− Gの旋律 飼い実装になりたいか!? − ===== 1 ===== ぺち ぺち ぺち ぺち ぺち ぺち ぺち ぺち ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 「ひっ・・・」 「ひっ・・・」 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ また・・・だ・・・ 何回聞いたのだろう?・・・ もう嫌だ・・・ 嫌だっ嫌だっ!! 「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・ 助けて・・・」 うううおおおおおあああああああーーーーーーー!!!!! 「はっ! はっ! はっ! はあっ はあっ はあぁ はあぁ はあぁぁ・・・・・・・」 「俺は・・・ 俺は糞蟲じゃない!!・・・ 俺は! 俺はっ!・・・・」 青年は「いつもの悪夢」から飛び起きると、床に蹲り髪をかきむしり悶えた。 しかし震える手で枕元のバールを握るや、鋭く、横一線に薙ぐ。 ヒュッ!! 「俺は・・・ 糞蟲じゃない!・・・」 青年の名は「アキラ」。 かつて夜の公園で実装石を虐殺していた、あの少年の今の姿だ。 青年は長めの髪を振り乱し、一心不乱にバールを振り回す。 これが彼の悪夢を振り払う、いつもの「日課」だ。 そしてそのバールの軌跡は鋭く、ただの虐殺派とは思えない怨念のようなものを感じさせる。 半刻の後、荒い息とともに「日課」を終えると、青年は汗も拭わずベットに座り込み、脇にある小机 を手繰り寄せてノートPCを立ち上げる。 2通の新着メールが届いており、内容は「客」からの実装石捕獲の依頼だ。 1通は毎月1〜2回の頻度で依頼を寄せるお得意様、自称「博士」からの捕獲依頼であり、的確な実 装石の選択眼を持つ青年はそれなりの信頼を得ていた。 もう1通は親友・・・ と言っても一回り以上年上なのだが・・・ 虐待派の山岡氏からのものだ。 青年は息を整えながら山岡氏のメールに目を通す。 >>>>> 山ちゃんデ〜〜ッス! 例によって、今回も同人誌の企画をアキラに手伝って欲しいんだけどもいいかな? 今回は『飼い実装になりたいか!? みのり市横断ウルトラクイズ!』ってお題で、実装石共にクイ ズに回答させてDVDに編集しようと思うんだ。 そこで、企画が成り立つ程度の知能がある実装石を6匹確保しておいて欲しい。 明後日のAM9:00に中央公園で待ち合わせしたいので、ヨロスクお願いしまつ。 あ、バロンにも撮影の協力を頼んであるので公園で合流してね。 では!! (報酬は現地交渉でwww) >>>>> ニヤリと青年が笑う、ようやく見せる穏やかな顔だ。 アキラは年齢こそは20代前半ではあるものの、大学に通う訳でも無く、かといって就職もしない、 俗に言う『引きこもり』すれすれの暮らしだった。 (厳密には、夜な夜な公園を訪れてはバールを振るっているので、引きこもり1/2とでも言えばい いのであろうか?) ネットを通じて細々と請け負う実装石関連のアルバイト、これでアキラは食いつないでいるのだが、 親友の山岡氏の依頼は金額的にもありがいものだった。 アキラは博士の依頼にも眼を通すとノートPCを閉じ、赤地に黒字で「実と虐」と書かれたタオルを 手にシャワーに向かう。 タオルは山岡氏に貰った物だが、人前で使うには相当勇気が必要なので、当然バスタオル程度にしか 使えない。 アキラは企画にふさわしい参加者(実装石)を探すべく、熱めのシャワーに身をさらしながら、彼の 記憶の中に収められている実装石共を一匹ずつ辿るのだった。 ===== 2 ===== ここは、新時代環境型モデル都市「実験都市・みのり市」。 20世紀末から問題視されていた地球温暖化を解消すべく、都市部緑化、再資源化サイクル、クリー ンエネルギー、等々を実現した実験都市だ。 しかし、緑化政策が実装石の大繁殖を招き、「実験都市」ならぬ「実装都市」と揶揄される皮肉な結 果を招いてしまう。 物語はここ、実装都市が舞台となる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 当日、アキラは約束の時刻より少し早めに「みのり市中央公園」に姿を現した。 日中の人目をはばかる時間帯なので、人目につくバールは自宅に置いてきている。 が、それはそれ。 実装石をいたぶるイベントであるからして、懐にはしっかりと特殊警棒を忍ばせている。 そして今回の企画の参加者・・・ となるのか、餌食となるのか、アキラの「夢の飼い実装にしてや ろう」との甘言に乗せられた数匹の実装石達が、足元でデスデスと鳴いている。 ただ、この実装石達はアキラがブツブツと独り言を繰り返している事に気が付いていない。 「実装石は糞蟲だ・・・・」 ・ ・ ・ 「アキラちゃんお待たせぇ〜〜(はぁと)」 「あ、おはよう、バロンさんに萌ちゃん」 アキラの独り言がまだ何周目かのうちに、もう一人の撮影協力者のバロンが現れる。 身長190cmの骨格にガチムチの筋肉を搭載したこの中年男性は、体躯に似合わず何故かおかま口 調だ。 しかも、溺愛している実装紅の「萌」を肩に乗せて登場した姿は、更にその外見とのギャップを加速 させている。 「あら〜、アキラちゃん。実装石狩りの黒いユニホームもカッコ良くて素敵だけど、普段着も純情そ うな男の子に見えてそそられるわぁん」 「(いやいやいや、そそらなくてイイから)あ・・・あはは、ありがとう」 「おはようナノダワ〜。アキラちゃん、引きこもってばかりいないで今日みたいにお仕事しないと駄 目ナノダワ〜」 「う、うん・・・ (萌ちゃん、相変わらずの毒舌だな・・・)」 二人と一匹が久しぶりの再会に挨拶を交わす中、足元の実装石達はデスデスと喚いている。 実装紅の登場には警戒しつつ、恐らく糞蟲性が強い個体が多いのだろう、各々がほざく好き勝手な内 容が次から次へとアキラの持つリンガルに翻訳されていく。 デエ!? デデスッ!! (デ!? 実装紅デス! ブリブリ・・・) デプププ デエデデデエプゥ? (デプププ このバカニンゲンは引きこもりデスゥ?) デ・・・ デスデスデデデエー! (そんな赤いクソムシより、魅力的なワタシを飼えデス!) 「あっらまぁー! アキラちゃんと萌ちゃんの魅力が分んないなんて、だからアンタ達は糞蟲って 言われるのよぉ!!」 ガチムチのバロンは糞蟲電波を垂れ流す実装石共に、ふぬぅ、とばかりにボディービルダー宜しくポ ージングを極める。 デア!? ブリブリー! デエエ! ブババ!・・・ バロンの威嚇に驚き、途端に数匹の実装石が脱糞して下着を緑色に膨らませてしまう。 いったいどの様な類の実装石を集めたのか、総排泄口の緩さからうかがい知れるというものだ。 「バロンさぁん・・・一応、洗ったんですよぉ?」 「あ〜ん! アキラちゃんゴメンなさ〜い!」 イベントに使用する為にアキラが集めた実装石だが、糞蟲度そのまんまの悪臭では撮影する方はたま ったものでは無い。 故に、アキラが事前にある程度まで臭いを落としたのだが、これでは台無しだ。 アキラに嫌われては大変とばかりに、バロンは緑糞で下着を膨らませて「パンコン」した実装石共を 噴水まで追い立てる。 実装紅の萌も慌てて後ろ髪をムチの様に振るい、ご主人様であるバロンに協力している所を見ると、 萌自身もアキラには嫌われたくないらしい。 「早く下着を洗うのダワ」と、実装石共に後ろ髪の鞭撻を振るう。 余談だが、実装紅の後ろ髪は「ツインテール」と呼ばれ、本気で振るうツインテールは実装石を容易 く引き裂いてしまう。 天敵と言う程ではないにせよ実力の差は歴然であり、実装石は渋々従わざるを得ない。 噴水の縁に実装石共を立たせて下着を洗わせていると、ようやくイベントの企画人・山岡氏が参上す る。 「お〜〜い、アキラとバロンと萌ちゃん、お待たせ〜〜!」 「ああ、山さん久しぶり!」 「山ちゃん遅いわよぉ〜」 「遅いのダワ!」 「あ〜う〜、萌ちゃん遅れてごめんねぇぇぇwww」 「ほお! 頬擦りをやめるのダワ! ロリコン中年ナノダワワ〜!」 細身のアキラやガチムチ巨体のバロンとは対照的に、山岡氏のずんぐりとした典型的な中年男性の体 型で萌を抱き上げ頬擦りする様は、相手が人間の幼女であればズバリ性犯罪者そのもの。 しかし、萌は口では嫌がっているものの、笑っているところを見ると嫌と言う訳でも無いようだ。 標準的な実装紅は高飛車な性格なのだが、この実装紅の萌は多少なりとも愛嬌がある珍しい個体だと 言える。 ひとしきり挨拶を交わすと、山岡氏が相変わらずデスデスと騒がしい足元の参加者達を吟味し始める。 山岡氏の注文通り、様々な風体の実装石が6匹、相手を虐待派とは知らずに見上げ返す。 ノーマル・・・髪も体も服装も、野良にしては綺麗なトコロを見るとそれなりの賢い個体らしい。 妊娠実装・・・両目が緑の、それも出産時期も近そうな個体。夢の飼い実装への執着は一番か? 裸実装・・・・見ての通りの裸の実装石。初っ端からこれでは・・・ コンビニ袋・・こいつは禿裸だが、コンビニの袋を器用に服代わりにしている。生活力はありそう。 仔実装姉妹・・まだ仔実装ながら、テチテチと話すその内容は仔とは思えない糞蟲ぶり。 「お? アキラ、仔実装2匹で競わせるつもりか、考えたなw」 「いや、山さん違うんですよ。その仔実装は2匹一組のつもりなんです」 「ぬぬぬ、じゃあ数が合わないぞ???」 「へっへっへっへ〜♪ 今回の主賓の登場〜〜!!」 アキラが後ろから実装ケージを取り出すと、中からデギャースッ!!と喚きながら派手な衣装に身を 包み、ギンギラのポシェットを肩から提げた飼い実装が現れる。 「このグズ共! いつになったら双葉堂のミルクプリン持ってくるデス!!」 左手を腰に当て、右手をアキラに突き上げるこの横柄さや如何に? 実装紅の萌はあからさまな糞蟲ぶりに不愉快な顔をしているが、山岡氏とバロンは口をあんぐり開け て顔を見合わせた。 何故ならば、この凄まじくふてぶてしい、飼い実装と思わしき糞蟲に見覚えがあるからだ。 