※拙作、「託児オムニバス」をご覧になってからお読みになる事をお勧めします。 託児、所謂実装石が人間に仔実装を(一方的に)託す行為である。 この行為は、発生率の増減を除けばどの時節に起きるとかは決まってはいない。 春なら増えすぎた仔を人間に託す。 夏なら水不足で死にかけている仔を人間に託す。 秋なら冬を越せなそうな仔を人間に託す。 冬なら寒さを凌ぐ切っ掛けを作る為に仔を人間に託す。 全ては可愛い(可愛くなくても)仔と何よりも親自身が夢の飼い実装になる為に。 他にも理由は色々あろうが、実装石の『飽くなき依存癖』と『飼い実装への願望』が有る限り『託児』は一年中発生するのだろう。 例え99.99%の確率で託児の結末が仔と親にとって悲惨極まりないものであったり、結果として実装石を嫌う人間や虐待派を増やす切っ掛けになっていたとしても。 それが、実装石なのだからと言えば、しょうがないのである。 実装石とはそういう生き物なのだから。 「デスゥ……」 「「「「テチー」」」」 一軒のコンビニの影で、往来する人間を見定めているこの実装石。 彼女も今から連れている4匹の仔実装を人間に託すつもりでいる。 この実装石は糞蟲では無かったが、冬を越せたのが不思議な位鈍くさかった。 おかげで春に仔を産んだのはいいものの、公園での生存競争について行けなかったのだ。 ドンドン減っていく仔達。自らも成体一匹分と少し程度しか食料を確保出来ていない。比較的食料が豊富な春ですら、だ。 このままでは、仔達が全滅してしまう。自分も栄養失調でかなり弱っている状態だ。もう時間が無い。 追い詰められた親実装が取った行動。それが託児と言うわけである。 冷静に考えれば単なる自滅行為ではあるが、追い詰められているが故に幸せ回路の発動によって無制限ポジティブになってしまっているのだ。 「きっと託児は成功するデス。怖いニンゲンばっかりじゃなくて、可哀相なワタシ達を飼ってくれる優しいニンゲンさんもきっと居るデス」 「ママー、やっぱりオウチに帰ろうテチ。ニンゲンはみんなコワイコワイテチィ」 「次女オネチャはヒャッハーニンゲンに殺されたテチ」 「三女オネチャはニンゲンが連れてきたワンワンに食べられちゃったテチィ……末っ子チャンと蛆チャンは禿裸にされてクロアクマのゴハンになっちゃったテチィ」 「ニンゲンはなんでかわいそうなワタチ達を苛めるテチュ……」 人間に対して恐怖心しか抱いていない仔達を見て、親実装は悲しい気持ちになった。 去年までは、アイゴハと呼ばれる人間が公園に来ては美味しい食べ物を配ってくれたのに。 晩秋の頃には殆ど来なくなり、最後の人は飢えたマラ実装が暴挙を働いた結果二度と来てくれなくなった。 (きっと、あいつらがたぶらかしたに決まっているデスゥ……なんで、あんなやつらに) 偶に公園の外を通り過ぎる元アイゴハ達が抱えている『あいつら』の事を思い出し、親実装は心中で唇を噛み締める。 確か「ジッスイイシ」とかいう生き物らしい。何となく自分達の同属の臭いがするが、公園の実装石は誰一石としてアレが同属だとは認めていなかった。 一度、冬場の頃公園に元アイゴハが連れてきたジッスイイシを群れ全体で取り囲みで糾弾した事がある。 何故お前が飼われている、直ぐにニンゲンを誑かすのを止めろと。元のようにワタシ達を可愛がるようニンゲンに言え。ついでに自分を代わりに飼うようにとも。 成体になったばかりのこの親実装もかつてあまーい金平糖をくれたアイゴハに対して真摯に慎ましくお願いした。 お願いデスニンゲンさん、そのアバズレの代わりにワタシ達に毎日の食事と温かく住める場所を与えてくださいデス、と。 糞を投げるまでもなく、元アイゴハが繰り出すカポエラキックの乱打によってリーダーと数十匹が肉塊に変じた。 半日後、アイゴハの要請により駆除業者がやって来て公園に住んでいた実装石の95%が駆除されてしまった。 