躾競争6 【あらすじ】 人間界から選ばれ、次元超越で実装界へと降り立った勇士ひろあき。 長い旅の果て、彼が訪れた最後の地では、大地を覆わんばかりに増殖した悪魔の黒実装達がひしめいていた。 多勢に無勢…だが「聖なる銃(ハウンド)」と銀の弾丸を得たひろあきには、もう恐れるものは何もない。 新たに人類の世界を築く礎となる秘宝「綺輝の宝珠(シャイニーオーブ)」は、奴らが守る暗黒の神殿に封印されている。 選ばれし聖獣にして天空界の使者(ハイエンジェル)であった実蒼石ブルーと、妖魔より転生した大空の聖騎士(ホーリーナイト)・ 実装燈のパープルと共に、ひろあきは、運命の階段を駆け上っていった。 だが、彼の前に巨大な影が立ちふさがった! それは、彼がまだ人間界に居た頃に愛していた飼い実装・ぷちの変わり果てた姿だった—— ……という黒歴史風味な内容とは全く関係ない、ごく普通の実装虐待作品、今回でラスト。 ※ ※ ※ ——時間は、れぴ圧殺直後まで遡る。 れぴの間引きにショックを受けたミドリの偽石は完全に砕け、目は灰色に染まっている。 こうなってしまうと、もう完全に終わりだ。 ミドリは、れぴを本気で助けたいと願い、今まで自己犠牲的精神を振りかざし続けていた。 普通に考えるなら、糞食をしてまでれぴの同族食いの証拠を隠滅していたのは、仕置きのとばっちりを回避するための防衛策だったと見る べきだろう。 だが、れぴの死を認識しただけで自壊してしまった以上、そうではなかった。 仔実装達の関係に一切興味を持たず、また実装石に愛情や信頼といった感情など絶対にありえないと信じているひろあきにとって、この 事態は予想すら出来ず、また認めるわけにはいかないものだった。 実装石のような低脳で不潔、不快で低俗な生命体如きに、そのような高等な感情などある筈がない。 たとえそう見えても、それは愛護派の人間が勝手に思っているだけで、実際には取るに足らない浅はかな悪知恵が働いているだけだ。 このミドリにしても、恐らくれぴの死によって、今後の厳しい仕置きが自分だけに集中してしまう事を察し、その恐怖に自壊したのだろう。 ひろあきは、そう思い込む事にした。 ミドリなら、それくらいの賢さは充分持っていると考えたからだ。 生命体最底辺クラスの実装石が、それほどの推察能力を発揮するほど賢いという事を認めてしまっている辺りに、ひろあきのポリシーの 薄さが伺い知れるが、本人はそれにまったく気付いていない。 ともあれ、ミドリは間違いなく死んだ。 ひろあきは、としあきやすれあきとの競争に用いる手駒を、すべて失ったのだ。 リタイアは、最下位だった前回よりも更に悪い結果だ。 長年の虐待経験が育んだ“何の役にも立たない”プライドが、どうしても事実を受け入れようとしない。 それ以前に、二年も続けて全裸でホモビデオを見せられ、その様子を録画される屈辱だけはどうしても避けたい。 前回、不覚にも途中で勃起してしまった苦い記憶を呼び覚まし、ひろあきは唸りながら頭を掻き毟った。 「しゃあない、アレを……やるか」 先ほど叩き潰そうとして止めたミドリの死体から実装服を丁寧に剥ぎ取り、裸にしてフリージングパックに詰めると、それを自宅の冷凍庫に 収納した。 続けて、パソコンを起動する。 以前貰ったメールを再度読み返し、添付されてきた画像を表示して、ニヤリと笑う。 メールの差出人…暇そうな所謂セレブの専業主婦が、ここから往復小一時間ほどの近郊に住んでいる事はわかっている。 交渉は既に済んでおり、ひろあきは、後はそこに赴けばいいだけだ。 彼が、わざわざ愛護派の集う情報交換サイトに出入りしていた理由は、緊急事態が起こった時に代用とする「里子」を得るためだった。 当然、これは完全なルール違反だし、本来身代わりは無意味だ。 途中でお披露目が行われるのも、これを避けるためという理由がある。 だが、それでもひろあきには勝算があった。 