「この下等生物! 聞いているのかデス!」 「ア・・・ アキラ、これって・・・」 「ええ、そうです。『あの』グリンちゃんですよw」 実は、この無駄に値段だけは張りそうな身形をした実装石・グリンは、みのり市在住のある成金夫人 が飼っている実装石だ。 しかし成金趣味の馬鹿セレブに育成されたグリンは糞蟲属性を存分に発揮し、散歩コースの中央公園 での悪行を虐待派に撮影され、インターネットで動画配信される程の強者(つわもの)なのだ。 いわば全国ネット級の超有名糞蟲様と言うところか。 故に、虐待派の山岡氏は当然ながら、よく中央公園を訪れるバロンも知らない訳が無い。 「うっはー!! アキラさすがに飼い実装はまずいぞーw これで逝こうwwww」 「これってこの公園で有名なあの子でしょ? 飼い実装はまずいんじゃないのぉ?」 確かに、いくら畜生以下の存在の実装石とは言え、個人の所有物に手を出すのは違法行為だろう。 「いや実は昨夜、こいつの飼い主のババアに動画の事を教えてやったんですよ。そして『飼い主の貴 女も気をつけないと悪い意味で有名になりますよ?』と吹き込んだんです。そしたらやっぱり、糞 蟲の飼い主は糞蟲な訳で、手のひら返したように処分費付きでオレに押し付けてきましたよ」 「・・・と言う事は、焼こうが煮ようが合法って事かwww」 「それならイイんじゃな〜い?」 「デギャーッス!! ボケちらかしてるデッス!! 処分てなんデス!? ありえないデッス!!」 「デプププw お前捨てられたデス?」 「そんな醜くたるんだ身なりだからポイされるんデスゥ。いい気味デププw」 どうやら飼い主に捨てられた〜〜 と言う意味合いを理解したグリンはヒステリックに喚き散らす。 そして他の実装石が浴びせかける冷やかしに、見る見る顔を紅潮させるグリン。 「デッ・・・ デッ・・・ デッギャァーーッスッ!!」 「「「あ・・・」」」 ちょっと見には、デブがよたって歩いているように見えた。 グリンがよたよたと2〜3歩、歩を進めたかと思うと両手にポシェットを持ったままクルリクルリと 回りだす。 ドベチィッ!!! 無駄にたるんだその体は、並みの実装石が生み出す力を一回り上回っているであろう。 クルリクルリと回る回転力をポシェットに込めて、手近に居た裸実装の頭に叩き込んだのだ。 「うはw いい技持ってるなコイツwww」 「・・・・一撃ぃ〜ナノダワ・・」 「これ・・・ 頭の偽石割れたんじゃない? ピクリとも動かないわよ?」 「デエ〜プププw この高貴なワタシ直々の『てんちゅう』デス。ありがたく思うデスw」 確かに一撃を食らった裸実装はピクリとも動かない、頭部にあった偽石にクリーンヒットして割れて しまったのだろう。 グリンは己の一撃必殺に気を良くして笑っているが、集めてきた当の本人のアキラにしてみれば堪っ た物ではない。 見る間に眉を吊り上げて・・・ 「こっ こっ この糞蟲がぁっ!! せっかく選んで・・・!!」 「いかん! アキラを止めろバロン!!」 「うぐぁ!! はぁーなぁーせぇぇぇーーっ!!!」 神速の動きで特殊警棒を抜き打ち振り上げるものの、気配を事前に察知していたバロンにあっさりと 抱えあげられてしまう。 こうなってはさすがに手も足も出ず、ジタバタともがくしかないアキラ。 「な、な、落ち着いてアキラ。グリンもせっかく集めてきた貴重な参加者なんだから。」 「うん、もぉ〜。暴れる悪い子は更に抱っこしちゃうから〜!(はぁと)」 「う〜わ〜! もっと離せぇ〜〜!!」 山岡氏の必死の制止が通じたのか、はたまたバロンの愛の抱擁が色々な意味で伝わったのか、アキラ も落ち着きを取り戻しグリンの保護を承知する。 グリンに至っては、自分の高貴さ故に守られたのだと大きな勘違いをし、大変にご満悦の様子だ。 「ちきしょ〜〜・・・ しかたがない、今すぐ補充します・・・」 やっと頭に上った血も下がったアキラだが、それでもグリンを「キッ!」と一睨みし、渋々代わりの 実装石を探す為に皆の側を離れる事にした。 アキラもある程度はグリンの暴君ぶりを覚悟していたものの、企画が始まる前からこれでは先が思い やられると言う物だ。 裸実装 × 企画直前で早くも死亡。 ===== 3 ===== 「くっそ〜、グリンの奴、生きて帰られると思うなよ・・・」 山岡氏が出版する同人誌『実と虐』の企画が始まりもしないうちに、早くも暴君ぶりを現したグリン によって、アキラが集めた実装石の中の1匹が殺されてしまう。 しかし、ある程度知能がある実装石が揃わないと、企画の撮影が始まらない。 渋々、代わりの実装石を探すべく、ここ中央公園で物色中のアキラだが・・・ 周囲を見渡すと、「実装都市」と揶揄される程の都市、みのり市の中央公園であるからして、右を向 いても左を向いても野良実装ばかりだ。 しかし、特殊警棒片手に鋭い視線を送るアキラ。 その前は潮が引くように野良実装が逃げてしまい、さながら糞蟲の海を渡るモーゼの様だ。 デププ デデス〜ン・・・ (デププ♪ あんな糞蟲よりワタシを・・・) ボチュン!! デースデ・・・ (そこのニンゲンワタシを飼う事を許可・・・) グチャッ!! 危機感の欠片も無い糞蟲が無用心に近づくものの、戯言も終わらぬうちに消し飛び踏み潰されていく。 「馬鹿には用は無いんだよ、馬鹿には・・・」 茂みの中に踏み込むと、他実装の騒ぎなど「知ったこっちゃ無い」といった感じで、ダンボールハウ スに頭を突っ込みデッスンデッスン励んでいるマラ実装がいる。 その尻を ドベン!(デア!?) と蹴り飛ばすと、脆弱なダンボールハウスを突き破って出てきた のは合体中の2匹と食い散らかされた仔実装の死体だ。 「実装石は糞蟲・・・ って、お前のその耳、見覚えがあるぞ?」 デズア!? デースデス!! いきなりの襲撃に怒り心頭で抗議するマラ実装。 しかしアキラはそれを無視し、マラ実装の両耳〜 頭巾の耳の部分だけが千切れ落ちて生身の耳がむ き出しになっている事に注目する。 アキラはこの両耳に見覚えがあるのだ。 「おい、マラ実装。お前、飼い実装のグリンの尻を追い掛け回していたマラだろ?」 「デス!? グリン様デス!? グリン様が来ているデス!?」 「ああ、来てるよ。お前はやっぱり、グリンの追っかけしていた、あのマラ実装なんだな」 この頭巾の両耳が千切れて『耳だけ禿マラ』になっている汚いマラ実装は、飼い主と一緒に公園へ散 歩に来るグリンに一目惚れし、夢の一発を渇望してグリンの使いっパシリをしていた哀れな奴である。 しかし、飼い主の監視とグリンの護身用のデスゥタンガン(飼い実装護身用スタンガン)に阻まれて、 一発極めるなど到底叶わない。 そして、アキラがこの『耳だけ禿マラ』を記憶に焼き付ける出来事〜 グリンによるマラ実装への暴 行を偶然にも目の当たりにする事になる。 「高貴なワタシに仕える下僕の証に目印をくれてやるデス♪」と言ったところか、マーキング代わり に両耳を引き千切られてしまったのだ。 ここに至れば、もはや悲劇を通り越して喜劇である、これを採用しない手は無い。 「よ〜しお前、オレの言う事を聞くなら、グリンに会わせてやるし、グリンと同じ様に飼い実装にし てやるぞ」 「デッ!? 会わせてくれるデス!? 言う事聞くデス! 飼い実装にもなりたいデス!!」 「・・・しっかし、お前の格好、汚いし臭いなぁ。 時間・・・無いんだよね・・・」 ・ ・ ・ 「お待たせ、補充完了です」 「お、さすがアキラ、仕事が早いな。しかもマラかよwww よく見つけたな?」 「ええ、偶然バコバコやってるの見つけたもんで」 「アキラちゃん下品〜〜」 「ナノダワ〜」 「で、このマラ実装だけど、そいつも裸実装だったの?」 「ええ(1分前から)」 デエエ〜ン・・・ ・ ・ ・ ・ ・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「第1回! で終わりw 『飼い実装になりたいか!? みのり市横断ウルトラクイズ〜〜!!』」 景気のいいBGMと共に・・・ デースデスデス!! デギャーッス!! 山岡氏が参加者の実装・・・ デッス〜ン! デスデエエエッス!! テチィー!! ・・・・とにかくうるさい。 「今回の企画は実装関連企業のローゼン社様のご好意により、日本最大の実装研究所である『ローゼ ン社・みのり市実装ビル』の屋上をお借りしております!」 「そしてコチラが参加者の実装石の皆さんで〜す! 拍手〜〜!!」 撮影係のバロンがカメラをパンして、屋上の外周ギリギリに設置したステージと、ステージ上のカウ ンターに着座している実装石達を写す。 「今回は、『飼い実装になりたいか!? みのり市横断ウルトラクイズ〜〜!!』と題して、参加者 の皆さんに、ここみのり市を横断しながらクイズに答えて頂き、見事に優勝した方には飼い実装の 栄光の座が・・・」 デスデーース!! デギャーッス!! デデア!! デーデーデーデースー!! ・・・・ホントにうるさい。 山岡氏がふと見ると、撮影補助係のアキラがすでに特殊警棒を手にブラブラさせているではないか。 糞蟲共の騒がしさに虐待派の山岡氏がイライラしているこの状況、生粋の虐殺派のアキラが何時ブチ 切れようともおかしくない。 ここに至って参加者を屠られては堪らんとばかりに、山岡氏は慌てて糞蟲共に黙るよう促す。 「オイ、奴隷ニンゲン! 10時のおやつの時間デス!! ぐずぐずするなデスッ!!」 まずはこのキング・オブ・糞蟲様のグリンから黙らせる。 「グリンちゃ〜ん? まさか高貴で優秀な飼い実装のグリンちゃんが、知性(と運と体力)を競うク イズで他の実装石に負ける事は無いよね〜?」 「デプププwww 当然デッス! 何を言ってる・・・ 「じゃあっ!! 大人しく出来るよね? お上品に、優雅に、『誰よりも優秀に』参加出来るよね?」 「デ!? も、もちろんデッス!・・・」 これにて、キング・オブ・糞蟲様の沈静化完了。 他の実装石共も大人しいので右に倣えかと思いきや、どうも目線が違う。 