タイトル:【愛】 躾競争4
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:16793 レス数:0
初投稿日時:2008/06/13-20:53:06修正日時:2008/06/13-20:53:06
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躾競争 4

【あらすじ】

 としあき・すれあき・ひろあきの三人は、実装石虐待に飽きたため、今度は「実装石を理想的な状態に育てる」というテーマで躾競争を行う
ことにした。
 野良実装を強制出産させ、生まれた超未熟児達を三分割して育て始める三人。
 優勝すれば賞金が得られるが、最下位になると「全裸でホモビデオ鑑賞(しかもそれをビデオ撮影)」という屈辱的地獄を味わわされる。

 前回最下位だったひろあきは、全力で未熟児実装育成を進める。
 これは……まあ、そんな作品である。



          ※          ※          ※


 超未熟児だった親指実装・蛆実装は、なんとか丈夫な仔実装に育つことができた。
 今では、あのひ弱なイメージはほとんどなくなっている。 
 紆余曲折を経て、飼い実装が覚えるべき基本を身につけたミドリ・れぴ・ぷちの三匹に対して、ひろあきが次に課すのは「実装石の本能の
抹殺」だ。
 ここからが、「理想的な仔実装」を作る上でもっとも重要なポイントになる。


 育成開始から一ヵ月半経ったその日の朝、ひろあきは、明るい笑顔で挨拶しながら朝食を待っていたミドリを、いきなりふん捕まえた。
 問答無用で服を引っぺがし、やや太目の注射器にたっぷり水を入れ、ノズルを口の中に押し込む。
 悲鳴を上げるより先にピストンを押し、強引に水を流し込む。

 ギャバゲボゴボゲボゲボ!!

 ぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅ

 唸るような呻き声と共に、体内に留まっていた便が総排泄孔から噴出する。
 注射器の中に入っていた250ccほどの水はミドリの体内を猛スピードで通り抜け、目覚めたばかりの彼女に大きなダメージを与えた。
 下に敷いた白いビニール袋が、ドス黒い糞便で醜く汚れていく。
 ミドリは何の抵抗も出来ず、ただ苦しげな眼差しでひろあきを見つめることしか出来ない。

 洗浄を終え、血涙を流しつつ悶えるミドリに冷酷な眼差しを向けると、ひろあきは注射器に二度目の吸水を行う。
 休む間を与えず、再び強制体内洗浄。

 ゲバギャバゴボゲボギャボギャボ

 シャ—————っ

 合計500cc、総排泄孔から出る水が完全に透明になるまで徹底洗浄されたミドリは瀕死状態に陥り、もはや立ち上がるのはおろか声すら
出せなくなっている。
 弱々しくピクピクするミドリの身体は、全身を突き抜ける痛みと内側から染みる冷たさのせいで、ぷるぷると小刻みに震えている。
 続けて、れぴにもひろあきの手が伸びた。

 テ、テチャアァ〜〜!! テェェェン、テェェェン、テェェ……テギャッ!!

 一部始終を見ていたため、れぴはちょてちょてと必死で逃げ回るが、あっさり捕らえる。
 即座に、ミドリと同様の拷問が加えられる。

 ギャボゲボゴボギボギャボゴボゲボゲボ……ゴボゲボ

 ドボドボドボ……!!

 なかなか液便が止まらないので、計1リットル分も強制洗浄が行われた。
 実は液便ではなく、途中から内臓出血になっていたのだが、ひろあきにとってそれはさほど重要ではない。
 要は、れぴの体内を完全に空っぽにすれば、それでいいのだ。
 一切の心配もしなければ、不安を覚えるつもりさえない。
 ミドリ以上の半死半生状態にされたれぴは、虫の息のままミドリの横に放置される。
 続けてぷちの番。

 だがぷちは、そんな凄まじい光景を目の当たりにしながらもまったく臆することなく、自らひろあきの手の中に収まった。
 それどころか、テチューテチュー♪ と機嫌良さそうに鳴いている。
 意図が読めないが、ひろあきはあえて深く考えず、同じように注射器を口に差込んで、躊躇いなく一気に水を流し込んだ。
 だが。