先方に電話連絡を行い、早速、引き取りに行く事にする。 ひろあきを待っていた年輩の女性は、彼が「町内一の愛護派」であるという情報を疑いもなく信じており、約一時間に渡る実装愛護談義を 一方的に持ちかけてから、約束の仔実装を譲り渡してくれた。 ミドリよりも体格が良く、健康的で教育も行き届いた、なかなかの上玉。 親元を離れる時、少し甘ったれな態度を見せたものの、暴れたり嫌がったりは一切せず、すぐにひろあきを新しい主人と認知して丁寧に挨拶 をしてきた。 これだけ立派な個体なら、文句は全くない。 一匹だけだと寂しがるだろうからと、無理矢理二匹セットで押し付けられたのは計算外だったが、ひろあきは心の中で大笑いしつつそれを 受理した。 初めから里子に出される前提だったため、仔実装達に名前はまだ付けられていない。 それは、ひろあきにとってもっとも重要な条件の一つだった。 帰宅途中、ひろあきは二匹の仔実装の両方に「ミドリ」という名前を付けた。 初めて貰えた名前に歓喜しつつも、すぐに不思議そうな表情を浮かべる二匹。 だがひろあきは、「とても好きな名前だから二人に付けたかったんだ」とムチャクチャな説明を施し、強引に納得させた。 賢いと言っても所詮は仔実装…理屈が通らなくても、説明さえあればそれで充分のようだ。 帰宅早々、ひろあきは二匹を丁寧に扱い、風呂に入れ、身体を綺麗に洗浄する。 そして、この仔実装達がどこまでの技能を持っているかを観察した。 自ら服を脱ぎ、たたみ、水に濡れないよう遠ざけてから風呂に浸かり、お漏らしは絶対しない。 それどころか、自分からトイレの場所を確認しに来るほど頭が良い。 ひろあきの指示に従い、自ら髪と身体を洗い、二匹で協力して背中や頭を洗う。 どうしても手の届かない部分の洗浄だけは、丁寧に頼み込んでくる。 更に、タオルで濡れた身体を拭き、水気が乾くまで服を身に付けない。 トイレも食事も、行儀や作法は完璧で、ひろあきから見ても文句の付けようがない。 ミドリ達より遥かに躾の行き届いた個体であることを充分認識したひろあきは、その日の晩、一杯の幸福を堪能して眠りについた仔実装に 更に催眠スプレーをかけて、より深い眠りに誘った。 続けて、冷凍庫に保存しておいたミドリの死体を取り出し、ぬるま湯から少しずつ湯を足し、時間をかけて解凍する。 次に、熟睡する二匹の仔実装のうち、一方の瞼を指で開くと、そこにスポイト点眼を行う。 落とす水滴の色は、赤でも緑でもない。 ——「灰色」 両目をグレー一色に染めた仔実装は、瞬間的に死亡した。 両緑目で強制妊娠、両赤目で強制出産するように、実装石は両目の色を変えられるとそれだけで異常な体内変化を起こしてしまう性質を 持つ。 これを利用し、実装石にとっての「死」を示す灰色に染めると、即死してしまうのだ。 単純な割に一般的にはほとんど知られていないのは、実装石は何の苦痛もなく瞬時に絶命するので、熟練虐待派の需要がないためらしい。 しかし、この状態で殺された実装石は、他の理由で死んだ個体とは大きく異なる、特殊な状態にあり、ひろあきはこれを利用することを考え 付いていた。 脇に用意しておいた鋭いカッターとスポンジ、ガーゼと実装石活性剤を横目に気合を入れると、まず即死させた仔実装の体内から偽石を 取り出す。 いまだに綺麗なエメラルドグリーンを維持している偽石を、ピンセットで丁寧に活性剤に浸ける。 この偽石は、実はまだ生きている。 目を灰色に染められた実装石は確かに死ぬが、それは「肉体が勝手に死を認識している」だけで、いわば強い思い込みで「生命活動に 一時停止させた」ようなもの。 このまま放置し続けたら本当に死んでしまうので、なるべく早く肉体から取り出し、「生きている」という正しい情報を与えてやる必要がある。 それには、これとは逆のプロセスで絶命した実装石の肉体が要る。 「パキン」したミドリの身体がまさにそれに相当するので、ひろあきは即座に冷凍保存したのだ。 