その目線の先には、両の眼を爛々とさせて特殊警棒を素振りしているアキラが・・・ まあ、とりあえずは結果オーライという事で、山岡氏は撮影を再開するようにバロンに促す。 「では参加者の皆さんの紹介デ〜〜ッス!ww」 実装石達が胸にぶら下げた、参加者名の書かれたプレートを嬉しそうに前に出す。 「ノーマル! 体も服も奇麗なトコロを見ると少しは賢そう? デスデス! え?賢い? そうですか、 無事に終わるといいですね、糞がww」 「妊娠実装! 見ての通り出産間近の妊娠実装! お腹の中のお子さん達の為にも頑張って下さい! ク〜ックックックw・・・」 「マラ裸! え〜、倫理的に引っかかるモノがあるので、一部黒ペンキで塗りつぶしてみました。ペ ンキが剥げないうちに、とっとと逝って下さいwww」 デスーッ!! 「コンビニ袋! 実装石の王道、禿裸www デスデェース!! あ? 流行? バカニンゲン? ここ で逝くかかコラ?・・ な〜んちゃって(ニッコリ作り笑い)飼い実装になったら服ももらえます よ〜〜!」 「仔実装 姉・妹! 体力的には大きなハンデがありますが、可愛らしい姉妹なら楽勝でしょう! テチュ〜ン テプププ♪ もっともこの企画は体力勝負なので風前の灯だと思いますがwww」 テテェッ!? ブリ・・・ 「グリン! なんと! ヲチ動画で有名なあの(糞蟲)グリンちゃんが登場ですっ!!! 果たして どんな惨劇を見せてくれるか目が離せませんwww」 デプププw 「そしてコチラ、ゲストの実装紅の萌ちゃん!」 「よろしくナノダワ〜」 「司会進行は私、季刊誌『実と虐』編集長の山ちゃんがお送りします!」 「それぇでぇ〜は〜! オープン・ザ・ステーィジ!!!」 バサバサーッ! とステージを囲っていた幕が外され、アキラがステージ横の配電盤を操作すると機 械音と共にステージが屋上の外、遥か地上の中空に迫り出す。 デデエエエエ!? (足元が無いデス!?) ブババ! デデズウッ!? (ここは空の上デス!?) ブリリッ! テチャーー!! (たっ 高いテチャー!!) ブリョリョーー! デッ・・・ (デッ・・・) ブリブリブリ! 実装石がステージだと思っていたのは外壁清掃用のゴンドラで、周囲は細いパイプで囲ってあるだけ、 足元にいたっては金属の網目なので遥か下の地上が丸見えだ。 何匹かは屋上に飛び移ろうと試みるが、屋上との隙間は実装石では到底飛び移れそうにない。 「では、少々足元が寒いようですが、第1ステージの開始です、ゲハハハwww」 ニタニタ笑いながら進行を進める山岡氏の影で、アキラが特殊警棒をチラつかせて「し〜」のポーズ で威嚇している。 ようやく実装石共は、「何かがおかしいのではないか?」と気付き始める。 そして全員が、ある共通した結論に至った。 デエエエエエエエエエ・・・・ (こいつらは怖いニンゲンだったデスゥゥゥ・・・・・) ===== 4 ===== 第1ステージは「ローゼン社・みのり市実装ビル」の屋上・・・ より、少し外。 ノーマル・・・・○ 体も服も小奇麗なトコロを見ると比較的賢い個体? 妊娠実装・・・・○ 出産間近の妊娠実装。 マラ裸・・・・・○ グリンの奴隷のマラ実装。アキラに衣服を奪われる。 コンビニ袋・・・○ 実装石の王道・禿裸実装。コンビニ袋を服代わりにしている。 仔実装姉妹・・・○ 2匹一組で参加の仔実装姉妹。糞蟲。 グリン・・・・・○ 虐待派にヲチ動画をネット配信される程の暴虐糞蟲。元セレブ飼い実装。 この7匹が、地上より遥か上空の清掃用ゴンドラをステージにクイズに挑戦する。 山岡氏がクイズのルールと解答用の早押しボタンの使い方の説明を終えると、緊張と便臭の中、いよ いよクイズが開始される。 「正解した方から合格です。4匹合格で締め切りですよ〜、いいですね? では第1問目!」 「公園などで怖いニンゲンが撒く、食べるとコロリと死んでしまう食べ物は、何に似ているでしょう か?」 山岡氏が読み上げるクイズにざわめく実装石共。 「食べると死ぬデスゥ?」 「早く『双葉堂のミルクプリン』持ってくるデス!」 問題を復唱して考えるマラ裸とは対照的に、糞蟲らしくふざけた要求を飛ばすグリン。 しかし、すぐに解答ボタンの音色が響く。 ピンポーン! 「コ、コンペイトウデス! 食べるとあまあまなのに、死んでしまうデスゥ!」 どもりながらもノーマルが自信を持って答える。 「金平糖、はい正解! ピポピポーン!! 正解者には『実物』をプレゼントですw」 「実物をプレゼント」という夢のような言葉に戸惑うノーマルに、山岡氏が薄ピンクの金平糖を取り 出し手渡す。 山岡氏の体型通りの、まさしく太っ腹な企画だ。 「デエ!? こ、金平糖デス!! 本当に貰えたデス!! ・・・・・あまあまデッスー!」 デ・・・ デゲハァッ!! 「はい、実物の実装コロリですw ローゼン社さんの『実装コロリ・躾用希釈タイプ』ですから命の 心配はありませんのでゆっくり味わって下さいwww」 「頭の悪い野良には毒がお似合いテチw」 「冥土の土産に好きなだけ食えテチw」 パンコンしながら痙攣するノーマルに仔実装姉妹から罵声が浴びせられるが、とりあえずは正解者待 遇としてステージから下ろされる。 ただし、バケツに突っ込まれ、手渡されたアキラが呻き声の届かない後方に放置するのだが・・・ 「第2問目、普通の家庭で飼われている飼い実装が、普段食べているフードは何でしょうか?」 ピンポーン! 「デプププ、そんなものステーキデス! 松坂牛の霜降りがデフォ・・・ ピンポーン! 「実装フードデスゥ? 公園で食べ物を撒くニンゲンが言っていたデス」 ボケ散らかしたグリンの解答をスルーして、すかさずコンビニ袋が早押しボタンを押して落ち着いて 答える。 禿裸の風体とは裏腹に、コンビニ袋を衣類代わりにしている知性は本物のようだ。 「実装フード、正解! ピポピポーン!! ローゼン社さんの『実装大好き・ビーフ味(お徳用)』 です」 「う! うまうまデス! もっと持って来るデス! デ? 勝ち進めばもっと食えるデス? 我慢し てやるデス・・・」 「「禿は禿らしく禿げとけテチィ!!」」 罵声などお構いなしに、コンビニ袋は一皿もある実装フードにパンコン寸前だ。 企画の性質上「これが最後の晩餐になるかもな」と思いつつ、コンビニ袋を言いくるめて退場させる 山岡氏。 「第3問目、お母さんが子供を生む時に、栄養が足りないと大きく育たない子が生まれますよね。そ れは、蛆ちゃんと、後もう一つ何でしょうか?」 ピンポーン! ピンポーン! 「妊娠実装さん残念! 仔実装姉妹ちゃんの方が早かった!」 デェェ!? 「はいどうぞ!!」 「もう一匹は親指ちゃんテチ!」 「妹ちゃんはうまうまテチィー!」 「「チププププw」」 「うまうまって・・・・ 親指実装、正解。 ピポピポーン!! ローゼン社さんから発売の『なか よし家族シリーズ・親指ちゃん人形』です。 ・・・ほら」 「テチー!! 不味くて食えないテチィ!!」 「こんな物もらって喜ぶとでも思ってるテチか、バカニンゲン! ・・・? テヂ!・・・」 山岡氏は青筋を立てながら糞蟲姉妹の頭を鷲掴みにし、無造作にアキラに手渡す。 対照的に、受け取るアキラは山岡氏の青筋を見てニヤニヤしている。 「・・・第4問目、これで最終問題です。いいですねぇ〜?」 「公園などで怖い人間が撒く、食べると体が痺れてしまう金平糖に似た食べ物は何でしょうか?」 「わっ わかったデス!! せ、正解は、正解は・・・ デ?・・・ デエエエ!?・・・」 いち早く解答に気づいたマラ裸だが、さすがに一連の進行に危機感を感じ、妊娠実装と共に解答を躊 躇する。 「も、もしかして、正解の物をもらう事になるデスゥゥ???」 「この問題は危険デスゥゥ・・・」 ピンポーン! ピンポーンピンポーン!! 「え? はい、グリンちゃん」 「食べると痺れるのは糞ニンゲンが糞蟲に食わせる実装シビレデスw 高貴なワタシには関係の無い ゲテモノデスw」 「「・・・・・・」」 遅ればせながら嬉々として答えるグリンに対し、この後の惨状を想像して沈黙してしまうマラ裸と妊 娠実装。 同じく、山岡氏は嬉々として薄紫色の金平糖を取り出す。 「実装シビレ、はい正解! ピポピポーン!! ローゼン社さんの『実装シビレ・業務用』ですww」 「賢いワタシに不可能はないデスw ・・・とっととそれをよこすデス、ウスノロニンゲン!!」 取り出された金平糖をひったくると、なんとマラ裸の口にねじり込むではないか! 「グ、グリン様? それは金平糖じゃないデス! ど、毒デ・・・エ゛・・・」 「マラを振り回すしか能の無い馬鹿マラでも、この高貴なグリン様の役に立てる事を感謝しろデスw」 「デェ・・・ビエエ゛エ゛エ゛・・・・・」 「デピャピャピャ! この高貴なワタシへの愛があるのなら乗り越えろデスw」 さすがは業務用、たちどころに崩れ落ちるマラ裸。 その効き目はまさに、歩道の植え込みにつんのめっている泥酔親父の如しだ。 「・・・え〜、噂どおりの暴君ぶりで、第一ステージ合格者4組が決定しました!」 「納得いかない展開ナノダワ〜・・・」 いきなりの暴挙に唖然としながらも、とりあえず司会進行を進める山岡氏。 そして実装紅の萌は、ゲストとして格好だけ参加するつもりだったが、さすがに異議ありの顔つきだ。 そこに妊娠実装も諦めきれずに泣きが入る。 「デデエ!? か、飼い実装になれないデスゥ!?」 それを見て、山岡氏はニヤニヤと笑って言葉を続ける。 虐待派のあの笑みだ。 「くっくっく〜w そこで言わずもがな、敗者復活戦です!!」 「このローゼン社さん発売の『なかよしピクニックシート』をパラシュート代わりにココ(屋上)か ら飛んで頂いて、先に生還できた方を勝者とします」 「が、頑張るデスゥ!・・・」 「デェェェ・・・ 体が痺れて掴めないデス・・・」 「では黒マラさんはシートを掴めないので『体』に括り付けて・・・と」 妊娠実装には両手にシートを持たせ、マラ裸にはペンキで黒く塗りたくったマラに縛り付ける。 しかし、持ち上げられて再び認識する屋上の高さ。 いかに頭の悪い生き物でも、ハイリスク・ノーリターンである事はおぼろげに解る。 