そのおかげで生存競争が極端に沈静化し、この親実装が冬場を生き延びる原因になった訳だが。 「ママー、どうしたテチ?」 「な、なんでもないデスよ。優しいニンゲンさんが居ないかどうか見てただけデス」 物思いとジッスイイシへの嫉妬に身を焦がしていた親実装が我に返る。 そろそろ託児を始めないと、仔も自分も体力が持たなくなる。急がなければ。 親実装は一番手前に居た長女を腕に抱えると、コンビニの前をじっと見据え始めた……。 結論から言えば、その親実装は託児に成功した。 しかも、連れてきた生き残りの仔全てをコンビニから出て来た人間に託児した。 長女は頭にスカーフを巻き、初夏に相応しい涼しげな緑色のワンピースを着た栗毛の少女に。 四女はゆっくりと歩行速度が遅かった為狙えた中学生の色白な少女に。 五女は変な服を着た長髪の男に。 六女は年若い大学生の青年に託した。 「良かったデスゥ……これで、ワタシも飼い実装になれるかもしれないデスゥ」 4回も成功したのだ。1回や2回失敗だったとしても、ひょっとしたら優しいニンゲンさんに飼われるかもしれない。 意地悪で無い実装石を飼ってくれるニンゲンさんなら、きっと仔だけではなく自分も飼ってくれるだろう。 ニンゲンも実装石も、家族で暮らすのが一番なのだから、きっとそうに違いない。 窮地の所為か、微妙に糞蟲な言動と思考を巡らせながら実装石は期待に胸を膨らませる。 「でも、今日はもう疲れたデスゥ……隠して置いた金平糖を食べて寝てから訪問するデス」 親実装はふらつきながら、自宅のある公園へと帰っていった。 しかし、瞳は希望の輝きを秘めていた。 ———と。 「またぁぁぁ仔糞蟲で託児かぁぁぁぁぁ!! 四季構わず俺の弁当を食い散らかしやがってぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「テビャアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!」 遠くで六女らしき絶叫が上がり、親の脚が止まる。 「だ、大丈夫デス、ぜ、絶対に優しいニンゲンさんは居るデス!」 そう言いつつも、親実装は脂汗を掻きつつ全速力で公園に走り込んでいった。 長女は非常に困惑していた。 何故なら、緑色の服を着た少女の持っている袋に放り込まれてからこっち、非常にままならない状態になっていたからだ。 「テ、テチー?」 周りは青く、真っ暗だった。 そして、キラキラしたもので覆い尽くされていた。 確かに放り込まれた瞬間には、みっちりと袋の中に詰め込まれた食材が見えた。 どれか1つ食べても良いんじゃないかと思ってワクワクしていたら、袋に入った途端この有様。 ドコを見渡してもキラキラしていた。 金平糖かと思って手を伸ばしても届かない。 足掻いている長女は気が付かない。 これは、自分達の住んでいた公園の空の上に広がる世界である事に。 それからは、長女が取る事が出来た行動はただ1つ。 ひたすらに足掻いて少しずつでも前に進む事だけだった。 どれだけ泣き喚いても誰も返事しない。 どれだけ媚びても誰も反応しない。 不貞寝してもナニも起こらない。 不思議と腹が減らなければ喉も渇かなかったが、孤独に苦しむ長女は気付かなかった。 苦しんで苦しんでも、偽石が軋まないのにも気付かなかった。 本来、この空間で普通の生き物が生きる事が適わない事にも気付かなかった。 必死に、必死に長女は手足をばたつかせて僅かずつ前に進む。 あのきらきらのどれかに辿り着けば、ひょっとしたらここから出られるのでは無いかと思って。 しかし、何時まで経っても長女は辿り着けなかった。 幾ら進んでも、キラキラしたモノへはたどり着けない。 どれだけ進んでも、どれだけ進んでもたどり着けない。 もうどれだけ時間が経過したのか、今自分がどうなっているのか、それももう解らない。 