『責任』 ------------------------------------------------------------------------------------------------ 弁当を買ってコンビニを出た俺に、薄汚れた野良実装が近づいて来て、連れていた仔を掲げてみせた。 「ニンゲンさん、この仔を飼ってあげてほしいデスゥ」 おいおい冗談だろ? 禿裸の上に、全身に火傷の痕があってボロボロ。 頭も逝っちゃってるのか視線が定まらなくて、ポーズだけ媚びてるそいつを託児しようってか? 愛護派だろうが虐待派だろうが、そのガキは受け取らないと思うぞ。 「……テテ、テ……テッチューン……♪ テテ……テッチューン……♪」 「この仔は妹思いの良い仔だったデスゥ、でも悪いニンゲンに捕まって、戻って来たときはこの有り様デスゥ」 そりゃお気の毒様。 でも俺の知ったことかよ。 無視して立ち去ろうとする俺に、野良親が追いすがって来て、わめき立てる。 「待つデス、ニンゲン! オマエたちが、この仔をこんなにしたデス! 責任持って飼えデス!」 知らねーよ。 そいつを虐待した奴に言いやがれ。 「他の仔もみんなニンゲンに殺されて、ワタシの最後の希望の仔だったデス! 責任取れデス、ニンゲンッ!」 うっせーな。 無視して足を早めた俺に、野良の脚力では追いつけない。 デスデスわめく声は遠ざかり、やがて聞こえなくなった。 まったく、どこの阿呆か知らねーけど。 糞蟲を虐待するなら最後まで「責任」持って息の根を止めておきやがれ、と、俺は思った。 ------------------------------------------------------------------------------------------------ 【終わり】