 ゴボッ……

「ん? あれ?」

 ぷちの腹が風船のようにボコンと膨らみ、顔が一瞬で青ざめる。
 しかし不思議なことに、総排泄孔からはほとんど水が流れていない。
 どうやら、中で便が詰まっているようだ。
 一旦ぷちを解放し、今度は総排泄孔の方にノズルをめり込ませる。
 沈着冷静なぷちも、さすがにこれは堪えたようで、四肢を振り乱して抵抗する。
 だがひろあきは、一切慈悲を加えるつもりなどない。

 デゴボギャ……ァァァ!!!

 ノズルを全部体内に押し込み、片手でぷちの身体を固定すると、注射器内の水を一度に全部流し込もうとする。
 ひろあきの想定では、詰まっている側から水流を流せば、反対側(口)から出てくる筈だった。
 この先のプロセスがあるので、ゆっくり時間をかけている暇などない。
 面倒は早く済ませようと思い、ひろあきは、ピストンを押す指に思い切り力を込めた。

「ふんぬっ!」

 ぐいっ!

 デ……!!


 パンッ!


 小さな破裂音を立て、ぷちは、口内から大量の内臓と糞の塊を噴出して爆死した。
 まるで、空気を入れすぎた風船のように、あっけなく。
 圧迫された内臓と水、血と糞便に負けて、頭部全体が破裂したのだ。
 首の断面に薄皮が少し残っている程度で、そこから先はもはや跡形もない。
 不気味な色の水分を大量に撒き散らし、ぷちは、しばらくぴくぴくと痙攣した後、やがて動かなくなった。
 下に敷いた袋は、元の色がわからないくらいに汚れていた。

 後になってわかった事だが、どうやらぷちはかなり重度の便秘症で、そのため他の二匹よりも便量が少なく、体内には硬化した宿便を常時
溜め込んでいる状態だった。
 普段から動きが鈍かったり、あまり積極的に動かなかったのも、そのせいだったのだろう。
 としあきやすれあきから最も評されていた事もあり、若干惜しいなとも思ったが、ひろあきにとって彼女はあくまで「ミドリの教育素材の一つ」
に過ぎない。
 死んでしまったのなら仕方ないと割り切って、引き続き、ぷちには「本来の役割」を果たしてもらうことにした。

 
       ※          ※           ※


 活性剤投与後、タオルで拘束されたミドリとれぴは、そのまま半日も放置され、正気を取り戻した夕方頃には、凄まじい飢餓感に支配
されていた。

 テチィィィ……ヂイィィ……!

 テチ、テチ、テチィィィ!!

 何か言いたそうに手を伸ばすが、今回は霧吹きも含め、何もしてやらない。
 さらに一時間後、高濃度栄養剤を注射された二匹は、引き続き、僅かな明かり取りの穴を開けられただけの中型ダンボールに閉じ込め
られた。
 剥ぎ取られた実装服とパンツは返してもらえず、両者とも裸のままだ。
 ダンボールの底で倒れ伏し、苦しそうに鳴いているミドリとれぴに向かって、ひろあきはあらたな命令を加えた。

「今から三日間、飯も水も一切抜きだ」

 テ、テチャァァァァッ?!
 テジャァァッ?!

「絶対に何も口にしちゃいけないぞ。
 ずっと我慢するんだ。
 もし、何か食べた事がわかったら、今までとは比較にならないくらいきつい仕置きをした上で、殺す!」

 テ、テェェ…
 テチャ……

「いいな、 三 匹 仲 良 く 我慢するんだぞ」 

 そう言って、ひろあきは手の中のものを二匹の間に放り投げる。
 べちゃっ、という音を立てて、ダンボールの底にへばりつくそれは、先程まで“ぷち”だった肉塊。

 テ、テチャアァァァァッ?!
 テジャアァァッ!!