偽石を保護したら、次は解凍されたミドリの肉体を切り開き、砕けた偽石を取り除く。 その後間髪いれずに仔実装の偽石を移植し、たっぷりと活性剤を塗りこんで傷口を閉じる。 包帯で胴体を固定した後、注射器で活性剤をミドリの身体に注射する。 最後にミドリの瞼を開き、赤と緑の水滴を点眼。 後は、ミドリの身体をタオルで包み込み、ゆっくり温めて体温を戻してやる。 ミドリの砕けた偽石を仔実装の身体に入れて丸ごと廃棄処分すると、ひろあきは額に汗を浮かべつつ、「新生ミドリ」の復活を祈り続けた。 これに失敗したら、またあの時と同じ屈辱を味わわされる。 あの時、無意識に股間に手が伸び、それを二人に散々からかわれた事まで思い出され、唸り声が漏れそうになる。 自分が提案した矢先にそれを体験させられる……ひろあきは、また鬱になった。 一時間ほどすると、ミドリの身体はうっすらと赤みが差し始め、顔色も良くなってきた。 これで“本物の飼い実装”の精神をインストールされたミドリは、前より完全な存在となって復活する。 今までのミドリは、そこそこ賢かったが最終審査に残れるかどうかは微妙だった。 だがこの新生ミドリは、被虐経験がない分、賢いだけじゃない明るく理想的な仔実装になれるだろう。 それでいて、身体はどちらも同じ。 間違いなく、あの野良実装から強制出産で産ませた超未熟児実装なのだ。 偽石移植は、ひろあき以外誰も試していない筈だったから、疑われる可能性はまずない。 どうやら「予備」は使う必要がないようなので、眠っている間にプレハブから出しておく。 成体実装の脇に水槽を置き、「しっかり見てろよ」と命令しておく。 これはこれで、ゲーム終了後に盛大な虐待を加えてやるつもりだった。 ひろあきは、優勝賞金でどんな新“虐待”アイテムを購入し、あの飼い仔実装をいたぶってやろうかと妄想し始めた。 ※ ※ ※ 三人の持ち寄った仔実装は、その後、それぞれによって厳格な審査を受けた。 風呂に入らせ、食事をさせ、マナーの習得具合をチェックする。 続けて、全員強制浣腸で体内を空っぽにされ、飢餓状態にされた上で親指実装達がはしゃく水槽に投じられる。 更に約三時間放置し、親指の生存具合を確認する。 その後、服の洗濯まで実践させる。 ここまで、脱落者は一匹もいない。 テスト用に投入された親指も全員無事で、それどころか初対面な筈の仔実装達と仲良く戯れていた。 ただ、生まれて初めてきつい仕打ちをうけたミドリだけが、警戒心を露わにしている。 ひろあきは少しだけヤバイと思ったが、彼女達の発言が実装リンガルで翻訳されることはないし、バレる筈はないだろうと納得した。 この審査と、次の「最終審査」さえクリアしてしまえば、ひろあきを警戒しようが、人間不信に陥ろうが、たとえ死んでしまおうが構わなかった。 結局、どの個体も一切問題を起こさず、ご褒美の金平糖にありつけた。 テチュテチュ言いながら甘味に酔いしれる、元・超未熟児の仔実装達。 本当なら即死していてもおかしくなかった程儚い存在だった者達が、計四匹も立派に生き残り成長した光景は、愛護や虐待関係なく、ある 意味感動的ですらあった。 「じゃあ、そろそろ最終審査行くか?」というすれあきの言葉に、前回優勝のとしあきが腰を上げる。 最終審査。 実は、どれがもっとも理想的な実装石となったか、最終判定を下すのは三人の誰でもない。 彼らとは別な、ゲームに全く関わっていない第四の存在だ。 前回の優勝者が指定する者に最終判定権が与えられ、三人の審査に残った者達の中からナンバーワンが決定される仕組みだ。 一回目の最終審査人は、この躾競争の発案者であるすれあきの従兄弟。 彼らに実装虐待のノウハウを授けた、“その道二十五年”の熟練虐待師が判定を行った。 今回はとしあきが指定しており、それが誰かは最終審査直前までナイショにされている。 