本気涙で嫌々をする二匹だが、屋上のふちに立たせるとニッコリ笑って諸手突き。 「では、よいしょっと! 逝ってらっしゃ〜いw」 「デエエアアアア!! 高いデスーーーーッッ!!」 ブバババ!! 「マラが! マラが千切れるデズウウウウ!!!」 ブリブリー!! 高い、高い、やはり高すぎる。 二匹の耳元を、ひゅうひゅうと風の音が流れ行く。 しかしウレタンボディと表現される実装石だけあって、その体重とシートの空気抵抗が妙にいい具合 で釣り合っているではないか。 無論、人間ならば死は免れないだろうが、或いは実装石ならば偽石の状態次第で生存も可能だろう。 意外な展開をカメラが追う中、すぐに異変が起きる。 「手が、手が滑るデス!」 ブリブリッ! 「マラが・・・ マラが痛いデスゥゥ!!」 ブリブリブリー! 恐怖と痛みに耐え切れず、パンコンし放題の2匹の下着がパンパンに膨らみ垂れ下がる。 いわゆる「体積以上の糞をたれるデタラメ生物」を、今際の際で実演中という訳だ。 ついには下着を自分の頭程にもパンコンさせるが、それでもまだ脱糞は止まらない。 「デエ!? 何故か体が重くなっていくデスゥゥ!」 ブリリリー!! 「コッチも重くなったデスー!!」 ブバババー!! 「手がっ・・・ すべ・・・ デエエエエェェェァァァァァァ・・・・」 「マラがっ! ち、千切れ・・・ ブヂィッ! デッギャアアアアァァァァァァ・・・・」 ド・・ドベシャーー!! 汚らしい音と共に地面に咲く二つの血花。 赤と緑の絵の具をぶちまけたかのような跡を残し、糞だか肉だか解らない有様だ。 しかし千切れて残されたマラが、ふわりふわりとシートに揺られて飛んでいる光景が笑いを誘う。 「え〜と・・・ 残念ながら2匹ともリタイヤの様ですw だあはははははははっwww」 妊娠実装 × 敗者復活戦で墜落死。 マラ裸 × 上記に同じ。 ===== 5 ===== ノーマル・・・・○ 体も服も小奇麗なトコロを見ると比較的賢い個体? 妊娠実装・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 マラ裸・・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 コンビニ袋・・・○ 実装石の王道・禿裸実装。コンビニ袋を服代わりにしている。 仔実装姉妹・・・○ 2匹一組で参加の仔実装姉妹。糞蟲。 グリン・・・・・○ 虐待派にヲチ動画をネット配信される程の暴虐糞蟲。元セレブ飼い実装。 「続きまして第2ステージはこちら! みのり市みのり海岸の砂丘で〜す!!」 「今回の出題は、ここ砂丘の上から下の砂浜にボールを3つ投げます。そのボールを拾って帰ってき て、この早押しボタンを押した方が解答権を得られます。答えを間違えた場合はボールを再度下に 投げます。2名正解で締め切りとなりますので、皆さん慌ててボールを拾ってきて下さいw」 「デェ〜!? こんな坂道を上って帰ってくるデス?」 「「こんなカケッコやってられないテチィ!」」 さっそく参加者の実装石共から反発の声が上がる。 グリンに至っては解説そっちのけで、海を眺めて「デピャァ♪」とご満悦だ。 「リタイヤされる方は自動的に禿裸処理の上、首輪だけつけて中央公園にリリースとなりますw」 「デエ〜!? そんな事になったら即死デスゥ・・・」 「では糞蟲の皆さん、四の五の言わずに取って来いデスゥwww そーれっ!!」 「「テチャチャーー!?」」 「デエエ!? あんなに遠くデスウ!?」 「は、走るデス! 早い者勝ちデス! デッス! デッス!」 投げられたボールの距離に目を見張る仔実装姉妹とノーマル。 コンビニ袋は生活力逞しい風体そのままに、愚痴を言う間もなく走り出す。 「デプププw 醜くたるんだ糞蟲には丁度いい労働デスwww」 キング・オブ・糞蟲様は内容を理解していないのか、全くもって余裕のよっちゃんだ。 そして3個のボールを追いかける各々に、早くも運命の分かれ道が訪れる。 「テッチ!テッチ! あれテチ、あの近くのボールには誰も気付いて無いテチ、あれを狙うテチ!」 「デエエ〜! まだ半分も来てないデス! でもワタシが一番先頭デス、デプププ」 「デエ・・・ まだまだ遠いデスゥ しかもこんな急な坂・・・ デッ!? デエエエェェェ!!」 一番遠くのボールを目指していたコンビニ袋は、勢いあまって転倒し、砂丘を転がり落ちて行く。 短足短手で二頭身の出っ腹体型の実装石では、まるで達磨を転がす様なもの。 止まるどころか糞を振り撒き、悲鳴と共にますます加速する。 それを見ていたグリンは、これまた四肢をばたつかせて笑い転げている。 「デエ〜ピャッピャッピャァ!! まさに禿裸に相応しい走り方デスwww」 「・・・・あの〜、グリンちゃん、あなたはボールを取りに走らなくていいんですか?」 「デププw 馬鹿なニンゲンは救い様が無いデス、労働は奴隷がするものデス。高貴なワタシには関 係無いデスw」 「・・・・・あ〜、そうですか・・・」 「死ねばいいのダワ・・・」 あまりの勘違い振りに呆れて物も言えない山岡氏。 ゲストの萌もグリンを睨み付けて捨て台詞を吐く始末。 撮影係のバロンは、いつアキラが暴れだすかと、それこそ気が気で無い。 只ならぬ気配にアキラを振り返ると、まだ特殊警棒は抜いてないものの、射る様な視線をグリンに向 け、殺気を帯びて無言で佇むその姿は「死」その物だ。 しかし空気を全く読めていない当のグリンは、とうとう解答席から離れて砂山を作り遊びだす・・・ 「さて、実況中継に戻ります。現在は・・・ だあはははw 砂丘を転がり落ちていったコンビニ袋 ですが、その甲斐あって一番早くボールに到着!! しかし怪我の再生を待たないと動けない模様 ですwww」 「し、死ぬかと思ったデス・・・ でも、もう少しでなんとか立てそうデス 頑張って飼い実装にな るデスゥゥゥ・・・」 「こ、この調子ならワタシが一番で、禿裸は二番デスゥ。 余裕で合格デスウ♪」 派手に転がった割には砂地のクッションで大した怪我はしなかったようだが、やはりボールを入手し てからの折り返しはノーマルが早そうだ。 「テエ〜 やっとボールにたどり着いたテチィ。でもここがゴールに一番近いテチィ チププw」 「テチチ? このボール重いテチ! おねーちゃ手伝うテチィ!」 ノーマルがボールを手に取り引き返す頃、仔実装姉妹もようやくお目当てのボールにたどり着く。 他の参加者に気付かれずに、一番近いボールを狙う事によって仔実装の歩みの遅さをカバーできたの は幸運といえるだろう。 だが、近いには近いなりの訳があった。 他の参加者が手にしたのは蛍光色のテニスボール、仔実装姉妹が手にしたのはゴムで出来た軟式野球 の重いボールだったのだ。 仔実装2匹ではちょっと荷が重いかもしれない。 ・ ・ ・ 「テヂィィィ〜・・・ おねーちゃ、ボール重くて動かないテチィ〜・・・・」 「テ!? テェ〜!! みんなあんなに上にいるテチ! ワタチたち一番最後テチ!」 「テチャア! それじゃ飼い実装になれないテチ! おねーちゃ、もっと頑張るテチ!」 「なに言ってるテチか!? 妹の分際で姉に命令するなテチ!」 「テチャー! かわいいワタチの言う・・・」 バサバサバサーーー!! 仔実装妹の言葉を遮り、大きな黒い影が覆いかぶさる。 「テヂイイッ!! お尻・・・お尻痛いテチィ! 何か刺さってるテチィー!!」 ブリブリブリー! 「妹ちゃん、クロバサテチ! クロバサよりも大きなバサバサテチ!!」 クロバサよりも大きなバサバサ・・・ 実装石が言うところのクロバサとは「烏」を意味するもので、 それよりも大きなバサバサとは「鳶」を意味する。 浜辺ではうっかりすると人間の食べ物でもかっさらって行く鳶、仔実装如きがうろついていれば捕食 されるのも当然だろう。 逆に、今まで何事も無かったのは、ただの幸運にすぎなかったのだから。 「い、妹ちゃーーん! ボールだけは離しちゃダメテチよーーーっ!! ボールさえあれば・・・」 「この糞蟲ぃ、ワタチの心配しろテヂィ!! ヂィィィ! 痛いテチ! 食われるテチィ!!」 ブリ・・・ブチュブチュ〜! ズ・・・ ズル・・・ ズルリ・・・ その時、仔実装妹の尻を掴んでいた鳶の爪が滑り抜けてしまう。 軟式ボールと仔実装の重み、更に加えて緑糞たっぷりの尻が再び呼び込んだ幸運だ。 「テ? 外れたテチ??? ・・・・って、落ぢでる゛デヂイィィ ィ ィ ・・・・・・」 「おお〜と、これは予想外! 仔実装妹ちゃんがトンビに捕獲された挙句、こちら解答席に向かって 落ちてきました!」 テ ェ ェ ェ ェ ェェエエーーーヂュベエッ!!! ピンポーン! 二転三転する仔実装姉妹の運・不運。 鳶からの偶然の脱出、続いて墜落死の恐怖、そして落下地点は奇しくも解答席の早押しボタン。 ただし、最後に出た目は不運のようだ、早押しボタンのクッションには救われたものの、もはや瀕死 の大怪我で解答など出来る状態ではない。 山岡氏は汚い物でも触るかの様に(確かに汚いのだが)、ボタンに貼り付いた仔実装妹を、後ろ髪を 摘まんで引き剥がす。 「妹ちゃんお見事! 解答ボタンにホールインワンですww で、問題いいですか?」 「・・・・・・・テ・・・・・・・・・・・」 「生きてますねwww では第1問目です! 実装石が生まれた時に身に着けている物で、白い物は 前掛けと、後一つ何でしょう?」 「・・・・・・・・・・・・・・・ェ・・・」 「どうやら解答は無理の様でねw では、ボールは再び下に投げる事に・・・」 (・・・テチ ・・・ツテチ・・・・) 「ん?」 「パンツ・・・ パンツテチ ! ・・・」 小さな声の正体は仔実装姉だった。 仔実装にしてみれば、まだ解答席へ道のりはそれなりの距離だが、人間にしてみれば数秒の距離。 山岡氏はついつい甘い裁定で解答権を与えてしまう。 「おや、お姉ちゃんですね。ちょっと離れた場所からですが合格としましょう。パンツ、正解です! ピポピポーン! 」 「さあさあ、あと1名で合格者締め切りです! っと、ノーマル実装さんのご到着です。」 