天文学など知る由もない長女に、その目指すべきキラキラしたものが何万光年先の存在である事が解らない。 解らないからこそ、何時までも足掻き続ける。何時かたどり着くと、思考も無くただ足掻き続ける。 考えたら苦しいから、考えたら死にたくなるから、死にたくても死ねないってかなり経ってから解ったからただ足掻き続ける。 結局、長女は2度とコンビニ袋の外へは出れなかった。 非常識と理不尽の中間の生命体(元々だが)と為り、永遠にこの宇宙(?)空間をさまようのだ。 そして死にたいと思っても死ねないので ———その内、長女は足りない頭で考えるのを止めた。 その頃、少女は二葉市市内にある安アパートの一室に入り込んでいた。 鍵が掛かっているドアを施錠などされてないかのように開き、スキップしながら入室する。 「またお前かぁ。そんな人間の恰好しても無駄だからな。いいから早く帰れよ」 うんざりとした口調で言う部屋の主である男に構わず、台所に荷物を置いた少女は部屋の中で踊りを踊り始めた。 妙な模様が描かれた緑色のスカーフが男の前でフワリフワリと揺れる。 部屋に置いてあるDVDプレイヤーに電源が入ってないのにも関わらず、何故かチャイコフスキーの『花のワルツ』が優雅に流れ始めた。 「空中でバレエすんな、分裂するな、キメのポーズを俺の目の前で取るんじゃない!」 意に介さず空中で華麗にバレエを踊り続ける『少女達』に男は溜息を吐き、ごろんと仰向けに寝転んだ。 自分の部屋が半年前からカオス空間になるのはいい加減慣れてしまって来ている。 だけどこの間のように、自室内で「金色夜叉」を演じられませんようにと祈ってもいた。。 いきなり自分の部屋が一月の月夜に照らされた熱海の海岸になるのはもうこりごりだ。 冬の熱海は結構肌寒かったし。 「でもなぁ、なんでお前がお宮で俺が貫一なんだよ?」 しかも、何故か下駄キックではなく巨大なバールでお宮の脳天をフルスイングでぶん殴ってお星様にしていた。 「〜♪ 〜♪ 〜♪」 少女『達』は返事はしなかったが、何故か嬉しげに踊り続けた。 男は溜息を吐きながら不貞寝を始めた。 「ただいまー。帰ったよぉアオイ」 「ボクー」 ゆっくりとした足取りで帰宅したマスターの少女に向かって、小さな箒で門から家までの間を掃き掃除していたアオイは嬉しそうに挨拶した。 二葉市の私立中学の学生服に身を包み学生鞄を左手に提げ、右手にはコンビニ袋を提げている。 「ボクー?」 「あ、これ。ちょっとお母さんに頼まれて買い物してきたんだ」 少し照れるようにコンビニ袋を掲げる少女に、アオイはコクコクと頭を縦に振った。 彼女は歩けるようになってからこっち、頻繁に買い物を買って出るようになったのだ。 恐らくは帰宅前に、何か買ってくるものが無いかどうか、携帯電話で母親に尋ねたのだろう。 「じゃ、これお母さんに渡さないと……ご飯出来たら呼びに来るからねアオイ」 「ボクッ」 アオイは嬉しそうに頭をマスターに向かって下げ、再び掃き掃除に戻る。 敬愛する主人がこんなにも元気になれる日が来ただなんて。 自分はなんて幸せなんだろうか。 そう、深い感慨に耽っていたアオイの目が、カッと見開かれた。 「……」 「ボク……?」 小さな、小さな音だった。 しかし、アオイの聴覚は、潜在している狩人の耳はそれを聞き逃さなかった。 「テチー……」 確かに、確かに聞こえたのだ。 有り得ない鳴き声。実装石の鳴き声がマスターの側から聞こえたのだ。 いや、それよりも、微かに臭うこの不快な臭いは。 ———まさか。 「ボクゥ!!」 アオイは、今まさに家に入ろうとした少女を大声で呼び止めた。 「え、どうしたのアオイ?」 「ボク、ボクボゥク、ボクゥ!」 何時ものアオイとは異なる雰囲気に、少女は狼狽えたようにその場に立ち尽くす。 