、焼却炉の中に放り込んだ。
 まず髪の焼ける嫌な臭いが漂った後、肉の焦げるさらに生臭い臭いが鼻をつく。
 庭実装の崩れかけの鼻にもその臭いは届いたのか、庭実装は匍匐前進を止めて、俺のほうを振り向いた。

「お、気付いたな。それじゃ最後のお別れしろよ」

 庭実装は目玉を零れんばかりに見開いて立ち上がった。
 庭実装の前には、トングに串刺しになったまま焼却炉の上でプラプラと振られている仔実装がいた。

「テ……チ……」

 か細い声で鳴く仔実装。

「フェバラァアアアアアア!!!!!」

 庭実装はボロボロの体で仔実装を取り返そうと駆け寄ってきた。ボロボロの庭実装の頭上で、仔実装を振る俺。
トングに突き刺されたままの仔実装はほとんど息も絶え絶えだったが、それを助け出そうと、庭実装は何度もジャンプする。
衰弱しきった体、着地のたびに衝撃で足が崩れていくのも構わずに、何度も、何度も。
 ついに膝までぐしゃぐしゃに崩れてしまった庭実装は、飛び上がることも叶わず、ただ手を目一杯に延ばして仔実装を掴み取ろうと空を
切るだけになった。

「フェバァアアア、ハバァアアアアアア、ヘベァアアアアアアアアアアア!!!!」

 庭実装はボロボロと涙を零しながら、必死で腕を伸ばす。さすがにちょっと可哀想になったので、ちょっとだけ仔実装を庭実装が届くく
らいの高さにまで下げてやる。
 トングを傾けたことで、仔実装は自重で少しずつずり下がっていく。

「テ……テ……」

 絶命しかかっていた仔実装も、庭実装に向けて手を延ばす。

「フェブゥ! フェズゥゥ!!」

 庭実装も必死に体を延ばす。

 あと数センチ。もうほんの少しで親仔の手が触れ合う、そう思われた瞬間。
 俺はトングを握っている腕の力を緩めた。


  ぱん。


 バネのように勢いよく開いたトングは、くっついていた仔実装の体を一気に引き裂いた。
 引き裂かれた仔実装の胴体から、どろっと臓物が溢れ出し、庭実装の顔に付着する。

 なにごとか起こったのか、庭実装も仔実装も、理解できていないようだったが。
 千切れた仔実装の上半身が、焼却炉に飛び込み、この世のモノとも思えない絶叫を上げるに至り、庭実装は我に返った。

 足元には千切れた仔実装の下半身。
 焼却炉の中からは、仔実装の上半身の上げる断末魔。

 庭実装は全てを理解し、咆哮した。

「フェギャァァァァァァアアアアアアア-————!!」


 6.

「うるさい」

 俺は大声で泣き喚く庭実装を摘み上げると、仔実装の下半身を崩れたミツクチの中に押し込む
 目一杯広げていた口の中に仔実装の下半身はすっぽり納まり、臓物の一部が器官に詰まったようだ。

「……!!!!! ……!!!!!」

 庭実装はどんどんと胸を叩き、何とか気道を確保しようとする。
 そんな庭実装の後ろ髪を掴むと、俺は庭実装を焼却炉に叩き込んだ。
 暴れる庭実装の髪が燃え上がり、服が燃え上がり、やがて庭実装そのものに着火する。
 遅れ仔実装の死骸、後頭部ズル剥け仔実装の死骸をその上から放り込み、蓋をすると、ようやく庭に静けさが戻った。

 庭にはあちこちに赤緑の斑模様が残っていたが、後始末はまた次にしよう。


 ……実装石とは不思議なものだ。
 別に虐待するつもりなどなかったのに、つい殺してしまった。
 ダンボールハウスの強度さえ確かめられれば、実装石がどうなろうと知ったことではないが、殺すつもりはなかったのだがなぁ。

 まあいいか。どうせ実装石だし。

 殺したところで、だれが困ると言うものでもない。
 出来れば、次はもう少し面白い奴が紛れ込んでくるといいなあ。


 俺は庭先の水道の蛇口を捻り、実装石の糞便と体液、血液で汚れたトングを洗う。
 どうでもいいことで時間を潰してしまった。
 まったく、実装石に関わるとろくなことはないな、あらためてそう思った。
 

  END















後書き

はいどーも。
そういえばガチの虐待モノって再開してから書いてなかったな、と気付いたんで書きました。
お口にあえば幸いにゅ♪
ひととおり終わったんで、リハビリシリーズはとりあえずこの辺で打ち止めにします。
それじゃ、また次のスクで。

チュッチュ。

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