「デェ〜〜 着いたデスゥ〜〜 ハァハァ 仔蟲に先を越されたデス。でも2番目で合格デスゥ!」 「では、早押しボタンをどうぞ〜」 「デッ!? ッ〜エ゛エ゛〜〜〜ッ!!!」 バタリ・・・ 息を切らせて嬉しそうに解答席に走ってきたノーマルを出迎えた物は、グリンが手にしているデスゥ タンガン(実装石用のスタンガン)だった。 声にならない絶叫を上げて痙攣したノーマルは、地面に突っ伏しピクリとも動かない。 「デププププw 帰ってくるのが遅いデス 奴隷の分際で高貴なワタシを待たせるとは、とんでもな いクズデス!」 「グッ グリンッ!? そ、そのデスゥタンガンは・・・ ポシェットに入ってたのか!?」 「デププw セレブ飼い実装のワタシなら持っていて当然デス。当然ボールもワタシの物デスww」 「待つのダワ! 納得いかないのダワー!! 卑怯ナノダワー!!」 あまりの無法ぶりに、とうとう萌が異議を唱える。 山岡氏も予想外の展開に戸惑いを隠せないのだが・・・ 「確かに驚くべき暴挙ですが、私物の使用は想定外だったので、ルール違反としては定めて・・・」 「・・・・・・次やったら問答無用で引き裂くのダワ!!」 「う〜ん! 今後は一切、こちらが提示した品物以外の使用は禁止です、いいですね?」 「デエ〜スデス! いいから進めるデス! 奴隷がまた一匹ワタシに奉仕しただけデスw」 「ぬ・・・ぐぅぅ・・・ では第2問目です・・・・」 「・・・・・死ねばいいのダワ・・・」 カメラには憎々しげに言い放つ萌が写っているが、カメラのフレームの外ではバロンに右手と口元を 抑えられたアキラがジタバタと暴れている。 この分では、グリンの寿命はそう長くはなさそうだ。 ともあれ、アキラの無言の抗議を横目に山岡氏の出題が続けられる。 「実装石が生まれた時に身に着けている物で、白い物はパンツと、後一つ何でしょうか?」 「デププw そんな事も知らないデス? 身に着けている白い物はパンツと前掛けデス。教えてやる からありがたく思うデスw」 「前掛け、正解です・・・ ピポピポーン!」 「デッスゥ〜〜ンw ワタシが正解するのは当然デス〜 デプププ〜ンw」 「ぐぐぐ・・・ 第2ステージは単純に体力勝負にしようと思って、問題を簡単にしてしまった事が 残念でなりません。願わくば第3ステージで派手に散らしたいトコロです・・・」 「・・・あ、そうそう、これで正解者2名で締め切りです。後の方は残念ながら失格で〜す。」 そこへ、ぜいぜいと息を切らしたコンビニ袋が倒れこむようにゴールする。 「デエエッ!! そんなの無いデス! あんまりデスーーッ!!」 「はいはい、そこでまたもや敗者復活戦です。 が・・・ ノーマル実装さん?」 萌がチョコンと可愛らしく座り込み、ノーマルの顔を覗き込むが・・・ 「ピクリとも動かないのダワ。 目が白く濁っているのダワ。」 「・・・ですね、どうやらデスゥタンガンの電撃が偽石近かった為に割れてしまったようです。と言 う事で、敗者復活戦は不戦勝でコンビニ袋実装さんの勝ちとなります!」 「デ!? 勝ちデス!? 本当にデス!? やはり正しい者が勝つのデス! ワタシは選ばれた存在 なのデスw デプププw」 「まだ、まだですよ。飼い実装はまだです。次の第3ステージもありますからね。では撮影係さん、 ノーマル実装はその辺にテケトーに埋めて次行きますよ〜!」 ノーマル × ボール争奪戦で感電死。 ===== 6 ===== ノーマル・・・・× 第2ステージ本戦で感電死。 妊娠実装・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 マラ裸・・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 コンビニ袋・・・○ 実装石の王道・禿裸実装。コンビニ袋を服代わりにしている。 仔実装姉妹・・・○ 2匹一組で参加の仔実装姉妹。糞蟲。 グリン・・・・・○ 虐待派にヲチ動画をネット配信される程の暴虐糞蟲。元セレブ飼い実装。 「海と言えばー! 山ー! 第3ステージはこちら、みのり市スキー場に来ています!」 「テェ・・・ チャァァァァ・・・」 「こ・・・ こんなの落ちたら死んじゃうテチィィ・・・・」 「スキー場のオーナ様のご好意により、解答席はご覧の様にスキーリフトに取り付けた3席の特別席 が解答席となっておりますw」 仔実装姉妹が言う通り、リフトはすでに地上を離れ結構な高さになっている。 企画参加の為に応急的な治療を受けた仔実装妹は、まだ満足に走り回る事が出来ないので着座での進 行は有利な展開なのだが、さすがにこの高さは恐怖でしかない。 「このクソニンゲーン!! とっとと下に下ろすデスーッ!! デジャーーッ!!!」 激しく喚くグリン、そしてコンビニ袋もさすがに泣きが入る。 「このままでは飼い実装になる前に死んでしまうデスゥ!」 「はいはい、参加者の皆さんシャラップでございますよw 問題は解答ボタンの早押しにより、3問 正解の方を合格とします。更に、ボタンを押せなかった場合、押しても間違った場合は座っている 椅子の温度が20度づつ上昇するので、死に物狂いでガムバッテ下さいw」 「デンギャー!! ワタシの話を・・・ 「では! 第1問目ですwww」 グリンの猛烈な抗議のだみ声を遮り、山岡氏の出題が始まる。 後ろの解答席を振り向く格好で山岡氏がクイズを進め、山岡氏の隣にバロンと萌が座って撮影を行う。 そしてアキラは〜 というと、頂上のリフト降り場で待機し、例によって「実装石は糞蟲だ・・・」 を繰り返しているところだ。 「あなた達、実装石は、飼われている者は『飼い実装』、公園などの野良は『野良実装』と呼ばれま すが、山に生息している実装石は何と呼ばれているでしょうか?」 「この下等生物! ワタシの話を・・・ ピンポーン! 「はい、コンビニ実装さん」 「聞いた事があるデス。 山に住むのは山実装です、生活は大変らしいデスゥ」 「山実装、はい正解! ピポピポーン! よく解りましたねぇ、おめでとうございますw」 「デ? お尻が温かくなってきて気持ちいいデス・・・ ッデ、こんな危険な場所から早く下ろせと 言っているワタシの話を・・・ グリンと仔実装姉妹の座席が、人肌程度の心地良さにじんわりと温まってくる。 もう少しで心地良さに馴染みそうになりながらも、しつこく逆らうグリンを遮り第2問目。 「第2問目ですw 冬は寒いですが、公園などにくらべて山はもっと寒くなります。寒くなると空か ら白い物が降ってきて地面に積もり始めます。冬に空から降ってくる白い物とは何でしょうか?」 「テェ?」 「冬ってなにテチィ?」 「デンギャーーッッス!! ワタシの話を!・・・ ピンポーン! 「はい、コンビニ実装さん」 コンビニ袋 「雪デス、寒くなると空から落ちてくる冷たくて綺麗なのは雪デスゥ」 「雪、はい正解! ピポピポーン! コンビニ実装さん物知りですね?」 「伊達に『カバン』(コンビニ袋)を着てないデス。冬は一度乗り切ったデス、地獄デス。だからな おさら飼い実装になりたいんデス・・・」 「デププw 醜い禿裸が飼い実装・・・ デッ!? デアッ! お尻が熱いデス!?」 「へへへへw 現在2問終わって、椅子の温度は約60度になっています。お風呂なら火傷してます ねw」 「テチッテチテチー! 問題に答えないと焼け死ぬテチィ!」 「第3問目です。冬になる前の季節は『秋』と言います、冬になると雪が積もりますから、実装石の 皆さんは秋に一体何をすべきでしょうか?」 ピポーン! 「このボンクラ! ワタシの話を聞けデス! お尻がやけに熱いデス! とっとと下におろせと命令 してるデス!」 「え〜とグリンさん、早押しボタン押しましたけど問題には答えないのですか? それと皆さんの腰 のベルトは解答席からの落下防止ですから、人間の手じゃないと外れないですよ?」 「デジャーッ!! ワタシの話を・・・ 「無視するのダワ」 ワタシの話を遮って、萌が山岡氏に注文をつける。 「ゲストの萌ちゃん、グリンさんは答える意思がないから解答権を却下すると言う事ですか?」 「答えないのじゃないのダワ。どうせ解らないから答えられないのダワ〜☆」 「デッ!? 解らない訳無いデッス! 高貴で賢いワタシに解らない事は無いデス!!」 「では、解答をどうぞw 実装石の皆さんは秋に何をするべきでしょうか?」 「デ・・・デェェェ・・・ 秋デスゥ?・・・」 「「わかりもしないのにボタン押すなテチィ!」」 「わっ 解るデス! 秋はっ 秋は・・・ 食欲の秋デス! ゴージャスな食事を食べまくって食べ まくるデス!」 「んん〜・・・ 外れと言う訳では無いですが・・・ 食べきれない分はどうします?」 「決まっているデス、全部自分の物デス。美味しい物は当然全て高貴なワタシの物にするデスww」 「え〜と、食べ物は全部自分の物として集める〜 と言う事ですね? ピポピポーン! 正解です」 「デッス〜〜ン! 優れた飼い実装であるワタシなら正解して当然デプププゥw」 「模範的な解答としては、冬の食糧難に備えて食用を備蓄する、です」 グリンが初解答に成功し、座席の温度上昇に成功したものの、仔実装姉妹は堪ったものではない。 「あっ、熱い・・・熱いテチ!! 逃げっ・・・」 「腰のベルトが外れないテチイイイイ!!」 ブリブリブリー! 「はい、一部座席が摂氏80度になっております、十分暖まって下さいww」 「第4問目です。秋は冬に備えて食糧を集めます。では、山の秋の味覚をどれでも3つ挙げて下さい」 「3つテチィィ!?」 「テチャァ! おねーちゃ! いいからボタン押すテチィ!!」 ピンポーン! 「はい、コンビニ実装さん」 「山の食べ物はよく知らないデス・・・ だけど町の中とそんなに変わらないと思うデス。キノコと クリと・・・・・ カキ・・・デスゥ?」 「茸、栗、柿、せぇーかいっ! ピポピポーン! まさかここまで解るとは! さすがひと冬越した 経験の持ち主ですね! コンビニ実装さん3問正解で〜す!」 「デギャーー!! 熱いデスーー!!!」 ブリブババーー!! 「このバカ姉! 