箒をその場に投げ置いて走ってきたアオイは、忙しくコンビニ袋を下に降ろすように言う。 「え、コンビニ袋の中がどうかしたの? 確かにアオイの好物のプリンは入ってるけど、それはご飯の後で……ぇ?」 コンビニ袋を玄関の石畳に置いて中を見た少女の顔が引きつる。 その中に居たのは……。 「お、お母さん。ちょっと、ちょっと来て!」 「………………」 そう、先程託された四女がお呼びで無いのに其処に居た。 中に入っていた豆腐、白滝、カッププリンを食い散らし、あまつさえ中身の代わりに糞を放りだした状態で。 しかも豆腐や白滝は少々囓った程度なのに対し、プリンは三つとも全て喰らい尽くされている。 「テチューン……チューン♪」 そしてその本人はパンパンに膨らんだ腹を抱えつつ、ご機嫌な様子でぐっすりと食休み中だ。 小声で寝言を言っているのが聞こえたので、アオイは耳を澄ませてみる。 「このニンゲンは甘いモノをワタチにくれたからきっと優しいテチュ……zzz……ご褒美としてワタチを可愛がらせてあげるテチュ……」 「………………ゥ」 硬直したままビキビキと何やら筋を立てているアオイを他所に、台所からやって来た母親がサンダルを引っかけて玄関に出て来た。 中身を覗くなり、母親が露骨に顔を顰める。彼女自身、何度か買い物袋の中身を台無しにされた事があるのだ。 「あちゃぁ……これは託児されちゃったわね。お豆腐とかグチャグチャになっちゃってるじゃない」 頼んでおいた豆腐が、白滝が、プリンが食い散らされぐちゃぐちゃになっている。 しかも緑色の糞尿が混ぜ込んでいてもう目も当てられないような状態だ。 「ア、アオイィィィィ……」 半泣きになって座り込む主人の傍らに寄り添い、アオイは優しく背中をさすってあげる。 「ボクー」 「気持ち悪くなっちゃった?」 「ううん、違うけど……折角買って来たのに……」 目尻にじわりと涙を浮かべる我が子を見て、母親は小さく息を吐いた。 「こうなっちゃったものは仕方がないわ。さ、あなたは早くお風呂に入って来なさい。さっぱりしないとご飯食べる気にならないでしょ?」 「う、うん……解ったよ。お母さん」 母親の声に反応した少女はフラフラと立ち上がり、家の中に入っていった。 「アオイ、その仔の事、よろしく頼むわよ?」 「ボク」 コンビニ袋の中で呑気に寝ている四女を横目で見つつ母親は指示を出し、娘の後を追うように家の中に入っていった。 静かになった玄関先。周りの事など意に介さず呑気に惰眠を貪っている四女。 そして、無言のままそれを見下ろしているアオイ。 マスターのお使いをこんな形で台無しにするだなんて。 何時も、何時もマスターが楽しみにしている大切な『お使い』を。 あまつさえ彼女を悲しませ、食後の楽しみだった大好物のプリンまで食い散らかすとは。 「ボクゥ……」 『絶対に、絶対に 許 さ な い よ ? 』 アオイは無言のままコンビニ袋の上を縛り、そのまま裏庭の方まで引き摺っていった。 「今日は本当にごめんねアオイ。アオイの大好きなプリンを駄目にしちゃって……」 「ボクボクゥ」 「うん、そうだね。今度デスヨーカードで手作り焼きプリン買って来るから……おやすみ、アオイ」 「ボク」 気にしてませんよと返事をし、お休みの挨拶をして少女の部屋を辞する。 自分に宛がわれている小さな居間に向かう途中、窓越しに庭仕事などの道具をしまう物置がアオイの目に映った。 「……ボク」 不愉快そうに鼻を鳴らし、やや足音を強めて自室に向かう。 物置の中での仕置きを終えた頃には、明日で終わらせてやろうと思ったが、どうにも気が収まらない。 「ボク」 やっぱりもうちょっと苦しんでから逝って貰おう。 そう思いながら、アオイは自室へと入っていった。 結局の所、四女は家族の中で一番長生きをした。 生きたがりの実装石からすれば本望だろうが、彼女自身は何度も何十回もアオイに死を懇願してたので果たしてソレで良かったのかは解らない。 