たとえ三人が絶賛した個体でも、最終審査人がダメ出しすれば、それで終わり。 現時点では、全四匹の仔実装総てに、均等に優勝の可能性があることになる。 としあきは、「じゃ、連れてくるからね」と一言残し、隣の部屋へと消えていく。 息を呑み待つ二人の耳に、やがて「デギャー」という、妙に聞き慣れた鳴き声が響いてきた。 「おまたせー」 「げっ!」 「と、とっしー! ま、まさか…そいつ?!」 「うん♪」 としあきが連れてきたのは、禿裸の成体実装だった。 首には使い古された大きな首輪が巻かれ、そこから極太の鎖が伸び、としあきの手に収まっている。 全身に生々しく残る無残な傷痕、各所に見られる火傷の跡、不気味に変型した足首、そして異常に痩せ細ったその姿から、相当過酷な 虐待を受け続けてきたことがわかる。 「そ、そいつ、ナニ?」 すれあきの質問に、としあきはいつもの明るい笑顔で答える。 「うん、その仔達の産みの親だよ♪」 「「 で、デェェェェ?! 殺してなかったのかよ!! 」」 驚く二人と、異様な気配に警戒を始める仔実装達。 としあきは、ハハハと笑いながら説明を始めた。 「産みの親が理想の娘を選ぶんなら、文句なしでしょ? そう思って、今までずっと活かし続けてたんだよ〜。 人間が選ぶと、どうしても私情が入るでしょ? だからこういうのもいいかなってさ。 ただねぇ、僕も今回のでちょっとストレスが溜まっちゃったから、ついついイタズラしちゃってね、こんなになっちゃった♪ だから、今この親がどんな精神状態で、どんなものを求めてるかは、僕にもわかんないんだ」 「「 え、えげつな〜〜!! 」」 「そうは言うけどさ、考えてもみてよ。 僕がこれの子供を代わりに育てたから、ストレス溜めちゃったんだよ? だったら、これがその報いを受けるのは当然でしょ?」 「「 …… 」」 いつもの“超としあき理論”に、絶句させられる。 すれあきと顔を見合わせながら、ひろあきは心の中で「しまった!」と叫んだ。 彼は、最終審査人が人間だとばかり思っていたため、「人にとって良く見える仔実装」を作り出そうとしてきた。 だが、同じ実装石となると、どういう解答が出るかまったく見込みが付かない。 ルールとして、としあき自身も審査人の嗜好を確認できないため、条件は同じだし、最終審査人の前にひろあき達自身が審査をするから、 徹底教育はまったくムダにはならないが…… しばらく後、最終審査の方法が決まる。 最終審査人は禿裸だから、仔実装がそれを見て嘲笑したら、まず選ばれることはないだろう。 それどころか、自分より遥かに巨大で不気味な異形と化した姿に怯えてしまうかもしれない。 途中で恐怖に負けてパキンしてしまったら、その時点でアウトとなる。 三人は早速、分厚いダンボールで作った「審査会場」の中に、すべての実装石を放した。 テチャアァァァ!! テチャア! テギャアッ?! テェェェェン、テェェェェン!! テ、テ、テ、テッチュ〜ン♪ 最終審査人の前に放された仔実装達は、ある者は叫び、ある者は怯え、ある者は媚び始める。 予想通り、虐待の限りを尽くされ、もはや身体がまともに復元しなくなった痩せぎす禿裸の存在は、仔実装達にとっていささか刺激が 強すぎたようだ。 最初に、すれあきの妹仔実装が盛大にパンコンし、突然鳴き声を止めてコテンと倒れた。 顔色は青ざめ、目は濁ったグレーに染まっている。 他の仔実装達の叫び声のせいで、「パキン」は聞こえなかった。 「うそぉ! いきなりかよ!」 「良かったなすれあき、二匹残しておいて」 「あ〜、マジ焦った! 冗談じゃねぇぞ! 俺、前回のひろあきみたいになりたくねーし」 「ホモビデオで前のめりになったひろあきは、傑作だったよね〜☆」 「あれは笑ったよな〜。“ひろあきが勃った!”って超ウケた」 「う、うっせー!」 次に反応したのは、すれあきの姉仔実装だった。 さすがに死にはしなかったが、必死で審査人から逃げようとする。 