早く押さない・・・ ヂヂヂイ゛イ゛ーーッ!!」 ブリョリョ〜! 「誰がバカ・・・あづいテヂイ゛イ゛イ゛ーーッ!!」 ブリブリブリー! クイズが頃良く終了し、一行が頂上のリフト降り場に到着する。 尻から湯気を出してデスデス・ヂイヂイ暴れるグリンと仔実装は、経過を知らぬまま出迎えたアキラ に不思議な顔をされながら助け出され、地面にへたり込むとやっと一息つく。 「はい、と言う事で、コンビニ実装さんが合格です! そして80度と100度の座席で程よく暖ま った二組の方達には敗者復活戦が待っておりますw」 「納得いかないデス! セレブなワタシには勝ち進む権利があるデス!」 「それなら勝てばいいのダワ」 「デースーッ! ぶっ殺してやるデス! この赤いの!!」 「ところで・・・」 「・・・・テ・・・チィ・・・」 「仔実装姉妹のお二方、程よく両足に火が通った状態ですが、敗者復活戦逝けますか?」 「痛いテチ・・・ なんだか足が動かないテチ・・・」 「そうでしょうねぇw 『程よく焼けた足の形をした肉』が体にぶら下がっているだけって状態です からねwww」 ブチィ! モシャモシャ ブツン! モグモグ 「ヂイ゛イ゛ーーッッ!!」 「イタイテヂィィィ!!」 「ああっ!!」 予想だにしない行動に皆があっけにとられる中、なんとグリンが仔実装姉妹を手に取ると、その両足 に喰らい付いたではないか。 「ただの焼けた肉なら足じゃないデス ワタシが処理してやるからありがたく思うデスゥw」 ビッシーン! とうとう堪忍袋の緒が切れた萌が後ろ髪のツインテールを奔らせる。 「デギャ! 手がっ 手が裂けたデス! デギャーー!!」 「反則ナノダワ! 競争相手を食べてはいけないのダワ!」 「競争相手は食べてないデス! 『足の形をした肉』デス。ニンゲンが言ったデス! デププーw」 「ワタチの足が・・・・無くなったテヂィーーイ゛イ゛!!」 「!!!・・・・ こんのォ・・・」 「放してあげるデス」 「え!?」 「ダワ?」 グリンの揚げ足取りの屁理屈に青筋を立てる山岡氏だが、思いもかけぬ言葉に虚を突かれる。 と同時に、二撃目を放とうとしていた萌も、ハッっとして声の主を振り返ると、そこに立っているの は意外な事にコンビニ袋だった。 「その仔達を放してあげるデス」 「え? な・・・ どういう事ですかコンビニ実装さん?」 「その仔達はもう敗者復活戦はできないデス。負けだから飼い実装にはなれないデス。だからここで 自由にしてあげるのがイイデス」 「・・・・・・・・」 「食べられて無くなった足も、時間が経てば元にもどるはずデスゥ・・・ グリンさん、お金持ちの 飼い実装ならそのポシェットに何か薬は入ってないデス?」 「デエ!? ワタシがこんな糞虫ごときにやるものは何一つ無いデッス!」 「その仔達の肉を貰ったのなら、何か返さないとデスゥ。セレブな飼い実装ならそんな事しないデス」 「デェ?・・・・ ワ、ワタシは特別セレブな存在デッス! 惨めな糞虫に薬くらいくれてやっても いいデッス〜ンw」 グリンがポシェットから小ぶりな瓶を取り出すと、ふんぞり返って山岡氏に差し出す。 それは実装石の手でも開けられるように工夫された、偽石活性剤と栄養素を配合した実装石用の救急 治療薬だった。 「・・・・ローゼン社の救急ドリンクじゃないか。お二人さん、2時間もすれば歩けますよ」 「禿裸のくせに見直したのダワ・・・」 「「・・・テェ・・・・」」 ・ ・ ・ 「それでは、敗者復活戦はグリンさんの不戦勝と言う事で、最終ステージはコンビニ実装さんとグリ ンさんの一騎打ちとなりま〜す!」 「デププw 当然、優秀なワタシの圧勝デス 勝者の余裕で『双葉堂のミルクプリン』でも食ってや るデスwww」 「次で死ねばいいのダワ・・・」 「そして仔実装姉妹さんは、クイズ戦脱落と言う事で、スキー場に放逐となります」 「このクソニンゲン! お家へつれて帰れテチィ!」 「足が治ったらお前ら全員半殺しテチィ!!」 「はっはっは! 夢の飼い実装を賭けた戦いで、『終わりました、ハイ帰りましょう』ってのは虫が 良すぎるでしょw 私は登山が趣味だから、今度時間があったら様子見に来ますよ。頑張って山実 装にでもなってて下さいね〜www」 「「テチャアアアアーーーッ!!!」」 仔実装姉妹 × 本戦終了後に両足欠損でリタイア。 ===== 7 ===== ノーマル・・・・× 第2ステージ本戦で感電死。 妊娠実装・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 マラ裸・・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 コンビニ袋・・・○ 実装石の王道・禿裸実装。コンビニ袋を服代わりにしている。 仔実装姉妹・・・× 第3ステージ本戦後にリタイア。 グリン・・・・・○ 虐待派にヲチ動画をネット配信される程の暴虐糞蟲。元セレブ飼い実装。 「最終ステージはオフィス街と繁華街に囲まれた、みのり市第二公園でファイナルバトルです!」 みのり市第二公園は約20m四方の小規模な公園だが、それでも噴水・公衆便所・植栽が完備されて いる実装石好みの公園だ。 当然ながら数匹の実装石が群がり、すでにアキラの特殊警棒で四散している。 そして残りの実装石共が物陰から見物する中、ついに最終ステージの収録が始められた。 「とっとと終わらせてゴージャスなセレブ実装として社交界にデビューするデプププw」 「デェ〜 ついに最後まで勝ち残ったデスゥ・・・」 「個人的にはコンビニ袋実装を応援したいのダワ」 「デエエッス!! 糞赤虫にはワタシの素晴らしさがわからないデッス!!」 「はいはいはい、ではルールを説明します。この箱の中に手を突っ込んで写真を一枚取り出します。 その写真にはある品物が写ってますから、この公園もしくは公園の近くに探しに出かけて下さい。 品物を手に入れて戻って来たら、その品物の名前を解答して下さい。品物の名前が解らなければ、 帰ってくる途中で調べるなり人間に聞くなりしてもOKです。」 「デププw テレビで見た事あるデス。これは借り物競争デス。もうワタシが勝ったも同然デスw」 「そうですね、そんなトコロです。写真は何種類もありますから、探し易い物も難しい物もあります。 要は運ですね」 「日頃の行いが影響するのダワw」 「デエープププw それなら、もはや勝負をする意味が無いデププププ〜www」 「死ねばいいのダワ・・・」 「それではお二方、写真を選んで下さい」 ・ ・ ・ 「コンビニ実装さん、ほお・・・(帽子。あらら、これは難しそう)。グリンさん、ん〜(傘か。下 手したら公園のゴミ箱にあるかも・・・)」 「デェ・・・ これはニンゲンの子供が頭に乗せているのをよく見るデス・・・」 「デプププwww 傘デスw セレブ飼い実装のワタシはなんでも知ってるデスwww」 「(あちゃ〜、勝負はもう半分決まったかな?) え〜と、まずは写真に写っている品物を探し出し て持ってきて下さいね。お二方にはそれぞれ私と萌ちゃんが別れて着いて行きますから、くれぐれ も他の人間の迷惑になるような事は止めてくださいね、実力で阻止しますから」 「じゃあ、ワタシはコンビニ袋実装について行くのダワ」 ここで打ち合わせ通りに、グリンには進行役の山岡氏と撮影係のバロンが、コンビニ袋には進行役と して萌と撮影係のアキラが同伴する。 当然ながらこの配役は、グリンとアキラを同伴させた場合の「不慮の事故」を防ぐ為のものだ。 「では、スタート!」 まずは山岡氏とバロンが同伴するグリンチーム。 「デププw さっそくニンゲンを探して傘を献上させるデスw 街中の奴隷ニンゲンども、光栄に思 うデスw」 「(開始5分で撲殺かな?w) そろそろ人間は仕事が終わって帰る時間ですから、オフィス街でも 繁華街でも人気は多いですよ」 「あのビルがイッパイある所に行くデス スーツにネクタイの男どもをひれ伏させるデスw」 もう一方、萌とアキラが同伴するコンビニ袋チーム。 「デェ〜 ニンゲンの子供はどこに行けばいるデスゥ?」 「ダワ〜・・・ 多分あっちは大人が仕事をする場所だから、こっち(繁華街)ナノダワ」 「じゃあこっちに行くデス ニンゲンの子供怖いデス・・・」 ・ ・ ・ こうして、グリンは傘を献上させる為にオフィス街へ、コンビニ袋は帽子を求めて繁華街へ向かった。 ・・・が、さっそくキング・オブ・糞蟲様がトラブルを起こす。 デエス デスデスデス デスス・・・ (おい、お前。そこのニンゲン。この高貴な・・・) サラリーマンA: 「うわ、なんだ実装石か。 ドカッ! あっち行け、シッシッ!」 デギャッ!? デエスデッス!!! ファーストアタックのこの様に、山岡氏は通行人を装って声を殺してゲハゲハとと笑う。 デース デスデス・・・ (お前にするデス ワタシの・・・) サラリーマンB: 「げ、触んな! ドゲシ!」 デベェ!? デギャースッ!! デエエースデスッ! デデー・・・ (どいつも馬鹿ばかりデスッ! そこのドレイ・・・) サラリーマンC: 「グシャア!! キモいんだよ、実装。近寄るなつーの」 離れた所から撮影しているカメラも、心なしかフレームが揺れる。 バロンまでもが声を殺して腹をよじっているからだ。 本来なら飼い実装の身形をした実装石が暴行を受けるはずは無いのだが、グリンが放つ糞蟲オーラに 思わず「制裁」を下してしまう。 これでもまだ、飼い実装の身形のおかげで手加減はされているのだが・・・ ・ ・ ・ 一方のコンビニ袋は繁華街に辿り着くと、そこで大勢の下校中の小学生に出くわす。 だがしかし、その子供たちの小学校は、帽子を必要としない制服の小学校だったのだ。 「デェ〜 ニンゲンの子供はイッパイいるデス。でもみんな似たような格好をして、頭に何も乗せて ないデスゥ」 「あれは『学校』という所から帰ってきた子供たちナノダワ。みんな同じ格好で学校に行くのダワ」 「もう公園からかなり歩いてきたデス。グリンはもう見つけたデスゥ?」 