 もはや動かなくなってしまった半壊死体を見て、ミドリとれぴは、搾り出すような悲鳴を上げた。


 この教育は、実装石の習性であり、飼う上で最も問題となる「共食い」を制するためのメニューだ。
 これはひろあきオリジナルメニューではなく、実装ブリーダーはごく普通にやっている事だという。
 育ち盛りで日々の成長のため大量の栄養と水分が必要になる仔実装を強制的に飢えさせ、そこに自分達より小さくか弱い親指や蛆を放つ。
 もし、それらを殺して食らったり、自分や仲間の身体を食べ始めたら失格。
 服も食べかねないので、あらかじめ奪っておく必要がある。
 たいがいの個体は、この過酷な条件に耐えられず自壊したり、飢餓感に狂った仲間に殺されたり、発狂したりするが、ミドリとれぴにはその
いずれの選択肢も与えられない。
 実装ブリーダーがこれを行う時間は通常最大二日だが、あえてもう一日追加する所に、ひろあきの性格が表れている。

 楽しみにしていた朝食を抜かれただけでなく、体内の物をすべて排出させられ、更に絶食を強要される二匹の仔実装と、眼前に放置されて
いる姉妹の死体。
 この過酷な状況を、安酒片手にじっくり眺めるのが、ひろあき最大の楽しみの一つだ。
 だが今回はあえて観察せず、放置することにした。
 ひろあきの目が届かない環境を意図的に作り、その中で彼女達がどういう結果を生むかを期待するのも、また別な趣があるのだ。

 その間に、例の「愛護系情報サイト」で、いつもの調べ物を始める。
 今日はひろあきの眼鏡に適うものが数件発見されたので、早速「相手」にメールを送ることにする。

 モニターの中では、綺麗な女性に抱かれた、可愛らしく着飾った実装石が微笑んでいる。
 
 
       ※          ※           ※


 ピッタリ三日後、箱を解放してみると、中では少し予想外の展開が起こっていた。


 ミドリもれぴもかろうじて生きてはいたが、干からびたミイラのようになっており、ヒクヒクと四肢を痙攣させ倒れている。
 それぞれ箱内対角線上の角を陣取っており、その中央には、すっかり黒く変色し蝿がたかっているぷちの死体がある。
 ビニール手袋越しにぷちの死体を取り上げ、明るい所で破損状況を確認してみると、左腕と右脇腹にいくつかの齧り跡が見られた。
 特に脇腹の損壊が酷く、真っ先に齧った様子が窺える。
 やはり、まだ三日間の絶食に耐えられるほどではなかったか、と肩を落としたが、ひろあきは引き続きどちらが禁を破ったのかを確認する
事にした。

 箱の中から取り上げられ、最初に使った栄養床の上に置かれた二匹は、その日の夜にはそれなりの回復を見せるようになった。
 栄養剤を注射し、意識を完全に取り戻させると、ひろあきは二匹を睨みつけて問い質す。

「ぷちを食ったのはどっちだ? 素直に手を上げろ」

 当然だが、どちらも首を横に振り素直に返答しない。
 それどころか、ひろあきの態度に怯え、無言でガタガタ震えている。
 やむなく、ひろあきは一個の金平糖を目の前に置いた。

「本当の事を言った奴に、これをやるぞ?」

 と言い終わらないうちに、ミドリとれぴ両方が手を上げた。
 なんと現金な奴等だ、と最初は思ったが、両者の目はもうひろあきではなく、金平糖だけに注がれている。
 極限状態にある彼女達にとっては、目の前にある食べ物・甘味の方が今は重要なのだろう。
 ひろあきは何も言わず、金平糖を細かく砕くと、それを二匹に振舞う。
 ヒィヒィと情けない声を上げながら、ミドリとれぴは、唾液を懸命に搾り出して金平糖の破片にむしゃぶりついた。

 そして、約五分後——


 テ? テ、テ、テ、テ……

 テェェェ…テチャァァ……?