だが、ダンボールの壁に行く手を阻まれ、必死でもがいている。 続けて、ミドリが目を回して失神した。 ひろあきの顔も、さっと青ざめる。 としあきの仔実装は、媚びはしているものの一応平気だ。 しばらくすると、チキチキチキ…と、カッターの鳴り響く音がしてくる。 それを聞いた途端、仔実装は突然キリッと身を引き締め、審査人に向かって深々と挨拶をした。 どうやら、としあきの超絶躾は、本能的な恐怖心をも凌駕するらしい。 驚くすれあきとひろあきの眼前で、審査人は、としあきの仔実装をそっと優しく抱き上げた。 デッス〜? テ、テチテチー♪ デ…… ガブッ 審査人は、突然、仔実装の右腕を食い千切った。 「「 うを?! 」」 「あーあ、やっちゃった」 テヂャァァァァァッ?!?! しばらく間を空けて、としあきの仔実装が泣き叫び始める。 食い千切った腕をくっちゃくっちゃと咀嚼しながら、審査人はポイッと仔実装を投げ捨てる。 哀れ隻腕と化した仔実装は、顔面から床に落下して「チベッ!」と呻いた。 そして、二度と動かなくなってしまった。 「ま、まさか、こいつの評価基準って…!?」 「あらー、予想外。これ、後で惨殺確定だね♪」 「そ、それより! どうなんだよこの審査?! 滅茶苦茶じゃねーか!」 「さあねー、とりあえず続きを見てみようよ」 自分の唯一の駒を殺されたにも関わらず、としあきは平静を保ったまま審査人の行動を見守る。 審査人は、次にすれあきの姉仔実装を捕まえ、両脚をガブリといった。 テジャギャアァァァァァ!!! 十数センチの生き物が発したとは、とても思えないような悲鳴が響く。 下半身からの踊り食い。 姉仔実装は、必死で自分の母親の手から逃れようとするが、力が余りにも違いすぎる。 下半身が丸々飲み込まれ、成体実装の胸元が大量の血に染まる頃、ようやく姉仔実装は「ヂギィィ…」と鳴いて絶命した。 その悲しげな目は、最期の瞬間まですれあきに助けを求めていた。 「は、ははははは! 俺んトコの、食われちまったぁ!! 全滅だぁ!!」 かつては地に足を付けさせぬ程の溺愛ぶりを見せた飼い主は、今ではその無様な死をあざ笑っている。 ひろあきは、姉仔実装が味わったであろう死に際の絶望感を想像し、思わず口元を歪めた。 続けて、先に自壊した妹実装の死体が食い散らかされ、更にとしあきの仔実装の死体へと続く。 五体満足かつ生きているのは、もはやミドリだけだ。 ひろあきは内心「やった! 俺の勝ちだ!!」と叫んだが、しかし、どこか妙に引っかかるものも感じていた。 数十分後、ミドリだけ残して全部の娘を食い殺した母親は、大きなゲップを一つ漏らし、満足そうに腹をさすった。 それを見たとしあきが、ポケットから何かを取り出す。 それは、携帯型の音声変換タイプ実装リンガルだ。 「リンガル使うのかよ?」 「そうだよ、じゃないと誰が一番だったか聞けないじゃない」 「ちょwww! 生き残ってるうちのミドリに決定だろうがよ!」 「あー、そうとは限らないよー」 フフン、と鼻を鳴らして、としあきはリンガルのスイッチを入れる。 成体実装の首輪の鎖を引き意識を向けさせると、静かに質問する。 「さあ、教えておくれ。 お前が一番良かった仔は、どれだった?」 数秒の沈黙の後、成体実装は、はっきりと返答した。 奇妙な電子音声が、リンガルから聞こえてくる。 『最初に食った娘デズー。さすがワタシの娘デズー。美味しく育ってくれたデズー♪』 その解答に、としあきは満足そうな笑みを浮かべ、すれあきとひろあきはアングリを口を開けた。 「な、な、な、なにぃぃぃっ?!」 「こいつ、同族食い……じゃねぇ! 子供食いの野良かよ!」 「みたいだねー」 さも当然、という態度のとしあきに、すれあきが詰問する。 彼は、完全勝利を確信した上で、堂々と“事情”を説明し始めた。 仔を生んだ成体実装を最終審査人にしようというのは、ゲームスタート前からのとしあきのアイデアだった。 