「それはわからないのダワ」 「デェ〜・・・ やっぱりワタシみたいな禿裸に飼い実装は無理だったデス・・・」 「? 最初みたいに元気にやるのダワ」 どうもコンビニ袋の様子がおかしい、スキー場の頃からだ。 萌は不思議に思ってコンビニ袋の顔を覗き込む。 後ろから萌とコンビニ袋を撮影しているアキラも、どうも納得がいかないといった表情だ。 「デェ・・・ 仔実装を共食いするグリンを見て気付いたデス。糞虫では飼い実装になれないデス。 グリンの様なセレブな飼い実装でも、糞虫だと棄てられるデス」 「糞虫を家の中で飼いたいニンゲンはいないのダワ」 「だから、グリンを見て考え方を変えたデス。糞虫にならないよう気をつけるデス。でももう間に合 わないかもしれないデス・・・」 「あきらめては駄目ナノダワ 飼い実装になりたかったのダワ?」 (いわゆる『賢い実装石』ってやつだな。最初は糞虫な性格かと思ったんだが・・・) ボコン! 「デギャッ! 痛いデス! デ!? 石デス、あのニンゲンの子供が石を投げたデス?」 アキラが考え事をしていると、下校中の小学生3人組がいきなり石を投げてくる。 ただの気まぐれで石を投げたのでは無く、3人のうち2人はコンビニ袋を着た実装石に興味深々の様 で、このままでは無事に通らせてもらえそうに無い。 小学生a: 「ダッセーw この実装石、禿裸で袋かぶってるぜー!」 小学生b: 「あ・・・ こいつお兄さんの飼ってる実装石?」 多少なりとも分別のある子供なのだろう、3人組の一人が側に立っていたアキラを見て、飼い実装で 無い事を確かめてきた。 しかしアキラが無言で首を横に振ると、残りの2人は一気にヒートアップし投石が始まる。 小学生c: 「じゃあやっちまおうぜいw 街をキレイに、お掃除ボランティア〜〜www」 ゴツ! ベチ! ビチ! ゴン! デ!? デギャ・・・デデッ!! ダワ!? ナノダワー! (ちょ!? 待つのダワー!) 小学生a: 「なんだこの赤いの?」 小学生b: 「実装紅っていうんだよ。なに言ってるか解んないけど」 小学生c: 「まとめてお掃除で〜〜すwwww」 デ!? デデェェーーーーー・・・・・ 「あ、どこに行くのダワ!? 一人じゃ危ないのダワ!」 「ついて来てはダメデス! ワタシと一緒にいるといじめられるデスゥ!」 なんと糞蟲と呼ばれる実装石が、同伴者の萌に災難が及ばない様にアキラと萌の側を離れて走り出す ではないか。 この献身的な出来事には、さすがにアキラも困惑の色を隠せない。 小学生c: 「あ! 逃げたぞ! 砲撃開始ーwww」 シャッ!! 小学生c: 「うわっ!! 危なっ!! なんだよ赤いの、今のムチみたいなのお前か?」 小学生a: 「なんまいき〜〜!」 小学生b: 「え?なに、お兄さん? それリンガル? 見ろ?」 コンビニ袋に追撃の投石を続ける小学生に、萌のツインテールが振りかざされる。 いきなりの反撃に怯む小学生に、アキラが無言でリンガルを突き出す。 これを読めと言うのだ。 < これ以上やるのならワタシが相手するのダワ > 小学生がリンガルを見終えた頃合を計って、再びツインテールの威嚇が始まる。 小学生a: 「わ!? わわわ!! ちょと・・・ 危な・・・ わあ!!」 小学生b: 「じっ 実装紅って、髪をムチみたいに使って結構危ないんだよ。言い忘れてたけど・・・」 小学生c: 「ちょっ そんなにムキになるなよな。ちぇっ! 行こうぜ〜・・・」 侮っていた紅い小人の思わぬ反撃に、小学生3人組はそそくさと退散する。 しかし、さすがに繁華街だけあって、足が遅いはずの実装石のコンビニ袋はどこかに紛れ込んでしま い、姿が見えなくなってしまう。 きょろきょろと見回す萌にアキラが話しかける。 「居なくなったな・・・・リタイアかな?」 「・・・・ただの糞虫ならそれでもイイのダワ。でも彼女は違うのダワ」 「禿裸のくせにコンビニ袋を服代わりにして生き残っていたから、ただの馬鹿じゃないとは思ってい たけど、結構ましな部類だったんだな。それもグリンの酷過ぎる糞虫ぶりが反面教師になって改心 するとはな・・・」 「とりあえず、彼女を探すのダワ」 ・ ・ ・ 再び視点をオフィス街に戻してみよう。 グリンは今現在も傘を入手できずに悪戦苦闘を繰り返している。 「デ ェ・・・ デェ・・・・ あのクソニンゲンども・・・ 目が腐っているデス? このワタシ を見て偉大さに気付かないとはとんだ低脳ぶりデス・・・ デエ・・・・」 「お、グリンさん あそこに傘を持ったオジサンが」 「デ? デプププw ようやくマトモな奴隷ニンゲンが現れたデスw ワタシも勘違いしていたデス。 奴隷には奴隷に相応しい扱い方があるデス。今まで間違っていたデスゥw」 サラリーマンZ: 「・・・ん、実装石? ちょっ・・・ うわわっ!!!」 ベチョ・・・ サラリーマンZ: 「き・・・ 貴様、今糞を投げただろ? いきなりなんて事をするんだ、ズボンにひかかるトコだっ たじゃないか!?」 キング・オブ・糞蟲様は、難航する傘の入手に遂に暴君スキルを発動させる。 初対面の赤の他人にいきなり投糞とは、まさに小規模テロだ。 そして、この後の惨事を期待して、同伴者の山岡氏はニヤつく表情を抑えきれない。 デエプププププw デエスデースデスw サラリーマンZ: 「何笑って・・・ ちょ、また手に? 止めろ・・・」 ベチャッ サラリーマンZ: 「・・・・・・・止めろと言ってるのが・・・ ? ちょっと、そこのカメラを持った背の高い君、 そう君と、もう一人の君。もしかしてコレは君達が飼ってるのか?」 「いやいや、違いますよ。たまたま実装石が街中にいたので撮っていたんです」 バロンも慌てて首を横に振る。 サラリーマンZ: 「そうか・・・」 デ〜スデスw デススー! デ・・・? いきなりの無法を働いたグリンだが、山岡氏とバロンは無関係だと告げると、サラリーマンは一言そ うかと呟いてグリンへゆっくりと振り返る。 糞蟲全開でデスデス喚き散らしていたグリンだが、ゆらりと変質した空気に気付きサラリーマンの顔 を見上げる・・・ サラリーマンZ: 「肩からポシェット提げてるから飼い実装かと思ったが、いきなり糞を投げてくる野良なら遠慮はい らないな!!」 デ!? デエエーーーー!!! 般若の面で勢い良く傘を振り上げるサラリーマン。 キング・オブ・糞蟲様の運命や如何に。 ===== 8 ===== ノーマル・・・・× 第2ステージ本戦で感電死。 妊娠実装・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 マラ裸・・・・・× 第1ステージの敗者復活戦で墜落死。 コンビニ袋・・・○ 実装石の王道・禿裸実装。コンビニ袋を服代わりにしている。 仔実装姉妹・・・× 第3ステージ本戦後にリタイア。 グリン・・・・・○ 虐待派にヲチ動画をネット配信される程の暴虐糞蟲。元セレブ飼い実装。 「ったく、なんだよこの実装石は?」 ドゲ! デッ!! デ・・・エ・・・ デスウ・・・ 繁華街の路地裏、料理人の風体をした白衣の中年男性がコンビニ袋を足蹴にする。 ゴミや雑貨の置いてある裏路地に実装石が紛れ込めば、何か悪さをしにきたのだと疑われても当然だ ろう。 「あっち行けって言ってるだろ! こんな路地裏でウロウロしてる実装石なんて、ウチの店の生ゴミ 荒らしに来たに決まってんだ、まったく」 デエス デスデスデス・・・ 「ああ?しつこいな・・・ 何だよ頭の・・・ コレか? この『コック帽』か?」 デス! デスデス! 「なんで実装石が料理人のコック帽なんて欲しがるんだよ? 大体、実装石なんてモンにくれてやる モンなんて何にも無ぇよ! いい加減にしないと叩き殺すぞ!!」 身振り手振りでようやくコンビニ袋の訴えが届いたものの、飲食店関係者にとっては実装石などただ の害獣でしかないのが現実だ。 問答無用で料理人が拳を振り上げたその時・・・ ナノダワー!! 「おお? また変なのが来たよ・・・ なんだよオイ、赤いのと兄ちゃん。何か用かい? コッチは 取込み中なんだよ」 ナノダワナノダワ ダワ! 「あ〜、何言ってるか解らねぇよ。 ・・・・兄ちゃん、この実装石はあんたのペットかい?」 今回も、アキラは無言で首を振る。 「用が無いンなら、あっち行っててくれ。こっちはこの汚いのを潰して片付けるんだ」 ぺたり・・・ 料理人が再びコンビニ袋に向き直り、一撃くれようとしたその時・・・ そこには、短い足で器用に正座し、顔を地面に押し付けて土下座するコンビニ袋の姿があった。 「お? おお!?・・・・」 萌とアキラはこの土下座に絶句したが、一番驚いたのは料理人だろう。 「・・・・・・今の今まで実装石なんて頭の悪い害獣だとばかり思っていたが・・・・ 土下座する 実装石なんて初めて見たぜ・・・」 デスデスデス・・・ 「あ、なんだ兄ちゃん? なんだそれは?」 これまた今回も、アキラが無言でリンガルを突き出す。 < ニンゲンさんには迷惑はかけないデス > < 少しだけ頭の白いのを貸して欲しいデス > < すぐ返すデス お願いデス > < お願いデス > 「お願いデスって・・・・・・・まいったな、いくら動物でも土下座して拝むヤツを殺すと後味悪ぃ よなぁ・・・」 (山さんが最初に言った『くれぐれも他の人間の迷惑になるような事は止めてください』って言葉を 忠実に守っているのか・・・) 「ったく、解ったよ・・・ オーイ! さっきワインソースの中に落としたコック帽があるだろ!? オウ、それだそれだ・・・ おい、実装石、ワインで紫色になっているけどこれでいいか? この 帽子、お前にやるから、もうどこか行ってくれ」 デスッ!? デスデス! デスデス!! 「ところで兄ちゃん、何でビデオなんて構えてるんだい? あ? 変な実装石がいるから後を着いて 来た? はははは! 確かにこの実装石はヘンテコな奴だよな」 ・ ・ ・ コンビニ袋は人の良い料理人からコック帽を貰うと、公園を目指してひた走りに走った。 コンビニの袋をガサガサと揺らし、一生懸命に、走る、走る、走る・・・ 「デッス! デッス! デッス! 走るデス! ガンバルデス! 