 ぷりゅっ、ぷりゅぷりゅぷりゅ…

 ぶびゅっ、ぶじゅっ


 金平糖もとい、仔実装用低威力ドドンパの効果が出始め、二匹は総排泄孔から糞便を噴出した。
 ほとんど水分が搾り取られているので、カスのようなものしか出ない筈だったが、二匹の総排泄孔からはなぜかそれなりの量が漏れる。
 ひろあきは首を傾げながら、それをワリバシで確認していく。
 すると、ミドリの糞便内に、明らかな固形便が含まれていた。
 対して、れぴからはごく僅かな液状の便しか出てこない。
 ミドリの糞色は、こげ茶色の混じった濃緑色であり、明らかに何かを消化した痕跡が残っている。
 だがれぴの便は比較的均一な色合いのディープグリーンで、体内分泌液や内臓壁の老廃物がほぼそのまま流出している事がわかる。

 ——禁を破ったのは、ミドリ?

 テチャァァ…

 テチイィ…

 またも体内の水分を奪われ、更に強制排泄まで行わされた二匹は、虫の息で蠢いている。
 てっきり、ミドリの方が耐え切るだろうと予想していたひろあきは、この結果に頭を抱えてしまった。
 たとえ緊急事態下であっても、同族の肉を食べてしまった実装石は、その味を記憶してしまい、もう二度とまともな存在には戻れなくなる。
 それは、「禁忌」という概念を受け付けにくくなるのと同じ意味であり、育成者がもっとも恐れることだ。
 糞便食の場合は、本人が「美味い」と誤認しない限りはまだ救いようがあるし、最終審査までに補正することも可能だが……
 このままでは、色々な面で劣るれぴの方をメインに切り替え、ミドリはそのための犠牲として扱わなければならなくなる。
 どのような理由であれ、同族の肉を食してしまった実装石には、もう未来はない。

 その後、結局何もしなかったひろあきは、追加で栄養剤投与だけを行い、二匹を再び栄養床に放置した。
 これで、必要な栄養と水分を吸収し、復活する筈だ。


 
       ※          ※           ※



 翌日昼頃、早々に回復の兆しを見せた二匹に、親指時代に与えていた牛乳浸しフードを与え、弱った内臓器官を少しずつ回復させてやると、
その間に次の試練の準備を行う。

 今まで必要最低限の管理しかしていなかった、例の成体実装。
 今ではすっかり肉の風船と化し、ケース内にびっちりと収まって身動きすらとれなくなっているが、それでも食欲は変わらず旺盛のようで、
上方向に向けた口からしきりに餌をねだっている。
 ひろあきは、30キロを超えてしまった成体実装を必死の思いでプレハブから運び出し、ケースから無理矢理ひり出すと、これに強制出産
処理を行った。

 ……! ……!!

 「「「「「「「 テッテレー♪ 」」」」」」」

 母体が栄養過多なためか、強制出産にも関わらず、健常そうな仔実装や親指、蛆実装が大量に生れ落ちた。
 肉塊となった成体実装は、もう自分で粘膜を取ろうとはせず呑気に居眠りを始めてしまうほどなので、ひろあきが溶剤で洗い落としてやる。
 大量の子供達の中から、比較的丈夫そうな仔実装と親指をそれぞれ三匹ずつ取り分け、そのうち仔実装二匹は別に除けておく。

 新生仔実装は、ミドリ達とほぼ同じくらいの身長だが、頭の中は他の親指達と大差ないようだ。
 身体は健康でも、脳の発育は不充分…ひろあきにとって格好の素材だ。
 これらにたっぷり餌を与えて腹を満たしてやり、弱風ドライヤーで適度に乾かしてやった後、ミドリ達の許へ連行した。

 テェ?
 テチュ?

 突然目の前に置かれた仔実装一匹、親指三匹を見て、ミドリとれぴは、キョトンとしている。
 これで、水槽内はいきなり六匹の大所帯になった。
 
「いいか、二人とも。
 今日から、その仔達を育てるんだぞ。
 二人で力を合わせて、死なせないように頑張るんだ。
 餌と水を置いていくから、ちゃんと分けてやれよ」

 それだけ告げて、ケースの中に実装フードを入れた大きな餌皿と、たっぷり水を入れた実装石用の吸い飲みを吊るしてやる。
 テチュテチュ、レチレチと可愛らしく賑やかな鳴き声が響くが、ひろあきは黙ってプレハブを出た。