審査当日まで生かしておく必要があるため、虐待を加えつつも死なない程度に活かし続ける必要があった。 ところがこの成体実装は、用意された実装フード類を一切口にしない。 どんなに脅しても折檻しても、これだけは決して折れなかったため、ほとんど栄養剤投与だけで活かし続けた。 ある日、あまりのワガママにぶち切れそうになったとしあきは、最終審査で脱落確定と思われる親指実装の一匹をダシにして、理由を追求 した。 だが、目の前に逆さ釣りにされた自分の娘を見た途端、成体実装は舌をベロンと伸ばし、物欲しげに見つめ始めた。 こいつは公園に居た頃、食糧難になる度に自己受粉を行い子供を産み、それを食い続けて来たのだ。 やがて娘の味に酔いしれるようになり、あまりにも出産を繰り返しすぎたせいで、妊娠能力が異常低下してしまった。 今回のゲームで生まれた子供達が、親の体格の割に未熟児ばかりだったのは、そういう理由があったのだ。 それを知ったとしあきは、その後、成体実装に大量の栄養剤投与を行った上で強引な強制妊娠→捕食を許可し、無理矢理生き長らえさせた。 最終審査日近くになり、としあきの命令で審査を引き受けることになったが、その条件として成体実装が突き付けて来たのは、としあきが 育てた仔を食わせるというものだった。 彼の親指がいなくなったのは、そういう理由があったためだ。 審査直前に「よく育った自分の娘の味」を理解してしまった彼女は、審査基準を「味」に絞ったようだ。 そして、先の審査結果に到る。 すべての説明を終えた後、としあきは、引き続き「次に良かった仔」「一番ダメな仔」について質問する。 一方ひろあきは、唯一手を付けられなかったミドリを見ながら、ブルブルと肩を震わせていた。 『次に美味かったのは、あの仔の次の次に食べた仔デズー。まろやかな肉質でグルメなワタシの舌にピッタリデズー♪』 『最初に死んじゃった仔も、肉が締まっててけっこー美味かったデズー☆』 「じゃあ、すれあきの仔達は、二番目・三番目ってことだね」 「た、た、た、助かったあぁぁぁ〜〜!!」 この瞬間、最下位は決まった。 最高の容姿と態度、賢さと気品、明るさと躾をすべて身に付けていた筈の「新生ミドリ」は、最終審査で「最低」の烙印を押されてしまった。 「じゃあ今回も、ビリっけつはひろあきって事だな! ギャーハハハハ!!!」 「今度のDVDはきっついよぉ。“重役会議・男漁り”って奴でさ。中年太りのハゲオヤジ達がまぐわってるの♪」 「なんだよ、そのマニアックな奴!」 「えー、だってさー。やっぱりひろあきには、この機会に新たな世界を覗いて欲しいじゃない♪」 勝手に話を進める二人から後ずさりながら、ひろあきは、涙目で吠えた。 「なんでだ! なんで、うちのミドリがドンケツなんだよ! 納得できねーぞこの糞蟲がぁっ!!」 「んな事言ったって、しゃあねーだろ。そういうルールなんだから」 往生際の悪さに呆れるすれあきの向こうでは、見るもおぞましいパッケージのDVDケースを手にしたとしあきが、先程まで浮かべていた笑顔 をパージして、ひろあきを睨みつけている。 それはまるで、これから実装石に虐待を加えるかのような、冷酷な光を宿している。 「この仔、これの子供じゃないね?」 「…え?」 「これ、自分の子供しか食べないんだよ。他の実装石は絶対ダメなの」 「え? え?」 「インチキしたよね、ひろあき……」 「な……」 としあきは、再び実装リンガルを成体実装に向け、なぜミドリを食べなかったのか質問した。 『他の仔なんか、汚らわしくて食えないデズー。 ワタシは、ワタシの高潔で純粋な血が流れている最高品質の娘しか口にしないデズー! そいつはワタシと“同じニオイ”がしない奴デズー! こんな奴、絶対食ってやらないデズー、最低のエサデズー!!』 「——というわけだよ、ひろあき。言い逃れは出来ないよ。 