四女は最後の晩餐であるプリンを胃に収めてから78時間後にこの世を去った。 精神と身体の両方を完全に破壊されて。 庭いじりと主に尽くす事が生き甲斐のアオイにとっては非常に不本意な時間の使い方だろうが、それは仕方がない事だ。 四女は『マスターに危害を加える』という禁忌を犯し、アオイを本気で怒らせたからこうなったのだ。 家に近寄った程度なら即座に殺されて終わり位で済んだだろうに。 薄暗いダンボールハウスの中で、親実装は目蓋を開けた。 「あれ、なんでオウチの天井が無いデス……?」 自宅のダンボールハウスの天井が、いつの間にか開いたままの状態になっていた。 金平糖を食べて幾らか腹が膨れた後『訪問』する体力回復の為仮眠をしてた間に、いつの間にか開いていた。 「全く、どこの糞蟲のいたずらデスか……もう一眠りしたら直さなきゃいけない……デ?」 面倒臭そうに開いた天井から広がる夜空を見上げていた親実装。 ふと、空に点のようなものが見えたような気がした。 「デスゥ?」 目を凝らして見ていると、それはグングン近付いてくるではないか。 ダンボールハウスの中で仰向けになって寝っ転がっている自分目掛けて。 しかも、どこか見覚えのあるような無いような。 「デ、デェ、あ、あれは!」 親実装の両目は、しっかりとそれを捉えていた。 鈍いことこの上ない五感の割には、しっかりと捉えていた。 「マ」 多量の栄養素を得た所為でブクブクに肥え太った肢体。 しかし、産まれてからずっと続いた公園生活によって汚れた肌色の肉体。 「マ、マ」 雲脂と泥にまみれながらも大切にしてた髪は綺麗さっぱり毟り取られ。 頭巾も前掛けも服もパンツも全て無く、何故か靴だけは残してあった。 「マァマ」 ドコから見ても、立派な禿裸の仔実装。 しかし、グングン近付きながらもあげ続けている悲鳴には聞き覚えがあった。 何時も、近所の同属に苛められて泣いてばかりだったから、よく覚えていた。 「お、お前は」 「ママァァァァァァァァァァァ!!!」 血涙を流しながら重力の法則に従い、自宅に急降下状態で突っ込んで来る我が仔。 それを仰向けになったまま、起き上がるタイミングすら与えられず親実装は出迎える事となった。 「ご、五女チャ何故デz「ヂョバァァ!!」」 親実装が見た最後の光景。 それは接触寸前に内側から急激に膨れあがる我が仔と、自分と仔を包み込んだ緑色の閃光だった。 「秘儀、託児返し———極技・破石」 編み傘を被った袴姿の男はそう呟き、静かに親実装が住んでいたダンボールハウスの跡地に背を向ける。 跡地、そう跡地だ。小さな擂り鉢状のクレーターと、底に溜まった沸騰している緑色の糞溜まりがここに実装石が居た事を顕していた。 しなやかに振り上げられた手の平から、細かく引きちぎられた五女の着衣が紙吹雪の様に舞う。 脂ぎった雲脂だらけの髪の毛がハラハラと夜風に吹き上げられる。 ここにはもう何もない。さぁ、次の託児の為に街に出ようでは無いか。 「いざ、極めん。我が虐待道を……この二葉の地で」 男の言葉が、静まり返った公園の中に響き渡り、雨雲で覆われた夜空に吸い込まれていった。 完 ———————————— 感想を何時もありがとうございます。 過去スク 【微虐】コンビニでよくある事 【託児】託児オムニバス 【託虐】託児対応マニュアルのススメ 【虐】夏を送る日(前編) 【虐】急転直下(微修正) 【日常】実装が居る世界の新聞配達(微修正) 【虐】山中の西洋料理店 【観・虐】実装公園のトイレで休日ライフ 【虐・覚醒】スイッチ入っちゃった 【虐夜】冥入リー苦死実増ス 【冬】温かい家(改訂版) 【虐】繭を作った蛆 【教育】神父様の教え 【哀】風の吹く町 【哀】【春】急転直下2 【哀・虐】桜の季節 【虐】繊維蟲 【餌】釣り場での託児 【虐・哀】春が過ぎた季節