 今度の試練は、ミドリとれぴが今まで身に着けた躾けを守り通せるかを見定めるものだ。
 子供達の世話をしながら、身体を綺麗に保ちつつ、なおかつきちんと餌を摂り続けるというのは、かなり難易度が高い。
 しかも、先程用意された餌の量は、ミドリとれぴ二匹の基準で見ても、せいぜい三日程度しか持たない。
 にも関わらず、次に彼女達が解放されるのは、五日後。
 風呂と洗濯のため水だけは一週間分相当用意しているが、湯は用意されない。
 二匹は解放される期限を知らない状態で、ただでさえ足りない食料を分け合いながら、見ず知らずの子供達を生かし続けなければならない。

 成体実装に首輪をはめ、しばし外飼い状態にすると、ひろあきはプレハブ小屋に鍵をかけた。


 それから数時間、水槽内部ではテチテチ、テチュテチュと楽しげな鳴き声が響いていたが、夜半からは、早速怒り声や泣き声が響くようになった。


 二日目の夜に差し掛かる頃には、悲鳴・怒声の頻度が更に高まってきた。


 三日目が暮れる頃には、鳴き声すら聞こえなくなった。


 四日目以降は、静寂が支配した——

 
       ※          ※           ※



 ——ゲーム開始から、一ヶ月と三週間。

 その後「例の件」で何人かの人達と連絡を取り合い、様々な交渉を行っていたひろあきは、眉間にシワを寄せながら、五日ぶりにプレハブ
小屋の鍵を開けた。

 中は、とてつもない異臭が充満している。
 ライトで照らしてみると、ケースの中は凄惨極まる状況になっていた。


 まず、吸い飲みと餌皿は、当然空っぽになっていた。
 ケースの隅の方に置かれたトイレは大量の糞便で溢れ返り、既に形状がわからなくなっている。
 ここまでは、予想出来ていた。
 よく見ると、その中で溺れ死んでいる親指が一匹居る。
 床は糞でべしょべしょに汚れており、当然中の実装石達も野良並に汚くなっていた。

 ミドリとれぴは、両方とも健在。
 ミドリは眠り続けており、れぴは呆然とひろあきを見上げている。
 両者の中間には、首を食い千切られた仔実装の死体があり、見たところかなり腐敗が進んでいる。
 相当早い時期に殺されただろうことが窺える。
 生き残った親指の一匹は、その死体の傷口から腐肉を食んでいる。
 その表情を見る限り、もはや正気は保てていないようだ。

 だが、あともう一匹居る筈の親指は、どこからもついに発見されなかった。


 軽く針を突き刺してミドリを無理矢理起こし、れぴと共にケースから取り出すと、ひろあきは別に用意しておいた風呂に入るよう命じる。
 後で気付いたのだが、こんな状況にも関わらず、ミドリもれぴも身長が9センチくらいに成長していた。
 最終審査は、あと6日後に迫っている。
 ひろあきは、風呂から上がった二匹を新しいケースに戻してやると、それ以上何もせずにプレハブ小屋を出て行った。
 その心中には、焦りの気持ちが生まれていた。
 
 
       ※          ※           ※


 翌日、すっかり洗浄が済み、充分な食事と栄養剤の補助を得て、かつての元気を取り戻し始めたミドリとれぴに、ひろあきはようやく
「お仕置き」を施す事にした。
 切開した傷が塞がった事を確認した後、表面をギザギザにした縫い針をミドリの眼前に晒し、以前の恐怖を思い起こさせる。

 そしてひろあきは、その針で——れぴを思い切り突き刺した!

 テジャアァァァァッ!!

 テ、テチィッ?!