ホントは、途中でリタイヤしちゃってたんだね」 「あ、いや、それは…」 スイッチを切りながら、静かに語りかけるとしあき。 青ざめるひろあきの背後に、いつのまにかすれあきが回りこんでいる。 ガシッ、と、脇を固められ、無理矢理立ち上がらせられる。 「ビリの上にズルしたのかあ♪ ギャハハハ、悪い仔でチュね〜〜!!」 「や、やめ! ち、違……!!」 賢明に否定しようとするひろあきの眼前では、意識を取り戻したミドリに、リンガル越しで話し掛けるとしあきの姿があった。 「……そうなんだあ、ふーん。じゃあ君のママはとっても素晴らしいんだねー」 『そうテチュ♪ 今でもマァマとオネーチャ達は、マァマのマァマのお家で仲良く暮らしてるんテチュ♪』 「そ〜、それは良かったねぇ♪ じゃあそろそろ、死のうねぇ〜☆」 ドンッ!! ——チベッ!! パシャア———ッ!! 拳を振り下ろし、ミドリの頭部を叩き潰して脳漿と血を放射状に飛び散らせると、としあきは額に青筋を浮かべつつ、ゆっくり立ち上がった。 こわばった笑顔が、やけに眩しい。 「さぁ、ひろあき虐待タイム、始まるよぉ♪」 「や、やめ…も、もう勘弁して……許し……」 「ギャーハハハハ! こいつ、マジ泣きしてるぜ♪ みっともねー!」 すれあきは脇固めに更に力を込め、ひろあきが絶対脱出できないようにする。 絶望感と屈辱にまみれたひろあきは、もう、何もできない… 「もう諦めようよひろあき♪ 僕達の前で命乞いするのが逆効果だってこと、よぉぉぉく知ってる筈だろう?」 「ひ……!!」 ひろあきはそのまま問答無用でズルズル引きずられ、別室で恥辱の宴への強制参加を命じられた。 ——ルール違反は厳罰として、彼はその後、なんと五時間も監禁され“あらたな世界”を見せ付けられた。 勿論、全裸にされて—— 彼の人生に、生涯消えない傷痕が、また一つ刻まれた。 その後、連続優勝者としあきの提案により、ひろあきの反則は厳罰に処すると新たに定められた。 ※ ※ ※ その日の深夜、泣きべそを掻きながら帰ってきたひろあきを迎えたのは、あのでっぷりと太った“出産担当”成体実装と、その脇でひっくり 返されている水槽だった。 呑気に眠っている成体実装の周囲には、バラバラに引き千切られた服や髪が散乱している。 ひろあきは、それがもう一匹の「ミドリ(と名付けられた飼い仔実装)」だと、咄嗟に気付かなかった。 「……っっっ!!!」 せめて凄絶な鬱憤晴らしをしようと楽しみにしていたが、それすらも台無しになっていた。 ミドリの最終仕上げに集中していたため、成体実装に餌をやるのを失念していたのだ。 庭の脇に放置してあったシャベルを振り被ったひろあきは、目覚める様子のない成体実装に向かって踊りかかった。 惨めな光景をあざ笑うかのように、濁った夜空から、ポツポツと雨が降り始めた。 (おわり) --------------------------------------------------------------------------------------------------- 偽石交換について過去の拙作とやや設定が違いますが、統一する気はナシということでひとつ

| 1 Re: Name:匿名石 2023/11/08-23:35:45 No:00008429[申告] |
| あんだけやったのに、里子に出したおばちゃんが優勝者じゃんという話になってんぞ(同じ仔実装だからそんな育った日数の差に違いもないだろうし) |
| 2 Re: Name:匿名石 2023/11/08-23:37:42 No:00008430[申告] |
| ↑実装石の教育だけに関しては。里子のおばちゃんがとんでもない実装教育プレイヤーなら知らん |
| 3 Re: Name:匿名石 2024/01/15-19:26:14 No:00008616[申告] |
| ひろゆきダッッッサ!ブリーダーとしても虐待派としても人間としても無様を晒しちゃったねぇ♪ |