飼い実装になるデス!」 「ルールだから、ワタシみたいにアキラの肩に乗せるわけにはいかないのダワ。応援しかできないけ どガンバルのダワ!」 「ありがとうデス! 急いで公園にもどるデス! グリンより・・・グリンより早くもどるデス!」 (もうかなり時間が経って夕方だ、さすがにグリンは傘を見つけて戻ってるだろう・・・) ・ ・ ・ カア カア カア カア カア カア ・・・・・・ 「デェ〜 黒いバサバサの鳴き声デス・・・ でも、もう公園の入り口が見えたデス」 「公園に誰かいるのダワ あの大きい影は・・・ ワタシのご主人様ナノダワ!?」 沈み行く夕日を背景に、赤く照らされた影が三つ。 大きな影はバロン、その隣は山岡氏、そしてその間には奇妙な影がポツンと立っている。 幼児の様なその影は、頭に器用に棒を乗せて、フラフラと立っている。 帰ってきたコンビニ袋を山岡氏が出迎える。 「帰ってきましたね、コンビニ袋さん。ご苦労さん。」 「デエ〜 デエ〜 デエ〜 ・・・間に合ったデス? デ? そこにいるのはグリンデス?」 コンビニ袋の指摘の通り、バロンと山岡氏の間に立っているのは実装石のグリン。 しかしその姿は見るも変わり果てていた。 頭には黒い傘を深々と突き立てられ、頭巾と栗色の髪は赤緑色の血にまみれ、派手だった衣装は蹴ら れ殴り倒され土埃を被り・・・ 「!! グリン・・・ ニンゲンにやられたのダワ?」 「・・・ええ、最後に傘を持ったサラリーマンに糞を投げて、怒りを買って頭を突き刺されたんです よ」 「せっかく・・・傘を手に入れても・・・・死んじゃったらおしまいナノダワ・・・」 「そ、それじゃワタシは間に合ったデス!?」 デエッ デエッ デエエエッ デエエエップププププププwwwwwww 突如、一声聞くだけで殺意がこみ上げるような、苛立たしいダミ声の嘲笑が響き渡る。 おろおろと見回し声の主を探すコンビニ袋が見たものは、突き刺さった傘を揺らし嘲り笑うグリンの 姿だった。 「ピンポ〜〜ン デス! 神に選ばれるべきワタシが問題に答えるデププウw」 「デエエ!?」 「いっ 生きてるのダワ!?」 「セレブでゴージャスなこのワタシが死ぬわけないデプププゥwww」 頭を刺されて仮死した事は内緒のようだ。 「お前の希望に満ちた顔を、絶望のどん底に叩き落すために待ってたのデププププゥwww」 傘は自力で抜けなかった事も内緒のようだ。 デエエェ〜〜〜ッププププププププゥゥ〜〜〜wwwwwww コンビニ袋を失意のどん底に突き落とす言葉を吐き終えると、再びあの忌々しいダミ声で嘲り笑うグ リン。 「・・・・と言う訳です、残念ながら」(バロン! アキラを抑えろ!!) 山岡氏は憎々しげに言い放ち、急いでバロンに目配せをする。 しかし山岡氏が合図を送るまでも無く、例によってアキラはバロンの巨躯によって拘束済みだ。 再び繰り広げられる愛の抱擁と無言の抵抗、まさに強姦に近いものがある。 その喜劇を背景に、問題に解答すべく山岡氏を見上げるグリン。 「では問題に答えるデスw 傘デス 写真は傘デスw」 「・・・正解・・・・・です・・・」 デエッ デエッ デエエ〜〜ッピャッピャッピャッピャァwwwwww 再三再度、響き渡るキング・オブ・糞蟲様の不快音。 アキラでなくとも、殺意を堪えるのが大変だろう。 「これで、更にセレブな飼い実装の世界デスッ! 全てはワタシの為にあるのデピャアww」 (殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺すっっ!!) バロンの拘束を振り解かんばかりに憤るアキラを横目に、山岡氏は企画の最後の進行を進める。 「え〜・・・、我が季刊誌『実と虐』では、万物の霊長である人間が、実装石相手に吐いた言葉を実 現できない事は恥であると考えます。約束は約束です。よって、グリンさんには飼い実装待遇を保 障します。」 (!!!!!!!!!!!!!) (あ〜〜ん、もう虐待も愛護もどうでもいいから、糞虫潰してビデオ編集しちゃえばイイのにぃ〜〜) 驚きの表情で目を剥くアキラと、苛立ちを隠せないバロン。 そして予想だにしない「上げ落とし」の展開に打ちのめされるコンビニ袋。 「・・・・・オ オロロ〜〜ン! やっぱり禿裸ではダメデスゥ!? オロロ〜〜〜ン!!」 「激しく納得いかないのダワッ!!・・・」 「それでは、これを持ちまして、季刊誌『実と虐』のDVD企画『飼い実装になりたいか!? みの り市横断ウルトラクイズ!』を終了します」 ・ ・ ・ 「うををををををををををををををををっっっ!!!!!!! こぉんの糞虫ぃ!! ぶっ殺すっ!! バールが擦り切れ塵になるまで殴りつけてやるっ!!!」 収録が終わり口元の押さえが解かれると、ありったけの憎悪を吐き捨てるように喚くアキラ。 しかし当のグリンは「特別な飼い実装」の妄想へ遊泳中で、バロンがアキラを拘束している状態が勘 違いを加速させているらしい。 「バロン、離さないでくれよ・・・ なあアキラ、気持ちは痛い程解るよ。俺はアキラと違って虐待 派だが、実装石に容赦ってもんがある訳じゃ無い。むしろ今も、どうやって切り刻んでやろうか考 えてるくらいだ。しかし、実装石相手に約束一つ守れないようじゃあ『負け』じゃないか? 俺は そんなのは絶対嫌だ!」 「でも、山さん! こんな糞虫に・・・ 「糞虫! だからだ。なおさら意地を曲げたくない。・・・・それにアキラ、こんな糞虫は絶対飼い 主に殺されるって、な? ただで済むはずないだろ?」 「もう難しい事考えないで、保健所にでも『飼い実装あげます〜』ってやっちゃえばぁ?」 虐待にも愛護にも興味の無いバロンは、二人の会話に呆れ顔で水を差す。 だが、バロンの茶々に思う所があったのか、アキラは黙り込んで少し考え込む。 「・・・・・・保健所・・・か・・・ 山さん、俺に考えがあるんだけど」 「飼い実装にして、なおかつ腹の虫が収まるような?」 「ええ、自称特別な飼い実装だって言ってるんだから、『特別』になれる場所が・・・ 依頼通りの 実装石を捕まえて提供する俺のアルバイトで、「博士」と名乗る人物が知能の高い実装石を欲しが ってるんです」 「博士」とは、山岡氏と同じくして実装石捕獲依頼のメールを送ってきた、あの「博士」だ。 バロンの言葉を聞いて、アキラに何か考えが浮かんだようだ。 「それって・・・・どうなるんだ?」 「知能の高い実装石が1匹、知能が高くて糞蟲じゃない実装石が1匹、合計2匹の捕獲を依頼された んです。糞蟲じゃない方はどうなるか解るんですが、知能が高いだけの実装石がどうなるかまでは 秘密らしいので・・・でも・・・きっと・・・・・・」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 季節が替わる頃、夕食後のティータイムを楽しむバロンと実装紅の萌の目に、あるニュースが飛び込 んできた。 ローゼン社がみのり市で研究している実験プラントの様子だ。 水や空気の少ない過酷な環境で、実装石に自給自足で農作物を栽培させて環境改善を試みる実験の様 子らしい。 少し大きくなった仔実装が、テチテチ鳴きながら自分達の糞を薬剤と水でかき混ぜ、肥料として地面 に撒いて土壌改良をしている。 その横で、人間が作った作業服を着た成体の実装石が地面を耕している。 頭に薄紫色のコック帽を乗せた奇妙な成体実装が・・・ ・ ・ ・ 同時刻、ローゼン社・みのり市実装ビルのある一室で、品の良い熟年男性がデスクトップPCのモニ ターを覗き込んでいる。 モニターの右上部には通信相手の『宇宙航空研究開発機構』なるロゴが表示されており、スピーカー から熟年男性に指示を仰ぐ声が流れる。 「先生、アイツまた夜間の航行制御作業をサボってますよ」 「実装石とはそういうものです。多少知恵の回る個体でも、性格は度し難い生き物です」 品の良い熟年男性がモニタに向かって応える。 彼こそが、アキラに「博士」と名乗る人物なのだ。 モニターは、衛星軌道を回っている実験衛星の内部を映しており、薄汚い一匹の成体実装が涎を垂ら して寝転がっている様子が伺える。 これはローゼン社が政府に協力する形で、宇宙航空研究開発機構のプロジェクトである、実装石による 宇宙航行の実験と宇宙空間における身体の変化を、共同研究しているのである。 「先生、例のお仕置き、このところ毎回連続なんですけど、やっていいですか?」 「ええ、実装石の命とも言える偽石は、我社の特殊技術で完璧にコーティング処理済ですから、ほぼ 不死身です。規定の刺激なら全く問題ありませんよ」 博士の許可が下りると、スピーカーからは微かに笑い声とジャンケンをしている様子が聞こえ、しば らくの後に・・・ デギャウガァァッ!!! 衛星に乗せられている実装石が苦鳴と共に跳ね起き、そこへ機械的な音声でデスデスと指示が出され る。 実装石は赤緑の涙を流しながら一通りの作業を終えると、所々ほつれた汚れたポシェットを胸に抱き、 プラスチックの床に座り込み大声で泣き出した。 「しかし単純作業とはいえ、実装石一匹で宇宙空間に投げ出して実験が続くとは思いませんでしたよ」 「性格は悪いですが、もともと出荷前に選別された知能の高い飼い実装を、特別なルートで入手して 機構さんに提供したのです」 「へぇ〜〜」 「デエ〜〜ン 誰もいないデス 他の実装石も 奴隷ニンゲンも 誰もいないデスゥ〜」 「毎日毎日イタイの嫌デス ご飯不味いの嫌デス〜〜」 「外は真っ暗デス 怖いデスゥ 寂しいデスゥ」 「あの青く光る所に行ってみたいデス 誰かいるデスゥ?」 「デエ〜〜ン デエエエ〜〜ン なにもかも嫌デス〜〜ゥゥ! デエエエエンン!!」 「デエエエエ〜〜ンン・・・・・」 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 以前にアップした「飼い実装になりたいか!? 1〜8」の修正版です。 読み辛いとご指摘を頂き、私もなんとかしようと考えていた物です。 とても時間が経ってしまいましたが・・・ 感想・ご指摘などありましたらお願いします。