 これまでのお仕置きでは、せいぜい針を深く刺してゆっくり引き抜くという程度だったが、今回は違う。
 脳天から真っ直ぐ針を突き刺すと、それを尻まで貫通させ、ペンチで引き抜いた。
 身体の芯全体を突き抜ける回避不能の激痛に、悲鳴を上げながら身悶えするれぴと、それを心配して駆け寄ろうとするミドリ。
 それを見た瞬間、ひろあきはニヤリと笑い、ミドリの身体を掴み上げた。
 ダメージは与えず、あくまで優しく抱き、満面の笑顔を向ける。

「お前は一番出来が良いからな。こんな奴みたいにはなってくれるなよ?」

 テ、テェェェ……

 手の中で震え始めるミドリを、かつてないほど丁寧に戻し、頭を撫でる。
 更に、本物の金平糖までプレセントした。
 無論、れぴは完全無視&放置である。

「もうすぐ、また皆の所に連れて行くんだからな。お前は頑張って良い実装石になれよ」

 テ、テェ……

 思い切り目を剥き、ひろあきとれぴを交互に見つめるミドリの態度は、明らかに挙動不審だ。
 ひろあきは、ミドリをまた別な箱に移動させると、小さな餌皿を用意した。

 ——皿の上には、こんがり焼かれた仔実装が置いてある。

「さあ、食べてもいいよミドリ。
 これは厳しい試練に耐えたご褒美だ」

 テ、テチャァァッ!!

 仔実装を見るなり血相を変えて後ずさるミドリと、それを見て再びニヤリと笑うひろあき。
 実はその仔実装は、小麦粉を練った厚手の皮の中に餃子の具を詰め包んだ細工物で、死体ではない。
 だが、茹でた後表面に軽く焦げ目を付けているため、薄暗がりだと本物と区別が付かない。
 ミドリは壁際まで退避し、背中を壁にべっとり付けたまま硬直している。
 それはとても、ぶちの死体や仔実装の首を食った者の取る態度ではない。
 ひろあきの中で疑惑が確信に変わる。

「どうした、遠慮しなくていいんだよ? 気にしないで食べなさい」

 テェェェ、テチャア、テチャア!!

「お前の大好きなものだろう? せっかく用意してやったのに」

 テチャアッ、テチャアッッ!!

 餌皿をミドリのすぐ手前に移動させてやるが、必死で顔を背けようとあがく。
 かなり美味そうに感じる芳香を漂わせているにも関わらず、ミドリは、仔実装型の包み焼きに手を出そうとしない。
 直接顔に引っ付けてやると、大慌てで逃亡する。
 どうやら、本当に嫌がっているようにしか見えない。

 ひろあきはそのままミドリを放置して、翌日またあらためて観察してみることにした。

 
 
       ※          ※           ※


 翌朝、まだ仔実装達が眠っているだろう時間帯を見計らい、ひろあきはそれぞれのケースの中を覗いてみた。
 すると、予想通りの状況が広がっていた。

 まずミドリは、例の料理に一切手を付けておらず、箱の反対側に逃げてうずくまるように眠っていた。
 念の為料理を取り上げて確認してみるが、こっそりかじった形跡もない。

 一方れぴの方は、あの凄惨なケースの中にいるにも関わらず、呑気に眠り続けていた。
 状況をよく観察してみると、昨日の様子からいくつかの変化が見られる。
 まず、仔実装の首なし死体を食んでいた親指が姿を消しており、れぴの傍に小さな実装服の破片と千切れた髪と思われるゴミが散らばって
いた。
 昨日あれほど綺麗にした筈なのに、れぴの顔はなぜか薄汚れており、しかも口周りが特に酷い。
 どう見ても、れぴが親指を食い殺したとしか判断できない状況だった。


 ——ここで、これまでの状況を整理・推敲する。

 最初、ぷちの死体を食ったのはミドリと思われたが、実際はれぴの仕業だった可能性が高まった。
 だが、その時点でのれぴの糞からは固形物は見られず、逆にミドリからは固形状の糞が検出された。
 そこが一番の謎だが、まだ「二匹とも死体を食っていた」可能性も否定出来ない。
 或いは、何か小細工をしているのか。
 更に、しれっと同族食いを行ってしまうれぴの態度も気になる。
 ひろあきは、これまでれぴは「言われれば理解はするけど実行が出来ない」性質だと認識していたのだが、そうとは言い切れなくなってきた。
 または、ひろあきの監視下から外れた途端、極端に緊張感を失って躾けられたことやお仕置きの恐怖を忘れてしまうのかもしれない。
 いずれにしても、それはひろあきの求める実装石像とはかけ離れたものだし、理想的な実装石などでは決してない。
 としあきやすれあきもすぐに看破するだろうし、最終審査人の眼鏡に適うことなどまずありえまい。


 ひろあきは、先の躾けでミドリが固形状の糞をした謎を解くため、次のプロセスを考案した。
 その結果によっては、ミドリの躾けなおしもやむなしということになってしまうが、残された時間は、あまりにも少ない。
 だがその時のために、ひろあきは並行して別な準備も進めていた。

 その日の夕刻、ひろあきのパソコンにある人物からのメールが届いていた。
 タイトルは「是非よろしくお願いします♪」と記されている。

 
       ※          ※           ※


 先の試練が行われていた五日間、ひろあきは何もしなかったわけではない。
 最終審査まであと僅かなので、別な試練の準備を同時進行させていた。
 ここで、少し時間を遡る。

 外飼いの成体実装に強制出産させた時に別分けにされた二匹の仔実装は、太陽の光が届く明るい清潔な環境に置かれ、二日間飼い
実装として理想的な生活を営んだ。
 最低限の躾けは行われたが、ミドリ達が受けたような体罰的行為は施されていない。
 仔実装二匹は、ミドリ達とは完全に隔離された空間で育てられ、そこそこ小生意気な態度を見せる、どこにでもいそうな“実に実装石らしい”
個体となった。

 ちなみに、選ばれなかった他の子供達は、庭に掘った深穴の底に落とし、上から少し土を振りかけた。
 テチャテチャテチィという耳障りな悲鳴が気に障るのか、すぐ脇に寝そべる成体実装も眉間にシワを寄せている。
 ひろあきは、脇に小さなスコップを置いて穴をそのままにしておいたが、翌日には穴はすっかり埋められていた。


 三日目の朝から、ひろあきはこの仔実装達に、上等な肉類を惜しげもなく振舞い始める。
 上等と言っても「実装石にとっては」とつくが。
 濃厚な味わいの肉類に大喜びし、マナーもへったくれもなく貪りつく二匹。
 当然、挨拶などするはずがない。
 その日の昼はハンバーグ、夜は甘辛く煮付けた豚の角煮。
 更にデザートには、食べ切れないほど沢山の金平糖を与える。
 水はミネラルウォーターで、トイレの始末もひろあきがいちいち行ってやる。
 風呂も丁寧に入れてやり、服も汚れたらすぐに洗濯して乾かし、常に清潔なものをまとっていられるように徹底した。
 その甲斐あって、四日目の夜には、二匹ともすっかり糞蟲的な態度を取るようになり、何か気に入らない事があると、ひろあきに文句を
唱えるようになった。

 食事を出すのが遅れると、糞便を投げつけて抗議。
 服が汚れると、大声でひろあきを呼びつけ洗濯を強要。
 あげくには、飯がまずいもっと美味いものを出せと不満を述べる。
 五日目に入ると、外観こそ可愛らしいものの、その中身はすっかり腐り果てた最悪の仔蟲へと成り下がってしまった。

 そんな仔実装達を、ひろあきは回復したミドリとれぴの居る水槽へ移動させた。
 四匹は、ここで初めて互いの存在を認識しあうことになる。

 テチュ?
 テチィ?

 テチャ?! テジィィィッ!!
 テチャア、テチャア!!

 いきなり威嚇を始める仔実装達に驚くミドリとれぴに対し、ひろあきはあらたな命令を施す。
 それが、最終審査目前に行われる、最後にして最難関の試練だ。


「今から二日以内に、この仔実装達を躾けろ。
 お前達と同じくらいにまで躾けられたら合格だ。
 だが、二日後どちらかが糞蟲のままだったら、お前達には地獄を味わってもらう!
 勿論、こいつらを殺しても同じだ」



(ここまで序章、これより本編)






























嘘だけどさ

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